「学園長! おい、この野郎っ、けい子先生と香織先生を放せよ!」

けっこう仮面──紅恵はまだ頑強に抵抗していた。
囚われのけい子とその変貌ぶり。
そしてそのけい子から淫らな愛撫を受け、ついには絶頂してしまった事実。
それでも反抗し続けた見返りとして駿河問いに縛り上げられ、石責めを加えられた。
挙げ句、首を絞められて落とされる(失神させられる)。
さらに、別途に捕らえられた香織と並べられての浣腸責め、加えてその結果として
排泄まで見られた。

ここまでされて、なお恵は反発心を失ってはいなかった。
もともとけっこう仮面グループの中でも武闘派で鳴らしていた女だ。
学園長や学園に対する敵愾心も強かったろうが、それにしても見上げた根性と言う
べきだった。
さすがのサタンの足の爪も呆れ気味に言った。

「……しかし、いい根性しとるのう」
「おまえに褒められたって嬉しくないよ! そんなことどうでもいいから、ここ
から下ろせよ! 先生達を解放しろって!」
「良い目をしておる。決して敵には屈さぬという強い意志を感じるぞ。わしも人を
見る目はあるつもりじゃ。憎むべきけっこう仮面じゃが、貴様のようなタフな女が
手駒にあれば、わしの苦労も半減するじゃろうに。どうだ、わしの部下にならんか?」
「ふざけるのもいい加減にしやがれ! 寝言いってる暇があるなら自首しろよ!
あたしを下ろせってば!」
「……その格好で、よくそれだけ啖呵が切れるもんじゃのう」

学園長は「やれやれ」と肩をすくめ、けっこう仮面を見上げていた。
けっこう仮面は両手を突き上げた格好で吊られていた。
分厚い板に手首を通す穴が二つ空いた拘束具で両手を固定され、そのまま天井に
吊されていたのである。
両足はベルトで縛られ、ぱっくりと開いた状態で、床のフックに引っかけられて
いる。
赤い長手袋とブーツをつけたけっこう仮面のままだったから、手首や足首を傷つけ
ることはなかった。

そんな睨みつけてくるけっこう仮面に、手にした道具をしごいて見せた。
一見、ハエ叩きを思わせるような形状だ。
つまり、手に持つグリップ部分から柄が伸びて、先端にハエを叩く平面がある。
ただ、ハエ叩きと違って黒光りしている。
革製のようだが、何か芯があるようだ。
柄の部分をしごいてぐいぐいと曲げているところを見ると、中に入っているのは
樹脂か柔らかい金属なのかも知れない。
先端にある卓球のラケットのような部分も、革に包まれたプラスティックか何か
の板なのだろう。
けっこう仮面は息を飲んだ。

「ど、どうする気よ、そんなもので……」

にやつく学園長を見れば、それが何をするものかおおよその見当は付く。
恐らく女を殴りつけるものなのだ。
さすがに棍棒や鉄パイプで殴っては命に関わるし、殺さぬように殴るのは骨だろう。
多分、SMプレイにでも使うスパンキングの道具に違いない。
それはわかったが、マゾでもない自分にそんなものを使われるのはごめんだと恵は
思った。
そして、浣腸したり拷問したり、こうしてスパンキングで愉しもうとしたりする学
園長の変態性欲に呆れかえり、同時に恐怖もした。
恵が屈しなければ何をしてくるかわからない。

「何をするか、じゃと? どうせもう察しは付いてるのじゃろうが」
「……どうせ、そのおかしな鞭みたいなのであたしを殴るんだろう」
「さすがだな、その通り。きかん気の駄々っ子への躾けの一環でな、このパドルを
使ってけっこう仮面の性根を叩き直してやろうという趣向じゃ」
「叩き直すべきは、あんたのその変態ぶりと卑劣さよ!」
「口が減らんな。では……」

ひゅんっと唸りを上げてパドルの柄がしなった。
思わずけっこう仮面は目を瞑ったが、次の瞬間に肌が弾けていた。

「あうっ!」

ぴしぃっ!という肌を打つ音とともに、強烈な痛みと衝撃が左の脇腹に走った。
目を閉じたけっこう仮面には見えなかったが、その部分の肌がパドルの形に赤く
なっている。

「どうじゃ、なかなか効くじゃろうが」
「……」
「ほう、今度はダンマリか。なら遠慮はせんぞ!」

ぴしん!
「うっ!」

ぱぁん!
「あくっ!」

びしっ!
「うぐっ!」

ぱしぃっ!
「あぐっ!」

ぱぁん!
「ううあっ!」

学園長は右手に持ったパドルを右に左に自在に振るって、けっこう仮面にスパン
キングした。
打たれるたびに、肉を叩く鋭い音が響き、けっこう仮面はのたうった。
肌が裂けるかと思うほどの鋭い痛みが走るが、破けて出血するまでには至らない
ようだ。
SMプレイ用の責め具だけあって扱いやすくて殴りやすいが、相手を傷つけたり
するほどの威力はないらしい。
相手が大けがしたり死んだりしては洒落にならないから、市販品としてはこの程度
が限界なのだろう。

意外なようだが、スパルタ学園には手製の責め具というのは案外少ない。
殆どは市販品を改造したものだ。それも威力を増大させるような改造はほとんど
なくて、使い勝手や持久性を高めたものが多い。
生徒や文科省からのスパイと疑われた職員などを拷問するために使うのだが、殺す
のが目的ではない。
生徒には恐怖と服従を植え付ければよく、スパイからは証言を得ればよいのだ。

実際に殺害に至ることはあまりなく、その場合でも、拷問などと迂遠なことはしな
いで、あっさり殺すようにしている。
拷問の末死んだ例はほとんどなくて、その場合でもショック死である。
拷問の結果の傷が元でとか、即死する例はなかったのだ。

相手がけっこう仮面の場合でもそれは同じで、格闘技を極めた筋力も体力も常人
以上の強敵ではあるが、彼女たちも生身の人間であり、決して不死身のスーパー
ウーマンではないことも事実なのだ。
殺すにしても情報を絞り取ってからにするべきで、安易に始末しても益はない。
むしろ生かしておいて人質や見せしめに使う方が効果的だと学園長は考えていたの
である。
従って、けっこう仮面を責める道具にしても、生徒やスパイを拷問するものをその
まま流用していた。

「うっ……、何してるの……」

目を堅く閉じて痛みを耐えていたけっこう仮面は、乳首と媚肉に冷たい感触を得て、
身を捩らせた。
見ると、学園長が何やらそこに液体をかけている。針のない注射器を使って、水鉄
砲のように引っかけているのだ。

