■hao-chi 05

 体重が掛かったままだとかわいそう。肩が痛くなっちゃうし。ぼくは一旦布を解いて、ユイの身体をベッドに寝かせた。
 しおれた翼と尻尾がいたいけだった。お酒のせいなのか、お薬のせいなのか、顔が赤い。呼吸も浅くて速かった。
 なんかダメ。天井さんじゃないけど、新たなナニカに目覚めてしまいそう。女の子の服、こんなに似合うんだ。
 もう少しみていたかったけど、きっともう目を覚ます。


「ル……ナ……?」
 一瞬、ここがどこかわからなかったみたいだ。目をあけて、身体を起こして、自由にならないことに気付いて──首輪と手枷は外してない──それから、また、ぼくをみた。怯えと期待が混ざった、ぼくには甘いカクテルみたいに思えた。
「ルナ……っ……」
 ぼくはユイの前に跪き、そのまま体を低くして腰を抱いた。
「……っや……なに……」
 くちづけて、やさしく、舌と唇を這わせる。
「ぁ……!」
 膝を立てさせて、もっとしっかりくっ付く。溶かした体をまとわせて、翼をそっと撫でる。
「……ぁ……ル、ナ……」
 くちゅん、とちいさな音をたてる度に、ユイは弱々しく喘ぐ。少し、戸惑い気味にぼくの名前をよぶ。
「おはようのキス」
 胸にだけど。と、ぼくはにこりとわらう。
「ユイ、こわれるの早スギ」
「そんなこと」
 ひどいかも。うーん。ひどいかな。泣きそうな顔でうつむくユイをみてると、どきどきしてきた。
「もっといっぱい、えっちなことしよ」
 今度は唇にキスして、抱き締めた。何か言いたそうだったけど、諦めたのか溺れたのか、柔らかな舌が素直に絡み付いてきた。


