「あう……」

半勃ちの肉棒を抜かれると、英理はまたぶるっと震えて喘いだ。
さきほどの硬度は失せているにしても、大きなものが膣内を擦っていく感覚に感じているらしい。
激しく絶頂したばかりだというのに、貪欲なまでの肉欲だった。
お高く、またガードも堅いが、それだけにいったん崩れてしまうと、自分でも制御が効かぬ
ほどに堕ちてしまう。
これは蘭も同じだった。
蘭の美貌と肌の美しさ、そしてスタイルの良さは英理譲りだが、性的に脆い面があることと、
人一倍鋭敏で感じやすいところまで似てしまってのだろう。

「ああ……、本当に中に出すなんて……こ、こんなにたくさん、ああ……ひどい……に、妊娠
したら……妊娠してしまったら、どうすればいいの……ああ、あなた……」
「さあな、好きにすればいいさ。いっそ産んだらどうだ? 蘭に弟か妹が出来るぜ。何なら
認知してやろうか」
「ひどい……酷すぎるわ……」
「何言ってやがる。亭主や娘の目の前で堂々と気をやりやがったくせによ。それにしても派手
ないきっぷりだったな」

満足しきった岩村はそう言って笑った。
ペニスを抜かれたばかりの英理の膣は、ようやく口を閉じようとしていた。
今出されたばかりの精液が、ぼたぼたというより、滴るように床に落ち、絨毯に大きな染みを
作っている。

「はあっ……、すごかったな、おい」

あまりの濃厚なセックスショーに、遠藤までもが口を挟めず、見物していた。
それが終わると、遠藤や禎一たちがホッと息をつき、ざわざわと感想を話し合っている。

「岩村さんのセックスは相変わらず粘っこいっちゅうか……、中年のエロですよねえ」
「バカ野郎、失礼なこと言うな」

灰田から缶ビールを受け取り、一気に飲み干してから岩村が笑って言った。

「いえいえ、こりゃ褒めてるんですって」
「そうか? まあ、禎一とか公とかのとは少し違うよな。おまえらはガンガンやりまくって、
とにかく女を何度でもいかせようとするだろ? それも悪かねえが、俺はさ、どっちかって
いうと、女の快感を少しずつ上げていって、最後の最後で失神するくらいの気をやらせたい
って思うんだよ」
「それがすげえですよ。俺たちなんか、とてもそこまで我慢できねえもの」
「だな」
「ま、これは遠藤さん譲りなんだけどな」

灰田や岩村の話をにやにやしながら聞いていた遠藤が、おもむろに立ち上がった。
それを禎一が見上げる。

「ん? どしたんすか?」
「そろそろ仕上げするかな、と」
「仕上げ? まだやるんですか?」

岩村も驚いたように遠藤を見た。
遠藤は灰田に何やら耳打ちすると、灰田は嬉しそうに何度も頷きながら、また部屋を出て行く。
そして残った禎一と岩村と顔を寄せ合うと、そのことを告げた。禎一が苦笑して言った。

「そこまでやりますか……。いやあ、さすがに遠藤さんは腹黒いや」
「どうせやるなら徹底的に、だよ。こいつらがぐうの音も上げられねえくらいにしておかねえ
と、こっちが不安になる。なんせ、元警視庁刑事の名探偵と切れ者弁護士が相手だからな。
そっちのガキだって、元は高校生探偵とかだったんだろ?
「らしいすが」
「ま、もうガキはどうでもいいがな。じゃ、支度しろ」
「へいへい」

やがて出て行った灰田が、ガラガラとワゴンを押して部屋に戻ってきた。
二段になったワゴンの上には、風呂で使う樹脂性の桶と何か筒状のもの、そして半透明のポリ
エチレン製ボトルが5〜6本ほど載っている。
下には青い樹脂バケツが置いてあった。

「ひっ……!」

虚ろな顔を上げてそっちを見た英理の表情が途端に引き攣った。
全身がぶるぶると震え出す。遠藤がにやにやしながら、パシッと英理の尻たぶをひっぱたいた。

「なにを脅えてやがんだよ、美人弁護士さん」
「ま、まさか、また……」
「さすがに察しがいいな。そうよ、旦那の前で奥さんの大好きな浣腸をたっぷりしてやるのさ」
「ひぃっ……!」

英理の美貌がさっと青ざめる。
震えが止まらないのか、腰も引き延ばされた脚もガクガクとわなないている。

「そっ、それだけはっ……!」

英理は身体を捩らせて叫んだ。浣腸責めの恥辱と苦痛は、この強気の弁護士をしてここまで
恐れさせる効果があった。
肛門という秘められたところを剥き出しにされる恥辱、そこに薬液を注入されるおぞましさ、
グリセリンが腹の中で暴れる苦痛、発狂しそうなほどの猛烈な便意、そして破局の排泄まで、
どの段階でも女を完膚なきまでに貶める最悪の責めだ。
岩村が1リットルボトル入りのグリセリンを桶に全部注ぎ入れ、そこに大きな浣腸器を突っ
込み、シリンダーを引いていく。
キィッとガラスの鳴る音が、英理を一層の恐怖に叩き込んだ。

