秋本は案外素直に真弓を解放した。
ずるりと勃起したままのペニスが、真弓の小さな膣から抜き取られた。
よく見ると、赤いものが付着しているようにも見える。
まだ処女の血が残っているのだろう。
それを見てますます怒りを募らせたけい子に、秋本が命令する。
「ようし、先公。今度はこっちに来な」
「……」
「つまらんことを考えるなよ」
秋本の命令を幸いに、けい子は飛びかかろうと思っていたのだが、男の方は油断なくナイフを
握っている。
放心したようにぐったりと柱に寄りかかっている真弓の腿に、ピタピタと刃先を当てていた。
けい子の怒りに燃える瞳を難なく受け流して秋本が言う。
「座れ」
「……」
「オレに背中を向けて座れってんだよ」
抵抗は無意味だ。
けい子は言われるままに秋本に背中を向けて正座した。
目の前には真田がいて、こっちを見ている。
見られたくはないから、右腕で胸を覆い、左手で股間を隠した。
そうはさせじと殺人犯が言う。
「手を後ろに回せ。今さら隠そうとしてんじゃねえよ」
「あっ! 何をするの!」
「うるせえ、おとなしくしろ!」
けい子が両手を後ろに回すと、待ってましたとばかりに秋本がその手を掴む。
バッグから取り出していたロープを使って、けい子の細い手首を縛り上げてしまった。
腕を振って抗おうとしたものの、両手に縄を掛けられ、そのまま抱きつかれては動けない。
男は、左腕でけい子の首を絞めながら、器用に右腕だけでその身体を縛っていく。
「く……」
両手を後ろ手縛りにされ、その縄尻で腕と胸を縛られたけい子は悔しそうに呻いた。
乳房の上下に二本ずつロープが巻き付き、ただでさえ豊かな胸肉が強調されている。
抗議しようとけい子が振り向くと、いきなり仰向けに突き倒された。
「きゃっ!」
驚く間もなく、今度は別のロープで両脚まで縛られてしまった。
左右それぞれの脚は、畳んだままで、腿とふくらはぎをくっつけたまま縛られた。
膝の上と下、足首と腿の付け根あたりに縄を掛けられ、ぐっときつく縛り上げられる。
こうなっては動けず、コロンと転がったままだ。
秋本が可笑しそうに嗤う。
「くく、いい格好だな、美人先生よ」
「……」
睨んだけい子の視線など弾き飛ばして、薄笑いを浮かべたまま彼女を引き寄せた。
「やめて、触らないで!」
「おうおう勇ましいこった。自分がどんな恥ずかしいカッコさせられてるか自覚しろよ。ほれ
見ろ、可愛い生徒が先公のことをじっくり見てるぜ」
「!!」
言われた通り、真田が食い入るように見つめている。
無理もないだろう。
あの夏綿けい子が素っ裸で緊縛され、大股を拡げたあられもない格好で転がっているのだ。
しかも、ついさっきまでそのけい子にフェラされていたのである。
生徒の視線に獣のそれを感じ、けい子は顔を背けた。
その時、秋本の淫靡な指を股間に感じて、けい子は悲鳴を上げた。
「きゃあ! さ、触らないで!」
「それじゃあ性教育といくか。ガキども、先公が自分の身体を使って教えてくれるぜ、よく見
てな」
男は親指、人差し指、中指の三本を使って、器用にけい子の媚肉を押し広げた。
ぽってりとした肉厚の割れ目には、短めの陰毛が覆っていた。
しっとりと濡れていたのは汗であろう。
さすがにこの状況下で性的昂奮を得ることはないはずだ。
顔を背けて恥辱に耐えているけい子を嘲笑うかのように、秋本の指がその性器を弄んでいく。
ぬるりと濡れている二枚の肉を開口すると、ねっとりとした透明な蜜がとろりと零れてきた。
途端にムッとするほどの女臭が辺りを漂い始める。
「くく、何だかいい匂いがしてきたぜ先生よ。あんた、生徒のチンポくわえて昂奮してたわけ
じゃねえだろうな」
「……」
反論する気にもなれず、けい子は目を閉じて赤く染まった顔を背けている。
女の秘密をさらけ出される恥ずかしさがたまらなかった。
それも暴漢に見られているだけではない。
真弓はともかく、真田の方はけい子を見ているに違いないのだ。
生徒に股間を観察される屈辱は耐え難い。
いつの間にかけい子は、秋本に背中を預けるように抱かれていた。
その正面に真田がいるのだ。
気丈な女教師がどう崩れていくのか、秋本は胸を高鳴らせながらけい子の身体を剥いていった。
左手はロープに括り出された乳房をやんわりと揉みほぐし、右手は相変わらず膣近辺を責めて
いる。
中指と親指で花弁を大きく開くと、人差し指で膣の中を貫いていく。
「うっ……」
その異物感に、さすがのけい子も呻いた。
いやでいやでたまらなかったが、けい子のそこは何の抵抗もなく秋本の指を納めていく。
その指がくいと曲がって膣内を擦ると、それに応じて肉襞が蠢くのが自分でもわかった。
そこに秋本が冷やかすような声を掛ける。
「おう先公。気持ちいいのはわかるが、いい気分になってる場合じゃねえぞ。ほれよく見ろや。
可愛い生徒が先生の大事なところを覗いてるぜ」
「……!!」
言われて思わず目を開けると、秋本の言った通り真田がこっちを見ているのが解った。
見ているどころではない。
身体を前につんのめらせるようにして凝視している。
もはやけい子の裸体に関する興味を隠そうともせず、食い入るように見つめていた。
「や、やめて! 真田くん、見ないで! だめよ、見ちゃ!」
