「おわ!」
ルパンは顔をしかめて携帯を耳から離した。
携帯をぶっ壊しでもしたかのような凄まじいノイズが響いてきた。
ソファの上で胡座をかき、瞑想でもしているように目を閉じていた五右衛門が片眼
だけ開けて聞いた。
「……不二子か」
「ああ……、そうだ」
「呼び出しか」
「そんなところだ」
「やめろ、やめろ」
ソファに寝転んでいた次元が言った。
「どうせ骨折り損のくたびれもうけってやつだ。見返りも何もなく、あの女の手助け
するなんざ俺はごめんだぜ」
「……五右衛門もか」
白い和服に青袴を履いた長髪の武芸者も、黙って頷いた。
こっちから誘った場合はともかく、不二子の側から参加を呼びかけてきた仕事には
ろくなものがない。
いや、獲物自体はびっくりするほどのお宝がほとんどだが、当然のようにそれは
不二子行きとなる。
ルパンたちにもそれなりに支払いがあることもあるが、大抵はただ働きに近い。
それどころか、こっちから持ちかけた仕事ですら、不二子が「裏切って」無報酬に
なることもあるのだ。
結局、ルパンが不二子に「ホの字」だということを利用して、良いようにルパン
一家を使っているだけなのだ。
もちろん彼女とてルパンやその仲間達に一種のシンパシーは感じているし、今後の
付き合いのこともあるから、毎度毎度ひどい扱いになるということはない。
だが、それにして対等とは言い難い扱いを受けているのは事実である。
不二子を憎からず思っているルパンはともかく、渋々つき合わされる次元や五右
衛門はたまったものではない。
ルパンはそんな仲間の様子を見ながら、唇をひん曲げて言った。
「まあ、そう言うなって。これだけ。今回だけ、な?」
「……何度聞いたかわからんぞ、そのセリフ」
「昔のことは忘れろって。それにな、これで今回不二子を助けて借りを作っておけ
ば、今後いろいろ役にも立つってもんさ」
「どうかね。あの牝狐がそんな恩義を感じるとは思えんな。貸しはともかく借り
なんかすぐに忘れるだろうぜ」
「それがしも同感だ。ルパン、いい加減にあの女にこだわるのはよせ」
五右衛門にしろ次元にしろ、実はよくわからない。
なぜにルパン三世ともあろう者があの女にここまで拘泥するのか。
確かに峰不二子は諜報員としても泥棒としても一級品ではあろう。
見た目も美女であり、スタイルも抜群なのは認める。
しかし、それはそれだ。
その反動なのかわからないが、その分、性格が悪すぎる。
いや、残虐だとか極悪非道だとか、そういう意味ではない。
相手を騙し、手玉に取り、それでいて罪悪感がない。
ルパンなどにとっては、そういった小悪魔的な面も憎めないところなのだろうが、
次元たちには理解不能である。
ルパンがその気になれば不二子クラスの美女など、いくらでも手に入るはずなのだ。
にも関わらず、なぜかこの男はあの牝狐に執着している。
いい歳をして恋だ愛だというのもバカバカしいが、ルパンはまさに恋の病に罹って
いるとしか理解のしようがなかった。
「何の役に立てるつもりか知らんが、放っておけ。本当にあの女が困っているんだ
としても、たまには良い薬だ。そう毎度毎度俺たちが救ってくれると思わせない方
がいい。じゃねえとあの女、いつまでもてめえがお姫様だと思いやがるぜ」
「俺にとってはまさにお姫様さあ」
「けっ」
「な、次元、五右衛門。頼むよ。取り敢えず手配だけ。な?」
「ちっ……」
次元が舌打ちしながら起き上がった。
結局、ルパンの要望を聞いてしまう自分を「甘い」と思いつつも、無下には出来
なかった。
ルパン一家の頭の命令だから、というわけではない。
彼らはルパンを頂点にしてはいるが、案外と緩やかである。
家臣や配下ではなく、同等の立場なのだ。
その中で、ルパンがリーダシップを執っている、という表現がもっとも近しいだろう。
気が向かぬ仕事だったりした場合は、必ずしも参加するとは限らない。
次元も五右衛門も拒否した場合、ルパンは臨時に他のメンバーを雇って仕事すること
だってある。
逆に、彼らが持ち込んだ仕事にルパンが興味を示さず、ルパン抜きでやることすら
あったのだ。
ただ、ルパンが頭を下げてくるような場合は、結局やることになってしまう。
ひょいと投げられたルパンの携帯を片手でキャッチしながら次元が言った。
「……通話記録調べて、どっからかけてきたか探ればいいか?」
「悪いね悪いね」
ルパンが戯けて手を挙げて頭を下げると、ふたりはため息をついて部屋から出て行
った。
────────────────────
「……」
不二子は、がちゃがちゃという耳障りな音で意識を取り戻した。
目を覚ましたのは、あの嵐のような絶頂地獄から3時間後のことである。
まだ身体の芯から疲労が抜けないのは仕方がないだろう。
屈服寸前まで焦らされ、その後は強制的に何度もいかされ続けて、身も心もどろ
どろになってしまったことは、まだ記憶に新しい。
身体中汗みどろだったし、恥ずかしいが口からはよだれが、膣からは愛液が、肛門
からは腸液が溢れかえっていたのだ。
思い出すだに気色悪く、一刻も早くシャワーを浴びたかった。
そう考えて気がついたのだが、身体が妙にさっぱりしているのだ。
匂いもない。
どうも身体を洗うか拭われたようだ。
だが、感謝する気にはとてもならなかった。
不二子が失神している間に、媚肉やアヌスを拭ったということになる。
その肌を擦ったということになるのだ。
決して気分の良いものではない。
「あ、もうお目覚め? さっすが不二子お姉さま、体力あるう」
見れば、まだアキラもハイネも、そしてランディもいる。
ずっといたわけではないだろうが、それにしてもまだ責めるつもりなのだろうか。
普通、あそこまで責め抜けば、まだ責めるとしても翌日にするだろう。
不二子の方も疲れているだろうし、そもそも責める男も見ているアキラにしても
疲れるだろうに。
にも関わらず連中は新たな責め具を用意して、またしても不二子を淫らに責めよう
としているらしい。
「……まだ疲れてるわよ、あんなことされたんだから」
「そりゃそうよね。ああ、でも面白かったなあ。まだ耳に残ってるわ、生意気な
お姉さまが何度も「いくっ、いっちゃうっ」って叫んでたのが」
「……」
