ショタコンクエスト4


(サラの剣で戦う)


 僕はリルカをほとんど力を入れないで投げ飛ばした。今魔力が自分の体に充満していてそれを物理的な力に変える事ができるみたいだ。普段は絶対持ち上がらないけど今ならサラの両手剣を振り回す事ができそうだ。それに…サラをひどい目に合わせた奴らはサラ自身の武器で倒す。

 僕は床に落ちている両手剣の柄を掴んだ。「!!  い、いけない…ルカ!」サラが声をくぐもらせる。

 「うっ」サラの剣は思ったよりもずっと重かった。リルカを投げた僕でもこの剣を持ち上げられない…いや、さっきリルカを投げたせいで魔力が落ちたのか?

 両手剣の柄を掴んで持ち上げようとしたが柄の部分が僅かに上がるだけでものすごい重量が僕の全身にのしかかって来る。こ、こんなのをサラは振り回してたのか!「ぬおおお!」僕は渾身の力と精神力でやっとの思いでサラの剣を持ち上げた。それでもミニスカの前で両手でガッチリ剣を持ち、腰でやっと支えている状態だ。体がふらつく。ちょっとでも力を抜けば剣の先が床についてしまう。これを10センチ位持ち上げるだけで腕が痺れ始めてしまった。

 そう、僕は思い違いをしてた。リルカを投げ飛ばせたのはもちろん魔力のお陰もあるけど足を引っ掛けてその勢いで投げられたんだ。サラに習った、テコの原理ってヤツだ。でも剣を持つとなると話は別だ。強い筋力でこの剣を体全体で支えながらなおかつ素早く振り回さないといけない。相当の腕力、瞬発力、持久力が要求される。ちょっと魔力が出た程度の僕には…剣術の訓練をしていない僕には手に余るものだった。ましてや習得が難しいと言われている両手剣だ。

 「はっはっは!なんだいそのヘッピリ腰は!おまえ、いきなり両手剣を扱えるとでも思ってたのかい!しかもサラ専用の両手剣は他の両手剣戦士の武器よりもずっとデカイ。文字通りそいつはサラにしか扱えないんだよ!」リルカが勝ち誇っている。

 「いけない…ルカ…逃げ…」「ハン!サラの剣で報復しようって思ったらしいが…残念な誤算だったなあ。」「くっ…か、神様…僕に力を…ぅ、ぉぉぉおおおおおおお!」「むっ!?」僕の周りのオーラが強くなった。

 なんとなく分かった。こんな重い両手剣を華奢なサラが滑らかに扱っていられるのは、サラの筋力だけじゃなくてさっき僕がやったみたいなテコの原理を使ってたんだ。勢いで振りかぶる。力任せじゃなくて物理法則を最大限利用してたんだ。リルカへの憎しみが僕に力を与えた。

 「うあああああああっ!」僕は一気に渾身の力を振り絞って頭上に両手剣を振り上げた。後ろに倒れてしまわないように足を踏ん張って、前に倒れこむように剣をリルカめがけて振り下ろした。力を使ってというより重力が剣を引っ張るに任せて落としたと言った方が近い。僕の小さな体が剣と一緒に倒れ込み、まるで剣に引っ張られて持ち上げられてしまったみたいに足が後ろに滑る。

 「ふん。そんな眠っちまいそうなトロい動きで私に当たると思ってんのかい?」リルカはスッと横に動いた。両手剣はリルカの皮一枚横を”落ちて”行った。ズシ〜ン!両手剣が床に突き刺さる。その勢いで僕は前につんのめってしまった。「ハイッ!」そのスキを突いてリルカが棒を僕の鳩尾に突き立てた!「グフッ!」全身に激痛が走った。そのまま僕はリルカの胸に倒れ込んだ。

 「残念でした。」リルカは床に刺さっている両手剣を蹴り、二度と僕の手が届かないような場所に遠ざけた。ビキッ!鳩尾に嵌った金属の痛みとは違う鈍い痛みが全身を駆け巡る。リルカは僕を突き飛ばした。華奢な体がベッドに倒れ込む。「い、痛いよぅ…」「痛い筈よね。いきなりそんな重いものを振り回しちゃあ、全身の筋肉は断裂。もう力は入らない筈よ。それに加えて私の棒術の餌食になったんだからね…」「ぅぅ…」「ルカ…」心配そうにサラが声を詰まらせた。

 リルカの言った通り全身に力が入らなくなっていた。全身を覆っていた魔力のオーラも僕の戦意喪失で消えてしまった。金属の棒が鳩尾を打ってから全身の内臓がかき回されているような痛みが走っている。僕はベッドの上で悶え苦しんだ。

 「ふふ…私はほとんど力を入れなかったのよ。本気で突いたら死んでしまいますもの。そこは人間の急所。軽くつついただけで簡単に戦意を喪失させられる。これが忍者の戦い方よ。」「うー…」「心配しないで。すぐにその痛みは治まる。それに…私達が和らげて上げる。すぐに痛みなんて忘れさせてあげるわ。さあ!」

 リルカが合図するとメイド達が僕に群がった。力が入らない僕の手足を押さえ、次々と服を脱がして行った。「うあ…やめ…」ミニスカートが捲くられると萎えたペニスが顔を出した。パンティはさっき脱がされたままだった。「面白いからそのスカートだけは残しておきなさい。」「はい、リルカ様。」

 ほとんど抵抗できないまま僕はミニスカ以外裸にされた。その小さな生地もお腹の辺りに捲くられてしまって下半身も露出されている。ペニスは恐怖と鳩尾の痛みで萎えたままだ。メイド達は痛みの元である鳩尾部分をスベスベの手で優しくさすり始めた。「痛いの痛いの飛んで行け〜♪」「白いの白いの飛んでイケ〜♪」メイド達はリルカの許可なしにペニスに触れる事はなかった。でもそれ以外の部分、特にお腹部分が優しく看護されている。

 痛みとくすぐったさが混ぜこぜになってヘンな感じだ。でもペニスが疼く事も興奮する事もなかった。不思議とお腹の痛みが急に引いて楽になって行くのが分かった。この痛みは本当に一時的だったんだ。

 「んぎー!んぎーー!!」奇妙な声。「ふん。猿轡か。それなら魔法使いを目覚めさせる事もあるまい。好きにするがいい。」リルカがサラの方向を見ている。「サ、サラに何をしている!」ベッドにあお向けになってしまってサラの姿が見えない僕はリルカを睨みつけた。「さっきの続きだよ。私の部下も楽しみたいってさ。」「くそっやめろぉ!」

 「げっへへへ…」「おいおい、ゴッツイ体かと思ったら、思ったより…」「あぁ、出るとこ出て締まる所締まって、それでいて細くてシミ一つないぜえ。」「コイツは上玉だ!真っ白な雪のようだ!」「お、俺っちから行っていいかなっ!?」「てめえは最後だ。」

 「おい、野郎ども。まずは前戯で濡れさせてからじゃなきゃあ、挿入もできねえよ。無理に入れてもチ●ポが痛むだけだぜ。その位は覚えて置け。」「ヘイ、合点ですリルカ様。」上機嫌な男達の声が聞こえる。何かを剥ぎ取る物音、サラの声にならない叫び、残酷に見つめるリルカの視線。何が行われているかを見る事はできないけどその音だけで何が起こっているのか把握できる。

 「クソ!サラを放せ!止めろお!」僕は入らない力を振り絞って手足をばたつかせた。メイド達の手を振り解いてはまた捕まる。仰向けの状態では何もできない。僕はひざを立て最後の力を振り絞って立ち上がろうとした。メイドの一人にパンチを食らわしてやる。

 「ふん、痛い目に合ってもイキのいいぼうやだ。そうでなくちゃあいけないよお。その男前のパワーが将来の絶倫を生み出す。これからそのエネルギーをすべてオスの液に還元して私達に提供してもらうんだ。楽しみね。」「リルカぁぁぁ!!」「ふん。また変な魔力を纏われると厄介だな。コレは使いたくなかったが…」

 リルカが小さな筒を取り出し、笛を吹くように口にくわえた。「フッ!」「っつ…」首筋に小さな痛み。針が刺さったみたいだ。「コレはくのいち秘伝の痺れ薬だ。吹き矢と同じ要領ね。小さな針が首から血管に入ると血液で溶け、全身を痺れさせる。もう抵抗できないわね。」「ぅ…。」段々口も利けなくなって来た。「この薬、意識と性感以外は動かなくなる。男の忍を倒す最終手段で使うものだけど…そろそろ効いたかしら?」