「やめて、やめてぇっ! か、浣腸は……浣腸だけは許して!」
「なに大騒ぎしてやがんだよ。もう何度もされてるくせにジタバタすんな」

何度もされているからこそ、その恐ろしさがわかるのだ。
あの苦しさ、おぞましさは、された者にしか絶対にわからない。

「英理……」
「あ、あなたっ……!」

異様な雰囲気に、ようやく小五郎が頭を上げた。
そこには、脅える妻とその周りで何かしている悪党どもがいた。

「お、やっとこっち見る気になったかい、探偵さんよ」
「……」
「言葉もねえか。ま、ショックはショックだったろうな。てめえの目の前で女房が犯されて、
あんだけ派手にいっちまったわけだし」
「く、くそ……」
「悔しいか? でも事実だもんな、あんたはそれを自分の目で見たわけだし」
「……」
「まあ、自分の女房が他の男に犯されて絶頂するとこを見せられる亭主もそうはいねえだろう
が、あんたにはもっと珍しいものを見せてやろう」
「な……何をする気だ……」
「だから浣腸だよ。今、奥さんが騒いでたじゃねえか。あんたご自慢の美人の女房に、たっ
ぷり浣腸責めしてやろうってんだよ」
「何だと……!?」

小五郎は、怒るより前に仰天した。
話には聞いたことがあるが、それを実際にやる人物など見たことはなかったし、まして妻の
英理がされるなど信じられない。

「バ、バカなことはするな! なぜそんなことまでするんだ!」
「なぜって言われてもな。あんただって見たいんじゃねえか?」
「ふざけるな! 誰がそんなものを……、英理をこれ以上辱めるな!」
「格好つけんなよ、おっさん。女房が犯されるとこを見てチンポおっ立てていやがったくせに」
「く……」
「あ、あなた……。ああっ、いやあ!」

英理がつんざくような悲鳴を上げた。
禎一が英理の腰を抱え持って押さえ込み、ぷりぷりとうねる尻を灰田が掴んでいる。

「いやあ、しっかし惚れ惚れするほどのケツだぜ。蘭みてえにぴちぴちって感じじゃあねえ
けど、適度に柔らかくてよーく熟れてやがる」
「やめろ! 英理に触るな!」
「うるせえ。もう触るどころか、マンコに突っ込んだんだよ。今さらなんだ」
「ちくしょう! やめろ、このバカ野郎!」
「うるせえな、マジで。いいもん見せてやるから、ちっとはおとなしくしろい」
「ひっ! いやああっっ……!」

尻を割り開かれるのを感じ、英理は絶望的な声で叫んだ。
男たちの視線が、もっとも恥ずかしい穴に集中してくるのがよくわかる。

「やああっ、見ないで、見ないでぇっ!」
「よーく見えるぜ、奥さんの尻の穴」
「いやいやあっ!」
「けど、マンコだけじゃなくてここもまだ若ぇなあ。中年のおばはんのケツ穴なんかきった
なくって見る気はしなかったけど、この奥さんだけは別だ。蘭のアヌスに負けねえくらいに
可愛らしいぜ」
「ですね。色もそんなの濃くねえし、皺が多いからさぞかし締まりもいいんだろうな」
「へへ、わかるか禎一。おまえの想像通り、ケツも抜群だったぜ」
「あ、なんだ公、おまえもうこの奥さんの……」
「ああ、いただいた」

ワイワイと騒いで英理の肛門を観察している連中を見ながら、遠藤が小五郎に言った。

「ほれ、旦那も見てみろ。いくら亭主っつっても、女房のこんなとこ見たことなかったろ?」
「あ、当たり前だっ! そんなところ、見たくもない!」
「食わず嫌いだな。見てみろ、色っぽいぜ」
「うるさい! やめろ! 英理にそんなひどいことするな! か、浣腸なんか……」
「それも食わず嫌いだよ」

遠藤はそう言って小五郎に近づいた。
怒りに満ちた目で睨みつける探偵を見下しながら言う。

「あんただって女房抱いてるとき、わかったろ? この奥さんの感じた顔がすげえ色っぽかっ
たのが」
「……」
「ま、あんたがヘタで奥さんを喘がせることが出来なかったとしても、さっきの悶えっぷり
見れば、それがわかるよな? でな、感じて喘いでる顔と苦しんでる顔ってな、よく似てるん
だよ。女虐めて悦ぶ連中ってのは、それが見たいんだろうな」
「……そ、そんなことは知らん! それとどんな関係が……」
「あるんだよ。だから奥さんにはたっぷり苦しんでもらおうってのさ。さっきは気持ち良くっ
て感じた顔を見せてやったから、今度は苦しんで身悶える顔を鑑賞してもらおうとな」
「そ、そんなもの見たくない! だからやめろ!」
「あんたが見たくなくても俺たちは何度でも見たいんでな。見たくなけりゃ目をつぶるなり、
顔を背けるなりしてろや。ま、それでも女房の悲鳴や喘ぐ声は聞こえるだろうよ」

