この時期、スパルタ学園高校は一学期中間試験前の試験休み期間である。
3学期制を採るスパルタ学園だが、春季、夏季、及び冬季の休みはない。南の島で気候が良い
ということもあるが、校舎、寮など職員や生徒が使用する施設はすべて冷暖房完備しており、
快適な生活環境で勉学に励めるという建前があるからだ。
本当のところは、長期休校などしてしまうと、生徒が実家へ帰る理由になるからである。
学園サイドとしては、少なくとも在校中は一度も家へは帰したくないから、その機会はなる
べく減らしたいのだ。

生徒だけそうするわけにもいかないので、教職員もほとんど帰ることがないくらいだ。
それでも、年間カリキュラムの関係で、どうしても土日祝祭日以外に休みを取る必要がある。
そこで考え出されたのが、試験前の勉強休みなのである。
各定期試験前に一週間ずつ休みに入る。
これは、何も勉強を強要されているわけではない。
授業も休みだし部活動も基本的に休止になるので、学校に来る必要がないというだけのことな
のだ。
それでも、現実問題として試験は一週間あとにあるのだし、試験勉強自体しないわけにはいか
ない。
となると、どうしたって自習するしかないのである。

中には自習だけでは飽きたらず、教師への質問も兼ねて補習を望む者も出てくる。
そういう生徒は学園側も歓迎し、特例として教室を開放し、教師もつけてくれる。
つまり授業と大差ない状態になるのだ。
生徒にしても、ひとりで勉強してても捗らないし、張り合いもないので、この補習に臨む者も
多い。
無論、独習を希望する者もいるが、結局、勉強していることに代わりはない。
学園側の思うつぼなわけだ。

もちろん、そういう学園の方針に反発し、補習ボイコット、自習も放棄する剛の者もいない
わけではない。
しかし、この学校では成績優秀者だけでなく全生徒の成績が校内LANで公表されるため、
みっともない成績も取れない。
第一、一定以上の成績に満たない生徒には、強制的な特別補習制度もある。
それがまたひどいスケジュールの勉強漬け状態になるので、そこにだけは送り込まれたくない
から、ある程度は勉強せざるを得なくなっている。
成績不良者を抱えたクラス担任や教科担当も、減俸や訓告、戒告などの罰則があるものだから、
自ずと必死になるのだ。

保健医の若月香織は、校舎一号棟の教員室にけい子を訪ねた。
スパルタ学園は、教師とその他職員の差が厳格に存在する。
レストランで言えば、教師はコックでありシェフだが、事務員や受付、庶務などの職員は見習い
に該当する。
それほどに明確な区分けがされているのだ。
この学園では教師が財産であり権力者なのである。

「失礼します……」

香織が教員室の前に立つと、ドアが音もなく開いた。
自動ドアらしい。
赴任して間もない保健医が驚いていると、中から声がかかった。

「これは若月先生。教員室に何か?」

いちばんドア寄りの席にいた教師が応対した。
香織は教師でこそないが、臨床心理士資格や医師免許を持ったエキスパートなので、一般職員
とは一線を画されている。
教師並みとは言わないが、それに近い扱いを受けているのだ。

「あの、夏綿先生はいらっしゃいますか?」
「夏綿先生?」

受け答えた若い男性教師が室内をキョロキョロと見回した。
試験休みだけあって、普段に比べて閑散としている。
それでも試験原稿のチェックを入れている者や、教材を作っている教師も散見された。
その中にけい子の姿はないようだった。

「いないようですね……」
「……」
「ちょっと待ってくださいね」

そう言うと教師は自分のデスクの引き出しを開けて一枚のプリントを出した。
それをざっと眺めてから、申し訳なさそうに香織に言った。

「夏綿先生、今日、明日は補習担当の予定もないようですね。……となると、ちょっとわから
ないな……」
「そうですか、わかりました。お手数かけまして」
「お役に立てませんで。夏綿先生のお部屋を訪ねてみられてはいかがです?」
「そうですね」

香織は一礼して教員室を去った。
彼女の心に一抹の不安がよぎる。
教師には言わなかったが、香織は教員室を訪れる前にけい子の自室を訪ねていたのである。
そこに誰もいなかったから教員室に行ったのだ。
森村亜美自殺の件の話の時、けい子は何か気づいたようだった。
香織には何も言わなかったが、もしかすると「活動」に入ったのかも知れない。

けっこう仮面の「活動」は巧遅より拙速を旨とする。
全裸という無理のある姿で行動するということに加え、正体がバレる危険を極力減らすためで
ある。
昨日の夕方から「活動」に入ったとして、もう16時間以上経過している。
基本的に、活動に入って3時間以内に解決しない場合、一時撤退することになっている。
そこでけっこう仮面の入れ替えや作戦の変更を為すわけである。

10時間以上経過して本人が戻らず、しかも連絡もないということは異常事態に違いない。
こんな時、けい子以外の仲間を知っていれば頼ったのだが、その紹介はけい子が今日してくれ
る予定になっていたのだ。

