響子はゾクッとした。
また何か、新たなことをされるのだ。
どうせ口にするのも憚れるほどの恥ずかしいことをされるに決まっている。
しかし、背筋がゾクリとした原因は、何をされるかわからないという悪寒の他にもあること
を響子は知っていた。
次はどんなセックスをされるのだろうという淫猥な期待だ。
自分がセックスに対して、どんどんと貪欲になっていることを知り、響子は恥辱とも屈辱とも
言えぬ表情で俯いた。

「あ、あ……な、何を……」

百瀬は響子の股の付け根に手をやり、ぐいっと股間を拡げた。
その中心にある女穴はじっとりと濡れそぼち、割れ目ははだけて膣の入り口を露出させている。
剥き出しになった膣は僅かに口を開き、新たな汁を滲ませるとともに、肉襞まで露わにさせ、
ひくついていた。
もう男を迎え入れなければどうにもならない、と、媚肉が言っているように見えた。
百瀬はニヤッとして、響子の耳元で言った。

「何を、ってこたあねえだろう。オマンコだって、もう欲しがってるじゃねえか」
「ああ、でも……」

でも、もう肛門に入っているではないか、と言いたいのだろう。

「でも、じゃねえ。心配するな、こっちでも愉しませてやる」
「こ、こっちでもって……。ああっ」

そう言われて、響子はハッとした。
仰向けにされた足元には、舎弟の五十嵐が立っているではないか。
言うまでもなく、股間は硬そうに勃起している。

「ま、まさか……」
「その、まさか、さ。女はな、オマンコと尻を同時に使って男を悦ばせることが出来るのさ。
奥さんにもそれをやってもらおうと思ってな……」
「そ、そんな……」

響子は青ざめた。
人並み以上に太いものをお尻に入れられているだけでもつらいのに、この上膣にも大きなもの
を挿入するというのだ。

「そんなにされたら……壊れてしまう……」
「こんなすげえ身体してんだ、壊れやしねえさ。それにな、最後はふたり同時だけじゃねえぞ。
口も使って三人を、いや、両手も加えて五人まとめて相手が出来るようになってもらうからな」
「いやああっっ……」

二匹のけだものに同時に犯される恐怖でおののく人妻を快楽の海へ引き込むべく、百瀬はやわ
やわとした愛撫を続けている。
もちろん焦らす効果も狙っていた。
仰向けの自分の上に乗せられている響子の尻を割り込むように、グリグリとペニスで攪拌する。
同時に、百瀬の動きで激しく揺れ、凌辱に震える乳房をもみもみとこね上げた。

ゆるゆるとした肛門への抜き差しに響子が意識を奪われ始めると、五十嵐がその上にのしかかっ
てくる。
若者は、濡れてぬめり、持ちにくくなっている割れ目を摘むとそこを拡げた。
その奥にはもう口を開き、新たな蜜を際限なく滲ませている淫らな女穴が露わになっていた。
ぷぅんと濃密な牝の臭気が一層強く漂う。
もう辛抱たまらんとばかりに、五十嵐は若さと獣欲ではち切れそうなペニスを掴み、濡れそぼ
った人妻の媚肉に押し当てた。
既に受け入れ態勢は万全のそこはとろとろにとろけきっており、難なくヤクザの肉棒を飲み込
んでいった。

「あ……ああっ!? だっ、だめっ……あ、あ、あ、ああ……は、入る……入って……くるっ
……」

五十嵐の逸物は響子の膣を押し広げ、ずずっと中へ侵入していく。
膣に入ってくるや、すぐに粘膜が絡みついてきた。

「お……おおっ……」
「ひっ……ひぃ……あ、ああ……」

肉槍を差し込んだ男も、巨大なものを埋め込まれた女も、同時に呻いた。
五十嵐はペニスを包み込んでくる熱い襞の感触に、響子は前と後ろに押し込まれた二本の肉棒
が擦れ合う感触に感応したのだ。
人並み外れて巨大な二本のペニスは、犯す男の獰猛な息づかいすら連動させているかのようで、
響子を当惑させた。

「あ、あぐう……あっ、ああ……く、苦しい……お腹、いっぱい……ああ……」

響子という熟れ頃の柔肉を、下から百瀬、上から五十嵐という男の固い筋肉で挟み込んだ淫ら
なサンドイッチは、見る者を圧倒せんばかりの淫靡な熱気を醸し出していた。

「か、身体が……身体が裂ける……壊れてしまいますっ……ひぃっ……」
「大丈夫だ、騒ぐな。奥さんほどの身体ならすぐに慣れるさ。心配しなくても、すぐ気持ち
よくなってくるぜ」
「い、いやです……ああっ……ぬ、抜いてぇ……せ、せめてひとりずつに……ああ……」
「それじゃ意味はねえ。ふたりの男を同時に満足させるんだよ」