遠藤が手を出すと、岩村が浣腸器を差し出した。
1リットルもの浣腸液で満たされ、ずっしりと重くなっている。
ノズルの先には30センチほどのビニールチューブが装着されていた。
英理が嫌がって暴れるかも知れないから、その用心だろう。
そうなら浣腸器ではなく、イルリガートルタイプにすればいいのだが、自分の手でシリンダー
を押して女のアヌスに注入するところに浣腸の醍醐味があった。
夫の声を聞き、僅かながら英理に矜恃や憤りが蘇る。

「あ、あなたたちいい加減にして! あの人や蘭の前でそんなこと……」
「見てる前だからこそ面白いんじゃねえか。あんな色っぽい顔、旦那に抱かれてる時だって
見せたことねえだろうに」
「ふざけないで! いや、絶対にいやよ!」
「そうやって少し抵抗してくれる方が愉しいってもんよ。誇り高い美人弁護士さんが浣腸され
て屈服するなんてのは、エロ小説でしかお目にかかれねえ」
「だ、誰があなたたちなんかに屈服するもんですか! あなたたちおかしいわ、どうかしてる
んじゃないの!?」
「狂ってるってか? ああ、そうかも知れねえな。あんたや娘の蘭の身体に狂っちまったかもな」
「やめろ!」

小五郎の声も飛ぶか、遠藤たちは相手にしていない。
英理をいたぶる方に執心している。

「生意気言ってるが、こいつをされても同じことが言えるかな、奥さんよ」
「くっ……あ、やめて、やめなさい!」

遠藤がすっと後ろに……臀部の前に回るのを見て、英理は声を引き攣らせて叫んだ。
所詮、上辺だけの強気だった。
おぞましい浣腸責めの効果は、その身体がいやというほど理解している。

「やっ……、いや、しないで!」

いやがってぷりぷりと揺れる尻が悩ましい。
その臀部をぐいっと割り拡げ、灰田が伸びたチューブの先についたノズルで英理のアヌスを貫く。

「ひっ、いやっ! やめて、やめて!」

恐怖のあまり、英理の声も詰まりがちだ。止める小五郎の喚き声も霞んでくる。
あの強気の英理がここまで恐れる責めとは何なのか。

「ひっ!」

太いノズルがぷすりと英理の菊門を貫くと、その裸身がぶるっと震えて顔が仰け反る。
尻を割り開いている灰田はもちろん、禎一や岩村までもが英理のそこを覗き込んでいた。
それを見て、また夫たる小五郎が激怒する。

「きさまら、やめろ! 見るな、見るんじゃない! 俺の……俺の女房のそんなところを見るな!」

蘭はもう、声もなく蹲り、耳を塞いで震えるだけだ。
なぜ、どうして自分たちがここまでひどいことをされなければならないのか。
初めは自分だけが目的だったはずだ。
それがなぜこうまで悲惨なことになっているのかわからない。
家族だけでなく、コナン──新一まで巻き込んでいるのだ。

「や、やめて、やめて!」

蘭の思考を母親のつんざくような悲鳴が阻害する。
英理の肛門はノズルをしっかりとくわえ込み、脅えるようにひくついていた。
熟女らしく豊満な臀部に細いチューブが突き刺さり、その先には極太の浣腸器が待ち構えている。

「よーく見てろよ、旦那。あんたの奥さんが浣腸されて泣き喚くザマをよ」
「きさま!」
「蘭、おまえもだ。いずれおまえも浣腸を覚えさせるからな。ママを見てよく勉強しろ」
「い、いや……いやいやいや……」
「あ、ああっ……ううんっ……!」

遠藤が長大なシリンダーをぐっと押し始めた。
ストレートのグリセリン液が英理の尻の中に流れ込んでいく。

「くあっ……!」

何度されても馴れることがなかった。
通常、医療で使われる浣腸液もグリセリンではあるが、水溶液だ。
30〜50%くらいは普通で、まったく薄めないものを使用することなどなかった。
水溶液でもきついのに、それをストレートでされれば、その強烈さは尋常ではない。

「ああっ……いやあ!」

どろりとした薬液がどんどん注入される感覚に、英理は悲鳴を上げ、唇を噛んで仰け反った。
その気色悪さと苦しさ、おぞましさで頭の中に黒い靄がかかってくる。
勝手に腰が捩れ、腿や二の腕に鳥肌が立つ。

「あうむ……やっ……あああ……やめ、やめて……あっ……!」
「そうそう、その調子だ。せいぜい色っぽい声を出して亭主に聞かせてやんなよ」

遠藤はそう言ってシリンダーを押し込む。
シリンダーを押す速度はゆっくりだが、何しろ浣腸器自体が大きいから、少し押しただけで
かなりの量が流れ込んでしまう。
グリセリンがアヌスや直腸の粘膜に染みてびりびりと痺れてきた。

