阿久沢はひとりでけっこう仮面を犯すことにしている。
こういうことは、人数を多くすればするほど秘密が守れなくなり、また相手に隙を見せること
になる。
もうじき学園長がやってくるだろうが、その時は素直に引き渡してやるつもりだ。
学園長と一緒に嬲る趣味はなかった。
複数の男でひとりの女を責め上げるというのも愉しいものだが、それは相手による。
今回は相手が悪い。
何しろけっこう仮面である。
阿久沢は、自分ひとりなら負けるとは思わないが、複数いれば何人かは倒されるだろう。
不利な状況下で敵を倒しているという高揚感で、相手に不必要な気力を与えてしまうことに
なりかねない。
けっこう仮面はそこらの破落戸ではなく、格闘技をマスターしたプロだ。
どれほど凌辱しようが、隙を見せれば必ずやられる。
自分だけなら守れるが、他の味方を守る余裕はないかも知れない。
足手まといになっても困る。
阿久沢は自分の能力に自信を持っていたが、自分以外は信用しないタイプだった。
阿久沢は自室のベッドから起き上がると、カーテンを開けた。
* - * - * - * - * - * - * - * - *
「な、なんじゃと!?」
学園長は、受話器に向かって怒鳴っていた。
電話の相手は阿久沢である。
「ヘリを出せないとはどういう意味じゃ!」
−どうもこうもあるまい。そこからでも外の様子は見えるだろう。
「……」
昨日、熱低から台風に発達した暴風雨は、予報では今朝未明には阿乃世島付近から抜けること
になっていた。
しかし思いのほかゆっくりと進んで、今では時速5キロと、ほとんど徒歩のようなスピードに
なっていた。
お陰で台風通過は大幅に遅れ、最新の予報では、台風が抜けるのは今夜となっていた。
−落ち着け、学園長。天候には勝てんさ。暴風域は今夜遅くには抜けるという予報だ。間違い
なく明日には来られるだろうよ。
「阿久沢、俺の言いつけは守っておるだろうな?」
−心配するな、マスクは取っていない。訊問はしているが、自分の正体も仲間の名前もまだ吐かん。
「……で、阿久沢、けっこうのやつを犯したか?」
−……。
「どうなんじゃ!」
−犯った。だが、それはかまわんと言っただろう。
学園長はギリギリと歯を噛んだ。
確かにマスクを剥がさなければ凌辱してもかまわないと言ったし、実際それでいいと思っていた。
だが、こうして「犯した」と聞くと、やはり悔しさがあった。
「……まあいいわい。犯すだけなら好きなだけ犯るがいい。だがマスクは取るな。それにあんまり
痛めつけるなよ。俺が行ったとき、もう壊れていた、ではつまらんからな」
−心得ている。今日も暇があれば責めてやるが、無茶はせんよ。ヘリが飛べるような天候になった
ら、こっちから連絡を入れるからそう焦るな。
学園長は受話器を置くと、のどの奥で唸った。
もう手を伸ばせば触れる場所にけっこう仮面がいるのだ。
恨み骨髄のけっこう仮面相手に、泣き叫ぶくらいの責めをしてやるのだ。
阿久沢が「犯した」というのを聞いただけで、もう学園長の股間は痛いくらいに勃起していた。
* - * - * - * - * - * - * - * - *
阿久沢は拷問室に来ていた。
学園長には「暇があったら責める」と言ったが、実際は無理に時間を作ってここに来ている。
自分でも思いも寄らなかったが、それだけ阿久沢もけっこう仮面の身体に執着していた。
昨夜はあれから三度も射精し、都合四度犯してやった。
アナルもいじりまわして散々屈辱と羞恥を煽り立て、その後に念入りに媚肉を犯す。
言葉でも責めた。
「けっこう仮面のくせに犯されて感じている」
「けっこう仮面ともあろう者がこんなに濡らしてよがっている」
「けっこう仮面が失神するほど気をやり、喘ぎまくっている」
等々、ことさら「けっこう仮面」を強調して、恥辱や被虐をほじくり出した。
案の定、そう言われるとけっこう仮面は羞恥にまみれ、それでいて感じずにはいられないよう
だった。
阿久沢の睨んだ通り、けっこう仮面にはマゾっ気があるようだ。
こういうスタイルで暴れ回り、敵を叩きのめすような男勝りな女には、得てしてそういう傾向の
ある者が多いのかも知れない。
阿久沢はそこを徹底的に突いて責め抜き、屈服させるつもりだった。
今日もいきなり浣腸し、アヌスをいじくり回した挙げ句、再度浣腸した。
そして必ず排泄を見るようにしている。
けっこう仮面が、それをいちばん嫌がったからである。
「あ……はあ……うっ……」
二度目の激しい排泄が終わり、それをつぶさに見られて、香織は悔し涙を流した。
昨夜いくども凌辱されたあと、眠る時だけは手錠がけながら仰向けに寝ることが出来たが、今日は
また雁字搦めに縛られた。
両腕は腋の下を晒す感じで万歳させられ、手首をベルトで縛られた。
胸には菱縄をかけられ、ふくらみが醜く歪んで肉をはみ出させている。
そして両脚は「V」字に吊られ、膝を縛られて天井からのチェーンに引っ掛けられて固定された。
そのままの姿勢で、薬液をたっぷりと腸内に注ぎ込まれたのだ。
