「……」

現実世界では、別の男ふたりが武緒の痴態を眺めていた。
着衣のままだし、顔の大半はヘッドギアで隠されているのに、武緒の全身からは息苦しいほどの
フェロモンが漂っていた。
熱い吐息と漏れ出ている愛液なのか、甘ったるい女の色香まで匂ってくる。
さすがに黒崎も息を飲んでこの愛欲図を凝視していた。
見られていることなど知らない武緒は、もぞもぞと居心地悪そうに尻を動かしている。
腰の奥が熱くなってきているのだろう。

そして腕も動き出した。
ゆっくりと、そして控えめな動きではあるが、武緒の左手は自分の胸を伸びていたのだ。
ブラウスの上から優しくゆっくりと乳房を揉んでいた。
右手の方も、スラックスの上からだが、股間に指を使っている。
人差し指と中指を使って、両腿の間を擦るような動きを見せていた。
この行為自体、武緒はまったくの無意識である。
半催眠、半覚醒で、いわば夢の中での官能的なセックスに、現実の身体がついていけなくなって
いたのだ。
よくあるケースらしく、目が血走ってきている黒崎に対し、黄瀬の方は落ち着いていた。

* - * - * - * - * - * - * - * - *

「あっ、ああっ!?」

武緒はその異様な感触におののいて振り向いた。
矢作に犯され、その年齢に合わぬ激しいセックスに翻弄されて絶頂まで押しやられてしまい、
朦朧としていた。
意識が醒めやらぬまま、ごろりと身体を反転されて、また抱かれたのだ。
武緒の腰をバックから抱えているのは安部であった。
しかし場所が違う。
安部は美女のアヌスを犯そうとしていたのだ。

「なっ、なにを……」
「なにをもクソもあるか。あんたの尻の穴を犯ってやろうってんだよ」
「いやよ! そんな、お尻を犯すなんて……ああっ」
「カマトトぶるんじゃねえ。その歳ならこれくらい知ってるだろうが」
「冗談じゃないわ! そんなこと知らない!」
「ほうアナル処女ってわけか。なら俺が最初の男だな。あんた、なかなか良さそうな穴を持って
るみたいだし、使わないのももったいないぜ」
「バカっ、いやよ! やめて、やめなさい!」

肛門性交などとんでもなかった。
そういうセックスがあることくらいは知っているが、してみたいと思ったことなどなかった。
ホモじゃあるまいし、そんなところを犯されるなど屈辱以外の何物でもない。
やめてやめてと泣き叫ぶ武緒のヒップをひっぱたいて黙らせると、安部はたっぷりと肉ののった
尻たぶを左右に割った。

「いや、ああ怖い……」

むずがる臀部は安部によってがっしりと押さえつけられて動けない。
そもそも武緒が本気で抵抗することは出来ないのだ。
黄瀬が彼女の脳に送り込んでいるデータと、それを制御するプログラムによって、彼女は抵抗心
が極力押さえ込まれている。
普通は抗う気にもならないはずだが、形だけでも抵抗するのは、それだけ武緒が精神的に強靱だ
という証明だろう。
反面、官能的な刺激だけは増大して送信されるから、たまらないほどの快感がわき起こってくる
仕組みだ。

そんな中、媚肉と同時に散々アヌスも責められていたのだから、いくら彼女にその趣味がないとは
いえ、感じてしまうのはやむを得なかった。
脅える美貌の警官をからかうように、男は肉棒の先っちょでアヌスを丹念にマッサージした。
ほぐす意味もあったし、先走り汁でしっかり湿らせる効果もある。
安部も、さきほどの武緒を矢作のハードなセックスを見物していて、もう迸り出そうだったのだ。

熱いものでぬめぬめと愛撫されていくと、激しく気をやった余韻がまだ残っていた武緒は、また
しても官能の残り火に勢いが増していくのがわかった。
武緒に「ひっ」と短い悲鳴を続けざまに上げさせながら、安部はチャンスを狙っていた。
充分にほぐれている女体ではあるが、無理はしたくない。
女の肛門がひくっひくっと、窄まりと緩むのが交互になってきたのを見て、安部は緩んだ瞬間に
ぐぐっとペニスを押し込む。

