「…いじ! へ…じ! ……!」
「……」
「平次!」
「ん……」

服部平次は、自分を呼び続ける声で、ようやく意識を取り戻した。
だが動けない。
しゃべれなかった。

監禁されていたみすぼらしい小屋から引き出されるのは、ほとんど初めてだった。
哀とコナンの心配そうな視線に送られながら、平次は雁字搦めに縛られてから外に
出された。
両手は背中で、両足は足首で縛られ、ふたりの屈強なクロニンたちに運ばれていった。
口には猿ぐつわを噛まされている。
どうせ抵抗したところで、どこかに連れて行かれるのは変わらないだろうし、あまり
暴れると帽子が飛んでいってしまいそうだ。
拾ってくれるとも思えなかったので、おとなしく運ばれた。
それに、あまりに抵抗が過ぎると人質に取られている和葉の身に危険が及ぶことも
ある。
そう思っていたのに、クロニンたちはわざわざクスリを嗅がせ、平次の意識を奪って
いた。

ガバッと起き上がり、「和葉!」と声を出そうとして、猿ぐつわされていたことを
思い出した。

「お、気づいたようだな」
「あんたら! 平次には何もせん言うたやないか、この嘘つき!」
「おいおい、ご挨拶だな。別に危害は加えとらんだろう」
「あんなにきつう縛ってるやないの! は、早う解いたって!」
「それはだめだ。ああでもしておかないと、この元気の良い兄ちゃんは大暴れしそう
だしな」

和葉と白装束の鬼面の話を聞きながら、平次は現状を認識していく。
ここはどうやら、和葉たちが囚われている場所らしい。
平次たちが監禁されている小屋よりはだいぶ広く、また清潔である。
待遇は自分たちよりはマシらしかった。
だが、とても安心はしていられない。
和葉は丸裸だったのだ。

平次は口が利けなかった。
猿ぐつわされていなくても同じだったろう。
彼女のヌードを見たことなどなかったのだ。
それが今の和葉は「無惨」な裸身を晒している。
自分と同じように後ろ手で縛られていた。
足は自由なようだが、胸まで縛ってある。
服の上から夢想するだけだった和葉の乳房が、縄に括られて平次の目の前にあった。

だが、彼女の「無惨」さは、それだけではなかった。
驚愕で見開かれた平次の目は、その信じられない現実を見つめていた。

「やあっ……、平次、見んといて! うちを見んといてぇぇっ!」

和葉は血を吐くような声で泣き叫んだ。
シロニンは、鬼面の下でせせら笑いながら和葉の腹部を撫でている。

「見えるか、服部。きさまの愛しい女は、そら、こうして見事に懐妊しておるのだ」
「……!!」
「いやああああ……!」

和葉の腹は膨らんでいた。
妊娠五ヶ月であった。
マタニティを覆ってしまえば、そう目立つほどでもなかったが、全裸では隠しようも
ない。
すらっとしていた和葉の腹部が、小さくなだらかではあったが、ふっくらと盛り上が
っていたのだ。
とうとう平次の前にこんな姿を晒してしまった。
後から後から涙が溢れてくる。

妊娠の兆候があったのは三ヶ月ほど前だ。
前月から生理がなかったので妊娠を意識して脅えてはいたが、二ヶ月続けてなかった。
それに気づいた島民が調べたところ、妊娠していることが確認されたのだ。
囚われて以来、あれだけ毎日のように凌辱され、ほとんど例外なく中に出されたの
だから無理もなかった。
和葉が「危険日だから中は止めて!」と懇願すると、鬼はむしろその時期を狙って、
執拗に犯し、子宮へ大量に注ぎ込んだ。
結果として妊娠してしまったのである。

「ぐっ……んぐぐっ!」

見るも無惨な姿にされた和葉を見て平次は凍り付き、そして激怒した。
監禁され、蘭や和葉と引き離された時から、恐らく性的な虐待を受けているのだろうと
覚悟はしていた。
もちろん脱出して救おうと何度も思ったし、コナンたちと相談して算段もした。
だが、最終的には出来なかった。
隆久や和弘が「もし脱走でもすれば、蘭と和葉は殺す」と言い放っていたからだ。

