「う……ううん…」

珊瑚はその寝心地の悪さで目を覚ました。
顔が痛い。
首を持ち上げると、右頬に小石がいくつかくっついている。

我に返り、ガバッとして身体を起こした。
辺りをきょろきょろと見回す。
どうやら細い道のようだ。

道の両脇には雑木が無造作に立っている。
何のことはない、三日前、奈落に襲われた小道だ。
珊瑚はまるで塵のように、路傍へ打ち捨てられていたのだ。

「……」

何が何やらわからず、珊瑚は立ち上がった。
両手の土を叩いて落とし、着物についていた砂汚れもはたき落とした。

「あ、あれ…?」

着物を着ている。
確か、自分は裸だったのではなかっただろうか。

思い起こすと、前の晩にかごめと飲み慣れぬ酒を浴びるほど飲んでしまい、あの日は二日酔いがひどかったはずだ。
それで、朝、目覚めた時に、酔い覚ましと気分転換のつもりで散歩に出たことまでは憶えている。
そして……。

「……」

そうだ。
ここで奈落に襲撃され、奈落の屋敷に連れ去られたのだった。
そして…。

「……」

珊瑚は固く目をつむった。

思い出すだにおぞましい記憶。
父の、里のみんなの仇である奈落に拐かされ、あろうことか凌辱され、処女を奪われた。
幾度も幾度も犯され、恥ずかしい肛門までもその男根に支配されてしまった。

悪い夢だと思いたかった。
しかし、今も股間に残る違和感がそれを否定する。

前も後ろも、まだ何かが押し入っているかのような感覚が残っている。
夢ではないのだ。

「…はぁ……」

珊瑚は哀しげに小さくため息をつき、とぼとぼと歩き出した。
みんなの元へ早く帰りたいような、帰りたくないような複雑な気持ちだった。

*
**
*

「あ! 珊瑚ちゃん!」

いくらも歩かぬうちに、捜しに来たかごめたちが珊瑚を見つけた。

たたっと走り寄ってきたのはかごめと弥勒だ。
犬夜叉は七宝と組み、他の場所を捜索しているらしい。

珊瑚が行方不明になって今日で三日目、唯一の手がかりは目撃証言があったこの場所だったのだ。
村人で、当日の早朝、珊瑚がここを歩いているのを見た者がいたのである。
だから、すでにここも一度捜しに来たのだが、空振りに終わっていた。
が、一通り捜して見つからなかったため、またここを訪れてみたのである。

「珊瑚ちゃん! 大丈夫!?」
「珊瑚、無事ですか!」
「あ……うん……平気…」

かごめは珊瑚の身体のあちこちをまさぐって聞いた。

「ね、ケガないの? ホントに大丈夫?」
「だ、大丈夫だってば……ケガなんかしてないって」

心底心配してくれていたらしいかごめの気持ちを嬉しく思いながらも、珊瑚は苦笑する。

そして弥勒の方を見た。
法師の方も、かなり心配したらしく、珊瑚の無事を確認しホッとしているようだ。

「どうあれ無事でよかった。心配しましたよ、珊瑚」

と言って、珊瑚の腰に手を回した。

すかさず珊瑚が、腰に触っている弥勒に手を、ぎゅっと抓り上げた。
弥勒は声こそ出さないが、つねられた手を振って痛みに紛らわせている。
かごめは、その様を見て呆れたような、軽蔑したような視線を無遠慮に弥勒へ向けた。

そして、ちらと珊瑚に視線を走らせる。
珊瑚は弥勒の手を払ったものの、それっきりだった。
いつもの珊瑚なら、ここで小言か皮肉のひとつでもぶつところだが、抓ったあとは力なく弥勒を見ると、すぐに視線を外してしまった。

「……」

何だかおかしい。
元気がない。

「…なに? どうかした?」

かごめの心配そうな目に気づいた珊瑚が、ことさら平穏を装った。

「まあいいじゃないですか。珊瑚も疲れているだろうし、つもる話は帰ってからということで」
「あ、うん……そうだね」

なおも珊瑚に訊きたそうなかごめを手で制すると、弥勒はあまり問い詰めないように目で言った。
かごめはそれを察すると、素直に従う。

珊瑚は顔を伏せ、先に立って歩き始めていた。

「……」
「どうかしましたか?」

先を歩く珊瑚を見て、かごめが何かに気づいたような顔になった。
すかさず弥勒が、かごめにささやくように訊いた。
弥勒にはわからないかも知れないが、かごめはすぐにわかった。

