「くくっ、ようやく我が手に来たか……」

スパイダーが引きずってきたキューティーハニーを見て、ドルメックが喉で嗤った。
コスプレシティの裏を支配し、悪の種をばらまき、闇の世界の封印を解く。
人々の邪な欲望、憎悪といった負の感情が、闇の扉を押し開く力となるのだ。

そのために使ったのが獣人化カプセルである。
この薬物を服用した人間が、たちまちのうちに己の醜い欲望や憎しみを露わにする。
そうすることに遠慮がなくなるというよりは、そうしたい、そうしなければならない気持ちに
させられるのである。

この薬剤は、精神だけでなく身体的にも劇的な変化をもたらす。
凄まじい速度で分子配列が変換され、異形のモンスターに変わり果てるのだ。
その際、身につけるパワーや特殊能力は強大で、怪物になるとわかっていても、このカプセルを
飲みたがる悪党が跡を絶たなかった。
煽られ、増幅された悪の意識が闇を招聘する。
それこそがドルメックの願望する未来だった。

そこに現れた小さな障害がコスプレ市長のライトであった。
どうということはない敵だったが、ドルメックには目障りだった。
障害物は、小さな萌芽のうちに摘み取るに限る。
しかし、ライト抹殺を請け負ったデススターが強敵に遭遇し、失敗する。
その強敵こそ、かのキューティーハニーだった。
ライトなど放っておけば、ハニーの出現はなかったかも知れず、少なくとも登場はずっと遅れて
いたはずである。
ドルメックは臍をかむ思いだったが、その難敵も今や彼の虜となっている。
囚われたハニーは、ブラックメイドンが念力で宙に浮かせていた。

「……う……」

ハニーは目を覚ました。
まだ頭の芯がズキズキしている。あの瘴気のせいだろう。
軽く頭を振ってシャンとさせると、すぐ側に直慶がいた。

「直慶くん!」

ハニーと同じく、メイドンによって宙に浮いている。
気を失っているようだ。
あまりに逆らうので、少し眠らせていたらしい。
ドルメックが言った。

「感激のご対面てところか」
「……」
「そう怖い顔をするな。小僧は無事だ」
「すぐ離して」
「……」
「すぐに直慶くんを離しなさい、この悪党!」

そう叫ぶと、またハニーは壁に叩きつけられた。

「きゃあっ!」

背中からスチール製の壁にぶち当てられ、そこが大きくへこんだ。
生身の人間ならタダでは済まないが、ハニーは背中に少々打撲傷を負っただけだ。
メイドンが睨め上げるように言った。

「……おねえちゃん、口の利き方に気を付けなよ」
「まあいい」

ドルメックが大きな腕を伸ばして、それ以上の攻撃を止めさせた。

「すまんな、キューティーハニー。メイドンは少々気短でな、すぐに手荒なマネをする。おまえ
の方もこいつを怒らせんようにしてくれ」
「……」

悔しそうに口をつぐんだハニーを手元まで持ってくると、ドルメックは改めて強敵の身体を見つ
めた。
スパイダーの映像を見てはいたが、確かによく出来ている。
肌の質感なども、人間の女と変わらないように見える。
髪の一本一本から瞳、爪まで、その造形に一切の妥協はなかった。
悪魔の目が、自分の身体を見つめていると知り、ハニーは少し顔を赤らめて言った。

「ジロジロ見ないでくださる? これでも年頃なのよ」
「あまりによく出来ているので感心してな」
「さっきスパイダーにも言われたわ。ありが……きゃあ、何するの!」

ハニーが答え終わる前に、ドルメックはその鋭い爪先で、彼女の着衣を破ったのだ。
レオタードのような一体型のボディスーツで、上半身は濃紺、下半身は目に染みるような真紅で
あった。
その腹部−臍の付近から胸にかけて−がパックリと開いており、美しい素肌を晒していた。

90センチはあろうかという豊満なバストは、少し動けばはみ出てしまいそうなほどだ。
ドルメックは、その臍の部分に爪をかけ、下に引き裂いた。
恥部が見える寸前まで切り裂くと、今度はハイネックの部分を裂いた。
その部分だけでようやく乳房を覆う布をキープしていたのだから、そこが破かれると一気に胸が
こぼれてしまう。
ハニーは羞恥に耐えながら、それでも弱みを見せまいと強気で応酬した。

「あらあら、人間じゃなくてもこういうのがお好きなのね」
「……」
「そんなに見たいのなら、お見せしましょうか? 自由にしてくれたら、ストリップ嬢に変身
してもいいわよ」
「いや、遠慮しておこう。それより……」