セックス用に確保したのであれば、凌辱はされるだろうが、飽きない限りは殺さる
ことはないだろう。
もしかしたら、ふたりとも舌を噛んで自殺を図るのではないかという恐れもあったが、
それだけはさせないと隆久たちは保証していた。
平次たちは知らなかったが、実は蘭と和葉にも「もし自殺でもしたら、灰原哀をおまえ
たちの代わりに使う」と脅されていたのである。
蘭にしろ和葉にしろ、自分可愛さのために、他人を踏み台に出来るような女の子では
なかった。
それを逆手にとって利用したのである。
彼女たちには死すら許されなかったのだ。

純潔を踏みにじられ、男たちの毒牙にかかっている可能性は高かった。
それでも平次は和葉を見捨てるようなことはしない。
そう決意していた。
誰に犯されようとも、そんなことは人間的な価値とは無関係なのだ。
平次は、和葉が純潔だったから、処女だったから好きだったのではないのだ。

しかし、現実はさらに惨かった。
和葉はどこの誰とも知れない──いや、恐らくはこの鬼どもの子種を受精し、孕ませ
られていたのだった。
頭に血が上り、平次が力一杯にもがいた。
だが堅く縛り上げられ、ろくに動けもしない。
もちろん喋れもしなかった。
「うー、うー」と唸るだけで、何も出来ない。

「平次、お願いや、見んといて……」
「く……」

平次は自由になる目を閉じた。
この上は、和葉を見ないことくらいしか、彼女と自分のために出来ることはなかった。
その耳元にクロニンが小声で囁きかけた。和葉に聞こえないように言っている。

「……目をつぶるな。おまえの女をよく見るんだ」
「くっ!」

ふざけるな、と言わんばかりに激しく頭を振った。
その平次の頭を押さえ込み、また囁く。

「見ろと言っているのだ。さもないと……、くく、わかってるな?」

言うことを聞かないと和葉を殺す、あるいは哀を持ち出してくる、と言うのだろう。
性的奴隷にしている以上、そう簡単に殺すとは思えないが、従わないわけにもいかない。
やつらが本気だったら取り返しがつかないのだ。

「……」
「いいな? ちゃんと目を開けて、自分の女がどうされるのか、じっくりと見ておけ」
「平次……、平次ぃ……、た、助けて……」

和葉は涙も涸れ果てて、目の前の愛しい男に助けを求めた。
縛られている上に、何やら脅されてもいるらしい。
動けるはずもないのだが、それでもそう言わずにはいられなかった。
鬼はゆっくりとうなずきながら言った。

「麗しいな、好いた男に助けを求める美少女、か。だが、無理な注文だ」
「やかましっ! へ、平次を解かんかい! すぐにこっから連れ出してや!」
「何だ、せっかく自分の男に会えたのに出て行けというのか?」
「だ、だったらうちをどっかに連れてって!」
「会いたかったのではないのか? だからこうして……」
「ふざけんといて! うちはこんな……こんな姿を見られたくはないんや!」
「嫌われたもんだな、え、服部。もうぬしのことなど見たくもないそうだ」
「ちゃうわっ! 誰がそんなこと言うてるんや! うちも平次もさっさと自由にして
言うとるんや!」
「ふざけてるのはおまえだ!」
「あぐっ!」

白鬼は和葉の頬を平手で張った。
ぱぁんと大きな音がして、少女の頬がぼんやりと赤くなる。
平次がまた騒ぎ出した。
猿ぐつわの下から「やめろ」とでも言っているらしい。

「女、よく聞け」
「……」

鬼は和葉の顎を摘んで正面から見た。
少女は黒い瞳に燃えるような怒りの色がある。

「ぬしの、その勝ち気なところは気に入っている。だが、あまりに度が過ぎると
こちらも考えねばならん」
「ひ、卑怯もん! また平次たちの命を盾に取るんやな!」
「よくわかってるじゃないか。それだけじゃないぞ、こうやって……」
「あっ!」

鬼は拳を作って、和葉の腹に打ち込む仕草をして見せた。

「ぬしの腹をボンと一発殴って、その子を……」
「やめっ! そんなひどいことやめ!」
「我としてもそんなことはしたくない。せっかく孕んだ子だからな。だが、ぬしが
そう逆らうようになると……」
「く……、ち、ちくしょ……」

和葉も最初は妊娠したと判ったときはショックだった。
死にたいと思ったほどだ。
とは言え、誰が父親かわからないとは言うものの──どうせこの人非人どもなのだが
──、和葉の子であることだけは間違いないのだ。
絶対に死なせたくはなかった。
加えて「流産」という言葉も怖かった。
これはすべての女性に対し、言いようのない恐怖をもたらすのだ。
おとなしくなった和葉に鬼は言った。