珊瑚の歩き方が少しおかしいのだ。
ひょこひょこというか、ぎくしゃくというか、ぎこちないのである。
珊瑚自身もそれを意識しているようだった。

なるべく目立たぬよう、つまりかごめたちにばれないよう気を付けているように見えた。

「ううん……なんでもない」

珊瑚に何があったのか、そして今何を考えているのか知らない。
彼女の方から言い出してくれるまで、こちらから訊くのはよそうとかごめは思った。

*
**
*

珊瑚が帰ってきて五日になる。
その間、奈落たちの攻撃や嫌がらせはなかった。
また、楓の村やその周辺地域にも特に騒動はなく、言ってみれば平穏無事な日々であった。
帰還した当初、うち沈みがちだった珊瑚も徐々に元気を取り戻し、今まで通りの生活に戻りつつあった。

かごめは、あの三日間に何があったのか、どこにいたのか訊きたかったが、珊瑚の口からその話題が出ることはなかった。
それはかごめだけでなく、弥勒も犬夜叉も、そして七宝も同じ気持ちだったが、やはり珊瑚を気づかって、そのことに触れようとはしなかった。

この日の朝も、かごめとふたり、仲良く朝食の準備を整え、席についていた。
だが、珊瑚は自身の身体の変調に気づいている。
昨日あたりから、胃がむかついていて落ち着かない。
少し気も立っているようだ。
それでも何とか平常を装ってきたが、今朝は特につらい。

「う……」

みそ汁の椀を口に持ってきた珊瑚が、少し顔をしかめ呻いた。

「どうかした? あ、しょっぱいかな、やっぱ」
「……」

味付けをしたかごめがそう訊いたが、珊瑚はそれに答えず椀を戻した。

がちゃん!

そして、おもむろに右手で口を押さえると立ち上がり、脱兎の如く外に走り出た。
立ち上がった際、膝が膳に当たり、椀から汁が零れ出たが、気にする余裕もなかった。

走る音を板間に残して駆け去った珊瑚を、皆は唖然として見送った。

「どうしたのじゃ、珊瑚は?」

きょとんとして七宝は犬夜叉に訊いたが、わかるはずがない。

「俺が知るか。けどな…」
「けど、何じゃ」
「ここんとこ、少しおかしかったよな」

鈍い犬夜叉にも気づかれるほど、珊瑚の様子は普通ではなかったのだろう。

「かごめ」
「あ、うん」

楓に促され、かごめが珊瑚の後を追った。

*
**
*

 楓とかごめが囲炉裏を挟んで対峙している。
犬夜叉と弥勒、七宝は、あれこれ理由をつけて追い出した。

珊瑚は隣室で伏せっていた。
今朝からの体調不良が長引いている。
悪心がひどく、胃が絶えずえづき上げていた。
戻そうにも、胃には何も入っていなかった。
かごめが楓を見ず、囲炉裏の熾き火に目をやって言った。

「やっぱり珊瑚ちゃん……」
「おまえも気づいておったか」

楓の方は、かごめから視線を外さずに言う。

楓は珊瑚が戻ってきたその日に、すでに疑いを持っていたらしい。
かごめも、珊瑚を見つけた時に「おかしい」とは思ったが、確証が持てないでいただけである。

どうもそれが間違いないらしい。
予感というものは、悪いものだけは当たるようだ。

「珊瑚ちゃんは……気がついてるのかな」

かごめはそこで初めて楓を見た。
今度は楓が目を伏せる。

「…恐らくな。かごめも気づいたろうが。珊瑚だって同じだ。そしてわしもな」
「女……だから…」

楓は無言でうなずいた。

「あたし、珊瑚ちゃんに訊いてみる」
「待て」

珊瑚の寝ている部屋に向かおうとしたかごめを楓が止めた。

「こういう時は年の功じゃ。わしが訊こう」
「…お願い、おばあちゃん…」

楓が部屋を出ると、かごめは軽くため息をつく。
あたしに何が出来るだろう。
どうすれば珊瑚の力になれるだろう。

「それより……」

かごめは思わず口に出した。

「…相手は……誰なんだろ…」

今日までの様子を見ても、弥勒でないことは確かだ。
珊瑚も弥勒もまるでその気配はなかった。
おまけに、ふたりとも腹芸の出来るタイプではない。

かごめが考え込んでいると、何かがぴょーんと飛んできた。
頬に止まったそれが血を吸い始める。
かごめは少し不機嫌な顔になって、「それ」をパンと叩きつぶした。
ひらひらとかごめの膝元に落ちてきたそれは。

「…ひさしぶりね、冥加じいちゃん」
「懐かしい味じゃった」
「ひさしぶりの挨拶がそれ?」
「……なんじゃ、ご機嫌ななめじゃな」
「女の子にはそういうときもあんのよ」

