「うふふ、いい気持ちになってきた?」

アキラは不二子の様子を見て嬉しそうに言った。

「別に怪しげなものはじゃないわ。エストロゲンをもとにした実に健全な媚薬よ」

女性の性欲を制御しているのは、女性ホルモンのひとつであるエストロゲンだと
言われている。
これは月経が終了してから次の排卵までの間に分泌量が多くなる。
この時期は、受精適正期ということもあって、セックスに対する欲求が強くなって
いる。
つまりエストロゲンの分泌によって、女性の性欲が大きく影響されるということだ。

「それをね、利用して媚薬を作ったわけ。飲むのもあるけど、こうやって塗るのも
あるのよ。使い道はいろいろ。娼婦に使ったり、こうやってお姉さまみたいに言う
ことを聞かない人へのお仕置きとしてもね。お姉さまも知ってるでしょ、パレット。
これ、パレットの製品よ。最近少し落ち目だけど、いい仕事するよね。もう少し弱体
化したら吸収合併するのも悪くないかな」
「こっ、この……」
「あら、怒らないでよ。これね、美容にもいいんだから。エストロゲンて女性ホル
モンなんだから、女らしい体つきになるのよ」
「あたしはもう充分よ」
「あらら、そうだったわね。お姉さまのダイナマイトボディだったら、もう充分か
もね。でも他にも効用はあるのよ。これって別名で排卵ホルモンて言うの。だから
子宮の発育とか子宮内膜の増殖とか、乳腺の発達にも役立つのよ」
「そんなの、あたしにはまだいらないわよ」
「まあね。でも、すぐに……」
「やっ……うっ……」

不二子がアキラと話している最中にも、ランディは巧みにその肉体に手を這わせて
いる。
その刺激に、不二子は戸惑っている。
感じるのを堪えているせいか、時折ぐっと腕や脚に力が入る。
ランディの指が内腿を軽く撫で、すすっと太腿に這う。
その柔和な肉感を愉しみつつ、徐々に不二子の秘所へと移動していった。

「あっ!」

不二子が軽く悲鳴を上げた。
屈辱と羞恥と動揺のせいで、彼女の裸身にはじっとりと汗が浮いている。
それがローションと混じり合って、甘ったるい匂いを放っていた。
その汗ばんだ腿の付け根を指先でくすぐるような刺激を与えてやると、不二子は
たまらずもじもじと身をうねらせる。
さらに綺麗に生え揃った陰毛の上にそっと指を押し当ててると、不二子の身体が
びくっと小さく震えた。

「っ……!」

但し、直接クリトリスや膣に触れたのではなく、その上に密生している恥毛に触っ
ただけだったから、不二子が思うほどに鋭い快感はなかった。
なのにその反応は敏感そのものだ。
それを見てアキラが「うふふ」と笑う。

「あらら、お姉さまったら、ランディはお毛々に触っただけなのにそんなに感じた
のぉ?」
「……違うわよ、少しびっくりしただけよ。見えないんだから」
「ふうん。毛に触られたくらいでびっくりするの?」
「……」

ふたりのやりとりには何の興味もないとばかりに、男の責めは続く。
恥丘をじんわりと手のひらを使って撫で擦りながら、これも焦らすように媚肉の縁
をかすめるように指を使う。
そうしておいて、割れ目の上をごく軽くすっと撫で上げてやった。

「んっ……!」

不二子はもう隠しようもなく濡れてきていた。
こぽこぽと溢れ出すほどではないが、じわっと滲み出るように膣口から蜜が漏れて
いる。
触られ、くすぐったくて息んだり、感じてしまって力んだりした時に、内部から零
れてしまったらしい。

「うふ、だいぶ感じてきてるのね。いいわよ、その調子」
「だ、まりなさい……あっ……」
「あらあ、可愛い声も出せるじゃないの。ランディ、そこがお姉さまは感じるみた
いよ。そのまま撫でるようにさすってあげて」
「やっ……うんっ……!」

やっと媚肉に触れてきたのに、膣穴や肉芽は無視するように割れ目周辺しかいじっ
てこない。焦れったいような快感が、だんだんと身体の中に籠もってくる気がした。
それが頂点まで膨れあがったらどうなるのか。
不二子はそれを想像するのが怖かった。

「ひっ……!」

ランディの指はとうとう乳首にまで来てしまった。
鎖骨付近をマッサージしながら、手のひらを乳首に軽く押し当て、ころころと転が
して刺激している。
たまらず乳首がむくりと起き上がった。
それを見たランディが爪の表面で乳首を転がしていくと、見る見るうちにそこは
ぷくりと勃起してしまった。
不二子は乳首だけでなく、乳輪全体がジンジンするような痺れと快感を得ている。
このまま強く揉みしだかれたなら、心ならずも喘いでしまいそうなほどだ。

「もっともっと感じてる声を聞かせてよ、お姉さま」
「か、感じてなんか……!」
「あらら、そうなの?」

無口なランディに代わり、アキラが言葉で責めたてた。
肉体とともに言葉でも責められ、不二子の肉体に火がつけられていく。

「あらあ、お姉さまのクリトリス、ずいぶん大きくなってるじゃないの」
「みっ、見ないでよっ……あっ……」
「感じて感じてしょうがないんでしょ。へえ、大きめなのねお姉さま。乳首は小さい
けど、クリトリスは大きい、と」
「う、るさいの、よ……うっ……あ……」

不二子は、強い快感に首を仰け反らせながらも、アキラの言葉に反発している。
それでいて、もう息が荒くなってきていた。

「お姉さま、見た目はサドで男の人を虐めて愉しみそうなくせに、実はマゾっぽか
ったりして」
「そんなことあるわけ、あっ……!」
「ウソおっしゃい。こうやって虐められて、嬲られるのを見られて、恥ずかしいこと
されるのが好きなくせに」
「勝手なことばかり……くっ……」
「本当に敏感なのね、お姉さまったら。もっと濡らしてあげたくなっちゃう。ラン
ディ、もっと塗って」
「や、やめて! これ以上されたら……」
「されたら? どうなっちゃうのかしら?」
「……」
「あらら、だんまり? いいわ、嫌でも声を出させてあげるから」
「んんっ……」
「うふ、いいんでしょ、お姉さま。もういっちゃいそう?」
「だ、誰がこんなことっ、で……あっ……」
「全然、説得力ないわよ。感じたの、お姉さま?」
「くっ……!」

(そ、それにしても何なの、このクスリ……。ほ、本当に効いてるみたい……)

不二子は懊悩していた。
肉体的に敏感なのは薄々判ってはいたが、ここまで追い詰められることはほとんど
なかった。
不二子は職業スパイだったが、フリーランスとして活動していたから、意に沿わぬ
仕事はしなかった。
才色兼備だった彼女は、仕事を選り好みできる立場だったのだ。

