学園長に問われても、まともに答えることも出来なかった。
もう何もかもいやだと言うかのように、目を固く閉じて現実を拒絶している。
だが学園の支配者はこんなことで許すはずもなかった。
まだ僅かに口を開き、ぽたぽたと薬液を滴らせているアヌスを見つめ、にやついていた。
腫れぼったく膨らんで緩み、ヒクついているそこを見ているだけで、乱暴に犯してやりたくなる
というものだ。
だが学園長は、何を考えたのか、けっこう仮面の拘束を解き始めた。
夏綿けい子も意識はあったから、そのことはわかっていた。
しかし、チャンスと判断するよりも、「いよいよ犯される」と覚悟したくらいに弱っていた。
それほどに浣腸責めは強烈だった。
それなのに学園長は、けっこう仮面を床に転がしたまま放って置いている。
衰弱した宿命のライバルを不適な表情で見下ろした学園長は、手にしたものをその側に投げつけ
た。
カチャッと乾いた硬い音がした。
何と彼女の武器であるヌンチャクをその足元に放り投げたのだ。
「……?」
何事かわからず、けっこう仮面が虚ろな顔を学園長に向けたが、彼は股間を大きく膨らませた
まま立ち尽くしている。
ようやくけっこう仮面がふらふらと立ち上がると、学園長は部屋の隅に行き、壁のスイッチを
押した。
「!? きゃあああっっ」
一瞬、何が起きたかわからなかった。
天井が抜けたのだ。
そして何かが降ってきた。どさどさどさっとたくさんの何か重いものがけっこう仮面の上に降り
かかってきた。
いかに運動神経、反射神経ともに人並み外れたけい子でも避けることはできなかった。
それでも必死に両手で頭部を守っている。
降ってきたもののひとつを右手でぐっと握ると、その異様な感触に思わず我に返った。
「へ……蛇……?」
天井の穴から大量に降りかかってきたそれは蛇だったのである。
何百匹もの蛇がけっこう仮面の頭上を襲ったのだ。
「きゃああああっっ、いやあああっっっっ!!!」
けっこう仮面──というより、夏綿けい子は本能的恐怖を感じて、心の底から絶叫した。
この手の爬虫類の好きな女性は滅多におらず、中でも蛇は嫌われ者のナンバー1であろう。
毒を持っているからという表面的な理由もあろうが、それ以上にその姿形から受ける気色悪さ、
不気味さに対す恐れがあるからだ。
それはけっこう仮面ですら例外ではない。
彼女たちも生身の女性なのである。
目の前に現れた嫌悪すべき動物の出現に、けっこう仮面の威厳をかなぐり捨てて脅えた。
「憶えておるか、けっこう仮面。きさまが以前、蛇地獄に遭った時のことを」
学園長の言葉に、けっこう仮面は忌まわしい記憶を取り戻した。
確か、あの時も「学園長のお墨付き」絡みだった。
下太郎という生徒が学園長に唆され、インドの蛇奇術のように笛で蛇を操り、けっこう仮面─
─その時もけい子だった──を大量の蛇で責めたのだ。
蛇が全身を這い回り、その気持ち悪さと異様な感触に、さしものけっこう仮面も窮地に陥った。
しかし、蛇に這い回されるけっこう仮面の身悶える姿や美貌が下太郎を昂奮させ、動揺させ、
蛇どものコントロールに齟齬が出た。
その隙を突いて虎口を脱したけっこう仮面が、下太郎と学園長を叩きのめしたのである。
「下太郎はきさまにヌンチャクで倒されて、そのまま退学処分。わしはその遺産を戴いた」
「い、遺産て……きゃあ!」
「この蛇どもと、そのコントロール方法じゃ」
下太郎は、インドの大道芸人よろしく蛇笛を吹いて蛇を自在に操り、けっこう仮面を追い詰めた。
彼が女体に慣れていない童貞であったがために(もっとも、性体験があろうとも、美女のあの
ようなあられもない格好を見れば、誰だって平常心ではいられぬだろうが)、SMチックな