 これは、ぼくの私物。本当は服の下に着けちゃおうかなんてワルいコト考えてたんだけど、あの時はまだ理性が勝ってて、できなかった。いまなら大丈夫。いまのぼくは悪い子だからできちゃうよ。
 露骨な飾りは絶対似合わないと思ったから、清楚なつくりのものを懸命に探した。
「ピアスとか、だめっ」
 ユイはソレをみると、恥ずかしさと恐怖に首を振った。
 ホントにするのもアリだけど。
 瑕がのこるのはかわいそう。
「ホンモノじゃないよ」
 ポストもついてないし、磁石とか、電脳的な制御もなし。かわりに、魔化されてる。
「ただのクリップ」
 こうするとくっつく、とぼくはちいさな魔力を込めてその可愛いアクセサリで胸を挟んだ。
「……」
 少しほっとしてたユイだけど、すぐ状況をさとって身じろぎする。
 手枷が空しく軋む。
「ひ……ぅ」
 クリップはぼくの意思で、緩んだり締まったり、できるようになってる。そういうマジックアイテム。
「こんな、の」
 こんなの、だめ、ユイは可愛い唇から舌をこぼれさせながら、ぼくを見上げた。
 鎖を引くと、胸を突き出すみたいなやらしい格好。
 肌蹴た服も、出そうなトコロも、みんな、淫らだ。
 クリップのない片方に、仄かな装飾の付いた糸みたいなチェーンを巻く。
「だ、め」
「イイでしょ」
 触手を滑らせながら、ぬるぬる締め付ける。こんなコトにつかうなんておかしいような丸くて澄んだガラスが粘液を纏っていく。チェーンについてる飾りは、目を凝らさないとわからないくらい細かくて、薄くて、そこが綺麗で気に入った。大事なひとの身体に似てる。淫らにしても、汚れないところとか。
 チェーンを少し動かす。小さなパーツが揺れる。精気にあてられて凶暴になりそうな触手を抑えて、滑らせる。硬く色づいた胸の先を括って、尖らせてつつく。
「ぃ……ぁ」
 びくびく身体を震わせて、触らないトコロから、また吐き出した。
「あっ……あっ……あっ」
 ぼくは達したまま痙攣を続ける身体を膝に抱え、たっぷりと、胸を可愛がってあげた。
 クリップを締めたり、緩めたり、あと、蝶が通ったみたいなほんのすこしの電気でも。ぼくの大好きな淡い瞳がくずれる。
 ひくひくと白い飛沫をこぼして、意識のない身体がひらく。
 指の腹で胸を撫でると、目が開いた。
 快感で失って、快感で戻った意識に、ぼくは囁いた。
「狂いそうでしょ」
「あ゛……」
 手枷を解かないまま、ぼくは触手でユイを吊るした。括った胸の鎖に薄く腫れた先端が目立つように身体を反らせて、そこを触る。
 触手で撫で回して、にこりと笑う。
「すき?」
「……ぃ……」
「ここ」
 ぷくんと尖った胸を撫でる。やさしくしてあげる。小さな金属の音。枷が軋んでる。
 髪に触れて、目の前で揺れる触手に、柔らかな唇が触れる。涙と粘液に濡れたまつげを閉じて、ユイはぼくにキスしてくれた。火照った頬を更に染めて、ユイはぼくに告げた。
 かわいかった。
「うん。いい子だね」
 ぼくは自分の顔が熱くなるのを感じながら、壊れかけの恋人を見つめた。優しく、頭を撫でて首筋に口づける。
「ふぁ……っ」
 腰から脇腹を辿って、小さな痣に触れる。これは、ぼくの刻んだ証じゃない。右腕の付け根のちょっと下にあるソレは、よく見ると鱗だってわかる。これはどんなに鍛錬を積んでも薄いままの、唯一の弱点。こうして別の姿に変じても、必ず残ってしまう竜の証だ。的確に狙えば、一撃で殺してしまうことだって可能らしい。そんなこと、ぼくはしたくないけど。戦って殺すとか、そんなの無理だしやだ。
 奪うのはもっとちがう方法で。殺してしまうなら、べつのやりかたで。
 してあげたい。
「あ……」
 鱗に似た、すごく弱いトコロを何度も撫でられて、ユイはびくりと身体を強ばらせる。華奢な背中とぼくの身体の間で、翼が不安げに震えている。
 夕日の似合う淡い色した翼にキスする。ぼくはやさしく唇を這わせながら、触手と腕でユイの身体を抱きしめる。そっと包むみたいに触れて、緊張を解いてやる。ぼくにもたれながら、やっぱりソレに触られるのが怖いのか、ユイは目を閉じてしまった。
「っ……ぁ、駄目、だよ……」
 巻き付けたままだった触手で、尻尾を緩く締めながら上下に擦る。ここも、すごく敏感で弱い。それから、薄い皮膜。人間の耳があるべき場所にあるヒレみたいなトコロとか、翼の透けたトコロ。舌を滑らせて愛撫する。
 枷を繋ぐ鎖が軋んで音をたてる。
 それは大事な物をこわす音だとぼくは感じた。


「……ゃ」
 ぼくの指先は僅かに触れる強さを変えながら、長い間可愛い鱗の上にある。
「ひう」
 気持ちいい。ソレはきっとそう。弱点だから、刺激に対して敏感なんだ。
「いっぱい、出したね」
 ぼくは弱いトコロを苛んだまま、ユイの身体を前のめりにさせた。小さな鎖の音が心地良い。
 なにをしろと言われたのか気づいて、淡い瞳がひらく。澱んだ光が恥ずかしさに染まる。黒いスカートやエプロン、ぼくの膝、ベッドのシーツとか、飛び散った飛沫が告げてる。身体の大切な箇所を晒して、蹂躙されてるのもかわりない。それなのに、快感が総てに勝っている。
「きもちいいね」
 囁いて、溢れた涙を触手で拭うと、ユイは力のない目でうなずいた。
「気持ちいいコト、すきでしょ」
「……き……」
 絡めた触手に割り広げられ、膝を吊られてしまっても、もう抵抗は無かった。
「あ゛ぁっ……」
 涙と唾液が散って、また白く跳ねる。
 鱗に軽く爪をたてて、一緒に胸を摘んだから。軽く失神した身体を揺り起こす。さすがにちょっと、ココをいじめるのは酷いかも。かわいそうだから、鱗はもう解放してあげた。ぼくもチョットこわかったし。軽く触れることはあっても、こんなにしたことはなかった。そう反省しながらも、ぼくは無防備な姿を意のままに出来る背徳にひっそり微笑んだ。
 だってこんなこと、誰だって出来るワケじゃない。大事なものいろんなものぼくに許してる。だから愛おしくて、全部ほしい。