ドルメックが指を鳴らすと、メイドンはニヤっとして頷いた。
すると、宙に浮いていた直慶がすうっとこっちに近寄ってくる。
そして、メイドンが軽く手を振ると、少年は意識を取り戻した。

「う……」

直慶の呻き声を聞いて、ハニーは気色を取り戻した。

「直慶くんっ! 直慶くん、無事!?」
「あ……ハニー?」
「ええ、そうよ。おじさまや大子さんたちと助けに来たのよ」

それを聞いたメイドンがコロコロと笑い出した。

「助けに来たって? お笑いね、助けて欲しいのはおねえちゃんの方じゃないの?」
「……」

直情型の少年がすぐに言い返す。

「何だと! 今におまえらなんかハニーが……」
「よく見てみなよ、おねえちゃんを」
「え……あっ」

直慶は言われて初めて気が付いた。ハニーも自分と同じように宙に浮いている。
ということは、この悪魔のような少女の超能力でそうされているのだろう。
しかもコスチュームが破かれている。
直慶は赤面した。
見たいけど、見てはいけないハニーの素肌が、柔らかそうなバストが丸見えなのだ。

「……ハニー」
「遠慮しなくていいんだよ。たっぷり見てやりなよ、憧れのおねえちゃんのおっぱいをさ」
「くっ……、この、ハニーを離せ!」
「そうだね、考えてもいいよ。おまえとおねえちゃんとどっちかを離してやろうか」
「だ、だったらハニーを離せ!」
「へえ、自分よりこのおねえちゃんを自由にしたいのかい?」
「そうだ! だから早くハニーを……」
「直慶くん……」

少年とハニーの間に流れる雰囲気が面白くないのか、メイドンは「ふん」と鼻を鳴らした。
そのやりとりを見ていたドルメックは、この少年はハニーを堕とすために使えるのではないかと
思っていた。
ドルメックらには理解不能だが、こうした相互扶助、自己犠牲の情というものが人間にはある。
それが彼らを脆弱たらしめているものだが、これを利用しない手はない。

「小僧、そんなにこのキューティーハニーが大事か?」
「当たり前だ!」

直慶は怒鳴った。

「ハニーは強くて優しくて、もちろん綺麗で……」

少年は少し顔をうつむけて続けた。

「僕らの希望なんだ、天使なんだ!」
「直慶くん……」
「その天使がどれほどのものか、おまえにもじっくり見せてやろう」

冷酷というより、ほとんど表情が読めない目でドルメックが言った。
すい、とハニーの脚が少し開く。
彼の意志通り、メイドンが力を使っているのだ。
ドルメックの武骨な手が、身体にぴったりと密着したコスチュームの上から、ハニーの尻を撫でた。

「あっ……!?」

美女は思わず腰を引いた。
普段、団兵衛に触られているのとは訳が違う。
触り方に、熱っぽい淫猥さがあった。
それだけに、触れられるだけでゾクッとするような悪寒が走る。

メイドンの、目に見えぬ力で押さえ込まれ、思うように身体を動かせないハニーの熟れたヒップ
に手を這い巡らせる。
ぷりぷりした弾力がたまらなかったが、触られているハニーの方は細かく震えていた。
敵に捕らわれ、いいように身体をまさぐられる屈辱。
そしてその様子を直慶に見られているという羞恥。
撫でるだけでなく、指先に力を込めて尻肉をグッと押し込んでやると、ビクンとはっきりした反応
を示してきた。

「どうだハニー、こうして尻を触られるのは」
「いやらしいだけよ」
「くく、どうかな。このむちむちした身体を使って、散々男をくわえこんでいたんじゃないのか?」
「うるさい、黙れ! ハニーを侮辱するな!」

本人より怒ったのは少年の方だった。
直慶の出番はまだ後だ。
それまでは少しおとなしくしてもらわないと興ざめである。
察したのか、メイドンが指を回す。
少年の身体が、まるで雑巾を絞るようにねじられていった。

「ぐっ……く、苦しい……」
「直慶くん!」

ドルメックに身体をまさぐられているのも忘れ、ハニーは少年を気づかった。

「やめて! 直慶くんには何もしないで!」
「なら、おまえはどうすればいいかわかるだろう」
「……」

黙ってしまったハニーをニンマリ眺めながら、ドルメックはさらに手を伸ばす。

「い、いや!」

悪魔の手が、ハニーの尻の割れ目に忍び込んだのだ。動きの取れないハニーの尻を弄び、執拗に
その谷間を責めていた。

「いや、こんな……やめて、ああ……ひっ……」

ハニーがいやがって身体を捩るのが、まるでもっと責めて欲しいともどかしそうにしているよう
にも見えた。
ドルメックは、尻をこねるように責める合間に、時折、媚肉にも指を伸ばした。
太い指がそこをなぞると、ハニーはギクンと身体を揺らし、呻いた。