「な、何よ、それ……」
「案ずるな、危険物ではないわい。高い酒じゃ」
「お酒……?」

透明な液体は、そう言えば日本酒のような香りがする。そ
れはわかったが、何を意味するのかはわからなかった。
またけっこう仮面が何事か言おうとした時、学園長が再び打擲を始めた。

ぱんっ!
「くっ……」

ぱちん!
「……っ!」

ぱん、ぱん、ぱぁん!
「いっ! あっ! うっ!」

恵の若い張りのある肌に、いくつもの赤い跡が刻み込まれていく。
ただ、打たれた瞬間は飛び跳ねるほどに痛いのだが、ずきずきと疼く数瞬が過ぎれ
ばさほどでもない。
いつまでも後を引く痛みではなかった。

ぱあん!
「うんっ!」

ぱんっ!
「いっ!」

パドルで叩かれると、激痛で瞬間的に身が縮まる。全身に力が入る。
手が握られ、ブーツの中で足の指ももつれるように締まる。
当然、括約筋もきゅっと力が入り、肛門も膣も引き締まる。

けっこう仮面は、何度も打たれているうちに、そこが妙に熱くなってきていること
に気づいていた。
アルコールが汗と混じり、局所に染み渡っていく。
純度99%の医療用アルコールではなく、14〜15%の飲用アルコールが効いた。
医療などで使う消毒アルコールでは、塗ったその瞬間に揮発してしまい、塗った箇所
が気化熱を奪われて涼しく感じるだけである。
ところが、このくらいのアルコールだと粘膜を刺激するのにちょうどいいらしい。
かなり性感を刺激するのである。

カッカと、というよりジワッという感じで、身体の芯から熱くなってくる。
女芯が燃え、奥から熱い粘液が分泌されてくる。
塗っただけでもそれなりに効果があるが、愛撫したり、こうして皮膚に刺激を加える
と、より一層に効いてくる。
思わず膣を締めてしまうことで、いやでも蜜が滲み出てきてしまうのだった。
それに気づいたのか、学園長はいやらしげな笑みを浮かべると、なおもけっこう仮面
をスパンキングしていく。

ぱぁん!
「あう!」

あまりの痛さに呻いてしまうが、悲鳴は上げなかった。
「痛い」とも言わなかった。
学園長がそう言わせたがっているのを知ってからは、意地でも言ってたまるかと決意
していた。
恵の頑固さにはけい子ですら手こずるくらいだったから、ちょっとやそっとではへこ
たれそうにない。
二打、三打と続けて打擲を受け、痛みと反動で腰が引き攣れ、膣とアヌスがきゅっと
締まる。

ばしん!
「あ……」

何度もしばかれているうちに、けっこう仮面は自分の身体の中に僅かな変化が起きて
きていることに気づかされた。
ジンジンと疼くような乳首と膣、クリトリスが気になってきた時に打たれると、そこ
から気が離れる。
代わりに激痛とショックが肉体を襲い、痺れるような感覚が残った。
それが薄れてくると、また股間や胸に性感にも似た疼きが蘇ってくるのだ。
何となく、酒を塗られただけで何もされず、熱く疼く一方の性感帯を放っておかれる
欲求不満が、パドルでひっぱたかれることによって消し飛んでしまっていたのだ。
それも、感度の良い尻や胸を叩かれると、気が飛んでしまいそうな感覚をもらっていた。

初めて乳房を叩かれた時は、乳首がもげるかと思うほどの激しい痛みだった。
今でも乳房をスパンクされれば目が飛び出るほどに痛いのだが、同時に官能の疼きが
すーっと引いていく気がした。
学園長もそれを狙っていたのかも知れない。
最初は間隔を置かず、ひたすらけっこう仮面のボディを叩いていたぶっていたのだが、
酒を股間に塗ってからは、インターバルを置いて叩くようにしていた。
アルコールによって燃え上がった炎が膣や乳首の灼けさせていくと、それを見計らう
ように尻へ、そして乳房へ痛い一発を打ち込んでくる。

「あう!」

「ひぐっ!」

「ぐうっ!」

学園長は、けっこう仮面の声を聞きながら、叩く強さを調整していた。
乳房に尻にパドルを叩きつける力に強弱をつけ、その身体を嬲っている。
仕置きというよりは、性技として行なっている。
叩かれるたびにけっこう仮面の汗に光る若い裸身が揺れ、手枷を吊しているロープが
軋んだ。

けっこう仮面は動揺していた。
今、自分の身体に起こっている状態が消化できないのだ。
凶器で叩かれる激痛と屈辱に頭が灼けそうになっているのに、どうしたことか身体の
方はだんだんと馴れてきている。
痛いのに、どこかその痛みが変質してきていた。
それが紛れもない性感──官能的な感覚であることに気づき、恵は唖然とした。

そこに学園長のパドルが飛んできた。
ぱん、ぱんと二度ほど乳房を叩いて小気味良い音をさせたかと思うと、思いっ切り
尻たぶを一発「ぱぁん!」とひっぱたいた。

「あっ、あぐうっ……!」

無防備な乳房と尻たぶを続けざまに打たれ、けっこう仮面は思いも寄らぬアクメに
達してしまった。
叩かれるごとに、きゅっ、きゅっ、きゅううっと膣が締まり、ぶるっと軽く痙攣し、
がくがくっと仰け反り、がっくりと項垂れた。
学園長がパドルの先でけっこう仮面の顎をすくい上げるようにして、顔を上に向か
せた。

「なんだおまえ、もしかして気をやりおったのか?」
「……」
「くく、相当な好き者じゃな。叩かれていくとはな。スパンキングの味がわかって
きたのか?」
「……ち、違う……」
「どこが違う。叩かれていきおったくせに。おまえにはマゾの素質があるようじゃな」

恵は力なく、それでも悔しそうに首を振った。
叩かれて気が飛んでしまった後、もしかしてこれがマゾなのかと思っていたところ、
それを学園長に指摘されてしまった。
自分はそんな変態ではない。
もしマゾなら、サドの学園長を変態だ何だと罵る資格もなくなってしまう。

「ち、ちくしょう……」
「ん? 何だ?」
「こ、殺しやがれ……」
「……」

その強情さに、学園長も呆れかえった。
ここまで抵抗心が強いのは見たことがない。
あれだけ恥をかかされ、マゾ体質であることまでさらけ出したのにこれだ。
しかもマゾへの道しるべを作ったのは学園長なのだ。
そこまでされて、なお従属にならない。
敵ながらあっぱれと言いたいところだが、このままでは後々面倒である。
恥辱責めはけい子や香織にはことさらよく効いたが、恵はまた別の方法でないと難し
いらしい。
恵に恥辱責めが効かないわけではないが、けい子よりも抵抗力があるようだ。