「……仕方ないかな」

少し危険だと思ったが、香織自身も行動に出ることにした。

* - * - * - * - * - * - * - * - *

けっこう仮面−夏綿けい子は、昨夜、高橋真弓を逃がすことを条件に囚われ、処置台に固定
された上、医学部担当教諭の瀬戸口章介に嬲られてしまった。
浣腸責めされた挙げ句、ショック状態のところを三度も続けて犯された。
とうとう気絶してしまったが、瀬戸口はそのままけい子を放置していた。
寝苦しい格好のまま浅い眠りから覚めたけい子は、まだ自分が固定されていることに気づき、
ため息をついた。
これではどうにも逃げようがない。しかもけっこう仮面になっていたのだから、当然全裸である。
館内はほどよく温度調整がされているようで身体が冷えるようなことはなかったが、これでもう
15時間以上は裸のままでいたことになる。
けい子がベルトで押さえつけられた手足をもぞもぞさせている時、昨夜の凌辱者がいやらしい
笑みを浮かべながら部屋に入ってきた。

「やあ、おはよう、けっこう仮面」
「……」
「それだけ動けるところを見ると、もうすっかり体力は戻ったようだね」
「早く解いて」

けい子は瀬戸口の方を見ないようにして言った。

「も、もうあれだけ辱めれば充分でしょう。早く逃がして。あなたのことは黙ってるから」
「なるほど。このままここにいたんではけっこう仮面の正体がバレるというわけか」
「……」
「それもいいかな。けっこう仮面の正体に関する情報を知らせれば、学園長から褒賞が出るの
だったね」

スパルタ学園としては、けっこう仮面は学内関係者の可能性が濃厚と見ている。
それは当然で、この島には人の住める施設は学校関係のものしかないからである。
従って、教職員や食堂のコックやウェイトレス、電話交換手から舎監まで、とにかく関係者
全員を容疑者だと思っているフシがある。
無論、生徒の可能性も捨てきれない。

だから内部告発、つまるところ密告を奨励しているのである。
職員からの情報なら倍増以上の昇給、昇格。
生徒からなら、二週間の特別休暇に加え、大学入試にあたって学園長の特別推薦がつく。

「しかしこのままキミを学園長に突き出せば、昇給どころじゃないだろうな」

学園長は狂喜乱舞して、瀬戸口の要求は何でも呑むだろう。

「……」
「しかし心配しないでいい。そんなことはしない」
「……?」
「そんなことしたら、学園長にキミを取り上げられてしまうからね」

学園長がけっこう仮面をどうするのかわからないが、最終的には「処分」するだろう。
瀬戸口のもとに戻ってくる可能性はゼロである。
せっかくの幸運を手放すつもりはなかった。

「あ、あなた、まだ私を……」
「当たり前でしょう。こんなもんじゃ終わりませんよ」

けい子は複雑な感情になる。
確かに、このまま突き出されたら最後、もう逃げようがないし、正体もバレる。
挙げ句、散々拷問されて仲間の名前を吐かされるだろう。
いかにけっこう仮面が強靱な精神力を持っているとはいえ、指の爪を一枚ずつ剥がされたり、
歯を一本ずつ抜かれていけば、どうにかなってしまうだろう。
しかもその苦痛が、喋らない限りずっと続くとなれば、口を閉ざし続ける自信はなくなる。

それに学園の警備員たちに厳重に見張られる状態では逃げようがない。
だが、このスケベ教授のもとにいれば、少なくともそういうことはないだろう。
こうして縛り付け続ける可能性はあるが、従順を装えばそれも解放されるかも知れない。
こんな変態に身を晒すのは屈辱だし、どんな恥ずかしいことをされるのか想像もつかないが、
脱出する可能性だけはこっちの方がずっと高いだろう。
けい子の希望は、このことに誰か他のけっこう仮面たちが気づき、動いてくれることだけだ。
それがあれば、屈辱的な責めでも何日かは耐えてみせる。
しかし、それがずっと続くようであればどうなるのか。

「あ……」

けい子がそこまで考えていると、また突然に腹の下が持ち上がってきた。
腰を中心に「く」の字に折られている。
けい子は慌てて後ろを見て青ざめた。
やはりそうだ。

「あ、あなた、また、そんな……」

瀬戸口は、昨日のようにまた浣腸器を抱え持っていたのである。

「ええ。朝のお通じってやつね」
「こ、この変態っ。朝っぱらから、そんないやらしいことを、ああっ!!」

けっこう仮面の抗議を聞き流し、瀬戸口はぱっくり開いた尻たぶの中心に、浣腸器を突き立てた。
けい子はたちまち後悔した。
こんなことをされるくらいなら学園長に捕まって拷問された方がマシな気がした。
昨夜のことを思い起こすと発狂しそうになる。
腹の中にどろどろした薬液を注入され、便意の苦痛にのたうち回されて、挙げ句、排泄まで
見られる。
A級ライセンスを持つ、プライドの高いけい子には死に優る屈辱だった。