 僕はぐったりしてしまった。罵声を浴びせようとしても声が出ない。体に力が入らない。

 「!」メイド達がペニス以外の全身を再びさすり始めた。さっきまでの愛撫以上に僕の性感が激しく反応する。どこを撫でられてもくすぐったさと快感だけを感じる。しかも力を入れて身悶えする事も快感のあえぎ声も出せず脱力したままダイレクトに快感攻撃を受けてしまっている。

 しなやかな指先が僕の足の裏をくすぐっても体を動かせず力も入れられないで100%性感の刺激を受けてしまう。「どお?さっきよりずっとイイでしょ?普通は快感に対しても痛みに対してもニュートラルに戻そうとする反射神経が働くんだけど、その神経が眠ってる状態だからものすごい快感の筈よ。しかもこの薬は性感以外の神経を眠らせるから快感以外を感じない。」

 ぐにっ。強くわき腹をリルカがつねる。でも全然痛くない。そしてメイド達の手のひらの柔らかさとスベスベ感だけを感じ続けた。「さあ、聞いてご覧。もうサラの方から奇妙な呻きも聞こえないでしょう?」「…。」サラが気がかりだ。でも声を出す事もできず僕は口をパクパクさせるだけだった。

 ゴソゴソという僅かな物音と荒い息遣いだけが部屋の片隅から聞こえて来る。一体何が起こっているんだ…。サラ…無事なのだろうか。うあっ!メイド達の手のひらや指先や舌が体中を這い回りくすぐったさに我を忘れそうになる。快感がすべてを鈍らせた。しかも身動きを取るなどの反応もできないんだ。わきの下をくすぐられても脱力したまま…

 「ふふふ…苦しいの?それは快感に抗おうとしてるからよ。全部身を任せてしまえば楽になれるわ。さあ、もう全部忘れてしまいなさい。」リルカが服を脱いだ。それを合図にメイド達も交代で脱ぎ始める。このままこの女達の誘惑に負けて興奮してしまうのか…い、いや!せめて立つ事だけは避けたい。簡単にリルカ達の軍門に下る訳には行かないんだ。

 僕は必死に気合を入れてぎゅっと目を閉じ半立ちのペニスを鎮めようとした。リルカがベッドに乗っかり、四つんばいになって僕を見下ろす。「ルカぁ…サラの上には4人の男達が乗っかってるわよぉ?」「…。」「クスクス…萎えて来た萎えて来た。頑張るねえ。そしてルカの上には4人の美女が乗っかるのよ?すごいでしょう。…ん、ちょっとオチンチンが反応したね。ココは”楽しみだ”って言ってるよ?」

 僕は…なんて情けないんだ。サラがまさにひどい目に遭っているのに…その最中に体が快感を楽しもうとしている!だめだ、絶対こいつらの快感攻撃に我を忘れては…!

 「前にも言ったわよね。私は抗う男をこの肉体で陵辱するのが何よりも好きだって。くくく…ジワジワと落としてやるよ。…手を離せ。」リルカの合図でメイド達が離れた。「ルカぁ!目を開けなさいよ!」「…。」誰が裸の女なんか見るものか。「あっそう、目を開けないとサラが大変な事になるよ。」ぱちんと指を鳴らす音。「んぎー!」「噂は本当だな。首を締めるとアソコの締りがよくなるぜ。」

 サ、サラっ!僕は目を開けた。「そうそう、そうやって素直に言う事を聞いてればサラは苦しまない。…止め。」リルカの合図でサラのくぐもった叫びが収まった。お前達は…本物の悪魔だ!声が出せたならどんなにこの暴言を吐き掛けたいだろう!

 僕はリルカを睨みつけた。その視線にリルカ達はふくよかなバストで応えた。「よく見てご覧。私達の体。」リルカの顔半分がおっぱいに隠れているけどその先から冷たい微笑をたたえた目が僕を見下ろしていた。「美女四人に囲まれてうれしいでしょお?」リルカ程グラマーではないけど3人のメイド達の白くて綺麗な肌が見える。仰向けの僕の周り四方向から大人の女が自慢の肉体を僕に見せ付けていた。

 ペニスが反応し始める。目を閉じればサラがいじめられる。僕は憎しみを込めてペニスの反応を抑えた。もうこいつらの体を見てもなんとも思わねえ。「あら。そんなに私達が憎い?そうよねえ。愛するサラを陵辱してるんだから当然。さぞ悔しいでしょう。くく、そんな悔しさをも快感でねじ伏せてあげる。たまらないわ!」

 リルカはサディストなんだ。僕が嫌がる事を徹底的にやっておいてそれを丸ごと自分の肉体で飲み込んで、女体の生み出す快感で僕の身も心も包み込み自分の虜にする…これがリルカが一番喜ぶ事なんだ。こっちが頑張れば頑張る程リルカを興奮させる。一体どうすれば…

 僕にできる事は快感の虜にならないようにひたすら抵抗する事だけだった。しかし抵抗すればリルカを興奮させてしまう。こうなったらリルカがどう頑張っても僕が快感の虜にならない位頑張るしかない。これは僕とリルカの精神力の勝負なんだ。

 「ふふ…」そんな僕の考えを見透かしているみたいにリルカが妖しく微笑む。「膝枕よ。自分のオチンチンがよく見えるようにして差し上げなさい。」「はい、リルカ様。」頭上にいたメイドが僕を抱き上げて正座した自分のふとももの上に頭を乗せた。Bカップと優しい微笑が僕の真上に来た。

 ふわあっ!いきなり下腹部が柔らかい感触に包まれた。下を見るとリルカの巨乳が僕の腰周りにぐにっとのしかかっていた。リルカのおっぱいは華奢な僕の腰全体を包み込み、圧迫している。そして得意げな微笑が僕を見上げていた。

 「どお?お姉さんのおっぱいは。柔らかい重圧でしょ。ふふふふ…ペニスが私の胸の肉の中でもがいてるわよ?どんどん大きくなって来たね。」くっそ、こんな事で…でもリルカの胸の感触が僕の下半身を包み込み、重くのしかかっている。いきなり女体の中でも特に柔軟な肉の塊がペニスを圧迫してジワジワと快感が送り込まれては反応しない訳には行かなかった。

 左右のメイドが僕の上半身をスベスベと撫でながら乳首を舌先で転がし始める。膝枕のおねえさんはやさしく僕の頭を撫でる。くううっ!僕は快感に負けないように精神を集中させた。半立ちのペニスが膨らんだり萎んだりを繰り返した。「戦ってる戦ってる。かわいいねえ。胸の肉に亀頭が突き刺さったり離れたりしてるわよ。」軟体動物のようにグニグニと蠢くペニスをリルカは楽しんでいるみたいだった。

 ピクッとペニスが膨らんでは僕の気合で脈打ちながら萎える。しかし女体の重圧が絶えずペニスを包み込んでいる中では膨らむ度合いの方が萎える度合いを超えていて、ペニスは段々大きくなって行った。このまま負けてしまうのか…悔しい!

 「いいねえ、その表情。その顔が見たかったのよ。そして…うりうり♪」突然リルカが上半身を左右に揺り動かし始めた。おっぱいが僕の下半身を左右に滑ってゆく!ペニスは柔らかい肉の重圧に加えてスベスベした肌触りに翻弄された。

 さっきまではリルカも動かずにペニスに胸を被いかぶせただけだったから何とか抵抗もできた。それでもジワジワと快感が高まりペニスは半ば勃起しかかっていた。そのタイミングで一気におっぱいが蠢き、僕の全身を快感の渦にいきなり叩き込んだんだ!

 抵抗しつつ負けそうな気配に悔しくなった段階で僕のプライドも憎しみも全部リルカのおっぱいが削り取ってしまった。ペニスは大人の女性の体で完全にいきり立ってしまった。「はあっはあっ…」「息も荒くなって来た。感じてるのね。」リルカが上半身を上げた。そしてペニスを巧みに胸の谷間に収めると左右から乳房を真ん中に寄せ、ぎゅうっとペニスを圧迫した。

 「勃起しても私の指位の大きさ。それなりの巨根の男でも私のバストにすっぽり飲み込まれてしまうけど…ルカのじゃあ完全に埋没してしまってるわね。」さっきよりもじわっとした快感がペニスを刺激している。そんな…胸の谷間に挟み込むなんて!