「すんごい乱れっぷりだったよね、恥ずかしくないの? あたしの前であんなに
よがりまくって」
「……」
「なんかさ、ああいう風に女を道具で責め続けていかせまくるビデオもあるらしい
けど、あれみたいだったよね。うーん、不二子お姉さまでそんなビデオ作ったら、
値段なんかつけ放題だわ。ほとんど言い値で注文殺到!って感じ?」
「……あんた、本気でそんなことする気なの?」
正直、不二子は脅えた。
あの時は、あんな責めを続けられれば、女が乱れるのは当たり前だと思っていた。
だから、自分がそうなってしまうのは不本意ではあるが仕方ないとも思ったのだ。
しかし、それは「恥のかき捨て」だから言えるのであって、その様子を撮影され、
映像として流出するとなれば話は別だ。
いかに恥ずかしいことではないと不二子が思っていたとしても、それを見た側は
別の評価をするだろう。
仕事の依頼でも、また敵に捕まった時でも、不二子を見る目やその扱いが著しく
変化するに違いない。
不二子を捕らえ、調教でもしたのなら、その組織は裏社会では一目も二目も置かれ
るだろうが、不二子の方は一気に評価を落とすことになるのだ。
アキラはそんな不二子を面白そうに見つめた。
「うふふ、気になる?」
「……別に」
「ウソばっかり。セックスビデオ……じゃなかったけど、あんな恥ずかしい映像を
撮られたら、どんなに気丈な女だって平静じゃいられないわよ。ましてそれが外に
出るかもって思ったら」
「……」
色白の不二子の顔色が少し青ざめたのを知ると、総帥の少女は実に満足そうな表情
を浮かべた。
「心配しないでいいわ。撮影したのは本当だけど、まだそれをどうするかは決めて
ないから」
「ほ、本当に撮ってたの……?」
「まあね。だって、かの峰不二子を色責めするのよ? カメラ回さない訳ないじゃ
ないの」
「こ、この……」
「あらら、おっかない顔。美人が台無しよ。だから安心してってば、まだそんなこと
しないから。当面はあたしが見て愉しむだけよ。でも」
「……でも?」
「……お姉さま次第かな」
「あんたたちに従えっての?」
「最終的にはね。でも、なるべく粘って欲しいしなあ。簡単に堕ちちゃってビッチ
になるのってつまんないじゃん。ね?」
アキラは車椅子の肘掛けに左腕を立て、その手の甲に顎をちょんと乗せている。
右手の指がリズミカルに肘掛けをとんとんと叩いていた。
「だからさ、ま、あたし次第ってとこかな。PMってそういうもんらしいしさ。
それに、お姉さまの綺麗なヌードを、そうそう野蛮な連中に見せたくないもん。
ましてや、あの悩ましいほどに色っぽい感じっぷりなんか」
「……」
「ま、うちがよっぽど資金繰りに困りでもしない限り、あるいはお姉さまがバカな
ことしない限りは複製したり売ったり上映したりはしないから」
「でも、あんたはそのつもりでも、配下の連中が……」
確かに、アキラがそう約束し、それを守ったとしても、部下たちはどうかわからない。
売れば100%儲かるとわかっているものなのだ。
PMを裏切り、不二子のビデオを資金源として新たな組織を興すことだってあり得
ないわけではないのだ。
あるいはビデオを別の組織に持ち込んで守ってもらい、自分も上がりの一部を受け
取るという手もある。
不二子の言を聞き、アキラはこくんと頷いた。
「あり得ない、とまでは言わないわ。アンダーボスどもにそんな気概や蛮勇のある
連中……というより、そこまで先の見通せないのがいるとは思わないけど、下っ端
のやつらはわからないから」
「じゃ、じゃあ……」
「うん、それは普通のエロビデオならね。そういう細かい仕事はバイトとか雇って
やらせるけど、このビデオはそんなことしないもん。原盤はあたしが預かるし、
コピーもとらない。万が一、複製したり勝手に上映したようなことがわかったら
どうなるか、それは連中も骨身に染みてわかってるはずだから、とりわけ心配ない
と思うけどね、信用して。ま、あたしが信用してったって何の保証もないんだけ
どさ」
結局、不二子は安堵できる要因は何ひとつなかった。
そこはかとない不安が、敏腕の女スパイを当惑させる。
ビデオの件はともかくとして、この小娘は自分をどうするつもりなのだろうか。
まさかこのまま飼い殺しにするわけにも行かないだろう。
本気でそうしたいと思ったとしても、そんなことをしたらルパンが黙っていない
はずだ。
不二子は何度となくルパンを袖にしてきてはいたが、彼はそんなことで引っ込む
ような男ではない。
良い意味でも悪い意味でも無類の女好きであり、不二子がちょっと甘く微笑んだり
すれば、もう一発で落ちてしまうのだ。
概して惚れっぽいのだが、他の女へ目は向くものの、結局、不二子をいちばん気に
掛けている。
少なくとも不二子はそう思っていた。
その不二子が囚われた。
捕まったのはともかくとして、手酷く嬲られ、犯されたとあってはタダでは済む
まい。
不二子からSOSを出せばもちろん、連絡が取れなくなっただけでもルパンは
大騒ぎだろう。
これがひと月やふた月ならともかく、半年一年と続けば、ルパンだけでなく次元
たちも「おかしい」と気づくはずだ。
次元にしろ五右衛門にしろ、あまり不二子にはいい印象を持ってはいないが、結局
はルパンに引きずられることになる。
それに、もし死んだなら死んだで、それを確認したいとは思うはずだ。
いずれにせよ、不二子がこのままならルパン一家が動き出すのは間違いない。
そのことはボスどもとの会議でも指摘されていたのに、この少女は平然としていた。
幾多の修羅場をくぐり抜けた不二子でさえ、アキラが何を考えているのかさっぱり
わからなかった。
「アキラさま、用意が調いました」
「あ、そ。ご苦労さま」
ハイネからそう告げられると、こしゃまっくれた少女は軽く顎をしゃくった。
それを合図に忠実な執事は一礼して部屋を去った。
残ったのは少女と責め役の青年、そして不二子だけである。
ハイネを下がらせた理由はわからないが、恐らく、もう不二子に抵抗の手立てはなく
安全だと踏んだからかも知れない。
仮に不二子が戒めを解き、反撃に出たら、彼らは為す術がない。
ランディは細身の青年で、とても格闘技が出来るとは思えないし、銃が使えるように