「バカ言うない。こんだけすげえ身体が目の前にあっちゃ、見ねえわけに行くかよ。なあ小僧」
「……」
真田も返事はしなかったが、悔しかったからでもけい子に気遣いしたからでもない。
そんなことよりも、けい子の肢体を一瞬でも長く目に焼き付けておきたいと思ったからだ。
大股を開かされたけい子の股間が手に取るように見える。
媚肉を惨めに拡げられ、内臓まで露わにされていた。
その下にはアヌスが控えめなおちょぼ口を見せていた。
肛門のすぐ側に小さなホクロがあるのが、何とも悩ましかった。
「けけ、先生よ、見てみろや。おめえの生徒がチンポおっ立ててるぜ」
「く……」
またしてもけい子は目を背けたが、さっき見た真田のものが網膜に残っている。
先ほどのフェラチオで射精し、すっきりしたはずなのに、彼のペニスはまたしても大きく膨れ
あがっていた。
見るからにギンギンと硬そうで、先っぽからはまたもカウパーが零れでているのであった。
それが男性の生理というものだということは理解していたが、教師である自分のヌードを見て、
生徒が男根を勃起させている事実は彼女を動揺させた。
調子に乗った秋本は、真田に対して解説までし始めた。
「ほれほれ、もっと大きく拡げてやるからよく見ろ。へへ、奥の子宮まではさすがに見えねえ
だろうが、襞たっぷりの肉壷はよく見えるだろうが」
秋本は、くぱあと音がしそうなほどに女教師の媚肉を押し開いた。
子宮が見えそうなほどに口を開け、じくじくと熱い愛液が滲み出させ、代わりに冷たい外気と
真田の視線が膣内に侵入してくる。
「や……あ……、さ、真田……くんっ……あっ……お、お願い、見ない……で……、こんな姿
……見ないでぇ……」
「……」
けい子の血を吐くような懇願にも、真田の返事はない。
声はなくとも、その股間ではち切れそうなほどに勃起しているペニスこそが彼の真意を体現
していた。
見れば、真田の視線はけい子の膣だけにいっているのではなかった。
揉まれる大きな乳房や、苦悶する美貌にも大きな昂奮を覚えていたのだった。
もしかすると、悩乱する表情にごく僅かに混じる恍惚を読み取っていたのかも知れない。
「せ、先生……夏綿先生……」
「い、いやあ……」
一瞬たりとも目を離さない生徒の呻きに、けい子は咽び泣いた。
殴られるより叩かれるより、こうして恥辱の責めを受けることの方が、ずっと効いてきた。
女性としての尊厳を踏みにじられ、辱められる。
はしたない姿を見られる。
そのことが彼女の心理に大きなダメージを与え、同時に肉体には不可思議な感覚を与えていた。
それに気づいた秋本が、さらに美女を貶めようと膣の中をいびっていく。
男の指は、その武骨さに似合わず、驚くほどに器用に動いた。
指で内部の天井を撫でたりぐっと押してやったりすると、その都度けい子は「んんっ」とか
「くうっ」と言った悩ましい声を上げた。
「なんだなんだ、生徒にマンコの中を見られて感じてやがるのか、ええ?」
「ち、違う……!」
「どこが違うんだよ、こんなに濡らしやがって。マンコの中だってえらく熱くなってんぞ。
ほれ、もっと拡げてやるからな、じっくり小僧に見せてやれ」
「や、やあ……くっ……み、見ないで真田っ、くん……ひっ……」
「意地を張んなよ、感じまくってるくせに。おい小僧、ここだ。ここが女がいちばん感じる
ところだぜ」
「そ、そこはあっ、うああっっ!」
秋本は中指と親指でけい子のクリトリスを軽く摘んで包皮を剥いた。
つるんと面白いように綺麗に剥けた肉豆は、まだ初々しいピンク色だ。
もう硬くなりつつあったそこを指で挟んでクリクリと扱いてやると、けい子は裸身をグンと
仰け反らせて白い首を晒した。
「ひっ……んむっ……や、やめ……くぅあっ……!」
真田を意識してか、けい子は懸命に声を噛み殺そうとするものの、食いしばった唇の端から、
ついつい艶っぽい呻き声が漏れてしまうのを止められない。
白かった肢体も見る見るうちに薄紅色に染まっていく。
余程刺激が強いのか、けい子は魚のようにピチピチと身体を跳ねさせて悲鳴を出した。
そのくせ膣は、秋本の指をしとどに濡らしてしまうほどに愛液を滴らせてしまうのであった。
真弓はいたたまれなくなってさめざめと泣き、無惨な女教師から目を逸らせているが、真田の
方は生唾を飲み込む音すらさせながらけい子を観察していた。
けい子の方は、もう男子生徒の淫らな視線を感じる余裕もなく、鋭敏な性器官を責められる
刺激を堪えるだけで精一杯だ。
恥辱の裏に潜む背徳的な快楽、苦悶と表裏一体の被虐的な快楽。
それすら気づかず、けい子は男の腕の中で身悶えるしかなかった。
「お、おねっ、がい……あ、もう……もうやめっ、て……ひうっ……」
秋本がクリクリといびっていると、それまで恥ずかしげに少し顔を出していただけのクリトリ
スは、堂々とその全貌を表してくる。
いくら堪えようとしても、次から次へと痺れるような快感が男の指から送り込まれ、美人教師
は電流が突き抜けているかのように、全身をビクビクと痙攣させていた。
人差し指でクリットを軽く突っつき、中指が膣口にずぶりと侵入すると、手足を縛り付けている
ロープを軋ませながら激しい反応を見せた。
噛みしめていた唇が緩み、呻き声に甘さと艶っぽさが混じってくる。