浣腸され、阿久沢の指で虐められた肛門が早くも爛れてきていた。
それでいて、香織の媚肉からは牝を思わせる甘ったるい香りが漂っている。
それが香織自身にもわかり、いたたまれなくなるのだった。
(ど、どうしてこの男はお尻ばかり……)
そんな恥ずかしいところばかり責める阿久沢が信じられない。
無論、膣も犯されたが、それ以上にたまらなかったのがアヌス責めであった。
浣腸されるだけでも屈辱なのに、その後の排泄を見られ、さらに肛門を嬲られる。
羞恥と恥辱で死にそうになる。
もっとも、阿久沢の狙いはそれである。
けっこう仮面を徹底的に羞恥責めにし、肉体だけでなく精神的に奴隷化しようとしていた。
肉体だけ堕とすのであれば、阿久沢には難しいことではなかった。
事実、昨夜にしても、自ら求めたりよがったりはしなかったが、けっこう仮面は充分に快感を
得ていた。
肉体は性に溺れても心だけは反抗するというのも捨てがたいが、辱めて辱めて、心までも従属
させたいと思うのだった。
浣腸と排泄の連続で体力を搾り取られていたけっこう仮面が、息も絶え絶えといった風情で
阿久沢に言った。
「ど、どうして……」
「なんだ」
「どうしてこんないやらしいことばかり……。な、何か知りたいのなら、拷問でも何でも
すればいいでしょう」
あまりの尻責めに、香織は半ば自棄になっていた。
こんなことをされるくらいなら、肉体的苦痛の拷問の方がマシだと思った。
というのも、恥ずかしくて悔しくて死にそうになるのと同時に、こんな責めを続けられたら
自分がどうなるか自信がなかったのだ。
浣腸されている間、あるいは便意に苦しんでいる間、そして排泄している時でも、阿久沢は
香織の身体に触れ、媚肉や乳房などを愛撫し続けた。
そのせいかどうかわからないが、浣腸されたり肛門をいじられたりすると、肉体が条件反射の
ように応じてしまいつつあった。
責められているのはアヌスなのに、媚肉が濡れ、乳首が立ってきてしまうのだ。
阿久沢に作り替えられつつある自分の肉体に、香織は戦慄していた。
阿久沢は言った。
「拷問? されたいのかね? それともおまえ、そういう趣味か。マゾヒストなのか?」
「ふ、ふざけないで! もう、こんな淫らなことは厭なだけですっ」
香織は段々と怖くなってきていたのだ。
本当に情報を引き出そうとするのなら、香織が言うように拷問した方が手っ取り早いだろう。
でなくとも、例えば浣腸して排泄を許さなかったら、これは我慢のしようがないのだ。
なのに阿久沢は、我慢はさせるが香織の限界を正確に見抜いて、最終的には排泄させている。
ということは、香織に加えられている淫靡な責めは訊問のためでなく、単に香織を、けっこう
仮面を性的にいたぶることが目的でやっているのではないだろうか。
その考えに思い至った時、香織は愕然とした。
だとしたら、例え香織が真相を話そうとも、責めが終わる保証はないということなのだ。
冗談ではない。
阿久沢は香織の尻を撫でながら言った。
「どうしてもおまえが拷問されたいというならしてもいいが、俺の好みではない」
「……」
「拷問したところで、おまえが本当のことを言っているかどうかわからないだろう」
「ど、どういうこと……」
「だから、裏付けがとれてないんだよ」
拷問に耐えきれる人間はいない。
しかし、拷問に耐えかねて喋った内容が真実だということはわからないのである。
誰も相手の頭の中は透視できない。
つまり拷問とはその程度のもので、あくまでも裏がとれている内容についての確認、という
意味以上のものはないのだ。
相手が本当に真相を知っているかどうかもわからないのだ。
そこを拷問したところで無意味である。
ある程度の傍証や状況証拠を押さえた上で、確認として自供を取るというのなら効果はあるが、
それ以外では案外使えないのが拷問なのだ。
「拷問てのは、やる方も疲れるんだよ。無理に拷問したってくたびれるだけだし、無茶なこと
をしておまえの身体を壊しても意味がない。ムダになる可能性が多いわけだ。俺は、無理無駄
無茶はしない主義でな」
「……」
「だがまあ」
阿久沢は何を考えたのか、いったん脱いだシャツやスラックスを身につけ始めた。
「……?」
当然この後は犯されると思っていた香織は、阿久沢の行動が読めなかった。
男の動きを警戒して目で追っていると、その視線に気づいたのか、阿久沢が言った。
「おまえも期待している通り、このまま犯してやろうかと思ったが、気が変わった」
「き、期待なんかしてないですっ」
「拷問して欲しいというおまえのマゾな欲望に応えてやろう」
「だから、私はっ!」
「遠慮するな」
阿久沢はそう言って、けっこう仮面の脚を降ろすと、何を思ったのか女性用の下着を取り出し、
それを履かせ始めたのだ。
けっこう仮面が呆気にとられている間に右脚を通し、そのまま足首のベルトを寝台に縛り付けた。
次に左脚も天井チェーンから解放し、同じようにショーツに通した。
そして右脚と同じようにベルトで縛る。
胸にかけていたロープも解いてしまっていた。
あまりのことに、けっこう仮面はされるがままだった。