「だっ、だめ、そこ! ああ……さ、触っちゃ……いやあ……」

ものの5分も責めているうちに、ハニーの股間に変化が現れていた。
素肌でなく、コスチュームの上から触っているだけにも関わらず、彼女は直に揉み込まれている
ような感触を得ていた。
もうコスチュームの股間の中は、ぬちゃぬちゃと粘っこい水音を立てていた。
それが汗だけだという抗弁は、ハニー本人にも出来そうになかった。
ハニーも、ドルメックの卑猥な指の動きを封じようと、股で腕を挟もうとしたり、指から逃れよう
ともじもじと肢体を揺すっていたが、男の責めは一向に収まらない。
しつこいほどの指の動きが、ハニーの喉から悲鳴を絞り出す。

「あっ……ああ、もういや……やめっ……ふわっ……」
「そんなに感じるか、ハニー」
「いや、いやあ!」
「もっとよがれ、喘ぐがいい。それ、小僧も見てるぞ」
「えっ……!!」

すっかり忘れていた。
ハニーが目を剥いて直慶の方を見ると、メイドンに締め上げられていた拘束が解かれていたのか、
少年はハニーを見ていた。
彼女を凝視するその瞳は、ハニーに対する憐憫と、それを見せられる屈辱に耐えている。
それでいて、徐々に妖しくなってくるハニーの身体から目が離せなかった。

「ハ、ハニー……」
「だめ、直慶くん、見ないで!!」

少年の熱い視線がたまらず、ハニーは叫んだ。
ハニーは直慶を男性として意識したことはない。
彼女自身はそうだが、少年の方はハニーを女性として見ている面もあると理解していた。
普段はハニーのことを「頼りになるお姉さん」という見方をしているが、時折、美しい異性と
して意識することもあるようだ。

直慶の、ちょっと恥ずかしそうな、それでいてまぶしそうに自分を見つめる視線を、ハニーは
恥ずかしく、そしてほんの少し嬉しくも思っていた。
今、自分の恥ずかしい姿を見ている直慶の心情はどうだろうか。
お姉さんではなく、ひとりの女として見られているのではないだろうか。
そう考えると、ハニーは居ても立ってもいられなかった。

「やめて、もういやあっ……直慶くん、だめ、見ちゃだめよ!」

いつの間にか、ドルメックの指はハニーの尻たぶに挟まれている。
というより、ハニーの尻の中に潜り込んでいた。
アヌスには触れず、左右の尻たぶの内側を指圧するだけで、敏感なハニーはビクンと身体を痙攣
させた。

「小僧、よく見ておけ。愛の戦士などと言っていても、一皮剥けばキューティーハニーもこの
ざまだ!」
「いっ、いやあああっ!!」

ドルメックのかぎ爪が一閃すると、ハニーのコスチュームを呆気ないほどに引き裂いていた。
股間を覆っていた赤い布地は無惨なほどに破れ、股間が剥き出しにされてしまった。
ドルメックの目の前に、怨敵キューティーハニーの媚肉があった。

「あ、いやあ……み、見ないで、ああ……」

ハニーは羞恥と恥辱で、消え入りそうな声で言った。
無視してその女性器を見つめていると、薄目の恥毛も下に隠れている薄いピンク色の秘裂がひく
ひくしていた。
無遠慮に恥ずかしい箇所を見つめられる屈辱の悲鳴を上げるのを堪え、「んんっ」と力んだり、
息を飲んだりすると、そのたびに襞がひくつくようだ。
感じ入ったように男が言った。

「実に綺麗なものだ。そんなには使い込んでいないようだな」
「……」

口ごもるハニーを見ながら、ドルメックは両手でその割れ目をぐっと開いた。
年齢的にはもう熟れているはずだが、まだまだ初々しい固さの残っているそこには、控えめながら
蜜が小さく宿り始めていた。

「スパイダーも言っていたが、本当によく出来ているな。とても機械人形とは思えんぞ。聞いた
ところによると、アンドロイドも超Sクラスになると、女としての機能も一人前だそうだが、
本当か?」
「……」