「あ、あああっっ」

小さな肛門にガラスの嘴をくわえさせられると、けっこう仮面の尻がびくんとして、白い肌が
総毛立った。
柔らかかった尻がたちまちしこり、アヌスがむずかるようにひくひく動いている。
瀬戸口にとってたまらない眺めだった。
教授がぐっとシリンダーを押し込むと、ずずっと溶液がけっこう仮面の腸内に入り込んでいった。

「ひあっ……あ、あああっ……」

冷たくどろりとした溶液を腸に感じると、けい子は唇を噛みしめるが、すぐに悲鳴が洩れた。
喉を締められたような声を絞り出し、視界が暗くなっていく。
固まったような尻は、ドクドクと注入される感触にぶるぶると震えが止まらない。
喘ぐようにけい子が言った。

「ああう……ど、どうして、こんな、ああっ……は、恥ずかしいことをするの……あああ……」
「どうしてだ? 決まってる、けっこう仮面を浣腸好きで尻好きにするために決まってるだろう
が。夕べも言ったろう」
「く……、こ、このキチガイ……へ、変態っ、うむ……」

瀬戸口は、けっこう仮面の反抗に心地よいものを感じ、「くくく」と喉で笑いながら浣腸器を
使った。
もうぐったりして反応がないとか、さっさと崩壊してしまって言いなり状態の女を嬲っても面白
くも何ともない。
こうして生意気な口を利き、抵抗してこそ、けっこう仮面を責める意味があるのだ。
少しは気の強いところを見せてくれなければ、瀬戸口としても甚だ失望するというものである。

「ああ……んっ……」

どんなに尻を引き締めようとも、グリセリン溶液は遠慮なく入ってくる。
粘度があるだけに、まるで生き物のようにうねくりながらけい子の腸内に侵入してくるよう
だった。

「んっ……む……はあっ……」

慣れてきたのか、けっこう仮面の動きが収まってきた。
まだ全身が小さく痙攣してはいるが、悲鳴も呻きも我慢できるレベルのようだ。
これではつまらないと、瀬戸口は注入の仕方を変えてみた。
半分ほど注入したところで、今まで単調にポンプを押していたのを、区切りをつけてビュッと
入れるようにしたのである。
効果は覿面だった。

「ひあっ!? ……あ、あ……あむっ……あひっ……」

少量ずつわけて勢いよく入れられると、けっこう仮面は如実に反応した。
ビュッと入れられるとのけぞるように呻き、止まるとガクリと萎えるのだが、またすぐにビュッ
と注入され、びくっと尻を震わせるのだ。
瀬戸口は面白がってシリンダーを押した。

「そら、浣腸の射精だぞ。それっ。それっ、気持ちよかろうが」
「うんっ……はあっ……い、いやっ……ひっ……」
「そのうち、この射精でいくようにしてやるからな。それっ」
「ああっ」

瀬戸口は執拗に「射精」という言葉を使った。
後々のためである。
小刻みに何度も何度も浣腸し、最後の100ccになったところで一気に全部注入した。

「うっはあああっ!!」

けっこう仮面は尻をぶるるっと震わせて絶叫した。500cc全部入れてやった。
昨日もいきなり500で、多すぎるかと思ったが、けっこう仮面は初めてなのに全部尻で飲ん
でしまった。
やはり体力も根性も人並み以上あるということだろう。

けい子は身体を赤くして痙攣していた。
またされてしまった。
今は羞恥でいっぱいだが、すぐに便意で苦しむことになるのだ。
泣くまいと我慢しても涙がこぼれてくる。
しかしそれもつかの間だった。
マスクから見える僅かな顔色が青ざめてきたのが自分でもわかる。
お腹が渋るような痛みに覆われてきた。
悪夢の便意がわき起こってきたのだ。

「ううっ……」

グッタリしていたけっこう仮面が小さく震えだした。
便意が高まっているのは瀬戸口にもよくわかった。
便意の苦痛に耐え、羽二重のような肌にじっとりと脂汗が浮いてきた。
どんなに堪えようとしても我慢できるものではないのだ。
入れられたら出すしかない。

「は、あああっ……」
「どうしたね、そんな顔して」
「わ、わかってるくせにっ……ああ、もうっ……」
「我慢できないのかね。ウンチしたいのか?」
「く……あ、は、早くっ」
「生憎だが、キミを自由にするわけにはいかない」
「そんな……なんで……」

教授は後ろ手を組んでコツコツと歩きながら言った。

「決まってる。そんなことしたらか弱い僕など殴り倒されてしまうからね」
「そ、そんなことしないから、ああっ……お、お願いよ、早くぅっ……」
「そんなにしたいのか、はしたないな」