「いい声で鳴くじゃねえか。そんなに気持ちいいのか?」
脆くも崩れる肉体の情けないに泣きながら、けい子は口答えも出来ず、ぶるぶると大きく首を
振って否定して見せた。
だが、その動きは、あまりの快楽に身体が耐えきれず、快楽を逃がそうとしているようにも見
えた。
思った以上の反応に気をよくした強盗犯は、かさに掛かってけい子を責める。
指先でキツツキのようにトントンとクリトリスをノックしたり、指で摘んだまま軽く揺すって
やると、けい子ははっきりとした性の愉悦を得てしまい、とうとう喘ぎだしてしまった。
「やっとよがりだしやがったな、このスケベ教師が。生徒の前で悶えやがって、恥ずかしく
ないのか」
「いやあ……こ、こんなの、もういや……あっ……それはぁっ……」
けい子の陶磁器のような頬を、つうと涙が伝い落ちる。
暴漢者に嬲られる悔しさと、その痴態を生徒に見られる恥ずかしさに情けなさ。
それらが渾然となって、この気丈夫な女教師の心を揺さぶっていく。
そしてけい子の恐れていた瞬間が訪れた。
秋本が親指で肉芽を押し潰すように刺激を与え、二本指を膣口に突っ込んでかき回したのだ。
激烈な官能の刺激がけい子の脳天に駆け上がり、惨めな敗北の姿を晒した。
「だっ、だめっ……んんっ……だめええっっ!!」
秋本の胸板に思い切り背を押しつけ、首は大きく仰け反らせて男の肩に乗った。
縛られた身体を精一杯しならせて反り返り、ビクビクビクッと大きく痙攣して汗を飛ばす。
そしてガックリと力を失って、正体をなくしたまま男に背中からもたれかかった。
秋本は満足げにけい子の膣から指を抜いた。
「なんだ、もういっちまったのか。少し早すぎるぜ」
「ち……違……」
「違うだと? いってねえってのか?」
「そ、そうよ……だ、誰があなたなんかで……ああ……」
「ウソつけ。おい小僧、おめえもこの美人先生が今いっちまったのはわかったろ?」
「……」
真田はまったく答えられず、女の絶頂を演じて見せたけい子から目が離せなかった。
無理もあるまい。
彼自身、女が本気で気をやるところをナマで見たのは初めてだったのだ。
男が苦笑する。
「それどころじゃねえってか。おうおう、もうチンポが爆発しそうじゃねえか。まあ縛られてる
からマスもかけねえだろうが、せっかくだからいかせてやるぜ。オレも、このままじゃ収まら
ねえからな」
ぐったりとしているけい子をその場に転がすと、おもむろにズボンを脱ぎ、続けてトランクスも
脱ぎ捨てた。
いかされてぼんやりとしていたけい子の目に、その恐ろしいものが映し出され、彼女は一瞬で
正気に戻り、息を飲んだ。
「ひ……」
その男根ときたら、真田の比ではなかったのだ。
彼のものもなかなかであったが、それはあくまで「高校生としては」ということであり、歴戦の
男のそれとは明らかに違った。
秋本のペニスは完全に亀頭が顔を出していたし、その色は淫色に染まって赤黒かった。
サイズそのものも長大と言えるもので、長さも太さも男子生徒を遥かに凌駕している。
けい子の背筋に寒気が走る。
まだ犯されてはいなかったし、これだけで済むとは思えなかった。
こうなる覚悟はあったし、それが生徒を──真弓を守るためであれば甘んじてその屈辱を受け
ようとまで思っていた。
しかし、いざ男の凶器を目の当たりにすると、さすがにたじろいでしまった。
本能的な恐怖である。
「い、いや……」
「いやじゃねえ。おめえだって中途半端に燃えて焦れったいんだろ?」
「もう、いや……これ以上恥をかくのはいやよ……!」
「何を今さら。生徒のチンポくわえてそのザーメン飲み込んで、オレにマンコいじられていっち
まったくせによ。ここまで恥をかいたら、あとは仕上げをするだけだろうが」
「や……ひっ!」
秋本は、逃げようと後ずさりしたけい子の脚を無造作に掴んで、自分の方に引っ張り寄せた。
「オレだって倅を何とかしねえとどうにもならんしな。おう、小僧。よーく見てろよ、これから
おとなのセックスってやつを見せてやるぜ」
男は後ろからけい子を抱え込むと、大手を拡げて両乳房を揉み込んだ。
ここでも秋本のテクニック、指先の器用さが発揮される。
薄目の乳輪の縁をなぞるように指を使い、ぷくりと屹立した乳首を弾いたり、突ついたりして、
けい子に甲高い悲鳴を上げさせていた。
乳首を責められると、声が震えるほどの官能がけい子に押し寄せてくる。
秋本は乳首だけでなく、乳房全体を責めた。
大きく豊満な乳房の肉を存分に味わうように、手のひらいっぱいに使ってぐにぐにとその柔ら
かい塊の感触を愉しんでいる。
ぎゅっと絞るように揉みしだくと、熟れた肌が指を弾き返してくる。
まるで妊娠しているかのように、よく張った乳房であった。
男の手が揉み絞るごとに、その弾力が増してくるかのような感触がある。
「はっ……はんんっ……んくっ……や……うんっ……」
急所を揉まれ、恐らくは耐え難いほどの快感を得ているはずだが、それでもけい子は必死に喘ぐ
のを堪えている。
生徒の前で何度も屈辱を晒せないということもあるが、それ以上にもともと勝ち気なためだろう。
こんな野卑な男の手で恥ずかしい反応は見せられないという反骨心だ。
そんなけい子の心情がわかるのか、秋本は薄笑いすら浮かべながら乳房を責め続けた。