凌辱しようとしている女が全裸なのに、それに下着を着けさせようとする男は滅多にいないだろう。
ましてけっこう仮面である。
オールヌードがウリの彼女にショーツを履かせたのは、この阿久沢が恐らく初めてであろう。
「な、何をするんですか……」
胸を出したまま大の字で縛られているのだから、確かに恥ずかしい格好ではあるが、ショーツを
履かされて性器は隠している。
がっちりと手足が固定されているし、ベルトもチェーンも長さの余裕がないので、これでは凌辱
しづらいだろう。
だいいちショーツを履かされている。
訳が分からなかった。
もちろん香織にとってはその方が良いわけだが、何をするのかわからない不安はあった。
また何かいやらしいことをしてくるに違いないのだ。
案の定、阿久沢は見慣れないものを手にして香織に近づいた。
小さいもので、阿久沢の大きな手の中に、3つ4つ入っているようだ。
3〜4センチほどのピンク色のものだ。形状はカプセルのようで、艶々しているところを見ると
プラスティックか何かの樹脂だろう。
香織が「何だかわからない」という顔をしていると、阿久沢が説明した。
「おまえ、これは見たことないのか」
「?」
「なるほど、こういう方面には疎いようだな。こいつはローターといって、これがリモコンで
ぶるぶる振動したりするんだ」
そんなものをどうするのかと思っていると、阿久沢はそれをいきなりけっこう仮面の乳首に
押し当てた。
「きゃあ! 何を……」
「こうするんだよ」
男はけっこう仮面の右の乳首の下付近にピンクローターを押しつけ、それを粘着テープで貼り
付けた。
左の乳房の頂点にも同じように密着させる。
貼り付けたテープはSSSで使っている特殊なもので、汗や水分などに冒されても粘着力を失わ
ないタイプだ。
この行為が何を意味するのかわからないけっこう仮面だったが、それでも嫌がって身をよじった。
阿久沢は委細構わず、今度は履かせたばかりのショーツの中に手を入れてきた。
「いやあっ!! どこに手を、ああっ……」
阿久沢は太い指を下着の中に潜り込ませると、けっこう仮面の尻を割って、ローターをアヌスに
くっつけた。
つるつるしたものが肛門に当たる不快感で、けっこう仮面は悲鳴を上げる。
僅かに動く腰を揺すって抗ったが、今度はほとんど余裕なくかっちりと固定されており、ほとんど
動けなかった。
あまりのことに動揺しているけっこう仮面に、阿久沢は仕上げとしてもう一個のローターを
媚肉に押し込んだ。
割れ目の間にそれを入れ、先端がクリトリスにくっつくかくっつかないかの位置で固定させた。
その上でショーツを引き上げ、肛門と媚肉にセットされたローターが動かないように締め上げる。
念のため、履かせた下着のゴム部分をテープで腰に貼り付け、脱げたり緩んだりしないように
してしまった。
硬いもので乳首を潰される感覚と、膣口とアヌスの粘膜に異物を密着させられる違和感に、
香織は呻いた。
「こんな……何をしようというんですか……あ、あああっ!?」
全部言う前に甲高い悲鳴とも呻きともつかぬ声が出てしまった。
くっつけられたローターが突如振動し始めたのだ。
ビビビ……と微妙な振動が響いて、けっこう仮面の敏感な箇所を擽っていく。
我慢すれば出来ないものではなかったが、身動きひとつとれない状態ではそれも叶わない。
「ローターというのはこうして使うものだ。わかったかね、けっこう仮面」
「や、やめて、やめてください、こんな……あひっ!!」
急に振動と音が強くなった。
阿久沢が「強」にスイッチを切り替えたのだ。
コードレスタイプの性具は、激しい動きでけっこう仮面の揺さぶっていった。
強烈な痺れが局所や胸で爆発する。
これはとても耐え切れそうにない。
ぐぐっと膣や乳に熱さがこみ上げてくるのだ。
まだ性感を得るところまではいかないが、その動きと摩擦で熱を帯びてくるらしい。
けっこう仮面は激しく首を振り、腰を精一杯浮かせて身悶えた。
「だめ、だめぇっっ! ……あ、ああ、お願いですっ、こ、これはいやあっ!」
とても「感じる」どころの話ではない。
とにかくローターに刺激されるところがカッカと熱くなり、その熱で火傷しそうだった。
性的な快楽を得る前におかしくなりそうだ。
無理もなかった。
この手のグッズで弄ばされることは初めてだったのに加え、元より鋭敏な肉体の持ち主だ。
その性の神経が剥き出しになっているようなところに電動具で責められればおかしくもなろう。
阿久沢は、初めての責めにのたうち回るけっこう仮面の痴態をしばらく眺めていたが、彼女が
失神しそうなくらいに目を吊り上げてきたのを確認し、ようやくスイッチを切った。
気も狂うような悪魔の刺激が遠のき、香織はようやく息をついた。
「あ、ああ……はあ、はあ、はあ……」
早くも汗みどろになった香織は、振動の余韻でひくひくと痙攣していた。
その様子を見ながら阿久沢が言った。
「俺は少し外す。社の仕事もせにゃならんし、おまえばかりかまってるわけにもいかんのでな。
俺が戻ってくるまではひとりで愉しんでいてくれ」