そう言いながら瀬戸口はけっこう仮面の前に回った。

「したいならさせてやるさ。これでよければな」
「……!!」

瀬戸口が持っていたのは昨日の洗面器だった。
けい子はギョッとして叫んだ。

「あ、あなた、またそんなもので……」
「言ったろう、これがおまえのトイレだと。したくなければ持ってくぜ」
「あ、ああ、待ってっ!」

もう我慢しきれない。
お腹がよじれて裂けてしまいそうなのだ。
けい子は屈辱と激しい便意で声を震わせながら言った。

「そ、それを……あてて」
「ほう、キミの尻にかね?」
「……そ、そうよ」

垂れ流すよりはマシだと思ったが、見られるのは同じである。
けい子は血を吐くような声で叫んだ。

「お願い、見ないで!! ああっ……!!」

脅えたように痙攣していたけい子のアヌスから、腹痛の根源が一気にほとばしり出た。

* - * - * - * - * - * - * - * - *

恥辱にまみれた排泄劇が終わり、瀬戸口が後始末を終わった頃、処置室の開閉ドアが開いた。
また排泄を見られた羞恥に泣いていたけい子は、その気配にハッとして振り返った。
救出されるかも知れないという思いと同時に、こんな恥ずかしい姿は見られたくないという
思いがわき起こる。
夏綿けい子という正体がわかってしまうのも困るが、けっこう仮面としてこんな辱めを受けて
いるのを見られるのもたまらなかった。
助けられても恥をかくことになるのだ。
しかし、けい子の予想は裏切られた。
入ってきたのは医学部の生徒であった。

「瀬戸口教授、遅くなりまして……ああっ!?」
「なんだよ坂崎、急に止まんな……あ……」

がやがやと部屋に入ってきたのは、白い上着を羽織った学生たちだった。
医学部の生徒は全部で20名ほどだ。
女子生徒もいるが6名である。

彼らは、一般生徒たちとの区別ということもあり、白衣をまとっていることが多かった。
無論、普通の学生服もあるし、一般学舎で普通教科を学ぶときにはそっちを着る。
しかし、医学部校舎にいる時は大抵ワイシャツの上に白衣姿なのだ。
本当のところは、白衣は実習の時くらいしか着ないでいいのだが、学生服より軽いし、何しろ
他の生徒も教師も一目置いてくれる優越感もあってそうしていた。
食堂や寮などでも白衣でいる医学部学生も多い。

その白衣姿の男子生徒がわらわらと入室してきたのだ。
けい子も驚いたが、彼らもかなり驚いたようだ。
何しろ、教授の脇の処置台に押さえつけられているのは、見間違えようもない有名人だ。
あのスタイル。
赤いマスクに長いリボン、そして赤いブーツ。

かの、けっこう仮面ではないか。
坂崎と呼ばれた生徒は呆気にとられた声で瀬戸口に問うた。

「きょ、教授……、その、その女は……」

瀬戸口は大きなビーカーに薬液を溶かしながら答えた。

「ああ、そうだ。おまえたちもよく知ってるだろう? スパルタ学園の悪事に敢然と挑戦して
いる正義のヒロイン・けっこう仮面さ」

生徒たちは一様に仰天し、仲間同士でざわつき始めた。

「まさか、そんな……」
「で、でも見覚えあるぜ、あのヌード」
「バカ言え、顔はわかんねえじゃねえか」
「そうだ、裸だけで女がわかるのかよ」

リーダー格らしい坂崎が代表して聞いた。

「どうやって捕まえたかは知りませんが……。どうする気なんです?」
「もちろん突き出すんでしょう、学園長に」

白衣に胸に「川村」と書いてあるプレートをした生徒が追い打ちして聞いた。
瀬戸口は「くっくっ」と喉の奥で笑いながら首を振る。

「そんなもったいないことができるかね」
「で、ですが」

突き出せば確実に推薦状が取れるし、学園の心証も格段によくなるだろう。
それをむざむざと見逃す手はない。
だが彼らの教授はそれを否定した。

「推薦状? そんなもの、おまえらにはいらんだろう」
「……」

確かにそうなのだ。
ここに来た坂崎、川村、田島、長谷部、窪田の5人は、医学部の中でもトップクラスの成績
優秀者である。
瀬戸口が将来を見越して、彼らを手なずけていたのである。
言ってみれば瀬戸口の側近であり、手駒でもあるのだ。
彼らなら、別に学園の特別推薦がなくとも、志望の医大に楽々入れるはずだ。
彼らの表情が変化してきたのを察し、瀬戸口が笑いかけた。

「……だろう?」
「それもそうですね」

坂崎らも笑った。
教授の思惑がわかったのだ。
けっこう仮面という美しい生贄をたっぷりといたぶろうということだ。
そうとわかれば断る理由などなかった。
彼らの中にも、間接的にけっこう仮面に助けられた者はいたが、身を挺してまで助けようと
思う生徒はいなかった。

けい子は、彼らの顔に淫猥なものが浮かんできたのを知り、絶望した。
助けるどころか、瀬戸口と一緒になって自分を嬲ろうとしているらしい。

「ここに来ることは?」
「誰にも言ってません、ご安心を」
「わかってるじゃないか」

瀬戸口と生徒たちは顔を見合わせて笑った。
普段なら、平日の昼間にこんなところでたむろしていたら教員に注意されるが、今は試験休み
である。
基本的には勉強しているはずだが、時間に縛られているわけでもない。
まして彼らは特別に試験勉強などしなくても充分好成績を取れる。
他の生徒たちは部屋に籠もるか教室で勉強しているはずだ。
環境としては絶好である。