答えられるはずもなく、ハニーは口を閉じた。

ハニーは、如月博士が作成した高級アンドロイドである。
しかし、パンサークローとの戦いを終えても、如月博士の思念は、ハニーを解体あるいは廃棄
するつもりはなかった。
苦慮した挙げ句、人間社会に送り出すことにしたのである。

彼女は作り物である以上、生物のように肉体的な成長はしない。
精神面や知識といった、ソフトウェアで解決できるものは、改良型ニューロチップ搭載により、
ほぼ無限に学習し、成長を続けることが可能となっている。
しかし、入れ物である躯体はそうもいかない。
如月博士が死去し、わずかに思念をスペンダー経由で伝えることしか出来ない今では、成長ごと
に身体をすげ替えるわけにもいかなかった。
そこでハニーは、10年サイクルの生活を送っていたのである。

16歳の高校生から25歳までの10年間、その土地で生き、10年経過したら別の土地へ移る。
そして記憶をリセットしていく。
その繰り返しであった。
ハニーの肢体では、中学生以下と主張するのは難しかったし、30歳を超えても若々しく見えて
しまうので、これは致し方ないところだ。
如月博士は、必要に迫られたためとはいえ、疑似生命体の形で産み出されたハニーを痛ましく
思い、家族として暮らし、人間同様に扱ってきた。
そのために身体も極力人間に近づけたのだ。

そうした中で、博士がいちばん困ったのが「性」の問題である。
こうして社会生活を続ける以上、性を避けて通るわけにはいかない。
人間の心に近いものを与えている以上、恋もするだろう。
そうでなくとも、友人つきあいの中、性の情報は入ってくるし、まったくの無知というわけにも
いかないからだ。

しかし女性でない博士に、複雑な女性の身体のことや、その精神まではわからない。
そこで博士は、出来るだけ生身の女性に似せることにしたのだ。
ハニーの機動ユニットや燃焼システムや駆動制御系など、博士の強いところは人間以上の性能を
出すべく、人間の肉体組織にはこだわらなかった。
より効率的に、より強靱に作ることもできた。
しかしセックスは別である。
これだけは博士ではどうしようもなかった。

だから、およそ性に関する資料を集め、その性神経系や心の動きなどを正確にトレースしたの
である。
乳房や性器など、人間が快感を感じるところには性神経網を張り巡らせ、快楽を意識させる電気
信号を電脳に送る。
そして、その行為を続けるとさらに高ぶり、積極的になっていく。
そうした心の動きも組み込んでいた。

女性がオルガスムスに達するということは、端的に言えばその瞬間に脳内でエンドルフィンが放出
されているということだ。
ハニーのシステムもこれと同じである。
各性感帯を刺激されると高ぶっていき、それが絶頂の引き金になる。
そして絶頂時には、電脳内に脳内麻薬が放出され、人間の女性が得る絶頂に等しい快楽を受け取る
ことが出来る仕組みになっているのだ。

そこまですることはなかったはずだが、凝り性の如月博士は徹底的に拘った。
それがハニーにとって幸だったのか不幸だったのかはわからない。
過去人間として生きてきた期間には、それでプラスになったこと、うれしかったこともあったし、
逆の目に出たこともあった。
だが、今回だけは間違いなくマイナスに出てしまっていた。

「おまけにちゃんと濡れてくるとはな。おまえ、感じているのか?」
「違うわ、バカにしないで!」

この辺も如月博士の職人気質が存分に出たところである。
ハニーは、恋愛もすればセックスもするかも知れぬ。
女性として生きていく以上、その権利を奪うのはあまりにも酷であり、また現実的でない。
そこで膣も作った。
ハニーが子供を産めない以上、本来、膣は必要なく、排泄のための尿道だけあればよい。
いわば、万が一の性行為のためだけに作ったのである。
実物同様柔らかく、襞もあり、収縮もする。
ちゃんと愛液も出る。
膣道に侵入したペニスとの摩擦を軽減するためだ。
ご丁寧に、性的に興奮する電気信号を性神経が発信した時、その信号を受けた電脳が膣や子宮に
分泌を指示するという凝りようである。

「く……いや……」

ハニーは顔を背けていたが、ドルメックの冷たい視線がわかるのか、膝をもぞもぞと揺すっていた。
ドルメックの大きな手のひらがハニーのすべらかな太腿を撫で、そのまま股間にまで到達する。
ねっとりとした熱い粘液がその指を濡らし、割れ目の溝に沿って上下し始めた。