「……っ、びりってしな……で」
「嘘」
 すきなのに、ダメだよ、と頭を撫でてクリップを締め付ける。反対側は触手と指で粘液を絡ませ、細い鎖ごと擦り上げる。
「……ぁああ」
 半開きの口からとろんと舌がこぼれて、先からは唾液が糸をのばした。ソレをすくい取りぼくはそっと魔力を紡ぐ。
「ひ、あ」
 術式は小さな電気を描いてクリップに届く。
「……っ……っ……!」
 金属の軋む音が一際高くなる。ぼくが魔力を走らせる度にきこえる。ゆれる。
 もう、壊しちゃってもいいよね。
 ぼくも、たぶんこわれてるし。
「ユイのもっと好きなトコ、かわいがってあげるね」


「おなか」
 白いペチコートをめくって薄くて柔らかなそこを撫でる。触手と手のひらが、ぼくの熱さを伝えて、ぼくは、恋人の甘さを奪う。
 聖属性の魂を持った、大部分は魔物で、僅かに人間の名残を残した不完全な存在。駐在さん自身は大人の男のアイデンティティを持っているけれど、本当は違う。
 だからこそ、彼はがさつで乱暴な自分に固執するのかも。
 魔物の身体は、まだ亜成体のままなんだって、いつか魔導の先生にきいた。
 もしかしたら、深層では性的なことを恐れているのかも、なんてそのときにいわれた。かじられ過ぎて心が磨り減ってるのかも。だから彼を愛さない方がいい、気に入ったなら遊びで付き合えばいいって奨められた。彼は拒まないから、歪んだ存在でなければ、悪意がなければ、押せば落ちるって。
 重いから抱っこしちゃダメだっていわれたけど、ぼくはきかなかった。ぼくはユイが好き。
 こわいなら撫でてあげる。朝までずっと、手をつないで眠る。
 不安定なトコロも、たまらなく愛おしい。もっと振り回されたって構わない。もっとワガママ言って欲しいし、頼られたいし、今じゃなくていい。いつか、ぼくが守ってあげる。
 欲しいなら、壊してあげる。
 快感に弱くて、それが恥ずかしいと思ってるトコも、かわいいよ。
 ぼくなら平気っていわれて、ぼくだって壊れそうだった。
 好きになってくれて嬉しい。
 最初はあんなに怖がってたのに、いまは、こんなに求められてる。
 だからいっぱいにしてあげたい。
 ぼくの身体のどこかが熱くなって、ナニカが勝手に増殖していく。恋人への想いの分だけふえていく、なんて詩人すぎかな。だってしたい。ほしい。
 これ以上は保たない。身体がとろけて、ふにゃふにゃになる。完全に変身を解いて、絡み付く。さっきまで人間の指だった触手が、胎を求めて蠢く。偽りの交わりでもかまわない。植え付けたい。


