蛇靡が珊瑚を嬲っているその頃。
神楽の部屋。
室内にはふたりの女がいる。

「首尾はどうだった?」
「…うん」

神楽と会話しているのは神無だ。
花魁かと思うばかりの濃厚な女の色香を漂わせ、色鮮やかな着物を着込んでいる
神楽の方が妹で、真っ白のモノトーンの着物を着、見た目童女なのが姉の神無である。

「大変だったかい」
「…そうでもないわ。でも…」
「ん?」
「こんなことして…何が面白いの…」
「……」

神楽が神無に依頼したのは魂の入れ替えだ。
ある人間の魂を抜き取り、別人の魂と入れ替えてやったのである。
神無にとっては造作もない仕事だったが、年上に見えるの妹のやることのまどろっこ
しさがわからない。
恐らくは神楽の趣味を満足させる意味もあるのだろうが、神無は妹の下品な嗜好に
ついていけない。

「それに…」
「…なんだよ」
「…奈落は知ってるの? このこと…」
「知ってるさ。やる前に話はしたよ」
「…そうじゃなくて。この子を使うことよ」

神楽は不満そうにプイと横を向いた。
話してはいないのである。

「いいの?」
「うるさいね、おまえは言われたことを手伝ってくれりゃいいんだよ。うまくいけば
奈落だって何も言わないさ」
「…ならいいけど」
「……」

──────────────────────

 「ん、んむぅ!」

珊瑚はまた気をやった。
口に蛇靡の頭をくわえさせられ、菊座には尻尾を挿入されていた。
喉と肛門の粘膜に大量の体液を浴びせられ絶頂に達していた。

蛇靡に犯され始めて三日になる。
この間、珊瑚は何度いかされたのか数もわからない。
朝晩の食事と二刻ほどの睡眠以外は、常にこの蛇によって犯されていた。

排泄も自由には出来ない。
日に三度は蛇靡の浣腸液で浣腸されていたから、排便はこの時に済んでしまう。
小水に関しては、烈しくいったときなどに失禁することもしばしばだったので、
これも厠へ行くことがなかった。

蛇靡は面白がって、続けざまに何度も絶頂を味わわせてやった。
あれほど強烈に責め上げ、前後の穴は烈しく挿入され拡げられたにも関わらず、性交
をしていない時のそれは、少々爛れてはいるものの、嘘みたいに慎ましく閉じられて
いる。
いくら犯しても傷まない名器だと言えよう。
珊瑚はめくるめく官能に翻弄され、肛門を犯される快感も、子宮を責められる快楽も、
いやというほど覚えさせられた。

珊瑚は絶望の縁にいた。
このまま犯し抜かれたら人間ではなくなる、女ではなくなってしまうような気がした。

半妖だった姦猩児は、まだ人の心が残っていたから通じ合うことも可能だった。
しかしこの蛇靡は元が動物の妖怪で、言葉こそ通じるが、人間らしい心など元々持っ
ていない。
満足しきって珊瑚の身体に飽きるまで嬲られるのだろう。
そう思うと、もうどうでもいいと自棄にすらなる珊瑚だった。
スイ、と襖が開いた。

【ん? なんだ神楽か…】
「お楽しみだねぇ、蛇靡」
【まあな。いい女をあてがってくれたな。礼を言うぞ】
「そりゃどうも。でね、もう十分だろう? そろそろ返しておくれでないか」
【なに? この女、わしに寄こすのではないのか】
「そうは言ってないだろ。あたしもその女に用があるのさ、だから…」
【断る】
「……」

神楽はチッと舌打ちをする。
姦猩児といい、こいつといい、どうしたというのだ。
珊瑚を調教させるつもりが、いつのまにか珊瑚の身体の魅力に取り憑かれてしまって
いる。

【こんないい女、滅多にいるもんじゃない。わしの側女にする】
「馬鹿言うんじゃないよ」

ふたり、いやひとりと一匹は鋭い視線を絡ませて対峙した。

「おとなしく返しな。でないと…」
【ほう。わしとやり合うわけか】

蛇靡の返事が早いか、神楽の袖の下からものすごい速度で何かが飛び出した。
神楽の手にした扇子に気を取られていた蛇靡は文字通り不意打ちを食らった。

【ぐわっ】

鋼の塊が蛇の頭にぶち当たった。
くたり、と頭が垂れたが、尾が頭に変化すると、カッと口を開けて毒液を噴射した。
びゅっと飛んでくる毒々しく赤い液体を、身をかわして避ける神楽。
その後ろに小柄な影が立っている。
ひゅんっと音がして鎖のついた分銅が彼の手に戻った。
彼はものも言わず、分銅の反対側になる鎌を飛ばすと、尾の頭の真上からその刃先を
落下させた。

【…!】

声もなく蛇靡の尾頭は、その鎖鎌によって床に縫いつけられてしまった。

鎌と言っても、農作業等に使う久留里鎌とは訳が違う。
その断面は、久留里鎌は薄い線上のものだが、こっちは逆三角形の分厚い刃となっ
ている。
刀というよりはゴボウ剣に近いものだ。

少年は悠然と蛇靡に近づくと鎌を抜いた。
すると、それまで床でへばっていた本当の頭の方が牙を剥いて少年に噛みつきに出た。
彼は冷徹な目でそれを確認すると、手にした鎌を振り下ろして蛇靡の首を切り取った。
床に落ちてなお、ばたつく蛇の首を一閃すると、縦に二分された蛇靡はぴくりとも
動かなくなった。
元々、斬るよりは突き刺す目的の鎌ではあるが、厚い刃の切れ味も並みではないのだ。
少年は無表情でその鎌を一二度振るい、刃にこびり付いた血脂を落とした。

珊瑚はその戦いをぼんやりと見ていた。そして、逆光で塗りつぶされ、よく見えなか
った少年を顔を確認して愕然とする。

「琥珀…」

 神楽はもう一押しが必要だと思っていた。
姦猩児はともかく蛇靡は期待通りに調教しており、珊瑚はその虜になりつつある。
だが、肉体的にはともかく精神的にはまだ懸念があった。
ところどころで見せる抵抗が気になるところだ。

単に珊瑚を責め嬲り、性奴隷として飼い慣らすというのであれば、適度な反抗心は
あった方が面白い。
無気力あるいは従順になってしまったものを責めても面白みに欠けるのだ。
その点、珊瑚はある意味理想的なのだが、今回はそういう目的ではない。
性奴に近くなってもらわねば困るが、こちらの言うことを聞いてもらわねば意味が
ないのだ。