 「これが”パイズリ”よ。又の名をポンパドール!気持ちいいわよ!それっ!」リルカは両手で自分の胸を上下に大きく揺らし始めた!ペニスが胸の谷間でしごかれている!柔らかさ、スベスベ感、どれを取っても快感しかないおっぱいがペニスを完全に包み込みながら上下に激しく擦り続ける。快感に身をよじらせたいのに脱力したままダイレクトに甘美な乳房の感触を送り込まれている。

 「さあっ!ドクドクと吹き出してお見せ!」シュコシュコと肌の擦れる音がペニスを高める。メイド達がさらに僕の上半身を抱き起こした。「さあルカ様、ご自分がイク所をじっくりご覧下さいませ。」メイドの一人が優しく囁くと僕は声一つ立てられずリルカの胸の中で射精し始めた。

 「あはっ!ビクビク言ってるよ!」リルカの胸の谷間に小さな白い池ができ始める。マグマのように谷間の奥から噴出した精液が谷間のてっぺんに溜まる。メイドの一人がそれを丁寧に拭き取るとリルカが僕から離れた。「さあ、ルカを綺麗にして差し上げなさい。」「はい、リルカ様。」

 別のメイドが僕の下半身ににじり寄って来る。萎え始めたペニスに顔を近づけた。そしてやさしく亀頭から根元までゆっくり口の中に含んで行った。唾液が精液と交じり合ってぬるぬるとペニスに纏わりつく。舌が棒部分のあちこちを這いまわりながらゆっくり口を上下させて来た。

 メイドの温かい口の中はペニスを掃除する目的だけじゃなかった。僕を萎えさせないように高める目的もあった。ゆっくりと、噛んで含めるような甘美な動きが衰えたペニスを元に戻す。口の中でそれを察知したメイドが離れると、別のお姉さんがペニスに纏わり付いた唾液を拭き取った。ペニスが萎えないようにメイド達は玉袋や亀頭を指先でコロコロ愛撫し続ける。我慢汁が鈴口からにじみ出る。

 「用意が整いました、リルカ様。」「フフ、いよいよこの時が来たのね。ルカぁ。ここからが本番だよ。」リルカが僕にのしかかり始める。小さなペニスがリルカに向かってそそり立つ。「ヒクついてるわ。これがお前の”男”の姿。これから快楽の中で自分の敗北を噛み締めるがいいわ!」

 ちゅくぬ…先っぽに大人の女性の花園が触れる。リルカはじらしながらペニスを自分のオンナにどんどんねじ込んで行った。「臭い大人よりもカワイイ突起をいたぶる方が感じるの。くくく…こんなに溢れてる…」ペニスがリルカから滲み出た液体で濡れて行く。もうダメなのか…僕は恐怖と戦慄と敗北感を味わいながらも、心のどこかでこれから起こる悦楽にときめいていた。

 ぐぐぐ…大人の体重が僕の華奢な腰にのしかかり、砕けそうだった。でもそれと裏腹に快感がどんどん強くなってゆく。ぷちゅ。いやらしい音を立ててついにペニスが大きなオンナの中にすっぽり包み込まれてしまった。

 「うわあっ」そのとたん強烈なくすぐったさが股間から全身に広がった。下腹部が途轍もなく熱い。熱い肉の塊がペニスを周りじゅう満遍なく包み込み、圧迫した。引きちぎられてしまいそうな、それでいて締め付け方がやさしかった。

 そのままの体勢で微妙に蠢くリルカの体が僕を高めて行った。リルカが呼吸をするだけでペニスの圧迫の仕方が変わり、それが僕の頭を真っ白にする。「くくく…気持ちいいでしょ?これがセックスだよ。」き、気持ちいい…でも…こんなものがセックスだなんて。裏切りと残虐の代償がこの快感なのか。

 「余計な考えは捨ててお仕舞い。いいかい?セックスは勝者の誉れ。世の中には生殖の闘争に敗れてこの快楽にありつけない男なんて五万といるのさ。敗北者を踏みにじり、邪魔者を排除しなければこの甘美は得られぬ。よく覚えて置くんだね。」「くっ…ち、ちがう…なにかが…」

 「ふん。まだその年じゃあ、清楚な夢でも見ているんだろうねえ。男と女、その実態は欲望の取引でしかないんだ。どんなに愛し合っていても、他の男が金を持ってる、カッコイイ、生活が安定してる、そう思ったらあっさり乗り換えるのが女さ。結婚する女が直前まで他に男がいて、そいつを捨ててその足で式場に向かうのも珍しくはない。捨てられた男は次の女を見つけられずに延々と嘆き悲しむ事になるのさ。老いるまでね。その反面ゴールインした女は幸せな家庭を築く。男達の絶望と心の屍の上にだ。それが恋愛と結婚の実情。お前も男ならもっと女の本性を知っておく事だ。」「ぅぅ…」

 「それに!そんな女達を責められる男はいない。男は男で金の力、組織の力、場合によっては腕の力で女を騙し、ねじ伏せ、甘言を弄しては内実は今お前がしている事しか頭にない。お前が感じている快楽の為にどんな手も使い、男を蹴落とし女を騙す。キレイ事を言っても結局は同じさ。そんな男と女の関係なんて、只の”取引”でしかないだろ?」「ち、違…」「どう違うか説明してみなさいよ。」「うう…」

 悔しいけど何も言い返せなかった。何かが間違っている。でもどう間違っているのかわかんない。「それに大半の男は女を陵辱して泣き叫ぶ声を聞くと興奮する。力づくでレイプする事が男の願望なのさ。女を肉便器にし、奴隷にし、性欲処理の道具にする妄想が男を喜ばせる。それが実現しようものなら大抵の男が血湧き肉踊る思いをするものさ。そう、そこのサラにのしかかる汚い虫どものように!」

 「違う!そんな事…」「ないって言うのかい!」「だって…くうっ…この僕はそんな汚らしい事なんか喜ばないぞ!サ、サラ…」「ふうん。でもルカぁ。今アンタはその汚い事を悦んでるじゃないか。ココが正直に反応してるよ?」「うう…」「いいねえ、その目…。じゃあ、お前が汚い快楽を厭うって証拠を見せてみなさいよ。こんな事が嫌いなら萎える筈よねえ…この私の中でさ。…そおらっ!!」

 ずしゅっずしゅっといやらしい音を立てながらリルカが激しく上下に動き始めた。これまでペニスが生暖かい肉に包まれてモゴモゴと強くやさしく揉まれ続けていて、どんどん僕の理性を奪っていたのに、さらに加えて壷が激しく上下運動をして来たんだ!手でやさしくしごかれるのとは違う、ゴム毬を万力で押し付けていくような、そのままぎゅっぎゅっとペニスを下から上に絞り上げ、中に溜め込まれている粘液を押し出そうと待ち構えているんだ。

 「ほらほらっ!全然萎えないじゃないの!それ所かどんどん大きくはちきれそうよ!キレイ事を言ってもしょせんお前も男だ!」「い、いやだああ…」僕は頭を抱えて快感に抗った。「そんな事をしても無駄だよ!お前はもう射精するしかないのさ。おのれの欲望と醜さを噛み締めながら絶望の中で果てるがいい!」「くうう!」

 「ふふふ…ルカ〜…」リルカの動きが変わった。激しい上下運動をやめ、リルカはゆっくりなまめかしく腰をくねらせながら前後左右にペニスをこねくり回し始めた。さっきまでの力任せのしごき攻撃から、女らしいしっとりした動きになった。前後左右から肉の壁がペニスを揉みしだき、やさしくいとおしむように僕の下半身をむさぼって行く。

 「そろそろ出そう?いいよ、自分のふがいなさを快感に変えてお姉さんを妊娠させなさい。」「ひっく…んああ…」「うふふ…絶望して果てるのも悪くないわよお…自分の小ささを受け入れた代わりに悦楽の日々が待っているんだからぁ。負け犬には負け犬の生き方がある。自分の現実を受け入れて周りに適応すれば楽に生きられる。正義だの愛だの主体性なんかにも縛られずに快楽だけを求めて生きて行くしかない自分を受け入れなさい。私がそうして来たように…死んじまえばそれで終わりなんだ。」

 腰のグラインドが僕の下半身をかわいがり続ける。お姉さんが優しく僕を見下ろし、僕の種を受け入れる準備が整っている事を知らせるような妖しい視線を投げかけた。「ルカ…来て。」「だっだめ…」僕は歯を食いしばって必死で抵抗した。堕落した人生なんて絶対にダメだ。リルカの言う事はサラと正反対だ。サラの言いつけの反対をやる訳には行かない。