も見えない。
アキラは車椅子である。
拳銃の腕はかなりのものだったから、今の不二子相手であればそれで必要充分と思っ
たらしい。
それに、またアキラは責められる不二子を見ながら自慰するのかも知れない。
そんなところはあまり見られたくはないのだろう。
それにしても、さっきは常軌を逸するような快楽責めだった。
今度は何をしてくるのか想像がつかない。
そんな不二子の感情がわかるのか、アキラはにっこりして言った。
「あらら、お姉さまらしくない弱気なお顔。何されるか不安?」
「そりゃね……。あたしだって生身の女だし」
「あはは、そうよね。いくら狡猾な牝狐と呼ばれるお姉さまだって一皮剥けばただ
の女。それはさっきいやってほどわかったでしょ?」
「……」
「あらら、お返事がない。じゃあ、もっと判らせてあげる。お姉さまがただの女だ
ってことをね。ランディ」
「は」
少女が手を振ると、青年はすっと前に出てきた。
上半身裸なのはさっきと同じである。
しかし手に持った道具が違っていた。
あのおぞましくも恐ろしい電動性具ではなかったものの、今度は別の意味で不二子
を恐怖させる代物だった。
「あ、あなた、それって……!」
「うふ、わかるわよねえ。そ、浣腸器。これでお姉さまの、その大きすぎるお尻を
もっと責めちゃおうって寸法よ」
不二子は本当に青ざめた。
その医療器具を使ってどんな風に女を責めるのか、そんなことは不二子にもわかる。
それでも、泣いて哀願することは出来ず、残ったプライドをかき集めて震える唇で
虚勢を張った。
「あ、生憎あたしは便秘とは無縁よ。運動にも食事にも気を使ってるから」
「そういうの関係ないし」
「だ、だからいらないわよ、しないでいい」
「物覚え悪いのね、お姉さまの意志なんか無関係なのよ。あたしがしたいことを
するだけ」
「い、いやよ!」
「そんなに嫌がらないでよ。浣腸って言うからイヤなのよ、きっと。腸内洗浄とか
……えーと、コロン・クレンジングだっけ? ほら、そういう美容法もあるんでしょ
? あたしには関係ないけど」
「あ、あたしにだって関係ないわよ!」
「そう言わずにさ。亡くなった、かのダイアナ妃だってやってたって話よ。きっと
効果あるのよ。それともあれかな、ダイアナさんも変わった趣味をお持ちだったの
かな」
少女は無責任にそう言うとけらけら笑った。
不二子はカッとした。
「あ、あんた変態!? そんな、女が浣腸されるところなんか見て楽しいの!?」
「ええ、愉しいわよ。もっとも、お顔の不自由な方じゃいやだけど、不二子お姉さま
みたいな超美人でスタイルも極上な女なら是非見たいわ」
「へ、変態っ……!」
ハイネがいたら頬を張られそうな台詞を連発したものの、不二子には抗う術がない。
ベルトで雁字搦め状態は変わらないのだ。
後ろからランディが大きな浣腸器を持って近づいてくると、不二子は身を捩って逃げ
出そうとする。
「い、いやっ、来ないで、近寄らないでってば!」
「学習しなさいよ、お姉さま。いっくら嫌がっても無駄なのよ。それに、少しは慣れ
ておいた方がいいわよ。だってこれから毎日されることになるんだから。そう、お姉
さまがお尻だけでもいけるようになるまでね」
冗談ではない。
不二子は激しく首を振った。
「やっ……いやよ! あ、あたしはもう……い、けるわよっ……」
「え?」
アキラはわざとらしく耳に手を当てて聞き直した。
「もっかい言ってくれる? お姉さま、もうお尻が感じるの? お尻でいけるわけ?」
「くっ……、い、いける……お尻でいけるわよ……。だ、だからやめてよ」
それを聞いてアキラは大笑いした。
「ああ、可笑しい。天下の峰不二子さんが「あたしはお尻でいけます」だって。
おっかしー」
「こっ、この……」
「でもね、だめ」
アキラはきっぱりと言い放った。
「口先だけじゃ信じらんないわ。お姉さまくらいセックス百戦錬磨だったら、いった
フリで男を騙すのなんか簡単でしょうし」
「そっ、そんなことないっ……」
「ウソ、信じないから。そうね、お姉さまの方から浣腸して欲しいってねだるように
なったら、おあずけ責めしたいからやめてあげようかな。どうする? 不二子に浣腸
してくださいっておねだりしてみる?」
「バ、バカにしないでっ!」
「あらら、そう来たか。じゃ仕方ない、予定通りね。いいわよランディ、お姉さんが
泣き喚くまで浣腸してあげましょう」
「は」
「い、いやっ……、絶対にいやよ!!」
不二子が脅えた悲鳴を上げた様子を見ながら、青年は彼女の前に移動した。
浣腸道具を載せたワゴンがガラガラと音を立ててやってくると、また不二子は「ひっ」
と喉を絞った。
ランディは白い洗面器に樹脂性のボトルからどぼどぼと薬液を注ぎ込んでいる。
「グリセリン」とラベルが貼ってあった。
そこに、さきほど不二子を狂わせるきっかけを作った、あのローションが加えられる。
これによって、さらに溶液は濃度を増した。
少女はくすくす笑いながら、ランディの作業と不二子の青い顔を交互に眺めている。
「あらあ、脅えたお顔だこと。怖いの、お姉さま」
「そ、そんなことされるとわかって平然としていられるわけないわ」
「そりゃそうか。じゃ、もっと怖がらせてあげようかな。今、彼が入れてるの、わか
るよね? そ、さっきお姉さまの身体中に塗りたくったローションよね。あれって、
あの時も言ったけど媚薬効果があんのよ。うふふ、それを浣腸しちゃうって、どう
いうことかわかるかなあ?」
「そ、それって……」
「うん。お姉さまの身体の中から媚薬を吸って貰おうって訳よ。直腸って吸収いい
のよ。きっと身体の芯からいやらしいお薬が染み渡っていくわ」
「あ、あんたねえ……」
どこまで卑劣なのか、と思った。
とてもローティーンの少女が考えつくこととは思えない。
わざわざ不二子の目の前で薬液を作っているのも、恐怖心を煽り、おののかせる
ために違いない。
その間に溶液の調合が終わったらしく、ランディは500cc用の太い浣腸器を
持ち、ノズルを洗面器に突っ込んでいる。
カラス製のシリンダーが耳障りな音をさせつつ、その中に強烈な薬液を吸い込んで
いった。
「いや……いやあっ……!」