瀬戸口はまたしても浣腸器を取り上げた。
ビーカーに作った溶液を吸い上げると、生徒は「おおっ」と歓声を上げた。

「教授、けっこう仮面に浣腸ですか!」
「そうとも。夕べもさっきもしてやった」
「そりゃいいや」

ゲラゲラ笑う生徒に、けい子は本能的な恐怖を感じた。
まともとは思えなかった。

「やめ、やめてっ……。生徒の前で、そんな……」
「生徒の前の方が感じるんじゃないか?」
「ふざけないで! そんなわけが……ああっ」

けっこう仮面に全部言わせず、瀬戸口は浣腸器を彼女のアヌスに突き刺した。
500cc用の大きなシリンダーが押されると、ずずっと大量に溶液が注入される。
そのドクドクと注がれる感覚に我慢しきれず、けっこう仮面は叫んだ。

「ひぃああっ……あ、ああっ……ひっ……」

さっき500ccされて排泄させられたばかりということもあり、爛れていた肛門粘膜に溶液
がしみる。

「ひ、あ、ああ……はうう……」
「そういえば、リズムをつけてされるのがお好みだったな」
「ち、違……ああっ……!」

瀬戸口は50ccずつ区切って溶液を送り込んだ。
たちまち粘っこい汗が滲み出て、けっこう仮面の綺麗な肌を汚していく。
さきほどの浣腸で流した脂汗の下に、また新たな汗が噴き出てくる。
腸内にはもう便がほとんどないだけに、グリセリン液の威力は強烈だった。
けっこう仮面は、内臓を掻きむしられるような苦痛に喚きのたうち回った。

「んああっ……ああ、もう……もうやめてぇっ……いやあああっ」

ぶるぶると尻がよじれるのを、坂崎が抱えて押さえ込んでいる。
押さえ込むというより、ぷりぷりとふりたくられる尻たぶの妖しさに耐えきれず、むしゃぶり
ついているかのようだ。
川村や田島らも我慢できず、けっこう仮面の肢体にまとわりついた。

肌を舐めている者がいる。
処置台に柔らかく潰されている乳房をムリヤリ揉んでいる者もいる。
腿を撫で回し、ふくらはぎを舐めている者もいた。
けっこう仮面は、浣腸されるだけでなく、全身を犯されているような錯覚を受けた。

「あ、あう……はっ、あああっ……も、だめっ……ああ、もう出る、出てしまう……」
「ほう、さすがに二回目は早いなけっこう仮面」

瀬戸口はそう言って、残りをずずっといっぺんに注入させた。
その瞬間、けっこう仮面は大きく仰け反り、背を反らせて呻いた。
生徒はサッとけっこう仮面の身体から引いた。
彼女の腹がググウッと鳴り出したからだ。

「あ……ああ……」

けい子は早くも我慢できなくなっていた。
続けてされる二度目の浣腸がこれほどつらいとは思わなかった。
恥も外聞もなくけい子は叫んだ。

「あっ、あっ……で、出る! は、はやく……!」
「かまわん、そのまましたまえ」
「そんな、いやっ……」
「もう便は残ってないさ。垂れ流してけっこう」
「いやっ!!」

そんなことは問題ではない。
生徒たちの前で排泄を見せるわけにはいかないのだ。
しかし、そうは言っても我慢できるものではない。
男子たちは、遠慮するどころか、けい子の尻の回りに集まって見物しようとしている。
それを知ったけい子は必死に堪えようとしたものの、すぐに限界が来た。

「だめ、だめっ……あ、あなたたち、離れてっ、見ないで、見ちゃいやあっ……」

けい子はアヌスの痙攣を自覚した。
もう一時も我慢できない。
あっと思うまもなく、激しい排泄が始まった。

「いやあああっ、出てるっ……ああ、見ないで、お願い……ああっ……」

けい子は頭を激しく振りたくり、マスクのリボンが大きく跳ね飛んでいた。
いくら便がないとはいえ、排泄行為を見られていることには変わりない。
けい子の羞恥と屈辱は頂点に達していた。
けい子が顔を伏せて忍び泣いていると、またしても肛門にあの感触が来た。
「ひっ」とけい子は叫んだ。

「お、お願い、もう、ああ、もう許して……」
「ほう、そんなに浣腸はいやかね」
「いやよ……。死にたいくらいいやなのよ」
「それはいい。ならば余計に浣腸だ」
「やめてっ」

瀬戸口がまた浣腸を始める。
けっこう仮面の悲鳴とともに、生徒たちがごくりと生唾を飲み込む音が聞こえてきた。
ふと見ると、どの生徒も見事なくらいにスラックスの股間が持ち上がっている。
勃起しているのだ。
長谷部など、両手でそこを押さえていた。
教授はニヤリと笑って言った。