しかし人間、何か弱みはあるはずである。
押してもダメなら……ということで、学園長は少し攻め方を変えてみた。
このままでは自分も疲れる一方だ。もう仮面の下の素顔は汗びっしょりである。
その体格の良さを誇るように衣装を脱ぎ去り、スポーツ・ブリーフ以外は素っ裸に
なっているが、そこにも汗が浮いていた。
学園長は、わざと思いついたように呟いた。

「……おう、忘れるところじゃった」
「……何をだよ」
「貴様には褒美をやらんといかんな。若月くんに勝ったのだから」

あの浣腸勝負のことを言っているらしいとわかると、恵は仮面の下の顔を紅潮させ
て喚いた。

「そっ、そうだ、香織先生! 香織先生はどうした! 無事なんだろうな!?」
「無事だとは思うがな。さすがに瀬戸口も殺しはすまい。まあ、瀬戸口をあんな目
に遭わせたのは若月くんらしいから、かなり痛めつけられるとは思うがな」
「貴様……」
「だが、そう心配するな。今も言ったが殺しはせんわい。そんなことはわしが許さ
ん。だがまあ、しばらくやつに預けておけばさっき見た夏綿くんのように激変する
かも知れんがな。ま、それは覚悟せい」

そう聞いてけっこう仮面は青ざめた。
あの気丈夫なけい子の変わりようにも驚いたが、それ以上にショックだったのが
彼女の膨らんだ腹部だった。
香織まで望まぬ妊娠をさせられるかも知れないのだ。

「やめろ! そんなことやめさせろよ! けい子先生を解放しろ! 香織先生を
許してやってくれよ!」
「他人のことより自分のことを心配せい」

学園長はそう言ったが、あのけい子があそこまで崩れてしまったことを考えても、
香織が本格的に責めを受けたらどうなってしまうかわからない。
それくらいなら自分が引き受けてもいいと恵は思っていた。
縛られたり叩かれたりする分には、いくらでも耐えてみせる。
さっき思わずいってしまったのは、きっと何かの間違いだ。
仲間の変わり果てた姿を見るくらいなら、苦痛などいくらでも我慢できると思った。

だが、この悪魔のような男が、このままで終わらせるはずもない。
いっそのこと、ここで屈服したふりをした方が楽なのではないかとも思ったが、
勝ち気な恵にはそれが出来なかった。
後々そのことを死ぬほどに後悔することとなるのだった。

「……何してんだよ」

学園長は、部屋の隅で何やらごそごそと作業していたかと思うと、何か機材の乗っ
たワゴンをごろごろと転がして目の前に持ってきた。
そして背を向けて、また機械をいじり、何やら調整しているようだ。
不審と不安のない交ぜになった美貌を赤いマスクに下に隠し、けっこう仮面は
学園長に言った。

だが鬼と悪魔が交配して産まれた魔物のような仮面をした男は、黙って作業を続け
ている。
けっこう仮面が眼を細めて観察していると、ワゴンに乗っているのはミニタワー
クラスのパソコン本体くらいの大きさである。
見れば5インチくらいの液晶モニタもついているようだ。
パソコンかと思ったが、そうでもなさそうだ。
モニタの他に、どうもオシロスコープのようなものもコードで繋がっている。
コードはいくつも機械から伸びていた。
長いコードがとぐろを巻くようにしてわだかまり、その先っちょには丸いワッペン
のようなものがついていた。

(電極……か?)

けっこう仮面はそう思った。
あれは心電図を取ったりする時に使う、ゲルのついた粘着性の電極ではあるまいか。
まさかこれから学園長がけっこう仮面に対して健康診断をするとも思えない。
よほど過酷な拷問をかける前に、心臓麻痺にでもならないかどうか調べるのかとも
思ったが、学園長がそんな慎重なマネはすまい。
相手は敵であるけっこう仮面なのだ。
途中で死んでも、歯牙にも掛けないだろう。

「ひゃっ……!」

冷たいゲル電極をくっつけられて、けっこう仮面はびっくりしたような声を上げた。
左胸、乳房である。
乳首のやや下あたりにぺたりと貼られている。

「……ほう、けっこう仮面とはいえまだ高校生だけあって、案外と可愛い声も出す
んじゃな」
「う、うるさいっ! だから、それは何だって聞いて……あっ!」

またぺたりと来た。
今度は右の胸である。
乳房には乳首の下と、胸の円錐の外側──いわゆる外乳の部分にもう一箇所ずつ
くっつけられた。

「あ……!」

今度は股間に来た。
恥毛を避けるようにして、腿の付け根付近に左右一枚ずつ、そしてヘソ下の淡い毛
が密生している部分ぎりぎりのところにもう一枚。
けっこう仮面は嫌がって身を揺すったが、学園長はものともせずに貼っていく。
他に、腋にも一枚ずつ、脇腹の柔らかいところにも左右一枚ずつ、腿の裏、ふくら
はぎにまでくっつけられた。
そして尻たぶを開かれて、肛門の上にも貼られてしまった。

ここに至って、ようやく何をされるかおぼろげながらにわかってくる。
貼られたところがすべて性感帯であるところから見ても、どうせまた淫猥で卑劣な、
性的な責めを仕掛けてくるのだろう。
何をされるのかという怯えを飲み込みつつ、けっこう仮面は声を荒げた。

「何のつもりだよ! あたしに何を……」
「うるさい女じゃな」

学園長は一言で一蹴した。

「褒美をやると言っておるじゃろうが。そのうちわかるわい」
「あっ、やめろ、触るな!」

大きな手がやわやわと右の乳房を軽く揉み込んできたので、けっこう仮面は拒絶の
言葉を叩きつける。
その様子をにやにやと眺めながら、学園長は右手に握ったポケット電卓のような
ものを指で操作する。

「……?」

けっこう仮面の動きが止まった。
おかしな感覚が一瞬だけ身体に走った気がする。
ただ、それが何かはわからない。

「何も感じんか? もう少し強くするか」
「なに……? ……あっ……!」

ビリビリしてきた。
感電するほどではないが、電極をつけられたところがビリビリと軽く痺れる感じだ。
痛くはない。
痺れる感じはするから、やはり電気のようだ。
何だか、くっつけられたところの皮膚や筋肉が、きゅううっと引っ張られるような
感覚がある。

「な……んだ、これ……あっ……」
「少しは効くか?」
「こ、これ何だ……うっ……」
「大した強さではないが、おまえの身体に電気を流しておるんじゃよ。聞いたこと
ないかね、電気責めというやつじゃ」
「な、んだと……う……あっ……」
「低周波治療器とかいうマッサージの機械くらいは知っとるじゃろう。あれじゃ、
あれ。医療用のそれをな、瀬戸口のやつに改造されたものだ」
「こんなもの、あっ、で何をする気よ……あふっ……」