乳首を下から上へ絞り上げるように擦り、肉塊をぎゅうぎゅうとこねくり回す。
いかされて耐性のなくなっていたけい子の肉体は、もうそれだけでも気をやりそうになる。
「んんっ……あっ……」
「おお、おっぱいだけでいっちまうのか? ああ?」
「だ、誰がそんな……はしたない!」
「はしたないのはどっちだよ。もういきそうなくせによ」
「け、けだもの……」
「まだそんな減らず口が出るか。そんなら往生させてやるぜ」
強盗殺人犯は、己のペニスを手で掴み、誇らしげにぶらぶらさせて見せつけた。
そしてけい子の腰のくびれを両手で掴むと、ぐいと力を籠める。
膂力があるのか、けい子の身体は苦もなく持ち上がっていた。
もがくけい子を気にもせず、勃起した男根の先端に向けて女体を下ろしていく。
「いっ、いやっ……! ひぃっ!?」
秋本のペニスが秘所に当たると、けい子はずり上がるように上へと逃げようとした。
でも、彼女の身体を操っているのは秋本だから無駄な抵抗だ。
既に一度いかされて濡れそぼっている媚肉は受け入れ可能状態になっており、たくましいペニス
が触れると、途端に蜜が分泌してきてしまう。
秋本は面白がってけい子の肢体を上げ下げしていた。
少し腰を落として僅かに男根を媚肉に含ませてけい子の悲鳴を誘い、すぐにすっと引き上げて
安堵と焦燥を同時に味わわせてやる。
しばらくそうして美人教師と見学者の男子生徒の様子を窺っていた秋本は、下ろしたけい子の
腰を今度は上げず、そのまま挿入し始めた。
「ああっ……いやあっ……あ、あくっ……」
秋本は真田に見せつけるように、そしてけい子に思い知らせるようにゆっくりと腰を沈めていく。
愛液が溢れている膣は、長大な秋本のペニスを苦もなく飲み込んでいった。
「んっ……んんっ……あ、あ……ふっ……といっ……あう……は、入って……くる……」
男の性器は、待ちかねたようにけい子の割れ目をこじ開け、狭い膣道を押し開くように奥へと
侵入していく。
秋本が腕の力を抜くと、けい子の重みでその身体が下がり、ずぶずぶと男根に突き破られて
いった。
そして後ろ向きの状態で、完全に秋本の上に座り込む形になった。
ぺたりとお尻が男の膝の上に乗っかってしまう。
「よぉし、根元まで飲み込んだな。どうだ、オレさまのは?」
「ああ……太……い……、く……熱いのよ……。そ、それに……」
「それに?」
「すごい硬い……痛いくらいよ……ああ……ぬ、抜いて……」
「バカ言うない。始まったばっかりで抜けるかよ。これからが性教育の本番だ。ガキどもに
激しいセックスを見せてやろうぜ」
「そ、そんな……ああっ!」
一端根元まで埋め込むと、秋本はしばらく動かなかった。
腿に感じ取っていたけい子の尻の感触の心地よさと、媚肉深くまで入り込んだペニスで膣の
肉襞を味わっていたためだ。
「いい具合じゃねえか、先生よ。さすがに伊達に歳食ってねえな。そこの嬢ちゃんも締まり
だけは良かったが、先生のマンコにゃ敵わねえや」
感心したようにそう言うと、男は掴んだけい子の腰を揺さぶり出した。
尻をぺったりと着けたままぐりぐりと軽く回転させて、その摩擦でけい子の声を絞り出す。
かと思うと、小さくゆっくりと腰を上下させ、一方で自分の腰もそれに呼応させて動かした。
ペニスの先がポイントに当たると、けい子は我慢しきれずに口から甘い喘ぎ声を漏らし始めるの
だった。
「ああっ……んっ……うくっ……そ、そこっ……あうっ……」
「いいのかい、先生よ」
「い、いや……あむっ……」
「よければ「いい」と言っていいんだぜ」
段々と収縮し、締め付けるような動きを見せるけい子の媚肉をじっくりと味わいながら、秋本
は女の腰を円運動させていった。
膣が拡げられ、隙間からぼたぼたと蜜が垂れる。感じる箇所に当たることが増えたのか、けい子
の声も上擦ったものになっていった。
けい子から、感じることへの嫌悪感が薄れつつあると見てとった秋本は回転運動をやめ、ペニス
が抜ける直前までけい子の腰を持ち上げる。
「ああ……」と安堵するような、あるいは残念そうなけい子の声を聞きながら、今度は一気に
腰を落とした。
「あう!」
突然に奥まで貫かれ、けい子は思わずいきそうになった。
そうでなくとも、いかされたばかりで膣内は極めて敏感になっている。
そこを焦らすように擦られ、抉られていたのだ。
強く奥まで突かれると、燻っていた快楽が一気に燃え上がってしまう。
けい子は「いや」「やめて」と言いながらも、美しい顔をピンク色に染めて仰け反らせていた。
口元からは熱い喘ぎ声しか出てこない。
肉体だけは、明らかに暴漢とのセックスにのめり込んでいた。
嬉しそうな口調で秋本が真田に言った。
「どうだ、小僧。おめえの先生のマンコの中に、オレの太いのがずぶずぶ突き刺さってんのが
わかるか?」
真田は息を──いや生唾を飲み込んでその凄まじいセックスを凝視していた。
飲んでも飲んでもツバが口にわき上がり、よだれになって唇の端から零れている。
だが、そんなことも気にならないほどに、目の前のセックスショーに心を奪われているだった。
しかもこれはアダルトビデオでもエロ漫画でもない。
フィクションではなく現実なのだ。
あのけい子先生がこともあろうに強盗犯に犯されている。