「わかったようだな。そう、そうしていればいい。何、難しいことをしろというの
ではない。いつもように、我とまぐわえばいいのだ」
「そんな……、平次の前でそんなこと……」
「たまにはそういう趣向も面白いだろう。それに、ぬしにしても会いたいと言って
いたろうに」
「こ、こんなとこ見られたくないっ……!」
「そうもいかんのだ。だいいち見てみろ、服部の方はぬしをじっと見ておるぞ」
「やっ……!」

和葉は思わず顔を逸らせた。
どうせ平次も脅されて、仕方なく和葉に目を向けているのだろう。
それにしても、平次に見られている状態で、この鬼どもの凌辱を受けねばならないと
いう屈辱は耐えられなかった。

「お願いや……、お願いやから平次の前でだけは堪忍してや……」
「気丈なぬしが涙まで見せるか。それほどにイヤか? 何でもするというのは本当か?」
「ほんまや、ほんまに何でもするから……。だから平次の前で嬲るのだけは許してや……」
「「鬼の目にも涙」か。いや、鬼は我の方だったな」

シロニンはそう言って大笑いした。
和葉はしくしくと泣いており、平次はクロニンに顔を抱えられて和葉の方を見させられて
いる。
目をつむると和葉に害が及ぶ。見ざるを得なかった。
猿ぐつわの手拭いを噛み切りそうなほどに、歯を食いしばっていた。
白鬼は冷酷に告げた。

「だが許さぬ。ぬしは今日、このまま服部の前で我に抱かれるのだ」
「いや……、それだけはいやや! いやあああっっっ!!」
「くく、いいざまだな、服部。悔しいか、え?」

鬼は面にある口の隙間から舌を伸ばし、和葉の頬を流れる涙を舐め取った。
そして、これ見よがしに、膨れた腹を擦ってみせる。

「お願いや……、ほんまに何でもする……何でもするから堪忍してぇ……」

泣きじゃくる和葉の頭を宥めるように撫でながら、鬼は平次に言った。

「服部、どうした? 高校生探偵とか言われとるらしいが、その探偵とやらでも何も
出来んのか? 声も出んか。ははは、その顔じゃ無理だったな」
「ぐうっ! くっ、くうっ!」

鬼がからかうと、平次は縛られている縄を引き千切りそうなほどに腕や足をもがかせた。
腕や足首に無数の擦り傷をこしらえて、どうにもならないと覚ると、今度は鬼を憎悪と
憤激の籠もった目で睨みつけた。

「何だその顔は。やはり悔しいのか? もしかしたらぬしは、和葉がいやいや犯されて
いるとでも思うておるのか?」
「ぐう!」

当たり前だ、と平次は思った。
和葉は、自らこんなことを望むような淫らな少女ではない。
その性格もあって開放的だと思われがちだが、反対にこうしたことに関しては極めて
奥手だったはずだ。
お姉さんぶって、経験がありそうな思わせぶりなことを言うこともあるが、実際は
かなりシャイで口だけだった。
迂闊に下ネタなどしようものなら、顔を赤らめて止めるか、ひっぱたかれるのがオチ
だったのだ。
その和葉が進んで身を投げ出すわけもない。
鬼は余裕綽々で言った。

「ま、確かに嫌がる素振りもあったがな、なに、それも最初のうちだけだ。今は、
ちょっと身体をいじくってやるだけですぐに女陰が濡れてきおるわ。ほれ、この乳も
尻も、触られ、揉まれることが大好きな女になったのだ」
「だ、黙れっ……、う、うちは……うちはっ、ああっ!」

和葉の言葉が甲高く切れた。
鬼が背中から手を回し、平次に見せつけるかのように和葉の乳房を揉んできたのだ。
少女は悲鳴を上げた。

「や、やあっ、今、そんなことっ……やめ、やめえっ……あっ……さ、先っちょに
触るなあっ!」

懐妊したせいか、少し乳首が色づいている。
平次には見えないが、媚肉の襞も少々色素が溜まってきていた。
乳房は早くも母乳を作る用意をしているのか、蘭ほどではないが、和葉のそれも生理前
の時のように張ってきていた。
その乳房をぎゅうぎゅうと揉みしだかれる。
孕む前は、強く揉まれた方が鋭い性感になったが、乳房の張った今は、どちらかという
とさするように撫でられたり、ゆっくりと揉まれる方が感じてしまう。
鬼はそれを心得ているようで、和葉が恥ずかしい声を出さざるを得ないような揉み方を
してくる。