だから、いわゆるハニー・トラップは滅多にしなかった。
少なくとも、色香で相手を誑かして秘密を探ったり奪ったりすることはしなかった。
もちろん時と場合に応じて、どうしても肉体を使うしかないこともあり、そういう
ケースでは躊躇なかった。
例えば敵に囚われてしまい、相手を取り込む必要があった場合とか、犯されて屈服
したように見せかけて逃亡するチャンスを窺うとか、そういう場合だ。
だから相手を虜にすることはあっても、自ら溺れることは皆無だったのだ。

身を任せた相手が巧みで、つい仕事を忘れてセックスに没頭させられてしまった
ことも、ないではない。
しかし、そのほとんどは肉体を武器にしたからであって、不二子自ら身体を投げ出
したのである。
こうやってレイプされて感じてしまう、などということは、まずなかった。
快感を得たことはあったが、結局、男が自分の欲望を吐き出すためにしているもの
だから、不二子を満たすほどのことはなかった。
いかされかかったことはあっても、演技以外でいかされたことはなかった。

「ああっ!」

不二子はほとんど初めて喘ぎにも似た呻き声を出してしまった。
ランディの手が本格的に不二子の乳房を愛撫してきたのである。
力を込めてぎゅっと乳房を握るように揉むと、不二子はビクンと身体を震わせて声
を出したのだ。
揉んだランディの手のひらに、硬くなった乳首が心地よく擦れてくる。
今までとは打って変わって強めに指先に力を入れ、たぷたぷと揉み込み、揺さぶる。
豊か過ぎるほどの乳房に指が食い込むが、ローションのせいでぬるりとぬめって滑る。
その感覚がまた不二子に別に快感を与えていた。
ランディは両手を使って不二子の左右の乳房を揉み込んだ。
手の中で形を変え、弾むように乳房が揺れている。

「わあ、すごい眺めよ、お姉さま。お姉さまのすごいおっぱいがローションまみれで
色っぽく揉み込まれてる」
「やっ……はあっ……うんっ……!」

大きく盛り上がった乳房の頂点にひくひく息づいている乳首が、きゅっと指で摘ま
れると、不二子は背中を弓なりにさせて喘いだ。
それなりに性体験はあるはずだし、年齢的なものもあるから、もっと大きくそして
色素が溜まっていてもおかしくないのに、不二子の乳輪はまるで二十歳そこそこの娘
のような初々しい色をしていた。
乳首も同じ色で、ぽちっと小さいのが印象的だ。
そんな乳首も、これまでの焦らす愛撫と、一転して強い愛撫が加わって、ツンと生意
気そうに勃起している。
それを指で摘んでくりくりとしごいてやると、そのたびに不二子の身体がビクビクと
波打ち、くぐもった喘ぎが漏れた。
乳首が完全に勃起すると、今度は乳首の下の方を根元からなぞり上げてきた。
たまらない官能的な刺激が不二子の身体を突き抜ける。

(こ、こいつ……本当に巧い……)

女体の性感を女以上に知り尽くしたような責め口に不二子も戦慄した。
今まで相手をした男に、ここまで不二子を翻弄させた者はいなかった。
しかもまだ前戯状態であって、セックスには入っていないのだ。

「うふ、いきたくなってきたのね、お姉さま」
「やっ……そんな……あっ……」
「あらら、まだ強情張ってる。仕方ない、じゃ裏門も責めるかな。ランディ」
「は」
「う、裏門て……きゃあっ!」

それは何かと不二子は聞けなかった。
青年の指が媚肉を通り過ぎて、その側にあったもうひとつの穴に這ってきたのだ。

「そ、そこいやっ……!」
「え? お姉さま、お尻……っていうかお尻の穴触られたことないの?」
「な、ないわよっ……やっ……」
「ウソ。そのお尻だもん、絶対、お尻でもセックスしてるよね」
「バ、バカなことばっか言わないでよ、ひゃっ……!?」

それまでの態度とは想像がつかぬほどに不二子は大きく乱れた。
身体をうねらせて本気で嫌がっている。
もちろん逃げるどころか、ろくに動けもしない。
ランディは指先をアヌスに押しつけると、そこから放射状に広がっている皺を一本
ずつなぞるようにさすった。

「ひっ! や、やめ、あっ! そこ、触らないでってばぁっ……あっ!」
「うん、いい反応。やっぱお尻も感じるのね」
「やめっ……いやよ、そんなところ! うんっ……!」

男の指が蠢くたびに、不二子の敏感過ぎるアヌスはきゅっ、きゅっと引き窄まり、
裸身を痙攣させる。
これまでの屈辱感と羞恥に加え、汚辱感まで女スパイを襲ってきた。
嫌がって呻き、相手を罵りながら拒絶の声を上げる不二子だったが、その反面、
いびられている肛門は愛撫に対して敏感に反応し、ランディの指を受け入れるかの
ように揉みほぐされ、緩んできていた。

「どう、ランディ。お姉さまのお尻の穴、柔らかくなってきた?」
「は。今少しかと」
「ふうん。いけそうだったら指突っ込んでもいいわよ」
「いやよ! あうっ!」

緩んだアヌスに指先がグッと押しつけられる。
異物の侵入を拒むように、肛門はその瞬間きゅっと窄まったが、ランディは構わず
に指先を潜り込ませていく。

「やっ、痛っ……!」

鋭い痛みがアヌスに走り、思わず悲鳴を上げた不二子だったが、それまでの愛撫で
充分にほぐれていたそこは、さほど無理なく青年の細い指を飲み込みつつあった。
節が通るとぴりっと裂けるような痛みがあったが、案外とすんなり入っていく。
あまりのことに不二子が動転しているうちに、もうランディの中指はずっぽりと
根元まで埋め込まれてしまっていた。

「わあ、すごい。なんだかんだ言って、あっさり指一本入っちゃったじゃないの」
「ああ……」
「嫌がってるふりして、お姉さま、けっこうお尻いじられるの好きだったりして」
「いやっ……と、取ってよ、指っ……抜いてっ……あ、動かしちゃだめってばあっ!」

すっかりほぐされた不二子のアヌスは粘膜をぬらつかせており、ランディがゆっくり
と指を抜き差しすると粘り着くようにめくり出されてくる。
少しずつ出し入れの動きを大きくしていくと、媚肉にも変化が見え始める。
割れ目が僅かに口を開け、そこから愛液がとろりと零れ出てきたのだ。

「や、めて……あっ……お尻、いやっ……」
「いや? ウソばっか。オマンコ濡らしてきてるくせに」
「ち、違……ああっ……」

男の指をくわえこんだ肛門はわななき、耐えきれぬように腰がもじもじと蠢いている。
不二子の美貌は恥辱と羞恥で仄かに赤く染まってきていた。
ランディはその様子を窺いながらしばらくそこをこねくり回していたが、少女の指示
で指を引き抜いた。