時折びりっと来る電気の刺激で、けっこう仮面はまとまって喋れない。
絶叫して悲鳴を上げるほどではないが、心地よいものではない。
低周波治療器は肩凝りなどを和らげるものなのだろうが、別に恵は凝ってはいない。
あれは肩の筋肉をほぐすものなのに、学園長は筋肉のない柔らかい場所にばかり
電極をつけていた。

「褒美だと言ったろう。これで少し、いい気分にさせてやろう」
「いっ、いらないっ……そんなのいらないわよっ……やめ、あっ……」
「別に痛くはなかろう」
「い、痛くはないけど……うっ……へ、変な感じなのよっ……」
「そうか、じゃあもう少し強くしてやるか。気持ちがよくなるまでな」
「気持ちよくなんかならないわよっ……ああっ、ちょ、つ、強いって、それっ!」
「我慢できないほどではなかろう」

それは確かにそうだった。
ぴりぴりするような、ちくちくするような不可思議な感じ。
痛くはないが、気持ち良くもない。
でも何かが身体の中に来ていることだけはわかる。
はっきりしないような、焦れったいような、そんな感じだった。
学園長が握ったコントローラをいじくる。

「あう……」

今度ははっきりと「来た」。
痛くないのは同じだが、刺激は確実に強くなっていた。
一枚の電極がぺったりとくっついているだけなのに、揉まれているような感じがする。
恵も部下の女生徒から肩を揉まれたことはあるが、あれとはかなり感じが違う。
もっとじんわりゆっくりと、そして念入りに揉まれている感覚がある。
しかも揉まれながら電流を通されているような感じだ。

「くっ……、あ……あ、あう……んんっ……」

腋の下や脇腹はこそばゆいだけだが、乳房は確実に快感になっていた。
左右ふたつの肉球に貼り付いた電極は、けっこう仮面の乳房へ未知の快楽を送り込
んでいる。
まるで透明人間に乳を揉みほぐされているような錯覚を受ける。
その透明人間は帯電していて、彼の手から乳房へ電流が流れ込んでくるのだ。
さらに不思議なのは、乳房の上からではなく、乳房を覆った皮膚の内側から外側へ
揉み上げられているような気がすることだ。
けっこう仮面にも初めての体験で、上半身をうねらせてその刺激を堪えていた。

「あ……、んむ……くう……あ……」

それに比べれば股間の方はまだ穏やかだった。
わざとなのか、クリトリスは外されているし、膣の真上に貼られたわけではない。
もっとも、そんなところに貼られても、分泌されてくるであろう愛液ですぐに剥が
れてしまったのだろうが。
いずれにしても媚肉の方は、性的な快感というよりは、まだ痺れの方が強く感じ
でいた。
ただ、体温が徐々に上昇しているような感じで、その熱が股間やその奥に溜まって
きているのがわかる。
軽く痛みもある。痛みがだんだんと快感に変わってしまうことは、さきほどのスパ
ンキングで覚えたばかりだった。

「……はあっ……う……、んっ……」
「……」

学園長は、けっこう仮面の様子を見ながらコントローラを操り、低周波の強さを調
整していた。
強度を上げすぎて失神させても意味がない。
あくまでこの責めを快楽と受け取らせるように仕向けるのだ。

少々電流を上げたことにより、明らかにけっこう仮面の反応が変わってきた。
最初は「どうということはない」ような様子だったのに、今は身体に送り込まれて
くる電気を戸惑いながらも受け入れ、快楽のさざ波が寄せている状態だ。
その証拠に、けっこう仮面はもどかしそうに足をすり寄せようとしたり、身をくね
らせている。
よく観察すると、二の腕や腿にざわっと鳥肌が立つこともあった。
胸に強い電流を流すと乳首がぷるぷると震える。
下腹の低周波を上げると、わなわなと媚肉全体が痙攣した。
ぷくりとクリトリスが恥ずかしげに立ち、包皮からわずかに顔を覗かせていた。
陰毛全体が湿ってきている。
汗もあるだろうが、蜜も出てきているようだ。
感じているのは間違いなかった。
しかし、身も世も忘れてよがるほどの愉悦ではない。
我慢すれば出来るくらいであり、それでいてもどかしい、焦れったいような痺れ
だった。
けっこう仮面はもぞもぞと裸身をうねらせていく。

「くく、だんだんと良くなってきたようじゃな」
「だ、誰がっ……! あ、やめろ、うっ……、こ、これのどこが褒美なんだよっ…
…」
「褒美じゃよ。貴様には女の悦びを味わわせてやろう。何度も何度もな」
「なっ……、ふざけんな!」
「ふざけてなどおらん。いいか、女の中には一生オルガスムスを知らんで死ぬのも
いるというではないか。それを、まだ若いおまえに、それこそ死ぬほど味わわせて
やろうという寸法じゃ」
「な……」
「これ以上ない褒美じゃろうが。天国に行かせてやるからな。おっと、いきまくっ
て苦しくなるかも知れんから地獄になるかな」
「きっさまあっ……、あっ……」

ひときわ大きくけっこう仮面が震えると、ぼたり、ぼたりと電極が落ちた。
汗に強く粘着力の高いゲルのはずだが、やはり股間近くに貼ったものは保たなかった。
それはそうで、汗はともかくぬめった愛液に耐えられるように設計されてはいまい。
足の付け根と腋につけたものが落ちたようだ。
腋も汗が多いからだろう。
学園長は、若い女の香しい汗の匂いを吸い込みながら電極を拾った。

「……ふん、もう濡れておるではないか。いやらしい女めが」
「ふざけるな、違うわ!」
「違わんわい。見ろ」
「……」

汗とは違う、ねっとりとした粘液がゲルを汚しているのを見て、けっこう仮面は顔
を背けた。
これでは言い逃れしようもない。
学園長が、乳房についた電極を剥がし、貼り直している。
乳首の下にあったものを、直接乳首の上へ貼り直した。
より強い刺激が来るに違いない。

「だが、まだこれでは物足りないじゃろう」

そう言うと学園長は手にしたものを振って見せた。
けっこう仮面のマスクの下の顔から血の気が引いていく。

「そ、それ……」

ディルドであった。細身の物と太い物の二種類だ。
言われなくとも、膣とアヌスに突っ込むのだろうとわかる。
どちらも湾曲して少し反り返っているのがいやらしい。
普通のディルドと少し異なるのは、サオの部分に金属リングが入っていることだ。
ちょうどサオが指輪のようにリングをいくつもはめているようなものだと思えば間違
いない。
つまりそれは、けっこう仮面の穴に突っ込み、そこへ通電するというものなのだろう。
けっこう仮面が青ざめるのも無理からぬところだった。