 「まだ頑張るのねえ。必死になって忘れてるようだけど、私はそういう男の子を射精させる事が何よりも好きなの。知ってたでしょ?…これはどお?」腰が大きく前後に揺さぶられた。クネクネと前後するリルカの腰やおへそを見ながら僕は我慢の限界に達していた。

 「さすが王子様ね。信念は固い。倒しがいがある男と認めてあげる。これでトドメよ。」リルカは僕の細い両腕に手を突き体重をかけた。そして腰だけを上下させてペニスに最後の一絞りの仕上げを加えて来た。両腕を固められて身動きが取れないまま妖しい腰の動きに翻弄され、下腹部から全身に強烈な快感が押し寄せる。体の奥がくすぐったいような感覚になり、自分がイク事をいやがおうにも思い知らされる。

 「サ、サラ…ごめんなさい…」「サラの事なんて忘れて。私の事だけを考えるのよ!」「うぁ…リルカ…もう…」僕の目の前にいる美しき悪魔が僕の心を支配した。頭の中にリルカの姿が完全にインプットされ、リルカの事しか考えられなくなった。「ああっリルカ!リルカぁ!」リルカは僕の目をやさしく見つめながら僕の精液を受け入れ始めた。僕もリルカを想いリルカの為だけに自分のエキスを放出した。ビクビクと大きく脈打つペニスから自分の体細胞が次々飛び出すのを感じる。

 快感に翻弄されながらも射精が止まらない。精液が放出される度に全身に電撃が走るみたいに僕の体と心を魔の悦楽に堕として行く。射精する間もリルカの腰が止まらず玉袋に収納された体液を残らず搾り出し続けた。リルカの動きが段々ゆっくりになり、精液もすべて出尽くしてしまった。もう出ないのに射精の脈打ちだけがリルカの腰によって強制的に続けられる。スローダウンする動きが出し尽くす達成感をサポートした。

 ぬるり…リルカのオンナがペニスから離れた。熱い空間に閉じ込められていたペニスが一気に冷たい風に晒される。「ふう。ルカ。これで私達の勝ち。この瞬間お前は王位継承権を失ったのよ。」「く…」「でも安心して。あなたはそれでも王子様。将来王様になれないだけで一生を遊んで暮らせるわ。軟禁先の豪華なお城の中でね…ふはは!」「ぅぅ…」敗北感に僕は涙が溢れて来た。

 「安心しなさい。軟禁先でも望みのものが用意される。国の政に関わらなければすべては思いのままよ。食べ物も…女も。」リルカは得意になっている。僕は…リルカを妊娠させてしまったのか…。そしてこの国は…ガイゼルに乗っ取られるんだ。例え僕が何不自由なくこれから先も暮らせるとしても、それは貧困にあえぐ国民の犠牲の上に成り立つ事になる。僕は自分の無力さを心から呪った。

 「まだそんな顔をしているのね。いいわ、正義感だのくだらない足かせを取ってあげる。そうすれば何も考えず好きなように気楽に生きられるわ。この世の天国をもっと味わえば、お前も気が変わる筈。…お前達、ルカをおもてなしして差し上げなさい。」「はいリルカ様。」

 真っ白い肌の3人のメイド達が僕に群がった。リルカ程グラマーじゃないけど透き通るような柔肌を備えた全裸の美女三人が一斉に僕の全身をさすり始める。足元のメイドが萎えたウインナーを口に含み、舌先で亀頭をこねくり回しながら口をモゴモゴさせた。口の中はぬるぬるしていて、口をすぼめている為に狭くてあったかい。内頬や舌がペニスを揉み続けると柔らかい感触が全体に絡みつく。僕はまた元気を取り戻し始めた。

 やさしく上半身をさする手と、耳や耳の裏、首筋を吸い続けるぷるんとした唇が僕を興奮させている。控えめのバストが僕の顔を被ったりもした。「…万が一という事もあるからな。中出ししたから絶対妊娠するとも限らない。だが私達四人にぶちまければ確実だろう。ククク…」リルカが僕を見下ろしている。

 「さあルカ様、愉しみましょう!」フェラチオしていたメイドが僕にのしかかる。彼女の口で立たされたペニスが今度は下の口に翻弄された。彼女は僕の上半身を抱き締め、ぐりぐりとおっぱいを華奢な胸板に擦りつけながら腰を突き出して来た。「気持ちいいですか?もっと体を楽になさって下さいませ。」僕の上半身は頭の方にいたメイドと結合しているメイドに抱きかかえられ、僅かに持ち上げられた。二人に支えられ斜め45度で固定される。ペニスをむさぼる女体がスムーズに僕の体を前後に滑って行った。

 「くすくす…もっと気持ちよくして差し上げますわ。」「うっく…」「大丈夫ですよー?お任せくださぁい…」優しく語り掛けるようなささやきが僕の脳天を痺れさせる。足元に移動した一人のメイドが僕の小さな玉袋を優しくさすり始めた。「うふふ…ルカ様ぁ…おちんちんが出入りしているのがよく見えますよー?」玉袋は揉まれたりさすられたりして刺激され、下半身の快感を高め続けた。

 僕の体がどんどん持ち上げられ、上体を起こされる格好になった。僕とメイドは向かい合って座ったまま抱き合う。メイドが激しく上下に動くとおっぱいが上半身に擦れる。僕の首筋に回されたスベスベの腕が僕を包み込んで逃がさなかった。足元のメイドの指先が執拗に玉袋をこねくり回し、背中も控えめなバストがスベスベと這い回った。

 「ああっ…また!」僕はメイドを強く下から抱き締めたまま射精した。さっき出し尽した筈なのに執拗な快感攻撃で再び精子が体の中であっという間に生産されたんだ。玉袋のサポートが生産と放出のスピードを速めた。そして背中に張り付く女体の感触が射精してよいという安心感を僕に与えていた。メイドは腰を左右にくねらせながら、作られたばかりの精子を一匹残らず吸い上げてしまった。座位で抱き合っていたメイドが離れる時、きめの細かい肌がペリペリと僕に吸い付きながら名残惜しそうに剥れて行った。

 「ふふ…男の子ですもの。まだ頑張れますよね?」足元にいたメイドがうつぶせになって僕の方を見た。目を細めて誘う姿がセクシーだった。「さあルカ様。今度はお尻から入れてあげて下さいませ。」背中のメイドに促され、僕はうつぶせメイドのお尻に自分の腰を乗せた。うつぶせメイドは腰を前後左右上下にくねらせ、臀部の柔肌とふくらみでペニスを翻弄した。ムニムニと股間で蠢くお尻の感触がくすぐったい。ペニスが段々反応して行った。

 「半立ちで結構ですわ。残りは中で膨らませますぅ!」ぐいっとメイドがお尻を突き上げると僕の腰も浮いてしまった。後ろにいた二人のメイドが僕の腰を抱えてペニスをオンナにあてがう。四本の手が巧みに腰を下に押し付けるとペニスがうつぶせメイドの中に押し込まれて行った。

 「うふふ…ルカ様〜…好きよ〜…私の中にも出してぇ!」色っぽい声を出しながらメイドが腰を動かした。左右にクネクネしたり回転するような動きをする他に上に突き上げるような動作。上に突き上げられたお尻の肉が僕の腰をぷよんと浮かし、重力に任せてペニスが膣の奥に捻じ込まれる。

 僕はメイドのお腹に手を回し、ぎゅっと抱きしめたまま彼女のお尻とオンナの感触を愉しんだ。もちろん僕の頬にこすれる背中もスベスベで心地よい。僕の細い腰周りに大人の女のお尻が押し付けられては離れ、またグリグリと下腹部全体を臀部の肉でこねくり回された。

 「じゃあ私達は…もっとルカ様を喜ばせてあげる。」四本の手や指先が僕の玉袋や会陰、お尻の穴に群がる。二人のメイドの前に僕の下半身は無防備に曝け出されていた。ぐにっ。「あひっ!」細い指がお尻の穴に捻じ込まれた。「痛いですか?」「安心して下さい。すぐに気持ちよくなりますよぉ?」玉袋をくすぐりながら指先が無防備で敏感な性感帯をコショコショし続けた。

 お尻攻撃に加えてしなやかな指先が射精を促す。枯渇した筈の精液がまた急ピッチで作られ始めた。これが男の本能なのか。妊娠させるチャンスがある内に生殖細胞を作って置こうと言う機能が働く。その上に3人のメイド達の絶妙な連係プレイが僕の性感を残らず刺激し続けるんだ。