「あうっ……」

ずるっと指が引き抜かれる感覚に、不二子は艶っぽい声を上げて呻いた。

「うふ、お尻でそんなに感じて。やっぱり好き者ね、お姉さま」
「……違うわ」
「あらら、まだそんなこと言ってる。いきたかったくせに」
「……」

悔しそうに顔を伏せる美女をくすくす笑いながら眺めてから、絶対権力者である
少女は厳かに命じた。

「いいわ、ランディ。一度すっきりさせてあげて」

青年は頷くと、不二子のそこに口をつけた。

「ああっ……!」

媚肉全体を舌でべろべろと舐められた。
それだけで気をやりそうになる。
男の舌は、割れ目の裏まで舐め啜り、膣口に尖らせた舌先を突っ込んできた。
思わずいきそうになった不二子だったが、唇を噛んで堪え忍んだ。
だが、ランディの舌がクリトリスを責め、包皮から顔を出したそれをぴんぴんと舌で
弾き、唇で挟んでねぶるように吸い上げると、たちまち頂点まで導かれてしまった。

「ひっ、ひぐっ……むむううううっっ……!」

不二子は奇妙な呻き声を上げて全身を痙攣させた。
ガクガクと腰を弾ませ、尻を浮かせている。
噴き出すように蜜をあふれ出させていた。
背を持ち上げ、弓状に身体をたわませると、突然、力が抜けて吊られた両手と首を
がっくりと落とした。
いったことはわかったが、アキラは残忍だった。
これくらいでは許さない。

「ランディ、お姉さまはけっこうしぶといみたいだから、入り口ばっかじゃなくて
中も責めなさい。Gスポットを見つけてあげましょうか」

頷いたランディは、口を離すとまた指を入れていく。

「あ……むむ……」

不二子は呻いて身を捩った。
いったばかりで、まだ膣内が敏感なのだ。
ちょっとした動きも、頭に響くような快感となって返ってくる。
青年の長い指が、二本まとめで膣内に入っている。
指の腹は不二子のお腹の側を向いていた。
膝が曲げられた格好で縛られているため膣道が狭く、そして短くなっている。
そのお陰で指がより深くまで入っていく。

「くっ……」

男の指が曲がり、ちょうと恥骨の裏あたりを探っている。
ぞくぞくするような快感が走り、不二子は顔をしかめた。
不二子の腹の裏を擦るようにしていたランディの指に、ざらついた感触があった。
不二子がビクンと反応したが、なおも奥へと指を侵入させていく。
今度は、柔らかくてつるっとした手触りの箇所があった。
そこをさらに進んでいくと、目指すものがあった。

「ひぃっ!?」

不二子が身を大きく仰け反らせて悲鳴を出した。
ランディの指が、ぷくんとした乳首のようなものを発見していた。
乳首よりはずっとデリケートで柔らかい。
皮を剥いたブドウのような感触である。
Gスポットだった。
青年は、そっと指で撫でるように擦った。
それだけでも、不二子には全身を突き抜けるような凄まじい快感が走った。

「あおっ……!」

びりりっと強圧の電流を流されたような痺れが走り抜けると、不二子はもやもやと
してきた。
尿意のようだった。
膀胱とGスポットの位置関係のせいで、ここを刺激されると尿意を催す女性が多い。
不二子もそうだった。

「だ、だめっ……!」
「あらら、どうしたの?」
「あ、ああっ……」

漏れそうだ、などとは口が裂けても言えなかった。
おとなになって失禁するということは、かなり大きな精神的ダメージがある。
そんなことは出来なかったし、まして口になどするわけにはいかない。
アキラは、そんな不二子の心境をすべて理解して言った。

「おしっこしたいの、お姉さま?」
「……ちが……」
「違うの? じゃあさせてあげない」
「あああっ!」

青年の指の動きが少し大きく、激しくなっていく。
激しいと言っても、鋭敏な器官の愛撫だからだいぶおとなしい。
それでも不二子には凄まじい刺激だった。
中指と人差し指が軽くGスポットを押さえ、ぶるぶると揺するように刺激している。
尿意が高まり、それが性的な絶頂へと昇華していく。

(ああっ……だ、だめ、いく……いっちゃうわっ……ひっ……)

不二子は何とかその声を抑え込んでいたが、それでも肉体は耐えようもなかった。
ランディの指が軽くそれを突っつくと、意識が飛びそうなほどの大きく深い快感が
襲いかかってきた。

「くあっ……うっはああっっ……!!」

不二子の膣から、ぷしゃあっと勢いよく潮が噴き出した。
激しく噴き上げたその液体は、ランディの手と言わず腕と言わず、腹部あたりまで
飛んできた。
同時に、ギクギクギクっと大きく三度ほど震えて、裸身をうねらせ、跳ねた。
どっとばかりにベッドに落下すると、全身の力ががっくりと抜けていた。
さっきまではローションプレイで散々嬲られ、性感を炙られて、目一杯感じさせら
れた上で、いく寸前まで追い込まれながらも、最後まではいかせてもらえなかった。
そのせいで溜まりに溜まった欲望が一気に炸裂してしまったのだ。
アキラがぱちぱちと拍手した。

「おめでと、お姉さま。とうとういったわね」
「あ……」
「うふふ、やっぱり美人がいくところ……、いいえ、無理にいかされるところって
いいわね。あたしも濡れてきちゃう」
「も、もう……」
「ん? なあに?」
「もう、いいでしょ……。戻してよ」
「何言ってるの? こんなの序の口、前座よ」

アキラがそう嘯くと、ドアがノックされた。
入ってきたのはハイネだった。

「ご苦労さま。結果は?」
「はい、アキラさまのおっしゃった通りでございました」
「やっぱりね」

ハイネが一礼して差し出した書類に目を通しながらアキラが言った。

「……お姉さま、ピル飲んでたでしょ」
「……!」

不二子はびっくりしたように少女を見た。
彼女は任務にあたる際、必ずピルを服用している。
長くかかりそうな時などは持参もしていた。
闇の医者や薬剤師を通して、市販品や医療機関用のピルよりも、長期間作用する
ものを服用していた。
強い薬だから副作用の危険はあるが、やむを得なかった。
組織に潜入して囚われ、犯されるケースを想定してのことだ。
レイプはともかく、その結果として懐妊するなどということだけは避けたかったのだ。
まさかそんなことを調べていることは思わなかった。

「それがどうかした? こんな仕事してるんだから、当然の予防策よ。実際、こう
なってるわけだしね」

不二子はそう言いながら自分を嗤った。
完全に自分のミスでこうなっているのだ。

「そうよねえ。孕み腹の峰不二子なんて、みんな幻滅するわ。あ、そういうのが好き
な変態もいるでしょうけどね」
「……」
「ま、妊娠なんかしたら、堕ろさない限りは仕事なんか覚束ないもんね。さすがの
お姉さまも、堕胎はしたくないってか」