「やっ、やめろ、そんなひどいことっ……!」
「ほう、察しが良いな、何をされるのかわかるのか。それとも、されたくてしようが
ないのかな」
「ばっ、ばかなことを! あ、いやあっ!」

学園長の手が伸び、秘裂を割って、奥の膣口へ指を突っ込んだ。
その指には透明なクリーム状のものが塗られていた。
冷たい感触に思わず身を捩らせたけっこう仮面だが、学園長は臆することなく塗り
込んでいく。
肛門に貼られた電極も剥がされ、同じように肛門内部にも何かを塗り込められた。

塗っていたのは通電ゲルであった。
膣内部や直腸内が、より感電しやすいようにしていたのだ。
充分に塗り込むと、今度はディルドを媚肉とアヌスにねじ込むように押し込んでいく。

「くうっ……やめろ!」

アヌスの方は直径2センチほど、膣の方は4センチほどだったが、ともにあっさりと
飲み込まされた。
ゲルで潤い、柔らかくなっていたことに加え、膣の方は愛液が分泌されていたせいも
ある。
根元まで埋め込まれると、学園長がディルドの底にあるスイッチを倒した。
すると膣の奥と直腸の中に入ったディルドの亀頭部分の笠が開き、それぞれの内壁に
引っかかった。
これで少々のことでは抜けないだろう。
電極プラグのディルドを飲み込まされ、けっこう仮面は脅えたように学園長を見た
が、次の瞬間、びりっと走る電気に悲鳴を上げた。

「あぐうっ!」

それほど強い電流ではなかったが、鋭い刺激が突き抜けていく。
クリトリスには触れていないのに、なぜかそこに痺れを感じていた。
膣壁から電気がそこまで伝わってくるらしい。
クリトリスがきゅーっと引っ張られるような、思い切り吸われるような、そんな感覚
にけっこう仮面は呻いた。

「あううっ……」

流される電気量を学園長は慎重に調整していた。
これで懲らしめるのではなく、感じさせ、あわよくば絶頂させるのが目的だ。
何度も電流を流し、強さを調整し、より反応する箇所を電流量を把握していく。
どうやら膣内部に流されるのも感じているようだが、アヌスの電極プラグがかなり
効くようだ。

「あっ……い、いやっ……あぐぐ……あっ……」
「どうだ、気持ちいいか。それとも痺れるか?」
「ああ……し、痺れる……痺れるけど……」
「気持ちいいんじゃろうが」

けっこう仮面は力なく首を振った。
強がっているということもあったが、実際、自分でもよくわからないのだ。
電動バイブでぐりぐりされたり、ローターでぶるぶると刺激されるのとはかなり違う。
快感と言えば快感だが、軽く痛い気もする。
といっても不快なほどでもない。
苦痛なのか快楽なのか、どっちつかずのはっきりしない不思議な感覚だった。
学園長はパルスの調整をすると同時に、アヌスや膣に挿入したディルドそのものも
操り、内部をゆっくりと抉っていく。

「あう……」

直腸内部や媚肉をこねくられる快感よりも、ちくちくするような痛みが強い。
学園長が悪魔の笑みを浮かべている。

「くく、気持ち良さそうじゃな。では、こっちはどうじゃ?」
「あぐああっっ!!」

コントローラの電力調整ダイアルが右側に大きく回されると、髪の毛が逆立ったか
と思うような強烈な電気ショックがけっこう仮面を襲った。
誰にも触られていないのに、大きな乳房が痙攣して止まらない。
小刻みに激しくぶるるるるっと震え続けている。

「うぐおおおっ……!」

今度は乳首に来た。さっきまでの軽い痛み、生ぬるい快感とは訳が違う。
いきなり教室に入ってきた教師を見て慌てて椅子を鳴らして起立する生徒のように、
ピンっと乳首が勃起した。
乳首がもげそうな、いや、思い切り引き抜かれるような激しい衝撃だ。
乳房の方も、胸肉全体に剣山か、太い針を無数に打ち込まれたかのような猛烈な
ショックが来る。
痛みもあるが、それ以上に本当に刺されたような実感が凄かった。

当然、けっこう仮面の身体はその瞬間、思いっ切り仰け反り、喉からは絶叫が噴き
上がっていた。
意志として行なっているのではなく、喉が勝手に叫び声を上げ、身体が勝手に弓なり
になってしまう感覚なのだ。
本当に乳房が内部から破裂してしまうかと思った。

「ああ……」

電流が切れると、がっくりと顔が項垂れた。
身体の方はまだ余韻があるようだ。
脚や腕がぴくぴくと痙攣している。
けっこう仮面のそんな姿を見て、学園長は満足げに言った。

「どうじゃ、少しはまいったじゃろうが」
「ああ……」
「ろくに答えられんか。では今度はオマンコに……」
「よ、よせ、バカっ……、やめろ、やめてくれっ……、うぎぃああああっっ!!」

ズン、と重たい打ち込みが股間に来たように感じた。
頭のてっぺんから爪先まで、太い鉄棒が打ち込まれたかのうな強烈が刺激が突き抜
けていく。
そして乳首と同じように、股間の肉芽が一気に勃起する。
包皮は剥け切っており、ぷるぷると激しく痙攣していた。
膣内に埋め込まれた電極は、膣襞に電流を通し、制御不能な痙攣を起こさせている。
同時に、肛門深く突っ込まれた電極は、直腸の内壁に金属プラグを接触させ、お尻
が破裂しそうな刺激をけっこう仮面に与えていた。

「あっあ、むぐぅううあああっ!」

「うひぃやああっっ!」

二度、三度と瞬間的にだが断続的に強い低周波を流され、けっこう仮面は手枷した
腕を振り払うようにもがき、固定された足枷を引き千切らんばかりに脚をうねらせた。
汗が飛び散り、媚肉の尿道からは小水が噴き出していた。
猛烈な衝撃だったことがわかる。

一方、けっこう仮面の肉体は判断の難しい反応を見せていた。
激しい電気ショックを与えているディルドに対し、けっこう仮面の膣は、なんと
それに絡みつくような淫らな蠢きを示していたのだ。
電流が通された瞬間はそれどころではなく、ただただ電気ショックで痙攣している。
電流が止まった直後は、その異物を吐き出そうと襞が蠢くのだ。
しかし、子宮近くまで打ち込まれ、そこで人工のカリが笠を開いて膣襞に引っかかっ
ていて、出したくても出せない。
そのうち、排出しようと動いていたはずの襞が、逆に奥へ引き込もうとするかのよう
な動きに変わってくるのだ。
驚いたことに、襞のないアヌスでも似たような動きで出ていた。

