性霊の棲家5

 

 「協力ねえ。」大体想像がついた。

 「妖怪"貞"は、あんたの、その、…アソコに、いるんだけど…。」赤いアイシャドウの顔が火照る。恥じらう女の子ってかわいい。

 「はあ。もーどーにでもして下さい。」やっぱりこうなるのか。

 退治屋は甲冑を脱ぎ捨てた。黒いタイツがピチピチしていて、細い体のラインがくっきりと浮かび上がっている。胸もけっこう大きい。

 そのまま僕の体に抱きついて来た。ふにふにした感触が押し付けられる。僕も思わずタイツ越しに背中を撫で回した。そしてキスをした。アイシャドウごと目がうつろになっている。…けっこう好みのタイプかも。

 「これって、どうやって脱ぐの?」

 「…嫌。」

 「え?」タイツを脱ぎたくないらしい。あぁ。確か妖怪との戦いでこの人の背中には大きな傷があったんだっけ。それを見られたくない訳か。

 「大丈夫、下はすぐ出せるから。」

 どうやらタイツの下半身部分は布が二重に折り重なっていて、手で開けばオンナが露になる仕組らしい。排泄用、と言った所か。僕のトランクスの窓のような感じだ。でも実際のマンガではどうなんだろうなあ。気になるが、また余計な事を聞いて怒らせる事になったら厄介だからやめておこう。この空洞には出口がないんだし。

 彼女は中腰になり、僕のペニスに自分の胸を押し付けた。そのままゆっくりと上下して来る!むにゅっとしたおっぱいの感触が段々僕のペニスを興奮させる。三日間眠っていたというのも効果を持っていた。いつの間にか体の疲れは吹き飛んでいたのだ。もちろんそれはヴァーチャルな世界での事であって、現実にはさほど時間が経っていないのだろうけれども。

 いきり立った所でアイシャドウは目配せをした。横になれという事か。

 仰向けになると、彼女は腰に跨って来た。なんかさっきの女霊達と変わらないような…。そして僕のペニスは退治屋のオンナにすっぽりと納まった。

 ゆっくりと腰を前後にスライドさせるアイシャドウ。せめてもの救いはバイブ機能がなかった事だろう。気持ちよかったが、理性をなくす程ではなかった。

 僕は彼女のお尻に手を伸ばしてさすり、また胸を愛撫した。そして細い腰を掴み、そのまま上下させる。どんどん動きがスムーズになって行く。僕は上体を起こして座位に持ち込んだ。リズミカルなピストンで、彼女をさらに上気させる。

 度重なるセックスの連続で、僕はかなりオンナ慣れしていたのかも知れない。単純な攻撃程度ではほとんど感じなくなっていた。そして我慢する事、こちらから積極的に責める事を覚えた。心に多少の余裕ができていた。

 「うっ、あっ、あっ、あっ、あっ、あっ、…」

 僕が突き上げる度に退治屋はビクッビクッと体を震わせた。僕の方は不思議と平気で、疲れもせず、ますます早くリズミカルに、そして優しく突き上げ続けた。僕の胸に彼女のおっぱいが当たり、つぶれ、こすれるが、感じているのはもっぱら彼女の方だった。

 だが、あまりにも不思議過ぎる。いつから僕はこんなにテクニシャンに、快感に強くなったんだろう?いくらエッチに慣れて来たとはいえ、僕の上手さと彼女の感じ方は少し異常だ。それでも僕はひたすら彼女を責め続けた。僕の力で、相手を感じさせている。その思いが、一種の満足感を与えていた。よし、このまま彼女をイカセてしまおう!

