性霊の棲家（ないと・めあ）

性霊の棲家１２

　一時間後。大沢さん達も部屋から出て来た。

　「浄化はまだ終わっていない。いや、失敗したんじゃなくて、その前にやる事が見つかったんでな。」

　「一体何が…」

　「これを見てくれ。」

　大沢さんに一枚の古ぼけた紙を渡された。そこにはこう書いてあった。

　「佐藤博之先生。私はあきらめません。あなたはあんなに私の事を愛してくれていたのに、あなたはご自分の出世のために他の女と結婚なさるのですね。でも、私、妊娠しているんです。あなたの子です。私、生みたい。あなたの子なら、生みたい。だから生みます。たとえあなたが認知なさらなくても、二人で生きて行きます。でも、本当は認知もして欲しい。私はあきらめません。いつかきっと、佐藤先生と一緒に暮らせるように願いながら、これから先どんな困難があっても、それだけを夢に生きて行きます。私と、そしてあなたの分身とで。西沢京子。」

　「…。どうだ？これからも生きて行くと言っている女が、しかも子供を身ごもっている女が、自殺なんかするだろうか？」

　「！」

　「図書館に行ってみよう。年代と西沢京子という名前が分かったんだ、今度はすぐに記事も見つかるだろう。」

　もう日も暮れかかっていたが、僕達は学校の図書館に向かった。大家さんには帰ってもらった。図書館で調べ始めて、数十分で記事が見つかった。

　「…やはりな。はじめの内は事件として扱われているのに、ある日突然警察が自殺として扱い始めている。」

　「…圧力がかかったという事でしょうか？」

　「恐らく間違いあるまい。佐藤博之の身辺調査をしてみたら、彼の親戚に政治家がいる。かなりの有力者だ。彼の身の回りには権力と金の匂いがプンプンしてやがるぜ。名門私立校を卒業。その後たいして学者活動をせずに助教授になっている。博士号も外国で購入したらしい。そして教授に昇進するために当時学校と地元で有力だった教授の娘と結婚している。現在、生徒指導と学科内活動の責任者になっている。」

　「…。」

　「昨日君と石川だけを佐藤の元に送ったのは失敗だった。もう日が暮れようとしているから、明日、私も一緒に佐藤の所に行こう。今日は解散だ。」

　僕達の疑いはほとんど確信に近いものだった。佐藤と西沢が今の僕の部屋でちょくちょく会っていた事。西沢が佐藤の子を身ごもったという事。そして、西沢の死が不自然である事。…恐らく他殺！

　次の日、僕、大沢さん、石川の三人で、佐藤の元を尋ねた。

　「またおまえたちか！何の用なんだ！帰れ！」

　僕達が入室するなり、まるで何かに怯えるように佐藤は僕達を怒鳴りつけた。だが大沢さんは冷静だった。

　「…私達は２０年前の事件について調査しています。そして昨日、こんな物を見つけました。」

　大沢さんは、西沢さんの書いた手紙を佐藤に突きつけた。佐藤の顔色が変わった。

　「…たしかに捨てた筈なのに、といった所ですかな？」

　「ぐっ、な、何を言っているんだ。何の事だか全然分からんぞ。」

　「だがはっきりと、ここにあんたの名前が書いてある。新聞記事によるとこれを書いた女はこの学校の学生で、自殺をしたとある。その女があんたの事を名指しして、しかも妊娠したと言っている。なんか関係があるといって間違いないだろう？」

　「し、知らん！こんな紙もでっちあげだ！なんだこんな物！」

　ビリビリビリ！佐藤は手紙を破り捨てた。

　「…そうすると思いましたよ佐藤さん。でもね、２０年前にあんたが捨てたか燃やしたかして処分した物がどうしてここにあるのか、お分かりですかな？俺達は幽霊退治の専門家だ。幽霊の事はそれなりに知っているつもりだ。この紙はな、西沢のメッセージなんだよ。彼女の霊的エネルギーが、『思い出の品』を再生したその結晶なんだ。だから、いくら破いても、燃やしても、真実が人々に伝わるまで、いつでも『思い出の品』は具現される。この通り…」