百瀬は響子に言葉責めする余裕があるようだが、五十嵐の方は必死の形相だった。
媚肉でこれだ。
アヌスに入れたら、そのきつさにすぐ射精してしまったに違いない。
百瀬に「見るな」と注意されてはいたものの、喘ぎ声の色っぽさに、つい響子の美貌を見て
しまう。
官能に取り込まれ、喘ぐ美女の苦悶する表情ほど昂奮を招くものはない。
ついつい五十嵐の責めに力が籠もる。
ぶくりと膨らんだ亀頭部が、響子の膣最深部を力強く突き込んでくる。
とろみが増した響子の愛液と、五十嵐のカウパーが混じり合い、ピストンするたびににちゃ
にちゃという淫猥極まる粘った水音が響いた。

「あっ……うあっ……ああっ、お、奥っ……奥まで来てる……あっ……あはあっ……あぐうっ
……」

もう人妻に抗いはなかった。
男に挟まれたしなやかな裸身はピンクを通り越して赤く染まり、汗にまみれ、ひどく火照って
きていた。
しかし響子に、五十嵐のペニスばかりを味わっている余裕はなかった。
身体の下から、百瀬が激しく肛門を責め上げてきたのである。
悶える人妻は、少し慌てたように叫んだ。

「ま、待って! ああ、す、少し待ってくださいっ……い、一緒になんて、ああ、だめえっ
……」
「何度も言わせるな。一緒にやるんだよ」
「そんなっ……ひぃっ、な、中で……中で、こ、擦れてっ……き、きつい……」

膨張しきった二本の凶器で、同時に二箇所の性穴を抉られて、美しい人妻は快楽の呻き声を
発している。
響子の腰がぶるるっと細かく震えてきた。

「どうした奥さん。もういくのか」
「ああ……ああ、い、い……」

響子はすんでの所で堪えている。
いくらなんでも、二穴責めされて「いく」とは言えなかった。
口にしたら最後、性の奈落に突き落とされる。
百瀬も五十嵐も、そんな響子を見て、さらに興奮度が上がる。
美女が快感を堪え、懸命に踏み止まる美貌こそ、男にとっての最高の媚薬なのだ。

「おい」
「あ、へい」

響子を責めているのか、それとも響子に責められているのかわからないほどに夢中になって
犯している五十嵐に百瀬が声を掛けた。
腿を叩かれ我に返った五十嵐はテーブルに片手を伸ばした。
百瀬は舎弟からリモコンを渡されると、いくつかスイッチを操作した。
軽い電子音が響いたが、ふたりの男に犯され続ける響子はまったく気づかない。

「おい奥さん」
「ああっ……ああ、いいっ……」
「ほれ、よがってばかりじゃなくって、そっち見てみろや」

熱く喘ぐ響子の顔の両側を手で支えると、ぐいっと左の方に向けた。

「ああ……あ……?」

人妻は喘ぐのを止めた。
向けられた先には20インチほどのモニタがある。
壁がずれて画面が出てきたらしい。
そこに映っていた顔に気づくと、それまでの官能は消え失せ、喉が張り裂けそうな悲鳴を発
した。

「いっやあああああああっっ……あなたっ、あなたああっ……」

夫が自分を見ている。
ふたりの男に淫らに犯されている自分を見ている。
ただ犯されているだけではない。
男どもの責めに感応し、喘ぎ、よがった。
男のものを口にして、精液を飲まされたところも見られたに違いない。

画面を通して見る夫の顔は痴呆のようだった。
呆気にとられているわけでも、驚愕している顔でもなかった。
ずっと見ていたのならそうだろう。
最初は信じられなかったに違いない。
しかしペニスを積極的にくわえ、男の責めに応えて腰を振り、射精されて絶頂に到達する妻
の姿を見るにつけ、それまでの思いが音を立てて崩れていったのであろう。

「違う! 違うのよ、あなたあっ! こ、これは、これは違うのぉっ……」
「そりゃひでえじゃねえか、奥さん。さっきまで悦んで腰振ってたのによ」
「言わないで! 見ないで、あなたっ……」

響子はそう叫んで、モニタから顔を逸らせた。
絶望に染まった美貌を泣き濡らす人妻に、さらなる加虐的な欲望を沸き立たせた男たちは、
再び攻撃を開始した。
夫に見られていることを知りながら、責めに抗い切れず絶頂する。
そうさせてこそ、人妻の完全な屈服だ。

「あ、ああっ……し、しないで!」

ヤクザたちは呼吸を合わせてゆっくりと抽送を再開した。
響子は最初こそ当惑し、嫌がったが、すぐに波に飲まれていった。
それまでもペニスを突っ込まれっぱなしで、響子の気持ちとは裏腹に、肉の方は熱い欲望で
燻っていたのだ。
男たちに動きに反応して、アヌスもヴァギナも、待ちかねたようにうねりだした。
徐々に律動を速めていくと、響子の性感も急上昇していく。

「ああっ……ああああ……いっ、いいっ……くぅっ、いっ……」
「ほう、もうよくなってきたかい。どんどん成長してってるな、奥さん」
「へへ、旦那が見てんのに感じてるのか?」
「いやあっ……あ、あなた見ないでぇ……あなた、裕作さんっ……ひぃっ……」

