賑やかなパブの一角で若い女性が三人、声もなく飲んでいた。
美女三人ということで、野暮な連中が何組も声を掛けていくが、彼女たちは相手にしなかった。
剣もほろろに誘いを断られた男どもが卑俗な捨て台詞を吐いた時、一度だけ女の方が殴りかか
ったが、他のふたりに止められて事なきを得ている。
その騒ぎがあったせいかどうか、彼女たちのボックス周囲には、誰も掛けていなかった。
「……たく、バカどもが。こっちゃ苛ついてんだ」
プリスが口汚く罵る。
リンナが宥めているが、ネネは「いつものこと」とばかり放っておいている。
そんな彼女たちの真後ろのシートに、ひとりの若い男が腰掛けた。
プリスらは、ちらりとその方向を見て、手元のイヤホーンを耳に嵌め、胸元のピンマイクを調整
した。
「遅かったじゃないか」
『すいませんね。どうも情報屋なんて商売は、予定外の仕事がどんどんと……』
「言い訳はいい。それで?」
咎めるようなプリスの口調に、男は肩をすくめて答えた。
男はファーゴと名乗る情報屋である。
ナイトセイバーズ、というよりシリアが懇意にしている相手だ。
どういう経緯があったのか不明だが、シリアは彼を信用していた。
通常、情報屋は複数雇うのが当たり前の世界で、シリアはファーゴだけを重用している。
また、仕事も彼を通して入ってくることが多い。
だが、こうしてシリア以外のメンバーが会うのは今夜が初めてである。
お互い、顔を合わせないという条件で会合が実現した。
『シリアの姐さんが、最近仕事を受けてないのは事実ですね』
「……仕事がないわけじゃないんだな?」
『んなわけありませんや。引く手あまた、とまでは言わねえが、それなりにありますぜ』
「ふうん」
パーティションを隔ててファーゴの真後ろにいたネネが口を尖らせた。
「じゃあなんでシリア、受けないんだろ?」
「あなた、何か聞いてる?」
隣のリンナが小さなグラスを傾けながら聞いた。
中には透明な酒が入っている。
彼女は日本酒党なのだ。
『さあて』
ファーゴは腕組みして唸った。
『あっしにもなぜだかさっぱり。ただ、姐さんの様子が少ぉしおかしかったのは確かですがね』
「それはあたしたちにもわかったよ。その原因が知りたいんだ」
『そう言われましてもねえ、あっしもプライベートなつき合いがあるわけじゃねえんで』
「……」
そこで少し会話が途切れた。
それぞれが思いに耽っているのだ。
裏稼業が減っても、プリスたちは生活が困るわけではない。
それぞれに生業は持っている。
それでも、ブーマ退治で得た不法な報酬をアテにしている面がないと言えばウソになる。
プリスは、ライヴハウスのロック・シンガーとしてはそこそこで、まともに仕事をしていれば
それなりのカネにはなる。
アルバム化の話なども何度もあった。
しかし彼女は、歌うこと自体に関心があるのであって、有名になりたいとか、ディスクを出し
て印税が欲しいとか、そういう欲求はほとんどなかった。
カネが欲しくないわけではないが、レコーディングやテレビ出演などは、自分の好きに歌えない
ことがほとんどなので断り続けている。
しかも、「まとも」に仕事をしていない。
これはブーマ事件がライヴの日程とぶつかることもあるので、どうしてもキャンセルが多く
なるためである。
致し方ない理由だが、出演依頼をした側は当然立腹する。
だからと言ってプリスは殊勝に謝るような娘ではないから、ケンカ別れになるわけだ。
こうして自らの仕事を狭めてしまっている。
挙げ句、バイクのカスタムに湯水のようにカネを使うから、実際はカツカツの生活なのである。
リンナはダンス・スタジオのインストラクターだ。
能力はあるし、面倒見も良いので評判は上々で、報酬も良い。
普通に暮らせば困らないが、リンナは自前のスタジオを持つという目標があり、そのための
貯蓄が欠かせないのである。
おまけに趣味のクルマにかなり投資している。
リンナの歳で、3台もクルマを持っている女性はそんなにいないだろう。
維持費もバカにならない。
ネネはといえば、ADポリスの職員である。
プリスやリンナほどの高収入ではないにしろ、ひとり暮らしを賄うくらいは当然もらっている。
ただ、この娘の場合、やれコンサートだファッションだと、遊ぶための出費が多いのだ。
実家が金持ちで、子供の頃から金銭的な苦労をしたことがないし、小遣いで困ったこともない
ので、金遣いに遠慮がない。
警察の給料程度では賄えなくなっているのである。
もっともネネは、いわゆる買い物依存症とは違って、カネがなければないなりの暮らしは
出来る。
キャッシングしてまで買いあさるということはないのだ。
それでも、買いたいものは尽きない。
以上のような理由で、彼女たちにとって裏稼業が減るということは、かなり困った状況になる
のである。
ただし、彼女たちはカネのためだけにやっているのではない。