もちろんである。
それ以前に、望まぬ妊娠などしたくはない。
その辺は、普通の女性と同じ感覚だ。
アキラはそれをからかうように言った。

「でも、妊娠させるのも面白いかな。あたし、子宮も取られちゃったから、妊娠て
どういことか、体感的には一生わからないから」
「あなた……」

驚いたように見つめる不二子の目に、別の色が浮かんでいた。
どうも「事故」は、不二子が考えていたのよりは、ずっと深刻だったらしい。
この年齢で出産すら否定されてしまったとは。
そのせいでこの少女は、こうも歪んだ性欲になってしまったのだろうか。
別に不二子は哀れんでいたわけではない。
そうした思いは偏見に劣らぬほどに、相手を傷つけてしまうことを知っていた。
しかし、アキラの方はそうは受け取らなかったようだ。
不二子の視線を、憐憫や蔑みと感じていた。いずれも彼女がもっとも嫌うものだ。

「なによ、その目は」
「……」
「あたしに同情してるわけ?」
「そうじゃないけど……」
「じゃあ何よ!」

少女は激昂した。

「一生歩けない、セックスも出来ない、子供も作れない。そんな14の小娘が哀れ
に見えたんでしょう! わかってるわよ!」
「……アキラさま」

ハイネが慰めるように少女の肩に手を置く。
それを振り払うようにして少女が言った。

「バカにして……。見てらっしゃい! ランディ! 徹底的にやんなさい!」

感情が高ぶりきった美少女に軽く会釈した青年は、ふらりと前に出てまるで感情を
表すこともなく着衣を脱ぎ始めた。
いよいよ不二子を犯そうということらしい。

不二子の方は諦めている。
ついさっき、いかされたところを見られて恥をかかされたのだ。
免疫とは言わないが、もういいやと思っている。
それに、一度ならず二度も絶頂させられたことで、肉の欲望は薄れてきていた。
好都合である。
これなら多少犯されても、どうということはないだろう。
しかもランディのペニスは巨大そうだ。
そうなら、痛いだけで感じるところまでいかないかも知れない。
あとは、少女に見られながらレイプされる屈辱に耐えればいいだけだ。
不二子の思考はそこで止まった。

「?」

なぜかトランクスは脱がなかったのだ。
別に期待していたわけではないが、拍子抜けはした。
不二子の意外そうな顔が面白かったのか、アキラが笑みを浮かべて言った。

「あらら、ご不満かしら、お姉さま。犯して欲しかった?」
「……別に」
「またまた。強がっちゃって、可愛いとこあるわね、お姉さま」
「……」
「でもね、まだお預けよ。楽しみに待ってて。急いては事をし損じるってね」

アキラは日本人でなければわからない慣用句を使って説明した。

「まだ一回いったくらいじゃ物足りないでしょ? あれだけ焦らされたんだから。
ね、お姉さま、感じてたんでしょう?」
「……ええ。それが何?」

不二子は開き直った。
感じてしまったのは事実である。
心ならずも絶頂してしまったのも確かだ。

だが、それがどうしたというのだ。
確かに敵の目の前で痴態を晒し、女の恥を見せてしまったのは屈辱だ。
だが仕方がない面もあるのだ。
性感帯をまさぐられ、刺激されれば感じるに決まっているのだ。
セックスや快楽はもちろん心が伴った方がより気持ちいいのは間違いない。
だが、嫌いな相手だろうが、意に染まぬ展開だろうが、刺激を受ければ反応するのは
致し方ない。

女性が感じる部位──男性もそうだろうが──、つまり性感帯は触覚の一部である。
そこから感じ取れる感覚は、こそばゆいとか、かゆい、痛い、冷たい、熱いなどだ。
その中にひとつに「気持ち良い」というもの、つまり快感がある。
そのポイントは人体から外に対して開放している部分──要するに穴の周辺に集中
しているのだ。
つまりは、鼻であり耳であり、口や性器、そして肛門などだ。
乳首にも乳腺口があり、ここも感じて当然なのである。

なぜ快感を得るかと言えば、そこは触覚細胞の受容器官であり、細胞と神経が集中
しているからだ。
受容器官の代表的な細胞としてパチニ小体というのがある。
これは皮膚の下や骨髄など比較的人体の深い箇所にあって、振動によって刺激を敏感
に受け止める。
愛撫による刺激を敏感に察知するから、この細胞が集中している部位が性感帯となっ
ているのだ。
さらに普段隠れている部分──足の裏とか膝の裏、腋の下など、そうしたところにも
集まっている。
だから、そんなところを巧みに愛撫されれば感じるに決まっているし、それが昂ぶっ
ていけば絶頂してしまうのは当たり前なのだ。
セックスとは案外と機械的なものなのだ。
不二子はそう思うことによって精神の均衡を得ていた。
そんな不二子を嘲笑うようにアキラが宣言する。

「……一度いったくらいじゃ満足できないでしょう、お姉さま。あれだけ身体はいき
たがってたのに焦らされ抜いたんだから」
「……うるさい」
「ふふ、愉しみにしてなさいよ。今度はいやってほどいかせ続けてあげるから。お姉
さまが泣いて頼んでも許してあげない。死ぬまでいかせてやるわ。ランディ! あれ
使いなさい」
「は? よろしいので?」
「いいから! あたしが「いい」って言うまでこの生意気なお姉さんをいかせるのよ!」
「……わかりました」
「……!」

不二子は目を見張った。
ランディがいつの間にか手にしていたものはとんでもないものだった。
凶悪な性具として知られる電動マッサージ器、いわゆる電マであった。

昨今ではアダルトビデオでもお馴染みだし、あまり表には出てこなかったが、かなり
昔からセックスアイテムとして使用されていたものだ。
以前はどちらかというとオナニー・ツールとして使われるのが普通だったようで、
しかも男女の別はなかったらしい。
女だけでなく、男もこれを性器に当て振動による快楽を愉しんでいた。
今でもそうした自慰利用はあるが、むしろ女を一方的に責め抜き、性の拷問として
男が愉しむような使われ方をしている。

不二子自身、もちろん使用したこともされたこともなかったが、知識としては知って
いた。
実際に使われた女から、興味本位で話を聞いたこともある。
それによると「あれを使われると本当におかしくなる。
とにかく刺激が強すぎる。
しつこくやられると強烈すぎる快感が永遠に続くようで気が変になる」らしい。
聞いた当時は「そんなものか」と思っていたが、今ひとつ実感はなかった。
試してみようとも思わなかったし、仮にしたがる男がいても拒絶しただろう。

それが今、目の前にある。
このままだと確実に自分がその餌食になってしまう。
30センチくらいのハンディタイプで、形状はグリップと電動部分に分かれている。
グリップにはスイッチとバイブレーションの強弱を調整するコントローラがあった。
電動する箇所は半球状になっており、その直径は10センチほどだ。
なぜかその部分にタオル地のカバーが掛けられていた。
不二子は知らなかったが、電マは、その樹脂部分を直接素肌に押し当ててバイブされ
ても気持ち良い振動にはならないのだ。
これは本来の使用法である肩や腰に使う場合も同じで、何かワンクッション、布地を
挟んで使うことが前提になっているせいだ。
服の上から肩に押し当てることを想定しているのだろう。
確かに、風呂上がりでもなければ裸で肩マッサージをすることはあまりない。