一瞬、夫に見られているという羞恥と恥辱、そして裕作に詫びる気持ちがわき起こったものの、
肉の快楽にその両方が押し流されていった。
乳房を揉みこまれ、硬い肉棒が子宮口を押し上げるごとに裕作の面影が消えていく。
クリトリスをいびられ、太いペニスが尻穴を抉り込んでくるごとに、春香の笑顔がぼやけて
いった。
人妻は美貌をとろけさせ、肉悦を貪る歓喜の声を抑えようともしなかった。
そうなってくると、百瀬が思い出したように響子の耳元で夫が見ていることを囁く。
途端に居たたまれない恥辱にまみれ、響子の膣と肛門が絞まってくるのだった。

「ああ、いい……あ、あなたあ、いいっ……」

響子の脳裏には、夫に抱かれている幻影が映っているのかも知れない。
喘ぐ声に、裕作を呼ぶ声が混じっていた。
人妻の恍惚とした美貌に圧倒され、男たちは女体が持ち上がるほどに突き上げていく。

「どうだ奥さん、尻とオマンコと、どっちが気持ちいいんだ」
「ああっ」
「ああ、じゃねえ。どっちだ」
「りょ、両方っ……」

火が着きそうなほどに熱い吐息を吐き続け、あられもないよがり声が上がる。

「どっちも、いいっ……ああ、すごい……ううんっ、いいっ……」

ふたりのピストンに秩序がなくなってきた。
五十嵐はもちろん、百瀬の方も燃え狂う響子に昂奮し、思うがままにその腸内を蹂躙していた。
なのに響子の肉体は、そんな乱暴な男の責めを難なく受け入れ、膣や肛門内の粘膜を蠢かせて
いる。
女の意志も感覚も無視して、ただ激しく犯されているというのに、響子の口から喘ぎが途切れ
ることはなかった。

粘り着く襞を引き剥がすようにして、男たちは響子の穴をこねくる。
前も後ろも、深くまで突き入れ、膨れた硬い亀頭で内部を擦りつけるように抉ってきた。
タイミングも何も考慮していないため、ふたり同時に奥深くまで貫くこともあったし、交互に
内部を突き上げることもあった。
そのたびに中で二本のペニスが激しく擦れ合い、響子の嬌声を絞り出すのだ。

「ああうっ、お尻、深いですっ……ああっ、お腹の中まで犯されてる……」
「前はどうだ? オマンコは?」
「いいっ……し、子宮まで届いて、ああ……さ、さきっちょが子宮に当たってますっ……」

響子の腰の振りが止まらない。
下から百瀬が突き上げると、尻を百瀬に押しつけるようにして、より深い挿入を求めた。
上から五十嵐が突き込んでくると、今度は腰を持ち上げて五十嵐の腰に密着させる。
ふたりの陰毛が粘った体液にまみれ、絡み合った。
次第に響子の締め付けがきつくなってきているのをふたりは感じた。
アヌスも膣もぷるぷると痙攣し始めていた。

「そろそろいきそうか、奥さん」
「は、はいっ……」

響子は大きくうなずいた。

「い、いきそうっ……ああ、もうっ……い、いっちゃいますっ……ひぃっ……」
「く、くそっ、なんて色っぽい顔しやがんだ、この奥さん!」

五十嵐は叫ぶようにそう言うと、一段と強烈な律動を加えた。
もうコントロール出来なくなっている。
限界が近いようだ。
響子の魔性に取り憑かれてしまったのだ。
それでも、最後の意地で、何としても自分が出す前に響子をいかせようと、最後の力を振り
絞った。
響子も負けじと激しく腰を使った。
明らかに自分から求めていた。

高まる射精感を堪えつつ、五十嵐は責めた。
突き上げるたびに、ぶるんぶるんと大きく揺れ動く乳房を鷲掴みにして揉みしだき、ツンと
立った乳首を捻り上げる。

「だめっ……あ、ああ、も、いく……いく……い、いっちゃうううっ……」

響子の背中がグウンと反り返り、その頭は下にいた百瀬の肩の上に乗り上げた。
頂点まで追い立てられ、いかされた響子の膣がきゅううっと締まる。
その締めつけには耐えきれず、五十嵐は獣のように唸りながら射精した。

どぷどぷっ。
どびゅうっ。
どくっ、どくっ。
びゅく、びゅくくっ。

膣腔の最深部目がけて、若いヤクザは思い切り射精した。
一回目とさほど変わらぬ大量の精液が、人妻の子宮口にぶちまけられた。
ギクンと仰け反った響子は、ぶるるっと大きく震えた。

「あおおっ、でっ、出てるっ……お、奥に……奥に、いっぱい……ああ、まだ出てる……いい
……あはあ……ま、またいくう……」

五十嵐は顔を苦悶させながら呻いた。

「くうっ……し、絞り取られてるみてえだ……く、くそっ、全部出ちまうっ……」

顔を真っ赤にしながら、五十嵐は盛んに腰を振り続けた。
そして最後の一滴まで注ぎ込むと、ようやくペニスを引き抜いた。
腰がふらつき、そのまま尻餅をついてしまう。
百瀬が笑った。