シリアがいくら安い仕事を請け負っても、文句は言わない。
意気に感じる仕事であれば、喜んで参加するのである。
その他、ストレス解消になっている面もあるだろうし、もはや彼女たちにとって、ナイト
セイバーズの活動は生活の一部というより、中心となりつつあるのだ。
ネネがファーゴに言った。
「ねえ、私たちの仕事が減って、何か変わったことはないの?」
「どういう意味だよ、ネネ」
「だからさ」
メンバー最年少の娘が、プリスに説明する。
「私生活で何もないんだったら、外部要因があるってことでしょ」
「そうだけど……。私生活って言えば、あんた、マッキーの方はどうなのよ」
「え……」
日本酒を煽っているリンナがネネに言う。
「おかしいのはシリアだけじゃないじゃない。マッキーも変じゃない、最近」
それはそうなのだ。
マッキーは仕事の現場にも出てこなくなった。
レーヴェンの整備場に行っても顔を合わせることがなかった。
「な、なんで私に聞くのよ」
少し顔を赤らめてネネが言った。
つき合うまでは行っていないものの、両者憎からず思っていることは、メンバー周知のことだ。
リンナは、からかうつもりはなかったので、ストレートに聞いた。
「だってあんたがマッキーといちばん仲いいでしょ」
「……」
「別に冷やかしてんじゃないのよ。どうかなって」
ネネは少しうつむきながらグラスを弄んだ。
ライトカクテルを飲んでいたが、もう氷がほとんど溶けてしまい、カラカラを高い音がしていた。
ネネも飲めない方ではないが、今晩はあまりその気にならない。
「様子がおかしいのはおかしいと思う……。理由はわからないけど」
「それってシリアがおかしくなったのと……」
「同じ頃だと思う……」
生ビールのジョッキをお代わりしたファーゴが言った。
『さっきの話ですがね』
「なに? 何でもいいわ」
『おたくたちが仕事を減らしてから、急に成り上がってきたやつらがいますな』
「誰、それ?」
『……ブロンクス』
「やつらか……」
プリスの言い方に棘があった。
実のところ、ナイトセイバーズのような活動を行なっているグループはひとつやふたつでは
ない。
新東京は、その犯罪の多さに対し、治安能力は低下の一途を辿っている。
大震災後に新規設立されたADポリスにしても、当初は暴徒鎮圧部隊であった。
しかし、その火力による打撃力を見込まれ、今ではほとんどブーマ犯罪専門のようになって
いる。
そのADポリスにして、都内のブーマ犯罪すべてには対応出来ていないのが実情なのだ。
その隙間を埋めるべく自然発生的に生まれたのが、ナイトセイバーズに代表される、非合法
武装集団なのだ。
イリーガル・アーマーズ、俗にIAと呼ばれている。
警察と異なる最大の点は、有料だということだ。
その代わり、報酬さえ貰えばどんな仕事でもこなす。
場合によっては犯罪にも手を染める。
もとが非合法組織なのだから、その点は遠慮がない。
ポリスとしては、痛し痒しの存在だ。
ADポリスの手が回り切らぬところをカバーしてくれる面もあるが、逆に敵に回ることもある。
ポリス側は認めていないが、彼らの本音としては「黙認」といったところなのだろう。
治安警察の手も借りてIAどもを一斉摘発できないことはないが、そんなことをしたら、違法
ブーマの跳梁跋扈に拍車を掛けるようなものだろう。
それがわかっているから、ADポリスは見て見ぬ振りをしている。
もちろん、彼らがブーマ退治以外の違法行為を行えば、その時は容赦しない。
そのことは、彼らもよくわかっているので、自分たちの仕事以外のテリトリーには手を出さない。
暗黙のうちに、持ちつ持たれつになっているのだ。
そんな中、ブロンクスというチームは、両者から疎まれ、嫌われている。
それも当然で、彼らはカネのためなら違法行為をためらわなかった。
さらに、他のチームの妨害も平気でやる。
この仕事の性質上、いくつかのチームがまとめて雇われることがある。
広大な敷地を守るような場合、4人や5人ではどうにもならないからだ。
そういう場合、ライバル同士でもサポートし合うのが普通だが、ブロンクスは助けるどころか、
味方を蹴り落とすようなマネをする。
人数が減れば分け前が増えるからである。
人質奪還の依頼を受けた場合など、人質救助は二の次で、犯人側に猛攻を仕掛ける。
結果として人質が殺されても、「自分たちが駆け付ける前に殺されていた」と平然と言って
のけた。
証拠がないので確認のしようがないが、それらのことは概ね事実とされている。
敬遠されて当然だったろう。
それでも仕事はあった。
チーム自体が少なかったし、何だかんだ言っても、ブロンクスも戦闘能力は高かったからで
ある。
荒っぽい仕事はブロンクス、というのが相場だったが、ナイトセイバーズ設立以降、状況が
変わった。
彼女たちはブロンクスのような無頼ではなく、それでいて彼らを凌ぐほどの戦闘力を備えて
