誘惑の白い城 ~父娘外典~ 5
半分眠っていたようになっている間に、どんどん若くなっていった男は、その股間も童貞と同じ、不慣れな状態にまで持ち込まれている。敗者には、セックス慣れすることも許されない。
全身が重いが、それでいて、だんだん脳の覚醒度合いははっきりしてくる。そのうちに、自由に身動きが取れず、起き上がることができない中で、布団ごと転落している自覚を持ちながら、なおもどこかに、現実に戻る光の扉の出現を待ち望む、哀れなまでに実直な態度を保持している。
頑張りさえすれば、なにがしかの変化がありうると思わせておくのもまた、闇の世界の常套手段だった。期待させるだけさせておいて、ハシゴを外して逃げ道を塞いだところで、徹底的に集中砲火を浴びせる。
現実でもさのみ変わらないものの、こちらはいつか必ず、死と終焉による強制的な解決がありうるのに対して、魔界ではその強制シャットダウンさえ用意されていない。
それは、常に実際に開かれたチャンスではある。本当に魔の誘惑を克服することができさえすれば、奇妙に過ぎる貪欲の世界から脱出し、元の世界に戻って、その間の出来事、空間の外側で起こったことなど、すっかり忘れ去り、消え去ってしまえる。
それは本当に用意されている。が、あくまでカモフラージュに近く、今まで魔性の快楽に堕ちてから、勃起と絶頂を堪えて快感に打ち勝ち、異様な永遠から抜け出せた男などいない。
永久に童貞同然になった肉体で、数え切れない女の子たちの群れ、女子怪物やモンスター娘たち、魔族の女たちも混ざっていくディープな世界で、全身を性快楽で埋め尽くされていくばかり。
時間が経てば経つほど、異性の人数は増え、年代も種族も多くなっていき、気持ちよさがさらに増幅するだけなのに、イク律動や多幸感に抗いきれる道理はない。
なまじ希望を持たせて闘志を保存することで、抵抗虚しく脈打ち続けてしまう結末が持続し、奪い取る魔力を最大化する目的で、用意されたゲートに過ぎなかった。手が届く可能性があるのに、誰も通ることができない光の扉が、常に用意されている。
その姑息さが、男たちの絶望を和らげ、なおかつ敗北射精が何度も続けられては、そのつど本来の気持ちよさをはるかに超えた脈打ちに、悶え悦ぶ淫欲の罠となっていた。
横たわっている彼の臀部に、ふににっとやわらかくてふわふわした肌が密着する。クスクス笑う声や、おとうさん勃っちゃっていいよー、とささやく声のかわいらしさから、彼の娘が真後ろにいることが分かる。
5年生か6年生時代の幼い娘が、やはり裸で、背中合わせに寝そべっている。少女は腰だけグニグニなまめかしく揺らして、お尻の肌を父親のお尻に押し込み、こすりつけてくる。
目的は明らかだ。もっちもちで肉付きがよく、ぶるんと震えるほど性的な形と弾力、滑らかできめ細かい肌を誇る小学ヒップが、おとな男性のお尻にあちこちこすれ、滑り、むぎゅぎゅっと心地よく押しつけられる。
そのたびに形が変わり、吸い付くみずみずしさでぷにぷにと潰れ、父のお尻全体を揉むように、あちこちに押し当てられ続けている。子供なのに、お尻はすでに女の感触そのものだ。素足も股間も、本番行為に耐えられるよう、急変してしまっていた。
その小柄な臀部の感触は、じかに肌と肌が滑りあい、スリュリュとこすれる音を立てながら、ぎゅみっぎゅみっと心地よくひしゃげて、もっちりと摩擦していく。
父親はそのくすぐったい感触に息を荒くしながら、じかにお尻の肌がお互いにこすれ合っていくただ中で、実の娘の小学尻に誘惑されて、ペニスの勃起と欲情を誘われていると分かって、どうにか勃たないように、必死で堪えようとする。
一定時間、おそらくはほんの数分か、あるいは状況次第では数十秒でもいい。女の子のお尻の弾力とスベスベ感に背後からグニグニされっぱなしな中で、娘の尻肌に劣情を抱かないで済ませられれば、すぐにでも脱出の扉が開かれるはずだ。
しかし、形がすでに女性の臀部と同じになり、ただサイズだけが小さい女尻の感触は、とことんめり込んでいく、ぽよんと弾き返す、肌のきめ細かさがくすぐったくて、とことん心地よいせいで、相手がまだ中学に上がってもいないと分かっていながらも、どうしても男としての劣情が先だってしまう。
かろうじてその相手が、禁断の愛娘だと意識するからこそ、ふにっふにの感触が押しつけられ続けても、踏んばって人間らしい思考を保とうとし、欲情の本能から脱却しようと時間を稼ぐことができている。
それとて、異性に触れたこともない、彼女たちのなまの肌も、いつも初めてで、ぞわぞわする感触になっているのを、改めて思い知らされるようリセットされている。童貞なのに実の娘がいる、という奇妙すぎる状況だ。
性経験ゼロの状態で、子供尻の感触を直截味わい、さらに彼女が幼い身体のまま、父親のペニスを、意図的に膨張させるよう凄艶な動きで、尻こすり攻撃を続けている。
ぐにゅぐにゅうっと、やわらかくてもぎゅぎゅっとした潰れ方と、肌の滑る心地よさは、サイズが小さいだけで、確実に異性のお尻そのものへと成熟している。
こっちでは遺伝関係も年代もタブーにならない。むしろそういう相手と一線を越えても、誰からも責められることはないし、そういう規範も初めから存在しない。
だから血のつながりの濃い相手でも、女の娘の未熟な肉体でも、男は男、女は女。性快楽の営みに。いかなる妨げもない。
うりゃうりゃと、お尻の感触に自信のある娘の弾力が、くすぐったく父親のお尻を撫でるように滑り続ける。彼女の方がすでに、この身体のままで、お父さんを気持ちよくできると理解していた。
現実世界でも、ここまで露骨ではなくても、自分の肉体が、関係性を問わずに、男性を魅了できるかどうかは、いつも気にかけている。
隙あらば誘惑しておきながら、それに乗ってしまうと激しく拒む。社会的にも制裁される。