「いっぱい、宿してあげる」
「……」
 両脚をひろげると、ふわりと桃の香りがした。
蜜がしたたり落ちて、ぼくの触手にも伝う。触れたトコロが疼く。すごいかも。時間が経てば経つほど、感覚を押し上げるんだ。
「ぁ……ぅ」
 ユイの様子がおかしいのもわかった。
 もう、何も言えないんだ。
「とろとろにしてあげるね」
「……ぁー……」
 いれやすいように、身体を吊り上げる。産み落としたものが、自然に奥へ届くように、姿勢を調節する。
 こうして緩く拘束すると、すごくいいみたい。いつもぼくが揺する前に、小さく手足が震える。きょうはもっと感じるからか、腰も揺れる。えっちな隙間からとろりと蜜をこぼして、ぼくになにかを訴えそうになってる。
 言葉にしたら、もう、欲しいとしか言えないから、だめなんだ。だから黙ってる。淫らなコト言わせたいけど、こんなになって壊れてても、いえないならかわいそう。ソレはまた今度にしよ。泣かせるんじゃなくて、今日は気持ちよくしたい。いっぱいに、してあげる。
 ぼくが管≠みせると、胸の鎖がぴんとした。
 あんなに出したのに、硬く、お腹の一番下で勃ち上がってしまって、苦しそう。女の子の格好してるのに、男の部分もよくなってる。
 触ってもいないのに、腰の奥がぱくぱくして、透明で溶けた飴みたいなしずくがしたたる。なんて倒錯的なんだろう。多分、お薬のせい。お腹からえっちな体液がたくさん出てくるよう一時的に改変されちゃってるんだ。
「っぁ……うぁ」
 管の中身が蠢く。目の前に持っていくと、染まった瞳が益々堕ちた。シーツに水溜まりが出来て、尖りきった胸を突き出す。触手が膝を左右に引いて、少し乱暴にひらくと、白い飛沫がどろりとぼくを汚した。
「ひ……あ」
 中身の満ちた管を右足に絡めると、ユイは窮屈な身体を痙攣させて気を失った。
「おきて」
 首輪を引っ張って起こす、でも焦点はあってない。
 鼓動が壊れそうに早い。
「ホントにだいじょうぶ?」
 だめっていわれても止められないのに、ぼくは格好つけた。
 だって、大事なんだ。
 壊しておいておかしいけど、傷付けたくない。
「ル……ナ」
「なあに」
 ユイはそれ以上何も言わず、顔の横にある触手に頬ずりした。身体をよじって向きを変え、そのまま触手に口付けた。


 卵を作るには沢山の養分が必要だ。
 だからユイの魔力が高まり、精気が凝縮しちゃう満月はイロイロ都合がいい。
 こうして、ちょっと意地悪しながら優しく気持ち良くしてあげると、ユイはいつも絡みついて来る。甘く、繊細な身体の奥で。そんなときでも、ぼくを求める仕草は儚げで、ほのかな恥じらいに染まってる。
 淫乱な自分への戸惑いが、ぼくを熱くさせる。ぼくは魔物の本能が抑え切れない姿も好き。
 だから、真面目な彼を壊しちゃう。堅い殻を溶かしちゃう。


 自由にならない身体で、精一杯ぼくを愛撫してくれる。優しい口付けに、ぼくの中の魔が抑えきれない。
 天井さんたちみたいな、優しい魔物ばかりじゃない。ボロボロに傷付けて、無理矢理奪い取っていく人たちもいる。そうしてまで欲しいんだ。彼のタマシイとか、レアな精気。
 わかるよ。
 いつも触れてるぼくには、よくわかる。ちっぽけなスライムが、僅かな期間で進化したのもそのせい。
 与えたいって思われてたら尚更だ。今も受け止め切れないくらいの精気が立ち昇る。
 ぼくにはくれるんだ。それが嬉しい。
 そして、欲しいって想われてる。
 突き破ってもいいとさえ、ぼくの狂喜が蠢き急かす。
 だめだよ痛みじゃ傷付けない。
 苦しめて殺しちゃうのはやだ。
 だから絶対痛くはしない。