 「お…、おのれえ!妖怪め!」アイシャドウが怒りに震える。が、その怒りは自分自身に迫り来る快感によって濁らされて行く。

 「あ!はあっ!もうだめぇ!」

 ひときわ強く腰が震えた。髪を振り乱し、彼女は絶頂を迎えた。そのまま彼女は後ろにぐったりと倒れ込む。

 僕は彼女から離れた。妖怪退治は上手く行ったのか?それとも失敗かな。僕の方は全然なんともない。取り付かれているという感覚もないし、退治屋とのセックスの後も特に変わった所はなかった。

 「う、くう、か、かろうじて、あんたから妖怪を追い出す事はできたけど…。あ!はぁぁっ!妖怪はまだ退治できてない!あ、あたしの中に、入り込んで、きゃ!」

 彼女は仰向けに倒れたまま、さらにビクッ!と全身を痙攣させている。何が起こっているのか分からないが、どうやら彼女の体の中で、精神の中で、彼女と妖怪が戦っているみたいだった。

 「お、おのれ!あたしは、これでも、妖怪退治屋の端くれ、だ!おまえなん、か、に!や、られて、たまるか!うくっ!ひ!のっとられ、て、た、たまる、…か!はああ!」

 妖怪は、彼女の体を乗っ取ろうとしているようだ。何とかしてやりたいが僕にはどうする事もできなかった。

 「あ、ひゃ、だめえ!気持ちいい!へ、変になっちゃうよ!うぅ!」

 そうだ、せめて脱出口を探して置いてやろう。恐らく妖怪は退治屋をイカセる事で、その精神を乗っ取るらしい。乗っ取られる前にここから脱出して、別の手を考えよう。空洞の奥へ行き、近辺を歩き回る。だめだ、出口が見つからない!この空洞はどの位の深さなんだろう?

 上を見上げる。岩ばかりだ。木の根でも出ていれば比較的浅い事が分かるのだが…。

 今度は下に目をやる。すると小さな横穴が見つかった。蛇のように潜りながらなら、何とか人一人分位は通れそうだ。その奥を覗いてみる。3メートル位続いている。そしてその突き当りには明らかに人工の物と思われる石積みがあった。分かったぞ、この横穴は恐らく枯れ井戸に続いてるんだ。よし、ここから出れば何とか助かりそうだ!

 「ねえ…。どこ見てるの?」

 落ち着き払ったその声にはっとして、後ろを振り返った。黒タイツを脱いで裸になった退治屋が歩いて来る!その目はアイシャドウばかりでなく、眼球までもが真っ赤に輝いていた。いけない!間に合わなかったか。どうやら彼女は妖怪に乗っ取られてしまったようだ!

 「くそ!来るな!」僕の怒鳴り声も空しく、妖しい笑みを浮かべながら、どんどん近寄ってくる!やばい、逃げなきゃ!

 とっさに狭い横穴に飛び込んだ。そのまま這うようにして井戸の底めがけて進む。い、意外と狭いぞ!中々前に進めない!

 「ふふ…。逃げられるとでも思ってんの?」ガシッ!僕の足首を女がつかんだ。そのまま彼女の手が僕の足を滑って来る。そして裸の僕のお尻に手が伸びて来た!さらにお尻をさすり無防備な玉袋を揉みしだいて来る!

 「うわ!やめ…。」さっきまで自信に満ち溢れてセックスをしていたのに、今度は簡単に感じてしまった。どうやらさっきの僕のテクニックは、僕のものじゃなくて妖怪のものだったらしい。やっぱり僕は無力だったのか!

 指がお尻の穴をまさぐっている。くそ!

 「は、離せ!」僕は迷わず、妖怪に乗っ取られた退治屋を力一杯蹴り続けた。どこを蹴っているかは分からなかったが、彼女の手の位置からして、僕の蹴りは顔に当たっている筈だ。

 「無駄な事を…。」妖怪は両手で僕の足を押さえた。すごい力だ。僕の足はあっという間に自由が利かなくなった。

 「うあ!やめろー!」僕は前に逃げながら暴れた。ずぼっ。不意に自分の背中が広くなった。やっと通れる位狭い横穴だったが、背中部分の土は柔らかく、僕が暴れたので土が崩れ少し広くなったみたいだ。やった、このまま逃げ…。

 「あ…。」僕は愕然とした。穴が広がったとたん、妖怪は素早く僕の下にするりと入り込んで来たのだ!密着しながら向かい合っている。折角穴が広くなったのに、二人が詰まってしまってはまた元の狭い状態に戻ってしまうではないか!