「はは、どうしたどうした。若ぇくせにだらしねえぞ」
「そ、そんなこと言ったって兄貴……」

五十嵐は荒い息を吐きながら言った。

「すげえんだよ、この女……オマンコが締まるだけじゃねえ、まるで吸引機に吸い込まれて
るみてえにザーメン搾り取られるんだ」

そう言うと、ふうっと太い息を吐いた。
そして不審そうに百瀬を見る。

「……兄貴は出さなかったんで?」
「ああ」
「同時に射精するじゃなかったんですかい」
「そう思ったんだがな、この奥さん、想像以上に乱れてくれたんでな。その先をやろうかと
思ってな」
「その先って何です? まだやってないことがあるんですかい?」
「まあな」

百瀬はそう答えると、響子の腰を押して、アヌスに入り込んでいたペニスを抜いた。
響子はそのままゴロリとうつぶせに倒れてしまう。
失神こそしていないが、動く気にもならないようだ。
その響子を再び仰向けにすると、その股の間に入り込む。五十嵐が聞いた。

「なんだ、オマンコをやるんですかい」
「そうだ。まあ見てろ」

百瀬はそのまま腰を沈め、響子の中に押し入った。
静脈を浮き出し、ビクビクといきり立った大きなものが、爛れ、とろけきった人妻の媚肉に
埋まっていく。
狭い膣が無理に拡げられ、形を歪めて醜い肉塊を受け入れた。
ペニスが押し込まれた分、中に溜まっていた五十嵐の精液が押し出されてくる。

「ふう……むむっ……あ、あ……ま、また前に……」
「なんだ、尻の方がよかったか?」
「ち、違……ああっ……」

ずぶずぶとぬめるように中へ挿入され、底まで達すると、響子は軽く悲鳴を上げた。
さっきまで五十嵐に突きまくられた子宮口である。
赤く爛れ、その上にたっぷりと精液を浴びせられている。
信じられないほどに敏感になっていた。
そこに熱くて硬いものをぶつけられ、大きく仰け反る。

最奥まで肉棒を挿入しているが、もちろんそれでも百瀬のそれは完全に埋め込まれたわけで
はない。
それどころか、いつもよりも長く膣の外にはみ出ている。
何度となく絶頂に追い込まれ、響子の子宮が受胎しようと下がってきているのだ。
それまでの百瀬なら、そこまでで我慢するところだったが、響子のこの日の乱れっぷりを見
て、最後の仕込みをする気になった。
百瀬は、軽く突き上げながら響子に言った。

「奥さん」
「ああ……ああ、いい……いっ……」
「いいのはわかったよ」

百瀬が苦笑した。
今の響子は全身が性感帯のようなものだろう。
続けて何度も気をやらされ、その頂点から降りてくる前に、すぐに男たちによって、また絶頂
まで追い上げられるのだ。
どこをどう愛撫しようと、身を捩らせて喘ぎ悶えてしまう。
それほどに敏感になっていた。

「奥さん、そろそろ最後の仕上げをするぜ」
「ああ……」

響子は上の空である。
百瀬は構わず、責めることにした。
五代響子を──この美しい人妻を確実に妊娠させるのだ。
夫以外の精子で孕ませるのである。

グッと腰を押し込む。
感じやすい亀頭の先に、確かに響子の子宮がある。
そこを、探るように亀頭部を滑らせ、穴を探した。
子宮を擦られる感覚に、響子は鋭い性感を得、白い喉を絞るようにして喘いだ。

美女の消え入りそうなよがり声を耳にしながら、なおもヤクザは膣を抉った。
探りを入れるようにペニスで胎内をかき回していると、固めの子宮で少々柔らかいところが
ある。
目的地らしい。
百瀬はそこをペニスの先で確実に捉えると、そのままグゥッと腰を送った。
但し、ゆっくりと、慎重に、である。

そこが響子の子宮口なのだ。
乱暴にするわけにはいかない。
そう、百瀬は響子の子宮の中にペニスを入れようとしていたのだ。
子宮セックス、ボルチオセックスである。
当然、子宮は普段は口を閉じている。
しかし、強い性的な快感に反応すると、受精しようと子宮自体が降下し始め、固く閉じていた
入り口が弛緩する。
百瀬はそこを狙った。
ここに至って、響子も異変に気づいた。

「ああ……な、何を……」
「何でもないさ。奥さんを本格的に俺のものにするだけだ」
「……」
「わからないか? 奥さんの子宮を犯すんだよ」
「子宮を……」
「そうだ。奥さんの子壷の中にチンポを入れて、その中に直接ザーメンをぶちまけてやるのさ」
「そんなっ……」

人妻は驚愕した。

「そ、そんなことされたら……」
「確実に妊娠するんじゃねえか?」
「そんな、いやっ……」

それだけは絶対にダメだ。
この上、腹の中に夫以外の──それも、こんな男の汚らわしい子種によって妊娠することなど
出来っこない。
響子が狼狽すると、百瀬は冷たく言った。