　大沢さんの手には、さっき破られた筈の手紙が握られていた。

　「ば、ばかな…！」

　「もっと早く真実に気がついていれば、これを警察に持って行く事もできた。でももう時効が成立してしまっている。２０年前の事だもんな。だけど、法律が時効を決めても、幽霊には時効は無いんだぜ？彼女はあんたを許しはしない。真実を吐き、反省し、罪を償いでもすれば話は別だが。」

　「ばかばかしい！幽霊などおらん！わたしは何も知らん！」

　「ほう。では何故そんなにうろたえているのですかな？…正直に吐いてしまうがよい！アンタが殺したんだろ？西沢京子を！」

　「！」

　「…ち、違う！言いがかりだ！」

　「あくまでシラを切るのか。ま、時効が成立しても、人殺しをしたとあっては、これまで通り教授でいられはしないだろう。学校も追われる事になるな。保身を考えるあんたの事だ。絶対に認めるつもりはないようだな。」

　「おのれ、奇妙な論理を振りかざしておかしな事ばかり言いおって！名誉毀損で訴えてやる！一生社会人として生きていけない立場にしてやる！」

　「…。しょうがない。これだけはやりたくなかったけど、彼女がどうしてもとせがむのでね。実は西沢さんを連れてきているんだ。」

　僕には見えなかった。大沢さん程の人なら、あるいは性霊バスターズなら、幽霊を見たり、幽霊と話したり、はては幽霊を連れて歩いたりもできるのだろう。

　と、佐藤の顔が突然ゆがんだ！彼には見えたようだ。恐怖に怯え、後ずさりする。顔色も真っ青だ。

　「ひいい！ゆ、許してくれえ！アレは突発的だったんだ！それにそうでもしなければわたしは教授になれなかったんだ！消えてくれえ！」

　これで僕達の疑いは決定的なものになった。恐らく２０年前、この手紙を突きつけられ、結婚を迫るかあるいは父親としての認知を迫られた佐藤は、自分の保身の為に西沢京子を殺害し、自殺に見せかけたのだろう。その後政治家を使って圧力をかけ、その権威を持ってアパートを壁で封印した。だが、殺された西沢さんの『想い』までは、佐藤といえどもどうする事もできなかったという訳だ。

　「…手伝ってやるよ西沢さん。エネルギー注入。さ、好きなようにするがいい。なあに、コイツが死んでも心臓発作として片付ける事もできる。霊障なんてそんなもんだ。」

　大沢さんが手をかざすと、僕にも西沢さんの姿が見えるようになった。彼女の霊的な力がさらに高まったのだろう。ふた昔前の女子大生風の彼女は半分透き通っていた。僕みたいな素人でも感じるような、一種の禍々しさと悲しみが醸し出されていた。

　幽霊がキョンシーのように両手を前に出す。するとかすかに空間が歪んだ。

　「おお、やるじゃないか。『快感フィールド』を呼び出せるとは。」大沢さんが感嘆する。

　「あ、あああ…いひゃあああ！」佐藤の体が宙に浮いた！スーツが引き裂かれ、ブクブクに太った醜い老体が露になる。その体の周りに薄い透き通ったピンク色の膜ができる。佐藤のペニスが激しく反応し、衰えた筈の機能が復活する。汚らしい液体が勢いよく佐藤のペニスから溢れ出る。

　「君にはいい見世物になってしまったな。これが『快感フィールド』と呼ばれるものだ。快感フィールドというのは、術者が強力な霊力を持続的に発現させ、敵を別の空間で包み込んでしまう技だ。性霊の中でもかなり上位の者しか使う事のできない、高度なテクニックだ。快感フィールドに捕まった敵は、全身に強烈な快感を感じる。あの空間の中は性感帯を刺激する圧力で充満しているからな。もちろん敵は只気持ちいいというだけではない。性的機能の衰えた者でさえああやって連続して射精させられているのだ。当然生体エネルギーはどんどん奪われてゆく。ついには衰弱死するという訳だ。」