攻撃を受けて苦悶するけっこう仮面を見て大きく動揺してしまった。
だが、逆に言えば、けっこう仮面や女子生徒たちの裸など見慣れている仕置き教師たちや、
学園長の雇った刺客であれば、あのまま押し切ってけっこう仮面を倒していた可能性も高い。
そう考えた学園長は、けっこう仮面が去った後、蛇を回収し、下太郎の個室を調べてその飼育法
や蛇使いの術を知ったのである。
いつかけっこう仮面と対峙した時は、使えるかも知れぬと思ったわけだ。
実のところ、蛇責めというのは下太郎オリジナルではない。
過去に於いて、日本を始め外国でも採用されたことのある刑罰あるいは責めのひとつである。
日本では、かの千利休の妻や娘がこの刑罰を受けて死亡したとされ、江戸期に入っても、捕ら
えた切支丹への拷問として行われていた。
蛇が男性器に見えないこともないからだろうが、この責めはほとんど女性の被疑者に対して
行われる。
具体的には、大きな樽の中に無数の蛇を入れておき、そこに女をぶち込むのである。
それだけでも失神もののおぞましさと恐怖だろうが、その中に酒を注いだり、樽をガンガンと
棒でぶっ叩いたりする。
そうすることで蛇に刺激やストレスを与え、怒らせて、中にいる被疑者の身体を噛ませたり、
絡みつかせたりするのだ。
また、酒を入れるだけでなく、火に掛けることもあったという。
すると熱さに驚いた蛇は、苦し紛れに女の膣に潜り込んで逃げるのもいたらしい。
いずれにせよ、性的な見せ物として責め側が女を苦しめたプレイには違いない。
「こっ、このぉっ!」
けっこう仮面も脅えてばかりはいられない。
怖い分だけその反動も強い。
向かってくる蛇に対して、怒りのヌンチャクを振るう。
さすがに普通の女とは違い、武器を手にし、戦う姿に躊躇はない。
けっこう仮面にも凛々しさが戻ってくる。
ビシリと音を立てて、樫の取っ手が蛇の頭部を打ち砕く。
頭蓋を叩き潰された蛇の細かい血しぶきが飛んで細長い身体が吹っ飛び、壁に叩きつけられ、
あるいは床に落ちてそのまま動かない。
ひゅんひゅんと風を切って棍棒が宙を舞い、そのたびに蛇が打たれていく。
それでも多勢に無勢の感は否めない。
学園長は余裕綽々の顔で眺めていた。
けっこう仮面がヌンチャクを振るっていても、するすると蛇が床を這い、ブーツに絡みつき、
這い、よじ登ろうとしてくる。
ハッと気づいて蹴りつけると、今度は蜷局を巻いていた蛇が飛びかかってくる。
それをヌンチャクで叩き落とすが、すぐにまた他の一匹が左手に飛ぶ。
そんなことを繰り返しているうちに、早くもけっこう仮面の息が上がってきた。
浣腸責めで体力を消耗させられていたのも大きいし、何しろ何百匹もいる蛇をすべて相手に
するのだから、精神的にも疲労する。
巨像一頭よりも、蛇百匹を敵とすることの方が厄介なのだ。
「痛っ……!」
右手の二の腕に、一匹がぶら下がっていた。
けっこう仮面は、保護の意味もあって肘近くまであるライダーグローブのような真っ赤な手袋を
つけているが、その上から蛇が噛みついていたのだ。
薄いが革製で、刃物が軽く擦ったくらいではキズもつかないが、蛇の牙が半ばまで刺さっていた。
それまでけっこう仮面の舞いを見ていた学園長がニヤッとした。
「おっと言い忘れとったが、そいつらの中に一匹だけ毒蛇がおるから気を付けてな」
「な、なんですって!?」
「蛇責めは相手を殺すためのもんではないからほとんどは毒を持っとらんが、きさまが相手の
時にはな、一匹だけ猛毒の蛇を仕込んでおるのよ。だから、迂闊にヌンチャクなど使わぬ方が
いいぞ。一撃で殺せればいいが、そうでなければ……」
怒った毒蛇に噛まれて命はない、ということだ。
「ひ、卑怯者……! いつもいつも、おまえは……痛っ!」