何とか耐えようとしているらしいが、その表情から察するに、犯されて快楽を感じているのは
間違いなさそうだ。
眼前で繰り広げられる美女の凌辱劇に、男子生徒のペニスは暴発寸前である。
ムキムキと大きくなるだけ大きくなり、仮性包茎の亀頭は半分以上顔を覗かせている。
その先からは、透明な粘液が糸を引いて床に垂れていた。
手が動かせれば、恥も外聞もなく手でしごいていたに違いない。
この光景ならば、連続して5回でも6回でも抜ける自信すらあった。
いや、身体が自由だったらオナニーなどせず、この強盗犯に協力して、一緒になってけい子を
犯していたかも知れなかった。
女慣れした赤黒くたくましい肉刀が、けい子のまだ使い込んでいなそうな色の性器を無理矢理
押し広げて激しく抜き差しされている。
硬いものが膣内のあちこちを抉り、たくましく張り出したカリが鋭敏な肉襞を削り取るように
擦り上げると、けい子の口から堪えきれない甘美な呻き声が漏れ出てしまう。
声だけでなく、快楽の証は媚肉にも見られた。
膣からこんこんと溢れ出る濃厚な蜜が、秋本の腿をべたべたに汚しているのだ。
けい子の腰が持ち上がると、秋本の腿との間に白く細い糸が粘り着いている。
秋本がそのタフネスぶりを発揮し、座ったままでけい子を上へと突き上げていた。
ズンズンと突き上げられるたびに、豊満なだけでなく形も素晴らしい乳房がたぷんたぷんと
大きく揺さぶられる。
それを鷲掴みにしてぎゅうぎゅうと揉みしだくと、ついたばかりの餅のような弾力感が得られた。
「ひっ……む、胸っ……や、やめっ……」
「気持ちいいかい。ほれ」
「やああっ」
男は突き上げを休むことなく、両手で大きな乳房を揉み込んだ。
下からすくい上げるように揉み上げ、上から潰すようにこねくり回した。
乳首というより乳輪全体をこねくってやると、コリコリになった乳首がたまらずその全身を
表してくる。
それをすかさず指で捻り潰すようにしごいてやると、けい子は白い喉を反らせて大きく喘いだ。
美人教師の性感が徐々に高まっているのを実感すると、男は責め方を変化させた。
それまで勢いよくピストンしていた腰の速度を落とし、その代わり確実にけい子の最奥まで
貫くように突いた。
その深さにけい子が目を剥く。
「ふああっ……お、奥っ……ふ、深、いっ……」
「へへ、どうだい。いちばん奥に届いてるだろう」
「あ、当たって、るっ……ひぃっ……」
硬いものが最奥にまで届かされ、子宮口を突っつき上げられる。
同時に、たくましくエラの張ったカリが肉襞を削り取るように擦る。
膣だけで二種類の快楽を強制され、けい子は忘我になりつつあった。
もともと性体験の少ないけい子は、ここまで奥に挿入されたことは滅多にない。
それだけに、そこが官能ポイントだということはあまり知らず、未知の愉悦に身震いするばかり
だった。
「ああっ……も、もういやあっ……やめてえ……あああっ……」
「どうしたい。もういきたいのかい?」
「違う! ああ、でもっ……だめっ……やめて、これ以上は……」
「これ以上されたらどうなるんだ? いっちゃうんだろうが。いいんだぜ、いっても。ガキの前
で派手にいけや」
そこでけい子はハッとした。
秋本の動物じみたセックスに翻弄され、肉体が燃え上がってしまって忘れていたが、生徒がいる
のだ。
真田はまるでアダルトビデオでも見ているかのような熱い視線をけい子の裸身に送ってきている。
もう彼の頭には、けい子が先生であることなど消え失せているだろう。
目の前に繰り広げられている美女の痴態に昂奮しきっているのだ。
さっきまで顔を伏せて泣いていた真弓も、けい子の方を見ていた。
もちろん真田のように、薄汚い欲望を感じて見ていたのではなく、惨い凌辱を受けているけい子
を同性として悲しく、申し訳なく、気の毒に思っていたのだ。
そもそもの原因も、自分がこの犯罪者に捕らわれたせいである。
普段から、何かにつけ学園に目を付けられている真弓を、陰に日向に庇い、助けてくれたのが
けい子である。
挙げ句、救出に来てくれたけい子をこんな目に遭わせてしまったという沈痛な思いが、憂い顔に
表れていた。
「ほれほれ、穴が開くほどにガキが見てるぜ、先生よ。遠慮しないでいっちまえよ、ガキも期待
してるしな」
それだけは避けたかった。
教師として、生徒の前で犯されるのみならず、気をやらされるわけにはいかない。
さきほど前戯でいかされているし、こうして凌辱されてはいるのだが、まだそれで絶頂させら
れたわけではない。
犯され、その結果、暴漢の軍門に降って、あられもなく性の絶頂を極めることだけはいやだった。
また、それを生徒がオスの目で見ているのだ。
その前で気をやることだけは出来ない。
教師の矜持として、そのことだけは我慢がならなかった。
「いけよ」
「く……だ、誰が……あ、あんたなんかで……あっ……いっ……」
「くく、言ってることと反応が正反対だぜ」
秋本は盛んにけい子の乳房を揉みながらも、腰はしっかりと媚肉を奥深く貫いていた。
もうはっきりとけい子の膣は反応し、男根を優しく絞るように収縮し始めている。
それがけい子本人にもわかるのか、困惑した表情を浮かべ、いきむように踏ん張っている。
ややもすれば漏れでてしまいかねないよがり声を押さえ込んでいるのだろう。