SSSの社長はそう言うと、けっこう仮面の頭を少し持ち上げた。
そして、マスクから覗いている目にアイマスクをかけてしまった。
「な、なにを……外してください」
「そうもいかん。これはおまえが愉しむために必要なものだ」
「た、たのしむって……ああっ、また!?」
SSSの社長はニヤッと笑ってスイッチを操作した。
途端に微弱ながら、身体の芯に届きそうな震えが性感中枢を駆け抜けていく。
けっこう仮面は仰向けのまま、両手両脚を踏ん張るように、少し動く腰を持ち上げてうねらせた。
たまらないのだ。
阿久沢は、鳥肌を立てて耐えているけっこう仮面の腿を撫でながら言った。
「大げさだな、我慢できないほどの強さではあるまい」
「でっ、でも、こんなっ、あひっ……ひっ……あっ、うあっ……び、びりびりして、あくぅっ……」
「……」
香織は肉体の中心からこみ上げてくるような、弱いが肉を揉み抜くような振動に痺れていた。
口が閉じられない。
あうあうと、金魚の呼吸のように開閉していた。
それを見た阿久沢は、舌でも噛まれたら困るとばかりに、香織の口にギャグを咬ませた。
「ふうっ……ふっ、ふぐぐっ……あ、ふううっ……」
阿久沢は香織の乳を揉みながら言い捨てた。
「じゃあ俺は行く。二時間もしたら戻るから、ひとりで愉しんでいてくれ」
「ふああっ……」
ローターで悪戯され、身悶えている香織を横目に見ながら、阿久沢は扉を開けた。
* - * - * - * - * - * - * - * - *
その頃、本島・阿乃世島のスパルタ学園、女子生徒寮。自室で紅恵は、窓から外の暴風雨を
睨みつけていた。
折からの風雨は一向に収まる気配を見せず、寮庭の楡の木が根元から風に持って行かれそうな
くらいの強風が吹き荒れている。
風の音とともにガラガラと響いているのは、バケツや生徒の自転車が吹き飛ばされているのかも
知れない。
室内には、恵の他に、体育教師の夏綿けい子と結花が来ていた。
ふたり一役の千草の方は、舎監対策で部屋におり、男子生徒に扮装している面光一も男子禁制
の女子寮には来られない。
集まれるだけのけっこう仮面たちが恵の部屋に集結していた。
結花が心配そうに言った。
「先生、コールは……」
「さっきからずっと呼び出してるけど……」
「そうですか……」
校内で、けっこう仮面同士が連絡を取るために、彼女らは携帯のメールを利用している。
もちろん携帯での通話内容もメールもすべて学園側に盗聴されてはいるのだが、彼女らはその
裏をかいていた。
メールタイトルは「※未承諾広告」となっている。
スパムメールに偽装させていたのだ。
「※未承諾広告」の直後にダイヤのマークがあれば警戒信号であり、ハートなら警戒解除。
クラブは、発信者がけっこう仮面として出動したサインであり、スペードは全員集合となって
いる。
他にも、このトランプマークの組み合わせで、様々な意味があり、それで対応しきれない場合
は本文内にうまく通信内容を組み込んでいた。
けっこう仮面同士、そういつも顔を合わせるわけにはいかず、どう連絡を付け合うかが問題
だったが、このスパム偽装は妙案だった。
学園も、生徒や教師たちの携帯およびパソコンでのメールはチェックしているものの、この
ところの出会い系等のスパムの多さにはうんざりしていた。
従って、タイトルでそれとわかるものはチェック対象から外してしまっていたのである。
杜撰と言えば杜撰だが、教職員、生徒合わせて300名近い人間が毎日ようにように使い、
ひとりに10通も20通も届くようなスパムなど、いちいちチェックしていられない、という
のが実情だった。
その逆を突いたのが、このスパム偽装の通信方法だった。
発案者は恵で、彼女自身、毎日のように届くスパムにまいっていたので、それを逆手に取った
わけである。
無論、送信者アドレスも偽装しているので、パッと見は業者から送られたものだと思ってしまう
だろう。
但し、この携帯メールを使った連絡は、けっこう仮面が変身前に限られる。
何しろ素っ裸なわけだから、その状態で携帯電話などは持っていられない。
けい子もそう思ったのだが、念のためメールしてみたのだ。
案の定、何通送っても返事はなく、思い切って電話してみたのだが、やはり不在になっていた。
ということは、香織はまだけっこう仮面のままいるか、あるいは携帯電話を持たずにいるという
ことになる。
携帯をいつも手元に持っておくというのは、ある意味けっこう仮面たちのルールでもあったから、
後者は考えにくかった。
となると、やはり香織はけっこう仮面に変身したまま、何らかのトラブルに巻き込まれて連絡が
取れない状態だと思われた。
恵が少しイライラしたように言った。
「香織先生、捕まったんじゃないのか?」
「……」
「やっぱ無茶だったんだよ、初仕事でSSSの本拠地に乗り込むなんて」
「今さらそんなこと言ったって仕方ないわ」
恵の口調がけい子を責めているかのようだったので、結花が口を挟んだ。
「別に香織先生じゃなくたって、あそこなら誰でもこうなる心配はあったのよ。それに、実際に