「なんだ、今さら慌てやがって。そうじゃなくても、昨日まで俺と五十嵐に抱かれて、あれ
だけ中出しされてんだから、もう孕んでるかも知れないんだぜ」
「いやっ、いやですっ」
「いやじゃねえ。子宮で俺を受け入れて、中に俺の精液を溜めるんだよ。それでこそ奥さんは
俺のもんだ」

いやいやと身体を捻っていた響子の裸身がビクッと硬直する。
そして、首がもげそうなほどに振りたくり、腰を捩った。
媚肉だけではない。
その奥にある女の象徴まで犯されるのだ。
恐ろしいほどたくましいものが、ググッと奥の奥へ進んでいく。
張り裂けそうなほどのきつさだ。
とうとう百瀬の肉棒が、響子の子宮口をじわじわと押し広げ、潜り込んできた。

「あ……あう、む……んむむ……」

響子は悶絶寸前の表情で目を剥いた。
苦しげな呻き声を上げ、汗に濡れた肢体を痙攣させる。
百瀬も力が入った。

「く……よ、よし……入るぞ、奥さん」
「う……うむむうう……は、入って、くるう……」

5センチほどはみ出ていた百瀬のペニスが、少しずつ響子の膣に収まっていく。
驚いたことに、肉棒が子宮の中に入っていくと、滑らかな響子の白い下腹部がペニスに押し
上げられてぐうっと小さく盛り上がっているではないか。
よく観察すれば、それが百瀬のペニスの形状だと気づいただろう。

「だ……め……あ、あおお……そんな……ひっ……ぬ、抜いてぇ……」
「やったじゃねえか、奥さん。とうとう入っちまったぜ」
「ひっ……ひぃぃっ……くぅあっ……ふ、深すぎますっ……」
「そりゃそうだろうな。こんな奥まで犯されるのは初めてだろう?」
「ああ、初めてです……初めてですから、ああ、もう抜いて……きつくて、もう……」
「そのきついのがよくなってくるのさ」

慎重に腰を送り、ついに根元まで響子の中にぶち込んだ。
膣内はすべて百瀬の男根によって占領されたのだ。
百瀬の下腹部は、響子の下腹部に密着した。
恥毛が淫らに絡み合い、擦れ合っている。

響子はもちろん子宮を犯されるなど初めてだろうが、百瀬にしたところでほとんどしたことは
ない。
こんなハードなプレイに耐えられる女体など滅多になかったし、百瀬がそうしたいと思わせる
ような女もまた滅多にいなかったのだ。
百瀬は調教という目的も忘れ、感激していた。狭い子宮を犯すに快感に酔っていた。

「だっ、め……う、動かないで! ひぃっ……深いっ……ああっ……お、お願いです、もっと
ゆっくり……は、激しすぎますっ……」

百瀬の男根は、響子の最も深いところまで到達していた。
子宮口をこじ開けられ、その中にペニスが挿入されている。
今ここで射精しようものなら、男の精子を阻むものはどこにもない。
にも関わらず響子の胎内は、乱暴に動き回る百瀬の肉棒を締めつけ、さすり、その精液を求め
ているかのようだ。
堕ちるのは身体の方が一歩早かった。
最後にして最大の性感帯であるボルチオを思い切り刺激され、響子はその恐ろしいほどの肉悦
に悶え狂った。

「ああっ……ああ、いっ、いいっ……」
「さすがに憶えが早いな奥さん。もう子宮を犯されるのがよくなったのか」
「いいっ……」

響子は大きく何度もうなずいた。

「いいっ……お、お腹の奥が、痺れますっ……あ、ああ、硬いのが、お腹の中を擦って……
た、たまんない!」

子宮にまで肉棒を捻り込まれているという被虐の悦びと、それに伴う圧倒的な肉の疼き。
男の、いやペニスのたくましさを強烈に感じさせられている。
肉棒は、響子の膣から子宮の中まで犯し抜き、万遍なくその内部を擦り、抉り上げていた。
響子は大きく身体を捩らせて、悦楽の喘ぎを続けている。

「ひっ……す、すごいっ……そ、そんなに激しく動いたらっ……ひぃっ、どうにかなるっ……」

美貌の人妻の素晴らしい肉体。
その未開の場所を存分に犯しているという行為が、とうとうこの女を夫から奪ってやったと
いう実感がこみ上げてくる。
百瀬の責めに熱が入ってきた。
腰のグラインドは大きくなるばかりだ。

「子宮まで犯されてる気分はどうだ、奥さん」
「いいっ……し、子宮がいいっ……子宮が、ああ、犯されてるぅ……お腹っ……お腹の中が、
し、痺れて……ああああっ……」
「そんなによがるなよ、奥さん。旦那が見てるかも知れないぜ」
「ゆ、裕作さんっ……あひっ……いっ、いいっ……あ、おっきいのが、ああ、奥まで来てますっ
……し、子宮の……子宮の中でぇっ……う、動いてるぅっ……」

響子の脳裏には、裕作の占めるスペースが徐々に小さくなってきている。
少なくとも今は、今だけは、この凄まじいばかりのセックスとその快楽で頭が埋まっていた。
激しく燃え上がるような肉の快楽が、響子から理性を奪い去っている。
性の欲望ばかりを追求する牝と化して、男に貫かれることを悦んでいた。