また噛まれた。
今度は左のふくらはぎだ。
続けて右の腿。けっこう仮面はヌンチャクを捨て、噛みついている蛇の首を素早く掴んだ。
蛇の牙は内側に湾曲しているから、無理に引っ張るとキズを余計に酷くする。
何とか引き剥がせても、牙が抜けてそのまま身体に刺さってしまうこともある。
首の根元を掴んで、うまく顎を開かせるようにしなければならない。
苦労して三匹とも引き離すと、噛まれた後からは二筋の血が流れている。
見たところ特に腫れもないし、皮膚の変色もない。
どうやら毒蛇ではなかったようだ。
「ああっ、いやあっ」
ホッと一息つく暇もない。奮戦して叩きのめした蛇は、全部で20匹にも満たない。
しかも、学園長の一言でやたらと蛇を攻撃するわけにもいかなくなってしまった。
けっこう仮面がたじろぐと、見る間に蛇どもが彼女の肢体目がけて殺到していく。
その悲鳴を心地よく聞きながら、学園長はほくそ笑んだ。
(くく、毒蛇がいるなんぞ、ウソじゃ。憎んでも余りあるきさまは、殺しても飽きたらぬ。滅多
なことでは死なせはせんわ)
「ああ、こんな……い、いやあ……」
毒蛇の幻影を恐れ、けっこう仮面の先鋭も鈍りがちとなり、無数の爬虫類は嬉々としてその身体
に巻き付いていく。
ブーツをよじ登り、腕へ飛びかかり、長い身体をくねらせて、女体に絡みついた。
あっというまに正義の美女の裸身は、何十匹もの蛇に覆われてしまった。
そこに突然ドアが開く。
「学園長、高橋を監禁してきました、って、うわあ」
生徒会長の真田だった。
けっこう仮面との間でお涙頂戴になってしまってはその気も萎えてしまうということで、真弓
には早々に部屋へ戻し閉じ込めてきたのだ。
途中、真弓がけっこう仮面のことを心配して泣き出し、動かなくなってしまったので、宥め賺
して何とか部屋に押し込んできたのである。
帰ってきた途端、蛇に全身をまとわりつかれるけっこう仮面の痴態を目の当たりにし、絶句して
しまったというわけだ。
学園長も、もはや真田を生徒ではなく同士と見ているのか、咎めることもせずに言った。
「お、良いところに来おったな。けっこう仮面めの恥ずかしい格好を見られるぞ。普通は未成
年者厳禁だが、まあ今日は特別じゃ。こうしてこの女を捕らえたのも、おまえの功績でもある
しな」
「……」
学園長の言葉は右から左へ通り抜けていった。
そんなことより、目の前で繰り広げられている凄まじいほどのSMショーに心を奪われてしまっ
たのだ。
にょろにょろと不気味に這い進んだ蛇が、けっこう仮面の美しい官能的な太腿に巻き付いていく。
細いウェストにも腕にも、たくさんの蛇どもが絡みついていた。
特にぎゅうぎゅうと締め上げているわけでもないだろうが、這い回る鱗の感触が気持ち悪いのか、
けっこう仮面は悲鳴を上げてもがいている。
何とか引き剥がそうとしているものの、一匹二匹取ったところでどうにもならない。
床には数百匹の蛇がいるのだ。
次から次へとけっこう仮面の身体を貪るように絡んでくる。
本当に蛇がけっこう仮面を輪姦しているかのような光景だった。
生徒と学園長の淫らな視線など気にもならぬほど、けっこう仮面は汚辱に耐えていた。
ブーツに絡み、ふくらはぎを巻くように進み、太腿に這い、脇腹から胸の谷間、腋、鎖骨、首筋。
腕から来たやつも、二の腕を巻き進み、腋の下をくぐり、白い首筋に舌をちょろちょろと伸ばし
ていた。
身体中を這い回る蛇の動きが怖い、気色悪い。
いくら取ってもキリがないほどに群を為して襲いかかってくる。
身体が震えてくる。
恐れと疲労のためだ。
膝が細かく痙攣し、笑い出した。
膝をつかないのがやっとなくらいだ。
「あっ、そ、そこ!」