「ん……んふ」
「……ん……く……」
 ちょっとだけ人の姿に変わって、深いキスをした。括ったままだから抱き合うことは出来なかったけど、あったかくて可愛くて素敵だった。
 甘い余韻のまま、ユイはぼくを見つめている。
 ぼくは管の絡まってない方の脚を撫でて言った。
「きょうはまだいれてないから」
 触手が小さな縁をつつく。まだだめだよ。
「あ」
 人の形の指を根元まで埋める。
 首輪の嵌まった喉を晒して身体がこわばり、震える。
「もうちょっと柔らかくしないとケガしちゃう」
 そう言って、挿れた2本の指を開きながら抜く。
「……っ……あ゛」
「そんなに締め付けたらいたいよ」
 喘ぎ声を封じるようにもう一度キスして、離さないまま指を戻す。熱い襞を辿って、奥を広げて撫でる。
 指を往復させると、やらしい水音が響いて白と透明の液体が滴った。
 よほど気持ちいいのか、絡めたままの舌もとろける。また気絶しちゃうかな、と思いながら触手に力を込めた。
 鎖と梁が軋んで、白い肌に痕を刻む。
「ふ……ぁ」
 唇を解くと、名残惜しそうに舌がついてきて、長く唾液の線をひいた。上目遣いでぼくをみる姿がかわいくて、頭を撫でた。
「あ……」
 指があつい、びくびくと絡みつかれておかしくなりそう。
 ユイはぼくの作ったソレをみて、淫らに反応した。
「あ、あ」
 右脚を締め付けながら、ぼくは空いた手にヘビを乗せるようにした。よく、みせてあげる。 ユイの瞳が怯えと期待で暗く輝く。なまめかしい魔物の色。
 身体が震えると、半端に脱がせた服がひらひら揺れる。清楚で可愛かったメイド服がドロドロで、もう、だめかも。
 指を抜くと、甘い媚薬が更に香る。サイドボードに残した小瓶。あんな可愛い淡い色の液体が、こんなに、きもちいい。ぼくは衝動的に手に取ってしまい、傾けた。触れてればぼくだって侵される。もともと、ぼくの体は均質だから、指先だけでも全部に影響受けちゃうのかも。もうしらない。いいの。
 きもちよくなるの。
 ぼくは桃の香りのしずくを浴びたソレをユイの胴に巻き付ける。きつく張った胸を触って苛めて、笑う。
 胸を滑らせながら先を舐めさせた。この触手には、細かく硬い突起が無数にある。破らない程度にナカを引っ掻く為のもの。今なら、触れたら媚薬も染み込まされる。舌を犯されて、薄まった精がまたこぼれる。気持ちいいの? ぼくもきもちいい。
「それ、トゲいっぱいある」
 舌足らずな口調に、どきどきした。触手が脈うって、昂ぶりを誇示する。媚薬と粘液を滴らせながら歪に蠢く。
「うん、あるね」
 ぼくはそれをいれる。
「あ゛、ひ」
「えっちな顔」
「ひ」
 びくびく跳ねる身体を押さえつける。
「これでお腹いっぱいひろげようね」
「あ゛、あ゛」
 ぼくの卵は小さいけれど硬い殻がある。管の中に浮いてる、半透明のまんまるなのがソレ。管を満たす液体ごと産みつけるけれど、数が多くて、クッションには心許ない。
 最後には更に別の触手をいれて、ぼくの精を混ぜないと卵が完成しないから、こうして、時間をかける。薄くて狭いお腹に、ホントはこんなコトしちゃいけない。だから、いますぐぐちゃぐちゃにしたいけど、ゆっくり慣らして、柔らかく満たしてあげる。
 この翼を千切ったらもうどこにもいかないのかな、なんて酷いこと、ぼくは思う。
 だめだよ、これ以上望むなんて。
 ユイの可愛い声が聞こえなくなる。また気絶しちゃったのかな。多分、ぼくが責め立て過ぎるからだと思うんだけど、もう無理。ぼくだって気持ち良くて、変なコトばかり考えてしまう。
「おきて」
 ぼくは自分も息をあげながら、ユイのうなじにキスした。
 抜くときも熱く絡み付いてきて、おかしくなりそう。触手が大きく脈打つ。長く接していたくて、傷付ける限界まで尖らせて何度か前後させて、ゆっくりと引いた。
「ぁ……う」
 それから、全部をスライムの体に戻す。
 多分、はっきりとはみえていない。きえてしまいそうな視線が、顔のないぼくをとらえる。触れたら毒になりそうな魔物の色をしているのに、どこかうっとりと優しい、恋人の瞳だ。
「いい?」
 ぼくが管を滑らせ持ち上げると、拘束する総てが一際つよく軋んだ。


 少しずつ、なんて無理だった。奥まで届く前に根元から管が膨れ上がって、送り込む。
 お人形さんみたいな綺麗な恋人の姿を快感で染めて、ぼくはこわれていく。
 苦しいのをわかってて、細い身体を括る触手に力を込めてしまう。
「……っぁ……だ、め……」
 そんな急に動かしたらだめ、ぼくは窮屈な快感と喪失感に翻弄される。酷くしようとする触手を抑えながら、見とれる。
「ん……っ……ユイ……」
 もう、声もでないみたいだった。淫らなしずくに濡れてあちこち汚れたメイド服が、ぼくを益々追い詰めた。こんなになってても、綺麗で触れたら消えそうだった。なのに、清楚な身体はぼくから無慈悲に精気を奪っていく。そして満ちた月のように魔力を与えて、儚く喘ぐ。
 かわいそうでかわいかった。
「も……ダメだよ」
 もう、 してしまいたい。