いたからだ。
当然、それまで渋々ブロンクスに頼んでいた仕事はこぞってナイトセイバーズへ回ってくる
ことになる。
そのナイトセイバーズが開店休業状態に陥った今、再度脚光を浴びているのがブロンクスと
いうことらしい。
「……なるほどね」
と、リンナ。
「ADポリスでは総じてIAには寛大だけど、ブロンクスだけは例外なのよ。ただでさえ非合法
なのに、あれだけ荒っぽいとね」
ネネが続けた。
「じゃあ、そのブロンクスがシリアを脅迫だか恐喝だかしてるってのか? そんなもんにシリア
が屈するかな?」
プリスが首を振る。
「それはわからないけど、そう言えば、私も聞いたことあるわ」
組んでいた脚を解いて、リンナが少し前屈みになって言った。
「シリアが前に言ってたんだけど、最近ブロンクスからやたら連絡が来るって」
「なんだい、そりゃ?」
「ちょっとシリアが口を滑らせたんだけど、どうもやつら、うちと合併したいみたいなことを
言ってたらしいわよ」
「げげ」
「冗談じゃねえぜ!」
呻くネネと、激昂するプリスを前に、リンナは両手を拡げて言った。
「あたしが言ったんじゃないわよ。それにシリアだってそんな気はさらさらないって言ってたし」
それはそうだろう。
大体、女性だけのチームに男性チームを合流させても問題が起こるばかりだと思う。
増して、それがブロンクスではなおさらである。
そもそも、シリアは概ね知られているが、プリスもリンナも正体を知られるのはご免である。
警官であるネネなど、バレでもしたら懲戒免職だろう。
チームの合併など論外だった。
ほとんど水のようになったカクテルを啜りながらネネが首を捻った。
「そんなことくらいブロンクスのやつらだってわかってるはずなのに。どういうつもりかしらね」
「違いねえ。自分らが嫌われ者だってことくらい知ってるだろうしな」
ネネとプリスの話を聞いてから、ファーゴが口を開いた。
『そのことに関連してるかどうかわかりませんがね』
何を思ったのか、胸のポケットからサングラスを出してかけながら男が言った。
『ブロンクスがハードスーツを新調するらしいって話は出てますぜ』
「ハードスーツを?」
狭い業界だし、ハードスーツはべらぼうな値段がする。
廃業する業者でもあれば、すぐに中古屋や整備工場の関係者、あるいは他チームのメンバーが
ハードスーツの買い付けに飛んでくるくらいである。
その高価なものを新たに作るとなれば、話は業界中に知れ渡る。
「あんな高いもの、よく作り直す気になるわね」
「いくらここんとこ仕事が多いったって、そこまではいかないんじゃない?」
『ま、それはそれだけの話でさあ。関係あるかどうかはわかりません』
ファーゴは強引に話を打ち切った。
彼は、情報屋とは仕入れた情報を売るのが仕事で、想像や推理は管轄外だと割り切っているのだ。
はっきりしないことは言わない。
もし間違っていても責任がとれないからだ。
だが今回は話が別だ。
ファーゴがシリアに惚れているということもあるが、仕事の成功率および依頼主の受けの良さも
相まって、ナイトセイバーズは彼にとっても最大の金蔓なのだ。
『……あっしは確証が取れないことは言わない主義なんですがね』
「なんだよ、もったいぶんな」
『……コリンズってやつに、面白くねえ噂はあります』
「コリンズってブロンクスの……」
『へい。無頼揃いの連中の中でも「狂犬」と呼ばれてまさあ』
「そのコリンズがどうかした?」
ネネがパーティションにもたれかかって聞いた。
『……以前、姐さんの家に忍び込んだらしいって話が……』
「なんだと!?」
『見たやつがいるわけじゃありません。コリンズが酔った席でそんなことを口にしたのを聞いた
やつがいるんで』
「……何しに行ったんだ?」
パーティションの反対側で動く気配があった。
ファーゴが座り直したらしい。
『怒らねえで聞いてくださいよ。証拠があるわけじゃねえんで』
「いいわよ。で?」
『……言いにくいんですがね、どうも姐さんを襲ったんじゃないか、と』
「……」
「……襲ったって……?」
息を飲んだプリスとネネに代わり、リンナが意を決して尋ねた。
『……シリアの姐さんを、その……』
「い、いいわ、わかった」
「ふざけんな!」
またもいきったのはプリスである。
一瞬で周囲の注目を集めたことに気づき、気まずそうに座り直したが、まだ瞳が怒っている。
「でめえ、いい加減なこと抜かすと……」
『だから確証はないって……』
「どこから聞いたの?」
『さっきも言った通り、酒の席でコリンズのやつが口を滑らしたらしいんです。でも、そっちの
姉さんの言う通り、それが事実かどうかはわかりません。ただ……』
「ただ、最近のシリアとマッキーを見ていると、ということね……」
『へい。そんなことでもなけりゃ、あのシリア姐さんがあんなに落ち込んだりしますかね?』