かごめたちがそんなやりとりをしていると、障子戸が開き楓が戻ってきた。

「なんじゃ、冥加ではないか」
「おお、ひさしぶりじゃな、息災か?」
「そう見えるか?」

何やら楓もうち沈んだ表情を浮かべていた。
さすがに冥加も場の雰囲気を察し、かごめと楓を交互に見て訊いた。

「なんじゃ、何があった?」
「どうだった、おばあちゃん」
「……」

すぐには答えず、楓は囲炉裏の前に腰を下ろした。
自在鉤にかかった鉄瓶から湯を取って茶を煎れる。
そして湯飲みに口を付けると、ようやく口を開いた。

「……冥加もおるし、ちょうどいいか」
「……」

息を飲むかごめの目を見て、老婆はゆっくりと話し出した。

「結論から言うと、わしらの想像通りじゃ」
「そんな……」

覚悟はしていたが、改めて訊くとその衝撃は大きかった。
意味がわからず、きょろきょろとふたりを見ていた冥加が、たまりかねたように言った。

「なんじゃ、どういうことじゃ」
「珊瑚がな……」
「珊瑚がどうした」
「……妊娠したらしい」
「なんと……」

小さな顔いっぱいに目を拡げて、冥加は驚いてみせた。
信じられぬという風に顔を振る。

「しかしまだ夫婦になっておらんのじゃろう、あのふたりは。まあ、一緒にならずば子を為してはならんという法はないがの」
「違うのよ、冥加じいちゃん……」

かごめが顔を伏せて言う。
そして顔を上げ、楓に訊いた。

「で……相手は誰…?」

楓は目を閉じ、重い口を開く。

「……言いにくいが…。どうも奈落らしい」
「な……」

かごめが、それこそ眼球がこぼれ落ちそうなくらいに目を開いた。

楓が言葉を続ける。

「珊瑚がいなくなった朝、ほれ八日ほど前のことじゃ。あの時、前の晩、おまえと夜通し酒を飲んで、目覚めたときはすっかり
二日酔いだったのだそうだ」
「……」

それはかごめも同じだった。

「起き抜けに顔を洗って、そのまま酔い覚ましにあの道を散歩しとったんだそうじゃ。そこで…」
「奈落に襲われたんだよ」

いつの間にか珊瑚が来ていた。
立ったまま、楓の言葉を受けて語り出した。

「珊瑚ちゃん……もう…その、大丈夫…なの?」
「うん、何とか……ごめんね、心配かけて」

珊瑚はかごめの隣に腰を下ろした。楓に勧められると、素直に礼を言って茶を啜る。
口を湿すと、また話し出した。

「あの日……二日酔いで頭痛くて、気晴らしに散歩してたんだ。そしたら、あそこにいきなり奈落のやつが…」
「……」
「もちろん抵抗したんだけどね。調子悪くてふらふらしてたから……」
「で、やつの屋敷に連れ込まれたか」

楓が囲炉裏に薪をくべながら訊いた。

「うん……」

珊瑚はその火を見つめながら話した。

「神無は見なかったけど、神楽のやつもいたよ。そこでさ、縄で縛られてちゃって」
「……」
「…奈落に辱められたんだ」
「……」

珊瑚が淡々と語る事実を、かごめは衝撃を持って受け止めた。
予想はしたし、覚悟もしていたことだが、こうして本人の口から言われると、どうしていいかわからなくなる。

かごめは遠慮がちに珊瑚の顔を覗き見たが、その漆黒で美しい瞳は、囲炉裏の炎を映しているだけで表情がなかった。

「何度も……何度もね…」
「……」
「厭だったけど……厭でたまらなかったけど……。縛られて動けないあたしを、あいつは……」
「もういい。言わないでいいから……」

かごめは聞くに堪えなかったし、これ以上珊瑚の口から言わせることは拷問に近いと思った。

珊瑚は、目を炎にやったまま、右手で湯飲みをもてあそんでいる。

「ねぇ……。訊きたいんだけど、あたしのこれって……やっぱ妊娠だよね…」
「……」
「…多分な」

答えられないかごめに代わって楓が言った。

「そう…だよね。当たり前だよね。それしか心当たりないんだもの。…はは。あはは…」
「珊瑚ちゃん……」

珊瑚は、虚ろな乾いた声で笑った。

かごめは、じっと珊瑚を見つめたまま視線を外さない。
珊瑚の身体がぷるぷると細かく痙攣している。
そして、その震えがだんだんと大きくなり、肩の辺りが瘧に罹ったようにがたがたと震えだした。
いつのまにかうつぶせた顔に涙が伝っている。