「くっ……や……あっ……し、しない、で……いっ……あっ、だ、だから乳首はぁっ!」

悲鳴ではなく、呻きであり、喘ぎになっていた。
乳房全体の愛撫には感じ方が以前と異なっていたものの、乳首だけは前も今ももっとも
感じる。
乳首をこねられたり、舐められたりすると、ぴりっと官能の電流が背筋を突き抜けていく。

「……」

和葉の濡れた声は平次の耳にも届いているだろう。
目は閉じられるが、耳は閉じようがないのだ。
その目も和葉を見るしかない。
脅されているのだ。

鬼は和葉の胸を嬲りながらちらりと平次を見ると、その目は開かれたまま愛しい女の
肢体を見つめていた。
悔しそうな呻き声もない。
ただひたすらに和葉の痴態を見ている。
初めて見るナマの女体なのだろうし、それが和葉なのだ。
見てはいけないと思いつつも、目が行ってしまうのは男の性であろう。
クロニンが脅迫しなくても見ていたかも知れない。
鬼は嘲笑った。

「見てみろ、和葉。ぬしの男が、ぬしの身体をじっと見ておるぞ」
「いやあ! み、見ないで平次! 見たらあかんて!」

和葉はそう叫んだが、鬼の愛撫で、ややもすると前に平次がいることを忘れそうになる。
肉体はこの2年の間に、すっかり開発されていた。
男の愛撫に尻尾を振って応えるような身体と化している。
その歳月は、もちろん外観的にも成長を促していた。
豊満ではあったが瑞々しかった和葉の肉体は、今ではすっかり熟れてきている。
乳にも尻にも肉がほどよく乗り、炙れば脂が垂れそうなほどだ。

「おう、やはり今日は早いな。ぬしはもともと濡れやすいが、今日は特にそうだな。
もうこんなになっておる」
「やっ、やかましっ! あ、こら、触るなて、あっ!」
「すっかり元気になってきたな。ひさびさに服部の顔を見たせいか?」
「や、平次、見るなあっ」
「大暴れだな。最近は少々従順になってきたと思うておったが、それはそれで物足りぬ
ところもあったのだ。そうか、くく、たまにはこうしてこやつの前で嬲ってやった方が
刺激があっていいということか」
「ち、ちゃうって何度言えば、このっ、あくうっ!」

乳房を愛撫され感じていたせいもあるが、平次の前でいたぶられるという異常なシチュ
エーションに、和葉の肉体は被虐的な愉悦を感じ取っていた。
見事に花開いた花弁は、薄鮭色の肉をさらけ出してた。
開かれた秘裂の中にある膣口も、小さく開口している。
そこからは、ねっとりした透明な粘液が漏れ出ていた。
それを鬼は指ですくい取り、和葉の鼻先に突きつけている。

「あ……」

感じてしまっていると実感はしていたが、その証拠を目の前に突きつけられ、和葉は
羞恥と恥辱で顔を伏せてしまった。
その顔がぐいと持ち上げられる。

「!? むうっ!」

首を後ろに曲げさせられ、その唇を奪われた。
鬼は和葉の唇に、ぴったりと唇を当てている。
和葉が動転している隙を狙って、僅かに開いた咥内に舌を侵入させた。
気持ち悪いナメクジのような感触に、和葉は鳥肌が立った。
今度こそ噛み切ってやろうかとも思ったが、そんなことをしたら、鬼は怒って平次を
殺すだろう。
平次?
そうだ、平次が見ているのだ!
その前でキスなど!