 「うふふ…。クスクス…。」そのまま妖怪は、女体をグリグリと蠢かせて来た。吸い付くようなきめの細かい肌が僕の全身を揺さぶった。僕の頬に女の頬が、胸にはつぶれたおっぱいが、背中にはスベスベの腕が回り込み、僕の足にもむっちりした太ももが絡みついている。

 「う…。」スベスベの肌がこすり付けられる度に僕は快感に呻いてしまう。単に自分のセックス慣れが幻想だったというだけではない。相手は妖怪、しかもエッチな妖怪で、人間に快感を与える事を生業としている類の化け物だ。通常の女性以上に、男を、もちろん女をも喜ばせる術に長けていたのだ。

 「ほらほら、今ここで出しちゃいなよ。」

 僕の下で女体が蠢く。その肉の感触が全身に絡みつき、裸の僕にしっとりした肌が波打つように刻み付けられている。下腹部は、妖怪に乗っ取られた退治屋のおなかや太ももや腰部分が押し付けられ、グニグニと刺激されている。時折ふとももがペニスを挟み込んでスリスリと細かく擦ったりした。

 グリグリ…。スリスリ…。まずい、このままでは動く事もできないまま射精させられてしまう!あ、後40センチ位、その先に出口があるというのに!

 「あ、そう。まだイかないの。じゃあ、こうしてあげる。」

 妖怪は巧みに蠢くと、僕のペニスを自分のオンナにあてがった。優しい微笑を僕に向け、そのままキスをし、腰を突き上げた。

 ぬるり…。チュッ、グチュル!

 身動きが取れない中で僕は妖怪と結合した。もう彼女は退治屋ではなかった。赤い目、赤いアイシャドウ、妖しい微笑み。狭い空間で、巧みに腰を上下させたり、グラインドさせたり、小刻みに震わせたりしている。ペニスが膣で翻弄され、魔力が加わって体の奥から快感が吸い出されているような快感を送り込まれた。やはり射精させる為の術を心得ている妖怪だけあってその人外的な妖しい魅力は僕をあっさりと絶頂に導くのだった。

 「はうっ!」あっという間に彼女のオンナに精液を放った。それも数秒の射精ではない。まるで搾り取られるかのように、十数秒、あるいは数十秒に渡ってビュクビュクと僕のエキスが放たれている!その間ずっと、射精時の絶頂的快感が僕の全身を支配している。

 「ああああああー!」僕は手を横穴の先に伸ばし、痙攣しながら、イキ続けていた。こ、このままだと殺される!

 と、伸ばした手が誰かにがっちりと掴まれた。柔らかい。女の手だという事がすぐに分かった。その手はしかし、ものすごい力で僕達を引っ張っている!ずるずるずる…。僕達は結合したままその女に井戸の底へと引っ張り出された。

 「ふん。何が妖怪退治屋だ。このざまじゃないか。」結合した二人を見下ろして冷たく言い放つ女。長い髪、切れ長の美しい目、細くとがったように冷たく整った顔立ち、真っ赤な袴。明らかにこのアニメに登場するあの巫女だった。

 「おまえか…。ふん、随分自信たっぷりのご様子だねえ。いいさ、おまえも乗っ取ってやるよ。この狭い井戸じゃあ、おまえのお得意の弓矢は使えまい。50年前は不覚を取ったが、今度こそはおまえを陵辱してやる!」

 妖怪は、巫女をも乗っ取ろうとしているらしい。僕から離れ、裸のまま巫女に迫って行く。しこたま射精させられた僕は、何とか地面に座り込む事ができたが、それ以上に動く事ができなかった。体が自由に動かない。