従って性具として使うケースでも、下着の上からするのが理想的なのだが、今の不二
子のように全裸の場合、こうして布を巻いて使うことになる。
ちなみに直接肌に当てて使うと、カッカとやたら熱くなるだけで、ちっとも快感は
起こらない。
話には聞いていたその凶器が自分に使われるとわかると、さすがに不二子も顔色を
変えた。

「ちょ……やめてよ、そんなもの使わないで!」
「だーってお姉さま、普通に犯しただけじゃちっともいってくれないし、よがっても
くれないんだもの。これ使うしかないじゃない」
「わ、わかった、わかったからっ。ふ、普通にしなさいよ、そしたら……」
「いってくれるっての? ウソね、いったようなお芝居するだけでしょ?」

不二子は激しく首を振った。

「ちゃんと感じる、感じてあげるから、よしてよ、そんなの使うのは」
「『感じてあげる』? まぁだそんなこと言ってるのね。いいわよ、おやりなさい
ランディ」
「は」
「い、いやっ……!」

不二子は、ほとんど初めて本気で脅えた声を上げた。
それでもランディは無表情のままスイッチを入れ、「弱」をセレクトした。
ヴヴ〜ンと不気味な音を響かせ、半球が振動する。
まだ「弱」なのだが、初めて見る不二子にしてみれば、恐怖感を覚えさせるには充分
だった。
それが開かされた股間に近づくや、顔を引き攣らせて叫んだ。

「いやあっ、やめて、お願いっ! あっ……」

とうとう来た。
男は不二子の媚肉に、電動部をぴったりと押し当ててきた。
だがそれは、思ったよりもきつい刺激ではなかった。
「弱」だからだろうか。
それでも不気味な振動が不二子を襲ってくる。
媚肉から入ってくる「何か」が身体のものすごい速さで駆け抜けていく。
電気的な痺れでもあり、熱でもある。
あてがわれたら、あっというまにいってしまうのではないかと思っていたのだが、
そこまでのことはなかった。
しかしその妖しい振動はじわじわと確実に媚肉に伝わっていく。
単調ではあるがリズミカルで、しかも絶対に止まらない振動が不二子の感覚を痺れさ
せていく。
快感というよりはくすぐったさの方が強いものの、いずれにしても我慢できるもので
はない。

「あっ、ああっ、あっ、あはっ、やっ……やはっ……ひっ……ああっ!」

美しい女スパイは、動かない身体を精一杯よじらせて身悶える。
愛撫というよりはくすぐられているのと同じだ。

「うっ……ああっ……」

不二子の声が少し変わった。
強弱スライサーをランディが調整し、電マの振動が少し強まったのだ。
刺激が強く重くなり、指導は皮膚と肉を通して子宮にまで到達する。
身体のいちばん奥にある子宮に振動が伝わり、それが逆にお腹に震えが返ってきた。

だが、まだ何とか耐えられる。
声が思わず出てしまうのはやむを得ないが、最終局面──絶頂にまではいかないで
済むかも知れない。
この小生意気な小娘の前でいいようにいたぶられ、またしても恥を晒すのだけは何と
してもイヤだった。

「んんっ……くっ……」

マシンの振動によって、不二子の腹筋や臀部がぶるぶると小刻みに震えている。
媚肉がぬらついているのもわかる。
恥ずかしいが、今、そこから電マを離されたら、振動部を覆っている布地はべっとり
と不二子の蜜で粘っているに違いない。
我慢しきれるかしきれないかの境界付近を不二子は彷徨わされていた。
もう少し責められたら、振動を強くされるかぐっと押しつけられたら、いってしまい
そうな気がする。

「あ……ううっ……」

ランディは相変わらず落ち着いた様子で、不二子の身体にアタッチメントを押し当て
強制的な快感を与え続ける。
電マと接触している媚肉からは次第に粘った水音を立て始め、愛液の甘ったるい匂い
が漂ってきた。
電マは「ヴヴヴ」と不気味な振動音をさせ、機械的に不二子を責めている。
外から伝わってくる振動が不二子の体内で熱と快楽を生み、それが全身へと伝わって
いく。

それでも、まだ「気持ちいい」と感じる余裕があった。
この味を覚え込まされたら、自分でもこれで自慰してしまいそうな気もした。
いけないと思っていても、瞳は潤い、何だか酒に酔ったような感覚になってくる。
血管の中に黒い快楽の素が混じり込み、全身に行き渡っていく。
それを堪えていると、今度は徐々に子宮方面から痺れるような快感が込み上げてきた。

「あ、あはっ……うんっ!」

ランディは巧緻な責めを見せ、電マは膣だけに使わず、尻や乳房にも押してて来る。
臀部に当てられると尻全体がぶるぶると大きく震え、それが奥のアヌスにまで刺激
を与えてきた。
揺れる乳房に触れさせると、吃驚したように不二子の身体が痙攣し、ただでさえ
豊満そのものの胸肉がバイブレーションでぶるぶると大きく蠢いた。
それでも、まだいかせないようにしているのか、肝心な部分──クリトリスや乳首、
そして肛門へは直接攻撃を加えて来なかった。
もしそこへ押しつけられていたら、今の不二子は簡単に気をやってしまっただろう。

(ああ……ま、まずい……)

いくかも知れないと思った途端、いきたくていきたくてしようがなくなってきた。
肛門を直接責められているわけではないのに、アヌスの方からじわじわ熱と快感が
込み上げてくる。
もうちょっと、あと少しでいけそうなのにいけない。
いや、いってはいけないのだ。

今や不二子の心は、いくことに全神経と感覚が集中してしまい、絶頂する直前になっ
ていた。
いく直前は、絶頂という最高の快感に次ぐ快感のはずなのだが、同時にもっとも苦しい
時期でもある。
耐えに耐えていたそれが一気に弾けるからこそ、絶頂の快感も凄まじくなるわけだが、
今の不二子は気をやる一歩手前のいちばん苦しい状態のままにされているのである。
全身はわなわなと震え、息が止まり、その苦しさが身体に返ってくる。

「くっ……ああっ……」

「いきたい」という思いが、不二子の中でどんどんと大きくなっていく。
頭の中は熱く漂白され、全身は突っ張るように力み返る。
呼吸は首を絞められた時のように苦しい。
ここで電マを「強」にでもされたら、問答無用で一気に昇り詰めさせられるのは確実
だった。
頭を鈍器で思い切り殴られたような衝撃が襲い、女体を快楽の頂点へ突き上げるのだ。
その状態がずっと続いている。
並みの女に耐えられるはずもない。
それを堪え続けている不二子の精神力は驚くばかりだ。
しかしそれも限界に近づいている。
その痴態を酷薄そうな笑みで見つめていたアキラが指示した。

「ランディ」
「は」

それだけでわかったのか、配下の青年は小さく頷くと右手に持った電マを左手に持ち
替え、空いた右手に別の性具を持った。
ディルドのようだった。
細長く、閉じた傘のように逆円錐状になっている。
それにグロテスクなイボが連なっている。
イボイボというより、球体をいくつも縦に並べたような感じだ。
いちばん上の球は直径1センチほどだが、もっとも下のものは4センチほどもあり、
下へ行けば行くほどに球が大きくなっている。
ランディは無表情のまま、それを不二子の肛門に使った。
アナルディルドであった。