珊瑚の身体を使って連中をたぶらかすのだから、神楽の命令に従わなければ都合が
悪い。
それが問題なのだ。
そこで神楽は、さらに精神的に貶めることを考えていた。

その素材が琥珀というわけである。
可愛がっていた弟に嬲られ、責め抜かれる。
いかに強靱な精神力を持っていようと、その衝撃は計り知れないはずだ。

「琥珀……おまえ、琥珀?」

神楽がにやりと笑う。

「そうさ、あんたの弟だよ」

「琥珀……琥珀!」
「ほら琥珀、応えておやり。姉貴が呼んでるんだから」

神楽が促すと、ようやく琥珀が口を開いた。

「…ひさしぶりだな、姉者」
「……え?」

珊瑚の唖然とした顔を見て、神楽は吹き出しそうになり、昨夜のことを思い出した。

──────────────────────

 神楽は部屋に神無を呼んでいる。
部屋には、蛇靡に責められる珊瑚の生々しい喘ぎ声や艶めかしいよがり声が漏れ聞こ
えてきている。
神無は無言で声のする方向を見ていた。

「…気になるかい」
「別に」

神楽が神無に依頼していたこととは、琥珀の魂の入れ替えであった。
琥珀から魂を抜いただけでなく、別人の魂を放り込んだのである。
その「別人」のことを思い出して神無は妹に訴える。

「…もういやよ、こんなの」
「おや、仏心でも出たかい」
「違うわ。…そいつったら、私にまで向かって来たのよ」
「人並み外れたスケベ野郎とは聞いてたけど、そりゃまた見境なしだねぇ」

神楽は、さも可笑しそうに嗤った。
名を五平というその男は近隣で有名な女ったらしで、定職を持たず、村々の女どもを
襲いまくっている鼻つまみ者だった。
おまけに執念深くて絶倫と、女にとっては迷惑甚だしい男である。
つまり、抜け殻になった琥珀に押し込んだ魂というのは、性欲の権化のような野郎
なのだった。

「殺すわけにもいかないし」
「殺しちゃ意味ないだろ」
「…いいの?」
「…また話を蒸し返すのかい」

神楽は少し苛ついてくる。
神無は奈落に気を使い過ぎだ。
というより神楽が奈落に反発し過ぎなのであるが。

「いいんだよ、終わったら元に戻しゃいいんだから」
「…終わればいいけど」
「どういう意味だい?」
「…別に」

面白くない女だと思ったが、
口には出さず、神楽は琥珀の方を見た。
横になっている琥珀の額をつんと突つくと、少年は目を開けた。

「…どうだい」
「ん……」

ゆっくりと立ち上がる琥珀に神楽が言った。

「神無から話は聞いたろう?」
「…大体な。くそ、まだ調子がヘンだぜ」
「そのうち馴れるさ、我慢しな。その代わり…」
「いい女を抱かせてくれるって話だろ?」

琥珀は、顔を醜く歪ませて笑った。
五平の心根が出たような笑みだった。
神楽は言う。

「ああ、そうさ。飛び切り上等の女だよ、そいつを厭というほど抱かせてやるさ」
「薄気味が悪ぃな。タダでそんなうまい話があるわけがないと思うがな」
「おや疑り深いね。ま、条件があるけどね、ふたつほど」
「だと思ったぜ」

琥珀は鼻を鳴らすと、どっかと胡座をかいた。

「心配しなさんな、大したことじゃないさ」
「……」

琥珀は顎をしゃくって話の先を促した。

「まずひとつ。その女……珊瑚ってんだけどね、そいつを徹底的に嬲って欲しいのさ」
「言われなくてもそうするさ」
「だろうね。でもね、ただ犯すだけじゃ困る。あんたの持ってる技を全部使うくらい
のつもりで、その娘の身体にいろんなことを教え込んで欲しいのさ」
「ほう……。何をしてもいいってことか?」
「そうさ、殺さなきゃ何してもかまわないよ。オマンコだけじゃなく、尻も口も好き
にするがいいさ」
「そいつはけっこう」

琥珀はいやらしそうな笑みを浮かべた。
神楽は続ける。

「もうひとつ。これは是非守ってもらいたいんだ」
「なんだ、言ってみろ」
「今あんたになってるその身体…」
「そうそう、そいつを聞きたかったんだ。なんだってガキの格好せにゃならんのだ」
「…理由があるんだよ、あんたは知らなくてもいいさ」
「ふん、まあいい。だが、こいつのは使い物になるのか?」

琥珀が気にしているのは性器のことだ。
ガキの皮かむりでは話にならんと言っているわけだ。

「心配かい? 後でわかるけど、ちょいと細工はしてあるさ。十分以上に使いでが
あると思うよ」

どれ、と琥珀の身体をした五平が股間を出してみる。
目の前に女がふたりもいるということなど、気にも掛けていない。

「ほう」

五平は目を見張った。
とても子どものものとは思えぬ逸物であった。
すでに半立ち状態で、七寸はありそうだ。
完全に勃起すれば八寸、九寸という長さになりそうである。
太さも十分以上で、特に亀頭部の大きさは、並みの女なら膣が裂けかねない。
おまけに竿も脈打ち赤黒く、歴戦の勇士といったところだ。

「ま、そいつは実地で試せばいい。で、話を戻すとね」

神楽は瞳に暗い炎をちらつかせて言った。

「…実はあんた…いや、そのガキはね、琥珀って名なんだけど、これからあんたが
犯す女の弟なんだよ」
「なんだと?」
「そう。つまり、その女にとっちゃあ弟に犯されるってことになるのさ」
「いい趣味だな」
「ありがとうよ。で、あんたにゃひと芝居打ってもらう」
「…ふん。つまりその弟、琥珀ってったか、そいつに化けて…もう化けてるのか。
弟のつもりでその女に接しろということだな」
「察しがよくて助かるよ」
「やれやれ」

──────────────────────

 珊瑚は怪訝そうな顔をした。
何か様子がおかしいことに気づいたのだ。
珊瑚の顔を見て、神楽は琥珀に視線を送った。

(弟のふりをするんだったな…)