「んっ、んむっ……んじゅうっ……」

百瀬が響子の顔を抱え、その唇を貪った。
人妻には何の抵抗もない。
それどころか、自分から吸い付くようにして、男の舌を迎え入れたのだ。

「ちゅうっ……んっ、んじゅじゅっ……むむむ……じゅるるっ……」

ついばむように唇同士をつっつきあったかと思うと、次は互いに顔を傾けて、口の奥まで舌を
交換した。
唾液を交流させ、飲み合う。
舌を絡みつかせ、咥内の粘膜をこそぎとる。
百瀬だけでなく、響子の方も、百瀬の口の中を舌で愛撫したのだ。
もう男の唾液を飲むことに、ためらいも嫌悪感もない。

いつしか、響子の腕が百瀬の背中に回されていた。
強く抱きしめ、自分の乳房を男のたくましい胸板で押し潰している。
長く美しい脚も百瀬の腰に巻き付かせていた。
恋人同士、夫婦同士のセックスとしか思えなかった。

「……」

見学させられている五十嵐も圧倒されていた。
あまりにも凄惨なセックスだった。
あの大きな、長い百瀬のペニスが全部女の中に入っている。
それだけでも驚かされるのに、なんとそれは子宮の中にまで入り込んで犯しているらしい。
五十嵐は自慰することも忘れ、激しい肉交を見せている響子と百瀬の絡みに見入っていた。

「ああっ……ああ、もう……い、いきそうですっ……」

子宮口まで貫かれ、その内部をカリで抉られる快感を味わわされた響子は、それまで以上の
蜜を分泌させ、きつい子宮を犯す百瀬のペニスの動きをスムーズにしていた。
女体の方も、完全に子宮セックスを受け入れているのだ。
膣も子宮も、もはや生殖器としての役目を忘れ、快楽を産み出す性器としてしか扱われて
いない。
百瀬はなおも響子に淫語を求めた。

「奥さん、そんなにいいか」
「いいっ……ああ、いいです……ひっ……」
「奥さんはセックスが好きなんだな?」
「ああ……」
「言えよ、ほら。奥さんはこうして亭主以外の男に犯されるのが好きなんだろうが」
「いっ……ああっ……」
「言え! セックス大好きってな」
「セ、セックス……いいっ!」

響子とは思えぬ言葉だった。
セックスが好きだと、そう口にしてしまったのだ。

「ああ、もうっ……た、たまんないっ……いいっ……」
「そう急ぐなよ。もう少し愉しもうぜ、奥さんよ」
「ああ、でも……もうだめですっ……い、いっちゃうう……いくう……」
「くく、旦那が見てる前でまた派手にいくのか」
「そ、そんなあ……あ、でも……でも、もうっ……ああ、どうしよう、いっちゃいそう……
ああっ……」

響子の胎内にマイクでもセットすれば、子宮口から出入りするペニスの音が聞こえそうだ。
動きはどんどん早くなり、子宮口はまるで膣口のように扱われている。
ぬぷっ、ぬぷっとどろどろの愛液にまみれ、硬く締まった男根が響子の急所を破壊していく。
響子のお腹も、百瀬のペニスが浮き出て盛り上がって動いている。
それを見ているだけで射精してしまいそうだ。

響子が屈服した。
人妻の崩壊だ。

「ああ……もうだめです、あっ……い、いきたい……いかせて……ううんっ、いかせてくだ
さいっ……」
「どうすりゃいけるんだ、奥さん」
「な、中にっ……」

響子は顔を真っ赤にして叫ぶように言った。

「中に、出してっ……」
「おいおい、子宮の中に射精したら絶対に孕んじまうぜ。奥さん、妊娠はいやだったんだ
ろう?」
「で、でもっ……もっ、これ以上我慢できないっ……し、死ぬ……死んでしまう……ひっ…
…いきたいっ……」

人妻は美しい顔を歪めて、今にも泣き叫び出しそうに言った。

(ああ……わ、私、もうだめ……おかしくなってる……こ、こんな男、大嫌いなのに……
この人の赤ちゃんを産んでもいいって思ってる……)

ここまで響子が崩れたのも初めてだ。
それほどに裕作の前での凌辱劇はショックだったし、気をやらされたところを見られた衝撃も
大きかった。
だがそれ以上に、夫にもされたことのない子宮内セックスを味わわされ、ことのほか感じさせ
られたのが決め手となった。

「は、早く……早く出して……くっ……い、いっぱい出して、いかせてちょうだいっ……」

響子ははっきりと子宮に射精されることを望んだ。
そんなことされたら妊娠してしまうというのに。
響子は、不義の子を宿す恐怖よりも、子宮にたっぷりと精液を受け止める快楽を望んだ。

そんな響子に、百瀬も限界となる。
男根が一回り大きくなり、いっそう充血して硬くなった。
特に亀頭部分はぐうっと膨れあがり、熱くなっていた。
その圧力に響子が目を剥く。