ぱりん。

硬いものが砕ける高い音が響いた。
珊瑚が、手にした湯飲みを握りつぶしたのだ。

「あ……」

かごめが慌てて珊瑚の右手をとり、ハンカチで押さえた。
淡いレモンイエローの布地が、見る見るうちに血の色で染まる。

「いやっ!! こんなのいやあ!」
「珊瑚ちゃん……」
「かごめちゃん、あたしイヤ! こんなの……な、奈落の子を産むなんて絶対いやっっ!」

珊瑚の繊細な神経は焼き切れ、堪えに堪えていた恐れと怒りと絶望が絶叫となって噴出した。
両手で頭をつかみ、首がもげるほどに振りたくる。

「お、落ち着け、珊瑚!」

楓が腰を浮かせる。
冥加は状況に圧倒されて動けなかった。

「珊瑚ちゃん!」

かごめが、興奮して暴れる珊瑚をようやく押さえている。
それでも珊瑚は泣き喚き、手足を振り回して抗った。

「わ、わしは犬夜叉さまと法師どのを呼んでくる!」
「外にいるはずじゃ、急げ!」

冥加が慌てて、逃げるようにぴょんぴょんと外へ出ていくと、楓がようやく珊瑚の肩を上から押さえ込んだ。
かごめは中腰で、珊瑚の頭を抱え込むようにしている。

じたばたしていた珊瑚の動きがようやく止まり、かごめはホッとしたようにしゃがみ込む。
珊瑚は、かごめと目が合うと大きな瞳から新たにぼろぼろと涙を溢れさせた。

「わあああああ……」

珊瑚はかごめの胸に顔を埋め、子どものように泣き出した。

犬夜叉たちは冥加に急を知らされ、家に転がり込むように戻ってきてみると珊瑚はもう落ち着きを取り戻していた。

男どもにこういう話をするのは本意ではなかった。
特に弥勒に話すのはやめた方がいいのではないかと、かごめなどは思ったが、楓は知らせるべきだと言った。
せめて七宝は、刺激が強すぎることもあるから伏せておこうかとしたのだが、行為はともかく奈落の子を身籠もったということ
は伝えるべきだと、楓は重い口調で告げた。

そして珊瑚自身もそのことに同意した。
というより、こういう秘密を持ったまま一緒には行けないと言い出したのである。

「…話はわかったな……?」
「……」

囲炉裏の薪を追加することもない短い時間で説明を終えた。
かごめは注意深く三人の様子をうかがった。

「…奈落の野郎……。タダじゃおかねぇ…」

犬夜叉はあからさまに怒りを露わにしている。
その手は鉄砕牙の柄にかかり、今にも抜き放ちそうな殺気を湛えていた。

「……」

弥勒は、表向きは冷静に見えた。
何があったのかを初めて聞いた時こそいきり立ったが、それも無理矢理押し殺しているようだった。
楓が詳細を説明している間も、静かに瞑目して聞き入っていた。

「…珊瑚……」

七宝は表情の選択に困ったという顔をしている。
こういう状況にあたったことがないのだろう。
それはそうで、かごめだって初めてである。
だが、珊瑚が奈落にひどいことをされたということ、その結果、珊瑚が身籠もったらしいということはわかったようだ。

一通り話を聞き終えると、弥勒が目を開けて言った。

「身籠もったというのは間違いないのですか」
「恐らくな。珊瑚の体調を見ていると、ほぼ……」
「しかし……しかし、おかしいではありませんか。仮に……仮に珊瑚が奈落に、その、襲われたとしても、その結果として妊娠の
兆候が出てくるのはもっとずっと先なのではありませんか? どうです、かごめさま」
「あ……」