「そ、そうだよ。俺だよ、琥珀だよ、姉者」
「姉者って……あんた…」

琥珀は珊瑚のことを「姉上」と呼んだ。
姉者とは言わなかったはずだ。

「なんだい、おかしいかい?」

琥珀が微笑む。

「……」

何かおかしい。
けど、何がおかしいのか珊瑚にはわからなかった。
目の前にいるのはまごうことなく琥珀だ。
その顔も、声も、間違いなく琥珀のものだ。
だが、珊瑚の知っている琥珀とは何か違うのだ。

かつて琥珀は奈落に操られて珊瑚たちを襲ったことがある。
が、その時は声も顔も虚ろで、明らかに「心ここにあらず」という雰囲気だった。

この琥珀にそれはない。
明確な意志をちゃんと持っているように見えた。
その意志が邪悪なものであることを、珊瑚にはわかりようもなかった。
琥珀が自分に迫って来ても、まだ珊瑚はぼんやりとしていた。

「ふふ…」

琥珀がにやっと笑って珊瑚の身体に手を伸ばすと、珊瑚は反射的に突き飛ばした。

「い、いやっ」

琥珀は、どたっと派手に転んで見せて、いかにも心外だという顔をして珊瑚に抗議
した。

「痛いよ、姉者。何するんだ」
「あ、ご、ごめん…琥珀……」

珊瑚は戸惑う。
この少年は琥珀なのか、それとも?

琥珀はゆっくり立ち上がると、神楽から縄を受け取った。
神楽は、それを最後に「任せたよ」とひとこと言って部屋を出た。
それをゆっくりと見送った琥珀は、縄を両手で持つと、それをびしびしとしごいて
見せた。

「な、なにを…」

琥珀の粘っこい視線に本能的な恐怖を感じた珊瑚は怯えたような声で訊いた。
琥珀は子どもとは思えぬ低い声でドスを利かせて答える。

「姉者に縄の味を教えて進ぜようと思ってな」
「……」

琥珀は口にしてから「しまった」と思った。
何せ今の自分は十一歳なのだから、もう少しガキらしい言い方にした方がいいの
だろう。
琥珀は苦笑しながら、後ずさりする珊瑚を捕らえ、ひしひしと縄を掛けだした。

「い、いや……なにするの…やめて琥珀」

琥珀の激変と信じられぬ展開で激しく動揺し衝撃を受けている珊瑚は、ろくに抵抗も
ままならず、されるがままになっている。
琥珀は慣れた手つきで珊瑚の瑞々しい裸体に縄化粧していった。

上半身を亀甲文様に編み上げられ、胸のふくらみが括り出されている。
両手は後ろ手に縛られた。
俗に菱縄と呼ばれる縛術である。

下半身はと言えば、女の割れ目を両端に引っ張られ、その奥を晒してしまう恥辱的な
縛り方だ。
下腹部が菱形文様になるところから股菱縄と呼ばれている。

珊瑚がハッと気づいた時には、もうすっかり縛り上げられていた。

「いい格好だね、姉者」
「こんな……琥珀、なんで…」
「何でも何もないよ。俺、姉者を抱いてみたかったんだ、ずっと前からね」
「そ、そんな…」

珊瑚はわなわなと唇を震わせた。
信じられなかった。
あの幼かった琥珀が何ということを言うのだろうか。

その琥珀は酒瓢箪を下げて珊瑚に近づき、それをグイと呑んで見せた。

「あ、あんたお酒まで…」
「俺だって酒くらい呑むさ」

琥珀はそう言って珊瑚を突き転がした。

「きゃっ」

全身縛られている珊瑚は身体の自由が利かず、簡単に転がされてしまう。
仰向けに転んだ珊瑚は、思い切り股間を琥珀に晒してしまう。
琥珀がそこを覗き込むと、珊瑚は顔を背けて鋭い悲鳴を上げた。

「い、いやっ! 見ないで、琥珀!」
「ほう」

琥珀は感心したような声を洩らした。
散々妖怪どもに凌辱されたらしいが、それにしては綺麗な媚肉だった。
そこに吸い寄せられるように、琥珀は顔を寄せた。

「ひぃっ」

珊瑚は甲高い悲鳴を上げた。
琥珀の唇が珊瑚の秘部に触れてきたからだ。
割れ目に舌を這わせ、開かれている媚肉の中へも侵入させる。
くすぐるように敏感な蕾を舌でなぞり上げられ、存分に甘い刺激を送り込まれた。

「いや、やめて……いやよ、琥珀……あ……や……やあ…」

何度も犯され熟し始めていた珊瑚の身体は、脆くも崩れ始めている。
膣の奥から早くも蜜が分泌してきていた。
琥珀は酒を口に含むと、ぽたりぽたりと珊瑚の恥部に向けて垂らした。

「ひっ」

その液体が敏感な箇所に触れると、ずーんとばかりに身体に響いた。
ヒリヒリするような、スーッと涼しくなるような感覚のあと、カッカと燃えるような
刺激が突き抜ける。
ただの酒ではなかった。
濁酒よりもずっとアルコール濃度が高い蒸留酒のようだった。

それが肉芽と言わず、割れ目の襞と言わず、膣と言わず、あちこちに垂らされ、
舌で塗り込められるのだからたまらない。
たちまち肉欲の疼きがわき上がってしまう。
珊瑚の懊悩は、琥珀の舌と酒の攻撃が菊座に及んだ時、頂点に達した。

「だめ、琥珀! そんな、汚いわっ」
「姉者の身体に汚いところなんてないよ」

琥珀はそう言って、羞恥に染まる姉を責め上げた。
菊門の周囲を、円を描くように舐め回し、穴に舌先を突っ込むようにねじ込んで
やると、姉は大きく仰け反って痙攣した。
肛門を刺激してやると、そのたびに媚肉から蜜が零れてくる。
この娘、よほど肛門が感じやすいらしいと琥珀はほくそ笑んだ。
ならば神楽からもらったあの道具でこってりと責めてやれば悶え狂うだろうと、
琥珀は股間を硬くするのだった。

珊瑚の悩乱は高まるばかりだった。
実の弟に女の秘密を覗かれ、いびられる羞恥と屈辱。
それを意識すればするほど、今までの神楽らの責めで培われた被虐の快感がこみ上
げてくるのだった。