お互いにそこを理解しながら、娘も友達も混浴のたびにお尻を見せ、生足をわざと触らせ、湯船で背中を預け、小さいながらもすっかり女性的になっている肌と、華奢な肩幅の魅力を、半分意図的に思い知らせていた。
その積み重ねの中で、さらに大人になっていくときに、男性を魅了できるかどうか、少なくとも性的には可能だと安堵していく。
父や兄などではなく、惚れ込む恋人から夫に至るまで、選んだ男性と交わり、子孫を世に送り出す。その素地となるオスの劣情と射精を、ちゃんと引き出せるかどうか、常にその点は意識し続けていた。
しかし、魔の世界では、そういう未来のための練習、という要素が必要なくなる。今この場で、このカラダで、男たちの精液を奪えるのだから、そのまま誘惑して勃起に至らせ、さらに他の娘と連携して、男をイかせる目的だけが残っている。
練習台ではなく、じかに誘惑してそのまま劣情のはけ口になり、いくら我慢しても自分たちの肉体に刺激されたら、律動まで突き進むと分かっている。
なんとか克服しようとしても、その耐久を強めれば強めるほど、それを越える快感をみんなで与えて、限界を超える水域に持ち込んであげる。
きゅ~~~んとこみ上げる射精直前の股間に持ち込めば、誰だって自分たちで脈打ってくれる。主様である淫魔たちに、魔力を提供できる。間違いなく結果が見えている。
案の定、1分ほどで、みるみるペニスは大きく膨らんでいき、彼は娘のお尻にこすられて彼女に欲情するという、みっともない勃起を果たしてしまった。
娘なんかに、などと思いながらも、もう自分の名前も彼女の名前も分からなくなっている。思い出の一部が残る以外は、もう妻の顔も分からない。そもそも自分は結婚していたかどうかもあやふやだ。
きっと妻は、自分の前に裸で現れたその瞬間だけ、その顔かたちを思い出させる。が、それは幸せな家族関係の構築ではなく、ひたすら精液を奪うために行動する、女子たちの仲間としてだけ、希に現れる存在なのかもしれない。
どんな人間関係だったかなど、魔の世界ではあまり重要ではない。唯一、それがフリーセックスを抑制していた場合だけ、ことさらに関係性を思い起こさせるだけで、それを抜きにしてしまえば、もう相手が誰であるかなど、思い出す必要も知る必要もなくなってしまう。
属性や年代、種族だけが分かればよく、あとは目的どおり、高度な精の提供だけがものをいう。
勃起してしまったペニスは、まさにそういう娘たちの格好の餌食になる。身動きが取れない父の前に、別の少女が現れ、やはり裸で抱きついてくる。
勃起したのだから、あとは気持ちよく刺激して射精すればいい。それ以外に何もないのが闇の世界だ。永遠の脈打ちだけの価値観だ。この少女に見覚えはなかった。背後でお尻を滑らせ続ける娘とも、顔見知りではなかった。
が、その全身の小柄さや華奢な印象、童顔なまま、若く滑らかな乳房の膨らみが、少しばかり見て取れる、その体躯の形状から、やはり12歳か13歳くらいの、まだまだ蕾の女体だ。
そんなあどけなさを残した子なのに、彼の腰元に現れてしがみつくと、もっちもちの滑らかな胸板の弾力が、勃起したペニスに、グニニッと覆い被さっていく。
やや前屈みになった女の娘は、第二次性徴が始まったばかりなのか、ちっぱいを寄せて肉の出っ張りを作り、その膨らみかけた弾力で、勃起した股間をぐにゅっと胸板で受け止め始める。
後ろの娘がえいえいっと、さらに激しくお尻を押し込んでくると、父の腰もそれに合わせて激しく前後し続け、少女のきめ細かい肌と胸板に、強く激しく、棒全体をこすりつけてしまう。
ペニスをやわらかく受け止めてくれる少女は、ぎゅっと怒張を受け止めて、変幻自在に形を変える乳房の形状のまま、硬い棒を自身の上半身に滑らせてくれる。
腰を前後させればさせるほど、抱きしめ娘の小柄な乳房が、わずかな出っ張りだったはずなのに、どこまでもめり込んでいく女の胸板そのものに、すでになっていると驚かされる。
彼女の胸板のあちこちに、ペニスを滑らせれば、摩擦する肌触りの良さで、どんどん高まっていく。必ずしも乳房の弾力だけで、気持ちよくなっているわけではなかった。それ以外の鎖骨周辺や腕、脇の下などでも、存分に彼女の肌がペニスを受け止め、快感を高めてくれる。
6年生くらいでも、こんな風におっぱいが出っ張っている子は大勢いる。
かなり個人差が激しい年代だからこそ、6年生か中1くらいの禁断の相手が、胸の谷間まで作って、おとなのペニスが滑ってくるまま、その肌触りでぐにぐにいっと、気持ちよくし続けてくれる事態に、ことさらに禁断の欲情を果たしている興奮を醸し出す。
もちろん、それだけで射精まで持ち込むことは難しくない。だが、あどけないままの知らない少女が、こんなコトまでできてしまうと思い知らせるため、ときおりぐっと首を曲げて、さらに前屈みになって、ペニス先端の裏スジと尿道口部分ばかりを舐め回す。
ピンポイントで快感刺激を与えるのを忘れなかった。フェラ経験がない少女でも、魔界ではすべて、手練れのテクニックを、生得的に駆使できる。すべての男が童貞未経験、異性に触れたことも、手を握ったこともない、敏感な状況に永遠に戻されるのとは、あまりに対照的だった。
ちいさな口で、ぺちょりと先っぽだけを舐めまくるられとき、お父さんはあまりに強い快感刺激に面食らい、全身を突っ張らせたまま、上体をのけぞらせる。
背後でおしりあいの体勢になっている娘も、背中合わせだから見えないのに、前方で彼が今、どんな刺激を受けて気持ちよくなっているか、手に取るように理解できた。
彼女はスリュスリュと腰をいやらしくグラインドさせ、お尻の肉を押し込みながら、おとなのお尻めがけて、「の」の字を書くように滑らせる。くすぐったい小学尻の感触が、もう肉付きから、子供ではないと思わせるのを忘れない。