 「ああっ、おねえさん、もう…」「ルカ様!いっぱい注ぎ込んで〜!」下から突き上げるお尻が激しさを増す。僕は一方的に突き上げられて力を抜いたままお尻の感触を逃すまいと全神経をそこに集中させた。ぴゅるっ!!僕の腰が跳ねるように反応し、男のエキスを思いっきり子宮に注ぎ込んだ。精液の感触を味わったメイドのお尻が妖しくくねり、放出された精液をどんどん吸い取っていく。臀部のふくらみは精子を吸収する装置みたいにぷるぷると僕の腰に張り付いたまま蠢いた。

 股間が痛い。流石に出し過ぎて疲れも見え始めている。「ほらぁルカ様!まだ一人残っていますわよ?」「もう…痛い…」「なりませぬ。全員に出して下さい。」「いっいやだ…」

 メイド達は嫌がる僕を抱きかかえ、ムリヤリ起こすと羽交い絞めにしてしまった。残りの一人が四つんばいになってバックで近づいて来る。すらりと伸びた太ももとお尻が僕の下半身めがけて迫り来る!お尻が僕の腰にピタリと張り付くと左右にペニスを擦り始めた。股間にくすぐったさが走るが勃起には至らなかった。

 「男の子でしょ!もっと頑張りなさいよ!」メイド達の態度がどんどん変わり怖いおねえさんに変貌して行く。後ろで支えている二人のメイドが後ろから僕のペニスをしごきたてた。亀頭は四つんばいのメイドのオンナにこすり付けられ、棒部分や玉袋はやわらかい女の手にしごかれ続けた。

 「ふん。流石にそろそろ枯渇して来たか。」様子を窺っていたリルカが腕組みをして嘲笑した。「…手伝ってやるよ!」リルカがベッドに登った。後ろを二人がかりで支えていたがその内の一人が離れ、僕の左側に移動した。後ろはメイドの一人が存分におっぱいをこすりつけている。右側にリルカが来た。

 左側のメイドがペニスの根元や玉袋を愛撫する。そしてリルカは自慢の指先で僕のお尻の穴をこねくり回した。「お前達は房中術を一応習っている筈だが…西洋式だとこれが限界か。フェラチオとパイズリは発達したようだが、経絡の勉強はまだまだのようだ。」「も、申し訳ございませんリルカ様…」「いいだろう、教えてやるよ。お前達はさっきお尻に指を入れたが、あれじゃあ只入れただけだ。こう…指を上向きに入れる。」

 ずぬっ。やわらかい異物が僕のお尻に入って来た。さっきと違ってぜんぜん痛くなかった。「男が感じる経絡秘孔は…第二関節まで入れて第一関節だけクネクネさせた位置にある。前立腺の辺りだ。」グリグリとリルカの指が僕の中で蠢いた!「あぎゃあっ!」突然強烈な快感が全身を貫いた。「どうだ?このルカの反応を見よ。これが東洋のくのいち忍術の極意だ。これをやられると何度出しても男は射精する。」「さ、さすがリルカさまでございます。見る見る内に大きくなって来ましたわ!」

 四つんばいのメイドが一気にペニスを飲み込んだ。リルカの指の動きが止まった。メイドの腰が前後左右上下に激しくくねり、僕の下腹部をスリスリしながらペニスをかわいがり続けた。「ああっ、いやっ!」僕は腰を引いて脱出しようとしたがお尻がぐいっと奥に捻じ込まれてしまう。後ろのメイドが腰を突き上げ、僕が及び腰にならないように調節した。執拗に左右にこすれるお尻が僕をどんどん高めて行く。

 逃げようにも前後左右大人の女で固められてしまっている。メイドのおっぱいが背中を刺激し、指先が玉袋を揉みしだいている。バックで迫っているメイドが左右の動きに加えて前後に出し入れする。僕は妖しくグラインドする女の腰に手を突き、暴れるお尻を牽制しようとした。「そんなに…動かないで…」「だあめ♪」腰は僕の手などお構いなしに暴れ続ける。玉袋が快感と痛みでジンジンしている。

 「十分愉しんだだろう。そろそろ終わりにするぞ。」「はい、リルカ様。」メイドの腰が止まった。ペニスを包み込んだままオンナが精液を納めようと待ち焦がれている。ぐにぐにぐにぐに…「きゃああっ!」リルカの指が再び動き出した!ペニスを包みこむオンナの感触よりも内側から犯されるリルカの指が僕を狂わせた。

 性感帯を責められ、僕の体内では限界以上に精液を急ピッチで生産していた。生産スピードが”注文”にまるで追いつかない状態で気がヘンになりそうだった。「あうあっ!!」ぴるっ。少量の精液がペニスからこぼれた。精液は外に漏れる事無く残らず膣内に収納された。「少ないわっ!」ぐりぐりぐりぐりっ!!!リルカが強く前立腺を刺激した。

 作られたばかりの精液が休む事無く精巣に留まる時間もないまま即座にオンナに運び出される。一匹精子が作られてはそのまま外に搾り出されるような感じでひっきりなしにペニスが射精の脈打ちを続ける。「最後は量が少ないから徹底的に出して置かないと妊娠の確率が下がるらな。」「いっ痛いいいい…」

 暫くして僕はやっと解放して貰った。出し過ぎて顔が青ざめている。あお向けに横たわって何も考えられずに天井ばかり見ていた。下腹部の痛みが全身に広がっている。「心配するな。数日もしない内に復活する。また快感に突き動かされる体に戻るんだ。」リルカが冷たく見下ろした。

 「よし。これで我らの仕事は終わりだ。…おい、いつまでやってるんだ。」「へ、へい…」奥の方で男達の物音が聞こえた。「帰って報告だ。その後私とメイド達は地下に潜む。出産が終るまで誰にも会わない。妊婦を王の手の者が殺めないとも限らないからねえ…しょせん血の繋がった兄弟だからな…おっと、口が過ぎたようだ。帰るぞ!」「ははっ!」

 刺客達が出て行った。部屋は静まり返り、物音一つしない。僕は4人の女性に子種を注ぎ込んでしまった。徹底的に搾り取られて身動きが取れない。疲労と痛みで天井を見つめながら呻くだけだった。

 サラの方から物音がまったく聞こえない。サラ…一体どうなったんだろう。無事だろうか…。確認したくて力を振り絞るも、体に力が入らなかった。「サラ…」呼びかけても応答がなかった。僕はまた涙を流す。僕たちは完全に負けてしまったんだ。そう思うと悔しくていたたまれない気持ちになった。きっとサラも同じ気持ちだろう。だから何も言えないんだ…

 

 後日。僕は城に移された。サラは城を辞め、行方が分からなくなってしまった。うわさでは…あくまでウワサだけど…リルカと一緒にガイゼルのお庭番をしているかも知れないとか。僕の弱さは、サラの心まで荒廃させてしまったんだ。その自責の念で、僕は父に修道僧になる事を願い出たが、許されなかった。ガイゼルの手の者が僕を軟禁状態にしていたからだ。クーデターを恐れたガイゼルは僕が城から出る事を禁じた。父といえどもどうする事もできなかった。修道僧のふりをして復讐のチャンスを作ってしまう事は許されなかった。僕を外に出せば国が内戦状態になるかも知れない。僕よりも国民を大事にする父上はガイゼルの要求を呑むしかなかったのだ。

 せめてもと、僕は贅沢をせず妾も取らず結婚もせず、ひっそりと城の中で過ごす事を決心した。たしかに心を悪に染めて快楽を追い求めれば楽に生きられるだろう。でもそれで失ってしまう代償はあまりにも大きい。実際僕はサラを失い、国を乱した。もし神様がいるとしたら、国民が蜂起してガイゼルの権力を打ち倒す為の力を、人々に与えたまいますように。無力な僕はそう祈り続けるしかなかった。

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(魔法を使ってみる)


 たしかに僕は魔法の修行は全然していない。でもその原理は知っている。サラに読まされた古い本にも色々書かれていた。神の御遣いである精霊達と意識をシンクロさせて、かれらの力を借りてさまざまな作用を引き起こすのが魔法だ。火の精霊に意識を同調させれば火の魔法が、月の精霊に同調すればスリープや脱力の魔法が発動する。当然精霊に意識のレベルを合わせる為に強い精神力が必要だし同調後にかれらの力を借りる代償に魔力が必要になる。高度な精霊とシンクロさせれば高度な魔法が使えるけどその分こちらの精神力・魔力も強くないといけない。