そう言われてかごめもハッとした。
その通りではないか。

もちろん個人差はあるが、受胎して悪阻が出てくるのは二、三ヶ月先になるはずだ。
だが、弥勒の疑問を聞いても、珊瑚は表情を変えなかった。

かごめはすがるような気持ちで楓を見る。
しかし楓は暗い顔のまま首を横に振った。

「それが人であれば確かにそうなるじゃろう。しかし相手は奈落だからな、わからん」
「冥加、そうなのか?」

犬夜叉が問うと、冥加が腕を組んで答えた。

「楓の言う通りでございますな。妖怪によっては、孕ませた三日後には産ませるというのもおる。奈落がどうなのかはわかり
ませぬが、楽観は出来ませんでしょうな」

冥加は、ぴょーんと跳ねて珊瑚の側に寄った。
さすがに肩や膝に乗れるような雰囲気ではなかった。

「その辺はどうなのだ珊瑚? 何というか……腹の様子は」

珊瑚はちらと冥加を見た。
その黒い瞳は虚ろだった。

「そうだね……。なんか、お腹になんかいるって感じ…っていうのはあるよ。時々、少しだけど動いてるって感じることもあるし」
「では……間違いないじゃろう」

冥加と楓が小さくため息をついた。

珊瑚は黙って、右手で軽くお腹をさすっていた。
何気なくその姿を眺めていたかごめは「あっ」と声を上げた。
犬夜叉がきょとんとしてかごめを見る。

「なんだ、どうかしたのか、かごめ」
「珊瑚ちゃん!」

かごめは、犬夜叉には見向きもせず珊瑚に向き直った。
噛みつかんばかりの勢いに圧倒され、珊瑚はやや後じさり、ほんの少し正気を取り戻した。

「な、なに?」
「生理よ、生理!」
「え……?」
「だから、せい……」

言いかけて、かごめは我に返った。
そして顔を真っ赤にしてしまう。

楓が訊いた。

「なんじゃ、かごめ。せいり…?」
「あ……だから、その……ほら、女の……」

かごめは顔を染めたまま、犬夜叉や弥勒を気にして言った。
珊瑚はようやく理解した。

「あ、そうか! あたしまだ……」
「そうよ!」
「なんだよ、なんなんだよ! はっきり言いやがれ」
「だから、はっきり言いにくいことなんだってば」

かごめが言いにくそうに説明する。

言うまでもなく、妊娠とは女性の卵子が男性の精子を受胎することによって始まる。
とはいえ、膣内に射精すればいいのかというとそんなことはない。
卵巣から排卵された卵子は、徐々に子宮内へ移動する。
その時、男性が膣内に射精し、その中の精子が卵子に受け入れられる必要がある。

しかも排卵には時期がある。
平均すれば概ね28日前後といったところだ。
いわゆる生理の周期である。

つまり排卵期に性交しなければ妊娠というのはあり得ないということである。
タイミングが肝要というわけだ。

楓も合点がいった。

「そうか…。で、どうなのじゃ珊瑚」
「え……えと…。始まったのは……」

珊瑚は指折り数えて遡っている。

「九日前……かな」
「それって、カクテル飲んだ前の日だよね!?」
「そう……かな…」
「だったらさ!」

妊娠するわけがないのだ。

排卵するのは生理が始まって概ね二週間ほどだ。
その前の一週間ほど、つまり生理から一週間くらいは、もっとも受胎する可能性の低い時期なのである。

それはそうで、いくら膣内射精しようが、子宮内に卵子がなければ受精のしようがない。
無論、確実とは言えないが、可能性は著しく低いのだ。

生理から一週間くらいが境界線で、そのあたりが受胎、妊娠するかどうかのグレー・ゾーンである。
しかし今回の珊瑚の場合、生理が始まった翌日だ。
まずあり得ないと踏むべきだろう。

「あ……」

珊瑚は喜色を浮かべた。

拐かされたのは生理の二日めだ。
そして奈落に凌辱されたのは、その当日と翌日である。

考えようによっては、もっとも受胎しにくい時に犯されたと言えるだろう。

「でも……」

日が差すように広がった笑みが急速に消え失せた。
かごめの言う通りなら、この胃のむかつきと子宮の疼き、中に何かがいるような感覚は何だろうか。

珊瑚がそう言うと、かごめは反論した。

「だって……だって、生き物なら受精しなくちゃ妊娠しっこないよ! 奈落は知らないけど、珊瑚ちゃんは普通の人間だもの……。
あり得ないよ」
「だが……」

腕組みをしてかごめの意見を聞いていた楓が言った。

「珊瑚の身体に出ている兆候は妊娠のそれだ。かごめの言う通り、卵が胎になければ子が出来るはずもない。しかし、ならば
珊瑚の体調をどう説明するというのだ」
「そうだけど……」

願望による想像妊娠だとか、妊娠妄想というのもあるが、かごめにはそんな知識はない。
だいいち珊瑚は子を産むことを望んでいたわけではないのだから、その可能性もないだろう。

「もし本当に孕んでいたとしたら…」

楓が暗い顔で問うた。
珊瑚が膝の上で結んだ拳をきゅっと固く握りしめる。

「珊瑚、おぬしはどうする?」
「……」

残酷な質問だった。
いかに奈落の子種とはいえ、身籠もったのは珊瑚である。
その子をどうするのかと楓は聞き質しているのだ。
珊瑚の答えを聞く前に楓が言った。

「……堕ろすしかあるまい」
「!」

奈落の子など産むわけにはいかぬ。
しかも無理矢理凌辱されての子である。

そんな理屈は百も承知だが、当事者は珊瑚なのだ。
決定権は珊瑚にあるはずで、他の誰が決めるものではないはずだった。

「堕ろすとなれば……」

重い声で弥勒も言った。
珊瑚は弥勒をまともに見ることが出来ず、正座のままうつむいている。
かごめが悲しげな顔で若い法師を見つめていた。

「即効なら伊勢白粉か」
「それはまずい」

楓の言葉を弥勒は言下に否定した。

「伊勢白粉」とは文字どおり化粧品の白粉のことだ。
伊勢の国にある丹生という土地が名産となっている。
原料はなんと水銀なのである。
その水銀を赤土や塩などを水でこねたものを高温で四時間ほど熱し、「ほっつき」という蓋についた白い粉を払い落として
集めたものを化粧品として使ったのだ。

水銀という重金属を顔や首筋に塗りたくるのだから、健康に良いわけがない。
この時代の、公家などの上流階級の女性が早死にだったのはこのせいではないかという説もあるくらいだ。