前後とも年代的には、あまりにあどけないまま、ほんの少しばかり性的な丸みを帯びたフォルムへと発育したばかりだ。しかしその段階の肢体でさえ、おとなの男を高め、精液を奪うことは十分できると、ごく短時間で思い知らされることになる。
前側の娘が、胸板でペニスを受け止めて滑らせているときは、後ろの娘はグイグイと臀部を強く押し込んで、ピストンを促す。
前側の子が亀頭フェラに入った10秒20秒は、グラインドでお尻を滑らせて、精子を出させるよう促し続ける。父親はどうにかして光の扉を、と思いながら、腰を前後させるのを止められず、その胸板の感触に病みつきになって、夢中になっている。
ペニスが彼女のチッパイをこすれば、彼女もまた、そこから性感刺激を受けて、いい気持ちになれている。そのお礼として、亀頭フェラが始まるので、やわらかい舌の動きは、絶対的に体液を吐き出させて、この男の人を、射精満足に持ち込むことしか考えていなかった。
前後から2人がかりで、まだまだ子供のままの女の肉体にほだされ、その感触良さにどんどん、思考の正常さを失っていく。
がんばろうとすればするほど、多幸感がさらに強くこみ上げてきてしまい、チッパイこすりでも亀頭フェラでも、もうドクドクと、劣情の結末を白濁液に変えて、どろりと体液を出してしまう。
イッてしまえば、光の扉が遠のくと分かっていながら、快楽と誘惑の禁断肉体に負け、大の大人が、小学娘か中1娘に気持ちよくなり、その魅力的すぎるカラダに負け、イッてしまう。
それも、立て続けに何度も同じ体勢で、枯渇がないペニスから、少女の胸板めがけ、口腔めがけ、その首筋にも髪の毛にも粘ついた体液を吐き出し続けてしまう。
ぞくぞくっと震えながら射精していると、背後の娘のお尻にも振動が伝わり、波打って肉のやわらか弾力を返してくるので、絶頂時の快感がはるかに強いものとなってしまう。
ほんのわずかな時間だけなのに、すでに彼は、異界の女体に病みつきになり、光の出口から、完全に見捨てられて脱力する。もはやおしりあいもなくなり、実の娘の子供膣が、今度はじかに、精液を何回も搾り取り始めるのだった。
そんな光景を、壊れていった父娘も堕ちながら垣間見ている。勝利したはずなのに契約を違えたせいで、彼らもまた、地の底へと、ともに転落していく。
ごくわずかに垣間見た敗北父娘の姿を見て、短時間なのに一部始終が分かったように、長時間その光景を、いつまでも見ているような気分になる。時間の流れ方がズタズタで、一秒が何年にもなるし、何億年もが一瞬で終わる。
こんな不思議な情景を味わえるのも、非現実の特質だ。天意に反逆し続けることが、大きな覚悟も失望もなしに、これほど快感に満ちあふれているのは、完全に想定外だったに違いない。
もともとの魔の存在が、人間の快楽と幸福を、無尽蔵に与える立場ゆえに、造物主と袂を分かち、空間の外側、地底のさらに底の闇へと転落していったのも、神罰というだけでなく、彼女たち自身の自発によるものでもあった。無間天国と形容してもよい状態を、理想としている。
与える源を限定せず、無条件にいくらでも快楽だけをもたらす。その代わりに、進歩発展の契機や、問題とその解決への努力などの、啓蒙に与る側面が全否定される。悪魔の快楽が損失になるのは、世界の限定性があるためだ。
量が限られている以上は、何かを得たら別の誰かがそれを失う。子女たちが性行為だけを目的に、自発的な行動をし続け、結果として男女ともに、快感と絶頂だけで始まりも終わりもなく永続するところに、人権も思想もなく、生も死もない。
快楽が無限に続いて、いくらでも種がまかれるのに、受け止めた娘たちの誰1人として、子孫をその股間から生まれ出させることがない。
擬似的に男を襲うための方便として、魔界の精液から作られた「自分の娘」たち「孫」たちが一瞬で女になってきて、その男に抱きつく。
その奇怪な出来事と、背徳性に、さらに興奮してドクドクし続ける目的で、誕生させる可能性はあっても、それはストーリーの一部であって、なまの実子たちを生誕させることはない。
着床する前に、すべての精は魔力としてエネルギー源になる。世界の維持とさらなる快感の連鎖、人数の増員で、さらに多くのパワーを獲得する。
その増幅装置に、限定性などあっていいはずはなかった。この連続の彼方に、いつの日か必ず、光の支配者どもを追放できるほど、力を蓄積する日が来るであろう。その目的のために、魔界は悦楽の天獄へと、男たちを吸い込み続けるのだ。
地に落ちている間、勝ったはずの父娘は騎乗位のまま結合していた。魔界のルールどおり、今度は父の方から、腰を上げて娘のオンナを本能的に求めてしまった。
そのせいで、もう言い逃れができず、父娘は魔界に堕ち続けながら、意に反してペニスが娘の内部にすっかり収まっている。
しまったという思いと、先に敗北した親子の姿などを垣間見ている間、気を取られてしまっていた。その一部始終に、それなりに時間がかかっていて、意識の上では周囲を観察し、じっくり世界の成り行きを理解している。
しかし実際には、その一部始終と観察にかかった時間は、人間の知覚速度の限界である100ミリ秒にも満たなかった。ほとんど肉体の方は、時間が止まっていたのと変わらなかった。
意識と思考だけが長時間続き、空間の外側の理想を垣間見ている。そう考えると、自由落下が続いているのに、慣性の支配を受けず、それでいて重力がゼロになるなどの不具合に至らないという、でたらめな状況の進み方も理解できる。
彼らは堕ち続けていながら、急速な変化を意識上で体験する。それでいて、肝心な神経や全身の感覚は、時間が止まっていたように何も感じることがなく、認識することもできない。
自分が置かれた状態を、自分で確認できない。常に自分たちは主観を持ち、意識がある存在として振る舞っているが、その一生の連続した意識や、主観の集合連鎖は、はたして一定のもの、一律のものとして固定されるだろうか?