 「妖怪め。わたしが、弓矢だけを頼りにしているとでも思っているのか。」

 「ふふふ。おまえだってもう妖怪みたいなもんじゃないか。死人めが。50年前と変わらぬ若さを、さぞかし保つのに苦労してるんだろうねえ。」

 「…。おまえは、殺す。」

 女同士の戦いが始まった。僕は見守るしかなかった。裸で迫る妖怪に、巫女は落ち着き払っていた。手を伸ばし、袴に触れる。

 「…汚らわしい手で、触るんじゃない。」そう言って巫女は妖怪の頭に手をかざした。

 「な、なにぃ!ぐはっ!体が、体が熱い!ぐぎゃああ!」悶え苦しむ妖怪。

 「消えろ。」巫女はさらに念を込める。妖怪の苦しみもそれに連れて増して行くようだ。

 「ぐ…。ぐぐ、ぐふふふ…。おまえ、このあたしが、ぐふ、こんな程度で退治できると思ってんのかい?あたしは、今しがた、男の精をいっぱい受け取ってるんだよぉ!今度は、悶え苦しむのは、おまえの番だよ。」

 妖怪は素早く巫女の後ろに回り込み、巫女を羽交い絞めにした。さっきの巫女の攻撃はあまり効いていなかったみたいだ。

 「むっ!しまった!」巫女は脱出を試みるが男の精液を吸った妖怪は思った以上に手ごわかった。羽交い絞めにされたまま、巫女は身動きが取れなくなった。

 「オン、バサラ…ダン、クァン、…ソワカ!」なにやら呪文のようなものを唱える妖怪。すると井戸の底から、火の玉のようなものが飛び出し、巫女の心臓に突っ込んだ。そのまま巫女の体に入り込んだ。

 「ひ!きゃあ!」初めて巫女から女の子らしい悲鳴を聞いた。そのままガクガクと震え出す。あの時とおなじだ。妖怪退治屋を乗っ取った時と。だが、相手は強い精神力を持った巫女だ。退治屋の方は僕とセックスした末にイッてしまい、無防備になっていた矢先に乗っ取られたのだった。だがこの巫女の場合はそういう無防備さがない。きっと妖怪を追い出してくれるだろう。

 「あ!あ!あ!あ!あ!あああーん!」期待とは裏腹に、巫女は感じまくっている。そんな!

 「ふふふ。しょせん巫女だねえ。巫女に成るためには、男を知る事はおろか、性欲を微塵も出しちゃいけないって言うじゃないかえ!だから、一旦おまえの体に入り込んじまえば、こっちのものなのさ。快感にはまったく不慣れな、処女の、未熟女さん!」

 あっという間に、性にかけては百戦錬磨の妖怪に巫女は崩れ落ちてしまった。

 「さて。どうする?あんたのせいでこの巫女は負けちまったよ。あんたがあたしに精をくれたから、あたしは勝てたのさ。…ふふ、お礼をしてあげなくちゃねえ。」

 「や、やめろ、来るなぁ!」僕は重い腰を上げ、何とか抵抗を試みた。

 「そうそう、この馬鹿巫女様があんたに復讐したいってよ。あんたのせいで自分が負けたんだって。…ふふ、じゃあ、あたしはあんたにお礼を、巫女はあんたに復讐を、じっくりとしてあげる。目的は違うけどする事は同じだよ。」

 巫女は、うつろな目で僕を見つめている。その手は、自分の袴にかかっていた。するり、と、簡単に袴は脱げ落ちた。あっという間に巫女は裸になった。

 さっきの横穴よりましだとはいえ、三人も立っているとやっぱり狭いこの井戸で、僕は絶体絶命のピンチに陥っていた。二人の美人妖怪が裸で迫って来る!逃げ場は、…上しかない!