「ひぃ!」

気をやってしまいそうな快感に浸りきっていた不二子は、突如アヌスを襲った痛み
で我に返った。
慌てて振り返ると、ランディは前を電マで責め続けながら、こともあろうに肛門に
淫らな性具を突き立てていた。

「やっ、やめて! お尻はいやって言ってるでしょ、あっ!」
「ふふん、お姉さまがあんまり気持ち良さそうにしてるからよ。ちょっと現実に戻し
てあげようかと思って。ふふ、でもいやらしい不二子お姉さまのことだから、すぐに
お尻も気持ち良くなっちゃって、またいきそうになるかもね」
「ふざけないでよ、あっ……くっ、い、痛いわよっ……!」
「またウソ。さっきランディの指が根元まで入っちゃったんだから、それくらい平気
よ」
「いやっ……、あ、ああっ!」

肛門を無理矢理に割ってくる苦痛は、中にそれが入り込んでしまうと猛烈な異物感に
取って代わる。
小さい先頭のものはするっと実に簡単にアヌスに沈み込んでしまった。
そのままクルクルと回転させられ、悲鳴を上げさせられると、次の球が入り込んで
くる。
徐々に大きくなっていくわけだから、当然苦痛もだんだんと強くなる。
中程の2.5センチの球ですら、不二子はアヌスが裂けそうな苦痛を味わっていた。

「くっ……やめっ……い、痛いって言ってんでしょっ……あう!」
「へーき、へーき。お姉さまの凄い身体なら、これっくらい全然へーきだから」
「ひ、人の身体だと思って気軽に言わないで! あ、痛いっ!」

ずぼっと3センチの球が不二子のアヌスに潜り込む。
引き裂かれそうな激痛と、だんだんとお腹が圧迫されるような息苦しさと猛烈な
異物感に犯されていく。
それでも、前を電マに責められ続けているため、アヌスの息苦しさと苦痛に慣れて
くる頃には、次第に快感の方が強くなってくる。
その時を見計らって、ランディはまた次の大きさの球を押し込むのだ。

「あぐうっ!」

とうとう最後の4センチの球までが不二子の直腸に入ってしまった。
肛門に突っ込んだそれを男はくるっ、くるっとリズミカルに回転させ、不二子の
腸内を刺激する。
球体が腸壁に当たったり擦れたりして不二子に悲鳴を上げさせていた。
当時にアヌスもこねくられ、巻き込まれるような苦痛と、得も知れぬ暗い快感が
忍び寄ってきた。
アキラはパチパチとふざけたような拍手をした。

「すごーい、ホントに全部入っちゃったあ」
「……く」
「ホントすごいわ、お姉さまの身体ったら。男じゃなくてもいろいろ悪戯したく
なっちゃう」
「それはあんたが変態だからよっ……うぐ!」

不二子の侮言を窘めるかのように、ランディは手にしたディルドを強く揺すり、
直腸を深くまで抉った。

不二子は戸惑っていた。
さっきまで電動具で媚肉を責められ、今にもいきそうな状態だったところに、その
すぐ側にある肛門を苦痛と圧迫感で虐められている。
前と後ろで正反対の責めを受けているのだ。
もしかしたら、膣でいきそうな感覚とアヌスの苦痛で中和され、どちらの感覚も紛れ
るかもしれないと思ったのだが、それは甘かったようだ。
異なる感覚の責めを同時に受け、肉体はどう反応していいのかわからなくなってきて
いた。

しばらくするとその感覚に身体が慣れてきた。
しかし不二子の期待したように快楽と苦痛を中和することはなく、逆に苦痛が快感に
変化してきたのだ。
ランディの責め口も巧妙だったのだろうが、痛みと息苦しさの方が強かったアヌス
からも、痺れるような快感が迫ってきている。
それが電マに責め抜かれる媚肉の快感と共鳴し、渾然一体となった新たな官能となっ
て不二子の快感中枢を支配していく。

「んんっ……はああっ……」

それでもいけない。
いきそうになると、それを見越したように男は責め口を緩めていく。
堪えきれずに不二子が腰を突き出すようにしてきても、嘲笑うようにアタッチメン
トを引いてしまうのだ。

不二子はもう忘我寸前だった。
辛うじて動かせる首と手、そして足首から先をうねらせる。
首を激しく打ち振るい、手のひらが大きく開いたり、ぐっと握りしめられる。
足首に力が籠もり、足の甲がぶるぶると震えて、足の指がきゅっと屈まっていた。
激しい快感は身体を思い切り動かすか、大声を上げて逃がしてやらないとどうにも
ならない。
しかし不二子はその両方を封じられている。
身体は拘束されて雁字搦めだし、大きな嬌声を上げ、よがり喘ぐなど彼女のプライ
ドが許さない。
八方塞がりのまま、強制的で強烈な快感は、どんどん不二子の体内に溜まっていく。

それが限界まで蓄積されたらどうなってしまうのか。
考えたくないとばかりに、不二子はなおも首を激しく振っていた。
その頃になるとアナルディルドも、肛門粘膜を巻き込むようなことはなく、スムー
ズに出入りしている。
不二子から腸液が分泌され始めているのだ。
事前に指でほぐされたせいか、不二子の肛門はすぐに凶器に馴染み、苦痛が痺れる
ような感覚に変化していく。
それがまた、前を責めている電マの振動と共鳴し合って、気丈な女諜報員を堪えきれ
なくしていった。
とどまることのない、甘美だが強烈な快感が続々と肉体の芯から込み上げてくる。
もうこれ以上、快楽と快感をため込めない。
発散させなければ身体が炸裂してしまいそうだ。
もうだめだ。
一度いこう。
それしかない。

不二子が悲壮な決意を固めた時、媚肉を責めていた刺激がすっと遠のいた。

「あっ……」

不二子はその快感を求めるように腰をつんのめらせた。
逃げていった電マを追いかけたのだ。
その浅ましい姿を見て、アキラが大笑いする。

「あははははっ、お姉さま、みっともない。電マがそんなに良かったの? 名残惜
しそうにオマンコ、追っかけてるじゃないの」
「……」
「うふふ、いいわ、その悔しそうな顔。いかされた顔もいいけど、美人の苦しんでる
顔とか悔しそうな顔って萌えるわね。変態さんの気持ちがわかっちゃう」
「……それはあんたも変態だからでしょ。あう!」

不二子の辛辣な言葉にランディが反応し、尻に突き刺したディルドをずぶっと奥まで
抉ってきた。
球がいっぺんに中へ入り込み、不二子の肛門粘膜を激しく擦っていく。
かあっと灼けるような刺激と快感がアヌスに広がり、思わず首を仰け反らせて喘ぐ。
ランディはディルドをぐるぐると回転させつつ、ゆっくりとまた抜いていった。