「いっ……や、あ……やっ……」

ゴツゴツした指からは想像も付かぬ繊細な動きが、亜人間の美女から性感を呼び起こしている。
ハニーは信じられなかった。
こうして強姦されかかっているのに、どうしてこんなになるのだろう。
心では激しく拒絶している。
イヤでイヤでたまらない。
なのになぜ肉体の方は燃えてくるのだろう。

ドルメックは瘴気の効果に満足していた。
ブラックメイドンに吸わされたガスである。

「なぜ感じるか不思議か?」
「……」
「おまえが吸ったのは我々の闇の世界の瘴気だ」
「瘴気……」
「そうだ。闇の世界では、あの気体が充満している。誰も彼もが欲望を我慢せず行動するのだ」
「そんな……」
「良いものだぞ。あちこちで魔物と人間の女が、男と悪魔の女が交わっておるわ。おまえもそう
なるか?」

ドルメックが、キューティーハニーを最大の障壁として意識したのは、デススターや宝石姫が
敗れ去った後である。
それからの獣人化計画は、コスプレシティにカプセルをばらまくためや、闇の扉を開けるためと
いうよりは、ハニーの調査としての意味合いが強かった。
超人であるキューティーハニーを打ち破るための弱点を探しにかかっていたのだ。
セイレーンを始め、下水道王やピルグリム、エビルスティンガー、アクアメデューサなどは明確に
「ハニーを試す」ために送られた獣人だったのだ。
それらの戦闘は、すべてピーピングスパイダーによりモニターされ、ドルメックのもとへデータと
して届けられていた。
それを分析した結果、彼女に対するに有効と思われる手段がいくつか発見されたのである。
うちひとつが瘴気ガスなのだ。

彼女に有効だと思われたのは神経系に効くガスや毒だということだ。
ハニーの神経は、ほとんど人間に準じている。
感度や伝達速度は人間のそれを圧倒しているが、基本的な仕組みは同じだ。
だから神経を侵すタイプのものは効くのである。

ハニーはまるで宙づりされているような格好で固定されている。
両手は掲げられ、脚はM字に拡げられたままだ。
ドルメックは、しっかりと肉の乗った脚の根元にある薄い繁みに手を伸ばした。
そして、慎ましやかな膣の中に、太い指を沈めた。

「あうっ」

ハニーは仰け反った。
そんなことをされたのは初めてだった。
肩をぶるぶる震わせて暴虐に耐えていると、ドルメックが耳元で言った。

「小僧がそこで見ているぞ。もっとサービスしてやったらどうだ?」
「え、ああっ!」

いつの間に目を覚ましたのか、直慶がわなわなと震えてハニーを見ていた。

「ハ、ハニー……」
「だめよ、直慶くん、見ちゃだめっ!」

露骨な格好のまま姿勢ひとつ変えられない悔しさと羞恥に、ハニーは血を吐くように叫んだ。
こんな恥ずかしいところを他人に見られたくはなかった。
まして見ているのは直慶である。

「み、見ないで、ああっ」

なおも懇願するハニーの声が、ドルメックの指の動きで止まった。
人差し指を鉤状にし、狭い膣の中をこそぐように抉っている。
くちょくちょと淫らな音まで聞こえてきていた。

「くく、小僧を見ろ、ハニー。おまえが「見るな」と言っているのに、まるで穴が開きそうな
くらいおまえの裸を見ているぞ」
「ああ……だめえ……」

直慶はハニーを心配して見ているのだろうが、見られていることに変わりはない。
どうしようもない屈辱が、ハニーの頬を濡らす。

「あう!」

泣いている暇もなく、ドルメックの責めが続く。
指が二本になったのだ。
窮屈な膣口に絡まった二本の指が入ってきた。
ドルメックはその感触に気づき、指の動きを止めて言った。

「おまえ、処女じゃないな?」
「!!」

ハニーは顔を真っ赤にして俯いた。
肯定したも同様であった。
それを見て、それまで黙って眺めていたブラックメイドンが嘲笑した。

「あーっはっはっはっは。なんだおねえちゃん、清純そうな顔してるくせに、しっかり男を
くわえこんでたんだ」
「……」

メイドンはちらちらと宙づりになっている少年を見やりながら問い詰めた。

「差詰め、お相手はあの青二才の市長あたりかい?」
「……」
「図星?」

魔の少女は、少年に聞かせるように甲高く嗤った。

「あーーっはっはっはっは、おまえたちの慕うキューティーハニーなんてのは、所詮そんなものさ。
一皮剥けば売女同然……」

全部言わせる前に、熱血漢の少年が怒鳴り返した。

「うるさい、黙れぇっ!」
「……」
「ハニーはこの街の天使なんだ! 天使ってのは、おまえら悪魔と戦うだけでなく、人々の希望で
あり、慰めなんだ! だからハニーは……市長さんの相手をしたんだ」
「直慶くん……」