無尽蔵とも思えるほどにこんこんとわき出る珊瑚の愛液で汚れた顔を上げた琥珀は、
姉の様子をうかがう。
美貌の少女は、顎を突き出すようにして官能の波に耐え、真っ赤に上記した顔を
振りたくっていた。

「すっかり練り上がったようだな、姉者」
「……」

琥珀は珊瑚の股の間に身体を割り込ませる。
既に媚肉はひくひくと蠢き、熱くとろけきっていた。琥珀はためらうことなく珊瑚の
媚肉を貫いた。

「あっ、いやあ!」

珊瑚の叫びも虚しく、琥珀の陰茎が埋め込まれていった。
十分にほぐされ、濡れそぼっていたせいか、実にあっさりと奥まで刺さってしまう。
肉襞の柔らかい締め上げに、琥珀は呻いて挿送を始めた。

「ああっ……んっ…んくっ…あっ…ああ!」

ぬちゃ、ぐちゅ、と濡れた淫猥な摩擦音が響く。
妖しく絡みついてくる珊瑚の膣襞で、琥珀の肉棒は充血の度を増した。
奥まで突き刺し、引き戻すと、たっぷりの蜜が掻い出されるように溢れてきた。

「いや…だめ、琥珀……こんな……だめよ……ああっ」

琥珀の身体を乗っ取った五平は、それなりに性体験も豊富だったが珊瑚ほどの美少女
を犯したことはない。
珊瑚の可憐な美貌が苦悶し、喘ぐ様子を見ていると、たちまち追い上げられてしま
った。
腰の後ろが熱を帯び始める。射精が近づいていた。

「くっ…あ、姉者! 出、出すぞ」

琥珀はそう言いながら、さらに腰の動きを強めていった。
背筋をぞくっとした快感が走り、琥珀の肉棒に放出欲が襲い来る。

「だめ! だめ、琥珀!」

珊瑚は亀甲縛りで自由の効かぬ身体を精一杯捻り、必死になって腿を動かして琥珀を
払い除けようとした。
いくら何でも、弟の精を受けるわけにはいかない。

「ううっ」

琥珀は珊瑚の腿を両手で押さえつけ、動きを封鎖した。
さらに珊瑚の上半身に覆い被さるように身体を倒すと、肉棒の先端をその子宮口に
ぴったりと押し当てた。

「ああ…」

珊瑚は、子宮口を刺激される快感と、その先に待つ射精の恐怖に困惑する。
琥珀の小さな身体がぶるっと震えたのを察知した珊瑚は、慌てて懇願した。

「だめ、琥珀! 中はだめよ!」
「う、うあ!」

どくっと音が聞こえそうなくらいの精が珊瑚の中に放出された。
しばらくぶりの射精で、溜まりに溜まっていた精液が思う存分出される。
琥珀は脚の裏が痺れるくらいの快楽を得ていた。

「だめぇ!」

珊瑚の絶望的な悲鳴が聞こえる。姉の子宮に弟が精を送り込んだ。
偽の琥珀は、その疑似感に酔っていた。
何度も何度も琥珀の体内を下り、珊瑚の胎内へと注入されていった。

「うあっ…ああっ…あっ…」

射精されるたびに、珊瑚の身体が痙攣した。
琥珀が得ている快楽が、そのまま珊瑚の胎内に入って行っているかのようだった。

「いや……いやあああ…」

珊瑚は泣きながら身体をよじり、本能的に琥珀の射精を避けようとするが、琥珀は
その身体を押さえ込み、射精を続けた。
これでもか、これでもか、と出る限りの精子を珊瑚の膣に注ぎ込んだ。

「あ……ああ……こんな…こんなことって……」

珊瑚は声を出して泣いた。
弟に凌辱されるなど信じられなかった。

 平安から鎌倉、室町と続く戦乱の時代、性的な倫理はかなり低かった。
夜這いに浮気、不倫など、どこでも普通にあり、その行為自体が咎められることは
なかったのである。
もちろん、公家や武士の本妻、妾など、ある一定以上の身分の者の女房や情婦は、
浮気などしようものなら不義密通ということになったが、一般庶民に於いては比較的
自由だった。

事実、この時代に来日した西洋の宣教師などはかなり衝撃を受け、その様子が手記や
手紙等で記録に残っている。
彼らの常識からしてあまりにも風紀紊乱な性風俗を見て、このような淫らな人々の
住む国で、果たしてキリスト教が布教出来るのだろうか、というのである。
これらは風習の差違であり、批判されるべき対象ではないが、彼らにはショック
だった。

しかし、その日本に於いても禁忌とされた性があった。
ひとつは強姦であり、もうひとつは近親相姦である。
他人の妻を抱くことや、人妻が童貞狩りをすること、あるいは結婚前の男女が性交
し合うことは認容されていたが、血の繋がった者同士の性交は厳しく咎められていた。
無論その当時、遺伝学的な知識があったわけではないが、人々はそれがおぞましい
ものであることは認識していたのだ。
珊瑚は今、その性に於ける大きな価値観を踏みにじられたのである。

 ひさびさの女、それも極上ものを味わった五平−琥珀は満足した。
とはいえ、それは上澄みが取れた程度であり、彼の精力はまだまだ満ちあふれている。

「ふぅ。なかなか良かったぜぇ、姉者。いい身体してたんだなあ」
「いや……」

珊瑚の嗚咽が止まらない。
あの琥珀に犯されたという衝撃は大きな心の傷となってしまった。

ようやく精を出し終わり、ずるりと珊瑚の膣から抜き去った肉棒は、まだ隆々とした
力強さを秘めていた。
続けて犯してもよかったが、琥珀はもうひとつの穴を責めることにした。

「その前に、と」

珊瑚を縛り直すことにした。
肛門を責めやすい体位にするということと、幾通りもの縛りを珊瑚の裸身で試したい
という欲望からである。

青竹を一本持ち出してくる。
太さは一寸五分ほど、長さは七尺ほどはあろうか。
しっかりとした若竹だった。琥珀は、珊瑚の両足首を開かせて、その青竹に縛り付
けた。
そして手首も、足首の内側で、これも竹に縛る。
さらに右腕を右脛に、左腕を左脛に密着させ、両方を固定して縛り上げた。

ちょうど、重量挙げでバーベルを持ち上げようという姿勢で固定されてしまった
ようなものだ。
当然、股間は恥ずかしいくらいにパカッと開いている。
媚肉も菊座も剥き出しの状態なのだ。
胸を締め上げていた亀甲縛りは解除されたが、それ以上に恥辱を感じる体位にされ
てしまった。