「どうだ、おまえたちもしてみるか」
「本当ですか!?」

生徒たちは大喜びで瀬戸口に駆け寄った。
そしてまず坂崎が浣腸器を受け取った。
500ccたっぷり入っているからかなり重い。
けっこう仮面のひくつく肛門に嘴管を差し込むと、まるでそこを犯しているかのような気に
なって、思わず漏らしそうになる。
けっこう仮面が泣き叫んでいる。

「やめて、やめてっっ……あなたたちまでそんなことをしようと言うのっ」
「もちろんですよ。こんなすごい尻を見て何もしないわけないでしょう」
「こんな変態はやめなさいっ……す、すぐにやめないとひどいわよっ」
「じゃあ、やめたらオマンコさせてくれますか?」
「そ、それとこれとは……ああっ」

それを聞くと坂崎がゆっくりと注入を開始した。
ズーンと重苦しいグリセリンが入ってくる。
坂崎は、瀬戸口に言われた通り50ccだけ注入すると次に代わった。
今度は田島が浣腸してきた。

「うっはあっ……いやあ、あああ……」
「も、もういや……ああっ」
「ああ……く、苦しい……苦しいの……」
「ああ、ま、まだ入ってくるっ……も、もうこれ以上は……」

次々と生徒が入れ替わり立ち替わりけい子に浣腸してきた。
あっというまに500cc注ぎ込まれてしまう。
最後に川村が残りを全部注入すると、けい子は早くも強烈な便意に苛まれた。
ぶるっと大きく全身を震わせ、上擦った声で排便をねだった。

「あっ……ああ、早くっ……もうだめ、出るっ!!」

けい子が絶叫すると同時に肛門が決壊し、激しく噴出した。
多少黄濁してはいるが、ほとんど便はなく、匂いもしなかった。

「ああ……あ、ああ……出る……」

けっこう仮面が苦しそうに呻き、苦悶する様を見ているだけで、彼らは放出しそうになる。
長谷部など、スラックスの上から盛んに股間を擦って自慰している有り様だ。
その間にも瀬戸口は浣腸器に薬液を吸い上げていた。
生徒は歓声を上げて我先にと浣腸器を受け取る。
けっこう仮面は四度目の浣腸を受けていた。

「やああっ、は、入ってくるう……つらい……ううっ」
「ああ、出るっ……は、早くさせてぇっ」
「苦しい……お腹が苦しいっ……ああ、もう許してお願いっ……」
「ああ、もう浣腸はいやあ! ……さ、させてあげるから許してっ……」
「私を、ああっ……お、犯していいから、もうそれだけは……ひいっ……で、出そうっ」
「ああっ、そんな……早く、早く入れてしまってっ……し、したいのよ、もうっ」
「んんん〜〜っ……出ちゃう、出るっ」
「見ちゃいやあっ……だめ、見ないで……うっ、ううん、出る!!」

けい子は繰り返し繰り返し浣腸を受けた。
都合六度も続けて浣腸の洗礼を受け、全身の水分をすべて吐き出してしまったかのようだった。
その間、浣腸してしない生徒たちに身体をまさぐられ、舐められ、さすられていた。

浣腸されている間、何度となく瀬戸口に「肛門に射精してやる」と言われ続け、けい子もそんな
気がしてきていた。
びゅっ、びゅっと本当の射精のように薬液を入れられたのだ。
しかも全身を舐められ、揉まれながらだ。
けい子の意志に関係なく、いつしか媚肉はほころび、濡れそぼっていた。

六度目の排泄が終えたところで、瀬戸口はけっこう仮面に近づき、汗にまみれたその尻をぴしゃり
と叩いた。

「だいぶまいったかね、けっこう仮面」
「……」

もう抗うどころか返事をする気力もなく、けっこう仮面は横たわっていた。
教授は、生徒に指示して黒い紐を持ってこさせた。
よく見ると、静脈注射をする時に患者の腕を縛るゴム管のようである。

田島らが手の拘束を解くと、けっこう仮面を起こした。
彼女はもうされるがままにぐったりしている。
けっこう仮面の背中を支えていた川村と長谷部が、覗き込むようにして彼女の股間を見ている。
そこはもうしとどに濡れ、いつでも受け入れOKに見えた。
坂崎が昂奮でやや上擦った声で瀬戸口の許可を取った。

「教授、い、いいですか?」
「くく、もう我慢できんか」
「はい、もう……。頼みますよ、瀬戸口教授」
「いいだろう。存分に楽しめ」

若い変態医師は黒いゴムをきゅっきゅと扱きながらにやついて答えた。

「う……うう……」

瀬戸口はゴム管で器用にけっこう仮面を縛り上げていった。
ここまで痛めつければ抵抗できないかも知れないが、なにしろ基本体力がけっこう仮面と自分たち
では違いすぎる。
少しでも彼女に気力や体力が残っていればたちまちのされてしまうだろう。
念には念を入れてのことだ。