「あぐっ……!」

根元のいちばん大きな球が、狭いアヌスの皺を引き延ばしつつスポンと抜けると、
不二子は大きく仰け反って呻いた。

「あう!」

ふたつめはやや小さいからさっきよりは楽なはずだが、抜ける時、やはり不二子は
喘いだ。
少し爛れ気味のアヌスが内側から広がり、再び大きなボールが零れ出てくる。
ランディはゆっくりと抜き出し続け、肛門は苦しげに収縮しつつも次々と球を吐き
出していく。
球はいずれもどろっとした腸液にまみれて光っており、見るからに淫らであった。
不二子は少しずつ喘ぎ始め、呼吸も荒くなっていく。
明らかに性感を得ているのだ。

「も、もういや……あ、またあっ!」

全部抜き終えると、また中に押し込まれていく。
その異物感に嘔吐にも似た苦痛を味わいつつも、不二子はその異形な快楽に弄ばされ
ている。
不二子の呻きと喘ぎを聞きながら、男は飽きることなくディルドを出し入れしてい
った。
そんな責めに不二子の方が音を上げる。

「ま、まだするの……あっ……も、もういや……」
「ふふ、感じてきた? もうお尻だけでもいっちゃいそう?」
「ち、違う……く、苦しいのよ、あっ……お尻、苦しい……抜いて、ああ……」
「ふうん。ランディ、不二子お姉さま、お尻が苦しいんですって。あんなおっきな
お尻してるくせにだらしないわ」
「……で?」
「……いいわ、抜いて。そしたら、そろそろいかせてあげたら? あたしもそろそろ
本格的にお姉さまがいくとこ見たいし」

男は頷くと、責める女のアヌスを見やる。
執拗に責め抜いてきたというのに、不二子のそこは何度めくり上げられても美しい
ままだった。
ランディはまだ執着があったが、アキラの命令は絶対だ。
一度また根元まで埋め込んでから、今度は一気に引き抜いた。

「あっ、はああああっっっ……!」

ディルドに縦に連なっていた球がずるずるっと一度に吐き出されてくる。
そのたびにアヌスの皺が伸び、激しく収縮した。
ディルドが抜け出ると不二子はぶるるっと大きく痙攣し、直後、がっくりと項垂れた。

(ああ、ウソ……ウソよ、こんな……。お、お尻だけでいっちゃったの、あたし…
…?)

アヌスを責められる趣味はなかったし、そこに興味を示した男がいても断固拒否して
きただけに、まさか自分の肉体にそんな快楽中枢があるとは知らなかった。
恥ずかしい排泄器官を覗かれ、そこを責められて絶頂してしまった不二子は懊悩した。
アキラが嬉しそうに微笑む。

「いったんでしょ、お姉さま」
「……」

力なく首を振ってもまるで説得力がないことは自分でもわかっていた。

「うふ、満足した? ご希望通りいけたのよ」
「……」
「あらら、まだ不満? いいわ、思いっ切りいかせてあげる。今度は泣いて頼んでも
いかせ続けるからね。ランディ」
「は」
「あ……も、いや……ああっ!?」

またあの不気味な振動音が響き、不二子が脅える暇もなく、それは股間に押しつけ
られた。

「……!!」

瞬間的だった。
あっという間もなくいかされてしまったのだ。
それがクリトリスを潰し、媚肉にぴったりと押しつけられたかと思うと、激しいバイ
ブが性器全体に伝わり、信じられないほどの快感が襲いかかった。
不二子の意志とは無関係に、脚が突っ張り、全身が硬直し、大きく開けた口は閉じる
ことも出来なかった。
身体の奥がきゅっと締まるような猛烈な官能に、美女の裸身はひとたまりもなかった。

「あっ……あぐっ……はああっ、んんんっ……あああっ……うあっっ……!」

いったというのに止まらない。
止めてくれない。
男は射精すればおしまいだが、電マにはそれがない。
射精を受ける深い快楽こそないものの、疲れを知らぬ強靱な責めがいつまでも続く
のだ。

「っ……つあっ……ひぃあああっ……やっ、はあああっっ……あああっ……うひぃ
ああっっ!」

ものすごい振動と痺れが媚肉と肉芽から猛烈な勢いで込み上げてきて、あっという
まに昇り詰める。
絶頂感が来るのがわかる。
それが連続なのだ。
ああ、来る、来る、来る、来ると思っているうちに、勝手に口が開き、絶叫に近い
喘ぎ声が発せられる。
あまりの快感に腰や腿は震えっぱなし、痙攣しっぱなし。
じきに下半身全体が痺れて言うことを聞かなくなってきている。
急激な勢いで頂点までいったと思ったのに、そこから一向に降りて来られない。
それどころか、その高所からまた一段高いところにいくような感じだ。

「ひゃはああっ……うひっ……あぐああっ……だっ、だめええっ……うぐああっ!」

もう悲鳴だかよがり声だか判別し難い叫び声しか出てこない。
あまりに絶叫しすぎて声が涸れるし、呼吸も苦しくなる。
それでも喘がずにはいられないのだ。

「やっ、やめてええっ、やっ……もういやっ……きゃああっ……お、おかしくなるっ
……ひっ……ああっ、またあっ……あああっっ」

さすがのアキラも、電マ責めの圧倒的な威力に呆然としていた。
いかされてもいかされても、さらにいかされる不二子の凄惨な美貌は言語を絶して
いた。
いつしかアキラは、スカートの裾から手を入れ、自分を慰め始めていた。

「……凄いわ、お姉さま。機械相手にそれだけいけるのね。普通の女なら壊れてる
かもよ」
「そっ、そんなことどうでもいいから、ひあっ……やめ、やめさせてっ……あ、また
っ……もうっ、もうだめなのよ、ホントにぃっ……うあっ」
「……そうね」

オナニーしながら見物していたアキラだったが、さすがに不二子の限界を感じていた。
いかに体力があろうとも、こう立て続けに絶頂責めされたら保たないだろう。
この先、不二子を壊すくらいに快楽漬けにするつもりではあるが、あくまで男に責め
られてでなくてはならない。
天下の峰不二子が電マに屈するのを見たいわけではないのだ。
アキラがそう考えているうちにも、男の手は責め続ける。

「だめえっ!!」

不二子は、絶叫すると同時に大量に噴いた。
ぶるぶるっと痙攣しながら、電マを押しつけられた膣口からぶしゃああっと潮を噴き
出したのだ。
もうどうにも気持ち良くて我慢出来ず、膣奥が熱いと思った次の瞬間、一気に何かが
込み上げてきてそのまま噴出したのだ。
これにはアキラも驚いた。

「すっごーーっ……、ね、今の潮吹きってやつ?」
「そう思います」
「へーっ、へーっ。すごい、すごい、あたし見るの初めて。よくやったわ、ランディ、
いいもの見せてくれてありがとね」
「恐縮です」
「もっと! もっと見たい」
「や、やめて……ひゃああっ!」

ぷしゃああっ。

また噴き出した。
身体がびくびくと跳ね回り、痙攣がまったく止まらない。
身体もだが、頭の中までおかしくなりそうだ。

「やめて……もうやめてっ……やっ、い、いくっ……!」

不二子の懇願など聞く相手ではない。
アイマスクのままだから、どうなっているのかは不二子にはわからないが、足下の
ベッドがぐっしょりなのはわかる。
もうシーツでは到底吸い取り切れないほどの量の潮を噴いているのだ。
びちゃびちゃと水たまりになっているようだ。
なのにまだ男は責めてくる。

(す、凄いっ……ホントにおかしくなりそうっ……!)