不二子は全身を震わせた。
特に、突き出すようにした臀部を激しく揺する。
さっきの快感地獄、連続絶頂地獄は思い起こすだに恐ろしかった。
もちろん電マの威力もあったが、あの怪しげなローションの媚薬効果もあったの
だろう。
それを体内に入れられる。
そう考えただけで不二子は震えが止まらなかった。
不二子が予想以上に暴れるのは、それだけさっきの連続絶頂が身に染みていること
と、浣腸などで責められるのはいやだ、という二重の恐ろしさのためだ。
さすがにこの状態では難しいと思ったのか、ランディは嘴管に透明なビニールチュ
ーブを連結した。
その先にはプラ製のノズルがついている。
こういうこともあるかとあらかじめ用意されていたらしい。
不二子の暴れる尻に苦労しつつ押さえ込み、ランディはその双臀を片手で器用に割る
と、奥に震えわなないて鎮座しているアヌスにゆっくりと差し込んだ。
不二子の裸身がビクンと跳ね、悲鳴が上がった。
「ひっ!? ああ、いやあっ、し、しないでよっ!」
不二子はのけぞり、つんざくような悲鳴を出し続けている。
それを少女が面白そうに見ているので、ランディはなおも悲鳴を出させようと、不二
子の肛門を貫いたノズルを何度も抜き差しさせた。
不二子のアヌスは小さく粘膜をめくり出され、わなないている。
脅えるようにすくみ、また引きずり出された。
いい加減不二子を喚かせてから、青年はゆっくりとシリンダーを押し始めた。
「あ、ああっ!? いやあ!」
髪を振り乱すようにして懸命に頭を振りたくっても、目一杯力んでアヌスを引き締
めてもだめだった。
どろりとした濃い液体が流れ込んでくる感覚に、不二子は白い首を晒してのけぞる。
「ああっ……うっ、うんっ……!」
情けない悲鳴は上げまい、みっともない嗚咽を上げまいと、必死に歯を食いしばる
のは、まだ不二子にプライドが残っているからだ。
それでも、その矜恃を打ち砕かんと浣腸液がが注ぎ込まれていく。
噛みしめた歯がぎりぎりと鳴り、勝手に腰がよじれ、腿に鳥肌が立つ。
苦しさと恥辱感に、女スパイの背筋に悪寒が走った。
「いっ……入れないでってば……あっ……」
「まだ始まったばっかよ。これくらいで音を上げてどうするの。ランディ、全部
入れるのよ、わかってるわね」
「は」
ランディは、アキラによく見せるために、わざとゆっくりと注入していく。
少女が、美しい女が苦悶するさまを眺めるのがことさら好みだということを知って
いるからだ。
過去にもこうした性拷問を仕掛けたことが何度もあるのだろう。
「いっ……やあっ……あ、あむうう……」
入ってくる薬液のおぞましさに、不二子は気が遠のいてくる。
注入されているのは確かに液体のはずなのに、この固形感は何だろう。
どろどろの液体は、不二子の腸内で固まったかのように異物感が残っている。
「やっ……やはあっ……い、入れないで、あっ……うんっ……ぐぐ……」
不二子は、いてもたってもいられず、盛んに首を振っている。
不自由な身体を必死に揺すり、大きな乳房もゆさゆさ揺れていた。
息み、踏ん張るからか、なめらかなに腹部が喘ぎ、波打っている。
しかし、どうあがいても流入を防ぐことが出来ないとわかったのか、暴れるのを
やめ、呻くばかりとなった。
「あら、おとなしくなったわねえ、不二子お姉さま。もう諦めちゃった?」
「う……るさい……うっ……」
嘲る少女と身悶える美女を見ながら、青年はピストンを押し続ける。
シリンダーがキィッと音をさせながら押し込まれ、押し込まれた分だけ不二子の
腸内に溶液が注入されていく。
いやだいやだと思っているせいか、どうしてもノズルを突き刺されたアヌス神経が
集中してしまうのがたまらなかった。
「い……や……は、入る……入ってきてる……あっ、あ……んっ……」
「あらあ、だんだん色っぽい艶声になってきてるわよ、お姉さま。もう浣腸が感じる
ようになっちゃったのかしらぁ?」
「そ、そんなことあるわけない、わ……おっ……むむう……」
腸内になだれ込んだ冷たい溶液が腸壁を責め苛んだが、すぐにそれがぐぐっと熱を
持ってくる。
早くも腸粘膜に媚薬が吸収されていっているのだ。
その冷たさと熱さの入り交じった不可思議で耐え難い感覚に、不二子は唇を噛みしめ
たまま顔を仰け反らせる。
ぐっとシリンダーが押し込まれると、びくっと不二子の腰が震え、汗が浮いてきた
豊満な臀部と腰が細かく痙攣していく。
「あっ、もう……やっ……ま、まだ終わらないの……うむ……」
「まだまだ。半分くらいかな。もっとじっくり味わいなさいよ」
「す、するならさっさと……あ……す、すませなさいよ、あ、あう……」
「へえ、もっと欲しいの?」
「ち、違……。こ、こんなの、は、早く終わらせたいのよ……あ……」
腸内で込み上げてくるおぞましい感覚を堪えつつ、不二子は顔を徐々に赤くしていく。
苦悶する美貌が悩ましかった。
青年は落ち着いてピストンを押し、徐々に薬液を流し込んでいった。
「あっ、もう……もう入れないで……ぐっ……」
「だめ。全部入れるの」
「や、やめて……あ、あは……」
ランディがぐっとシリンダーを指で押すと、薄紅色に染まったぷりぷりの尻たぶが
ぶるっと震え、浮いた汗がつうっと滑っていく。
薬液が2/3ほど注入される頃になると、不二子の呻き声が変化してきた。
「あ、あっ……うむう……」
「うふ、苦しそうね。ああ、美人が苦しそうに悶える顔って何度見てもいいわあ」
「や、めて……」
「やめないって」
「ほ、どいてよ……ああ……」
「え? だめよ、お姉さまを自由にしたら、か弱いあたしなんか簡単にぶっ飛ばさ
れちゃうし」
「そ、そんなことしないから……あ……が、我慢が……」
「我慢? 何を我慢してるの?」
「く……」
また恥ずかしいことを口にさせるつもりらしい。
もう抵抗は無意味だと頭ではわかっているが、不二子生来の気高さが彼女にそれを
許さない。
「あ、言えないんだ。じゃ、全部入れる。ま、言っても全部入れるんだけどね」
「やっ……も、もう無理……これ以上、無理っ……」
「だーめ。ね、お姉さま、我慢できないんでしょ? もう出したいんでしょ?」
「……」
不二子は、悔しさに目の端に涙すら浮かべながら小さく頷いた。