 僕は魔力を僅かながら手にしたが比較的下等な精霊である風の精や土の精と同調するに留まる。僕は土の霊の意識を探して精神統一を始める。古い伝記を思い出しながら精神力を高めて行った。イヤイヤながらサラに習った勉強がこんな時に役に立つなんて。

 「ノルム・ダルド・サリュ…我聖なる神の御遣いに求め訴えん…。」心に何かが入り込んで来る感覚。土の精の意識…日常の人間の生活よりもずっと上のレベルで活動している意識…その意識に到達した時…僕は土の精霊と深層意識でコンタクトを取り、かれらの力の一部を借りる事ができる。僕の生命力の一種である魔力をかれらに支払う事で僕は力を得る。

 ぴりっ…僅かに床が軋んだ。「むっ…」リルカが身構える。「ルカ…貴様…魔法を…!」

 「土の精よ、神の御遣いよ、神のしもべに協う事を願う…」「!」今はっきりと土の精霊の”意識”を感じた。今しかない!「…マグナダムド!」

 ビリビリビリッ!小さな衝撃波が部屋に響いた。次の瞬間壁や床が軋む音があちこちから聞こえる。「こっこれは…!」リルカが後ずさって辺りを見回す。静止していれば感じる程度の地震のような揺れが部屋全体を揺らし続けている。その影響で壁や床のあちこちに1ミリ程度の小さな亀裂が入った。

 本来この魔法は巨大な地割れを起こしてすべてを飲み込みながら周囲の物や生物を衝撃波で破壊し、引き裂く魔法だ。聖伝書では聖者が魔物を直接「地割れのように引き裂き」、また使い魔も武器も地の底に飲み込ませたとある。

 魔法の修行をしていない僕にはそこまでできなかった。リルカを含めて誰一人、その衣類さえ破壊していないし地割れどころか小さな地震を起こして床や壁のあちこちに亀裂を走らせるだけだった。どうやら魔力が足りずに小さな力しか土の精から借りられなかったみたいだ。

 でもピンチを切り抜けるにはこれだけの効果でも十分だった。壁や床にヒビが入っているという事は柱なんかも脆くなっているという事だ。建物なんだから一部屋だけで済む筈はない。この部屋の基盤が脆くなっていれば連鎖的に建物全体を崩壊させる事だってありうる。

 一度脆くなった建物は波及効果で崩壊の加速度を増して行く。一度の衝撃波で崩れかけた石や柱が他の石や壁の重圧に耐え切れなくなってどんどん軋み、壊れて行く。部屋のあちこちで小さく鳴り響いていたミシミシという音が段々大きくなって行く。昔サラに習った。建築ってのは内部で力や重さのバランスを取って建っているのでそのバランスが崩れると家でも橋でも簡単に壊れてしまうと。

 「くっ…コイツ…考えおったな。」リルカが青ざめた。ガシャン!窓が壊れた。壁が小さく歪みその重みにガラスが耐え切れなくなった。床のヒビもどんどん大きくなる。「我々に直接手を出さずに建物を破壊するとは…ガキめ。」…本当はみんな壊す気だったんだけど失敗しただけなんだけどね。

 「いかん、このままではここが崩れてしまう…」「リ、リルカ様!逃げましょう!」男達がサラを押さえる手が緩くなった。「くっ…」「このままではわたし達も下敷きになってしまいますぅ、リルカ様ぁ…」メイドが半泣きになった。「ばか者ども!ガイゼル様のお怒りと崩れる可能性のある建物とどっちを恐れているのだ貴様ら!」「ぅぅ…しかし…」

 「る、ルカ!逃げて!今しかチャンスは…逃げて!」サラが叫んだ。「サラ!一緒に…」「いけません、ルカ…。じ、時間のロスになります!」「でも…」「わ、わたくしなら…だいじょうぶ、です!まずはルカ様、先に逃げて下さい!お願い!」「ぅ…」「私は大丈夫、必ず、必ず後から追い付きます!必ず後から参りますから…今は…どうか、ルカ様だけお逃げ下さいぃ!」サ、サラが…涙を流していた!

 そうか、サラはどうしても…僕を逃がす事が彼女の使命なんだ。逃げるチャンスは今しかない。ここでサラの気持ちを無駄にしてはいけない。「必ず…後でまた会おうね、サラ!」

 今は信じるしかない。きっと後からサラが追いついて、また一緒に旅をすると。今は少しの間別れるけど今日中にまた会えるって。僕は意を決して窓から飛び出した。今は僕一人でも逃げる事が先だし、リルカ達の狙いは僕なんだからきっと追いかけて来る。その間にサラが体勢を立て直して僕に追いつき形勢逆転になるんだ。それを信じて、今は逃げるしかないんだ。

 僕は全力で走り出した。後ろから「追えー!」とリルカの声が響いた。もう二度と捕まるものか!


######


 (こ…これでいい…。私はもうこれ以上…もう二度と…お仕えする事ができなくなりましたが…どうか逃げ切って下さい。これまでの間、わたくしは本当に幸せ者でした。さようなら、ルカ…)サラの涙が次から次へと頬を伝う。しかしその表情は微笑をたたえていた。

 「リ、リルカ様…」「ちっ…力及ばず、か。」「クソオ、このアマ!」戦士が刀に手を掛ける。「せめてこの女の首を手土産にしてガイゼル様のお許しを請うしか…」「止めろ!」リルカが棒で戦士の剣を弾き飛ばした。「リルカ様…」「愚か者ども。我々がサラを殺せば、今度こそ我々は一人残らずガイゼル様に処刑される。それが分からんのか!」「し、しかし…このまま見逃すのですか?」「サラは殺してはならん。もちろん逃がしたりはしない…。”生け捕り”にする。それが”最善”の策!魔法使いの効力が切れる前に縛り上げろ!」「ははーっ!」

 サラが縛り上げられた。「リルカ様ぁ…私達、ガイゼル様にお許し頂けるのでしょうか…」メイドが震えながら声を詰まらせる。「…。普通なら全員処刑だ。」「ひっ!」「ルカを捕まえるのが至上命令。失敗すれば命はない。ルカに逃げられたとあっては…クク…だが、その為に我々はアサシンを外に配備していたのだ。万が一の時の為にな。それに億が一の準備もしておる。心配するな。」みしっ!建物が大きく軋んだ。

 「万が一ルカが逃げても外に配備していたアサシン達が忍者のスピードでルカを追う。そしてそれさえも失敗しても…ルカは絶体絶命なのだ。くっくくく…」リルカが不敵な笑みを浮かべた。「よし、お前達はサラを連れてガイゼル様の所に戻れ。私はアサシン達と共にルカを追う。」「は、はい。」「急げ、ここはもうすぐ崩れる。いいか、くれぐれもサラを丁重にガイゼル様の所に送り届けるんだ。傷をつけるな。乱暴にするな。分かったら行け!」

 バタバタと従者達がサラを連れて出て行った。猿轡をはめられ、力が出ないように後ろ手で縛られたサラは抵抗できないまま連れ去られて行った。リルカもルカが飛び出した窓から外に出た。待機していた一人のアサシン(ルカの逃げた方向を見ていた)と共にリルカは少年を闇夜の中追うのだった。


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 夜の闇の中。田舎の港町はほとんど明かりもなくひっそりと静まり返っていた。そこに少年の足音が響き渡る。それを追う者達の足音はなかった。アサシン達の動きは確実にルカを捉えていたが忍びらしく相手に気付かれないように物音一つ立てずに少年を追う。

 ルカの方は見知らぬ土地で「道があるかないか」だけが辛うじて分かるだけだった。後は潮風の吹く方向めがけて一目散に走るだけだ。忍びの者達は土地勘こそないけれども道がどのように繋がるものなのかを心得、幾手にも分かれて少年を追う。もう少し行けば大通りに出る筈。ネズミは必ずそこに出る。そこで一気に捉える腹積もりでいた。

 リルカもアサシン達に追い付き、かれらと一緒に少年を追った。リルカの目配せで落ち合う場所が特定される。ルカが出て来る筈の大通り。先回りして追い詰め、逃げられないように周りを固める。東洋の忍者の戦法の一つだ。

 月明かりに加えて小さなランプが灯る大きめの通りに忍者達が黒い影を現した。「むっ!?」リルカが呻く。そこにいる筈のルカの姿がない。「どういう事だ…海岸沿いの町の道路なら扇形に網を作り、最終的にこの大通りにどの細道を通っても出る筈なのだ。」忍者達はルカが細道を抜け出てきた先に同時に辿り着く段取りでいたが、肝心のルカがいない。「計算が狂ったか?とにかく追うんだ。」黒い影がまた散らばった。