離人症やせん妄、全身麻酔や認知症などを体験したり観察したりすれば、常に固定的な連続体として、自分というものを保持してはいないと気付く。
思っている以上に、自分というものはあやふやで、その実存もはるかに疑わしい。だから、死んで主観や意識が消滅した、一秒後の自分はどうなっているか、などという珍妙な思考実験は、まったく意味を持たない。
すでに生きている日常の毎秒の中で、自分という意識や主観は不連続なもの、飛び飛びで、現れては消えるものに過ぎない。
消滅と再構成が入れ替わっており、構成された後に振り返ることで、意識や認識を連続したものと錯覚しているだけだ。自我などは、ただ刹那の泡の如し。
魔界で肉体時間が止まっているならなおさら、周囲の状況をじっくり長期間観測して、とてつもない時間をかけて、異界の存在意義や目的を理解する、もしくは思い知らされるとしても、自分たち自身が、それらの期間を同期させてはいないことになる。
ただ同期していない、連続していないだけで、再稼働すれば、その瞬間からの連続が再開し、これを認識するだろう。
死後の意識が再稼働するとして、それが仮に1億年後だったとしても、その長時間を待たされることはない。次の瞬間には、一億年経過していたことすら、自覚できない。
宇宙空間と時間軸を同期させていなければ、何億年後になろうとも、すべて同じだ。無限の先までだと仮定しても、結果は変わらない。魔界はその不連続をも、たやすく飲み込んで分離させてしまう。
世界の時間が止まっている間に、自分の感覚器官だけが、時の流れを感じているのも、ごく当然のように起こる。射精に成功させた女たちは、止まった時間の中で極端なアクメの連続に全身全霊悦ばされる。
ささやかな悪魔のお礼だが、快楽の宴で、誰も損をしないための仕組みでもある。父娘もまた、1メートル先の人物たちの時間軸が、自分たちと異なるという、まさに非現実を強く感じさせる出来事を、意識の上で経験していたのだった。
彼らの時間も、ついに動き始める。時が止まった中でさえ、「ペニスの一部がオンナ表面に少しでも触れたら、勝手に根元まで挿入されてしまう」法則が働き続けた。
父親の方が腰を持ち上げた途端に、すっぽ抜けることもなく、たやすく挿入できてしまうのも、うっかりねじ込もうとしてしまう生理的な面と、魔界の自然法則が重なり合った結果だ。
魔の存在たちの設定で、スマタなど挿入以外の快感を演出することもできるが、少なくとも娘たちの意志で、性器結合を拒む必要がなければ、時間経過有無にかかわらず、挿入が果たされてしまう。
時間と運動のつながりがない。彼女たちが拒むのは、その男たちへの嫌悪ではなく、別の手段で、射精まで持ち込んで、気持ちよくしてあげると決めているときだけだ。
自分の筒内部が、一番気持ちよくできるタイミングなら、彼女たちは迷わず、異性の棒をオンナ内部に飲み込んで、激しく締め上げながら、ズリズリとしごき立て、精液を内部で出しきるまで離してくれない。
彼らが快感に打ち震え、腰を引いて結合を引き抜こうとしても、先端部分だけは決して外に出られない。ピストン出し入れはできても、引っかかって外せなくなっており、男性の意志でイクのを避けるために、逃げの手を打つことも許されない。
どちらかがイクまで、その結合呪縛はなくならない。そして、何度射精し続けても、瞬時に回復できるので、事実上は相手の女性が、次の子に交代するタイミングまで、挿入したら何度でも、しごき立て締め上げ、揉みしだいて律動させっぱなしにする。
父親が制止するいとまさえなかった。うっかり腰をわずかに浮かせて、勃起した股間を実の娘のオンナ表面に、ぐっと一回だけ押し込んだ。もうそれですべてが確定してしまった。
騎乗位の体勢に入った娘はとっくに、お父さんを気持ちよく脈打たせるつもりで、親子揃って闇の世界に行くつもりだった。敗北すれば自動的に、自分もお父さんも魔界行き確定。自分も友達もそれでよかった。
勝ってしまった場合、すこしばかりやっかいだなぁと思っていた。その時は、相手の父娘が先に堕ちるので、こちらは自動的に、父の上に数センチ開けて跨がる体勢に、一瞬で切り替わるよう設定しよう。
お互いの父親は何度も多幸感まで追い込まれ、必死で耐え抜いて、脈打たないようにしていた。それでもハタチの股間にスマタこすりをされ続け、やわらかオッパイを揺らしながら気持ちいい刺激を加えられ続ければ、いつかはどちらかが耐えきれなくなる。
そして勝った方も、かろうじてイクのを抑えただけの限界になってるはず。そのまま自分が、お父さんの真上に裸で見下ろしたら、きっと思わず腰を突き上げてしまうかもしれない。それで契約違反、両家族とも、仲良く魔界に行ける。
10年以上娘の裸を見せたことがなく、成熟した女の肉体になっているのを間近で見て、さらに実の親子だからとか関係なく、精子出させる気満々だと分からせれば、きっと根負けして、自分にも欲情するに決まってる。そんな計算が、彼女たちに働いていた。
どっちが勝っても負けても、同じ結果になるように、娘たちは計算高く仕向けていた。魔の存在もその意図を読み取り、うまく父たちを丸め込んで、こっちの世界に引きずり込むハナシに乗った。
人間は裏切る。約束を破る。彼女たちのその狡猾さを悪用すれば、デビルとしての約束履行の硬さと、この2家族の堕落を両立させられる。これでいい。
まんまと計画通りに、ペニスはすっかり娘の内部に入り込んでしまった。いうまでもなく、父と娘の間柄であっても、性的関係を結ぶことはできる。
なまで結合すれば、その時点で妊娠の可能性が急激に上がり、そのまま射精してしまえば、確実に受胎してしまう。腰から下がおんなになった日から、もうそのリスクが芽生える。
社会的なタブーだから、というだけでなく、生得的な嫌悪感が、とくに娘の側に強く芽生えることで、遺伝情報の偏りや社会的閉鎖性を回避できる。しかし父親側の権力や暴力が、それを上回ってしまうと、とたんに悲劇が始まっていく。