とうとう一匹の蛇が、けっこう仮面の弱点を狙ってきた。
汗と体液に濡れた媚肉の中に、頭部を突っ込んだのである。
脂汗と冷や汗、そして浣腸責めされた時の体液に濡れていたそこは、かなり大きめだった蛇の
頭をあっさりと受け入れてしまった。
それを見た学園長が手を叩いて奇声を上げる。
「おお、やっと入っていきおったな。蛇どもは、あったかくて暗いところじゃ大好きだからな。
きさまの穴という穴に入って行きおるぞ」
「そ、そんな……ああっ……」
膣に入り込もうとする蛇を捕ろうと、やや踏ん張って両手で引き抜こうとすると、今度は後ろを
狙われた。
少し開いた臀部の谷間へと蛇が侵入してきたのだ。鼻先をアヌスに押し当て、今にも突き破ろう
としている。
膣の方は放っておき、慌てて尻へ手を回し、無礼な一匹をむしり取った。
その猶予に、前を責めていた蛇がずるっと奥へと這い進んだ。
そのおぞましい感覚にけっこう仮面は思わず仰け反る。
「あう! くっ……こ、この……」
ずるりと膣内を鱗が擦る感覚に、けっこう仮面にもびぃんと痺れにも似た感覚が走り抜ける。
そして今度は前に入っている蛇を何とかしようと、手で掴んだ。
その後ろに学園長がニヤニヤしながら近寄り、一匹の蛇を掴むと、その頭にとろとろと液体を
振りかけた。
そしてそいつをけっこう仮面の肛門に押し当てたのだ。
「うあっ! そ、そこはやめろ! あああっ」
前を気にすると後ろを抉られる。
結局、右手で膣の、左手で尻の蛇を掴んだ。
しかし、後ろの蛇を掴んだはずの手袋がぬめる。
学園長が蛇にかけたのはローションだったのである。
ぬるりと滑って掴めない。
それどころか、掴み損なうと逆に押し込んでしまうような格好になった。
「ひっ、ひぃ!」
けっこう仮面は、硬いものがアヌスを割る感覚を覚えた。
蛇の頭部は逆三角形になっていた。
これは毒蛇の特徴だが、学園長はこれらすべての蛇から毒腺を抜き去っている。
先が細くなっている上にローションまみれの頭部は、ぬるっとけっこう仮面の肛門に入り込ん
でしまった。
頭から20センチも入ると、けっこう仮面はわなわなと震えて抵抗できなくなってしまった。
すると膣の方にも別の蛇が入り込んできた。悪いことに、さっきのやつよりも一回り胴回りが
太い。
「ああっ……ま、前まで……くうっ……」
こちらにも学園長がローションを振りかけている。
もうけっこう仮面自身では、どうにもならなくなってしまっていた。
ガクリと膝が落ち、続けて身体が床に倒れ込んだ。
ここぞとばかりに残りの蛇たちも、女の肢体を貪りだした。
学園長は、股間を突っ張らせて唖然としていた真田に声を掛け、責めを手伝わせる。
学園長は後ろ、真田は前に突っ込んだ蛇の尻尾を掴んだ。
頭はローションで濡れているが、尻尾にはかかっていない。
蛇がずるっと内部に入ると、タイミングを合わせてそれを引き抜くのだ。
蛇との協同によるピストン運動で責めるのだ。
「ああっ……あっ……あっ、やめ……ふああっ……あひっ……」
(へ、蛇に……犯される……)
けっこう仮面にとっては、前後に太い男根を突っ込まれて犯されているのと同じだ。
蛇はにょろにょろとしているが決して柔らかくはない。
肉質は硬く締まっているし、骨もある。
しかも周囲を硬い鱗で覆っている。
しかも勃起したペニスのように硬く突っ立っているだけでなく、変幻自在に動けるのだ。
挿入された蛇から徐々にローションが落ち、けっこう仮面が分泌する蜜がまぶされ、ローショ
ン代わりとなっていく。
膣内部もしっとりと熱を持ち、蛇に絡みついていく。
それが心地よいのか、蛇もより奥へと進もうとしていた。
「い、いや、こんなの……あうう……ふっ、とい……ああ、そんな奥まで……」