あの島に行ったことがあるのは香織先生だけだったんだから、人選が間違ってたとは私は思わ
ないわよ」
実のところ、結花は恵とは少し合わない。
この娘は根っから真面目というか堅物で、いわゆる不良だのヤンキーだのには一種の偏見を持って
いるからだ。
けい子に、新たなけっこう仮面として恵を採用したと聞かされた時は、はっきりと懸念を示した
ほどだ。
その後の恵の実績で、少しは見直すことになったが、基本的には合わないらしい。
「あたしだって別にそんなことは言ってねえ!」
「だったら……」
「ふたりともやめて」
けい子が両者の間に入った。
「取り敢えず、この嵐が止むまでは向こうに行くことも出来ないわ」
「……」
「けどよ」
恵がそっぽを向きながら言った。
「天気が良くなったところで、向こうの島へ渡る術はないだろ? あそこへ行くにゃSSSの
世話にならなきゃならない。それどころか、この島から出るのだって難しいってのに……」
「……私に考えがあるわ」
「先生……」
* - * - * - * - * - * - * - * - *
「ん……んふ……あ、あが……んううっ……」
文字通り、ベッドにくくりつけられた香織の口から呻きとも喘ぎともつかぬ声が洩れる。
剥き出しにされた乳房が細かく振動している。
乳首付近に貼り付けられたローターのせいである。
しかし、ローターの震え以外にも、香織は我慢しきれないように胸を揺すりだしていた。
こそばゆいとも心地よいとも判別のつかない、甘く妖しげな刺激が乳首から侵入し、乳房の内側
を浸蝕していくと、胸全体に熱気を孕ませていた。
そのビリビリした痺れは、胸だけでなく股間にもあった。
ショーツの生地で覆われた腰には、媚肉と肛門にローターが押しつけられている。
その細かい、痙攣のような震えが、言いようもない甘美な感覚を呼び覚まし、異様なほどの熱を
そこにもたらすのだった。
「ふっ……ああっ……あ……ああ……」
けっこう仮面の乳首と乳房を悩ませる振動が、阿久沢の愛撫を思い起こさせた。
大きな手で揉み込まれる肉の塊。
長い指をいっぱいに使ってわしわしとこね回され、人差し指でコリコリになった乳首を探られ、
揉み潰される。
強めの愛撫が阿久沢の特徴だったが、ローターの優しい刺激が、なぜかその時のセックスを連想
させた。
たまらない愉悦だった。
けっこう仮面が身体を捻り、胸を揺すると、乳首にくっつかどうかの距離にあったローターが動き、
直接、敏感な乳豆を痺れさせた。
それがまた、阿久沢の爪でカリカリと柔らかく引っかかれるような愛撫を思い出してしまい、
思わず唇から喘ぎが出た。
「う……うああ……あ、あふっ……んんああ……」
ムリヤリ咬まされたギャグからは、よだれがどろどろと溢れていたが、もちろん飲み込むことも
出来ない。
マスクに染み込ませ、頬や喉まで濡らしていた。
もはや勃起しきった乳首が、貼られたテープから盛り上がるように見えていた。
硬くなったそれがテープで押さえ込まれ、ますますけっこう仮面を官能に追い込んでいく。
もう乳首が感じているのか、乳房全体が感じているのかわからない。
わかっているのは、もうこのままでは我慢できそうにないということだけだ。
「あ、あっ……あうう……う、が……は、はああっ……」
胸を揉み抜く快楽を逃がそうと、思わず揺らした腰から、新たな快感が押し寄せてきた。
けっこう仮面は、わずかに動かせる腰を浮かせて尻を揺すった。そうすることにより、ショーツに
押さえ込まれたローターが、より強く媚肉に押しつけられるようにしているのだ。
かと思うと、今度はぐぐっと尻をベッドに押しつけるようにして揺する。
尻の間に埋め込まれ、アヌスに接触しているローターが、もっと強く触れてくるように、だ。
あるいは、括約筋を思い切り締めて、尻たぶを締めつける。
ローターのぶるぶるした振動がけっこう仮面の臀部を震わせ、アヌスを痺れさせる。
膣だけでなく、アヌスでもはっきりとした快感を感じてしまっていたが、それを恥ずかしいと
思う余裕がなくなっていた。
媚肉の割れ目も尻たぶも、ともに肉の狭間が濡れきっている。
「はっ……あ……あっ……あ……うう……んっ……」
もう何時間こうしているのだろう。
香織には時間の感覚がなくなっていた。
あるのは、全身を揉み絞るような肉の快楽と、膣や肛門の奥からこみ上げてくる熱い疼きのみ
だった。
最初は耐え抜こうとした。
こんな弱い刺激なら我慢できると信じていた。
しかし、そんな希望が泡と消えてから、もうかなりの時間が経っている。
微弱な刺激だからこそ、最後までいけなかった。
淫らな機械で性神経を揉みほぐされ、肉をとろかされ、それでいて頂点まではいけない。
いつ終わるとも知れない、快楽の肉地獄だった。
このまま続けられたら本当に発狂すると思ったが、そんなことを思い煩うことすら、絶え間
なく続く柔らかい愛撫責めで忘れてしまうのだった。
痴呆のように悶え、喘ぐだけになっていた香織は、部屋の扉が開けられたことにも気づかな
かった。