だが、踏ん張ることでかえって膣が締まり、秋本のペニスへ快感を与え、同時にけい子もその
大きさと硬さを思い知らされることになる。
成熟した女体は、秋本の責めにすっかり順応し、犯される悦びに打ち震えていた。
背中で縛られた両手のひらが、握ったり開いたりを繰り返している。
居ても立ってもいられないのだ。
縛られた不自由な身体の中で、動かせるところを動かして少しでも快楽を体外へ逃さないと、
この悦楽に溺れ、悶え狂ってしまいそうだ。
それでいてけい子は、肢体を少し捻って腰を男の腿の上に落ち着かせようとしている。
知らず知らずのうちに、身体は秋本のセックスに呼応して、男が動きやすい姿勢になろうとして
いたのだった。
女の身体が受け身から積極的になりだしたのを実感し、男も臨界点が近づいてくる。
責められるけい子の方も、上り詰める寸前といった風情だ。
「おい先生よ。オレの方もそろそろいきてえんだがな」
「な、何を言ってるの! だめに決まって、ああうっ……」
肉体はすっかり発情しているけい子だったが、まだ理性はある。
犯されて生徒の前で気をやりたくはなかったし、秋本の精を胎内に受けるわけにもいかない。
凌辱の証が残るかも知れないのだ。激しくなってくる秋本の突き上げに腰のリズムを合わせ
ながらも、けい子は気力を振り絞って抗った。
「それだけはだめ! な、中で出すなんて……いやあ……」
「いいじゃねえか、ガキも見てるしな。女が犯されて気をやるところをしっかり見せて性教育
してやろうじゃねえか。仲良く一緒にいこうぜ」
秋本の手がけい子の胸から離れ、再び細腰を掴んだ。
そのまま乱暴とも思えるほどに激しい勢いで腰と腰とぶっつけあう。
けい子の大きめの尻が浮き上がるほどの力強さだ。
潤い切った媚肉からは、野太い男根が突き上げるごとに女の汗と体液を周囲に弾け飛ばしている。
「そ、それだめっ……奥っ……当たってるっ……ああ、もうっ……もうっ……」
はっきりとよがりだした女教師は、動かぬ身体を悶えさせてあさましい行為に没頭していた。
責める秋本がけだものなら、責められて反応しているけい子もけだもののような声を上げている。
秋本も顔が真っ赤になっている。
けい子の絶頂に合わせて自らも射精しようとしているのだ。
限界寸前まで膨れあがり、硬くなった肉棒が、赤く爛れてきた女陰を強く深く貫いていく。
快楽に身を沈めきっているけい子は、自ら腰を回転させるように揺さぶって、その快感を増大
させようとしていた。
責め続ける秋本も、けい子の膣の素晴らしさに圧倒され、呻くように言った。
「くっ……それにしてもよく締まるいいマンコだぜ。いくらオレでももう我慢が……」
すっかりセックスに取り込まれてしまっている美人教師をいかせるべく、秋本は懸命に腰を
使い出した。
ひくつき、絡みつくように締め付けてくる膣襞を引き剥がして激しい抽送が繰り返される。
ただ突き上げるだけでなく、媚肉の内部を引っかき回すが如く、滅茶苦茶な動きも敢えて加えた。
突如としてリズムが崩れ、荒々しいとしか言いようのない攻撃を受けることとなったけい子は、
気が狂いそうなほどの喜悦を感じてきた。
(ああっ、こんな……だめ……もう、だめ……い、いってしまう……いかされちゃうっっ……!)
自ら「いく」とだけは口にしたくないのか、女教師は血が出るほどに唇を噛みしめている。
その抵抗を打ち砕かんと、男の腰がけい子の腰を持ち上げていく。
とうとうけい子が頂点に達する時が来た。
両手を握りしめ、全体重を掛けて腰を秋本の腰に押しつけて、肉棒を深いところまで迎え入れた。
それとほぼ同時に、膣の内部と入り口が一気に収縮し、ペニスを締め上げた。
「おっ……おおうっっ……!!」
「ひぃ!」
秋本の腰が浮き上がったように見えた。
一緒にけい子の腰も宙に浮く。
再びけい子が落ちて来た時、秋本はその腰をがっちりと抱え込んで最奥まで肉棒を突き入れた。
男の身体がぶるっ、ぶるっと震えている。
けい子の肉の妖艶さに耐えかねて射精したのだ。
「ああっ、な、中でっ……ううんっ、で、出てるっ、いやああっっ……」
胎内というより、子宮口に直接精液の洗礼を受け、けい子はガクンガクンと腰を跳ね上げた。
熱い男の粘液をしっかり感じ取ったのか、むっちりとした臀部を秋本の腰に押しつけている。
口には出さなかったが、けい子もいったらしい。
恍惚感を表した美貌を晒し、秋本に預けた裸体がぶるぶると痙攣していた。
秋本も、まだ出してやると言わんばかりにけい子を抱え、何度も小さく腰を突き上げている。
「ふう」
「ああ……」
最後の一滴までけい子の中に注ぎ込み、満足げに秋本が力を抜くと、同時にけい子も脱力した。
快楽の絶頂を乗り越えたのか、上半身は完全に秋本の胸に預け、顔を肩にもたせかけていた。
秋本は肩にうつぶせたけい子の髪を掴み、その顔を覗いて言った。
「へへ、ずいぶん派手に気をやったもんだな」
「あ……」
「ほれ、よく見ろや、ガキども。おめえらの先公も、一皮剥けばタダの牝だってことがよく
わかったろうが。ん?」
男は男子生徒の方を見て哄笑した。
「なんだなんだ、おめえ、また出しちまったのかよ」
「……」
真田の、裸の股間には相変わらず男根が勃起していたが、幾分、萎れている。