　それを聞いていた佐藤はうろたえ、暴れだした。

　「あひゃあああ！！助けてくれえ！許してくれえ！死にたくない！今死ぬ訳には行かないのだ！わ、わたしには、もうすぐ二十歳になる娘がいるんだ。娘のためにも、今死ぬ訳には行かないんだあ！た、頼む、この地獄を解いてくれえ！あ、あがあああ！」とめどなく射精し続ける佐藤。

　「娘、か。アンタ、父親としてまっとうに娘を育てるのに、そんな生き方で恥ずかしくないのか！ええっ？！」大沢さんの怒りの表情を初めて見た。

　「わたしが悪かった！娘の為に生きようとして汚い事を一杯して来た！わたしはこれから先何でも償いをする！だから、娘の為に、こ、ころさないでえええ！！！！」佐藤は半泣きになっている。

　と、突然快感フィールドが切れた。ドズン、と巨体が床に投げ出される。

　西沢さんの姿はまだある。エネルギーが切れた訳ではないみたいだ。

　「…。この男を許すというのか？」

　「あ…ワ…わた…し、センセ…」

　「！」黙っていた西沢さんの霊が、たどたどしくしゃべりだした。

　「見ろよ佐藤。西沢さんは、自分を殺したあんたを恨みながら、心のどこかでまだあんたを愛していたんだ。それに２０年の時が経ってしまった。あんたにも娘がいる。時代も変わり、立場も変わった。彼女もその事を考えてあんたを許したんだよ。」

　「あ…ウ…ぅぅ…うわあああああああああああ！！！！」

　佐藤は裸のまま、その場に泣き崩れた。それを見て、西沢さんの霊は、しずかに、ゆっくりと、消えて行った。その横顔に光る涙があるようにも見えた。

　「さ、これで一件落着だな。」

　佐藤にコートを投げてやり、僕達は教授室を後にした。

　「佐藤はこれで反省しただろう。自分の罪を公言し、学校を去る事になるな。だが、その先に待っている償いの生活と、彼の娘に恥ずかしくない生き方が、彼を満たす事になるだろう。そして西沢さんの霊も満たされて自己浄化したから、君のアパートに幽霊が出る事ももうないだろう。」歩きながら大沢さんが言った。

　「…。ありがとうございました。」

　「でもなんか悲しいわね。２０年前のでき事だけど…。」

　「ま、あまり人の事に口出しはしない方がいいけどな。俺はこれでよかったと思っている。愛にも色んな形がある訳だし。西沢さんが佐藤を愛していたから、２０年経った今、やっと解決する事ができたんだ。もし恨みだけだったら、恐らく彼女は佐藤を殺し、そして事件は永遠に解決されなかっただろう。」

　「…解決されない？どういう事ですか？」

　「恨みだけの霊が恨みを晴らす事は決してできない。憎しみを外に出したらすっきりするかい？憎いヤツをぶん殴ってそれで憎しみを消せるかい？逆さ。却って憎悪がもっと激しくなる。それと同じさ。もし西沢さんが佐藤を殺したら、俺は…もはや魔物と化して人格を喪失していたであろう彼女を、強制的に地獄に送らなければならなかった。」