「……」
『弟の異変を見ると、どうも姐さんは弟の前で、その……』
「下衆な妄想はやめな!!」
プリスはたまらず叫んだ。
ファーゴは素直に謝った。
『すいません。あくまで推測で事実とは別です』
そうは言ったものの、ファーゴもリンナもネネも、そしてプリスも、恐らくそれに近いことが
あったのだろうということはわかった。
プリスもネネも、うつむいて震えているネネの顔がまともに見られなかった。
気まずい雰囲気の中、ファーゴが言った。
『で、おたくらどうするんで?』
「どうする、とは?」
『まさかこのまま放っておくわけじゃ……』
「んなわけねえ!」
プリスが静かに叫んだが、リンナがことさら冷静に言った。
「だめよ、プリス。ナイトセイバーズの掟を忘れたの? 私闘は厳禁よ」
「私闘のどこが悪いってんだ! だいたい、これは私闘じゃないだろ! シリアの、あたしたち
のチームの問題じゃないか!」
「そうだけど……。でも、依頼のない仕事はしちゃいけないのよ。そんなもの、シリアが認めな
いわよ」
「……」
シリア抜きで出撃することは可能だろう。
しかし、それがバレないわけがないし、バレればプリスたちは解任されるかも知れない。
それが依頼なし、しかもシリアのためだとわかれば、余計にそうせざるを得ない。
そうでないと示しがつかないからだ。
「……じゃあどうするんだ」
手にしたバーボンを見つめたまま、ぽつりとプリスが言った。
それに対し、遠慮がちに応えたのがファーゴだった。
『……あっしに考えがあるんですが』
「あんたに? ……いいのかい、そんなにあたしらに肩入れして」
『なあに、以前シリアの姐さんに助けてもらったこともありますしね、今度はこっちが一肌脱ぎ
ましょう』
「……いいわ。で、具体的はどうするの?」
『へい。いいですか、要はきちんとしたブロンクス退治の依頼があればいいわけでしょう?』
「そうだけど、そんなに都合良く……」
『ですから、そこは……』
* - * - * - * - * - * - * - * - * - *
シリアは、部屋でマッキーに襲われて以来、既に三度ほど関係を持たされていた。
拒まなかったわけではない。
そのたびに、強く慰留を促し、思い留まるよう説得したのだが、獣欲の虜を化した弟は止まらな
かった。
殴りつけてでもやめさせるべきだったのかも知れない。
しかし、マッキーがこうなった一因は自分のせいでもある、とシリアは自覚していた。
やむを得なかったとはいえ、最初、暴漢に凌辱された時、反応してしまった。
弟の目がある前で、である。
その後、マッキーも男に脅迫されてシリアを犯したのだが、あろうことか、その時も感じて
しまった。
感情を表に出さないようにしていたつもりだが、弟は姉が喘いでいたことを見抜いていたのかも
知れなかった。
後日、部屋に押し掛けて、再度シリアを犯した時には、彼女ははっきりと絶頂まで押し上げら
れてしまった。
それをしっかりマッキーに確認までされたのだ。
それ以降、マッキーは男性として自信を持ったのか、あるいはシリアを蔑んだのかわからないが、
何度となく犯してきた。
弟がこうなってしまったのも自分のせいだと思うと、拒む気力も薄れてしまった。
そして、なし崩しのまま関係が続いていたのである。
シリアの方は、何とかしてこの爛れた関係を終わらせなくてはならないと思っているが、妙案が
なかった。
実はマッキーの方も同じ問題で悩んでいた。
現状が誤った関係であることを、頭では認識していた。
なのに肉体の方は、憶えてしまった肉の悦びを我慢出来ず、姉の美しい姿を見ると、どうしよう
もなく欲してしまうのだった。
いくら自慰しても収まらないのは以前と同じだ。
一度、姉の肉を知ってしまった以上、マスターベーションなど論外である。
それでも冷静な時は、姉に合わせる顔がない、と後悔し、懺悔し続けている。
潔癖な若者にありがちな二律背反であり、解決法もないではないが、それに気づく余裕はなかった。
日に何度も、マッキーのペニスは姉を求めて勃起した。彼は出来るだけ我慢した。
一日、二日くらいなら耐えられた。しかし三日保つことはなかった。
どうしようもなくなると、彼はフラフラと姉のもとへ訪れる。
そして、悲鳴をあげて拒む姉を強引にものにするのだった。
そんなことが二度、三度と繰り返されると、姉の方も半ば諦め気味で弟の滾るような性欲を受け
止めるようになっていた。
決してこの関係を認めているわけではない。
しかし、マッキーに対する後ろめたさに加え、シリアの身体も弟の愛撫に対し、とろけるような
官能を見せるようになっていたからだ。
そしてこの日は、シャワールームから若い男女のひきつるような呻き声と熱い喘ぎが流れていた。
「ああ……んっ……は、はああっ……あ、あああ……」
シリアとマッキーは、大きめの湯船の中で絡み合っていた。