よく見れば、その先端には白いものがこびりつき、股の間には白濁液が撒き散らされている
ではないか。
秋本に激しく犯されるけい子を見て、またしても射精してしまったのである。
「く、そっ……!」
それを聞いて、しなだれていたけい子の身体に力が漲ってきた。
自分が犯され、恥をかかされただけではない。
生徒までそんな恥辱を晒すことになったのだ。
真田は別に恥ずかしいとは思っていなかったが、けい子は、人前で射精しなければならなかった
彼に思いをやった。
だいいち、けい子たちが駆け付ける前に、真弓はこの野獣に処女を奪われているのだ。
教師として女性として、決して許して置けぬ輩である。
「この……この、けだもの! 恥を知りなさい! いい歳をしてこんなことを……」
「何だと?」
「あなたはクズよ! 人間のクズだわ! 女を暴力でものにして乱暴を働いて……、絶対に
許さないわ!」
「ふざけるな!」
秋本が激昂した。
今まではけい子という見事な女体を前にして、それを犯すことしか考えていなかったから、
彼女の罵言も適当にあしらい、むしろそれを楽しんでいたのだが、もともとは短気な男である。
でなければ、短絡的にサラ金強盗などしないだろうし、ふたりも三人も殺しはしないだろう。
「少しばかり美人だと思ってつけあがりやがって!」
「きゃあ!」
「先生っ!」
バシッと乾いた肉の音が響き、けい子が床に弾かれた。
秋本の平手打ちが教師の頬を捉えたのだ。
思わず真弓が立ち上がり、けい子に駆け寄った。
まだ怒りの醒めやらぬ秋本は、ナイフを拾うと、倒れ込んだけい子に凄んだ。
「いいか先生よ。勘違いすんなよ、今、ここでの王はオレなんだ。あんたじゃねえ」
「……」
「オレの機嫌次第で、あんただけでなくガキどもも始末して構わねんだぜ。どっちみち、もう
三人も殺ってんだからな」
「……」
憎々しげにこちらを睨みつけるけい子と、それに寄り添う真弓に、男の怒りが一層高ぶる。
「てめえ、なんだ! その目つきは!?」
「ふん。縛った女にナイフを使うわけ? 見下げ果てた男ね」
「きさまあっ!」
激怒した秋本は、丸出しのペニスをぶらぶらさせたまま、ナイフを翳してけい子に挑みかかった。
秋本の振り下ろしたナイフがけい子の顔に刺さった。
と思った瞬間、真弓が悲鳴を上げて飛びかかっていった。
「やめてえっ! 先生を殺さないで!」
「うあっ!?」
まったく抵抗を予想していなかった真弓が、秋本の真横から体当たりを仕掛けた。
まさかこのひ弱な少女から反撃を受けるとは思いもしなかった秋本は、まったく無防備であった。
真弓が左側から抱きつくように飛びかかると、秋本はバランスを崩した。
そのままふたりは倒れ込み、バキバキバキっと大きな破壊音が響く。
崩れかけていたプレハブの壁の一枚が外れたのだ。
長年の野ざらし状態ですっかり脆くなっていたそこは、男の体重を支えきれず崩壊した。
「うわあああああっっっ……」
崩壊したのみならず、窓ごと壁が落ち、外へ倒れ込んだ。
但し、窓側は崖である。
秋本は悲鳴を残して断崖の底へと転落していった。
けい子も真田も、そして突き落とした真弓自身も呆気にとられていた。
まさかこんな結末になるとは思ってもみなかったのだ。
我に返ったのは真田がいちばん早かった。
呆然としている真弓に生徒会長は言った。
「おい高橋! 早く解いてくれ」
それを聞いてけい子も事態をようやく把握した。
真弓もハッとして、弾かれたようにけい子に歩み寄り、そのロープを解き出した。
けい子の拘束を解くと、ショックのせいかぺたんと座り込んでしまう。
女教師は、縛られていた手首や足首を痛そうにさすると、真田の後ろに回り込んで、その縄を
解いてやった。
そしてすぐに真弓に駆け寄り、抱きしめた。
「真弓くん……」
「先生……せんせいっ……!」
真弓は教師の胸に顔を埋めると、幼子のようにわあわあと泣いた。
けい子はあやすように真弓の頭を撫でながら、断崖の底を見やる。
秋本の身体は四散こそしていなかったが、岩場に叩きつけられて血まみれだった。
特に頭部付近は真っ赤で顔が確認できないほどだ。
即死したのは間違いなかった。
真弓は泣きじゃくりながら、けい子を見上げて訊いた。
「先生、先生、あの人……あの人はどうなったんですか?」
「……死んだわ」
「そんな……」
真弓は絶句し、再び泣き出した。
けい子が殺されると思い、咄嗟の判断で無我夢中の行動を執ったのだが、秋本を殺すつもりは
もちろんなかった。
弾みだし、偶然だ。
あんなに壁が脆いことだって知らなかったのだ。
ただ秋本に体当たりして、けい子に向けられたナイフを落とそうとしただけだった。
けい子は慰めるように優しく言い含めた。
「いいのよ真弓くん、仕方がなかったのよ。あなたのせいじゃないわ」
「でも……でも……」
偶然とは言え、その気はなかったとはいえ、結果的に自分の手で人を殺してしまったのである。
17歳の女子高生にはあまりにも衝撃的な出来事であった。
下着とズボンを履き、ようやく立ち上がった真田が、じろじろとふたりのヌードを見ながら言った。
「せ、先生。それで、これからどうします?」
生徒の視線を受けて、ようやくけい子は下着とジャージを身につけた。
犯された部分を清めたいところだが、ここではどうしようもない。