瀬戸口はきつく縛った。
けっこう仮面の肌に食い込み、ゴムが鳴るほどに力を入れて縛り上げる。
乳房の上下にぐるぐると巻き、手は背中で合わせた。
脚だけはまだ処置台に固定してある。
その処置台を下げて、ほとんど床と同レベルの高さにした。
けい子はまだ何をされるかわかっておらず、荒く呼吸するだけだった。
しかし、生徒たちがおもむろにスラックスを脱ぎ、トランクスまで脱ぎ捨てたのを見てようやく
覚った。
犯す気なのだ。

「そんな……」

けい子はようよう言った。
ここまで虐めておいて、さらに凌辱、それも輪姦しようというのだろうか。

「も、もうクタクタなのよ……今日は許して……」
「そりゃないでしょう、けっこう仮面」

坂崎が言った。

「さっき、浣腸やめたらさせてあげるって言ったじゃないですか」
「そんな……」
「こうして浣腸はやめてあげたんですから、当然オマンコさせてくれるんでしょ?」

瀬戸口は大笑いしている。
そうするようにし向けたのは彼だが、生徒たちもけっこう仮面も計画通りに動いてくれている。
笑いが止まらなかった。

彼の生徒たちは、ガラにもなく怯えているけっこう仮面に、下腹部を剥き出しにして悲鳴を
上げさせていた。
生徒という意味ではけっこう仮面−夏綿けい子−にとっても同じだった。
医学部の学生たちもしょせん高校生には違いないのだから、けい子の保健の授業を受けるのだ。
よく見れば、彼女も顔を覚えている生徒もいた。
そんな教え子たちに犯されるとなると、けい子も平静ではいられなかった。

「や……やめなさい、坂崎くんっ!」
「……? なんでけっこう仮面が俺の名前を知ってんだ?」
「!!」

けい子は「しまった」と思ったが、すぐに誤魔化した。

「は、白衣に……」
「ん? ああ、そうかプレートがあったけな」

坂崎はそう言うと、上っ張りの白衣とその下のワイシャツやTシャツも脱ぎ捨て、全裸となった。

「ああ……」

けい子は5人の生徒に囲まれ、絶望の呻きを上げた。
どの子の股間も、怒ったような男根がそそり立っていた。
すでに犯す順番は決まっているのか、坂崎がのしかかってきた。

「いやあっ!」

けっこう仮面は縛られた裸身をもがかせて逃げようとしたが、他の生徒たちががっちりと押さえ
込んでいた。
四つん這いにさせられ、股を開いた恥ずかしい格好にされた。
坂崎は硬く反り返った肉棒を、けっこう仮面のたっぷりとしたヒップになすりつけてその感触
を愉しみ、濡れた媚肉に押しつけるとそのまま一気に貫いてきた。
充分に女に慣れたやり方であった。

「んっ、あああっ……」

ずぶずぶっと膣道を一気に下り、底にまで届く。
けっこう仮面の裸身は、のしかかった坂崎の胸板を押し返すように仰け反った。
浣腸を繰り返され、淫らな生徒たちに散々悪戯された女肉は、押し入ってきた坂崎の男根に
たちまち絡みついていく。
意志ではどうにもならない女の身体に、けっこう仮面はうろたえる。

坂崎は背中から抱きかかえるように学園のヒロインを抱きしめ、肉の詰まった乳房をぎゅう
ぎゅうと揉み込んだ。
他の4人も我慢しきれずにけっこう仮面の肢体を揉みさすり、舐め回していく。

(こ、こんな……生徒に犯されるなんて……で、でも……あ、ああ……な、なんて硬さなの
……)

カチカチになったものを子宮のあたりまで深々と挿入されると、けい子は肉体がジーンと痺れ、
甘い感覚がわき起こるのに狼狽した。
その男根の大きさは瀬戸口の方が上かも知れないが、この硬さはそれ以上だった。
石のように硬いそれは若さの象徴なのかも知れない。
そんなもので坂崎はずんずんと思い切り突き上げてくる。

「くっ……んむっ……むっ……」

生徒の若く力強い攻撃に、けい子は唇を噛みしめるのに精一杯だ。
油断すると口から甘い吐息が洩れそうになる。
こんなことで感じるわけがないのに、昨夜からの異常な責めで、けい子の肉体も精神も麻痺して
いるのかも知れない。

長谷部は犬這いになっているけっこう仮面の下に潜り込み、坂崎に揉み込まれている乳房に下を
這わせた。
川村はけっこう仮面の肩口や鎖骨付近に熱く口づけを繰り返し、田島は太腿を舐め、窪田は二の
腕や腋の下に執着していた。

けっこう仮面は忘我になっている。
全身を犯されているのと同じだからだ。
無論、こうして輪姦されることも初めての経験だ。
恥辱、屈辱、羞恥といった負の感情が焼け付き、背徳的な暗い快感にすり替わりつつあった。