　「…。そうでしたか。」

　「…そうね。これで良かったのかも知れないわね。」

　「さ、仕事も完了だ。俺達はこのまま本部に戻る事にしよう。」

　「えっ、もうアパートには行かないんですか？」

　「元々あたし達は依頼を受けてあそこに仮住まいをしていたんだから、荷物も何にもないの。まっすぐ性霊バスター本部に帰るわ。」

　「そう、ですか。」僕達はアパートの前に立った。

　「お別れだな。」「短い間だったけど、楽しかったよ。」

　「…はい。どうもありがとうございました。お二人ともお元気で。でも、また会えるといいですね。」

　「はっはっは、俺達にまた会うという事は、また性霊に苦しめられる事になるんだぞ！」

　「あ、それもそうですね。」

　「うふふ。じゃ、あたし達はここで。」

　「はい。さようなら。」

　「さらば。」「バイバーイ♪」

　こうして僕は大沢さん達と別れた。石川にバイクの弁償をさせる事を忘れていた。思い出したのは部屋に帰ってからだった。でも、もういいや。大切な思い出ができたんだから。

　それから数日。

　朝起きて、ご飯を食べて、新しい校舎でよく分かる授業。夕方に帰って来て、読み古した雑誌に目を通したりして、夜に寝る。何の変哲もない一日。ごく平凡な毎日。誰もが過ごしているような、当たり前の日々。

　アパートは修復され、寝室が僅かに広くなった。費用はすべて大家持ち。過去を隠してたんだからという事で責任を取ったのだろう。

　地方の朝は特に寒かった。日差しのまぶしさが、目覚ましの要らない習慣に僕を変えてゆく。

　何もない。普通の大学生活だ。これでよかったんだ。先日までの奇妙な体験が、恐怖の記憶が、日常の平凡さでかき消されて行った。

　あれから一ヶ月。

　大学生活にも大分慣れた。男女半々位の割合で大学生達が入り混じっている。友達もそれなりにできた。

　一連の事件がちょっとしたニュースになった事とか、佐藤博之が事情聴取を受けて大学を去った事とか、そういうちょっとしたゴタゴタも薄らいで行った。

　もう幽霊に対する恐怖心だとか、この部屋で自殺があった事とか、気にならなくなった。慣れてしまえば都なのだ。

　アパートには古びたお札が貼ってある。大沢さんが貼って行ったものだ。これを見る度に、改めてあの奇妙な体験を思いだす。そうしないと思い出せない位あの事件は僕の中ではウェイトを占めなくなって来たという事だ。日常の平凡さと楽しさが、過去をぼやけさせる。

　それでよかったんだという思いと、なにか物寂しい思いで複雑な気分だ。玄関先で風に震えるお札を見ながら、夕方の冷たい風を受けていた。

　さて、夕飯は何にしようかな。こんな所で突っ立っている訳には行かない。

　それにしてもこのアパートは現在実質的に僕だけがいる状態だ。隣の子は引っ越してしまったのか、物音一つさせない。あれから会ってもいない。旧校舎で誘惑されてから、今でも僕はあの子が気になっている。学校に行っても彼女を見つける事はできなかった。

　…待てよ。…。

　玄関のドアを閉めた時に、戦慄が走った。考えたくない事。認めたくない事。いや、もう気づいていた事かも知れない。只認めたくなくて、現実から目を逸らしていただけなのかも知れない。あの子も…一人の性霊だったのではないか。

　いや違う！信じたくない！好きな子が只の幽霊だなんて…

　切なくなって夕飯を作る気力もなくし、畳の部屋にごろりと横になった。いつか会えるかも知れない。幽霊じゃない、生身の彼女に。あー、そういえば彼女の事は大沢さん達には言わなかった気がするな。だって性霊じゃない…から…ね。多分。

　考えるのはよそう。

　夕食は簡単にカップラーメンで済ませた。明日は学校は休みだ。何だか眠いので今日は寝る事にしよう。テレビもローカルな話題とニュース位しかやっていない。ふああ…

　今夜は風の強い日だった。

　次の日。お昼近くに目が覚める。ちょっと寝過ぎたかな。体がだるい感じ。いつもは朝早く目が覚めるのに、今日はずいぶんと遅くまで寝ていた。疲れていたのかな。

　水を一杯飲む。少し楽になる。さて、今日は何をしようかな。

　特にやる事がない。暇だ。畳の部屋で横になる。退屈だと若い男は性欲が出る。エロ雑誌でも見て抜いて置くかな。でもコレ見飽きてるんだよね。

　「…。」

　今まで考えもつかない事だった。一ヶ月前の事件をネタにするなんて。いや、正確に言えば、僕はあの事件を、恐怖体験を、できるだけ早く忘れようとしていたんだ。日常生活の波に飲まれて、過去をなかった事にしたかったんだ。だから性霊達の誘惑と目くるめく快感の体験を思い出しながらオナニーするなんて思いもよらない事だった。