 静かな町で足音だけが響けば確実に忍者に見つかってしまう。だが忍者達の鍛えられた聴覚でもルカの足音を捉える事ができなかった。「そんな筈は…」アサシンの一人が小声で思わず口走った。

 その頃少年は心細くなって草むらにしゃがみ込んでいた。一人で誰もいない夜の街を走るのは初めてだった。何か出そうだ。野犬さえ怖かった。それに加えて今頃リルカ達が自分を追っている筈。(サラ…)少年は星を見上げた。(だめだ、こんな所で怖がってちゃ。折角サラが僕を逃がしてくれたんだ。何としても逃げないと。この町から離れるには海を渡らなければいけない。だから海に向かっていたけど…)

 少年は立ち上がった。(きっと頭のいいリルカは僕の行く先を見抜いてるだろう。このまままっすぐ海に向かっても捕まるだけだ。それなら裏をかこう。もっと離れた所に行って、そこから海を渡るんだ。)少年は歩き出した。走ってパタパタと足音を立てれば見つかってしまう。だから息を殺しつつわざとゆっくり歩いた。さっきまで海に向かって一直線だったけど進路を西に変えて。西に相当歩いた後で海に出る腹積もりだった。サラを思う少年は今や恐怖よりも正義感と冒険心が勝っていた。見つからずに脱出する事が自分の戦いだ。その足取りはしっかりしていた。

 ガサガサッ!ルカの足元に絡んだ草が乾いた音を立てる。「!」一瞬少年は身をこわばらせた。漆黒の闇の中しかも音には敏感な忍者達が自分を追っている…リルカと共に。大きな物音は命取りだった。冷や汗が滲み出る。

 (…大丈夫みたいだ。)ルカはまた歩き出した。とにかく海へ。海に逃げれば…小さな船を借りられる。路地裏を歩きながら息を殺して海に向かう。

 ピュィ〜イッ!!「はっ!」屋根の方からけたたましい口笛が響いた。黒装束の男に見つかった!さっきの物音をアサシンは聞き逃さず、地べたをはいずる黒い小さな影をいち早く見つけると仲間達に位置を知らせた。「…しまった!」

 ルカは走り出す。遠くからカサカサと数人分の足音。このままでは捕まる。ルカは恐怖に突き動かされて何も考えずに走り続けた。後少し、後少しで大通りに出る。

 「ぅ!」少年の遅い足など簡単に追いつかれる。大通りに出たルカが見たものは奥からものすごいスピードで走って来る黒い複数の影。上を見ると屋根をジャンプで飛び越えながら迫って来る男達。もうだめか、ここまでなのか…いや、希望を捨てちゃいけない。

 「…ラギ・マギ・ガブリエル・ディラティオー……”スローダウン!”」成功するか分からなかったがルカは死に物狂いで周囲に魔法をかけた。自分以外の物体の動きを一時遅くするスペルだ。ほんの数秒、足止めするだけでも…

 ルカはすかさず海に向かって走り出す。石垣を降りると誰の物か分からないが一隻のボートが繋ぎ止めてある桟橋に出た。(ええい、黙って借りちゃえ!)ルカはその一つに飛び乗る。どこに行くか分からないがとにかくこの場から離れないと…

 「ぐうう…」意思に反して体がゆっくりしか動かない事がもどかしく、リルカが呻いた。少年めがけて飛び降りたアサシンが本来なら1秒もあれば地につく所を3秒もかかる。ゆっくり落ちて来るのでは少年を捕まえられなかった。「おのれ…またしても…魔法か…ガキめ…」効果は2秒程続いたがルカがアサシン達に囲まれる前に逃げるのには十分だった。

 「何をしておる。ガキは目の前だ。捕まえろ!」リルカ達が追って来る。ルカは小さな力ながら必死でオールを漕ぎ続けた。アサシンの一人が高くジャンプしてルカのボートに飛び乗ろうとしたが間一髪手が触れただけで直前でアサシンは海に落ちてしまった。続けざまに泳いでボートに手を掛けようとするがルカのオールと波の手助けで失敗。長く夜の海に潜っているのは危険と判断したアサシンは仕方なく桟橋に戻った。

 「ええい、近くのボートを探すのだ。急げ!」忍者達は走り、数百メートル向こうに別のボートが複数あるのを見つけた。リルカ達はそれに乗ってルカを追う。いさり火でも付けたい所だがそうすると追っ手の姿までルカに知られてしまう…しかし暗い海で小さなボートを見つけて追うのも困難だった。

 「…仕方ない、最後の作戦に切り替えよう。火を灯せ。」三隻のボートが明るく輝く。多少明るくなっただけだがアサシン達はそれでもルカの小さな姿を見つける事ができた。「…よし、作戦通りのポジションを固めろ。」

 ルカは必死でオールを漕いでいる。街の方から炎が三つ自分に迫って来る。捕まったら最後だ。炎は三方向に分かれてルカのボートをぐるりと囲むような格好になった。少年は炎が大きくならないように舵を取りながら漕ぐしかない。右の炎が近づいて炎が大きくなればそれを避けて左に進む。

 「…よし。ルカは我々の炎を避け始めた。どうせこっちがこんなに自分達の位置を知らせてしまってるんだ、そのまま捕まえるのは難しいだろう。深追いすればトチ狂って海に飛び込むかも知れん。ルカを死なせたら我らの命はない。ガイゼル様もろとも処刑されるだろう。いいか、ルカと微妙に距離を取りながら西へ誘導するんだ。あの海流に乗せれば作戦は成功だ。」

 右、左、正面の火がゆっくり大きくなったり小さくなったりしている。ルカは炎に怯えながら一心不乱にオールを漕いだ。手のひらが痛い。皮が破れたか。でもそんな事を意に介してる余裕はなかった。

 「…もう少し左だ。」リルカが手で合図するとボートがルカに幅寄せした。ルカのボートは進路をさらに変えて沖へ進む。「いいだろう、そのまままっすぐ追い込め。」やがてルカのボートがスピードを上げた。「…。波に乗ったな。いいだろう、止まれ。」リルカの合図でボートが動きを止めた。

 ルカのボートはぐんぐんスピードを上げて海に流されて行く。オールを漕いでも漕がなくてもボートは勝手に進んで行った。逆に進路を変えようとしても思ったより流れが速くて変えられないし戻れない。「…。」ルカは勝手に進んで行くボートに怖くなったが、リルカ達に捕まるよりはまだ可能性があると思い、流されるに任せていた。いさり火はどんどん小さく遠くなり、やがて消えてしまった。「な、何とか…追っ手から逃れる事ができた見たいだ…」ルカがほっと胸をなでおろした瞬間、ボートが大きく傾いた。

 「リルカ様、あの海流は少々荒うございますが…大丈夫でしょうか。」「…。ガイゼル様の提案だ。仮に転覆してもルカの体はちゃんとショータン島に着く。だが問題は…溺れないかどうかだ。」「…。」「だが作戦は決行された。あの海流は上下に攪拌されていて溺れる可能性も低いのだろう。我らにできる事はここまでだ。後は…ガイゼル様とモンペイ殿にお任せしよう。…ものども、引き上げだ!」リルカが合図をするとボートは引き返した。

 「うわっ!」ルカはボートの端っこにしがみついて身を伏せた。雨も降っていないのに潮の流れが激しく、小さなボートはゆらゆらと大きく揺れている。大きな波のうねりに身を崩したルカはとっさにボートにしがみついた。だがその勢いで頼みのオールが海に落ちてしまった。

 ルカは自然の猛威を前にどうしようもなくなって只ボートにしがみつくだけだった。大きく船体が傾くと海水が少しずつ船の中に入って来る。そしてますますボートは大きく揺れるようになった。ルカは水を掻き出す知恵がなくガタガタと震えるばかりだった。この状態では行き先のカルーメヤキに辿り着けるかどうか、それ所か無事に生きて陸に上がれるかさえ心配になった。

 ざばあっ!「うわあああ!」ついにルカは海に落ちてしまった。急激な流れが少年を押し流していく。(ああっ、僕ももう死ぬのか…サラ…)波に飲まれながらルカは意識を失いかけたが、背中に岩が当たり、潮が流れていない場所に押し流された。とっさに少年は岩にしがみつき、水から上がった。