そうやって白粉に使ってはいたが、一方で毒性があったことも知られていたようで、これを服用することで望まぬ子の
堕胎に用いていたらしいのだ。

強力な効果を持つが、その分副作用も強い。
いや、副作用も何も水銀を飲むというのだから自殺行為に等しい。

「……そうじゃな。子はともかく、珊瑚の母胎もタダでは済むまいて」

冥加も弥勒に賛成した。
楓は目を細めて冥加を睨むようにして言った。

「ではどうする? このまま手をこまねいておれというのか」
「確かめるしかあるまい」
「え?」
「冥加じいちゃん……」
「でも、確かめるってどうやって……」
「ここでは言えん。かごめと楓には手伝ってもらうが」

犬夜叉が不満げに口を挟んだ。

「おいおい、俺たちゃどうすんだよ」
「申し訳ありませぬが、犬夜叉さまと言えどお聞きいただきます」
「どういうことです、冥加さま」
「法師どのも同じです。珊瑚のためですぞ」
「……」

何かあると思ったかごめは、犬夜叉と弥勒を説得した。

「お願い、犬夜叉。弥勒さまも。ここは冥加じいちゃんの言う通りにしてみようよ」
「かごめ……」
「それしか確認のしようがないなら仕方ないよ。結果は知らせるから。すぐに」
「……。わかりました。行きますよ、犬夜叉。それ、七宝も」
「おらもか?」
「来なさい」

弥勒は犬夜叉と七宝を追いやるように外へ出すと、かごめたちを見てうなずき、自らも戸外へと出た。
三人が家を出たのを確かめると、かごめは冥加を手に乗せた。

「で、どうするの?」
「うむ」
「もったいぶってないで」
「まずは珊瑚に眠ってもらう」
「は?」

珊瑚とかごめが一瞬きょとんとする。

「なにそれ?」
「もしかして痛いとか…」
「いや、痛くはないはずじゃが」
「じゃあ」
「いいから言う通りにせい」

楓は諦めたように言い聞かせた。
手には睡眠作用を促す薬草を煎じた粉薬を持っている。

「……」

珊瑚は若干不安だったが、この際しかたがなかった。
実際のところどうなのか、早く知りたいのは珊瑚も同じなのだ。

珊瑚は、その薬を飲み下すと、あっと言う間に睡魔に襲われ、そのまま眠った。
楓は、冥加に指示されて、やや強めに煎じたから、珊瑚はほとんど昏睡状態になっている。
とはいえ、副作用などはなく半刻もすれば目覚めるということだった。