「や、やめて、きつっ……きついわっ……くくっ……」
「ほう、もうきついか。そういやグリセリンストレートは初めてだったか?」
「は、初めてよ……初めてだわ……ああ、だからもうやめて……ううむ……」

あっという間に英理の肢体に汗が浮いてくる。
流して気持ちの良い汗ではなく、じんわりと滲む粘っこく気持ち悪い脂汗だ。
のたうち回る英理の裸身は異様なほどに妖艶で、普段でも色っぽいのに、それが浣腸される
ことで格段に上昇している。

もう禎一たちも見ているだけでは我慢できなくなったようで、英理の身体にまとわりついていた。
欲情を剥き出しにしながら禎一はその乳房をねっとりと揉み上げている。
岩村は英理の首筋に滲んだ汗を舐め取っていた。
灰田は浣腸される尻を執拗なほどに撫で、揉みたてている。
三人とも目が血走っていた。
遠藤がいなければ、この場で英理を輪姦してしまっていただろう。
そんな男どものいたぶりを気にする余裕もないのか、英理は必死に尻を振って悶えていた。

「あ、あぐっ……く、苦しいっ……も、もうお尻がきついっ……ああ、もうやめて!」

浮き出た脂汗が玉となり、それがつつっと柔肌を滑っていく。
小五郎は声もなくその様子を見つめていた。
あまりに惨く、それでいて妖しい色香に見ている妻の姿は、確かに夫の彼も初めて見るものだった。

「英理……」

いつしか小五郎の股間にまた力が満ちてくる。
英理のレイプ、その結果としての激しい絶頂を見せられた時、もう発射寸前にまでエレクト
していた小五郎の男性器も、英理が汚辱的な浣腸責めにされると知った時には萎えていた。
そんなものに興味はなかったし、これ以上妻が穢されるのを見たくなかったからだ。
もちろん英理を穢し続ける男たちへの憤怒もあった。
なのに、いざ英理への浣腸が開始されると、その責めの凄さとそれに否応なく反応する妻の
姿にまた興奮してしまっていたのだ。

「あ、あくっ……き、きつい……きつすぎる……も、もう入れないで、あっ……」
「まだまだ。全部飲んでもらうぜ」
「いやあっ……もうやめてぇっ……!」

英理は悲鳴を絞り出しながらのたうつしかなかった。
もう彼女の脳裏では、夫や娘の姿は薄れている。
必死に堪え忍ぼうとしているのに、なおもドクドクとグリセリンが注入されてきた。
英理の苦鳴も切羽詰まってくる。

「あ……あ……、も、もう……もう耐えられない……ああう……」
「もうか? んなことねえだろ、前だって1リットル浣腸を何度も……」
「い、言わないで! あの人と蘭の前でそんなこと言わないで!」
「もう遅えよ。けどまあ、あん時は確かにグリセリン水割りだったしな。今度はストレート。
前とは比較にならんくらいきついわな」
「や……めて……うむ……」

とうとう来た。
英理は震撼する。
無理に入れられる苦悩を押しのけて、腹の奥から重苦しい感覚がやってきた。
強制的に引き起こされてきた便意だ。
つい今し方までは頬が火照り、全身がほのかに赤く染まっていたのに、今の英理は美貌が
青ざめている。
血の気が引き、瘧に掛かったようにわなわなと震えていた。

「も、もう苦しい……お……おトイレ……」
「まだ全部入ってねえだろ? 忘れたのかよ、途中で漏らしたら倍入れるんだぜ。奥さんが
1リットルされることになったのは、500入れてる途中で漏らしたからだろうが」
「あ、あの時は……ああ、でも、もう我慢が……」

英理はもう声を出すだけでやっとだ。
切れ長の目を引き攣らせ、必死に唇を噛んで便意の猛威に耐えている。
腰が震え、鳥肌が立っているのがわかる。
後ろから英理のアヌスを覗き込んでいた灰田が言った。

「おお、もうアヌスがひくひくしてますな。出したくてしようがないってか」
「み、見ないで! 見ないで、そんなところっ! あ、入れちゃいやっ……」
「漏らすかね、奥さん。なら、いつでもいいぜ、バケツもあるしな」
「い、いや、そんなもの……うむ……おトイレ……おトイレにっ……!」

吐き気を催すほどの便意が英理を責め苛んでいる。
遠藤が次々に注入するグリセリンが、その便意を押し返すように入ってくるが、それはさらに
強力な便意となって英理を襲う。
激しい便意と腹部の鈍痛がジリジリと英理の精神を蝕んでいく。
限界にまで迫り来る便意が、今にも気絶しそうな英理の意識を灼け焦がしている。
遠藤が舌なめずりしながら言った。