「む、むむう……」

和葉の呻き声に、平次は我を取り戻したように騒ぎ出した。
猿ぐつわを唾液でべとべとにしながら、何とか叫ぼうとしている。
もしかしたら、本当に噛み切ろうとしたのかも知れない。
何しろ、目の前で好いた女がキスされているのだ。
ある意味、ただ強姦されるところを見るよりも、悔しく、怒りが湧く。

「ん、ん、んんん〜〜っ!」

鬼の腕で固定されている和葉の頭が僅かに動き、リボンでまとめられたポニーテールが
なよなよと動いている。
いやいやと首を振りたいのだろう。
鬼は激しく和葉の唇を吸い、舌でその口の中を愛撫していく。

「ん……んん……んむ……ん……んちゅう……」

和葉の抵抗がみるみる弱まっていく。
蘭もそうだが、和葉もキスに弱かった。
咥内を無理に愛撫されても、上顎の裏や歯茎などを舌先で擦られたり舐められたり
すると、ぞくぞくするような快感と背徳感が込み上げてきて、蜜が溢れてくる。
舌を強く吸われ、和葉はがくんと首を仰け反らせた。

「むうっ……!」

ぴくんっと身体が少し跳ねた。キスされて、いってしまったらしい。

「どうだ、服部。ぬしの女がどれだけ好き者がわかったか。唇だけでいきおったわ」
「……ぐ」

平次は顔を逸らせた。
見てはいけない、見たくないと思った。
ぎゅっとつむった目からは、涙が滲んでいる。

「悔しがるがよい。そして己の無力さを呪うがよい。こうして美しい女を抱くことが
できるのは選ばれた者のみだ」

シロニンはそう言いながら、和葉の股間を嬲っていく。
もう開きかけている花弁を押し広げ、敏感な肉をいじりだした。

「んっ……」
「ほれほれ、強がったところでぬしは感じやすいのだ。いい加減に認めろ」
「う、るさ……あっ……!」

鬼は焦ることなく、じっくりとクリトリスを嬲り、膣穴周辺をなぞるように擦っていく。
和葉は、自分の肉体の反応を恥じ、顔を背けて歯を食いしばっている。
そんな美少女の健気な表情を見て悦に入りながら、鬼はなおも指を蠢かせる。
割れ目の裏側にまで指を入れてなぞり、ほぼ完全に開いた花唇の底部を指で擦るように
練っていく。
すると、みるみるうちに蜜の噴出が激しくなり、鬼の指をしとどに濡らせていった。

「もうびしょびしょだぞ、そら」
「あう!」

直接子宮に触られたような官能の戦慄を覚え、和葉はがくんと仰け反った。
開いた割れ目は無惨なほどに剥き出しとなっている。
和葉のそことは思えないほどの生々しい光景だが、シロニンはわざとそれをさらけ
出している。
平次に見せつけるためだ。
激怒している平次の顔を眺めながら、鬼はわざと大きな声で言った。

「くく、男もお待ちかねのようだぞ。そろそろやるか」
「や、やるかって……」

和葉の表情が青ざめた。
まさか本当に、平次の前で犯すというのか。
枯れ果てたと思っていた涙が溢れてきた。平次に見られているという恥辱に耐えきれ
ない。

「いやっ! そんだけはいやや! お願いや、それだけは……」
「許さん。ぬしは我らの言うなりのはずだ。何度言えばわかる」
「ああ……」
「では、入れるぞ」
「やっ! やめて! お、お腹の赤ちゃんに……」

鬼はぴたりと動きを止めた。

「ふん、跳ねっ返りのようでも、さすがに母の自覚が出てきたか。腹の子が大事か」
「……」
「だが、今さら何だ。ぬしはその腹で、昨日もその前も犯されているであろうに。
まあいい。心配するな、腹の子に影響は出ぬようにしてやる」
「あ、やああ……」

白鬼は座位で犯すことにした。
和葉の背中を抱き、後ろからである。
背面座位だ。正常位にのしかかるのは、さすがに控えた。
神巫子としても、せっかく出来た子を死なせるわけにはいかないのだ。

「はうう……」

肉太のペニスが和葉の媚肉を割っていく。
抵抗したいのだが、亀頭部が狭い膣を押し広げるきつさが、たまらない快感となって
和葉の脳裏を染めていった。
充分にぬらついていただけあって、実にあっさりと肉棒を飲み込んでいく。
鬼は和葉の腰を両腕で持ち上げていたが、先を挿入すると、徐々にそれを降ろすように
して貫いていった。

「あ……あ……」
「おう、入る入る。濡れているだけあってスムーズだな。見ておるか、服部。ぬしの女
に我の太いものが入っていくのを」

平次はその時、狂ったように呻き、暴れた。
縛った荒縄が、手首に無数の擦り傷を作り、血で滲んでくる。
靴下の上から縛られていた足も同じで、靴下が血に染まっていく。
手拭いの猿ぐつわを噛み切ろうとするようにして歯を噛みしめた。
どうにも出来ない空しさを覚えつつ、無駄だと知りながら暴れずにはいられなかった。