その惨めな格好を晒している珊瑚を見下ろすと、琥珀は軽く蹴飛ばして転がして
やった。

「やれやれ、恥ずかしい格好だなあ、姉者」
「……」
「もう、どうにでもしてくれって感じだな」
「……」

どう揶揄されても、珊瑚は口答え出来なかった。縛り直されている間も無抵抗だった。
まだ衝撃から抜けきれないのだ。

「ま、いい。お望み通り、好きにさせてもらうよ」

琥珀はそう言うと、神楽お手製の竹製浣腸器を取り出した。
薬液もたっぷり作った。
それをいっぱいに詰め込んだ竹筒を持つと、珊瑚に見せつけてやる。

「ひっ」

珊瑚はそれを見ると途端に正気に戻り、喉を鳴らして悲鳴を上げた。
この責めだけは我慢がならなかった。
薬を入れられている時、便意の苦痛に耐えている時、そして排泄。どれを見られるの
も、たまらなく恥ずかしかった。
もっとも、責める方はその羞恥に染まる女を見て愉しんでいるわけだ。

珊瑚は逃げようとしたものの、さっき以上に身動きのとれない縛られ方をしている
ため、もがくだけである。
琥珀は落ち着いて珊瑚に迫り、両手で、真っ白い尻を撫で回した。

「ああ、いや……さ、触んないで琥珀……そんなとこ、だめ…」

琥珀は有無を言わさず、ぐいと珊瑚の尻に嘴管を突き刺した。

「い、痛…」
「嘘つけ。痛いわけないだろう、こんなに濡れてて」
「……」

琥珀の言う通り、珊瑚の菊座は琥珀に舐められた時の唾液、媚肉から漏れ出た愛液、
そして珊瑚自らが出した腸液によって濡れまみれていた。
細い部分をすべて中に押し込めると、琥珀は竹籤を押した。

「やめて、お願い! …あっ、ああ! …んむ……いやあ……だ、だめ…」

尻を振って嫌がる珊瑚を嘲笑うかのように、琥珀は薬液を送り込んだ。
次々に流れ込む薬液に、ぶるぶる震える尻たぶが止まらなくなり、ひとりでに腰が
よじれた。

「だめ……入れないで……ああむ……」

何とか流れ込む薬液を押しとどめようと括約筋に力を込める珊瑚だが、そんなものは
役に立たなかった。
その締め付けを感じた琥珀が、これは尻を犯しがいがあるとほくそ笑むばかりだった。

すぐに薬液は効果を示した。
酒を多くしたせいか、珊瑚は腹の中からカッカと熱くなってきた。
酒のせいか、官能のせいかわからなかったが、とにかく前の穴も後ろの穴も切なく
なってきた。
尻の穴がもぞもぞと蠢き、浣腸の続きをせがむかのような動きを見せたかと思えば、
膣は割れ目が勝手に開花し、男を欲しがる艶花と化していた。

「ああ……」
「感じてきたのか、姉者」
「違……違う……ああ……」

珊瑚は熱い息を吐き、背筋には汗が浮かんでいる。
腸はぐぐっと不気味な音を洩らし、便意が襲ってきていることを告げていた。
琥珀は竹籤を押し切り、最後の一滴まで注入した。

「ああっ」

その瞬間、珊瑚は顎を突き出して仰け反った。
腹部が熱っぽく、ぐるぐる鳴っている。
まるで身体の隅々まで侵されたかのようだ。
急激に腸の圧迫感と便意が高まり、片時もじっとしていられない。

「ううっ」
「早いな、もう出るのか」

珊瑚は必死で腰を蠢かし、すがるような目で弟を見た。

「お願い…お願いよ、琥珀……あ、あ……厠……」
「厠? ウンチしたいのかい、姉者」
「そ、そうよ……あ、もう……我慢できない…」

それじゃあ、と腰を上げた琥珀は大きな盥を持ち出してきた。
それを見た珊瑚は絶望する。
やはり琥珀も、ここで自分に排泄させ、それを観察するつもりらしい。
珊瑚は目の前が暗くなってくる。

「そ、そんなのいや……か、厠へ……早く…あっ…」

今にも破裂しそうな肛門を必死に引き締めているのがやっとで、珊瑚はまともに息も
できない状態だ。

「ほれ、したきゃしな」
「……」

珊瑚は弱々しく首を振った。
いくらなんでも弟の前で排便することなど出来ようか。

「遠慮することはないだろ? 俺だって小さい頃、姉者にさせてもらったろうが」
「……」

珊瑚はそれを聞いて、ますます赤面した。
五平−琥珀の方は、そんなことは知らないのだから適当に言っただけなのだが、
どうも珊瑚の羞恥のツボを突いていたらしい。

「あ……お願いよ、琥珀……ああ、お腹が痛い……く、苦しいの……」

珊瑚は縛られた脚を揺らし、がたがたと竹が音を立てる。
ここでは出来ない。
そう思うのだが、珊瑚の肛門は収縮を始めている。

「あ……もう……もう……だめ、ああ、だめっ……が、我慢できないわ、琥珀……」
「我慢出来なきゃしなよ、姉者。始末はしてやるからさ。それとも、もっと我慢して
いい気持ちになりたいのかい?」
「……」

珊瑚はそう言われて思い出した。
あの蛇靡に責められた時、排便したいのを無理矢理止められていたときの、苦痛と
ない交ぜになった妖しい快感を。
そして、ようやく排便を許されてヒリ出した時の解放感を。

それを思い起こした時、珊瑚の背筋にぞくっとした官能が響いた。
ここで我慢を重ねれば、あの快楽に囚われてしまいそうだ。
と言って、琥珀の前ですることなど出来ようはずもない。
しかし、だからと言ってしないわけにもいかぬ。

珊瑚の我慢も限界を突破していた。

「あ、だめ……あ、あ、あ……ああ、し、したい……あ、出そう…」

珊瑚の顔は青ざめ、腰のふるえが全身に渡った痙攣となった時、琥珀はようやく盥を
少女の尻の下に置いた。
もう、いつ出してもいい状態になったことがわかると、珊瑚は辛抱たまらなくなった。