「……」
阿久沢の期待以上に、女は追い詰められていた。
けっこう仮面は全身を痙攣させ、時折、思い出したようにぶるるっと大きく震えていた。
背や首をクンッと小さく仰け反らせたり、手を握りしめたり開いたりを繰り返している。
恐らく、いく寸前までいきながら、どうしてもいけないのだろう。
マスクの下の顔は、涙とよだれでびしょびしょに違いない。
阿久沢はちらりと壁時計を見ると、けっこう仮面をローター責めして早二時間ほど経過していた。
ここまでの時間、いかされもせず焦らされていたのだから、並みの女ならどうにかなってしまっ
ていただろう。
まだ部屋に入ってきた阿久沢に気づいてもいないようなけっこう仮面に、男は声を掛けた。
「だいぶまいったようだな、けっこう仮面」
「んん! ……あ、あぐ……はっ……」
「くく、何を言っているのかわからんぞ」
阿久沢がアイマスクを取ってやると、けっこう仮面は潤みきった瞳で見つめてきた。
懇願するような、切なそうな表情を浮かべ、不自由な口から必死に声を絞り出している。
恐らくは、何とかしてくれ、とか言っているのだろう。
阿久沢は、ロープで括り出され、ローターをテープで貼り付けられた汗まみれの乳房を軽く
叩いて言った。
「いきたくともいけなかったのだろう。心配するな、この後いやというほどいけるさ」
「ひぐっ!!」
ぺちっと叩いたその刺激だけで、けっこう仮面はぐぐっと絶頂の予感がこみ上げて、断末魔の
ような声が出た。
ローターの振動以外の新たな刺激が、ちょっとでも加わったらいってしまいそうだったのだ。
それでも阿久沢は意地悪く、けっこう仮面を寸前でいかせないように、乳房を軽く掴んで柔ら
かく揉んでいる。
ますます切なさと疼きで堪えきれなくなり、けっこう仮面は揉まれる胸を突き出すように背を
反らせた。
「んふふっ! ……んむ、んむむっ……」
香織は、今にもいけそうな感覚に心が震えた。
もうちょっと、もうちょっと強く揉んでくれたら、あるいは乳首を指で弾いてくれたら絶頂まで
到達できるに違いない。
それを期待し、無意識のうちに乳房がせり上がるのだ。
しかし男はそんな香織の欲望を見透かすかのように、乳房から手を離してしまう。
香織が失望の呻き声を上げると、今度は下半身に指を伸ばした。
ショーツから伸びる太股の付け根に指を這わせると、その柔らかい新たな快感で、呻きが喘ぎに
急変する。
くすぐるようにそこをなぞられると、気が狂いそうになるほどの焦れったさと快楽で香織は顔を
赤く染める。
はしたないと思いつつ、どうしても腰が膣への愛撫を求め、せり上がるのを止められない。
「んむっ!!」
けっこう仮面は喉の奥から一声喘いだ。
阿久沢が、ショーツの上から媚肉をぺたりと叩いたのだ。
振動を続けるローターの上から叩かれたので、それが膣に押し込まれるような刺激が走った。
ビクンと腰が跳ね、上半身もうねる。
その動きが面白いのか、阿久沢は何度も同じことをした。
「それにしてもすごいもんだな、え、けっこう仮面。下着がびしょびしょじゃないか」
それはそうだろう。
何しろローターを膣とアヌスにくっつけられたまま二時間も放っておかれたのである。
ローター責め初体験であることに加え、元々感じやすく濡れやすい香織が、まるでお漏らしでも
したかのように濡れてしまうのはやむを得ないだろう。
それでも阿久沢は、羞恥を煽るべくそのことをさらに罵ってやった。
「恥ずかしいやつだな、おねしょでもしたのか」
「んう、んううっっ!」
けっこう仮面は盛んに首を振った。
「違う、違う」と言っているのだろう。
阿久沢は、今、水から引き上げたばかりの布きれ状態になっているショーツを剥ぎ取ると、
それをけっこう仮面の顔近くに晒してやった。
「見ろ、これを。こんなに濡らす女は他にいないぞ。おまえのスケベな汁が垂れてるじゃないか」
「んああ〜〜っ」
決して大げさでなく、破かれたショーツからはぽたりぽたりと汁が滴っていた。
香織の愛液を吸い取った布は飽和状態となり、吸い取りきれなかったものが垂れていたのだ。
ショーツを剥ぎ取る時、膣の付近は糸を引くように粘り着いていた。
濃く白い蜜がべっとりと下着に残っていたのだ。
見ると、ローターも愛液にまみれており、まるで片栗粉のあんかけでもしたかのような状態に
なっている。
それでも健気に役目を果たし、ぶるぶると振動してけっこう仮面に快楽を送り続けていた。
もう充分と踏んだ阿久沢は、乳房につけたローターのテープを剥ぎ取った。
「あうっ」
剥ぎ取られた部分は薄く赤く染まっていたが、それ以上に硬く尖った乳首は濃い鳶色に変色して
いた。
普段の香織からするとウソのように大きくなっている。
あれほど香織を悩まし続けたローターだったが、いざ取られてみると今度はその刺激がない
切なさで乳房が疼いてきた。
自分の乳房の変化に戸惑っていると、今度は下のローターまで外された。
「あぐうっ」
ぽたりと音がして、ベッドにローターが落ちた。
しかし肛門のローターは、逆に中へと押し込まれてしまった。
「んふあああっ!!」