「たまご、きもちいい?」
「ルナ……」
 僅かに膨らんだお腹を撫でると、きえそうな声が僕を呼んだ。
「ユイ……」
 ぼくは触手をのばして首輪の鎖を引いた。
「きもちいい?」
 お腹を撫でる度に軽く身体が震える。多分、浅く達し続けてるんだ。
「……っ! ……」
 管を抜くとその刺激でもう白くない精を放った。
 ぐったりと梁に体重がかかる。ぼくの触手も軋む。
 卵が幾つか、粘液と一緒に落ちて、ベッドの水溜まりを広げる。
「だめだよこぼしちゃ」
 有り余る魔力で、胸の鎖を弾く。
「ひぁ」
 一瞬呼吸が止まって、ユイは虚ろな目でぼくをみた。
 きっといけないことだけど、もう止められられない。触手で優しく背中をさする。白い翼が揺れる。
 また、卵がひとつ、ふたつこぼれる。
「ぼくのたまご、きもちいい?」
 ユイは微かな仕草でうなずいた。


「ユイ……しんじゃうよ」
 喘ぎながら、ぼくは奥から出した触手を震わせた。堪えきれないしずくが、可憐な衣装とやわらかな肢体に落ちる。
「あ……」
 ぼくが何をしようとしてるか、もうしってる。ここなら大丈夫って、家以外でするのは初めてだけど、卵は沢山産んでる。
 ぬるぬるの先が、お腹を愛おしげに撫でて、お尻を触る。尻尾に結んだリボンが揺れる。小さくてすべすべで可愛い。いまから触手に喰べられちゃう。
 月に誘惑されて、視線で愛でられて、押し上げられて、お酒に酔わされて、媚薬に壊されて、恋人に。
 どうされる?
 こんな状態で精を流し込まれたら、どうなる?


 触れてるぼくにはわかる。鼓動が速過ぎる。そして、時折不安定で。


「ぁあ……っ」
 答えを知りながら、ぼくはぼくの分身で満ちた胎を押し開いた。
 考えれば考える程抑えられない。したくなった。


 出したい。
 だしたい。


 いうことをきかない触手が、ぎちぎちと小さなお腹を苛む。外から触れてわかるくらい、ナカを探って圧している。突けば、硬いちいさな卵が、媚薬でとろけた壁を擦る。
 大きな触手が暴れる度に、ぼくはユイを揺り起こさなくちゃいけなかった。
 だけどやめられなくて、奥まで突き挿れる。
 先からのしずくはとまらない。だから、もうでそうって、奥をぬるぬる擦った。溜まった粘液をくちゅくちゅとかき混ぜ塗り込める。
 部屋を満たす水音と、身体の反応でわかる。感じてる。欲しがってる。そしてはやくて浅い呼吸を繰り返すその奥の、大切な器官が軋んでるのもわかってる。
 だして、って襞が誘ってる。
 こわれた瞳がぼくをみてる。


 きっと耐えられない。
 これ以外はいけないのに。


 きもちよくて、しんじゃう。
「コレ出したら、ユイきっとしんじゃう」
「……っ……、……ぃ」
「いいの? じゃあ、してあげる」
 ぬるぬると奥を圧す。卵がぬ゛ろっと動いて襞を擦る。
「……ぁ」
 被虐感からか、全身の力が抜けて、触手と鎖に支えられた格好で身体をひらく。
 硬くした触手が益々硬く膨れ上がって、ぼくは、朦朧としながら微笑んだ。
 いっぱい、だしてあげる。
「ころしてあげる」
「あ゛」


 可愛くて、えっちな格好のままで、触手に絡まってる身体はすごく良かった。
 心臓の止まったユイのなかに、ぼくはなんども吐き出して、奪い取った精気で蘇生の魔力を紡いだ。


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