ハニーが、何とも言えない瞳で直慶を見つめた。
直慶もハニーを見つめ返している。

「ふん」

メイドンが、面白くもなさそうに鼻を鳴らす。
ふたりの心を引き剥がすことは、まだ出来そうにない。
ドルメックが言った。

「もうその小僧はいい。眠らせておけ」
「ん? 見せつけるんじゃないのかい?」
「それもいいが……小僧にはまた別のステージを用意しておく。取り敢えずは邪魔だ」
「そう。側で喚かれたらその気が失せちゃうって?」
「……いいから、どこか連れて行け」

直慶に見られながらいたぶれば堕ちるのも早いだろうとは思うのだが、ことのほかこのふたりの
絆は強い。
瘴気攻撃でハニーの性感は炙られ、精神的な頑健さも崩しつつあるはずなのに、あの少年の言葉
を聞くとハニーはたちまち正気に戻ってしまうようだ。
これでは意味がない。
直慶にはまだ使い道はあるが、今は邪魔である。
メイドンはキッとして、無造作に腕を振り上げた。
少年の悲鳴が聞こえ、天井に向かって飛んでいく。
ハニーも思わず悲鳴を上げたが、天井すれすれで直慶の身体は止まり、そのまま静かになった。

「これでいいんだろ」
「……」
「あたいも失礼するよ。あのジジイの様子でも見てくる」

ブラックメイドンは、荒々しい足音を残して部屋から出た。
それを目で追っていたスパイダーにドルメックが声を掛けると、すぐに近寄ってきた。

「やりますか」
「うむ」
「ひっひっひ、そりゃ楽しみだ」

スパイダーを従えて、ドルメックが再度ハニーに手を伸ばしてきた。
直慶の目がなくなり、ホッとしたのもつかの間、ハニーはまたしてもつんざくような悲鳴を上げ
なければならなかった。

「きゃああっ!? そ、そこはっ!」

女蜜で濡れそぼっていた媚肉の少し下にある、もうひとつの穴に触られたのだ。
ドルメックの指先がアヌスにあてがわれ、その皺をなぞるように蠢いた。

「ひあっ! ……やああああっ、いやああっ」

指が動くに合わせ、ビクビクと臀部が揺れ、肛門が引き締まる。
あり得ない箇所をいじられ、絶叫に近い悲鳴を上げるハニーだったが、アヌスそのものは反応し
始めていた。
瘴気の効果もあったろうが、指の刺激を受け止めるように緩んできている。
揉み込まれると、豊かなヒップが絞まり、ドルメックの指を尻たぶで挟みつけてきた。

「あ、ああ……いやあ……うっ……ううんっ」

キューティーハニーは苦しそうに恥ずかしそうに呻いた。
堅く絞まった排泄器官を揉みほぐされ、だんだんと緩んでいく感覚がたまらなかった。
執拗な愛撫により、それまできつく絞まり続けていたアヌスは徐々に柔らかくほぐされていく。
指が押しつけられると、反射的に肛門がキュッと締まるのだが、それでもさらに力を込めて押
されると、少しずつその太い指が沈んでいく。

「どうだ、尻の穴に俺の指が入っていくのがわかるか、ハニー」
「い、いやっ、こんなのいやあっ!」

ハニーが普通の状態であれば、相手の言葉に気の利いた切り返しを言ってのけることが出来る
のだが、もはや彼女にそんな余裕はない。
恥ずかしい穴をいじくられている羞恥と屈辱、そして肉体が瘴気の影響を受けつつあることに
取り乱していた。
指の第二関節まで肛門に沈め、ハニーに悲鳴を上げさせながらこねくっていたドルメックは一端
指を抜いた。

「ああ……」

それまで、全身を強張らせて責めに耐えていたハニーは、がっくりと力を抜いた。
メイドンの力で空中に固定され、M字開脚されている。
股間は恥ずかしげもなく拡げられ、しっとりと露が宿り始めている媚肉も、責められてひくつい
ているアヌスもすべてさらけ出されていた。
ドルメックが合図すると、スパイダーはニンマリしてずしりと重みのある道具を手渡した。
魔王がそれを持ってハニーに近づくと、彼女の顔が凍り付いた。