「ああ、中でっ……んくうっ、な、中でまたおっきくなってますっ……す、すごいっ、ビク
ビクしてるぅっ……いいっ……い、いく、いきそうっ……」

感極まった響子のよがり声を聞き、百瀬も思い切り腰を使った。
何度も何度も、強く子宮を抉り上げる。

「くっ……よし、出すぞ、奥さん! 響子!」
「いっ、いいわ、出して!」

響子は夫に言うような調子で言った。

「は、早く出してぇぇっ……」
「覚悟しろ、響子!」
「いっ、いくっ……い、いくいくうっ……いっ、いきそうっ、いきますっっ!!」

凄まじい性の奔流が響子の脳髄に直撃した。
狂ったのでは、と、思わせるほどに激しく響子は絶頂に達した。
それまで内側にかがまっていた足の指が、今度は大きく反り返った。
百瀬の腰に巻き付いていた脚がぶるるっと痙攣し、全身を突っ張らせる。
カタンと音を立てて、響子の足からハイヒールが外れた。

膣口と子宮口が同時に強く収縮した。
さすがの百瀬でも堪えようがない。
というより、耐えるつもりもなかった。
響子の恥骨を砕くような勢いで腰をぶっつけ、自分の腰を擦りつけるようにして子宮の奥
まで犯し、そこで一気に精を放った。

どっびゅうううっ。
びゅるるっ。
どっ、どびゅっ。
どびゅるっ。
びゅるっ。
びゅるるっ。
どびゅくっ。
びゅるっ。

子宮の底に、熱い精液の洗礼を浴びて、響子は大きく仰け反って連続絶頂に達した。

「ひぃっ、いくっ……あ、あ、熱いのがいっぱい……中で弾けて……お、奥にまで届いてます
……お、奥が……すごいっ……ううんっ、ま、また、いくっ……」

響子のオルガスムスが続いている間、百瀬も射精を続けていた。
女の貪欲さに舌を巻いている。

(ホントにすげえぞ、この女……。絞り取られるみてえだ……くっ、まだ出てやがる……)

ペニスが悲鳴を上げている。
膣口でサオの根元が、そして子宮口でカリの付け根が同時にきゅうっと締めつけられた。
我慢も抑制もあったものではなかった。
ヤクザは我を忘れたように人妻に腰を擦りつけ、己の欲望を解放していた。
百瀬は、自分でも驚くほどに際限なく射精した。
こんなことは初めてだ。
陰嚢に蓄えておいた精液が全部放出してしまったかのようだ。

「お、お腹の奥に……で、出てる、いっぱい……子宮が……熱い……」

響子は、自分の子宮が野蛮なヤクザ者の汚らしい精液で満たされていくのをぼんやりと実感
していた。
そこには嫌悪感も後悔も屈辱もなかった。
被虐感すら薄れていた。
男の子種を受け入れ、それを受精したという満足感に浸っていた。
誰にでも優しく、それでいてちょっと意地っ張りで、人好きのする綺麗な奥さん。
清楚な美貌を誇った人妻。
──五代響子は、百瀬のものになったことをその身体で思い知らされていた。

「あ、あは……あはっ……ううんっ、あっ、ああっ、あっ、ああっ」

響子は凄まじい絶頂に達した余韻に浸る暇もなかった。
百瀬がまたしても激しく攻撃しだしたのだ。
あれだけ射精したというのに、まだうんざりするほどに硬い。

「ま、待って……ああ、もう、いきました……だから、ああっ、堪忍してください……あっ
……」
「まだだよ。俺のチンポはまだまだ出来るって言ってるぜ」
「ああ、そんな……ああ、いいっ……」
「なんだかんだ言っても、奥さんの身体だってまだやれるって言ってるみてえだぜ」

百瀬は力強くピストンしながら舌を巻いていた。
一向に男根が萎えない。
自分でも驚くほどに射精したのにまだ勃起が解けないのだ。
より一層、この女を犯したくてしようがなくなっている。

射精されたばかりの膣と子宮を再び巨大なもので律動され、響子もすぐに燃えだした。
そもそもさきほど気をやった身体がちっとも醒めていないのだ。
肉体の芯まで貫いてくる男根の威力に痺れ、喘ぎながら、響子は百瀬を強く抱きしめた。

「ああ、いいですっ……あ、ああっ、ま、また、いきそうっ……」

──────────

風呂屋で肛門を犯されたことが最初の崩壊なら、裕作に痴態を見られたことは、響子にとって
第二の崩壊だった。
仮面舞踏会の特別室で、百瀬と五十嵐のふたりに、両穴同時性交をされた。
ショックで泣き叫ぶのならともかく、思い切り喘がされた挙句、激しく気をやらされてしまっ
たのだ。
そして子宮セックス。
あろうことか、このヤクザは女の象徴ともいえる子宮の中にまで男根を突き込んできたのである。