「しかしよう、なんだかんだ言っても大した女だぜ。これだけしてもまだ漏らさねえ」
「締まりのいい証拠ですな。こりゃ楽しみだ」
「あっ……ううっ……」

英理の痙攣が大きくなってきている。
足の指が捩れ、腰がうねり、もうとてもじっとしていられないようだ。
さすがにもう限界らしい。
無理もなかった。
過去、何度かされているとはいえグリセリンのみの1リットルは初めてなのだ。

「ああうっ……!」

遠藤がシリンダーを押しきって、最後の100ccを一気に流し込むと、英理は気をやった
ような声を上げて大きく仰け反った。
その苦悶した美貌も、犯されて絶頂された時と似通っていた。
ノズルと抜かれるとぐったりしていた英理だったが、すぐにまた腰を大きくぶるっと震わせた。
わななく唇が恥ずかしいセリフを口にした。

「あ、あっ……我慢できないっ……で、出る、出ちゃうっ……!」
「……」

小五郎はその美貌の妖しさと色香に陶然となると同時に、浣腸の威力を痛感していた。
まさか英理の口から「出ちゃう」などという言葉が発せられるとは思いもしなかった。

「あ、あ、あ、出るっ……もうだめえっ……!」

もう「トイレに行かせて」とも言えなかった。
そんな余裕もないのだろう。
ここで解かれても、とても部屋の外にあるトイレまで保つとは思えなかった。
灰田がにやにやしながら、悶える英理の顔を見上げている。

「これを使いますか、奥様」
「は、早くっ……!」

英理は「もう我慢できない」とばかりに、腰を激しく振りたくった。

「は、早くしてっ……もうだめっ……あ、出る……出てしまうっ……」
「いいぜ、ほらよ」
「いやああああっ、出る、出ちゃうぅぅっ……!」

悲痛な絶叫とともに、英理が大きく身体をうねらせた。
ひくついていたアヌスがわなわなと震えたかと思うと、内側からぐぐっと盛り上がって一気に
便意を解放した。
抑えきれなかった便意が激しくバケツに叩きつけられていく。

「いやあああっ、見ないで、見ちゃいやああっ! あ、あなた見ないで! 蘭っ、こっち
見ちゃだめよぉっ……!」

英理は涙を飛ばしながら何度も強く顔を振りたくった。
英理の肛門から出たものは、勢いよくバケツの底を叩き、渦巻いている。
汗でぬらついた英理のつるつるした尻が痙攣しながらドッと迸らせている。
恥ずかしいのか、一度発作が終わると顔を引き攣らせて堪えるのだが、またすぐにドッと飛沫
出てしまう。
アヌスが爛れるほどに激しく噴き出したかと思うといったん収まり、そこは口を閉じるのを
忘れたかのようにわななく。
そしてまたすぐに噴き出してくる。

「……」

男たちは声もなく、その光景を見つめていた。
暴虐者だけでなく小五郎も、そしてコナンもである。
女の──英理の浣腸、そしてそれに伴う排泄が、これほどに色っぽいとは思いもしなかった。
浣腸されている時の苦悶する美貌、便意を必死に堪えている苦しげな顔、そして恥辱の極地で
ある排泄に泣き喚く表情。
そのどれもが男を興奮させる。

男たちは当然だが、夫の小五郎や新一たちまで興奮してしまったのは、英理の排泄に異臭が
なかったせいもあるだろう。
いくら美人がそこまでいたぶられたとしても、臭い排泄物が出てしまったなら、まさに「百年
の恋も」醒めてしまうだろう。
ふたりとも排泄物マニアではない。
この部屋に来る前にも、別室で灰田に何度も浣腸責めされていたお陰で、出るのは薬液ばかり
だったというわけだ。

「ああ……」

すべて吐き出し終えると、英理はがっくりと裸身を縄に預けてしまった。
顔は項垂れ、肩が震えている。
とうとう、これ以上ない恥辱を夫の前で晒してしまったという絶望感で泣いているのかも知れない。
まだしつこく禎一が後ろから乳房を揉んでいるのだが、それを抗う気力もないようだった。
遠藤は浣腸器を岩村に預け、小五郎に歩み寄った。
そしてその髪を掴み、顔を上げさせた。

「……どうだい、名探偵の旦那よ。最愛の奥さんの浣腸プレイ、愉しんでもらえたかな」
「……」
「言うことはないってか。まあ、あんたも……」
「……ぺっ」
「……」

小五郎は、縛られたまま遠藤を睨みつけるとツバを吐きかけた。
とても遠藤の顔までは届かなかったが、その腹の辺りに引っかかった。
遠藤は、怒りもせず、なぜかにやっと笑った。

「なるほど。さすがに有名な探偵さんだ。反骨心はまだ失せないか」
「あ、当たり前だ。俺も英理もきさまなんかに負けはせん! 俺は……俺は女房を愛してる!」
「あ、あな……た……」