阿久沢は、もがくけっこう仮面を抑え、指でぐっとローターをアヌスの中へ埋め込んだ。
その刺激が耐えきれないのか、けっこう仮面が狂ったように腰をうねらせている。
しかし、そこでスイッチを切られた。
途端に、ウソのように肛門の激情が去った。同時に、膣の奥から来る疼きが、こんこんとこみ
上げてくるのがわかる。香織の瞳がとろんととろけたようになっていた。
「どうだ、いきたいか?」
「……」
「いきたければそう言え、たっぷりいかせてやろう。このまま放って置かれていいのか?」
「……」
阿久沢の問いかけに、香織は拒絶できなくなっていた。
「いきたいんだな?」
「ん……んう……」
香織は顔を背けて小さくうなずいた。
顔を逸らせて肯定したのは、せめてもの抵抗だった。
それでも、阿久沢が両手両脚の拘束を解いても、この場から脱出しようという気にはなれなかった。
再び両手を後ろ手で縛られても、黙ってされるがままだった。
「ほれ」
「……」
阿久沢がベッドに仰向けになり声を掛けると、香織は黙って動いた。
自由になっている両脚は阿久沢を蹴り飛ばすことも出来たが、どうしてもそうは動かなかった。
まるで脚が自由意志を持っているかのように、阿久沢の上を跨っていくのだ。
膝立ちのまま阿久沢の腰を跨ぐと、まだ羞恥があるのか、必死に顔を背けていた。
「どうした、今さら。欲しいのだろうが」
「……」
「見るがいい」
「……!!」
言われて視線を降ろすと、香織の股間の下にはたくましく屹立した阿久沢の男根がそそり
立っている。
亀頭が大きくせり出し、茎の部分には太い静脈が浮いていた。
びくびくと脈打ち、早く香織の中へ入りたくて仕方がないようだった。
そうしたいのは香織も一緒だった。
もう阿久沢のペニスから目が離せない。
ローターによる焦らし責めからは解放されたが、肉欲の疼きは一向に収まらない。
これを鎮めるには、どうしても香織の真下にある太いものが必要なのだ。
阿久沢は冷酷に言った。
「自分で入れてみろ」
「……」
逆らえなかった。
香織はおずおずと腰を下ろしていく。
蜜が滴る媚肉に熱い肉棒が当たると、思わず声が出るほどだった。
少しずつ腰を沈めていくのだが、まだ恥ずかしさも屈辱もあり、じれったいほどにゆっくり
した動きだった。
「!!」
そこをいきなり阿久沢が動いた。
両手を伸ばしてけっこう仮面の細腰をがっしりと掴むと、ぐいっと自分の腰に引き寄せた。
亀頭部を僅かに飲み込んでいた膣へ、一気に根元までぶちこんでやったのだ。
とんでもない刺激がけっこう仮面を襲った。
「かっ……はっっ……!!」
凄まじいばかりの絶頂だった。
香織は思い切り頭を仰け反らせ、背を湾曲させた。
背筋と言わず腿と言わず、全身を恐ろしいほどにぶるるるっと激しく震わせ、がっくりと阿久沢
の上にもたれてきた。
阿久沢も、その瞬間のけっこう仮面の締めつけにいきなり放出しそうになったが、何とか堪え
切れた。
「……ふう。すごかったな、けっこう仮面」
「……」
「あんなに激しく気をやる女も珍しいぞ」
それは香織も同じだった。
ここまでのものすごいオルガスムスは初体験である。
ただ挿入されただけでいかされてしまったのに、怖くなるほどの快感だった。
心の中で呻いていた。
(す、すごい……。こんなセックス、初めて……)
まだ痙攣が収まらない。なのに阿久沢は挿入したまま動き始めた。
「まさか、これで終わりだとは言うまいな」
「んひっ……ひっ、ひうっ……」
阿久沢は腰を掴むと激しく上下に動かし、律動を始めた。
入れられただけでいってしまったけっこう仮面の胎内はまだ醒めやらず、今度は襞を抉られ、
こそがれるような強いピストンでたちまち追い上げられていった。
騎乗位の姿勢で阿久沢に跨らされたけっこう仮面は、下から力強い突き込みを受け続けた。
音を立てて軋みそうな激しいピストンで身体が浮き上がるほどだ。
窮屈な膣内が、どろどろの蜜で滑り、太いペニスを難なく飲み込んでいる。
(ひぃっ……、そ、そんな、ああ、いったばかりなのにぃっ……だ、だめぇっ……)
きつい圧迫感を受け、いったばかりで敏感なままの香織は、ビクビクと全身を痙攣させ、顔が
仰け反っている。
後背位や正常位と異なり、思うように突けないのか、阿久沢の動きは浅いが、その分速かった。
それだけでも虚ろになるほどの肉悦なのに、突き込まれるごとにゆさゆさ揺れる乳房を掴まれ、
握りつぶすように揉まれると、香織は獣のような声で喘いだ。
「んおおっ……おっ……おあううっ……」
ギャグボールを咬まされ、思うように喘げないのが不服かのように、けっこう仮面は顔を振りた
くってよがった。
上半身と下半身の鋭敏な箇所を同時に責められ、けっこう仮面は喉が引きつるような声を上げ、
腰をうねらせる。
その腰を逃がさないように阿久沢ががっしりと支え、激しく上下運動させると、その刺激に耐え
きれず、またしてもけっこう仮面が絶頂を迎える。
「おおっ……んおおっ……おああっ!!」
(だめ、いく! ……つ、続けてだなんて……ああっ、い、いく!!)