「で、出る……だめ、琥珀、見ちゃだめ……出る、出ちゃうぅ……」

とうとう珊瑚の菊門が弾けた。
「ああっ」という悲鳴とともに、破裂音が響いたかと思うと、猛烈な勢いで珊瑚の
排便が始まった。
「だめっ、琥珀、見ないでっ!」

琥珀は目を血走らせて姉の排泄を見ている。
珊瑚は目を固く閉じていたが、それでも弟がじっと見つめていることがわかり、
恥辱に泣いた。

「やあ……見ないでぇ……あ、出る…出てるぅ……」

珊瑚の、血の出るような叫びを耳にしても、無視して観察を続けていた琥珀は、
排便が終わると「ふぅっ」と息をついて汗を吹いた。
こんな美少女のド迫力シーンなど、滅多に見られるものではない。

珊瑚は「ああ…」と哀しげに呻くと、また泣き出した。

「泣くなよ、姉者。気が滅入るじゃねぇかよ」

そう言いながらも、琥珀は排泄の終わった珊瑚の肛門を桜紙で始末してやる。
もぞもぞと動いていた尻たぶを割ると、排泄を終えたばかりの菊座がやや腫れぼっ
たく膨れていた。
ひくつくそこを見ていると、琥珀の股間が充血してくる。
昂奮した琥珀は、そのまま珊瑚の肛門に肉棒をあてがい、沈め込んだ。

「ひっ……なにするの琥珀!」

何をされるのかわかった珊瑚は絶叫した。
この感覚は、蛇靡にいやというほど叩き込まれた肛虐のものではないか。

「やめ……やめなさい、琥珀! こ、こんなこと、人間のすることはじゃないわ!」
「こんなことって何だよ、姉者」
「…それは…」
「ケツの穴にチンポ入れられることだろ」

そういうと琥珀はじわじわと肛門に押し入った。

「い、痛い! お願い、やめて琥珀……ああ!」

肛交自体は、蛇靡で経験済みだし、何度も気をやらされてもいる。
だが、それを弟にされるという異常な状況が珊瑚を錯乱させていた。
珊瑚の肛門は限界まで開かされ、琥珀の肉棒を飲み込もうとしている。

「さ、裂けるぅ! やああっ……やめてっ」

珊瑚の尻たぶが硬直して震え、琥珀の陰茎を押し返そうとするものの、それがかえっ
て琥珀のものに絡みつくことになってしまった。

「うんっ……あむむっ…」

肛門を引き裂かんばかりに侵入してきた琥珀の肉棒は、もっとも太い亀頭部を飲み
込むと、一気に根元まで収まってしまった。

「あうううう…」

珊瑚は、自分の尻の穴を貫いているものの長さと太さに目眩がする思いだった。
ぶるぶる震える尻を抱え込むと
、琥珀はずんずんと突き上げ始めた。
「痛い! だめ……うんっ……やあ、琥珀……」
「気持ちいいんだろ、姉者」
「き、気持ちいいなんて……ああ、もうお尻、壊れちゃう……」

既に肛交経験済みだと聞いていたので、琥珀は遠慮せずに突き上げを強めた。
きゅっと引き締まったり、ふっと緩んだりを繰り返し、その収縮に琥珀はすっかり
夢中になった。

「くっ……いいケツしてるじゃねぇか、姉者」
「やあ……お尻…いやあ……」

目一杯拡張されている肛門はずきずきと痛み、疼く。
しかしその反面、身体の深いところから得も知れぬ妖しい快感がわき起こり、珊瑚
を悩ませる。
少女は、蛇の妖怪に味わわされた快楽を思い出すまいと、必死に頭を振った。
だが、敏感な腸の襞を擦りつける琥珀の肉棒の威力に、苦悶の底におぞましい快感
が生まれ出るのを遮ることが出来なかった。

「だめ、琥珀……こ、これ以上されたら……ああ、変になるぅ……」

それを聞いた琥珀はほくそ笑む。

「いいんだよ姉者、変になって」
「いやあ……」

ビリビリ痺れる肛門。
どんなに堪えようとしても膨れあがる愉悦。
珊瑚は暗い官能の魅力に囚われてしまう。

「あ……ああああ…」

我慢出来ず、ぶるるっと腰を震わせた。
琥珀は、ここぞとばかりに腰の挿送を強め、豊かな乳房を鷲掴みで揉み込んだ。
胸への快感も加わり、珊瑚はたまらず頂点まで導かれる。

「ああああっ……うっ、ううんっ!」

珊瑚の汗まみれの裸体がぐぐっと仰け反り、収縮した。
同時に肛門がきりっと締め上げられ、琥珀はたまらず射精した。

「ああっ!」

腸内に夥しく放出された精を感じると、珊瑚は全身を震わせて絶頂に達した。

琥珀は、妖しい反応を見せる珊瑚の肛門に取り憑かれ、二度、三度を続けて菊門を
犯した。
そのたびに姉は気をやり、終いには意識を失ってしまった。
初日からボロボロにしても困るから、琥珀は未練を残しながらも、この日はここ
までとした。

──────────────────────

 二日目。
五平−琥珀は、徹底的に尻を責めることにした。
神楽から、前後両穴で犯されることを好むくらいに仕上げろと言われていたことも
あるし、何よりこの女、期待以上に尻で感じるようだからだ。

「んんっ……く……くぁ…」

朝の起き抜け、いきなりたっぷりの浣腸をされた珊瑚は、きりきりと痛む腹をよじ
り、呻いていた。
相変わらず全身を縛られ、ろくに動きが取れない。

この日は乳房縛りをされている。
まるで縄の下着のように、胸を固定される縛りだ。
根元で一度、そして乳首までの中間地点でもう一度、まるいふくらみを締め付ける
のだ。
二重に胸を括り出すもので、より胸を強調し、感じやすくさせる。
この時、両手は後ろ手で固定される。

下半身も複雑に縄をかけられている。
足首を組ませて縛り、固定した縄の先を首に引っ掛ける。
つまり、脚は座禅を組んだ状態で個体され、それが首の後ろに結びついているため、
背を丸めてかがむような格好になっている。
胡座縛りと呼称されるものだ。

また、この上半身と下半身の縛りを総称して、見た目通り達磨縛りとも呼ばれている。
一歩間違うと身体を壊しかねない危険な緊縛だが、五平−琥珀はいとも簡単にこの
技を披露した。