　僕は禁断の領域に踏み込んだ。お風呂で二人の女性に挟み込まれた事、インターネットをしていてアニメの世界に引きずり込まれた事、旧校舎で女子学生達に代わる代わる犯された事。下校中にあらわれたドリアード達。そして…隣の部屋に住んでいた気になるあの子…旧校舎での声だしちゃだめゲーム。なぜか今でもあの時の事を鮮明に思い出す。

　僕は連続で二回射精した。一回イッただけでは物足りなかった。それだけあの体験は僕にとって強烈だった。どうなるか分からない恐怖が伴っている時と違って、オナニーに限定すれば安心して抜く事ができた。西沢さんの事も、不謹慎だと分かっていても興奮できた。メッセージの為とはいえ僕は西沢さんにも何度となく射精したんだっけ。

　でもさすがにオナニーだけで一日を潰す訳にも行かない。疲れるし。

　自転車で遠くに出かける事にした。まだ新しいバイクは買っていない。チャリだと下りはいいんだけど登るのが大変。早くバイクが欲しい。アルバイトでもしようかな。

　玄関を出る。太陽はまだ高い。暗くなる前に、隣町までは行かれるだろう。と、玄関のお札がない事に気づいた。昨日の強風で飛ばされたのかも知れない。

　隣町で大きな雑貨屋や本屋があるのを新たに発見した。今度からここに来よう。雑誌とか漫画を買い込んで帰宅。これを読みふける。霊除けのお札が飛ばされても特に変化はなかった。やっぱり西沢さんがこのアパートに性霊達を呼び込んでいたので、西沢さんの件が解決してしまえば自縛霊の様になっていた他の性霊達も退散したという訳か。ますます安心だ。

　インターネットで大学のホームページを見る。「夜鵜教授の生物学、明日休み」とある。あ、そうか、授業休みだったっけ。って事は明日も僕は学校に行かないで済むんだ。明日は生物だけだからね。あーそんな事なら一気にマンガ読み切らなきゃよかったな。

　気がついたら午前一時。そろそろ寝るかな。ちょっと疲れていた上に隣町まで自転車を走らせていたので、ぐっすり眠る事ができた。

　次の日は１０時前には起きられた。テレビをつける。

　「ニュースをお伝えしまつ。なんか十無がサイトの小説の挿絵とか欲しがってます。書いてくれる人募集しようかどうしようか迷ってます。てか自分で描けー（＾皿＾；）。次のニュースです。こともあろうに十無が●法先生●ぎ魔！のパロディーをやりたくてウズウズしてます。ショタクエ２になるらしいです。その前に予定を埋めろー(@��@ .:;)ﾉｼ」

　「…なんだこのニュース。ふざけてるの？他のチャンネルは何をやってるかな。６ちゃんねるは…」

　ブツッ！僕がリモコンを探しているとテレビ画面が切り替わった。スピーカーから小声で「なんだと」と聞こえて来た。

　「え…。」

　一体どういう事だ？僕が口に出しただけでチャンネルが６に切り替わっている。まだリモコンに触ってもいない。リモコンは座布団の下に入っていた。きっと気づかないうちに押してしまったんだろう。

　６ちゃんねるも地元の店紹介か何かでつまらない。ローカル局が集まる地方の事だから中々いい番組が見つからない。

　「１４ちゃんねるはどうかな？」

　ブツッ！まただ。声に出しただけで勝手に画面がその局に切り替わる。今度はリモコンは僕の手にしっかり握られている。無意識の内にボタンを押したのかな…。

　玄関のお札が剥がれていた事を思い出してちょっと恐くなった。まさかと思うが…。
　

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