けっこう仮面も、倒錯した責めに順応し始めたのか、口では抗っていながらも、少しずつ腰が
蠢いてきた。
膣からは愛液が漏れ始めている。
アヌスの方も、さほど無理もなく蛇の挿入が行われていた。
肛門を犯す蛇がぬるぬると奥深くまで入り込むと、学園長が一気にそれを引き抜く。
ずるずると引き出された蛇の鱗皮には、アヌスの粘膜を裏返すようにへばりつかせていた。
腸のどこまで入っているのか、蛇は尻尾の先以外はすべて腸内に潜り込んでいる。
1メートル以上は入っているのだろう。
それを引き抜かれるのだからたまらなかった。
前を責める大蛇も負けてはいない。
うねうねと太長い身体をうねらせながら、けっこう仮面の秘園を抉っていく。
鱗で膣内の襞をゴリゴリと擦られると、ヘソの裏あたりがかあっと熱くなってくるのがけい子
にもわかった。
子宮が燃え上がっているのだ。
「あうあう」と喘ぎだしたけっこう仮面を見て、学園長があくどいことを思いついた。
呻くけっこう仮面のマスクの下半分をさらけ出したのだ。
鼻から下がマスクからはみ出し、けい子の喘ぐ口が見える。
それを蛇が見逃すはずもなかった。
蛇にとっては、熱い息を吐くけい子の口は、暖かい気流の出てくる居心地の良い洞穴に見える
のだ。
チロチロと細長い舌を見せながら、とぐろを巻いた蛇が好戦的に鎌首をもたげる。
けっこう仮面がそのことに気づいたのは、蛇が今にも飛びかかろうとしている時だった。
「ひっ……近寄らな、んぐううっ!?」
開いた口目がけて、槍のように蛇が飛び込んでいった。
けっこう仮面は口を閉じる余裕もなく、咥内を許した。
蛇の鱗が、舌にはっきりと感じられる。
舌を這い、喉の奥へと進んでいく感覚に、けっこう仮面は失神しそうになる。
下のふたつの穴を責めている蛇も、より奥へ奥へと侵入していく。
媚肉に潜り込んだ一匹は、前方に壁の存在を感じた。
蛇は、目は悪いが、振動や温度で周囲を探る。
彼は前頭部に熱いものを感じ取ったのだ。
その奥には、もっと過ごしやすい暖かい場所があるに違いない。
蛇は舌を伸ばし、そこを舐めた。
子宮口だった。
「ひぃああっ!!」
けっこう仮面は思い切り肢体を仰け反らせてギクンと大きく震えた。
真田の目にも学園長の目にも、けっこう仮面が蛇にいかされたことははっきりとわかった。
「や、やめ、ひぃ! あ、そこやあっ……あ、またっ……!」
まるで嬲るように、面白がるように蛇はけっこう仮面のそこを責めた。
舌で舐め飽きると、今度は鼻を突っ込んで子宮の中に入り込もうとすらした。
グリグリと子宮口を抉られる感覚に、けっこう仮面は大きく腰を揺さぶり、その快楽を表現
していた。
きゅううっと膣やアヌスがきつく絞まり、蛇たちを締め上げる。
負けじとばかりに、蛇どもも締め付ける力を強めている。
両の乳房にも、長いやつが一匹ずつ巻き付き、裾野の方から麓へ向けて、揉み上げるかのよう
にして螺旋状に締め上げていた。
そして頂点に頭が達すると、何か赤い突起物が見える。
痛いほどに勃起した乳首だ。
蛇苺にでも見えたのだろうか。
興味を示した蛇は、細い舌でちょろっとそいつを舐めた。
途端にけっこう仮面の胸にズキンとばかりに強烈な刺激が突き抜ける。
痺れを伴った明らかな快感だった。
蛇にまでよがり回らされる屈辱も、次第に込み上げてくる官能の悦楽の前に色を失っていった。
「あう……あうっ……」
脆くも崩れつつある美女の肢体に蛇たちも昂奮するのか、腕や脚に巻き付いたやつらが、ピンク
色に染まった肌に牙を立て始めた。
かぷ、かぷと小さな口で噛まれると、美女に鋭い痛みが走る。
毒を抜かれているとはいえ、牙は鋭く、長い。
だが、けっこう仮面は、その痛みすら燃え上がる官能の渦に飲み込まれ、新たな快楽として捉え