全身の痙攣も津波のような快感の嵐も一向に止まらない。
いかされるたびにビクッと大きく身体を震わせ、よがり喚き、そして潮を噴かされた。
もう意識は朦朧とし始めており、膣の中に何かが入ってきたことなどまったく気づか
なかった。
不二子が我に返ったのは、電マの刺激が一瞬遠のいた時だった。
ホッとしたのもつかの間、またぶるぶるぶるっと細かいバイブレーションが膣内に
伝わってきた。
が、先ほどのまでの暴力的なものとは少し違う。
直接的な振動ではなく、間接的に柔らかい震えになっている。

「あっ、あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っっ!?」

籠もったような咽せるような熱っぽい不二子の声が響く。
不二子は息を吐くだけで吸う暇がない。
息が出来ない。
ぶるぶると震える細身のものが膣口から胎内に入り込んでいるらしい。
外からばかりだった振動が、今度は中から、そして奥までやってきた。

「な、何をっ……! 何をしてるのよっ、あっ、うあああああっ……!」
「うふ、知りたい? いいわ、教えてあげる。ランディの指がね、お姉さまのオマン
コに入ってんの」
「ゆ、指……? あうあっ……!」

そんなはずはない。
たかが指一本入れただけで、これほどの快感になるわけがないのだ。
しかもこんなに細かく機械的な動きが人間に出来るとも思えない。
そんなことを考えているうちに、どんどんと下半身が痺れてきた。

「でもね、ただ入れてるだけじゃないのよ。あのね、ランディは左手で電マを持って、
それをお姉さまのオマンコに突っ込んでる右手にくっつけてんのよ」
「え……」

つまり、電マの振動を手のひらや指に伝え、その手で不二子の膣内を刺激している
のだ。

「だめえええっ、ひっ、それすごいっ……す、凄すぎるっ……やああっ、いくっ…
…い、いくっ……またいくうっ……ひあっ……!」

ヴヴヴヴと電マで痙攣させられた指が膣内を抉るその刺激に、不二子は本当に昇天
しそうだった。
恥も外聞もなく、大声でよがらされ、絶叫が喉から迸る。
もう我慢しようという気にもならない。

「い、いぐっ……!」

実に簡単に、呆気ないほどに不二子は気をやらされる。
振動は奥の方で激しくなり、不二子の膣内を犯していく。
身体は硬直と弛緩を繰り返していたが、そのうちいきっぱなし状態となって、ずっと
強張ったままとなる。
背中は、折れるのではないかというくらいに弓ぞりにたわみ、背骨と腰骨が軋む音
まで聞こえそうだ。
手の指も脚の指も、何か掴まないといられないとばかりに虚空を掴み、ぎゅっと屈ま
っている。

指が子宮に触れ、その振動が伝わると、不二子は脳天を激しく揺さぶられ、連続的な
絶頂に苦しめられた。
苦痛と快楽は紙一重だが、苦痛がそのうち快楽となるように、あまりに強い快感や
連続的な快楽は苦痛にしか感じられなくなる。
きりがないのだ。
いってもいっても、またいかされる。
何度いっても、また次がある。
逃げようにも逃げられない。
さっきまで、あれほどいきたいと思っていたのがウソのように、もうこれ以上いき
たくないと発狂寸前になるほどだ。
その間にも、不二子の膣口からは止めどなく蜜と潮が交互に噴き出してくる。
いくまではだらだらと愛液がだだ漏れで、いく瞬間に勢いよく潮が噴き出す有様だ。

「やはああっ、やめて、もういやああっ……い、いくっ……もうほんとだめっ、あ、
またいっちゃうっ……お願いやめ、ひっ、いっくっ……!」

もう不二子は半泣きだ。
もう無理だと不二子は思っているのに、その肉体は持ち主を裏切り、勝手に何度も
いきまくる。
不二子は自分が壊れたと何度も思った。
思った矢先に立ち直ろうとするのだが、その根元からまた壊されていく。

「い、いくっ……や、もういきたくないっ……で、でもいくうっ……いやあああっ
っ!!」

不二子が革ベルトを引き千切らんばかりに手足を捩り、激しく暴れ悶えて絶叫する。
さすがに見かねたハイネがアキラに耳打ちすると、少女も満足げに頷いて言った。

「……少しは懲りたかしらね、この生意気なお姉さまも」
「い、いぐっ……いはああっ……!」
「あらら、もうまともに答えられるような状態じゃないってか。ま、いいわ。ラン
ディ、今日のところはこの辺にしましょ」
「え……、しかし私はまだ……」

ランディは少し不満そうにアキラを見た。
アキラは、ランディの股間がスラックスを突き破らんが如く大きく膨れあがってる
のを面白そうに見てから首を振った。

「あーらら、そんなにおっきくしちゃって。お姉さまに突っ込めないのが不満でしょ
うけど、今日はここまでよ。でも心配しないで、ちゃんとあんたにやらせてあげる
から」
「……はい」

そんなやりとりを尻目に、不二子は完全に失神していた。
ベルトに身体を預け、その全身は湯気が立たんばかりに火照っている。
むせ返るほどの女の臭気に覆われ、ぐったりと脱力していた。
よく見ると、その半開きになった口からはよだれすら垂れていた。
気を失っているというのに、不二子の肉体は痺れ続けており、思い出したように
ぶるっ、ぶるるっと痙攣を繰り返していた。
興味深いことに、膣口からも間歇泉のようにびゅっ、びゅっと潮が噴いている。
どうやら、意識は失っているものの、身体の方はさっきまでの猛烈な快楽地獄の余韻
が残っており、快感のフラッシュバックが起こっているらしい。
媚肉だけが、まるで生きているように蠢き、蜜を垂らし、潮を噴いていた。

少女は満足げに微笑んでその様子を見ていた。
自らの体液で汚れた右手を無造作にスカートの裾で拭いている。

「お姉さま、今日は寝られないかもよ。あたしはもう帰るけど頑張ってね」
「……」
「あ、そうそう」

いったん車椅子を回して帰りかけたアキラだったが、何か思いついたように止まった。
車椅子を押すハイネも、すぐに動きを止め、くるりとアキラの椅子を回転させた。

「言い忘れてたけどこんなもんじゃ済まないわよ、お姉さま。あたしを舐めてくれた
ことは忘れないから。今度はまた別の趣向で遊んであげるから、今日のところは機械
に弄ばされる悦びを満喫してなさいね」

そう言い捨てると、ボスの少女は執事に車椅子を押されながら部屋を後にした。



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