シリアは入浴が好きで、浴室は広めに作ってある。
シャワーの他に、東洋式の大きめなバスタブを設置してあった。
そこにたくさんの湯を張って、手足を充分に伸ばして身体を休めるのが彼女の健康法だった。
その安らぎの場所で、シリアは最愛の弟に嬲られていた。
ソープを溶かして湯に浸かったところで、待ちかねたようにマッキーが襲ってきたのだ。
「んんっ……んむ……あ、あっ……やあ……ああう……」
マッキーは広い浴槽にもたれかかり身を沈めている。
そして自分の身体の上に姉を乗せていた。
浴槽いっぱいに溢れている白いシャボンの中から、美しい姉の上半身とすらりとした脚が見え
隠れしている。
その白い肢体を、二本の腕が泡の中から伸び出て揉みほぐしている。
少年の左手が、姉のふくよかな乳房を丹念に揉んでいる。
容赦なく握りしめると、指の間から白いソープの泡がはみ出てくる。
それがまるで乳房の一部が溶けだしたような印象を与え、マッキーの昂奮をいや増した。
シリアの方も、こんなところで抱かれるとは思いも寄らず、異様な緊張と羞恥を感じていた。
泡のせいで弟の愛撫が肌をぬめり滑り、それがいつもの感触とはまた違う快感をシリアに与え、
戸惑わせるのだった。
さらに弟の右手が下から伸び、むちむちした臀部を撫で回している。
ぬるぬるした感触に、じんわりとした快感を受けていると、今度は股間に潜り込んできた。
「だ、だめマッキー! ああっ!!」
シリアの秘裂は、器用に動く弟の指によって左右に拡げられている。
その真ん中に一本忍び込み、ゆるゆると膣口を擦っていた。
かと思うと、二本の指で媚肉の頂点にある敏感な肉豆をくりっ、くりっと揉みこねた。
シリアは弟に抱かれる背中に、異様に熱いものを感じていた。
お湯よりもずっと熱いそれが、勃起したマッキーのペニスだと知り、甲高い悲鳴を上げた。
弟は離すどころか、押しつけるように肉茎を姉の背中に擦りつけている。
その熱いものは、シリアが嫌がって蠢くごとに、姉のなめらかな背筋の肌に擦られてさらにムク
ムクと大きく硬くなっていくのだった。
マッキーは、幾度となく姉の裸身を貪るうち、どうすれば女が感じるのか、姉の性的な弱点は
どこかということを感覚的に掴んできていた。
シリアがどうにも堪えようもないところばかり責めてくるようになっている。
美貌の姉を使って、弟も性技に長けてきていた。
「ああ、もういや……マッキー、こんなこと、ああっ……も、もうやめましょう……ひああっ……」
弟は姉の懇願など聞かず、夢中になって熟れた女体を味わっていた。
シリアの裸体を好き放題にいじくり、恥ずかしい格好をさせている。
今、シリアは両手を湯船の縁に着かされ、四つん這いの姿勢をとらされている。
腿半分から下はソープに埋まっているが、シャボンと汗で艶々と輝くような肢体のほとんどは
マッキーの目に晒されていた。
「こ、こんな格好……恥ずかしいわ、マッキー……」
それはそうだろう。
マッキーはシリアが豊かな尻を突きだした真ん前にいるのだ。
弟はその息苦しいほどのフェロモンを放つ尻に、震える腕を伸ばした。
「だめっ!! ああ、そこはだめマッキー、いや、いやああっ!」
マッキーは腿を左腕を回して抱え込み、右手で尻の谷間を責めだした。
恥ずかしそうに堅く窄まる肛門を、ゆっくりと揉みほぐしていく。
そこがシリアの弱点のひとつであり、マッキーも興味を示して、今までもしつこいほどに責めて
いた。
前回犯した時など、とうとうアヌスにエボナイト棒まで飲み込ませたくらいだ。
シリアは、そんなところを性交の対象にされるなどおぞましい以外の何物でもなかったが、恥ず
かしくて悔しいのに、なぜか媚肉が濡れてくるのを実感していた。
指や異物を入れられた時、裂けるような痛みの他に鋭い快感があったことも事実だった。
責めるマッキーにもそれがわかったのか、そこにばかり粘っこい愛撫を加えてシリアを泣かせ
ていた。
ぬるぬるしたシャボンを利用し、マッキーの指が姉のアヌスを擦っている。
乾いている時に擦られ、火がつくほどの摩擦感に苛まれるのと違い、今度はなめらかに指が
愛撫してくる。
肛門からアリの戸渡りまで、ぬるっ、ぬるっと弟の指が走ると、シリアはギクン、ギクンと
背をくねらせるのだった。
次は爪先でコリコリと肛門を穿られた。
ピリッとした痛みと同時に、ジーンと痺れるような刺激が胎内に起こり、膣の奥から熱い蜜が
溢れてきてしまう。
排泄器官を嬲られているというのに、どうしてこうなるのかとシリアが苦悶していると、マッキー
はさらに責めを深めてくる。
「あう! あ、いや、それは……い、痛いわっ、ああ……」
「痛くはないだろ、姉さん。もう何度もくわえてるんだから」
「そんな……あううう……」
すっかり揉みほぐされ、柔軟になったアヌスに指が入ってきたのだ。