つつあった。
そして、またしてもけっこう仮面は達した。
責める蛇どもも、蛇を操る学園長たちも、びっくりするほどの反応を見せてしまったのだ。
「んんっ!? うっはああっっ!!」
媚肉の底まで潜入した大蛇が、長い舌でチロリとけっこう仮面の子宮口を舐めたのである。
それだけではなく、細長い舌で子宮口をこじ開け、その中まで舐めたのだ。
これにはたまらず、けっこう仮面は優美な裸身をぐぐっとしならせて気をやってしまった。
アヌスも膣も激しく収縮し、胴体を締め付けられた蛇が驚いて飛び出してしまったほどだった。
満足したのか、学園長は手にした笛を振るって蛇に指示を与えた。
笛の動きを確認すると、蛇どもはさほどけっこう仮面の身体に未練を残した風情もなく、女体
からぽろぽろと離れていく。
そしてするすると床を這うと、部屋の隅にある排気口を伝って隣の部屋へと戻っていった。
多分、そこに檻なり水槽なりがあり、飼われているのだろう。
理由はわからないが、学園長の指示には従順に従い、部屋を去った。
蛇どもの残した爬虫類臭さも、けっこう仮面の身体から発する濃厚な女の匂いが打ち消している。
「おうおう、派手にいきおってからに。生徒の前で何度も気をやって恥ずかしくないのか?
きさまも教育者の端くれじゃろうに」
「……」
「しかも蛇……けだものに犯されて気をやるとは呆れたものじゃ」
「け、けだものはおまえたちよ!」
まだ正義のヒロインとしての誇りは失っていない。
このまま屈してなるものか、という反骨心が、その瞳に燃え上がっていた。
「あんなものまで使って女を辱めるなんて最低よ!」
「ふふん、けだものでけっこうじゃ。それでは、そのけだものに犯されてみるか?」
「冗談じゃないわ、お断りよ! おまえなんかに抱かれるくらいなら蛇の方が……あっ!?」
強がった啖呵の途中で、突如けっこう仮面の言葉が止まった。
「こ、これは……」
痒いのだ。
膣と肛門が。
すぐにけっこう仮面は思い当たった。
あれだ。媚肉やアヌスに潜り込もうとする蛇たちに学園長がかけていた、あのぬるぬるしたロー
ションだ。
「な、何を……したの!」
「お、やっと効果が出てきおったか。なに、心配ないわい、毒ではない」
「……」
「ただな、けっこう仮面が犯されてよがるのを見てやりたかったのでな」
「誰がよがるのよ!」
けっこう仮面の反発など気のも留めず、学園長は言った。
「ただの潤滑油じゃつまらんと思って、いろいろ混ぜたのじゃ。ほれ、きさまも大人の女なら
聞いたことくらいあるじゃろう? ズイキとか」
「ズイキって……」
「他にもいろいろな。要するに、痒くなるような成分を持ったものを混ぜ込んだのよ。どうじゃ、
効くかね? きさまの身体で試してみて、よく効くようなら生徒どもの尋問にも使ってやるでな」
「き、きさま、またそんなあくどいことをっ……あっ、か、痒い……」
痛みはある程度、精神力でコントロール出来る。
読書や音楽などで歯痛を紛らわせることが出来ることも証明されている。
しかし、くすぐったさや痒みというものは、どうなるものでもないのだ。
たまらない痒みが大事なところにわき起こっている。
とても人前では掻けるような場所ではないが、この痒みはとても我慢出来ない。
宿敵の学園長が見ている前でも、手を突っ込んで掻きむしってしまいそうだ。
だが、それが出来ない。
両手も両脚もしっかりと固定されているのだ。
結局、もぞもぞと腰を揺すったりよじったりして誤魔化すことくらいしか出来ないのだ。
その尻振りダンスは、いかにも身悶えしているようで、見ているふたりの観客の気持ちを盛り上
げる。
学園長が薄笑いを浮かべて、けっこう仮面のヒップをぴしゃぴしゃと叩く。