その様子はアキラをぞくぞくさせるには充分な光景だった。
あの峰不二子が半泣きになっている。
しかも、恥も外聞もなく、排泄したいと意思表示しているのだ。
これ以上サディスティックな欲望を満足させるものはない。
「むっ、無理っ……もう無理だってばあっ……!」
「へーき、へーき。こんだけおっきなお尻してんだから全然へーき」
「あぐあっ……!」
残りは一気に注入するのか、青年は一転してぐぐっと強くピストンを押し込んだ。
濃い粘液がガラスのシリンダー内で渦を巻き、勢いよく不二子の直腸に注ぎ込まれ
ていった。
「あ、ああっ、そんないっぺんにっ……く、るし……あ、あ、もっとゆっくりっ…
…ひっ……」
「何よ、さっきはさっさと入れろって言ってたのに。我が儘なお姉さま」
「ひうっ!」
ベルトをギシギシと軋ませ、引き千切ろうとするかのように全身を揺さぶるが、
どうにもならない。
何とかその気持ち悪さと苦痛に耐えようとするのだが、ランディの浣腸器から注入
される溶液の量はどんどんと増していく。
不二子の呻き声と悲鳴が高まる。
「だめっ、ま、待って、あっ……は、入んないっ、もう入んないって、ああっ……」
辛抱たまらないのか、不二子の臀部はひっきりなしに震え、痙攣が止まらなくなっ
ている。
ノズルをくわえ込んだアヌスも苦しげに喘ぎ、今にも吐き出しそうにわなないている。
そんな不二子の無惨な姿を見ていた少女は、またその手をスカートの中に潜らせて
いる。
美女の苦しむ姿を見て、性的に興奮してきたらしい。
見れば、左手はブラウスの上から胸を揉んでいる。
「すご……、本当にすごいわ。すごい色気よ、お姉さま。あたしもう我慢できない
……」
少女はそうつぶやくと、他にふたりも一緒にいる部屋でオナニーを始めている。
一方の不二子はそんなことを気にする余裕もなく呻いていた。
浣腸の異物感と圧力に苦悶し、真っ赤になっていた頬から血の気が引き、今度は青
ざめている。
脂汗とも冷や汗ともつかぬ気持ちの悪い汗が額に浮き、腋に滲み、首筋を伝って流れ
落ちる。
そして部屋唯一の男であるランディは、そんな美女と美少女の痴態を気に掛けた様子
もなく、黙々と任務をこなしている。
ただ、やはり身悶える不二子には興奮するのか、股間は限界に近いほどに膨れあがっ
ていた。
「く、苦し……あ、もう……うっ、うむ……は、入らない……もう入らないわ、やめ
てぇっ!」
量も多かったが、それ以上に薬液が強烈だった。
グリセリンが便意を促すだけでなく、媚薬が腸内で暴れ回っている。
信じられないほどに腸管が敏感になっており、どろっとした液体が腸壁にへばりつ
いているのがわかるほどだ。
不二子の直腸はカッカと熱を持ち始めており、ぐぐっ、ぐるるっと籠もった熱い音を
不気味に響かせている。
やっとすべてを注入し終わると、ランディは一気にノズルを引き抜いた。
アヌス粘膜をずるっと擦られる刺激と、栓が取られたことで漏らしてしまいそうな
覚に、不二子は「ひっ!」と小さく叫んだ。
ようやく浣腸が終わっても、不二子はまだ熱く荒い呼吸を繰り返している。
「……すごかったわね、不二子お姉さま。さすがだわ、浣腸される姿もすごい色気
よ。あたしまで濡れちゃった」
「は、あ……はあっ……うう……あっ……」
「苦しい?」
「苦しい……苦しいわ……あ、もう……が、我慢できそうにない……」
「そう。でも我慢するの。毎日されるんだからそのうち慣れるわよ。それに……」
アキラは悪戯っぽく微笑んだ。
「それに、あたしにウンチするとこ見せたいの?」
「いっ、いやよ、そんな……ああ、お、おトイレ……ううっ……」
「絶対に行かせないわ、トイレなんか。するなら、ほら、ランディが持ってる洗面
器にするのね。あたしの前で」
「そっ、そんなこと出来るわけが、あっ、ないでしょうっ! くっ……あ……」
「あらそ? じゃ我慢するしかないわね。でもねえ、お姉さま」
少女は喉の奥でククッと笑った。
「何度も言うけど、そのお薬って媚薬が入ってるから。あんまり我慢してると、
どんどん媚薬がお姉さまの身体に染みこんでいくわよ。どんどんエッチになっちゃ
うんだから」
「そ、そんな……」
そうだった。
媚薬入り浣腸液なのだから、それを排泄せずに我慢していれば、その分、直腸が
水分とともに媚薬成分を吸い取ってしまうのだ。
それを避けるには、出来るだけ早く排出──つまり排泄する必要がある。
なのにこの悪魔のような少女は、決して不二子にトイレを許さなかった。
するならここでしろ、と、恐ろしいことを言っている。
いくら何でも人前で粗相することなど、気高い不二子に出来るはずもない。
いや、一般人だって無理だろう。
だが、しないことには媚薬が不二子を体内から侵していく。
その結果がどうなるか、考えるだにおぞましかった。
出さなければ遠からずそうなってしまうのだが、ここで出すということは、この
少女の前で生き恥を晒すということになる。
どっちも死ぬほどイヤなのに、どちらかを選ばねばならない。
いや、生理学的には、浣腸されれば絶対に我慢は出来ない。
遠からず必ず排泄することになる。
それを我慢するということは、自分の意志で媚薬を取り込み、挙げ句に排泄という
恥辱にまみれることになる。
結果的に、ふたつを同時に味わわねばならないのだ。
ということは答えは出ている。
すぐにでも排泄するしかないのである。
しかし、あの少女がじっと息を凝らして不二子を、不二子の震えるアヌスを凝視
している。
美女が生き恥をかくのを、今か今かと待ちかねているのだ。
そんな中で出来るはずもない。
絶望的な二律背反に苛まれ、不二子はまたも失神寸前となる。
「うっ……くうっ……」
不二子は歯をギリギリと噛みしばりながらも、死ぬ思いで排泄を堪えている。
その結果、またあの媚薬が肉体に染み渡ってしまうのはわかっているが、何が何でも
この小娘の前で生き恥を晒す気にはなれなかった。
いくら我慢したところで生理的欲求には勝てない。
それも理解しているが、最後に残ったプライドが、どうしても不二子にこの場での
排泄を許さなかったのだ。
「とっ、トイレっ……ああ、もっ……」
「行かせない、絶対に」