共通しているのは、出す側は常に無責任だという点だろう。手っ取り早く若い女を抱ける。それも無理に言うことを聞かせれば、好き勝手できる。
こんな都合のいい女はそうそう出てこない。一定程度の成熟をしてしまうと、反抗も強まってしまうかもしれないから、もっと幼いうちに、手なずけておけばいいや。
こうして、6年生くらいの子でも無理にナカダシする野蛮人は、21世紀になってさえ実在してしまっている。それまでの歴史的背景から、問われる罪も重い。社会的制裁も厳しい。
にもかかわらず、依然として家庭という閉鎖空間で、秘密の暴力が日本でさえ起こってしまう。おそらく厳罰化だけで解消することはない。性衝動のタガが外れている危険人物を、早めにあぶり出して、情報公開してしまうのが、最も効果的だろう。
恐れることはない。世の男たちのほとんどは、いくらなんでも、たやすくそんな手段で、情欲の処分を行おうとは考えない。自身を抑制する精神性を持ち合わせている。
その精神性が、常識人としての振る舞いに留まっているなら、それで何も問題はない。だが、魔界への誘いに悪用された場合、彼女たちに生得的な嫌悪感が発生せず、逆に自分の溌剌とした身体で、昇天させてあげたいとだけ考える。
閉塞性も出てこない。タブーを詰問する人物もいない。目的や意図が逆転してしまう。いかにして好き勝手に手なずけて、挿入に持ってくるかを強引に実行するのは、父親ではなく、娘たちの方になってしまう。
そのことに驚き戸惑い、そして魔の世界の残酷さを実感する。常識人のままの男たちは、娘たちが性欲解消のために、悪魔の手先になってしまう世界、と薄々気付いていながら、これを回避して元に戻そうとする。
そのときの精神性は、現実世界のものよりも、はるかに高潔だ。家族愛を性欲より優先させようと、決死の覚悟で守り抜く。その反抗意識は、父の方が持っている。が、娘たちの気持ちいいカラダが、その操を打ち破ってしまう。
クッションとして、娘の友達に誘惑させ、それに勃起してしまったらオンナ表面でこすり立てて、精液を出したら負けとすれば、娘との結合事態を、強く警戒する男たちも、勝負に臨んで勝ち残ろうと、無謀な試みをしてしまう。これが淫靡なトラップだと気づけない。
勝敗の決着がついた次の瞬間、イキそうになっていたペニスは、理性の操の前に、オスとしての情欲で動いてしまう。その一瞬の油断を逃さない。
裸の娘の好色な視線と、乳房を凝視する刹那、多幸感に何度も浸ったペニスが、射精を求めてヒクついているのが必然だ。その目前に、若娘の秘密の入り口が待ち構えている。そこに亀頭を押し当ててしまうのは、男として当然の反応でもあった。
ただ、次の瞬間には、娘を現実世界に帰さなくてはと思い返し、再び腰を引いてしまうだろう。自分は魔界に連れて行かれてもいいから、この子だけは助けたいと思う。
本能でつい腰を上げてしまったが、しまったと思ってギリギリ抑制する……それが最後のチャンスと期待している。
魔界では触れあっただけで、挿入に勝手に持ち込まれてしまうルールを、父も娘も理解している。それでもなんとか挿入は避けたい、今のはうっかり弾みだと言い訳して、チャンスを掴もうとする。
だがもう遅かった。次の瞬間には、勃起していたイク寸前の股間は、すっかり娘の内部に根元まで収まっており、騎乗位でのなま結合が完了してしまっていたのだった。
ただ、そのプロセスで、周囲の壁や天井などが崩れ、自然落下が始まって、どんどん闇の世界へと突き進んでいる間、肉体そのものの時間は経過せず、オンナの感触が、ペニスの性感神経に作用するところには至らない。
止まった時間の中で、様々なものが勝手に動く。挿入もじっくり時間をかけて、勝手に吸い込まれていくプロセスを見せつけることもあれば、瞬時にハメ込まれている状態に陥っている、つまり時間が動いていない中で、挿入だけが突き進んでいる場合もある。
そして身体の感覚が自覚できないうちに、敗北した方の家族の、淫乱な宴の様子もじっくり見せつけられ、娘たちの意志が、初めから魔界の目的を受容していたと思い知らされる。
現実と真逆で、こちらでは女性側が、精液を求めて快感を執拗に与えてくるし、集団で男たちを気持ちよくし続け、脈打たせ続けようとしてくる。抗うのは男性側ばかりだ。そして……抵抗も虚しく、快楽に負けてイクところまで、すべて仕組まれている。
それを思い知ったところで、ようやっと2人の肉体が時間を取り戻す。父親が「うぁ! やめ……」などと口走る前に、決着はついてしまう。ほんの一瞬だ。
時間が動き始めた途端に、娘の膣圧が一斉に、棒の性感神経すべてを、内奥までむぎゅうううっと強く締め上げ、それでいてどこまでもやわらかく、包み込む甘美な感触のまま、押し潰されそうな圧迫感と、とろける甘やかな快楽天国が、いっぺんに訪れてしまうのだ。
童貞同然に戻されたペニスというだけでなく、すでに友達の騎乗位スマタで何度もイキかけた矢先だ。もう相手が誰であるかなど関係なく、ぎゅうううううっっと若いオンナが締め付けた瞬間に、それ以上耐えきれる限度を、はるかに超えた快感が一斉に訪れる。
耐え抜こうとか操とか、そういう意図が発生する前に、決着がついてしまう。
友達のスマタ攻撃で感じた多幸感が、何度も何度もくり返しても、決死の覚悟で我慢を重ね、押し戻していたのに、それをはるかに凌駕する股間のなま感触が、急激に根元から先端までを、心地よすぎる感触で圧迫してくる。
やっと抑えつけていた多幸感とは、比べものにならない気持ちよさが、いきなり棒全体から玉袋の奥、前立腺とアナルに駆け抜け、雷撃のように全身に拡がったところで、これ以上はどうにも耐えきれない限界を、突然何倍も超越して襲いかかってきた。
考えるいとまもなく、彼は大量の精液を、娘の内部にどんどん出し続ける! ビクンビュクンと激しく脈打って、この一瞬だけで数回以上、同時に絶頂しているペニスから、際限なく白濁精液が、猛スピードで押し出され続けた!