「あ……」

膣を根元まで貫かれると、和葉はぶるぶると身を震わせた。
太い。
以前に犯された時よりもずっと大きなもので犯されているような気がする。
鬼も、平次の前で犯すという状況に興奮しているのだろうか。
きつさに耐えながら、和葉はそんなことを思った。

シロニンの方も、快い狭さに呻いている。
子を孕み、膨れあがった子宮のせいで、入れたペニスが押しつぶされそうな感覚がある。
狭く細い穴に締め付けられる。
もともと狭い和葉のそこは、妊娠したことにより、さらに狭隘になっていたのだ。

「だいぶ狭くなったな、和葉。どうだ、きついか? 苦しいか?」
「あ、あう……お、大きい……きつい……」
「嬉しいことを言ってくれる。だが、我のものが大きいだけではない。ぬしが孕んで
子壺が狭くなっておるのだ」

鬼はそう言いながら、和葉の腰を上下させている。
狭くなった膣はそれだけ敏感となり、そこを抉られる快感に和葉も翻弄されていく。
頭の片隅に、平次の面影を懸命に残そうとしているものの、ぐいっと奥まで入れら
れると虚ろになってくる。

「あっ……あうう……いっ……」

和葉の口から、色っぽい呻き声、苦しげな喘ぎ声が漏れてくる。
それを否応なく聞かされる平次の顔が蒼白になってきていた。
信じられないという風に、首を左右に振る。
だが、それでも和葉の声は聞こえてしまう。

鬼はわざとゆっくり出し入れを続けた。
平次に見せつけるために後背座位にしたのだ。
妊娠した腹に負担を加えずに犯すだけなら、バックでもよかったのだ。
背けていた顔が、だんだんと和葉の身体に向けられていく。
見てやることしか出来ない。
逃げたくない。
平次はそう思い始めていた。
だが、その裏には、美しい少女の痴態に対する男としての興味も、どうしようも
ないほどに湧いてきていた。
鬼は、悔しげな平次の顔を目の端に止めながら、和葉を犯していく。

「ああ……あっ……だ、だめ……やっ……やめ、て……あうっ……」

シロニンは、平次に見せつけようと、ずるずると和葉の媚肉から肉棒をぎりぎりまで
引き抜いていく。
カリ部分の張ったところが膣口を拡げると、媚肉にひっかかった感覚に、和葉が思わず
喘ぐ。

「ああっ……いいい……」
「ほう、いいのか?」
「あ、ち、違……ああっ!」

抜け出てしまう直前まで引き抜いたペニスが、今度はゆっくりと膣に収まっていく。
根元まで埋め込まれ、和葉の美貌にもうっとりとした色が浮かんできた。
もうすっかり降りてきている子宮にペニスが当たると、両足の爪先がピンッと伸びて
痙攣している。

「あはっ……! あ、ふ、深い……深すぎるわ……あ、当たってる……」
「子宮に我のものが当たるのがわかるか?」
「ああ、わかる……わかるからもうやめ……ふ、深すぎて怖いんや……赤ちゃんが……」

性行為に没入し始めた和葉を確認すると、鬼は本格的に動き始める。
ずぶっ、ずちゅっと肉棒が膣を押し通る音が響く。
根元まで入れられると、ぺたんと和葉の尻が鬼の腿に打ち付けられた。

「よう締めてきよるわ。和葉、ぬしの女陰は最高だ。孕んでおってもこれか……」
「あ、や……熱い……あ、あそこ、熱いんや……ああ、動かさんといてっ!」
「あそこ? そういう時ははっきり言えといつも言っておるだろう。どこだ? どこが
熱いのだ?」
「そ、そんなこと……そんなこと平次の前で……あう!」
「そら、我の分身をこんなに強く締め付けてきおるここのことだ」

容赦なく突き上げられ、和葉は上擦ったようにな声で喘いだ。
汗が滲む裸身をうねらせ、押し寄せる快感に自分を見失いつつある。
喘ぐまいと堅く閉じられていた口が開きはじめ、瞳の焦点も合わなくなってきていた。
鬼は、なおも見せつけようと、和葉の開かれた足を更に開かせ、腰を持ち上げた。宙に
浮く感覚に、和葉は一瞬戸惑ったが、すぐに休みなく打ち込まれてくる悦楽にとろけて
いく。