「こ、この……悪魔っ……あ、あんたそれでも女なの!?」
「もちろん。何なら証拠のオマンコでも見せましょうか?」
「ふっ、ふざけないでっ……くっ……」
余裕の笑みでからかってくる少女に精一杯の反発を見せている。
おちょくられているのだが、それも不二子は百も承知だ。
くだらない会話だが、これで少しは気が紛れる。
それでも便意はとどまるところを知らず、じわじわと不二子を腹の中から崩壊させ
ていく。
アヌスは激しい便意で今にも決壊しそうになっている。
わなわなとひくつき、ぐっと内側から膨らんでくると、アヌスが燃えるように熱く
なる。
慌てて引き窄めるとお腹が不満そうにゴロゴロと鳴き叫んでいた。
見る見るうちに不二子のそこは収縮がいちだんと激しく、定期的になっていく。
不二子の声が震えてきた。
「あっ……は、早く……うんっ……あ、だめ……い、いや……」
「うふ、お尻の穴は正直だこと。あんなに膨れたり窄まったりしてる。したくっ
てしょうがないんでしょ、お姉さま」
「ト、トイレでしたいのよっ……こ、ここではいやっ、絶対にっっ……!」
「……すごい我慢強さっていうか、頑固だこと」
そう言いながらも、アキラは少し感心している。
この浣腸液をを注入されて3分も保った女はいなかった。
なのに不二子は、もうかれこれ5分を超えている。
それだけ少女に対する敵対心が強いのかも知れない。
アキラは無造作に言った。
「あーあ、何だか少し飽きてきちゃった」
「な、なら……早くほどいてっ、おトイレ行かせてよっ……」
「誰がそんなことさせるって言ったのよ。いいわランディ、させちゃって。強制的
にね」
「は」
不二子が恐る恐る振り返ると、そこにはあのおぞましい電動具をもった青年がいた。
今度こそ不二子は青ざめ、「ひっ」と喉の奥から悲鳴を上げた。
「あ、あなた、まさか……」
「そうよ。お姉さまが頑固だからお仕置き。また電マ使ってあげる」
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」
不二子はその美貌に驚愕の表情を露出させた。
冗談ではない。
今、こんな状況下でそんなものを使われたらひとたまりもない。
「なぁに、急に慌てちゃって。うふふ、お姉さまらしくないなあ」
「い、今、そんなことされたら……」
「さあ、どうなっちゃうかな? ぶわって出ちゃうんじゃない?」
「や、やめて、そんなひどいことしないでよ!」
「うふふ」
不二子の懇願など聞く耳持たぬとばかりにアキラがほくそ笑む。
それを見ながら、ランディが不二子の尻たぶをぐいと割った。
「ちょ、待ちなさいよ! あ、あなた、それを……」
「決まってるじゃないの。お姉さまのお尻の穴に当ててやるのよ。それともなに?
オマンコにして欲しかった?」
「ど、どっちもいやに決まってるっ!」
「あらそ? じゃあ仕方ない、ランディ、そこは取り敢えず止めて、そうね、お腹
にでも当ててやんなさい」
「ええっ!?」
グルグルと熱く鳴っている腹部に、あの凄まじい振動が与えられたら、とても我慢
できるわけがない。
しかし、不二子がいやだと言う前に、ランディはアタッチメントをそのヘソの辺りに
ぐっとあてがい、スイッチを入れた。
「ひぃぃっ! だ、だめ、だめぇぇっっ!」
鈍く弱い振動が不二子の腹部を襲った。
薄い皮膚を通して、振動は浣腸液が充満している直腸に直接響いてくる。
浣腸され、お腹をマッサージされるだけで排泄してしまう人がほとんどなのに、
電マなどで責められたらひとたまりもない。
だが、それだけでは済まなかった。
「もう一本使って、お尻の穴も責めてね」
「だっ、だめ、よして、うああああっっ……!?」
これも「弱」だったようだが、熱い便意を死にものぐるいで堪え忍び、必死に括約
筋を締めているアヌスには、その威力は絶大だった。
もう我慢するとか、恥ずかしいとかそんな気持ちは一瞬で消し飛び、不二子は心の
底から絶叫する。
「ああああっっ、いっやああああっっ! だめ、出るっ! み、見ないで、見ちゃ
いやあああっっっ!」
本当に革ベルトが千切れるかと思うほどに不二子は全身を力ませて抵抗したが、
絶叫と共に肛門が決壊した。
堰を切って噴き出したそれは、アヌスを上から抑えるようにして振動させていた
電マを弾き飛ばす勢いで排泄されていく。
「いやいやいやあああっっっ、だめっ、だめええええっっ……!」
「おっと」
不二子は拘束された全身をわななかせ、悶えさせて泣き叫び、流出させてしまった。
ぶわっと一気に噴き出したかと思うと、それが一度途切れ、そしてまた夥しいほどに
ドッと噴きこぼれていく。
もうイヤも応もなく、不二子は苦痛の塊を排泄するしかなかった。
不二子の臀部の真ん前に、いつのまにかランディがポリバケツを持って構えていた。
「あああ……、だめ……見ないで……ひ、ひどい……」
何度か発作を繰り返し、ようやく勢いが弱まり、便意は絞りきったようだ。
さすがの不二子もがっくりと首を垂れ、あろうことかすすり泣くような声まで聞こえ
てきた。
憎むべき敵の前で崩壊し、誰にも見せられない恥ずかしい排泄行為を思い切り晒して
しまった不二子は、それまでの緊張がプツンと途切れ、ぐったりと放心している。
頭の中が真っ白とはこういうことを言うらしい。
涙の滲んだ目尻を堅く閉じ、僅かに開いた唇がわなないていた。
アキラはおどけたように拍手した。
「すごー。また随分と思い切りなさったものですわね、お姉さま」
「あ……ああ……」
「峰不二子のウンチシーンなんて、多分、世界であたししか見たことないわね、
きっと。あ、ランディも見たけど」
「い、言わないで……いや……」
打ちのめされたような美女は、譫言のようにそんなことを口にした。
あまりのショックで不二子は気づかなかったが、船室の換気扇は全開で回っており、
汚れた臀部もウェットティッシュを山ほど使って清めたようだ。
「だいぶまいったようね、お姉さま。さすがの峰不二子でも浣腸責めには降参って
か」
「……」
「あらら、まだ口が利けない。じゃ活を入れるかな。ランディ、もっかい浣腸して
やって」
「いやっ……!」
初めて不二子は激しく反応した。
「も、もういやっ……か、浣腸はいやよ、あっ!」