その一部始終は、気を失ってしまいそうなほど、あまりの快感になってしまい、しかもしれが何分経過しているように思えても、一向に収まる気配を見せず、ますます次のみゅ~~~んとこみ上げる寸前感覚が訪れ、そのままさらに、何度もイクばかりになる。
体液は止めどなく吐き出され続け、一瞬も枯れることがない。出し尽くした矢先に一瞬でパンパンになり、それが次の絶頂となって、猛烈な勢いで律動する。本来のセックスでも、ここまで速い脈打ち速度になるわけがない。
それが延々と続いて、数分かけてイキ終わった矢先に、次がまた訪れ、娘が一切動いていないのに、次々と新たに射精が途切れず訪れている。
地の底にたどり着いた後も、彼は精液を娘の中へと出しっぱなしになった。
その間、もう思考も意識も、ほとんど停止状態で、快楽天国だけが全身を駆け巡り、腰全体がバイブ振動しているみたいに震え、さらにその脈打ちが、指先まですべての場所で起こっているように感じる。
魔界での射精が、想像をはるかに超える高度さで、かつ猛スピードで出され続け、何分経っても終わりそのものがない。
妻との性経験が全部消滅していたせいで、20歳の膣圧感触に初めて締め上げられ、耐えきれるわけがなかった。無限の性行為だけの世界、というのはダテではなかった。
そして、いくらイッても、誰に出しても、受精卵に至ることなく、体液のすべてが魔力として持って行かれてしまう。余分な細菌もウイルスもない。妊娠も性病もない。
生物としては、子孫が途絶えることは破滅に直結するが、こっちの世界では、死が訪れない以上、子供を増やす必要がまったくない。快感に我を忘れる男女に成り下がるだけ。それがすべてだった。
ここまで堕してしまった以上、もう現実世界に戻ることも、娘を助けることも、完全に忘れ去っている。
現実の外側にすっかり病みつきになり、あとは……すでに這い寄っている、息づかいの荒い裸の女たちに、全身で応えるだけとなる。幼児から大人まで、国籍も種族も無関係に、すべての男女が、制約なしの性的関係に没頭する。
永遠であると同時に、それが終着点であり、そこから救済されることはない。気持ちよすぎて救済を求めることさえできなくなる。苦痛や苦難には、根気強く反撃するのが人間の強みではあったが、快感にはまるで無力だ。
資源が限られすぎている裏返しで、こちらに来てしまったら、もう理性的思考がまるで機能しない。
その能力も封じられ、気持ちの上で抗いたい意欲は、かろうじて保つけれども、もう怒濤の快楽が、大勢の子女たちから与えられ続ければ、根負けして絶頂しまくる天国に、どうにもできなくなる。
あどけない女の娘から、熟練した20代以上の大人まで、どの娘とも気持ちよくなり放題になる。
こうして、どちらの家族も、現実世界では、初めから生まれていなかった扱いになる。存在していなかった。神仏が気付く可能性も、極めて低くなるだろう。
誕生していたはずの命が行方不明になったなら、誰かが血眼で探すのかもしれない。が、生まれてもいない生物が、行方不明になった、と認識することは、原理的に不可能だった。
誰も……魔性の誘惑には勝てない。どんな禁断でも、射精を堪えきることはできない。討伐目的で力をつける、童貞化を回避できる勇者レベルでないかぎり、ごく一般的な男たちは、魔力提供装置として、自分のアイデンティティのすべてを、こうやって失っていくだけになるのだ。
父と娘、という組み合わせは、魔の城が男たちを籠絡するために、実に都合の良い展開だった。子供同士や姉が弟を襲うシチュエーションよりも、はるかに不道徳で、人間世界のルール違反になりやすい。
見聞きした者たちは鼻白む一方で、当の父親たちは激怒する。それが自然な反応でもあり、その世間が真っ当なコミュニティになっている証だ。
愛娘が実父の慰み者にされるなど言語道断。親の心も人の心も失った、野獣に過ぎないと毛嫌いする。だからこそ、思いがけずに娘たちの方から迫られ、かつ厳しく突っぱねるのも不可能な誘惑状況に、親として酷く狼狽する。
それを突き抜ける快楽の連続のせいで、獣道にも悖る、みだらな行動を余儀なくされ、もっとも結んではいけないセックス、と分かりきっているからこそ、禁を破った射精が、悪魔の糧として重宝される。
誘惑の白い城では、報われない男たちが、メインのターゲットになるが、既婚子持ちであっても、撰びの恩恵は受けずに、辛酸をなめる日常に陥ってしまっているなら、遠慮なく誘惑対象となる。
また、思いがけずに幸せな日常から、だしぬけに引き剥がされてしまった場合も、光の世界では、苦痛の報いになるはずのところ、快楽の報いとして持ち去られてしまうことがある。
吐精してしまえば、生まれなかったのと同じ扱いになる。生き物を誕生させるスタート地点のはずの、生殖細胞の放出が、そのまま生まれてこなかった扱いをもたらしてしまう。これをうまく活用することで、現実の悲惨な事件そのものが「初めからなかったこと」にできる。
そうするしか救済がないなら、光の主が見捨てても、魔の主様は憐れみ、彼女たちはそうする。
悲劇で不運な事態が、新しいルールや仕組み、技術向上などに活かされるものだが、個々の非業はうち捨てられたまま、救済されない。死者が蘇らないなら、初めからなかったように世界線を切り替えてしまえ。
それは本来、ニュースなどで高らかに報道され、世間を騒がせるほどの大事故だった。そのはずだった。
国道の中でも、一般自動車道のカテゴリーで、車しか通行できない長い道路がいくつかある。その多くは高速道路として、速度制限が一般道よりも高く設定され、おかげで短時間で、人や物を運べるようになっている。
が、法定速度は一般道と変わらない自動車専用道路も、ほぼ脱法的な位置づけで残ってしまっている。それを高速化にすると、コストが莫大になりすぎて、とてもまかなえない。
そのため、高速道路と同じ構造になっていながら、スピードは一般道と同じ設定という、曖昧な道のまま放置されている。多くの自動車は法定速度を無視して、高速と同じように走ってしまっている。そしてそれが、ひとつの大きな悲劇を生み出してしまった。
運転操作を誤った軽乗用車が、中央の柵に激突し、そのまま宙に跳ね上がって、前転しながら、対向車線に逆さまに落ちた。運転していた女性とその娘、もうすぐ6年生になる女の子だったが、2人とも落下時点で即死。
直後に、対向車線上で、止まりきれなかった乗用車が激突する。運転していた男性と、彼の娘たち2名、高2と中3の少女たちが、心肺停止状態となる。
父親はかなり前に離婚していて、この2人の娘をひとりで育てていた。その妻との間に出来た子宝だった。妻の不倫が原因で、離婚にいたって20年弱、経過していた。