座布団を枕に眠りこけている珊瑚を見ると、冥加は重々しく言った。

「さて……。では手伝ってもらうか」
「なにすればいいの?」
「珊瑚の着物をまくれ」
「……は?」

かごめは呆気にとられ、冥加を見た。
この期に及んで何を言い出すのだ、この蚤は。

「聞こえぬのか、かごめ。珊瑚の着物の裾をまくれと言っておるのだ」
「待て。おぬし、何をやるつもりじゃ」

たまらず楓も止める。
冥加は、いかにも心外だという風に言った。

「何もクソも、珊瑚の胎内を調べるのであろうが」
「そりゃそうだけど……」
「だから、どうやってだと聞いておる」

かごめと楓が同時に言ってのけると、冥加はぐいと胸を張って答えた。

「珊瑚の胎に入るのじゃ」
「え?」
「だから、わしが珊瑚の胎に入って確かめると言うておる」
「……」

つまり冥加は、己の小さな身体を利用して珊瑚の身体に侵入し、直接、中を確認してやると言うことらしい。
ようやく理解したかごめが慌てる。

「だって、そんな……」
「他に方法があるまい。なに、さほど手間はかからぬだろうて」

かごめは唖然としたが、冥加の言う通り他に手段がないのも事実だ。
そう割り切ると、楓は珊瑚にすり寄って言った。

「仕方ない。どれ」
「あ、待って。あたしがやるから」

かごめが楓を押しのけて珊瑚の脇に膝でずって言った。

「ごめんね、珊瑚ちゃん」

謝りながらかごめは珊瑚の着物の裾をはだけた。
幸い、戦闘服の下服は着ていないようだ。

裾をまくると、目にも鮮やかな白さを持ったすらりとした脚が現れた。
少女の瑞々しさと大人の女の艶めかしさを同居させている、この世代の少女特有の持ち物だ。

かごめは、ぴったりと閉じた珊瑚の脚を少し割り、膝を開かせる。
その上の股間には、かごめがあげたショーツを履いている。

「……」

そして、意を決したようにかごめはショーツに指をかけ、一息に下ろした。
腿の付け根には、白い肌を守るように、淡い陰毛がけぶっている。
かごめは目を逸らした。

「ね、ねぇ……。これでいいでしょ」
「うんうん、ええじゃろ。絶景、絶景」
「やらしい〜〜、冥加じいちゃん」

でへへ、とにやけた笑みを浮かべた冥加をかごめがなじる。
楓も軽蔑したような目で睨んできたので、冥加は慌てたように弁解する。

「な、何を言いよるのじゃ、かごめ! か、楓も何じゃその目は」
「まあいいわい。さっさと行って来い」

楓が、つき合いきれんとばかりに手を振った。

冥加は、かごめの手で珊瑚の淫裂まで運ばれると、自分でぴょんと降りた。
そして、まだ固く閉じている割れ目を少しこじ開けると、そのまま中へと入っていった。

 珊瑚の胎内に侵入した冥加は、嬉々として這いずり回った。
膣内の襞に潜り込んでは、くんくんと匂いを嗅ぎ回る。

「くぅぅ、ええ香りじゃ! 珊瑚め、いい女になったもんじゃ」

無数にある襞襞は、そこに入り込んだ男根を心地よく刺激し、締めつけるだろう。
さぞや極楽を味わえるだろうと想像したが、よく考えてみれば冥加には絶対無理である。
想像するだけ馬鹿馬鹿しくなった。

「邪念は無用。先へ行くとするか」

健康的な薄紅色をした膣道をどんどん進んでいくと行き止まった。

周囲の膣よりさらに薄い色合いの薄桃色の肉の輪が見える。
子宮まで到達したのである。

「やれやれ、やっと着いたか。ちょっとした小旅行じゃったな。ん?」

子宮口の近くの膣が少し粘ついている。
粘液というか、ずばり愛液だ。
性交していない時でも、奥の方では少し分泌しているようだ。

その、得も言われぬ香りに、冥加はたまらず小さな手を伸ばして掬い取り、ぺろりとやる。

「ん〜〜、よい味だのぅ。甘露、甘露……って、そうじゃない、そうじゃない」

冥加は未練を断ち切るように首を振り、自分の使命を思い出す。

「では行ってみるか……。さて、鬼が出るか、蛇が出るか、か」

そう言いながら、冥加は珊瑚の子宮口をこじ開けた。
ほんの少し口を開けるだけで、小さな冥加の身体は難なく子宮内に入った。
暗い内部を慎重に歩を進める。

「胎児がおるなら、この辺におるはずだが……いないの…。ん?」

奥の方で、何やら蠢くものがいる。
人の子なら、妊娠半月にもなっていないのだから、まだとても人の形を成してはいないし、活発に動けもしないだろう。

とすれば、あれは何だ。

「なんじゃ……? って、どわーーっ」

奥で蠢いていた「それ」は、冥加の存在に気づくと目を黄色く光らせ、一気に近づいてきた。
迫ってくるそれは、真っ黒で目だけが黄色く光り、形はまるでトカゲのような生き物だった。

「真っ黒じゃな、こいつ……。ん? この匂いは…」

冥加が相手を伺っている間にも、そいつはどんどんと近づいてきた。
ゆっくり観察しているヒマはない。
冥加は慌てて振り返ると、子宮出口目指して転げるように逃げ出した。

がちがちと口を鳴らし、声もなく追いすがるトカゲを振り切ろうとするのだが、子宮の粘膜が粘ついていてぴょんぴょん
跳ぶことが出来なかった。
やっとの思いで子宮出口に辿り着くと、粘膜でぬめった身体を利用して、ぬるっと一気に子宮口から脱出した。

「遅いね、冥加じいちゃん……」
「待て、出て来おったぞ」

甘い女の匂いが薄く漂うと、珊瑚のはだけた股間から、粘液に濡れた冥加がひぃひぃ言ってまろび出てきた。

かごめが非難めいて口調で言った。

「なによ、冥加じいちゃん、それ。やらしいんだから」
「なんじゃその言いぐさは。こっちゃ命からがら逃げ帰ったと言うに」
「ほれ」

楓が、さまし湯を湛えた湯飲みを差し出すと、冥加は珊瑚の腿の上から飛び跳ねてその中に入った。

「おう、いい湯加減じゃ。気が利くの、楓」
「で、どうだったのじゃ」
「うむ」

楓とかごめの視線を一身に浴びて、冥加が口を開けた。

「妊娠ではない」

その一言を聞いて、かごめは全身の力が抜けるようだった。

「よかった……」
「安心するのはまだ早い」

不審げなふたりに冥加は、珊瑚の胎内で見た光景を説明した。
珊瑚の胎には、確かに胎児はいなかったが、それに変わっておぞましい物の怪が棲息していたのだ。

「そんな……」
「なんじゃと思う、おぬし」

絶句するかごめを差し置き、楓が冥加に訊いた。

「……ありゃ多分、傀儡じゃな」
「傀儡……」
「傀儡って……もしかして奈落の?」

かごめの問いに、冥加がうなずいた。

「奈落が放ってくる傀儡は、仕留めてみればただの木切れじゃったろう。あれと同類じゃろうな。匂いを嗅いだが、あれと
同じだったわい」
「…どういうことなの?」

冥加の説明によるとこうである。
奈落は、いつも造っている傀儡に使う木……多分、何かの香木だろうが、そいつを使って依童を造ったらしい。
それを珊瑚の子宮内に収めたのだというのだ。