ほとんど抵抗なく根元まで人差し指を飲み込んでしまう姉の肛門に、マッキーは妖しい気持ちが
募ってくる。
そっとシリアの顔を覗き込む。
眉間を寄せて美貌を苦悶に歪めてはいるが、完全に拒否している風には見えなかった。
顔だけ見ていれば、苦痛を訴えているのか快楽に喘いでいるのか見分けがつかないだろう。
それに、シリアほどの美女が苦悶する表情は、悦楽に悶える顔に匹敵するほどの昂奮を男に覚え
させるのだ。
「ああ、あう、あうう……うあ……ん、んうう、ああ……」
弟の指が盛んにアヌスを出入りしているのがわかる。
汚辱感や羞恥心が薄れ、思わず尻たぶをマッキーに突きつけたくなってしまう。
それを必死に堪えていると、弟はアヌスを責める右手はそのままに、シリアの白く光る背中に
のしかかってきた。
指が肛門から抜け、ホッとしていると、両手が背中から回ってきて、揺れる胸肉をわしわしと
揉み込んできた。
豊満としかいいようのない、それでいてバランスのとれた形状のバストが、弟の手で様々な形に
揉み抜かれている。
人差し指と中指の股に乳首を挟んで愛撫するというテクニックもお手の物だった。
泡でぬめる中、散々揉まれた乳房は充実したしこりを見せ、乳首は完全に首をもたげていた。
もうシリアは、されるがままだった。
いつもこうだった。
拒むのは最初だけで、マッキーに20分も身体をいびられ、揉まれていると、抵抗する気力が
すっかり失せてしまう。
そうして二時間から三時間に渡って、弟の若い性にその身を任せるのだ。
姉の反応が露わになってきたのを知り、マッキーは彼女の股間を見てみた。
案の定、シリアは濡れていた。
汗とソープの泡にまみれていて確認しづらいが、シリアの股間からとろりとろりと、やや粘い
露が零れ落ち、官能的な太腿を伝っている。
よく見ると、同じ種類の液体が、恥毛の先から垂れ落ちているのもわかった。
間違いなく感じているのだ。
(姉さんは僕にお尻を責められて感じている……)
その事実を知っただけで、マッキーは鼓動が高まり、ペニスに芯が入ってくるのを感じた。
少年は、慎ましやかな喘ぎをあげている姉の美貌に陶然としながら、浴槽の脇に置いていた
玩具を手にした。
それをシリアのくびれた脇腹や張り詰めたヒップに押しつけている。
その感触にシリアはハッとしてそれを見た。
「マッキー、それ……」
シリアはさぁっと青ざめた。
それは、おぞましい肛門を嬲る器具だった。
この前から弟にそれを使われ、最初は痛いだけだったものが、最近では熱い官能を呼び覚まさ
れるようになっていた。
アヌスをそんなもので責められ、どうして身が焦げるほどの快美を得てしまうのかわからなかった。
姉が呻き悶えるさまで余計に昂奮するのか、少年はいつもそれで責めるようになっていた。
「い、いやっ……!」
ただ犯されてしまうだけなら、不本意ながら快楽に身を沈めて、その時だけは何もかも忘れる
ことが出来た。
しかし排泄器官を責められるのは、これ以上ないほどの屈辱だった。
しかもそれで感じさせられてしまうのがたまらなかった。
さすがにシリアも抵抗し、マッキーの手から逃げようとする。
しかし弟は、脇をすり抜けて逃げようとする姉の細くくびれた腰に左手を回して抱え込み、
その動きを封じてしまった。
そして右手で尻たぶを割り、その底を外気に晒す。
そこにある神秘の穴は、恐れおののくようにひくひくと震えていた。
剥き出しになったそこを見てゴクリと生唾を飲み込むと、マッキーは肛門用の張型を押し込んだ。
「そ、それはいや、いやよマッキー、やめ、ああっ!!」
真っ黒い硬質ゴム製の淫具がアヌスを突き破ると、シリアの口からつんざくような悲鳴が飛び出た。
長さにして20センチくらいはあるだろうか。
まっすぐの棒ではなく、やや反っていて弓なりになっていた。
形状は円錐形で、先端は細く、根元へ行くごとに太くなっている。
もっとも太いところで直径3センチほどだ。
おぞましいのは、その黒いゴム棒の周囲全体に無数の突起がついていることだった。
その凶器を、マッキーは一気に半分ほども姉のアヌスに突き刺した。
「ひぃぃっ……!」
シリアはまるで気がいったように背を反らせ、大きく呻いた。
さんざんマッキーが揉みほぐしただけあって、さして抵抗もなくシリアの肛門はそれを飲み
込んでいた。
ただし、入っていく時に、突起のイボが遠慮なくシリアの肛門の粘膜を擦っていく。
「ひっ……いや……あむ、むむっ……」
ぬぷぬぷと奥へと押し込まれると、肛門だけでなく腸内の粘膜や襞までイボに激しく擦られて
いった。
シリアはたまらず腰をうねらせ、悲鳴とも泣き声ともつかぬ媚声をあげていくのだった。
露骨になっていく姉の痴態に、ますますマッキーは高ぶっていく。
「ね、姉さん、そんなにいいのかい? だったら……」
「だめっ……ああ抜いて、あひっ……だめよ、そんなに深く、あううう……」