珊瑚はこの窮屈な姿勢で前のめりにされている。
両膝と頭で身体を支えているだけだ。
うまく下半身に力が入らぬ姿勢であり、おまけに腹部を中心に丸まっているから、
余計に便意を堪えがたい。
珊瑚は全身の痙攣が止まらぬ状態で青ざめている。

「……あ……ん…も、もう、だめ……こ、琥珀……ああ、お願いっ…」
「すっきりしたいか、姉者」
「……し、したい…」

いくら懇願しても無駄だということはもう十分に分からされている。
この上は、一刻も早くこの地獄から抜け出ないとおかしくなってしまう。

「なら、しなよ。見ててやるから」
「……」

またしても見られるのか。尻に薬を入れられ、苦悶するさまを見られるのも苦痛
だが、排泄行為を見物されることが、珊瑚にはいちばん堪える。
これ以上の恥辱はないのだ。
しかも見るのが弟の琥珀なのである。

それだけは出来ぬと我慢を重ねるが、我慢すればするほど妖しげな官能がふつふつ
と沸騰し、排便時の解放感を伴う愉悦も上がってしまう。
結局、珊瑚は崩壊した。

「だめ……ああ、出る……見ないで、琥珀っ」

血を吐くような絶叫とともに、聞くに堪えぬ破裂音がし、排泄が始まる。

「いやああ……」

珊瑚はむせび泣いた。
こんな生き恥を晒し続けることには耐えられない。
しかし琥珀はまだ許さなかった。

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 珊瑚の尻の始末をつけると、五平−琥珀は一端部屋の外に出た。
歩きながら考える。
どうもまだ琥珀とやらになりきっていない。
珊瑚には、弟に犯されるという状況で、その背徳的な快楽を感じてもらうつもり
なのだ。
五平は三十過ぎで琥珀は十一なのだから同化するのは無理だろうが、取りあえず
言葉遣いを少し子どもっぽくすることにした。

琥珀は手桶を持って戻ってきた。
珊瑚は恥ずかしい姿勢のまま、まだすすり上げている。

「どれ」
「やっ、やあっ!」

琥珀は珊瑚の尻を覗き込むと、菊座を観察した。
珊瑚は、弟が自分のどこを見ているかがわかると、もぞもぞと尻を振って嫌がった。
その動きがまた何とも艶っぽく、琥珀をやる気にさせる。
じっくり見てみると、激しい排泄で少々赤く爛れてはいるが、裂けたり、内部から
出血している様子もなかった。
また、前の割れ目もいつの間にか花開き、潤んでいるようだった。

琥珀は前に回り、珊瑚に桶の中身を見せた。

「姉者、これがわかるかい?」
「……」

琥珀が桶から出して珊瑚に示しているのは、何やら球形のものだった。
灰褐色でぶよぶよしているように見える。

「いや……」

どうせ何かいやらしいことに使うのだということはわかるから、珊瑚は本能的に
拒絶を口にする。
その様子を見て琥珀は苦笑してそれを指で摘んだ。

「そう怯えなくていいよ、姉者。これはただの蒟蒻だよ」

そう言うと琥珀は、口に放り込んで食べてみせた。

「…こ、蒟蒻…?」

なるほど、よく見るとその丸いものは珊瑚にも見覚えがある。
琥珀はうなずいて教えてやる。

「うん。ほら玉蒟蒻。姉者だって食べたことあるじゃない。麓の村で買ってきた
んだ。この辺り、蒟蒻芋の産地なんだよ」
「……」

そんなものをどうするのか。
ぐにぐにと口を動かしている琥珀を見て、珊瑚は不安になる。
その視線に気づいて琥珀が言った。

「姉者も食べる? 料理してないから味はないけど」
「……いらない……」
「そう。ならしょうがないね」

そう答えるのを待っていたかのように、五平−琥珀はいやらしい笑顔で珊瑚に近づ
いた。

「上の口で食べられないなら、こっちで食べてもらおうかな」
「!」

琥珀は玉蒟蒻を珊瑚の肛門に押し当てたのだ。
そのぐにゃぐにゃした異様で冷たい感触に珊瑚は悲鳴を出した。

「きゃあ! なにするの、琥珀! やめてっ……つ、冷たい…あ、中に入れない
でっ!」

直径で二寸ほどもある大きめの蒟蒻玉は、腫れぼったい珊瑚の菊門に押しつけら
れると、その形を楕円に変形させた。
それでもぐいっと押し込むと、つるっと腸内に入ってしまった。

「ああっ」
「ほら入っちゃった。痛くなかったでしょう?」
「……」

確かに大きさの割りにはあっさり入ってしまった。
自在に形が変わり、つるつるした蒟蒻だからなのだが、自分の肛門がいたぶりに
馴れてきてしまっているのではないか、という恐怖が珊瑚にはあった。
そんな珊瑚の思いをよそに、琥珀はふたつめを取り出した。

「まだ入るでしょ」
「やあ、やめて…」

琥珀はふたつ、みっつと珊瑚の肛門に玉蒟蒻を入れ込んだ。
ひとつ入れると指を突っ込んで、奥まで押し込むようなまねまでした。

「あ……あ…」

珊瑚はもう拒絶の言葉すら出さなかった。
いくら頼んでも琥珀がやめるわけはないし、腸の中でごろごろする異物の感触で朦朧
とし始めていたのだ。

琥珀は、尻に蒟蒻を入れながら前を確認してみると、媚肉はざわざわと生き物のよう
に蠢き、愛液が恥毛の先に露を作っていた。
やっぱりこの女、尻を虐められて感じてやがる。
琥珀はにんまりすると、次々に蒟蒻玉を押し込んでいった。

「だ……だめ……もう…もう入んないわ……あ、やめて…」

珊瑚の綺麗な背筋に汗が浮いている。
異物を挿入される苦悶に呻いているのか、それとも得も言われぬ快感に悶えているか
微妙なところだった。
唇を噛みしめているが、時折それがほどかれ、熱い吐息が洩れている。