 僕は力を振り絞り所々隙間の開いている古井戸の石垣を登り始めた。だがやっぱり疲労が激しく、上手く登れない。

 四本の手が、僕の足首を掴んだ。そして強い力で引っ張り僕を再び地面に引き摺り下ろした。ドシンとしりもちをつく。

 「…逃げるな。」冷たい視線で巫女が僕を制した。「おまえの精を、一滴残らず搾り取ってやる。このわたしが。」そういうと巫女は、座位で僕を犯そうとした。が、僕のペニスは恐怖で萎えていた。もちろんさっき出しまくった事も関係している。

 「男を立たせてからじゃないと、入れられないんだよ、処女巫女さん。」妖怪は僕の後ろに回りこみ、同じくしりもちをついた格好で僕の背中に密着して来た。そして後ろからペニスを激しくしごいて来た。妖怪の両足が後ろから僕の足に絡みつき、僕の両足を開かせる。右手でペニスをしごき、左手が玉袋をさすっている!

 「うあああ…」絶妙な指使いに、あっという間に立たされてしまった。

 「さあ、もう入れていいよ。」妖怪が促す。巫女はうずうずしていた様子で、まるで「待て」をされた犬が餌にありつけた時のように喜びながら改めて座位に持ち込んだ。後ろから前から、二人の女が密着して来る!ペニスは処女のオンナに飲み込まれた。まるで僕の体自体が一本のペニスのようになり、そのペニスを二人の女体がオンナとなってこすっている、そんな感じだった。

 「ぅぅぅぅ!」ほとんど声にならない声で、僕は耐え続けた。が、強烈な締め付けと前後の密着が、いやおうなしに僕を絶頂に導く。巫女もまた痛みに耐えながらも必死で腰を使って来た。妖怪と化した巫女は、声ひとつ立てずに僕をイカセようと必死で上下しているようだ。

 「んんん!」ついに耐え切れずに、僕は出してしまった。巫女のオンナは、さっきの妖怪のオンナと同じように、僕の精を絞ろうと蠢いている!僕は処女とセックスしているんだ、しかも相手は美人巫女だ、という思いも手伝って、射精した後も僕の興奮は収まらなかった。

 「さあ、まだまだ出してもらうわよ。あんたの精を一滴残らずね。」後ろから妖怪が囁く。「もっと…もっと出すんだ。わたしの中に出せ。いっぱいいっぱい…。」

 巫女は結合したまま体をひねり、四つんばいになった。それに合わせて後ろの妖怪は僕の腰を上げて立たせた。座位からバックに変わった。

 「ほらぁ。今度は後ろから突いて欲しいってさ。早く動きなよ。」妖怪に促されるままに、僕は腰を前後させ、巫女のオンナにペニスを出し入れした。それを手伝うように、後ろから手と腰を使って僕の腰を揺り動かして来る妖怪。巫女の方も只受身なのではなく、僕の動きに合わせて前後させたり、また僕の動きにあえて逆らってお尻を左右にこすって来たり、回転させて来たりした。

 後ろから容赦なくおっぱいを押し付けながら僕の腰を自在に操る"元"妖怪退治屋。四つんばいになって怪しく腰を動かしながらオンナも意志を持つようにグニグニ蠕動し、ペニスからエネルギーを搾り出そうとする"元"巫女。二人の妖怪に前から後ろから僕は快感を送り込まれ、さっきから何度も射精している事などノーカウントにしてしまうような愉悦の感触に我を忘れる。

 「あはぁ!ま、また出る!イク!」妖怪達の動きはますますスピードを増し、しかも僕の感度もどんどん高められている。前後から挟み込むスベスベの肌が僕の体に食い込んでとろけてしまいそうだ。玉袋の奥のくすぐったさがますます強くなり、ジワジワと込み上げて来る。もう限界だった。

 「出せ出せ出せ出せ!」「イケイケイケイケ!」フィニッシュの際、ますます二人の動きが早くなり、後ろの妖怪が手を離しても僕の腰は自動的に動く程リズムに乗っている。後ろの妖怪は射精寸前で僕のお尻の穴に指を這わせながら玉袋をコロコロとくすぐった。なんて男を快感の坩堝に落とすのがうまいんだ。絶妙なタイミングでしなやかな指が精液を押し出す勢いを極限にまで高めている!