「あぐ! んむあっ! ひぐっ! あああっ!」

学園長がコントローラを操作するたびに強烈な電流が走り抜け、膣奥や直腸深くまで
入り込んだ電極から身体中の内臓に電気が駆け抜けていった。
けっこう仮面の肉体は全体が汗まみれとなり、本人の意志とはまったく無関係に仰け
反り、跳ねた。
腕がぐっと伸ばされ、拳がぎゅっと握られる。
次の瞬間には大きく手が開かれて、指一本一本が痙攣した。
腹を突き出すように仰け反り、脚が伸びきる。
太腿が引き攣れ、ふくらはぎや臀部が攣りそうになる。
脂汗にまみれた裸身はのたうち回り、乳房や股間から伸びたコードも大きく揺さぶ
られていた。

「ああ……」

電撃が一時的に止まると、けっこう仮面はがっくりとうつむき、苦しげに呼吸を
繰り返した。
思わず尿は漏らしてしまったが、口を懸命に噛みしめてよだれが零れるのを堪えた
のは大した精神力と言える。

「どうじゃ、効いたろうが」

学園長が顎をつまんで顔を持ち上げさせて顔を覗き込んだが、恵は何も言えず、
反発も出来なかった。
今までに受けたこともない強烈な拷問だった。
痛みよりもずっと堪える。
まるで内臓全部が踊り狂うかのような刺激だ。

「けっこう気持ちよかったんじゃないかね」

わからなかった。
そんなことを感じている余裕もなかったのである。

それまでの微弱な電流での低周波責めは、なるほど確かに性感を刺激するような
ものではあった。
しかし今の強力な電流は、そんなものを吹き飛ばしてしまうような威力だった。
だが、それでいて電気を通された乳房は、カッカと内側から燃え上がるような熱さ
と、続きを求めるが如くやるせなさを感じている。
股間も同様だった。
アヌスは今にも花開こうとするかのように、もぞもぞと蠢いていたし、肛門粘膜も
腸内もかゆいような焦れったいような刺激が残っている。
そして媚肉はぐっしょりと濡れそぼっていた。
漏らしてしまった尿だけでは説明が出来ないような、甘く妖しい香りを放つ粘液が、
ディルドと膣口のわずかな隙間から滴っていたのである。

「そんなことは……」

そう言ったものの、電流が終わった今は、さきほどの猛烈な刺激が悦楽を呼んだの
かも知れないと思い始めていた。
通電されていた時は、けっこう仮面とは思えぬだらしのない悲鳴を上げ続け、汗を
跳ね飛ばしながらのたうつしかなかった。
乳房は強制的な電気ショックを物理的な刺激のように感じ取っていた。
太い針で突き刺されるような痛みとは別に、ごつい手で鷲掴みにされ、力一杯揉み
しだかれているような感覚もあった。
股間の小さなふたつの穴は、電流が終わると蠢き始め、中のものを排出しようと
したり、逆に吸い込もうとするような動きを見せた。
その際、襞がディルドに擦れ、得も言われぬ背徳的な快感が込み上がってきていた
のだった。

「そうかね。いきたくともいけなかったか」
「……」
「くく、正直で良い。いいか、いかせてやるから、ちゃんと「いく」と言うんじゃぞ」
「い、いや……もういや……、何もしないで!」
「そう言うな。せっかくいかせてやると言っとるんじゃ」
「うっ、あああ!」

またコントローラのスイッチを押し、けっこう仮面の内部で電流が走り抜ける。
悶えるけっこう仮面を眺めつつ、学園長はコントローラをワゴンに放り投げ、代わり
に別の道具を手にした。
今度はマッサージ器のようだ。
長さ20センチほどあるベージュの握りの部分先に、薄いブルーの半球状のバイブ部
がついている。
これを両手に一本ずつ持っていた。
電気あんまらしい。

スイッチが入ると、ヴヴンと不気味な電動音が響く。
それを電流が走っている媚肉にいきなりあてがった。

「うっきゃあああっっ!!」

電流が内部を走り抜ける痺れるような刺激とはまったく異なる、電動による強い振動
が突然に敏感な媚肉へ襲いかかり、けっこう仮面は大きく海老反って絶叫した。
膣内部と内臓全部を突き抜ける電撃でいい加減まいっていたところに、強烈な物理的
刺激を食らい、一撃で達した。
ガクンガクンガクンッと大きく三度続けて肢体が跳ね上がり、太腿や臀部がビクビク
ッと派手に痙攣している。

「くっくっくっ、呆気ない。一発でいきおったか」
「あ……、ああ……い、いってなんか……」

否定する声にも力がない。
それもそのはずで、その瞬間、けっこう仮面は身体中を振るわせて大声で叫んだだけ
でなく、通電ディルドをくわえこんだ膣からも、愛液のしぶきが上がっていたのだっ
た。

「強情じゃな。素直に言うまで続けるぞ」
「やっ……それはもう……、ふわあああっっ!!」

バイブ部分が、ちょんと媚肉にあたっただけで、けっこう仮面は一瞬、白目を剥いて
叫んだ。
膣にはまだ電極プラグのついたディルドが入りっぱなしだ。
無論、通電していて膣内部を電撃責めしている。
そのディルドに、皮膚越しに電気マッサージ器があてがわれたのだ。
電流による痺れの刺激と、振動による強烈な刺激が合わさった。
身体の内側は電気責めされ、外側はバイブレーション責めされているのだ。
焦らされ、燻り続けたけっこう仮面の肉体は、実に呆気ないほどに連続絶頂してしま
った。

「なんじゃ、簡単にいきおって。少しは慎んだらどうじゃ」

自分から仕掛けておいて、学園長はそう言った。
けっこう仮面は、まだ身体をビクビクと震わせながら辛うじて答える。

「だ、だって……こ、こんなことされたら……」
「いくのは当然か? 恥ずかしくないのか」
「う、るさ、い……、だったらもうやめ、あっ……あ……ああっ……あは……」

けっこう仮面の抗議の声は、すぐに喘ぎに変わった。
マッサージ器が胸に来たのだ。
乳房にもまだ電極が貼られ、コードが伸びている。
電流のせいで細かく震えている豊かな肉の塊が、電動機を押しつけられて、さらに
激しく痙攣し出した。
振動に合わせて、勃起した乳首が激しく揺れている。
けっこう仮面が「もっと、もっと」とでも言うように胸を突き出してきているが、
これは意識した行動ではあるまい。
抗う気力も薄れているが、まともにものを考えられる状態でもなくなっていた。
さらなる刺激を欲する性感帯が、自然と肉体を操っているらしい。

学園長は、けっこう仮面が盛んに身を捩って感じるポイントを知らせようとしている
のを嘲笑しながら、焦らすように乳首を外して責めた。
乳輪付近に軽く当てて乳首を震わせると、けっこう仮面は喉を反らせるようしにて
喘いだ。散々そうしてから、おもむろに乳首の上に電マを押しつけた。
乳首が潰され、その上から襲ってくる凄まじい振動に、けっこう仮面はたちまち昇り
詰めた。