慌てて不二子は顔を上げたが、その時には、もうぶっすりと次の浣腸器のノズル
が肛門深くを抉っていた。
「いや、じゃないの。さっきも言ったけど、お姉さまの方から浣腸をねだるように
なるまで毎日やるから」
「そんな、いやっ、あっ……! ぐぐぐ……あ、いやあっ、い、入れないでっ……
あああっ……!」
今度は緩急をつけたりせず、機械的にシリンダーが押されていく。
不二子のアヌスに突き立てられた浣腸器は、ぐぐっとピストンが押され、一気に
薬液が注入されていった。
「だ、だめえ……ああ……」
もうどうにもならないと知ると、不二子はまた身体から力を抜き、臀部だけを痙攣
させていた。
いくら身を捩ってもアヌスを引き締めても、流入は防ぐことができない。
冷たい薬液を一度に入れられ、不二子はまたしても内臓の地獄を味わっていた。
「あ、あっ……苦しいっ……お腹が……お腹が……うんっ……うむむっ……く、苦
しいっ……」
シリンダーを最後まで押し切り、また500cc全部を注入すると、ランディは空
の浣腸器を引き抜いて、すぐにバケツを不二子の豊満な尻の前に用意する。
最初の浣腸で我慢するだけしていた不二子には、もうこれ以上の忍耐力は残っていな
かった。
「お、お腹が痛い……苦しいっ……あ、あ、もう出る……出ちゃうわっ……」
「不二子お姉さまともあろうお方が「出ちゃう」ですって。もう、このビデオ、
100万ドルでも売れそうだわ」
アキラのからかいや挑発に乗る余裕もなく、不二子は「あっ、あっ」と舌足らずの
悲鳴を上げ、肛門をわななかせている。
後ろでバケツをあてがうランディをちらりと見るや、どうにも我慢できなくなった
苦痛の源をドッと吐き出した。
「あらら、もう出た。だらしないなあ、もっと我慢してよ」
「いやああっ、見ないでよ、見ないでったらあっ……!」
そう言いながらも、不二子はドッ、ドッと二度三度としぶかせて排泄してしまった。
とはいえ、もう薬液はほとんど透明で「便」というイメージはあまりない。
それでも排泄していることには変わりなく、それを見られているという最高の屈辱
と羞恥は、いささかの変化はない。
透明に近い溶液を何度か噴き出し、ようやく勢いが弱まってくると、ランディはまだ
全部で終わっていないのに、次の浣腸を仕掛けていく。
不二子はもう半狂乱だった。
「いやああっ、もういやあっ……ひっ、ひっ……な、何回そんないやらしいことを
するのよぉっ……ううんっ……」
「だからお姉さまがまいるまでよ」
「ま、まいった! まいったからぁっ! も、もうやめてっ」
「簡単に参るんだなあ。じゃあ、これから毎日させてくれる?」
「いやっ……!」
「じゃ、だめじゃん。ランディ、どんどん入れて」
青年は小さく頷くと、容赦なく不二子に浣腸していった。
どろりとした液体がガラスのシリンダー内で渦を巻きながら、不二子の直腸に流し
込まれていく。
その強烈な刺激に、不二子はとてもじっとしてはいられない。
「いやはあっ……も、もう入れないでっ、うむっ……あ、ま、まだ入ってくるっ…
…うむむ……苦しいっ……」
「いいわ、いいわ。美人が苦しむ顔って最高! あたし、見てるだけでいっちゃい
そう」
「へ、変態っ……やめて、あっ……き、きつい……きついわよっ……うむうっ……!」
「はい終わった。また全部入ったわよ、お姉さま。すっごい、連続3回の大量浣腸?
お姉さま、素質あるわあ。それとも、あれ? 本当はこういうの好きなわけ? うふ
っ、この分なら、大台の1リットル浣腸もすぐね」
「ううっ……」
早くも便意が高まってきた。
腸内にはもう薬液以外吐き出すものはない。
それだけに溶液の刺激が直に腸壁を刺激し、たまらない苦痛と便意をもたらしてくる。
不二子は吐き気すら感じていた。
「ぐうう……お、お尻、壊れる……お腹も壊れるぅ……くるし……あ、あ、で、出る
……もう出るっ……」
「あ、もう? だんだん我慢が利かなくなってるのね。でもだめ。させてあげない」
「い、いや、そんな……ああ、もう我慢が……は、早く……」
「「早く」なに? ウンチさせて? バケツあててってこと?」
「くっ……」
不二子は恥辱と汚辱にまみれつつも、何度も頷いた。
もう、どうにもならないのだ。
トイレでない場所で、しかもこの変態少女に見られながらの排泄は言語を絶する屈辱
だが、このまま床にまき散らすよりはマシだ。
「は、早く……何をしてるの、早くっ……!」
「あらら、お姉さまったら高飛車。命令できる立場だと思ってんの? するなら
「お願い」でしょうに」
「な、何でもいいから早く……あっ……だめっ……ホントにだめなのよ……あ……」
不二子のアヌスが、もう限界とでも訴えるように、ぐぐっと内側から何度も膨れて
くる。
ここでは漏らせないと、意志力とプライドだけで気丈な牝豹は死ぬ思いで堪えていた。
「つらそうね、お姉さま。じゃ、出ないように栓でもしてあげようか」
「な、何を……何を言ってるのよっ……もう出るって言って……あ、ああっ!?」
崩壊寸前で熱くひくついている肛門に、ぐぐっと何かが押しつけられた。
ボコボコと球が縦にいくつもくっついたような、例のアナルディルドだった。
不二子は目を剥いて苦悶した。
「きゃああっ、いやああっ……やめ、やめてっ……ぐぐ……い、今、そんなこと
しちゃだめっ……ああっ!」
「でも、栓しないと出ちゃいそうなんだもの。もう少し浣腸の快楽を味わってよ。
あんまり早く出しちゃうと、直腸が媚薬成分を吸い取れないし」
「い、や……く、くっ……あ、入れちゃだめ……あう!」
ランディはそのままぐっと押し込むと、ディルドは実にあっさりと根元まで沈んで
しまった。
4センチほどもある大きなボールが、不二子のアヌスを塞いでいる。
肛門拡張の苦痛よりも、出したいのに出せない苦しさと腹痛の方がきつかった。
あまりの腸の拷問に、不二子は気死寸前になる。
「あああ……ぬ、抜いて、ああ……ううむ……苦しい……」
「いいわ、その顔。もっと見せて」
「お、お腹が苦しい……ああ、し、したい……」
「え? したいってウンチしたいってこと?」
「さ、させてお願い……苦しくてもう……し、したいっ……」