真弓は下着を破かれたらしく、直接制服を着ていた。
女性たちの返事がないので、生徒会長は常識的なことを述べた。
「先生、早く戻って他の先生たちに……いえ、警察に知らせないと……」
「いやっ!!」
甲高い声で拒否したのは高橋真弓だった。
この儚げな美少女は、自分の肩を抱くようにして震えていた。
男に脅され、蹂躙されていた時の恐怖と、その男を殺してしまった脅えが彼女を苛んでいる。
「こんなことが……こんなことがみんなに知られるなんて、あたしイヤです!」
「真弓くん……」
「お願い……お願いです、生徒会長。みんなには黙っていてください……」
「い、いやでも、そんなこと言っても……」
「みんなに知られたら、あたし生きていけない……」
予想外の反応に戸惑う真田に対し、けい子も力のない声で真弓に賛同した。
「真田くん……。正直言って、私も真弓くん……高橋さんと同じなの」
「先生……」
いつもの毅然とした美人教師ぶりがウソのように、張りのない声だった。
「高橋さんを守れず……私自身もあんな目に遭うなんて……。教師なのに生徒の前で……」
それがけい子の本音だったろう。今にも悔し涙を零しそうな悲壮な表情をしていた。
だが、真田の言う通りこの事件を看過するわけにはいかない。
彼が生徒会長でなくとも、通報するのが当然なのだ。
「でも、まさかこのままにしておくわけにはいかないでしょう?」
「真田くん」
けい子はそう呼びかけると、真田の手を握りしめていた。
別に色仕掛けしようとか、そういう意味ではない。
誠心誠意を持って説得したいという思いからだった。
他意はない。
それでも真田はゴクリと喉を動かし、けい子の手を握り返した。
柔らかかった。
女教師は意に介せず言葉を続ける。
「よく考えて真田くん。女性にとって、あんなことをされるのはどれだけ恥ずかしく悔しい
ことかわかるでしょう?」
「……」
「まして真弓くんは初めてだったのに……、あ、ごめんなさいね」
真弓は俯いて口をつぐんでいる。
「それに真弓くんは……」
「た、確かに高橋はあいつを突き落としましたけど、あんなの正当防衛じゃないですか。先生
を助けようとしたんだから」
「そうだけど。そうなんだけど、わかって。例え正当防衛でも、人ひとりの命を失うことに
なったのよ。高橋さんの気持ちにもなってみて」
ショックには違いなかろう。
言葉が継げない真田にけい子が言った。
「だからお願い真田くん。今日、ここで起こったことは……忘れてちょうだい」
「忘れる……?」
「ええ、そう。今日、私たちはここに来なかった。高橋さんも攫われなかった。そして、あの
男がここにいたことも知らなかった」
「……」
「高橋さんは山の中で気を失って倒れていた。そこを私たちが助けた。取り敢えず休ませようと
してここへ来たら、あの男が落ちて死んでいた。ね、そういうことにして」
真弓も縋るような視線で真田のもとにやってきた。
「ああ、お願いです、真田さん……。夏綿先生の言う通りにして。誰にも言わないでください」
けい子の素肌の心地よさを手のひらで感じながら真田が言った。
「そ、それはともかく先生。先生が、け、けっこう仮面て……」
真田の口の上にけい子の手のひらが被った。
唇に彼女の手の感触を感じ、香しいおとなの女性の匂いが鼻腔をくすぐる。
「それは言わないで。私は……私は……。やっぱり言えないわ。このことは、話せる時が来たら
必ずキミにも説明します。だから、それだけは黙っていて」
「し、しかしですね……」
「会長、お願いです。このことも、夏綿先生のことも誰にも言わないで。先生がけっこう仮面
だなんて……、これにはきっと何か……何か事情があるんです。だから……」
「真弓くん……ありがとう」
それは「事情」はあるのだろう。
だが、まさかけい子にコスプレ趣味があるとは思えないし、そうだとしてもよりによって学園
内でけっこう仮面のコスプレをするわけがない。
つまり夏綿けい子がけっこう仮面であることは間違いないのだ。
真田は迷った。
けっこう仮面の情報は特Aクラスの情報である。
直接けっこう仮面に繋がる情報を学園にもたらした者には、どこの大学でも面接だけで通れると
言われる「学園長のお墨付き」が貰える手はずになっているのだ。
けっこう仮面の正体を掴んだならば、どんなに真面目な生徒でも、学園長のお墨付きの誘惑に
惑わされるだろう。
そんな真田に哀願するかのように、けい子と真弓が見つめている。
美女ふたりから熱い瞳で見つめられ、真田はのぼせ上がった。
まるで迫られているかのような錯覚すら受けた。
こんな僥倖な時間は今までの学園生活では経験できなかった。
生徒会長はガクガクと木偶人形のように頷いた。
「わ、わかりました。夏綿先生、高橋さん。オレも男です。この場で起こったことは忘れます。
あの男も見ませんでした。警察にも学園にも何も言いません」
やや上擦った声で生徒会長はそう断言した。
「ありがとう、真田くん……」
「あ、ありがとうございます、会長!」
けい子はホッとしたようにそう言い、真弓は感極まって、真田の胸に飛び込んでいた。
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