琥珀は姉の菊座がふんわり膨れてきたところで蒟蒻を入れるのをやめた。
指で肛門の襞を押しのけてみると、もうそこには玉蒟蒻の表面が見えていた。

「こんなところかな」
「…う……」

珊瑚は腸内にびっしりと詰め込まれた蒟蒻に苦しんでいた。
腹がやや膨れるほどにたくさん入れられて息苦しいほどだ。

軽く痙攣している珊瑚を見ながら、琥珀は竹筒浣腸器を取り出し薬液を入れた。
そして前触れなく姉の菊門に先端を突っ込み、中に注入した。

「ああっ」

思いも寄らぬ攻撃に珊瑚は目を見開いた。
すでに蒟蒻玉で充満している腸に薬液を注入されている。

「そんなっ……こ、こんな時に……やあっ…」
「やじゃないでしょ。こうしなきゃ、入れた蒟蒻が出てこないじゃない」

丸い蒟蒻同士が隣り合う僅かな空間に、排便効果のある薬液が入り込んでいく。
量は少なかったが、激烈な効果があった。

「くああ……うあ……く、苦し……お腹……お腹、壊れるっ…」

竹筒半分の量も入れない内に、珊瑚の肛門がびくびく痙攣し出した。
なおも入れようとする琥珀に、珊瑚が叫ぶ。

「だめ琥珀! もう、だめ……ああ、出る……いや、出ちゃう! ……いやあ!」

珊瑚の悲鳴とともに、蒟蒻玉が珊瑚の肛門から飛び出した。
大きさが大きさだから、まとめて出るという具合には行かず、ひとつずつババッ、
ババッと弧を描くように噴出した。

「やあああ!」

珊瑚は必死に括約筋を引き締めようとするが、そんなもので止まるような便意では
なかった。
身体の中の異物を吐き出す生理的欲求は凄まじく、本人の意思などまるで無視して
いた。

「……ああ……」

悪夢のような排泄がようやく終わり、珊瑚は身も心もぐったりした。
羞恥で固く目を閉じた珊瑚の耳に、琥珀の声がする。

「いやあ面白かったね。こんなにすごいものとは思わなかったよ」
「……」

答えられない珊瑚の股間を覗くと、割れ目はさらに大きく蠢き、盛んに何かをくわ
えたがっているように見えた。
淫蜜も、恥毛に留まる容量を遙かに超え、内股を伝って床に落ち、あるいは直接
ポタポタと水たまりを作っている。

「…でも気持ちよかったでしょ?」
「…そんなこと……ないわ…」
「そう?」

琥珀は再び桶に手を入れ、蒟蒻を取り出す。

「じゃあ、よくなるまで繰り返すかな」
「えっ」

珊瑚は慌てて琥珀を顧みた。
性の鬼子は、丸い蒟蒻と竹筒浣腸を手にしている。

「いや…もう、いやあ!」

──────────────────────

 もう何度目になるだろう。
使われた玉蒟蒻は百個ではきかないような気がする。
琥珀は、珊瑚の尻に蒟蒻玉を入れ、浣腸してそれを吐き出させることを繰り返した。

珊瑚の精神はもう、その責めに耐えきれなくなっていた。
浣腸を受けている時の屈辱、便通を耐える苦痛、そして排便を見られる羞恥。
もう便はひとかけらも残っていないのに、玉蒟蒻を排泄するたび、まるで排便して
いるかのような錯覚に囚われ、珊瑚を苦悩させた。
それだけではない。琥珀が指摘した通り、玉蒟蒻が肛門を出入りする感触に、たまら
ない快美感を覚えてしまった。

にゅるっ。
「あうっ」

にゅるっ。
「くああ!」

にゅるっ。
「ううんっ」

にゅるっ。
「ああっ」

押し込むごとに珊瑚の肛門は熱く滾り、もっともっととせがむように尻をうねらせて
しまうのだった。
琥珀が蒟蒻の挿入をやめると、珊瑚は思わず振り返り問いかけてしまう。

「あ……な、なんで……」

もっと入れてくれないの、という言葉は何とか飲み込んだ。
だが、その潤んだ瞳までは隠しようもない。

琥珀はわざと呆れたように言った。

「もうこれ以上入らないんだよ。ほら、お尻の穴ははち切れそうだし、お腹だって
パンパンじゃない」
「……」

珊瑚はあさましい欲望を弟に蔑まれ、羞恥と屈辱で全身が灼けてしまいそうになる。
それでも身体の方は、媚肉も尻穴もとろけきり、男を欲しがっていた。
姉の肛門が望み以上に仕上がったことに満足した琥珀は、優しく言葉をかける。

「さあ姉者、ご褒美だよ」
「……や……」
「いやなわけないでしょう?」

琥珀は竹筒を構え、珊瑚の肛門に躊躇なく突き入れた。
その瞬間びくんとなったが、珊瑚は諦めたように受け入れた。

ちゅるるっと流れ込む気だるい感触。
直後、襲ってくる狂わしい便意と疼痛。
どれもこれも、嫌悪から喜悦へと変化してしまっている。

「う……うむ……」

蒟蒻玉の隙間を薬液で埋め尽くされた珊瑚は、ろく堪えることも出来ずに排泄を口に
する。

「だめ……だめ、琥珀……」
「出るの?」
「で、出る……」

琥珀がゆっくりと桶を盥をあてがうと、珊瑚はそれでも少し躊躇した。
だがそれは、琥珀に見られるという羞恥からというよりも、もっと我慢して浣腸の
快楽を味わいたいというものであった。
それでも、無茶な浣腸に身体の方がついていけない。

「やあ……出る!」

薬液が漏れる前に蒟蒻が飛び出た。

「ああっ!」

その途端、珊瑚は絶頂に達した。
柔らかい玉が菊座を大きく拡げ、肛門や腸の粘膜を擦りつけて排出される刺激で、
珊瑚の官能は爆発してしまう。
ぼろぼろっと排泄されるごとに珊瑚は身体を揺すって喘ぎ、息苦しいほどの身悶えを
見せる。

「んあああっ!」

「あ、いくっ」

「ああ、だめぇ!」

「出ないでっ!」

「いっちゃう!」

「またいくっ」

すべての蒟蒻玉を排泄するまで、珊瑚はいくだけいきまくった。
終いには口を閉じることすら忘れ、だらだらとよだれを垂らすのも気づかぬほどの
忘我となった。
排泄し終わっても、身体はおこりがかかったように痙攣を続け、凄まじいばかりの
絶頂劇を物語っている。

「さすがにやりすぎたか」

五平−琥珀は、汗や精、愛液、腸液、薬液と、さまざまな汁で汚れた珊瑚の裸身を
見て苦笑した。




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