「そうか」

楓にも思い当たることがあるらしい。

「でもなんで……なんでそんなことを……」

信じられないというかごめに楓が答えた。

「おまえたちを襲わせている傀儡、あれをいつも撃退しておるじゃろう。これではいかんと奈落も思ったのだろうな。だから、
より強力な傀儡を造ろうとしたのじゃろう」
「でも……」
「奈落の傀儡を打ち破ると、傀儡を彫り込んだ木切れと、それに巻き付いた奈落の髪が残るじゃろうが。あれは髪で意志を伝達し、力も
与えておるわけじゃが、それはいつも敗れておる。そこで、髪よりも強い媒体を使ったということだ」
「それって……」
「わからんか。奈落の精だ」
「……」

つまり奈落は、呪文を唱えながら傀儡を造って念を封じ込め、髪とは比較にならない強靱な精子を使ったということだ。
強靱どころではない。
精子は、言ってみれば生命力そのものなのだから、これ以上強力な媒体はないだろう。

これは冥加や楓たちも知らなかったことだが、奈落は傀儡に雄の属性を持たせたがっていた。
もちろん戦闘に強くさせるためである。

精子は大きく分けて二種類ある。
X染色体を持ったものとY染色体を持ったものである。
これらはそれぞれX精子、Y精子と呼ばれている。
このうちY精子が男なのである。
よって、このY精子を受精させることで男が産まれるということになる。

奈落が、珊瑚を徹底的に犯し抜き、焦らしに焦らして性感を高め、思い切り気をやらせてから大量に射精したのも、実はこのせいなのだ。
女性は性的昂奮が高まると、その胎内がアルカリ性の様相を示す。
X精子がアルカリに弱いのに対し、Y精子はアルカリに強い。

つまり、女をめいっぱい感じさせて射精すれば、男の子を身籠もらせる確率がぐんと跳ね上がるのである。
もちろん室町のこの時代にそんな知識はないのだが、奈落はそれを体得していたらしい。

当初、神楽で代用しようかと考え、すぐにその案を打ち消したのも、あの妖女は奈落から産まれたことに理由がある。
自分の精子を、自分の一部から造った女に使えば、これは近親相姦の最たるものになってしまう。
遺伝的悪影響を勘考してのことである。

「じゃ……じゃあ、珊瑚ちゃんのお腹にいるのは…」
「奈落の傀儡じゃよ。だから、かごめの言う通り、それは珊瑚の子ではない。言ってみれば寄生虫のようなものじゃ」

楓の表現は言い得て妙で、宿主の意志に背き、その滋養を吸い取って成長しているのだから、まさに寄生虫だろう。

かごめは、自分の胎内に自分の子でない他の生き物が入っていることを想像すると気持ちが悪くなった。
苦酸っぱい唾をようやく飲み込んで、かごめが尋ねる。

「それで……その傀儡はどうなるの……赤ちゃんみたいに産まれてくるの…?」
「かも知れぬが、そうはならんじゃろう」
「どういうこと?」

こういうことだ。
楓の言った通り、そいつは寄生虫のようなものだ。
故に母胎である宿主を考慮するつもりは毛の先ほどもないだろう。

ならば、膣を通って産まれてくるようなおとなしい真似はすまい。
恐らくは、成長し時期がくれば、珊瑚の腹を食い破ってくるだろう。
珊瑚はただの母胎兼食料に過ぎないのである。

「じゃあ、どうすればいいの」
「このままでは珊瑚の命はない」
「そんな……」

かごめはおろおろし、冥加に目をつけた。

「冥加じいちゃん、また珊瑚ちゃんの中に入ってよ! そいつ、やっつけてよ!」
「む、無茶言うな」

冥加が目を丸くしてたじろいだ。

「さっきだって、やっと逃げ帰って来たんじゃ。わしでは……」
「無理じゃろう。と言って、法師どのや犬夜叉を小さくして送り込む、なんてことも出来んしな」

楓はすぐに否定した。
現実味がなさすぎる。

「だがな」

そう言って楓はかごめを見た。

「方法がひとつだけある」
「どんな?」
「法師どのを呼んでこい」
「弥勒さま…?」
「うむ。いいか、法師どのだけだぞ、犬夜叉はいい」

何だかわからないが、かごめは慌てて弥勒を呼びに行った。



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