「そ、それ……」

ナース・ハニーに変身することもあり、ひとかどの医療知識や看護能力もあるハニーは、それが
何だか一目でわかった。
浣腸器である。
そういった器具で女を責める外道な趣味は魔界にもあるのだろう。

「ま、まさかそれで……」
「決まっている。キューティーハニーに浣腸してやるのさ」
「そ、そんなこと……」

ハニーの美貌がすうっと青ざめていく。
全身の震えが止まらない。
唇をわなわなと震わせながら、ハニーは何とか声を絞り出した。

「い、いやよ、そんな……」

浣腸されたらどうなるのか、ハニーにもよくわかっている。
彼女は人間と同様の食物を摂取し、それをエネルギー源としている。
ただし人間のように、食物を消化吸収して各種栄養素を摂り、滋養としているわけではない。
彼女にとって食料とは燃料なのである。
摂った食物を燃焼させて熱量としているわけだ。

従って、何も人間と同じものを食べる必要はなく、かえってガソリンを飲んだりウランを食べたり
した方が効率としては良いのだ。
しかし人間と社会生活を送る以上、そうはいかない。
そこで肉や穀物、野菜でも、それを燃焼させエネルギーとすることが可能なのである。

そして、人間が摂取した食料のすべてを消化することが出来ず、排泄物−つまり便として老廃物と
ともに排泄するのと同じく、ハニーも老廃物を排泄する。
燃焼率の良いものばかり摂取していれば、その必要はほとんどないのだが、人間と同じものを
食べている以上、どうしても排泄物は出るのである。
ただ、それは人間のものとはだいぶ異なり、あまり「大便」というイメージはない。
それでも、浣腸すればキューティーハニーも便意を覚え、排泄するのである。

「ひぃっ!」

キューティーハニーとは思えない悲鳴が出た。
浣腸器のノズルが彼女の肛門を縫ったのである。
ドルメックがそこをぐりぐりと抉っていると、アヌスは嫌がるかのように小さく痙攣し、それで
いてひくついている。

「もう尻の穴がひくついているぞ。そんなに浣腸が楽しみか? おまえ、浣腸まで経験済み
なのか?」
「そっ、そんなわけないわ! ああ、いやっ……やめて!」

グイッと力が籠もり、ハニーの肛門が冷たい嘴管で貫かれた。
その異物感とひんやりした感覚に、彼女はぶるっと臀部を震わせた。

「肛門はうまそうに浣腸器をくわえてるな。慌てるな、すぐに入れてやる」
「ち、違うわっ……いや、こんなの……ああっ……」

信じられない屈辱劇に、気の強いハニーもさすがに目を固く閉じた。
石のようになって堪え忍ぼうと思うのだが、視界を閉じてしまうと、かえってアヌスに入り込
んだ浣腸器の存在を意識してしまう。

「ひっ、いやあ!」

つんざくような悲鳴が上がり、ハニーへの注入が始まった。
ドルメックの手が動き、シリンダーを押し込んでいくと、ハニーの腸内に冷たい薬液が侵入
していく。

「あ……うう……ひっ……や、やあ……は、入って……くる!」

ハニーは大きく目を見開いて呻いた。
白い首筋を露わにして仰け反り、背中や腰をぶるぶると痙攣させている。
じっとりとかいてきた汗が腿や背筋を伝ってきていた。
ドルメックの指で散々弄ばされ、熱を帯びていた肛門や直腸が、冷たい薬液で急激に冷やされる
感覚に、ハニーは背中を震わせて呻いた。
宿敵・キューティーハニーの無防備かつ哀れな姿に、ドルメックも興奮を隠せない。

「どうだハニー。俺に浣腸される気持ちは?」
「こ、こんなこと……わ、私は、ああっ……ゆ、許さないわ、ドルメック! ああっ」

ちゅるちゅると浣腸液が注入されるたび、背を反らし、顔を仰け反らせて呻いていたハニーも、
だんだんと慣れてきたのか、唇を噛んで顔を振るだけになっていた。
いや、慣れてきたというよりも、その美貌が赤く染まり、ぶるぶる痙攣し始めたのを見ても、
早くも薬液が効き始めてきたのだろう。
魔界で使う浣腸液であれば、グリセリンなどとは比較にならぬほどに効くのだろう。
グリセリンの経験すらないハニーにはそこまでわからなかったが、腸の中に注がれ続ける魔液が
普通でないことはわかった。
ドロドロと粘度が高く、まるで腸壁にまとわりつくようだ。
その重みや圧迫感はただごとではない。