小五郎の告白に、失神したかに見えた英理が顔を上げ、うっすらと目を開けた。

「え、英理、しっかりするんだ! こんなやつらに負けるんじゃない!」
「あなた……わ、私……私、こんなになっても……愛してくれるの……?」
「当たり前だ! おまえは俺の女房だろう! こんなことくらいで……」
「あなたっ……。私も……私も愛してるっ……!」
「英理っ……」
「臭いお涙頂戴はもうけっこうだよ」
「……おぐっ!」

小五郎が喋り終える前に、遠藤の拳がその腹にめり込んでいた。

「何を偉そうな口を利いてんだよ。女房が犯されてるのを見てチンポ立てただけじゃなくっ
て、浣腸されてる奥さん見て、また勃起してるじゃねえかよ」
「こ、これは……」
「これは、なんだよ。愛してるだ? 笑わせるなよ。結局、あんたも女房をそういう目で見て
いたんだよ。その元気になったチンポがその証拠だろうが」
「くっ……」
「愛だの恋だの、んなもんあるかよ。てめえの女房犯されて勃起して、浣腸されるのを見て
まで勃起しやがって。そこに愛があるとでも言うのかよ」
「……」
「返事もできねえか。おい、岩村!」
「へい」
「その小生意気な美人弁護士さんに、もっと浣腸してやれ」
「へ? いいんですか?」
「ああ、いいさ。俺が「いい」というまでどんどんしてやるんだ」
「そ、そんな、いやあっ!」
「やめろ、もうよせ!」
「あ、ああっ!」

岩村は、いつの間にか満タンにしていた浣腸器を手にすると、嬉しそうに英理へ浣腸を仕掛け
ていく。

「ひっ……! もういや、浣腸はいやあっ!」

排泄させられ、心身ともに打ちのめされて弛緩しきっていたはずの英理の身体がびくっとして
硬直する。
口からは苦鳴がほとばしり出る。

「も、もういやあっ……やめて、しないで!」
「ほれほれ、どうだ。まだ旦那を愛してるなんて言えるか?」
「いやああっ! あ、あなた……あなたあっっ……!」
「英理っ!」

二度目の浣腸は一回目よりもさらにきつかった。
もともと腸内には吐き出すものなど何もなかったのに加え、一回目で腸内や腸管を保護する
腸液まで排泄してしまっていた。
もう腸管を守るものは何もなかった。そこに強力なグリセリン原液浣腸だ。
お腹の中が掻きむしられるような苦痛に、英理は縄を軋ませるようにして裸身をうねらせた。
チューブでなく嘴管からの直接浣腸だったら、ノズルは折れてしまっていたことだろう。

「くっ、苦しいっ……し、しないで、もう入れないでっ……!」
「ほれほれ、もっと苦しめや。奥さんの、その苦しそうな顔がたまらねえんだ」
「う、ううむっ……苦しい、死ぬ……死んじゃう……あうむ……」
「おら旦那よ。奥さん、死んじゃうってよ。どうする?」
「やめろ……、もうやめてくれ……本当に英理が死んじまう……」

また遠藤が小五郎の髪を掴んで引き上げる。

「やめて欲しいか?」
「……やめてくれ。何でも……何でもする……。か、カネが欲しいなら……」
「カネ? まあ、カネはかさばるもんでもねえから、どうしてもくれるっていうなら貰わない
こともないがな。だが、そいつはまだいいや。おい探偵さんよ、本当に何でもするんだな?」
「……」

小五郎は力なく頷いた。
この際、拒否する選択肢は小五郎にはない。
自分は自由を拘束され、娘はいいように犯され、もう性奴隷のようにされている。
挙げ句、妻まで目の前で激しい凌辱に遭っていた。
もう殺された方がマシだと思えるほどの屈辱と汚辱を、小五郎の一家は受けているのだ。

どうせやつらの目的はカネか情報、あるいは捜査の目こぼしだろうと思っていた。
蘭や英理の身体はその序でだと思っていたところに小五郎の甘さがあったのかも知れない。
まさか蘭の身体自体が目的でここまでするとは思えなかったし、脅すつもりで攫った英理の
身体にまで魅せられ、その肉体を弄ぶことが目的化したなどとは思いもしなかった。

立場上、小五郎はある程度警察に通じているし、その情報もある。
それを提供しろと言われても、従うしかなかった。
その結果、探偵として積み上げてきた今までの業績をドブに捨てることになっても、蘭や英理
には換えられないからだ。
目の前では、妻の英理が浣腸の猛威に苦悶し、悲鳴を上げている。
それどころではないのに、どうしても男根が屹立してしまう。
遠藤はそれを面白そうに見ながら言った。