「くっくっくっ、痒そうじゃな、けっこう仮面。どうだ、何とかして欲しいか?」
「誰がおまえなんかに……あくっ……!」
ぴしゃんと尻を叩かれると、思わずビクっと腰がせり上がる。
肌に感じた痛みすら、ほんの少しだが尻穴と膣の痒みを紛らわせてくれるからだ。
もっとぶってと言わんばかりに、けっこう仮面が腰を振る。
このまま平手や板で、そして鞭でぶたれ続けていたら、スパンキングにハマってしまいそうだ。
マゾヒズムに目覚めてしまうかも知れない。
「よしよし、練り上がったようじゃな」
学園長が嬉しそうにそう言うと、それまで傍観させられていた真田が情けない声を出す。
「学園長、ぼ、僕も……」
「なに、生徒の分際で教師を犯したいというのか」
「だ、だってもう……」
ギンギンになっているであろう股間を学生ズボンの上から押さえ込んでモジモジしている真田
を見て、学園長が哄笑する。
「わはははっ、見てみろ、けっこう仮面。いや、夏綿けい子。きさまの生徒が、きさまのヌード
を見て昂奮しておるぞ」
「ああ……」
「きさまをどうしても犯したいそうじゃ。どうする? いっそ保健教師として性教育でも施して
やるか?」
秋本を同じことを言って、学園長が嗤った。
「い、いやよ、それだけは……。と、特にその子は!」
けい子が秋本に犯されているところを一部始終見ていた。
真弓を陥れ、挙げ句、彼女を犯して自分の女にまでした。
しかも、今度は自分の肉体にまで欲情している男子生徒。
そんなやつに犯されるなど絶対にいやだ。
「……だ、そうじゃ。嫌われたもんじゃな、真田君」
「そんなあ……」
「情けない声を出すな。もう少し待っておれ」
学園長はそう言うと、けっこう仮面の前に回ってマントを脱いだ。
ハッとしてけっこう仮面は目の前の敵を睨みつけたが、すぐにその顔を伏せることになった。
学園長が下半身を露わにしたからである。
けっこう仮面は目を固く閉じたまま叫んだ。
「そ、そんな汚いものを見せるな!」
「汚いじゃと? 目をつぶっていては見られんじゃろうが。そういうことは見てから言え」
「……あああっ!?」
恐る恐る目を開くと、意外にもたくましい肉体の学園長が仁王立ちになっている。
そしてその股間には、頑健そうな肉体にふさわしい、これまたたくましいペニスが屹立していた。
何よりけっこう仮面を驚かせ、たじろがせたのは、異様な男根だった。
大きいだけではなく、形が少しヘンだ。
よくよく見ると、亀頭の周辺──もっとも太いカリ部──に何かがあるのだ。
学園長は得意そうに説明した。
「どうじゃ、立派じゃろうが。埋め込んであるのは真珠じゃ」
「……!!」
学園長のペニスには真珠が埋め込んであったのだ。
亀頭の周囲をぐるりと取り囲むように、大粒の真珠がいくつも半分ほど埋まっている。
けっこう仮面はそそけ立った。
彼女も知識は持っていた。
ヤクザ者などで、こうしたペニス改造をしている人がいるらしい。
その場合、真珠では高価なのでシリコンを植え込んだりするのだそうだ。
だが、高給取りの学園長なら、本物の真珠かも知れない。
それは言うまでもなく、女を犯していたぶるために使うのである。
(ま、まさかあれで……)
蛇責めにされ、心ならずも激しい絶頂に達した身体にはきつすぎる。
ただでさえ敏感になっている膣内は、蛇によって襞の隙間にまで痒みのジェルを塗りたくられ
ているのだ。
そこにあんな肉の凶器──まさに凶器であろう──を突っ込まれたら、いったいどうなって
しまうのか。
想像するのもおぞましい結果を招くに違いなかった。
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