アキラは左肘を立て、その手の甲に顎を載せたまま、右手は相変わらずスカートの
下に潜り込ませ、自分の性器をいじっている。
「そんなに苦しいの? ウソばっかり」
「ウ、ウソじゃないわ……出したくてもう……お腹がどうにかなりそうよ……うむ
……」
「ウソよ。だって、オマンコ濡れてるじゃないの」
「何を言って……そんなわけが……あ、苦しいってば……」
「濡れてるって。見てみなさいよ、オマンコからぼたぼたいやらしいお汁が垂れて
るわよ」
その通りだった。
不二子は快楽を感じていたわけではない。
そうではないのだが、どうしたことか媚肉を濡らしていたのだった。
漏らせないとばかりに括約筋を締め付けているから、それで奥から滲んだ蜜が膣
から漏れているのかと思ったが、どうもそうではない。
もう彼女には我慢するとか、そういう余裕はないのだ。
出そうとして息んでいるわけではないが、もうアヌスを引き締めようという気も
なくなっていた。
なのに愛液が媚肉から垂れているのは、どう説明すればいいのか。
不二子自身は快感を感じている余裕などなかったが、これも媚薬効果なのかも知れ
ない。
加えて、あまりの苦悶にそれを中和しようと、脳内麻薬が分泌され始めている可能
性もあった。
いずれにせよ、不二子は死にそうな苦痛と、それが快感に紛らわされる状態に懊悩
していた。
「感じているのね」
「ち、違う……あっ……」
もう言葉を口にするだけでぐるるっと腸内が音を立てるようになっている。
身を丸めてお腹の刺激を和らげたいが、ベルトで四肢を引っ張られていてそれも
適わない。
「あ……あ……もう……」
「本当につらそうね。ランディ、少し気を紛らわせてあげて」
青年は黙って頷くと、不二子の背中から両手を前に回してきた。
ランディの細い指が、不二子の豊潤な乳房に食い込む。
「ああっ、こ、こんな時に……いや!」
ランディは遠慮なく不二子のたっぷりと肉の詰まった大ぶりの乳房を揉み込んでいく。
柔らかいが適度に弾力もあり、まるで10代のような張りも保った乳房は絶品だった。
その肉塊を犯すように、青年の手が自在に蠢いている。
人差し指と親指が、ぷくんと勃起した乳首をくりくりとこねくり、残りの三本の指が
大きく乳房を擦り、揉みしだいた。
その快感が一瞬腹痛を忘れさせてくれるかと思ったが、所詮はその場凌ぎであり、
生理反応はどうにもならない。
「や、やめて……お、おっぱいなんか後でいくらでも揉ませてあげるから、は、早く
させて……あうっ」
「ひゃはは、おっぱいなんか揉ませてあげる、だって。信じらんない、それが峰
不二子のセリフなのぉ? そんなこと言われるともっと虐めたくなっちゃう。ラン
ディ、お姉さまのお腹もさすってあげて」
「やっ、だめっ、それはだめよ! ああっ!」
胸を揉まれるだけでも、その刺激や動きが浣腸液で膨れあがった腸にビンビンと響い
てくるというのに、お腹を刺激されたら我慢できるわけがない。
しかし、主に忠誠を誓う青年は、不二子の髪と汗の香りを吸い込みながら片手を腹部
へ伸ばした。
左手で乳房の愛撫を続けながら、右手は小さく膨れたお腹をさすっていく。
手のひらでぐっと押しつけるようにしたり、そのまま肌を滑らせるようにして不二子
を苦悶させると、今度は指先でピンピンと軽くはじき出した。
デコピンのように人差し指がお腹をピシッと叩くと、たまらず不二子が絶叫する。
「いやあっ……やめて、やめてっ……うあっ……ひ、響く、お腹に響くのよっ……
あうっ……お、お尻にも響くっ……ひゃあっ……!」
ディルドをくわえ込まされた肛門は、出したくても出せないというジレンマで苦しげ
にひくつき、少女に濡れていると指摘された媚肉は、クリトリスが包皮を完全に脱皮
してぴくぴくと震えていた。
これはやはり、快楽というよりは便意の苦悶のせいだろう。
「うふふ、どう? そんなにしたい?」
「ああ……し、したいのよ、あっ……やめて、ひっ……もうおかしくなりそうよ…
…だ、出したいっ……」
ランディが爪の先で軽く皮膚をひっかくだけで、不二子のお腹は苦しそうに波打って
いた。
その間にも、膣口からはじゅくじゅくと蜜が滲み、零れてくる。
もうランディの指による物理的な刺激だけでなく、アキラの発する言葉責めまでも
が、不二子の腸を刺激し、便意を煽っていた。
「ああ、出る……お、お願い、もう……」
「……もういいか。けっこう時間経ったよね。お姉さまのお腹の中で、媚薬はちゃん
と飲んでくれたみたいだし。おっけー、させていいわよ」
「は」
「ひぃ!」
デリカシーも何もない。
青年は少女から指示が下ると、一気にぬるっと肛門用性具を抜き取ってしまった。
今にも破裂しそうな便意は、ディルドのボールに擦りつけられる刺激や、やっと栓が
外れたという安堵にとても耐えきれず、怒濤のように噴き出てきた。
「いやあああっっ、で、出るっ……見ないで、出ちゃうっ……!」
あんなに出したかったのに、いざ排泄するとなると、途端に屈辱と羞恥が蘇る。
だが、だからと言って、極限まで行ってしまった便意が収まるはずもない。
不二子はこの期に及んで懸命にアヌスを引き締めたが、それを振りほどくように直腸
内部から激しい奔流が走った。
「うわーー」
少女は嘲るようにおどけ、驚いて見せたが、実際、それは三度目がいちばん激しく
噴き出ていた。
もう完全に溶液だけで汚いイメージはまるでなく、じっくり美女の排泄を愉しめた。
「出るっ……み、見ちゃいや……はあっ……まだ出る……ううんっ……」
びゅううっ、びゅるっと激しく溶液を噴き上げつつ、不二子はもうその恥辱で死んで
しまいそうだった。
噴きこぼれたものが一瞬止まっても、またアヌスがわなないて次の奔流が噴き上がる。
ドッとしぶき終わると、肛門が苦しそうに口を小さく開けたまま痙攣しているのが何
とも生々しかった。
ようやく全部絞り終わってもそこはそのままで、可愛らしいという形容を使いたい
ようなおちょぼ口が開きっぱなしだ。
なるほど、これを見ればアナルセックスしたくなる気持ちもわかるような気がする。
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