「じゃ、してもらうか。おい、蘭! いい加減に起きろ!」
「……」

あまりのことに、もうすっかり心が麻痺してしまったかのように蘭は床に伏せていた。
それまでの禎一によるレイプや調教、売春強要に加え、ここに来てからの凄まじいほどの悪夢
の連続。
コナン──新一の前での恥ずかしいローププレイ。
そのコナンの小さなペニスをくわえさせられ、射精を口で受けさせられた。
あろうことか小五郎まで連れ込まれ、その前で男ふたりに両穴ファックされてしまい、何度も絶頂してしまった。
それに興奮した父親の肉棒までくわえさせられ、咥内射精をされてしまう。
だめ押しのように母親まで呼び込まれ、そのレイプを見せつけられただけでなく、浣腸責めなどという倒錯的な責めを受ける英理を見なければならなかった。
気が狂わないのが不思議なほどのショックだった。
遠藤に呼ばれ、のろのろと起き上がった蘭は這いずるように小五郎の元へ進んだ。

「お、お父さん……」
「蘭……」

その蘭と小五郎に遠藤が言った。

「おい、蘭。おまえ、ママを助けたいか?」
「は、はい……」
「そうか。おい、あんた。あんたはどうだ? 奥さんを助けたいだろ?」
「当たり前だ! は、早くしてくれ。もうやめさせろ!」
「わかったから、そうきゃんきゃん喚くな。じゃ、ひとつ条件がある。それをやったら英理の
おばさんは浣腸から解放してやる」
「な、なんだ、早く言え!」

そら来た、と小五郎は思った。
最初からそれが目的だったに違いない。
随分と迂遠なことをやってきたが、確かにここまで追い詰めれば、相手は何でも言うことを
聞くようになるだろう。

「簡単なことさ」

遠藤はにやりと笑った。

「おまえらふたり、ここでセックスしろ」
「……はい?」
「な、なに……?」

蘭も小五郎も、一瞬何を言われたのかわからない、という顔をした。
きょとんとしたふたりを見て苦笑した遠藤はもう一度言った。

「何度も言わせんなよ。おまえら、この場でセックスしろって言ったんだよ。父娘で乳繰り
あって見せろっての」
「な……」
「バ、バカなこと言うな!」

蘭は唖然とし、小五郎は今さらながら激怒した。

「何を言ってるんだ、きさま! 娘にそんなこと出来るか!」
「そんなこと……そんなこと人間のすることじゃありません……!」
「おいおい、今さらそんなこと言うのか? じゃあ、英理ちゃんはいつまでもこのままだぜ」
「そんな……そんなっ……! お母さんっ、お母さんっ!」
「ら、蘭……蘭っ……! お、お母さん、お母さんはぁっ……!」
「英理! しっかりするんだ! 助けてやる! 必ず助けてやるからな!」

遠藤がくわえタバコのまま、小五郎の髪を乱暴に掴んだ。

「だから助ける手段は言っただろ?」
「そ、そんなことが出来るか! 出来るわけがない!」
「じゃあ奥方はこのまんまだな。いや、浣腸で責め殺してやる」
「そんな、やめて! すぐやめてくださいっ!」
「蘭、おまえも聞き分けが悪いな。どうすればいいか言っただろうに。親父の方は躊躇がある
ようだから、おまえから誘ってやるんだな」
「そんなこと……」
「出来ないってか? なら……」
「いや、だめっ! お母さんを助けて! もうこれ以上ひどいことしないでぇ!」
「蘭っ……!」

母親の苦鳴を聞き、もうどうしていいかわからないという顔で泣き始めた蘭に、今度は禎一が
しゃがみ込んで囁く。

「もう、どうしようもないんだよ、蘭。覚悟を決めろや。平吉さんはやると言ったら必ずやる
お人だ。おまえもわかってるだろ?」
「……」
「ならわかるはずだ。おまえが拒否すれば、おまえのママは死ぬまで浣腸責めされることに
なる。苦しんで苦しんで死ぬことになるだろうな」
「そんな……ひどい、ひどすぎます……」
「ああ、ひどいな。だけど、それを止める方法がひとつだけあるんだよ。な?」
「で、でも……」

蘭は涙でぼやけた視界で母と父を見る。
英理は浣腸の洗礼を受け、腹痛と便意の苦痛に悶え苦しんでいる。
父はそんな母を見ていられず、それでも遠藤らを罵り、やめさせようと喚いていた。
禎一がなおも囁く。

「もう、今さら誰に抱かれようとどうってことはないだろう?」
「でも……でも、お父さんとなんて……。ああ、お願いです、森さん。他のことなら何でも
しますから、お父さんとなんて許してください……」
「何でもする? 誰とでも寝るってのか?」

コクリと頷く蘭に、禎一は意地悪そうな表情で言った。

「そうか。なら、エロ教師の嵯峨島とまた寝てくれるか?」
「いやっ! 絶対にいやですっ!」

蘭はほとんど反射的に言った。
教え子と知って、なおも蘭を凌辱し、その身体をカネで買った最低の教師だ。
いわゆる援助交際で、蘭も納得ずくだったならともかく、彼女は激しく拒絶したのだ。
その上で犯したのだから、これはもう売買春ではなく強姦だろう。
しかも嵯峨島は蘭の身体に執着し、執拗に責め抜いたのだ。
人の好い蘭にして、虫酸が走るほどに嫌っていた男だった。
今後も禎一らに従わざるを得ないとしても、嵯峨島の相手だけはいやだった。
禎一は言った。