「いっひぃああああっっ……!!」

乳房の内側から電流、上から電マの刺激が突き刺さってくる。
乳房の内外から同時に責められて、けっこう仮面は喉を引き攣らせるな甲高い嬌声を
放っていた。
媚肉からも蜜を噴き出させ、何度も痙攣しながら立て続けに達した。

「あ……あ……」

電マは離されたのに、けっこう仮面はまだ悶えている。
中に入ったプラグからの電撃が、絶頂した後の肉体をいつまでも下に下げない効果を
出しているのだ。
いくためのサポートをするだけでなく、いかされた後も醒めないようにいつまでも
浮遊させておく。
つまりけっこう仮面は、いきそうになる7分目、8分目あたりと絶頂、その間をうろ
うろするしかないのだ。
電流責めにはそんな効力もあったらしい。

「くく、よくそれだけ何度も続けていけるもんじゃな」

甘ったるい女の香気が漂っている拷問部屋で、学園長はそう言った。
言われた恵の方は、もう息も絶え絶えで答える気にもなれなかった。
崩れ落ちそうになる身体を、頭上に掲げた両腕の拘束具が支えていた。
吊られていなければ、床に膝をついているだろう。
それほどまでに肉体はまいっているのに、電流が刺激し続ける肉欲だけは異様に旺盛
で、媚肉から愛液が粘り落ちている。

「……身体はまだ欲しいようじゃな」
「やっ、そんな……、い、いらないっ……もういらないってば……、あっ、ああ
あっ!」

嫌がって抗っているのか、欲しがって悶えているのか、傍目ではもうわからない。
身悶え、捩る裸身のポイントに、学園長が再び悪魔の性具を押しつけていく。

「ふあああっっ、いやあっ、ま、またあっっ!」
「またいくのか。なら言え、「いく」と言わんか」
「やああっ、ひぃぃっ!!」

学園長は媚肉だけでなく、アヌスも責め始めた。
既にそこには膣と同じく、電導パルスが深々と刺さっている。
肛門粘膜も直腸内壁も、微弱な電流でいたぶられ続けているはずだ。
電極棒をくわえて小刻みに痙攣している肛門に電マを押しつけたからたまらない。
さらに電極が奥に押し込まれて深いところに電流が走り、肛門にあてがわれたマッ
サージ器が凄まじいほどの振動を加えると、けっこう仮面は赤いマスクを振り乱し、
マフラーを宙に舞わせて大きく仰け反った。

「いっはあああっっ……いっ、いっ……いっぐうううっっ……!」

けっこう仮面は、爪が手袋を突き破るほどの勢いで拳を握りしめ、その激しい快感を
表現した。
ブーツの爪先も伸びきっており、わなわなと痙攣していた。

「ようやく「いく」と言いおったか、手間をかけさせおって。それにしても、前では
なく尻で先に屈服しおるとはな。尻責めが好きなのか?」
「……う……うう……」

返答する余裕もなく、けっこう仮面はひくひくと腹筋を痙攣させて激しい絶頂の
余韻を味わっていた。
かつて佐田や片桐に責め抜かれた時も、心ならずも気をやってしまったことはあった。
しかし、このように何が何だかわからない状態で、しかも一瞬でいかされたことは
なかった。
学園長はなおも許さず、続けて責めていく。

「やっ……もうやめっ、あっ……いっくっ!!」

乳房と媚肉へ同時に電マをあてがわれ、たちまち達してしまう。
恵にその意志はないのに、肉体が勝手に快楽を貪っている。
もう自分で自分の身体の制御が出来なくなっているのだ。
けっこう仮面は自然と腰を振り、上半身をうねらせて乳房を揺すっている。

「あああっ、いくっ……ま、またいくううっ!」

マッサージ器を押しつけられたまま絶頂に達しても、学園長はそれを乳や膣、あるい
はアヌスから離してくれない。
いかされたのに、まだ振動による凶悪な快感を送り込まれ続けているのだ。
長身を逆エビの状態に反り返らせ、びくびくと腰を痙攣させている。

「またか。気持ちいいのだろうが、そんなに続けていってたら体力が保たんぞ」
「だ……だったら、もうやめて……、あ、やめろって、ああううっっ!」

また全身をびくびくっと震わせて気をやった。
身体中びっしょりと汗をかき、肌は上気しきっている。
クリトリスも乳首も、これ以上無理というほどに硬く尖り、そそり立っていた。
そこでいったんマッサージ器を離すと、けっこう仮面は糸の切れたマリオネットの
ように、くたりと脱力した。
天井で吊ってなければ蹲っていただろう。

あまりの連続絶頂に、けっこう仮面の瞳には正気が消えかけている。
憎悪と敵意の炎を燃やした目で学園長を睨みつけていたのがウソのようだ。

「どうじゃ、まいったか。小娘のくせに大人に逆らいよるとこうなるのだ」

勝ち誇る学園長にも、恵は荒く呼吸するばかりで返事も出来ない。

「何とか言わんか。まだいかせて欲しいのか?」
「い、や……もう、いや……」
「イヤじゃと? ウソをつけ。わかるか? おまえのオマンコ、もう赤くなっとる
ぞ」

電マで虐められた媚肉周辺は「上気している」どころではなく、赤くなっていた。
内と外で薄い皮を隔てて、電気と振動で責め抜かれたのだ。
炎症でも起こしているのかも知れない。
赤くなっていたのはアヌスも同じだ。
爛れたみたいに赤く、そしてほぐれきっていた。
恐らく電極を引き抜いたら、中の粘膜がめくれあがるのではなかろうかと思える
ほどだ。
けっこう仮面は力なく言った。

「そ、そうよ……。も、もうアソコが……」
「アソコ、ではない。オマンコと言わんか」
「いや……。アソコが……あ、熱くてもう……」

けっこう仮面はなよなよと首を振って言った。
「熱い」というのは炎症のせいだろうと思ったのだが、どうもそれだけではない
らしい。
というのも、ぐったりしたけっこう仮面が時折ちらちらと学園長の手を見ている
のだ。
じっとマッサージ器を見て、気がついたようにハッと視線を逸らしている。
つまり、媚肉が熱いのは炎症のせいばかりではなく、とどめを刺して欲しいと思
っているのかも知れなかった。
そう判断した学園長はにやりといやらしい微笑を仮面の下に隠しながら、両手の
電マを弄んだ。

「そうか、まだいかせて欲しいのか」
「ち……がう……わ……」
「やめて欲しいのか?」
「……」
「このまま放っておかれたいか?」

けっこう仮面は危うく首を横に振ってしまうところだった。
学園長にいかされる、絶頂したところを見られるのはこの上ない屈辱のはずなの
に、肉体が燃えて燃えて仕方がなかった。
悪魔のような責めのせいで、身体のたがが外れてしまった感じがする。