 「…。」空が少し明るくなって来た。暗闇から背景シルエット状態に変わる。黒い影ではあるがすぐ近くに大きな島らしきものが見えた。陸続きにはなっていないようだ。つまりカルーメヤキには辿り着いていないって事だ。ほとんど反対方向に流されていた少年は自分がどこにいるのか分からなかった。

 太陽が昇る前、空が白くなって行く。段々自分のいる岩場の事が分かって来た。どうやら島の海岸が思ったよりも近い。少し遠回りをすれば岩の間を渡って泳がずに海岸に辿り着けそうだった。島側と海側を見ると水の色が全然違う。これは海岸が短く、少し浅瀬を行くと急に深くなるって事だった。深い所では流れが急で、さっきみたいに危険な目に遭う。いったん浅瀬に出れば穏やかだった。

 「と、とにかく上がって服を乾かさなくちゃ。」ルカは日が昇る前に見知らぬ島に上がった。びっしょり濡れた女物の服が重い。そして風邪を引きそうな位寒かった。まずは服を脱いで乾かすしかない。少年は小さな岩場に身を潜めて全裸になり、服を岩の上に並べて乾かし始めた。


######


 リルカ達が戻って来たのは太陽が昇って随分経ってからだった。ガイゼルは朝からワインをあおり、上機嫌でリルカ達の朗報を待っていた。

 「それで…どうであった?」「は。ルカの捕獲には失敗しました。ルカはショータン島に引き寄せられて行きました。」「そうかそうか。やはり思った通りだわい。これで半分は我々の勝ちが決まったようなものだ。」「…。」「何を気にしておる。お前達がガキを連れて来るだなんて初めから思っとらんわ。俺様の作戦は最初から、王子をショータンに導く事に主眼が置かれてたのさ。」「そ、そうでしたか…」

 「そうそう、リルカよ、モンペイと会うのは初めてであろう。…彼をここへ。」暫くして初老の小男が入って来た。「これはこれは…リルカ殿!お噂通り美しいお方じゃ!ひょっひょ…」「…。」リルカは無言で会釈した。ここにモンペイ、ショータン島の統領にしてガイゼルの手先がいると言う事は、自分達がボッサに向かう頃には既に呼び寄せていたという事だ。

 ガイゼルはリルカの作戦を聞いたすぐ後に配下に命じ、モンペイを呼び寄せていた。リルカ達が少年を追う間にモンペイはガイゼルの所に来ていた。そしてリルカ達が戻るのを上機嫌で待っていたと言う訳だ。リルカは内心面白くなかった。

 「それで、ルカの付き人はどうした?」「は、はい、地下牢に入れてあります。」「よしよし、殺さなかったな。さすがリルカだ。殺してしまっていないか心配だったが…。女剣士サラは色々使い道がある。丁重に生かしておくんだぞ。」「かしこまりました。」「まずはめでたい。前祝と行こうじゃないか。なあモンペイ。」「ひょひょひょ…いよいよガイゼル様の時代が来る訳ですな。こんなめでたい事はありませぬ。」「俺の時代が来るかどうかは最後のツメ次第だ。」「分かっております…作戦は既に伺っておりますで、ワシが島を出る前に準備して置くように命じておりますじゃ。」

 ガイゼルは立ち上がった。「くくく…俺と同じくらい奸智に長けたモンペイに任せれば安心だ。」「…。」「ふん。浮かない顔をしているなリルカ。俺様が権力を手に入れる事が面白くねえのか!?」「…い、いえ、決してそのような事は…おめでとうございますガイゼル様!」

 「分かっておるぞ。この際だから教えておいてやる。本当に上に立つ人間は”頭のいい人間”なのだ。お前達のような輩は体術武術には優れていようが、そんなお前達をいかに巧みに操れるか、そういう”頭脳”がモノをいうのだよ。お前達は一生使用人から這い上がれねえ。のし上がれるのは俺やモンペイのようなクレバーな男だけだ。よく覚えて置け。」「…。」

 「くく…悔しいだろう?顔に書いてある。そんな悔しがる強い女を力と金と権威でねじ伏せるのが俺様の楽しみだ。リルカよ、悔しければ今剣を抜いて俺の首を切ればいいだろう?それだけの”実力”がお前にはある。だがなぜそれをしない?できない?それが答えだよリルカ。剣術はお前に劣っても俺様の総合的な力が格段にお前よりも上って事だ。剣を抜こうとすればここにいる全員が全力でお前を殺す。それが分かっているから逆らえぬ。そういう”しくみ”を完全にして置く事ができるかどうかが権力者の器なのだ。なあモンペイ。」

 老人は立ち上がった。「ガイゼル様…ワシだったら…”本当の事”は言いますまい。」「おおっと、俺も酔いが回って気が大きくなっておるようだ。お前の言う通りだ。口が過ぎたな。がはははは…」本当の事を隠して心の底から忠誠させるように配下を騙せる頭脳も必要。ガイゼルもよく知っている事だったがつい口を滑らせたようだ。しかし…モンペイの真意は別の所にあった。

 「もうよい。酒はここまでにしよう。俺は寝るぞ。果報は寝て待てだ。モンペイ、後は任せたぞ。」「ひょひょっ…お任せ下さいませガイゼル様…」老人は数人の部下を引き連れて出て行った。「…何をボサッとしておる。俺は寝ると言ったんだ。」「あっ…」リルカがガイゼルの後について行った。


######


 「…たしかに。自分の身を守り地位を固め、他人を体よく利用できる事はクレバーな証じゃ。」モンペイは帰りの船の中でつぶやいた。「…しかしもっと頭のいい人間とは…自分をクレバーだと思ってる人間をこそ利用できる者の事じゃ。ひょひょひょ…」

 「モンペイ様、伝達艇です。」「よし、船を止めろ。」小さなボートが引きつけられる。使者が伝言を読み上げた。「王子が海岸にて身を潜めている事を確認、早速ご命令通り島の住民全員を退去させております」「そうか。分かった。おっと、娘達を退去させてはならんぞ。」「もちろんでございます。若い娘以外全員を強制的に船に乗せ、カルーメヤキに移転させております。移転が完了するのは昼過ぎになる予定です。」「うむ。」「強制排除が完了し次第、予定通り島中にお触れを出します。」

 そこでモンペイが使者を制止した。「待て。ガイゼル様はたしかにそのように命じさせたが、そこだけちょっと変えるぞえ。お触れを出せば王子にもそれを見られてしまう可能性がある。だから口コミを使うのじゃ。数人の官女を使って娘達にお触れと同じ内容を噂させる。小さな島で好奇心旺盛な若い女ばかり、ウワサはあっという間に広がるしわざわざお触れを見に行かなくても情報が娘の下に駆け込んで来るから、伝達効果もずっといい。早速統領館の女達を集めて口コミを広めさせろ。今から始めれば退去が終る昼下がりには全員の知る所となろう。」「かしこまりました。では早速。」「頼んだ。」

 ボートが再び離れて行った。大きな船よりも早く進む伝達艇が見る見る消えて行った。「それにしても…厄介な海流ではあるな。わざわざ遠回りして島に行かないと激流に飲み込まれてしまう。まっすぐ向かえば海流にも乗って早く着くが転覆の危険もある。だから旅行船などは皆遠回りをする。今の所まっすぐ進めるのは小型で機能的な伝達艇位のものか…」

 ショータン島の海流は複雑で、飲み込まれたら島の方にあっという間に引き寄せられてしまう。流れが速いので、島から出ようとまっすぐ泳いだり船を出しても溺れたり島に引き戻されたりしてしまう。海流の合間を微妙に縫いながらぐるりと裏を回って陸地に向かわなければ島から出られない構造になっていた。島に向かうのも同じルートだ。ルカを閉じ込めて置くには丁度よかったが。

 その頃島では、若い娘以外の老若男女が兵士達によって強制的に船に乗せられ、次々と陸に向かって出発していた。モンペイの命令とあっては訳も知る事ができずに黙々と着の身着のままで船に乗るしかなかった。すべての男、35歳以上の女と14歳未満の女は全員船に乗せられた。

 島の裏側で行われている退去騒ぎなどにはまったく気付かずに、ルカは暖かい海岸で裸で身を横たえていた。ここから船で出発する事ができないので、また海岸はすぐ激流に飲まれるので、猟師も足を踏み入れなければ海水浴を楽しむ人の姿もない。ルカ一人だった。物語は新展開を迎え、再びルカ視点に戻る。


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