上擦ったような弟の声に、姉はとろけそうになる意識を必死に立て直し、暴虐を止めようとする。
しかし身悶えする美女に夢中となっている弟には無意味だった。
白いソープの泡がこびりついた艶々と光る豊かな尻に、真っ黒いゴム棒が埋め込まれている。
それだけでもマッキーは放出してしまいそうになった。
ゆっくりとそれを出し入れし出すと、姉の反応は一段と激しくなった。
「マッキーっ! いやあ、いや……や、やめて、お願い、うはあっ……はっ、くく……うむむ
……んはあっ……」
ゴム棒がゆっくりと淫らに動き出し、シリアのアヌスと腸内が抉られ、こねくり回される。
マッキーは我を忘れて責めているかのようで、その実、慎重に責め具を扱っていた。
何度も抜き差しを繰り返し、徐々に根元近くまで埋め込んでいくのだ。
シリアのアヌスを掘っているゴム棒が、30回も出入りする頃になると、もう完全に根元まで
飲み込むようになっていた。
シリアの肛門は3センチほどにも拡げられているのだ。
張型の全周に付着した無数のイボがアヌスと腸管を擦りつける。
シリアはその責めに巻き込まれていった。
弟がグッとゴム棒と突き入れると、思わず腰がうねる。
時々、マッキーのリズムに合わせて尻を突き出すことすらあった。
身体の芯が痺れてきた。
死に優るほどの羞恥と汚辱が、わき上がってくる快楽で薄められていく。
アヌスだけでなく、媚肉までドロドロに爛れていた。
そこからポタポタと垂れる恥ずかしい蜜に気づくだけの余裕がなくなっていた。
「だめよ、マッキー、あうう……そ、そんな……ああ……あうっ……」
勝手に腰が動く。
信じられないほどに肛門が反応し、気が虚ろになるほど悦楽が美女を責め抜いた。
肛門に埋められたゴム棒が動くと、シリアの脳裏にはその映像がフラッシュバックする。
弟の手によって突き入れられると、肛門の粘膜を巻き込んで深くまで腸内に入り込む。
引き抜かれると、腸の粘膜が責め具にまとわりついてめくり出される。
どちらにしても、いやというほどアヌスと腸内がイボで擦られ、カッと燃えるような強い快美感
を伴った。
乳首もクリトリスも、触れたら破裂しそうなくらいに固く突起していた。
マッキーが出し入れの速度を少し上げると、シリアは腰を振って悲鳴をあげた。
「くぅあっ、だめ、ああ、だめマッキーっ! そ、そんなにされたらっ……」
「いきそうなのかい、姉さん」
「そ、それは……ああう……」
シリアは思わずうなずいてしまいそうになるのを懸命に堪え、激しく首を振った。
するとマッキーは責め具を姉のアヌスから抜き去ってしまった。
イボが思い切りアヌスを擦り、シリアはぶるぶるっと腰を震わせて呻いた。
まだ口を閉めきらない肛門から、とろりとした粘液が垂れていた。
徐々に収縮していくアヌスに、マッキーはすかさずペニスを押し当てた。
激しい責めで痺れきった肛門に、今度は熱くて硬いものが当てられた。
それが何か、シリアは瞬時に覚り、絶叫をあげて腰を逃がした。
「バ、バカなことはやめて、マッキー! そんなことしちゃだめっ!」
「前ならいいのかい、姉さん」
「そ、そうじゃないわ。でも、こんなのは、ああっ!」
「僕はここでしてみたいんだ。いいだろ姉さん」
「マッキーっっ!!」
弟の太いものがアヌスを貫いてくる。
ジワジワと押し広げられ、メリメリと音がしそうだ。
「だめっ、お、お尻なんかだめよっ……いっ、痛いっ」
死ぬ思いで括約筋を引き絞るのだが、そんなことをすれば余計に苦痛が高まる。
マッキーのペニスのたくましさを思い知らされるだけだ。
何とか先が潜り込んでしまうと、あとはズブっと打ち込まれた。
繊細な肛門の神経が限界まで押し広げられ、シリアは気を失いそうになった。
マッキーは、裂いてしまわないよう、ぐいぐいと少しずつ埋め込んでいった。
「さ、裂ける……裂けちゃうわ……うむむ……」
マッキーの引き締まった腹が臀部に密着した。
とうとう奥まで埋め込まれてしまったのだ。
いやでも尻たぶに力が入り、硬直し、尻えくぼが出来る。
苦痛を耐え呻くシリアは、首筋を突っ張らせ、窪んだ背中線に汗を溜めて耐えていた。
腹の奥まで埋め込まれたようで、肉体が弟のペニスに占領されてしまったような錯覚を受けた。
しつこいほどに張型で責められ、爛れた粘膜を突き破られ擦られる苦痛に、シリアは腰と言わず
上半身と言わず揺さぶって呻いた。
うねりが腰から上へ昇っていき、乳房がぶるっと震える。
息詰まるような圧迫感に耐える姉のすべらかな背にのしかかり、手を伸ばして乳房をゆっくりと
揉みしだく。
震える姉の耳元で弟が囁いた。
「どう、姉さん。もうすっかり姉さんのお尻の穴が僕のを飲み込んでるんだよ」
「いや……あ、うあ……も、もうやめてマッキー、こんな……ああ、お尻が……」
肛門を犯される恥辱と、弟に凌辱される屈辱で赤く染まるシリアの耳を甘く噛みながら、