「あ、あう……あうう……いっ……ああっ……あっ」

鬼は鬼なりに、和葉の胎児を気にしながら責めている。
だが、とてもそうは見えないほどに激しく腰を使っていた。
普段は、これよりもずっと激しく犯しているのだろう。
汗でぬめる和葉の肌を離さないように掴み、鬼は盛んに上下させた。
肉棒の先端は、何度となく子宮口を突き上げている。

「ああっ、激しいっ……激しすぎるっ……あ、そんな奥までっ……深い、そんな深く
までしたら、赤ちゃんが……ああっ」
「大丈夫だ。それにここまでされないと、ぬしはいけないだろう」

シロニンは何度も何度も深く突き上げた。
子宮内に籠もっているはずの胎児は、突然、頭を小突かれるのを感じて驚いている
ことだろう。
ペニスは胎内を抉り、子宮をこね回した。
膣は収縮と弛緩を繰り返し、膣口からねっとりとした蜜をしぶかせるように零している。

「やはっ……いっ……いいっ……ああ深いっ……き、気持ち、いいっ……」
「和葉、そんなに喘ぐな。見てみろ、ぬしの男が興奮しておるぞ」

ハッとして平次は我に返った。
いつしか和葉の激しいセックスに見入ってしまっていたのだった。

「見ろ、和葉。服部は男根をおっ立てておる」
「へ、平次……」

和葉がとろんとした瞳で平次を見ている。
いたたまれなくなった平次は、和葉から目を逸らせた。指摘された通り、勃起していた。
ジーンズに圧迫され、痛いほどにそこは硬く大きくなっていたのだ。
先が少し冷たい。
和葉の痴態に興奮し、カウパーが漏れてトランクスを汚しているのだ。

平次は顔を背け、それを見て和葉は泣いた。
自分が鬼に犯され、あられもなく喘いでいるのを見て、最愛の男が勃起してしまって
いるのだ。
もちろん、平次の淫らな心に対する憤りもあったが、それを導き出してしまった自分の
淫らさに腹が立ったし、悲しかった。
だが、そんな女性的な考えも、鬼の繰り出す攻撃の前に、もろくも潰え去っていく。

「あ、もういややあっ……あ、ああっ……あ、うんっ……うんっ、うんっ、はああっ
……!」

いくら平次が目を閉じ、顔を背けても、和葉の淫靡な声は聞こえてくる。
耳から入ってくる声が、恥辱の光景を想像させてしまう。
和葉が鬼のペニスに貫かれ、顔を上気させ、全身を桃色に染めて感じまくっているのが
わかる。
平次の瞼の裏には、しっかりとさっきまでの痴態が残映として残っている。
開かれた媚肉、そこに激しく出入りしている太い肉棒、そこから漏れ出ている愛液。
それを思うと発狂しそうになる。
いや、いっそのこと狂ってしまいたかった。

「ああっ、胸はあっ……!」

和葉は乳房をぎゅうっと強く揉まれ、大きく喘いだ。
妊娠五ヶ月で、もう母乳の準備がされているのかも知れない。
和葉の乳房は、今までよりもさらに大きく豊かに張っていた。
生理前のように堅く張った胸を揉まれ、和葉は鈍い痛みと鋭い性感を感じ、白い首を
仰け反らせて喘いでいた。
大きな乳房の上に、慎ましくちょんと乗っていたピンクの乳首は、今では乳輪ごど一回り
大きくなり、色も濃くなっている。
鬼はそれをつねって和葉から悲鳴を引き出していた。

「い、痛っ……つ、つねっちゃだめっ……いっ……あああ……」
「んん? なんだ、ぬし、もう乳が出ておるぞ」
「ひっ、う、うそや!」
「ウソではない。それ」
「ああ……!」

見れば、鬼の指が捻っている乳首の先から、半透明な液体が滲んでいるではないか。
鬼は面白がってそれを絞り出し、指に取ると口に含んでみせた。

「うむ。味は薄いが確かに母乳のようだ。めでたいな、和葉。もうすっかり母親の
準備は出来ておるようだ」
「……」

平次は絶句して見つめていた。
媚肉、乳房、足の付け根に腋。
普段なら、女性が何としても隠しておきたい場所がすべて目の前に晒されている。
よく見れば肛門すら覗けた。
そんな状態で和葉が犯されているのを見なければならない。
それだけでも卒倒しそうなほどの衝撃なのに、和葉は孕まされているのだ。
妊娠させられた恋人が、さらに犯されている様子を見せつけられる屈辱。
しかも、揉まれる乳房からは母乳まで出ている。
怒りでおかしくなりそうなのに、下半身は異様なほどに興奮していた。
ペニスは今にもにもジーパンを突き破ってしまいそうなほどに勃起している。
これ以上硬く膨れたら、中で折れてしまいそうな気がするほどに痛い。