もう響子は、女としてのすべてを百瀬に犯されてしまった。
百瀬に子宮の中まで犯され、自ら膣内──否、子宮内射精を望んだところを、最愛の夫に目撃
されたのだ。
そして、百瀬の熱くて濃い精液を、たっぷりと子宮内に直接注ぎ込まれ、強烈な絶頂に達して
しまった。
その絶望的なシーンを夫に見られていた。
いかに響子の貞操観念が強固なものであっても、いや、それだけにショックはあまりにも大き
かった。

響子は、アヌスを犯されて以降、百瀬の要求を抗うことが目に見えて減っていた。
そして夫に百瀬との関係を知られた後は、抵抗することはほぼなくなり、諾々と彼の指示に
従うようになっていた。
それほどに、裕作に知られてしまったという衝撃は大きかった。
何のために百瀬の言うなりになっていたのかわからない。
嫌悪感を必死に堪えて我慢し、百瀬と関係を続けてきた意味が一気に失せてしまったのである。

それでも完全に自己崩壊してしまったわけではなく、また羞恥心を喪失したわけでもなかった。
百瀬や五十嵐だけが相手ならともなく、他の男に抱かれることは嫌がっていたし、人前で犯さ
れることも抗った。
また、相変わらず肛門性交することに関してはハッキリ口で拒否したし、ましてや両穴責めさ
れることには強い抵抗があった。

だが百瀬たちにとって、その儚い抵抗こそがより大きな昂奮を呼ぶことになったのだ。
完全に服従してしまったり、さらに進んで自ら淫靡、淫欲を求めるような女になってしまっては
かえってつまらない。
心にはまだ理性や羞恥が一部残存しているが、肉体的には屈服してしまっている状態に保つの
が最高なのだ。
男を欲しがって媚を売るような女など、興味はなかった。
嫌がる女体を無理に開かせ、恥ずかしくも激しいセックスで徹底的に責め上げて、最後には
屈服と絶頂の言葉を口にさせることこそ凌辱の醍醐味と言えた。

今の響子は、まさにそんな女にされてしまっていた。
いやらしい、憎んでも余りある男に犯されながらも、そのセックスに反応せざるを得ない。
どう堪えてもよがってしまう。
汚らしい、おぞましいと思いながら、最後には男の背中を掻き抱き、脚を腰に絡めて、淫らな
声で喘がされる。
そして、何度も何度も強制的に官能の絶頂にまで導かれて、肛門の奥や子宮の中にたっぷりと
精液を注がれ、その熱さと量に満足し、再び気をやらされる。
そんな身体にされてしまったことに絶望すると同時に、これこそが女なのではないか、という
倒錯的な満足感を得てもいた。
もはや百瀬の女にされたことについて疑問は持っていなかった。
誰がどう見ても、響子は百瀬のものだった。

百瀬は、そんな響子を仕上げるべく、事務所へも連れて行き、監禁してさらに犯し続けた。
緊縛や浣腸だけではない。
ありとあらゆるテクニックを覚えさせるのだ。
五十嵐にも手伝わせたが、他の若い組員たちにも凌辱させた。
いずれ客を取らせるか、裏ビデオに出させるのだ。
百瀬か五十嵐でなければ抱かれない、というのでは困る。

それに響子ほどの美貌と肉体、そして鋭敏な性反応をもってすれば、取引にも使えるだろう。
議員や警察の権力者どもに抱かせ、それを撮影し、恐喝するのだ。
もちろん接待用にも使えるだろう。

それから半年近く経ったある日。
珍しく百瀬は響子を事務所から連れ出した。
いぶきから、響子の実家と裕作が、響子の捜索願を警察に出したことを聞いて、外に出すのを
控えていたのだ。

リアシートに響子を乗せた大型の黒塗りの国産車は、病院の帰り道、ある場所に寄った。
何気なく窓の外を眺めた響子は、そこが一刻館だと知った。
わずか六ヶ月前まで住んでいた場所だ。
懐かしいという感慨もなく、響子はぼんやりと眺めた。

小さな子供の声が響いた。
低い壁越しに、よちよち歩きしている我が子の姿が目に入った。
もう歩けるようになっていたらしい。

「春香……」

ほとんど聞こえないくらいの声で響子はつぶやいた。
春香を案じて、笑いながらその後を追いかけている若い女に見覚えがある。
八神いぶきだった。
その傍ら、縁側に腰をかけてその様子を見ているのは、夫の裕作だった。
幼い我が子と新しい女を見て浮かべている笑顔に、一抹の寂しさとやるせなさがあるように
見えたのは、響子の欲目だっただろうか。
夫の笑顔に耐え切れなくなったのか、響子は目を伏せて運転席の百瀬に言った。

「……出して」
「あん?」
「お願い、クルマを出してください……」

百瀬は黙って発進させた。
そして、ちらとルームミラーで響子の様子を確かめる。
その愁いた美貌は俯いていて、どんな表情なのかわからなかった。
百瀬は響子を見たまま聞いた。

「で、医者は何て言ってた?」
「……三ヶ月……だそうです」
「そうか」

響子は、ミラーに写った百瀬の満足そうな笑顔から視線を外した。
そして、背徳と淫蕩の代償が宿った自分の下腹をそっと撫でるのだった。


                                                   ──  完  ──

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