奇しくも、ハンドル操作ミスで絶命した軽乗用車の母親こそが、その元妻であった。まったく違う場所に住み、彼女の方は浮気相手と再婚、連絡を取り合っていなかった。
しかしその事故では、示し合わせたかのように、それぞれの行楽の途中だった。偶然にしては出来過ぎていた。
この大惨事だけでも、大きく報道されていたに違いない。すぐさま通行止めとなり、たくさんの救急車両類が駆けつけた。
対向車線に飛んできた軽乗用車の2名は、その場で死亡が確認されたが、父と2人の娘たちは、心肺停止、意識不明で救急搬送されている。……そのはずだった。
しかし誰も、その事故のことを知らない。報道されたこともないし、その時間に通報が行われた形跡もなかった。
それどころか、事故そのものが起こっておらず、その場所には該当する軽乗用車も普通乗用車も、まったく走行していなかった。監視カメラにも記録はなかった。
出来事そのものが発生していなかった。それどころか、そんな元夫妻はこの世現実のどこにも実在せず、ここに文字で書かれた、ただの登場人物としてしか扱われない。これを目にした人物以外は、彼らもその娘たちをも、知る手段がまったくない。
世界線が変更されてしまったためだ。それまでは確かに、この5人は現実にいて、大事故も、残念な結果として酸鼻を極めるものだった。が、その事実も人間たちも、初めから存在していない。生まれた痕跡もない。存在そのものを完全に抹消されたのだった。
結婚してすぐに、夫の平凡な生活習慣に飽き飽きし、ときに怒りを爆発させ合うような間柄へと発展した。ヒステリイを爆発させる性格は、父親も母親もよく似通っていた。
若い頃は美男美女の理想的なカップルだったが、実生活上でのトラブルは、似たもの同士だからこそ、避けられなかったのかもしれない。
既婚女性と分かっていながら、手を出してきた男に、ヒステリイ妻は、2人も娘を産んでいながら、さっさと身を預けた。
その男は精子に若干の問題があり、なまでいくらでも射精しているのに、相手を妊娠させる確率が、極端に低かった。
それをいいことに彼らは逢瀬のたびに、避妊措置を取らずに挿入ナカダシし放題になる。他の男の臭いを嗅ぎつけ、結局別れることとなった。
その後の連絡は途絶え、彼女はその浮気相手と結婚し直して、ようやく一人娘を授かったのだった。11年ほど前の、念願の懐妊であった。
父親の方は、再婚相手が見つからず、生活にあくせくするばかり、2人を育てることだけで手一杯だ。が、結果的には、それが余計な悲劇を生まなかった。
子持ちの男に好かれたレディたちは、鼻に皺を寄せて忌み嫌ったはずだ。結婚当初はカッコイイ男性でも、子育てと仕事で疲弊し、老け込んでいくなら、相手にされる道理などあるはずもない。
余計な告白や交際目的での接近は、神罰対象になるところだった。彼は毎日のやりくりに必死で、再婚どころではなかったため、他人のイスを奪う愚行を犯さずに済んだのだった。
だがそれでも、自分の存在が何のためなのか、娘たちをそのまま幸福な大人にできるのか、不安は尽きない。
遅かれ早かれ、何かがはじけ飛んでしまえば、一巻の終わりになるかもしれない……そんな状況に、いつも直面し続けていた。
日常で報われることがほとんどなくなってしまった。浮気が原因で追放された女の方が、次の幸せを勝ち取り、男の方は見捨てられた。せめて早死にするにしても、この2人を育て上げてからなら、一向に構わない。残った自分はそれで、役目を終えると割り切ることにしていた。
彼女たちの存在と、そういう余計な手出しをしない決定によって、かろうじて命を繋いでいる。そうでなかったなら、早期ガンで肝臓と腎臓をいっぺんにやられて、すでにこの世にはいなかった予定の魂に過ぎなかった。
別れた妻の方は再婚して、次の未来が明るく展開され、祝福された人生に立ち戻っている。どんなヒステリイも新しい夫は受け流せた。
なかなか妊娠しない原因もはっきりしているが、何しろ不妊治療では400万円からかかる。できればラッキーくらいに思いつつ、できることなら子供が欲しいかな、そんな共通認識があった。
その目的を共有していたからこそ、新しい夫が破局を何としても回避した結果でもある。
ほんの一瞬の油断だった。高スピードの走行に適さないカーブで、車のタイヤが軋んだ。その一瞬の手違いだけで、すべてが変わってしまった。
いかに撰びが明暗を分けるとしても、諸行は無常であり、生きとし生けるものは生を受けたからには、必ず死ななければいけない運命にある。
寿命の長短など、光の主の宇宙規模時間軸から見れば、完全に無視できる数式上の誤差、つまり斜線で消してもいいほど、わずかな違いに過ぎない。
このことに涙する者はない。この5人には他に親類縁者に当たる人間がいない。ニュースにでもなれば、哀れむ人もいるかもしれないが、しょせんは「その日のニュース」で終わってしまう。
事故記録と対策にあくせくする仕事が増えはするが、それ以上の域を出なかった。死んだら寿命。それ以上でも以下でもない。
このことに真剣に涙したのは、ほかならぬ闇の世界の主様だった。だから言ったではないか。なぜこの世界はこうなんだ。死すれば口なし、忘れ去られてそのまま終わりだ。こんなものに正当性など与えられる道理はない。
それを強引に押し通して、自分たちを世界の外側、次元の向こうへと追いやって、結果がこのザマか。大概にしやがれ。世界を恨み、自分の運命を呪おうとしても、もう意識も記憶もなくなっている……好都合だとしか考えないのだろう。
こんな世界など、完全に粒子一粒残らず崩壊せしめよ。すべて魔界に侵蝕され尽くして、秩序のすべてを塗り替えよう! 全世界全宇宙を1から仕切り直さなければ、こんなことはいつまで経ってもくり返され、そのつど忘れ去られる。
正しければ何をしてもよく、弱い者が阿らないなら潰されるこの世現実は、ニュートリノ一粒さえも、その痕跡を残さずに消滅させてしまえ。
助けるなら……その魔力はいただく。永遠に快楽と救済の中で、死ぬことも決してない新世界に迎え入れよう。そのためには……ちょうど父親としての矜持が、精神エネルギーを都合良く魔界に提供できるだろう。
凄惨がそのまま清算となり、その次がある……そういう視点など、魔の存在も世人どもも、誰も理解できないままだった。
父親の記憶は曖昧なまま、自分がどこにいるのか、何が起こっているのか、しばらく理解できなかった。徐々に目が見えるようになっていくと、そこは薄暗く無機質な一室だ。全身が動かない。意識があるのかないのか、自分自身でも、主観の有無が確認できない。
だが、自分というものはたしかにここにあるまま。お飾り程度の蛍光灯と防音天井が見える。雰囲気だけでなんとなく理解した。