「だろ? 嵯峨島にやられるよりはいいだろうが」
「で、でもお父さんとなんて……で、出来るはずありません」
「あれもだめ、これもいや、なんてのが通用すると思うのか?」
「……」

一転して冷たい声で放った禎一を、絶望的な目で蘭は見つめた。
もう逃げられなかった。
がっくりと項垂れ、諦めたように小五郎へと這い寄っていく。
それに気づいた父親が慌てた。

「ら、蘭! おまえ、まさか……」
「お父さん……」

父親を見つめる少女の顔は涙で濡れていた。

「もう……、もうどうしようもないの……。これしか……これしかお母さんを助ける方法は
ないのよ……」
「だ、だめだ、蘭! そんなことだけは絶対にいかん!」
「でも、お母さんが……」

その時、遠藤が小五郎の縄をナイフで切り落とした。
ハッとした小五郎は「チャンスだ」と、反撃に出ようとした。
だがそれもすぐに急停止する。岩村の声が響いたのだ。

「動くな、おっさん!」
「う……」

岩村の手には銀色に光る拳銃が握られていた。
マカロフのシルバーモデルのようだ。
浣腸責めに苦しむ英理の頭に、銃口をぴったりと当てている。

「面倒だから、あんまり逆らうとてめえの女房に一発ズドンといくぜ」
「く……、卑怯者……」
「娘はもうその気になってんだ。親父もいい加減覚悟を決めな」
「お、お父さん……」
「蘭、いかん! それは、それだけはいかん!」
「だめか? じゃ仕方ねえ、可哀想だが英理ちゃんは浣腸に苦しみながら撃ち殺される、と
……」
「やめて! します、しますからっ!」

蘭は激しく首を振りたくって叫んだ。
小五郎は、一か八か岩村に飛びかかろうかとも思うのだが、まず失敗するだろう。
それでも、自分だけの命なら万に一つの可能性に賭けてもいいと思う。
しかし英理や蘭の命がかかっているのだ。
迂闊なことは出来なかった。

今は何時くらいだろうかと思う。
携帯も腕時計も取り上げられ、部屋には時計など掛かっていない。
時間がわからなかった。
もう3時間くらい経ったのではないだろうか。
今の小五郎は、もう恥も外聞もなく、目暮たち警察の突入を今や遅しと待っていた。
蘭だけでなく、一家全員の恥辱的なシーンを見られてしまうことになるが、それでも妻や娘が
殺されるよりはマシだ。
事前に目暮へ連絡せず、救出が絶望的な状況なら飛びかかるのもいいだろうが、彼らは間違い
なく周辺に潜んでいるのだ。
座して死を待つわけではない。

それに、もう蘭のフェラを一度受けているではないか。
それだけで父親としては失格だ。
しかも、蘭や英理が無惨に犯されているのを見て、自分でも恥ずかしいくらいに勃起してしま
った事実は消えない。
それを英理にも蘭にも見られているのだ。確かに遠藤の言う通り「今さら」という感覚はあった。

そこまで考えて「いかん」と小五郎は頭を振る。
父が娘を犯すなど人非人の行為だ。それでも、それしか手段がないとしたら。
その間にも、蘭は遠藤に指示されて四つん這いとなっており、さっきとは逆に、今度は尻を
小五郎に向けている。

「くっ……」

小五郎は思わず目を瞑り、顔を逸らした。
親が別居しているというのに、この娘は素直に真っ直ぐ育ってくれた。
見た目がだんだんと英理に似てきたのは小五郎も実感している。
母親譲りの美貌とプロポーションは、確かに父親という立場から離れれば魅惑的この上ないの
だろう。
実際、蘭のレイプシーンで興奮したのである。
まだ躊躇する小五郎に、蘭の小さな声が聞こえる。

「お……父さん……。いいよ……」
「バ、バカ、おまえ……!」
「でも……、もうこれしかないの。私……我慢する……」
「し、しかし……」
「お父さんも嫌だろうと思うけど、しないとお母さんが……」
「い、いや、いかん! やはりこんな……」
「お父さん、して……。私だっていやなの、こんなこと……。だから、だから早く済ませたい
のよ……」
「ら、蘭……おまえ……」
「蘭……よ、よせ……やめるんだ……」

息も絶え絶えになっているコナンの声がした。
スタンガンのショックが大きく、まだ身体が痺れているだけでなく、呂律が回らない。

「コ、コナンくん……あ、新一……。ごめん、ごめんなさい……でも、こうするしかないの……」
「蘭……」

コナンは目を堅くつぶって顔を逸らした。
最愛の女が、強要されているとはいえ、父親を交わろうとしているのだ。
正視できるはずもなかった。
そして自分には、それを止める手立ても策もない。
コナンは、目の奥から流れ出る熱い涙を感じていた。血の涙だと思った。



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