 僕はその動きに翻弄されながら、ドバドバと精液を注いだ。さらにその動きは射精後も休まる事がなかった。射精の脈打ちはますます早くなって行き、僕は快感で頭の中が真っ白になった。

 これからどうなるんだろう。死への不安が頭をよぎった。このままイキ殺されるのか…。そ、そんなの嫌だ!

 そう思った瞬間自分が何者かを思い出した。ここはヴァーチャルリアリティの世界で、僕は単にインターネットしているだけで、それもこれもみんな僕のアパートに巣食う色情霊の仕業で…。みんな思い出した!そして、この世界の抜け出し方も。

 「あ、あのさあ。」

 「なんだ?まさかわたしに命乞いか?今更…。」「無駄だよ。あんたは快感に全身を支配されたまますべての精力を我々に注ぐエサなんだから…絶対に離さない。」「まだまだ出して貰う。わたしの中に…」

 「ま、まあ聞いてくれよ。…隣の囲いに垣根ができたってねえ。」

 「…。」「…。」このギャグは確か江戸時代のもの。この時代にはまだなかった筈だ。

 「塀。」

 ピタリ。女達の動きが止まった。僕は恐る恐る腰を引き、ペニスを離し、後ずさりしながら様子を伺った。すると…。

 「ぅ…。」「んん…。」「ぎゃははははははははははははは!」「あははははははははははははは!」二人は大笑いし始めた。僕の試みは成功したようだ。このギャグで大笑いする人を僕は初めて見た。うんうん、この隙に逃げよう。

 「塀だってえ〜〜!」「おっかしぃ〜〜〜!」

 必死で石垣を登る僕の下から、絶え間ない笑い声が響いて来る。何とか石垣を登り切り、井戸を脱出した。井戸の底から、まだ笑い声が響いて来る。逃げよう。

 井戸から離れた瞬間、バグが最高潮に達したのだろう、目の前の空間が歪み、ふっと浮き上がる感じがした。そして次の瞬間僕はパソコンの前に座っていた。何とかヴァーチャルリアリティから抜け出せたようだ。

 パソコンの電源を切った。もう二度と使うもんか。

 外が明るい。カレンダー付きの時計を見た。どうやら一晩中、ネットの中を彷徨っていたらしい。3日間気を失っていた、というのはストーリー上のもので、そんなに時間は経っていなかった。でも一晩を無駄にしてしまった。

 椅子から立ち上がると、ぐらりとよろめいた。疲れ切っていた。空腹でもあった。簡単な食事の後ベッドに潜り込んだ。あっという間に意識が朦朧として来た。

 …。

 暗闇。僕の右手には包丁。恐怖に震える女。「やめて、お願い。」か細い声で命乞いをして来るが、僕の殺意が消える事はなかった。今消さなければオレは破滅するかも知れない。口封じしなくては。殺さなくては。

 無言で、無表情で、只自分の身を守る為だと言い聞かせながら、ほとんど心を殺しつつ、女を刺した。傷口から血を吹き出させてぐったりする女。絶命を確認した僕はロープを用意し、女の首にロープを巻きつけ、上から吊るした。後はいかにして周りの人間を誤魔化すかだ。

 息遣いも荒くアパートを出る。人目につかない、暗闇。月だけが惨劇を見ていた。

 ピピピピピピピピピピ…。

 しまった、目覚ましを消して置くのを忘れた。朦朧としたまま時計のスイッチを押す。眠ってから1時間位しか経っていない。もう一眠りだ。今何か夢を見ていたようだ。何の事だったか、ほとんど思い出せない。布団に潜り、また寝息を立て始めた。

 さっきと同じ光景。僕は女を刺している。

 がばっ!背筋に強烈な寒気が走り、僕は飛び起きた。夢、か。疲れがひどいと悪夢を見るというが…。もう頼むから休ませてくれよ。

 再び眠りについた。変な夢はもう見なかった。
 

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