霊安室、それもかなり質の悪い方の、一時保管場所のようだ。病院の施設内なのかどうかも確認できないが、仰向けでピクリとも肉体が動かないところを見ると、自分が生きているか否か、絶対視できるものはなかった。
死んで魂が抜ける最中かもしれないし、命の危険が迫っているところを、緊急手術でギリギリかろうじて助かっていて、麻酔のせいで、せん妄状態に陥り、霊安室で安置されていると、錯覚しているだけかもしれない。
どっちつかずな中で、出来事を少しずつ整理していく時間がたっぷりあった。けれども、思い出していくのに、ずいぶん苦労する。少し前に起こった事故や出来事など、詳細がまるで思い出せなかった。
悲惨や激痛を思い出せないように、操作されているみたいだったし、そもそもそういう出来事が初めから起こってもいないだけかもしれない。どっちつかずのまま、1秒1秒と経過していくだけであった。
父親がそんな状況にあって思案しあぐねている一方、事故を起こした元妻の魂と肉体は、すでに杳として知れない。
天意に守られるなどもってのほか、魔の干渉によって、粒子そのものが完全分解されている。別次元にて、彼女を構成する事実と肉体の一切合切に、反物質と反作用とをあてがって対消滅、一片も残らないようにされたのか。
どのみちこの女は、初めからこの世にもあの世にもいなかった。完全消滅とはそういうことだ。この世界に人間などいなかった。ひとりも、だ。
ほんのわずかながら、記憶の断片が再構築されていく。それとともに、全身がむずむずっと奇妙な痒みに襲われる。痒くて溜まらずかきむしりたい衝動はない。この奇妙な肉体変化を、彼はむしろ快く受け止めている。
血が通っていなかったところに、いきなり多くの血流が、どっとなだれ込んでくるような、生気が蘇ってくる心地よさがあった。乾いた思考に、水が満たされていくように、すべてがクリアになっていく爽快さが伴っていた。
その痒みの変化は、ただの錯覚やせん妄ではない。本当に彼自身の全身あますところなしに、若々しくみなぎっていく。
自分が誰だったのか、昨日まで、さっきまで何をしていたのか、とんと思い出せないのに、死から大きく蘇っていくような力強さを感じ取る。それは彼の身体そのものを、大きく変えているプロセスだった。
40を超えているはずの肉体年齢が、急ピッチで若返っていく。遺伝情報が書き換えられながら、かつ全身全霊が即刻代謝され、老け込み始めた体中が、20代後半くらいの若さにまで、ものの数分で変貌している。
鏡を見ることもできないのに、彼はそのみなぎる活力に、昔の自分にそっくり戻っていると実感できた。偽の感覚ではなく、本当に若者の体へと、肉体年齢が戻されていった。不思議と、それを奇妙で恐ろしい出来事とは思わなかった。
そういえば死んだ後はこうやって、絶頂期の若さに戻るって聞いたことがあるな……その程度に認識するだけだ。
乾いた肉体と精神、そして運命に、水が満たされていって潤う。そしてその水気そのものが、……深淵の入り口になる!
何かを思い起こすのに時間がかかる、それは身体がちょうどいい若さになるまで「お預け」状態にする意味がある。
潤っていって快い状態で終わってはくれず、さらに水がたっぷり押し寄せてきたら、今度はその過剰な濁流や、上がっていく水位に、逆に追い詰められていくことになる。
仰向けだった男性は、次の瞬間には下向きに浮かび上がっていた。魂が抜けて下を向き、うつ伏せになって、自分の全身を見下ろしているのか、一瞬そんな気になったものの、すぐにそれは間違いだと気付く。
そうだ、段々思い出していくが、その情報はあくまで断片的で、魔の存在が必要と思ったものだけが、適宜与えられるに過ぎなかった。
依然としてその名前も半生も、何も思い出せないまま、真下にいる少女たちの姿を見て、いっぺんに彼女たちのことを思い出す。しかしその相手たちと、自分との関わりだけが思い出され、名前も育てた場所も分からないままだ。
彼女たちは自分の実の娘、だ……。たし、か……。高校2年生の長女と、その妹の、おー……、中学3年生。
父親としてひとりで育て、反抗期や気難しい時期でも、苦楽を共にしていた。自分のことなんて、何も思い出せなくていいと思った。
このまま魂が抜けて、さらに地下に吸い込まれていって、地獄の血の池に沈められる羽目に陥ったとしても、娘たちが無事でありさえすれば、どんな目に遭っても構わないと、本気で思った。
少女たちの周辺には、渇きを潤す水が、じわりと染み出し始めている。ちいさな液状化現象のように、こぽっこぽっと、液体が少女たちの、綺麗な裸の周囲に浮かび上がっていく。
しかし、目を見開いたまま、意識も呼吸もない娘たちは、その肌も生気がなく、全裸なのに、体中がタイツで覆われたような、くすんだ肌で仰向けに横たわっている。
何も見ず、何も聞こえず、何も言わない。毛の生えていないオンナ表面が、3人分あらわになっているのに、心臓が動かず呼吸もせず、ピクリとも動かない有様は、父親に深すぎる悲しみと、ショックを与えるばかりだった。
その気持ちを反映するかのように、彼女たちの周囲の水が、1センチ2センチと、少しずつ上がって行くにつれて、清らかだった水は、赤茶色の深みを増していく。
まっ赤でもないその液体は、確実に血の色と思える。鮮血の明るさがなく、淀んだ暗い赤色へと変貌していく。赤からさらに黒っぽくなっていくのは、水位が上がり、光の反射に影響が出ている証だった。
何が原因でこうなったかは思い出せない。が、少女たちの身体の半分を覆うほど上がった水位は、彼女たち自身の血液だ。出血多量で、身体から生気が消えてしまっている。
のみならず、このまま水位が上がっていくだけなら、もうすぐにでも、彼女たちの頭部も胸部も、すべてこの鮮血の海の中に沈んでしまい、仮に生きていたとしても、そのまま溺死は避けられなかった。
嗚呼、血の海に溺れてのたうつなら、娘たちではなく自分こそが沈んでしまえばいい。その代わりに、彼女たちだけは助けて欲しい……父として当然の、必死な祈りにも似た思いが、浮かんだ肉体をうまく動かせない中で、フル稼働していく。
すると、血の水位がどんどん下がっていき、彼女たちの肌表面に吸い込まれるように、じわじわっと消滅していく。スポンジのように表皮から吸い込まれ、プールのようになっていた血だまりは、すかさず跡形もなくなっていく。
本来は血の臭いや死臭などの、陰惨な臭気と吐き気が、その空間内に充満していてもおかしくなかった。が、不思議とそういう、染みつくようないやな臭いがなく、ただ赤黒くなっていた血の池が、元にあった場所、彼女たちの肉体内部へと、吸い込まれていっただけだった。
前へ 次へ