「はっ……はうう……い、入れないで……ああ、もう入れないで……ひっ……」

ハニーの表情が、羞恥に歪むそれから少しずつ変化してきていたのを、ドルメックは見逃さな
かった。
太いノズルを飲み込まされているアヌスのすぐ上にある膣口に目をやると、前にも増して濡れ
ている。
彼女は、浣腸による刺激を過敏なまでに反応し、媚肉まで湿らせていたのである。
瘴気のせいでもあるし、彼女にもともとあった秘められた素養なのかも知れなかった。

「くく……、おまえ浣腸されて濡れているぞ。さっき尻の穴をいじってやった時もそうだったが、
肛門で感じるのだな」
「ちっ、違う! ああっ……そんな、あうう……」

ハニーの反論を押し返すように、ドルメックは長いシリンダーを押した。
顔色と同じく、ほんのりと赤く染まった臀部の汗が震えた。
永遠とも思われる長い注入も、半ばを過ぎた頃になるとハニーの声色が少し変わってきた。

「ああっ……ま、まだなの……まだ入れてるのっ」
「ああ、そうだ。たっぷり楽しめ」
「そんな……ううっ……あああ……」
「どうした、尻が震えてきたぞ」
「く、くあ……」

ハニーの白い下腹部から汗が滴った。
ぐきゅる、ぐぐうっと異様な音がしている。
耐えきれず、彼女は泣きついた。

「あ、ああ……も、もう、あっ……もう、だめ……」
「ほう、何がだめだ?」
「うっ、ああ……も、もう洩れる……ああ……」
「洩れるだと? よくそんな恥ずかしいことが言えるな」
「あうう……」

嘲るドルメックを言い返す余裕もない。
もう息をするのも苦しいくらいだ。
なのにこの魔王は、せせら笑ってさらに注入を続けている。

「いあっ……こ、これ以上は……ああ、ムリよ……だめぇ……」
「そんなに出したいのか?」
「……」
「言えないのか。ならもっと浣腸だ」
「ひぃっ」

浣腸器から、さらに溶液がドクドクとハニーのお腹に注がれる。
もう排泄物が肛門付近に満ちている気がする。
なのにそれを押し返すように、浣腸液が入ってくる。

「だ、だめっ……あ、あ、あ……お、おトイレ……行かせて……あっ」
「トイレだと? 行ってどうする?」
「あ……だ、出したい……ああ……」
「ふん、まあそんなところか。まあいい。そのうち、もっとハッキリ言わせてやる」
「ああ、早く……」
「慌てるな、全部入れてからだ。まだ半分残ってるぞ」
「そんな……」

キューティーハニーの美しい顔に絶望の色が浮かぶ。
もう今の時点で腸内は限界だ。
これ以上入るわけがないのに、まだ半分しか入れてないという。
全部入れられたらどうなってしまうのか。
想像するだけで恐ろしかった。

ハニーの口ががちがち言っている。
歯の付け根が合わない。
「やめて」という涙混じりの哀願を無視し、ドルメックはピストンを押し続けた。
今度はさっきの倍以上の速度で注入し、あっというまにハニーの腹に飲み込まれていく。
全部入れ終わり、最後の量を一気に注入すると、ハニーは喉から絞り出すような悲鳴を上げて
仰け反った。
がっくりと首を垂れていたが、すぐにオコリにかかったように痙攣が大きくなる。

「あ、ああっ……は、早くおトイレっ……お願い、ああっ……」
「トイレは人間の使用するものだ。ロボットだかアンドロイドだか知らんが、機械のおまえに
そんなものは必要ない」
「な……」
「遠慮せんでいい、ここでしろ。しっかり見ていてやる」
「そ、そんなこと……出来るわけが……」
「見物人が多い方がいいか? なら、あの小僧を起こしてやるか」
「やっ、やめて!!」

直慶にそんな恥ずかしいところを見られるくらいなら死んだ方がマシだ。
ドルメックはニヤニヤしながら言う。

「なら、しろ。ここでな」
「そんな……あっ……ううっ」

我慢しようと思って出来るものではなかった。
初めての浣腸は強烈で、しかも使われた溶液は怪しげな魔界のクスリだ。
どうにもならなかった。

「み、見ないで……」

血を吐くような声で言った美女の声を聞きながら、ドルメックとスパイダーは彼女の股間の前に
陣取った。
キューティーハニーの悲痛な悲鳴が響いたのは、その直後であった。




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