「いかせて、と言ってみい」
「や……、も、もうこれ以上は……」

これ以上いかされ続けたら、本当に狂ってしまいそうだ。
肉体はまだ絶頂を受け入れられるのかも知れないが、精神が保たない。
痴呆になるか、際限なく快楽を求めるような牝になりそうな恐怖がけっこう仮面を
覆っていた。

「これでもか」
「あっ、ひぃぃっ!」

学園長は突如、両手に持った電マを左右それぞれの乳房にあて、バイブレーション
を送った。
豊満そのものの若い乳房が、根元からもげ取れそうなくらいに激しく振動する。
けっこう仮面は、乳房が付け根から引き抜かれそうな、乳首を中心に太い針を何本も
突き刺されたような感覚を同時に味わわされ、喉を反らせて絶叫した。
快感などという生やさしいものではなかった。
膣から愛液を噴き出し、あっというまに頂点に達していた。

胸を大きく突き出させてガクガクと痙攣しているけっこう仮面を見ながら、学園長は
その右の乳首を指で摘んだ。
指先でこねくり、引っ張り上げる。

「あぐっ……、や、やめ……くっ……ち、乳首、千切れちゃうっ……!」

乳首をぎゅっと引っ張り、そこを中心に乳房全体が円錐状になっていく。
皮膚が一層に薄く張り詰めたところに、左手に持ったマッサージ器を押しつけた。

「うぐあああっ、いっぐうううっっ!」

乳首を摘んだ学園長の指にも、バイブの振動と電極から放たれる電流が、そしてけっ
こう仮面の絶頂した震えが伝わってきた。
マッサージ器を離すと、けっこう仮面はぶるっと痙攣して、手枷につり下がったまま
脱力した。
時々、腿のあたりが思い出したようにぷるぷる震えた。
虐め抜かれた乳房はもう上気しきっている。
つねられた乳首も腫れ上がったように赤く、大きく、そして硬くなっていた。
今にも母乳でも噴き出すのではないかという錯覚を起こすくらいに膨れあがっている。

「いやらしいおっぱいじゃ。これだけ虐められてもなお、男を誘うようにぷりぷり
しておるわ」
「やは……もうやあ……、ゆ、許して……」
「ほう」

とうとうけっこう仮面に──というより、紅恵にこの台詞を言わせることが出来た。
堕ちたけい子や、瀬戸口が責めているであろう香織はもう口にしているだろう。
しかし、責めてみてわかったが、この恵はけい子よりもさらに気が強い。
気が強いというより鼻っ柱が強かった。
意地でも屈服しないという、学園長から見れば無意味な気丈さがあった。
それだけに屈服を示す言葉を口にさせたことに満足していた。

「許して、か。けっこう仮面がそんな言葉を言うとはな」
「……」
「ついでじゃ。もうひとつ言ってもらおうか。おまえは何度もわしの前で気をやり
おったが、絶頂したことは認めるな?」
「……」

責め抜かれて「いく」と何度も言ってしまった。
もっともそれは恵自身が意識して、あるいは言ったという自覚して口にしたわけでは
ない。
未知の快楽に揺さぶられ、強引な快感に我を忘れ、強烈な愉悦のために、肉体が発し
た言葉だった。
それを言わないと、身体が内部から弾けてしまいそうだったのだ。
愛する男に抱かれて「いい」とか「いく」と言うのとは訳が違う。
恵が口ごもっていると、学園長がマッサージ器をバイブさせながら、それを見せつ
ける。

「言えぬか? では無理にでも言わせてやるわい」
「ま、待って……!」

けっこう仮面の表情に恐怖が宿った。
文字通りの痺れるような喜悦に、思わず浸ってしまったとはいえ、あの恐ろしい
暴力的な絶頂はもういやだ。
見られる恥ずかしさに加え、味わわされるごとに体力が著しく消耗してしまう。
気をやることが、これほどに疲労するとは思いもしなかった。

「言え」
「……い、いった……わよ……」
「もっとはっきりと、じゃ」
「何度も言わせないで! ……いったわよ」

それを聞いて学園長がにやっと笑った。

「そうか、気持ち良かったんじゃな」
「……」
「ではもっとその気分に浸ってもらうか。何せ褒美じゃしな」
「ま、待てよ! 約束が違うわ!」
「約束? そんなもん誰もしとらんわい。したところで、けっこう仮面との間に信頼
関係なんぞあるものか。約束したところで反故にするに決まっとろうが」
「こ、この……クソ野郎……!」
「口が減らんな。そんな娘にはこうじゃ」
「やっ、やめろ、よせっ!」

学園長は右手に持った機械を媚肉の上にあてがった。
当然、クリトリスが押しつぶされ、膣口が圧迫される。
その状態で極悪なバイブレーションがかかるのだ。
強烈な振動が響き、内部の電流と合わさって、けっこう仮面は一気に昇り詰める。

「やはああっ、いくっ!」

ぎくぎくっと反り返る裸身の後ろに回り込み、今度はアヌスを剥き出しにさせて、
そこに直接押し当てた。
既に飲み込んでいる電極棒を吐き出すような振動が肛門に伝わり、直腸を責めていた
電気ショックと絡み合って、今度は後ろからけっこう仮面を頂点に押し上げる。
普通のセックスのように、だんだんと頂点に昇り詰めるのではない。
いきなり絶頂まで押し上げられるのだ。

「ひっ、お尻ぃっ! だめ、いぐううっ!」

学園長は、とどめとばかりに、右手の機械で媚肉を、左に持った機械で肛門を責める。
同時に前後からマッサージ器を押しつけてきた。
前と後ろからバイブレーションの暴虐を受け、それらが膣と肛門に入り込んだ電極に
連動して、けっこう仮面の中で至上の──地獄の喜悦が炸裂した。
快感の波が押し寄せるなどという緩いものではない。
官能の角材でぶん殴られたような、暴力的な快感だった。
マッサージ器のヘッドと体内に突っ込まれた電極プラグが皮膚を通じて接触し、
けっこう仮面の膣内と直腸内でスパークした。
肉体と意識の中で何度もショートが起こり、頭の中で喜悦の火花が飛び散った。

「いぐっ!! ひっ、ひっ、もういきたくないっ! あ、ああっ、でもだめっ、ま、
またいくうっ! 何度でもいっちゃううううっっっ!!」

体力はエンプティ寸前なのに、淫らな情欲はとどまるところを知らず、何度でも
絶頂感を求め続けていた。
けっこう仮面は、意識が朦朧とするまでその若い肉体から性を発散させていった。



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