マッキーはやわやわと胸を揉んだ。
ぬるぬるの乳房をこねくると、乳首がぴくんと起立する。
そこを転がしてやると、姉は小さく鼻を鳴らし身悶えた。
ペニスを食いちぎるほどのシリアの括約筋の締め付けに慣れてくると、マッキーはゆっくりと
腰を動かし始めた。
「あっ! あああっ……だ、だめよマッキー、動いちゃだめっ……あっ、あっ、ああっ!」
ズキズキと疼痛のするアヌスをこじ開けられ、充血しきった肉棒で抉られる。
内臓をかき回され、腸を圧迫するかのような苦痛に、シリアはたまらず泣き叫んだ。
マッキーは、姉の苦悶をむしろ愉しむかのように、腰を突き上げていった。
「いあああっ……あっ、あうっ! ……あ、止め、ああっ……うっ、うんっ……き、きつい、
お尻きついのよ……ああっ……」
マッキーの腰が大きく動き、シリアの豊満な臀部にぶつかる。
そのたびに、ソープに混じって両者の汗が肉に弾ける音が響いた。
赤く爛れたアヌスに伝染したかのように、めくれあがる腸の粘膜も爛れてきていた。
マッキーはペニス全体を使って、長いストロークで姉のアヌスを犯した。
ぬぷぬぷと腸液にまみれた肉棒が盛んに出入りし、少年の性器に魅惑の快感を与えていく。
責められる姉は苦痛ばかりだったのが、弟の責めに慣れてくると別の感情が生まれ出てきていた。
深く突き込まれると、ぐちゅっとばかりに媚肉からも蜜が噴いていたのだ。
たくましいものをくわえ込んだアヌスがうらやましいとばかりに、膣口もよだれを垂らして口を
開いてきた。
「ああ……ああ……あむむ……むっ……いや……ああああ……」
シリアの声は、号泣からすすり泣き、そして悶え泣きに変化してきている。
肛門性交、弟との関係、それに溺れてしまいそうな自分の肉体。
シリアの綿密な脳細胞は、次々と襲い来る混乱と渦巻く苦悩でどろどろにとろけてしまった。
シリアの態度が変わってきたのを感じ、弟もかさにかかって責め始めた。
「姉さんも気持ちよくなってきたんだね? 嬉しいよ」
「ち、違うわ、あうう……こんなことは、あっ……してはだめ、ああ……」
明らかにとろけてきたシリアに昂奮し、マッキーは右手をその媚肉に伸ばした。
泡と汗でするりと滑り込んだそこは、もはや汁まみれだった。
欲しくて欲しくて蠢いていた膣は、弟の二本の指をあっさりと飲み込んだ。
美しい姉はグウンと仰け反って喘いだ。
「ああ、だめっ! い、今、そんなことされたら、ああっ……」
「されたらどうなるの、姉さん。いっちゃうのかい?」
「い、いや、そんな……」
弟とセックスして気をやってしまう。
それもお尻を犯されて。
そんな恥知らずなことは出来るはずがなかった。
なかったが、もうどうにもならないほどにシリアの肉は燃え上がってしまっていた。
シリアはもうほとんど反射的に快楽を求め、尻を弟の腰に押しつけてきている。
マッキーが打ち込むと、ぐりぐりと大きな臀部を擦りつけてくるのだ。
姉の媚態にたまらなくなり、弟は改めて腰を両手で掴むと動きは小さく、しかし速度を大きく
上げて責め始めた。
途端にアヌスの摩擦感が増し、シリアは絶叫に近い悲鳴をあげた。
「はああっ!! だ、いああああっ!! そんな激しっ……くああっ、だめ、ああ、も、もう
……ああ、もうっ」
「いっていいよ、姉さん」
「だめえっ! ああっ!!」
シリアははっきりと尻を振りだした。
汗の浮いた白い喉を晒し、泡まみれの背を湾曲させて官能を表現している。
「いっ、いああっ、いっ、いいっ!! ……はああっ、いいっ……」
男心をとろかしそうなよがり声に、マッキーもいよいよ追い込まれる。
「い、いくならそう言って、姉さんっ!」
「いやあっ……あ、あああっ……」
弟は激しく腰を使いながら、右手で腫れ上がった姉のクリトリスをいびり、つまみ、ひねる。
指で挟んでグリグリしながら、深くまで腰を打ち込むと、シリアは狂ったような反応を見せた。
「あっ、ああああっ、あ、もう、ああ、だめぇぇぇっっ!!」
シリアの裸身がビクビクッと激しく痙攣する。
肉芽を嬲られる快感と、アヌスをほじくられる苦痛と快感。
それぞれが相乗効果を上げ、シリアの全身を凄まじい勢いで駆け抜けた。
高圧電流に触れたかのような絶叫と痙攣を見せ、美貌の姉は激しい絶頂まで押し上げられた。
その肛門の収縮に耐えきれず、7歳年下の弟は姉の直腸内で激しく射精した。
姉の尻をつかむ指は、爪であとがつくほどに強く握っていた。
「ああっ……あっ……あっ……あ……ああ……あ……」
マッキーが射精を繰り返すごとに、シリアは腰をうねらせ、愉悦の声で応えてみせた。
十回以上も続いた射精の発作をようやく終わらせ、マッキーがペニスを引き抜くと、シリアは
腰が抜けたように湯船に沈みかかった。
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