「いっ、いやあ……あ、ああっ……もう、ああっ、いやっ……」

口をつぐむことも忘れ、けい子は喘ぎだした。
激しく突かれ、それに反応するように身悶えている。
こんなことではいけないと思いつつ、全神経が坂崎に犯される膣に集中していた。
しかし、坂崎たちではまだけい子を満足させるまで我慢できなかった。
けっこう仮面が悶え抜く姿態に耐えきれず、坂崎は情けない呻き声を出して末期を口にした。

「くっ……だっ、だめだ、もう」
「おいおい、はええぞ坂崎」
「そんなこと言ったってな、こ、この女……さすがにけっこう仮面だぜ、くっ……し、締めつ
けが……」

腰の動きが一層早くなり、けっこう仮面の膣がきゅうっと締まるとたちまち放出してしまった。

「で、出る!」
「ああっ……」

粘っこい精液がすごい勢いで噴きつけられる感覚に、けっこう仮面はぶるるっと痙攣した。
坂崎が未練がましく腰を振っていると、田島が引き剥がそうとして言った。

「終わったんなら早く代われ!」
「わかったよ、焦んな」
「これが焦らずにいられるかよ」

まだ他の3人がけっこう仮面の裸身を舐め回している中、田島はその尻たぶを割って、坂崎と
同じく後ろから突き入れてやった。

「ああっ……ま、またあ……あっ……」

再び襲ってきた硬い肉棒の感覚にけい子は呻いた。
今度の田島のものは、坂崎ほどの太さではないものの、長さは彼以上で、いきなり子宮口まで
届かされた。
共通しているのは、異常なまでの硬さと熱さだ。

その凶器で子宮口を虐められ、けい子は思わず前のめりになって逃げようとする。
しかし、そこに待っていたのは終わったばかりの坂崎だった。
射精した残り滓やけい子自身の蜜で滴った肉棒が目の前にあった。
避けようとした顔を押さえ込まれ、有無を言わさず口にくわえさせられた。

「むっ、むぐっ……」

若い男特有の濃い性臭だった。ドロドロの精液と女の愛液がミックスした匂いも混じっている。
その臭気が口から鼻に抜け、けい子はくらくらしてきた。
坂崎は、いやがるけい子の顔を両手で固定し、自分から動いて喉を犯した。
こうしてまた勃起させ、何度でも犯す気なのだ。

「こ、こいつは……ホントにすげえぜ。たまんねえ感触だっ」

バックから犯していた田島も上擦った声を出し始めた。
けっこう仮面の尻をつぶさんばかりに激しくピストンしている。
まだ若いだけあってそんなには保たないのだろう。
しかし、彼女の口を犯している坂崎と同様、二度どころか三度でも四度でも数はこなせる。
それが5人もいるのだ。
自分はどうなってしまうのだろうかとけい子が思った時、田島が呻いて射精した。
これも痛いほどの激しい勢いで噴出し、けい子の胎内に撒き散らされた。
ぬぷりとねばっこい音を残して田島の逸物が抜かれると、今度は長谷部のものが膣襞を押し
のけて胎内に入ってきた。

* - * - * - * - * - * - * - * - *

あまりにも酸鼻な輪姦劇でけっこう仮面が失神したのは、生徒たちが三回りめに入った時
だった。
二周したあと、坂崎が三度目の挿入をした時、けっこう仮面は意識を失った。
頬や尻を叩いても反応がなく、さすがに瀬戸口もここまでだと思い、生徒たちを中止させた。
坂崎たちはまだやりたりないようで不満そうだったが、また明日もやらせると言われて了承
した。

「……」

汗や、生徒たちの唾液や精液にまみれているけっこう仮面の裸身を見て瀬戸口は考えた。
これでけっこう仮面のプライドもズタズタになったはずだ。
まだ崩壊まではいかないだろうが、明日以降はさらにステップアップできるだろう。
最後にはけっこう仮面の方から快楽を口にするところまで持っていきたい。
今日はちょっとやりすぎたかも知れないが、けっこう仮面の体力であればすぐに回復する
だろう。
教授は生徒たちに服を着けるように言い、指示を下した。

「クランケの身体をよく洗っておけ」
「はい」
「いいか、今日はもうおしまいだ。洗うだけだぞ、余計なことはするな」
「はいっ」

もう生徒たちの顔色に淫らな色はなかった。
顔つきは引き締まり、いかにもエリート然とした落ち着きを取り戻している。
リーダー格の坂崎が、けっこう仮面の顔を見やりながら言った。

「教授、だいぶ体力を消耗しているようです。ブドウ糖でも打っておきますか?」
「そうだな……、それなら栄養剤を点滴しておけ。アミノフリードだ、わかるな?」
「はい教授。糖・電解質・アミノ酸製剤ですね」
「その通りだ。500も入れておけ。それと明日まで眠らせるように麻酔も打っておく
ように」
「わかりました!」

瀬戸口の指示を受けると、生徒たちはさきほどとは打って変わったようなテキパキした動きで、
薬剤や機材を準備し始めた。


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