「あああ、へ、平次……平次ぃ……」

和葉は譫言のように呻いていた。
実際、譫言だったのかも知れない。
平次の名を呼んではいても、和葉はシロニンのセックスに溺れていた。
甘い声で嬌声を上げ、腹の膨れた肢体をくねらせている。
快感に身悶えるその姿は、今までの和葉からは考えられぬほどに淫靡であり、美し
かった。

「あ、あっ……いいっ……あああ……おっきい……おっきいのが奥までっ……いい
いいいっ……!」

鬼は和葉のよがりっぷりを見て、ラストスパートに入る。
顔を背けたままの平次にも聞こえるように、より激しく突いていく。
和葉のよがり声と、和葉の性器と鬼のペニスが出す水音が大きく響いた。
その激しさに、和葉は悲鳴をあげつつも、腰をうねらせて、より強い快感を求めて
いった。

「ああああ、だめ……もう、だめやっ……へ、平次っ……!」

呼ばれた平次は、思わず和葉に目をやった。
犯される恋人は、無惨にレイプされながらもすっかり感応して、嬌声を張り上げて
いる。
にも関わらずその名を叫んだのは、もう頂点に近づいていたからだ。

「あ、あっ……へ、平次もうだめっ……い、いく……ああ、うち、いっちゃう……!」

平次の股間は、また一回りぐぐっと大きくなった。
和葉のそんな声、そんな言葉を聞いたのは初めてだ。
いつか自分だけに聞かせるはずだったその言葉を、こんな状況で恥ずかしげもなく
口にしている。
平次はもう目が離せなくなっていた。

「あ、いく……いくっ……ほ、ほんとにいきそうやっ……」

仕上げとばかりに激しく責めると、和葉も腰を合わせて振ってくる。
抜き差しされる肉棒の激しい動きに、和葉の膣は襞をあらわにしてめくれあがって
いた。
粘膜がめくれるほどの爛れた肉の快美に、和葉はがくんと大きく反り返った。

「いくか、和葉。よし、いくがいい。我もその時に出してやろう」
「やっ、中はいややっ……あ、ああもう……もうっ……い、いく……いっく……
あああああっっ!」

和葉は、がくんがくんと二度ほど強く震え、わなないた。
全身に力を込め、わなわなと痙攣している。
足の爪先は反り返り、強すぎる快感を表していた。

鬼は、食いちぎられるかと思うほどの強い締め付けを受け、堪えるように和葉の乳房
をきつく掴んだ。
握りつぶされるほどに強く揉まれた乳首から、ぴゅっと母乳が噴き出す。
腰の奥から込み上げる射精欲に我慢出来ず、絡みつく襞を押し込むようにして子宮口
に鈴口を押し当て、そこで一気に射精した。

どっぴゅううっ。
どぶどぶっ。
どくんっ、どくんっ。
びゅくくっ。
びゅるっ、びゅるっ。

「ひぃっ、で、出てるっ! ああ、中に出さないで言うたのに……、あっ、まだ出てる
……ああ、中に熱いのが……奥まで出てる……あ、ああ、赤ちゃんに……赤ちゃんに
かかっちゃう……」

激しく仰け反り、びくびくと痙攣しながら、和葉はまた絶頂を迎えた。
その間にも膣は鬼のペニスを締め付け、精液を残らず搾り取っている。
焦点を失った瞳は、服部平次を捉えていた。

「あ……、平次……」
「……」
「平次、許してや……、うちは……うちはもう……。あっ……、奥に出されて……」

射精の発作に合わせて、ビクンビクンと尻を震わせていた和葉は、がくりと首を折った。

「み、見てたやろ、平次……。うちはもう、だめなんや……。もう、こいつらに好き
勝手される身体にされて……」
「……」
「ごめん……、へい、じ……」

和葉の意識はそのままフェイドアウトしていった。


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