けっこう仮面は身体中をぶるるっと震わせて激しく達した。
悶え狂うという表現が的確なほどに喘ぎ、阿久沢の責めに屈していた。
ヒクッ、ヒクッと間歇的に腰が震え、甘いというには激しすぎる快楽に酔っていた。
力が抜け、ガクリと阿久沢の上に倒れ込んできたが、男はそれを許さない。
まだ射精していないのだ。
ギャグのせいか、昨日よりけっこう仮面の呼吸が苦しそうなのに気づき、阿久沢はボールを口から
外してやった。
どろりと粘っこい唾液が零れたが、気にする余裕はないようだった。
けっこう仮面に活を入れるべく、阿久沢はそのアヌスに指を侵入させた。緩んでいたはずの肛門
だったが、よほど締まりがいいのか、また固く口を閉ざしていた。
そこを揉み込んで、指を突っ込んだのだ。
激痛とも痺れともつかぬ感覚に、香織はぴょんと阿久沢の上から離れた。
「ひいいっ……そ、そこ、いやですっ!」
「ほう、まだそんなに喋れるか。では本格的に責めるぞ」
「も、もう、たくさん……あ、あああっ……」
そう言いながらも香織の膣は愛液を迸らせ、阿久沢の挿入を助けている。
もう脚は自由なのだから、いつでも男の腰から逃げられるのに、それが出来なかった。
阿久沢は無尽蔵とも思えるほどの律動を繰り返し、乳房の形が変わるほどにぐにゃぐにゃと
揉みほぐした。
あくまでその弾力を楽しみながら、それでも乳首をこねて香織に悲鳴をあげさせることも
忘れない。
「ひぃあっ……ああっ……あ、あううっ……だ、だめっ……」
胸と媚肉から送り込まれる快楽に悶え、その愉悦を口にせずにはいられなかった。
それでもまだ恥じらいがあるのか、あるいはけっこう仮面のプライドが残っているのか、香織は
自分から腰を使うことはなかった。
阿久沢は、そうさせてこそ屈服させることが出来ると思い、さらなる責めを加えていく。
左手でけっこう仮面の腰を抑えて突き上げながら、右手でコントローラを探った。
スイッチが入れられると、けっこう仮面は汗を飛ばしながらギクンと身体をよじった。
「うっ、はああっ……!」
突然、アヌスに潜り込んだローターがバイブレーションし始めたのだ。
膣を貫かれながら肛門内にも振動が加わる。
初めての経験に、香織は膣もアヌスも火のように燃え盛るのを感じていた。
「うああっ、お願いぃっ……そ、それは、ああっ、や、やめ、あっ、やめてえっ……ひああっ……」
胎内に挿入したペニスにも、けっこう仮面のアヌスを悪戯しているローターの震えが伝わってきた。
もうアヌスからも快感を得ているのか、けっこう仮面の膣は以前にも増してどろどろと濃い愛液
を吐き出し続けていた。
カチ、カチとスイッチの音がし、それにつれて香織の直腸を責め続けるローターの振動が激しく
なっていく。
香織は羞恥と屈辱という汚辱にまみれながら泣き叫んだ。
しかしそれも、燃え上がっていく肢体とともに熱い喘ぎに取って代わられていく。
「こっ、こんな、恥ずかしいっ……いや、いやです、ああっ……お尻、壊れるぅっ」
「何が恥ずかしい、だ。尻も気持ちいいんだろうが」
「いや、違う、あああっ……」
香織が必死に否定すると、阿久沢はことさら強く下から肉棒を打ち込んでくる。
太くて硬い男根が、アヌスの中でぶるぶると振動しているローターにぶつかると、たまらない
感覚が襲ってきた。
何度も何度もそれを繰り返され、けっこう仮面は一声吠えてぶるっと震えた。
阿久沢は、またいったのかと思ったが、直後、けっこう仮面の動きが変わった。
「もっ、もう……ああっ……」
そう呻くと、自ら腰を動かし始めたのだ。
阿久沢が腰を上下させなくとも、自分から快楽を求めて男の腰にぶつかっていった。
「も、もう許して……ああ、おかしくなる……く、狂っちゃううぅ……」
許してと言いながらも、香織は腰を振るのをやめられない。
そのうち、阿久沢の腰の動きに合わせ、彼が突き上げると自分は腰を沈めてより深い挿入を求め、
男が腰を引くと自分も腰を上げて膣の擦れる快感を存分に味わっていた。
淫猥な肉体を持ちながら、心はまだ肉欲に逆らっているものの、身体はもう男のものだった。
「んんっ、だめっ……あ、ああ、そんなにされたらっ……」
けっこう仮面の声が高ぶった。
阿久沢は彼女の腰を掴み、8の字を描くように腰を回しだしたのだ。
膣を拡げられるような感覚に、またけっこう仮面が新たな艶めかしく呻く。
しかも、相変わらず直腸のローターは振動しっぱなしで、けっこう仮面の性神経を灼け焦がさん
ばかりに刺激していた。
揉み抜かれる乳房、淫具で刺激され続けるアヌス、そして野太いものを埋め込まれ、散々突き込ま
れている媚肉。
そのどれもが恐ろしいほどの快感を呼び、けっこう仮面は全身を震わせて快楽に喘いだ。
肉の快楽を堪能し、美女の裸身には玉のような汗が浮き、激しい動きで飛び散っている。
「ああっ……あああっ!? あ、もう、もうっ……」
明らかに絶頂をせがむ喘ぎに、阿久沢も我慢できなくなった。
両手の中指を同時に香織のアヌスに挿入し、思い切り奥まで突っ込んだ。
ローターが指先に触れ、さらに奥へと押し込まれていく。
同時に思い切り深い律動を媚肉でも行なった。
香織も、まるで協力するように腰を使っていく。
指でアヌスを抉り、香織の腰を自分の方に寄せ、ググッとより深く挿入すると、美女は最後を
迎えた。
「うはああっ、い、いくっ……だ、だめ、いく、いきますっっ!!」
途端に、食い締めてきた媚肉の圧力に抗えず、阿久沢も一気に射精した。
びゅるるっと激しく射精された白濁液が、けっこう仮面の子宮口にぶち当たり、さらに跳ね
返って胎内に飛び散るのがわかった。
「んんん〜〜〜っ……すごい、熱いのがいっぱい……ああ、まだ出てる……う、うむ、また、
いく!!」
まだ充分な硬度を保った阿久沢の逸物が、胎内の襞に粘る精液をすり込むように擦ってやると、
けっこう仮面はぶるるっと痙攣し、連続していかされた。
香織はもう口を利く気力もなかった。
肉体は阿久沢のものだと思った。
膣に隙間無く埋め込まれたおおきなペニスがそれを象徴していた。
それを実感したとき、すぅっと意識が暗くなった。
(も、もう……だめ……)
戻る 作品トップへ 第三話へ 第五話へ