「あああっ!?」

安部がゆっくりと力を込め、腰を沈めていくと、武緒は大きく口を開けて苦痛を叫んだ。
ぶるっと腰が大きく痙攣し、硬直した。
婦警は美貌を歪め、悲鳴を噴き上げる。

「いっ、いあああ……痛いっ、痛いわ、やめてぇっ!」

野太いものが武緒のこぢんまりとした肛門を引き裂いていく。
みりみりと音が聞こえそうなくらいに軋んでいる。

「あ、あ、あむむ……痛い……んくああっ、さ、裂けるぅ……」

武緒は口を噛みしめて苦痛に耐えているかと思えば、大口を開けて激痛に泣いた。
振りたくる頭に髪は乱れ、腰はぶるぶると震えが止まらない。
逃げようとしてずり上がろうとするのだが、安部がしっかりと腰を掴んでいて離さず、すぐに
引き戻した。
安部は最後の一押しをくれた。

「ひぃあああっ!!」

武緒はいったかのように、ぶるるっと身体を震わせた。
太いカリの部分が狭いアヌスを貫通したのだ。
美女はその激痛に堪え忍ぶかのように、「ううっ」と呻いていたが、男は構わず棹の部分を
埋め込んでいった。
カウパー液と武緒自身の愛液でぬるぬるになっていたアヌスは、そこが排泄器官であるのが
ウソのように安部のペニスを飲み込んだ。

「いや……あむむ……あ、ああ、入って……入って……くる!」

ずぶずぶとあまり抵抗を受けずに沈め込まれていく。
安部はそのまま根元まで押し込んだ。
臀部に男の腰がぺたんと打ち付けられると、武緒はまた悲鳴をあげた。

「あ……んんん……く、苦しい……ああ……」

初めてなのに、たちまち挿入されてしまったことに武緒は呻いていた。
肛門に大きなものをぶちこまれて、思うように息も出来ない。
安部のたくましいペニスが腸内の壁に当たって、引きつるような痛みを覚えた。
肛門も、出血しないのが不思議なくらいに拡張されているだろう。
腹のいちばん深いところまで埋め込まれ、腰がギシギシいっている。
吐き気すらもよおしてきた。

安部は武緒のアヌスがペニスに慣れてくるまで動かなかった。
そのうちヒクヒクと弱い収縮ではあるが、締めつけたり緩めたりするようになると、腰をゆっ
くりと動かしてきた。
激痛に苦悶する美女は、驚いたように叫んだ。

「ああっ!? う、動かないで、お願いっ!」
「バカいうなよ、動かすためにやってんだ」

少し引き抜かれ、ずぶっとまた突き刺される。
それだけの動きだったが、アナル処女だった武緒の肛門粘膜はギシギシと軋んだ。
めいっぱい拡張されたアヌスがペニスの前後運動で軋む。
粘膜を巻き込み中へ押し入り、抜かれる時にはめくれあがる。

「だめぇっ……お尻、いやあ……あ、あむ、うむむっ……」

僅か5センチほどの律動なのだが、それでも武緒には死にそうになるくらいの衝撃だった。
無理に拡げられた肛門内に蠢くペニスに翻弄され、腰も背筋も灼けただれた。
呆然、朦朧となりそうな頭が、突き込まれると苦痛でバチッと覚醒する。
それほどなのに、なぜか突き込まれると苦痛の裏に痺れるような妖しい感覚も襲ってくる。
黄瀬が送ったアナルの快感データだが、武緒はそんなことは知らない。
痛み以外の感覚、それもおぞましい官能の痺れが走り抜けるのを感じ、美女はどうしていいか
わからなくなる。

「ああ、いやあ……ああう……うんっ……あ、あは……」
「くく、いい声で泣くな、婦警さんよ。もう気持ちよくなったのかい」
「違う……違うわ、ああ……お尻が、ああ……」

安部のピストンが大きくなってきている。
腰が武緒の尻たぶにぶちあたると、両者の汗が弾けた。
男は律動がスムーズになってきているのを感じていた。
汗だけでなく、武緒の肛門から腸液が滲んできていたのだ。

それに気づき、呻く武緒をじっくり観察すると、明らかに変化が出てきている。
尻を突き刺される苦痛に青ざめていた貌がほんのりと上気してきている。
背中は、たまらないとでも言いたげにうねくっていた。
そして安部のペニスをくわえこんでいるアヌスも、収縮の度合いが強くなってきていた。
泣き声とも呻きとも言えぬ声を発していた口からも、火が着きそうな熱い吐息が混じってきて
いる。

安部は武緒の綺麗にくびれた細腰を両手でがっしり掴むと、喘ぐように蠢く大きな尻に遠慮
なく腰を打ち込んでいった。
数度に一度の割合で、ぐぐっと出来るだけ深くまで抉り込んでもいる。
武緒は、もうたまらないとばかりに首を反らせて白い喉を晒した。

「だめ、ああ……お、お尻が、ああ……お尻が変になる……ああっ」
「そんなにいいのか? はじめてケツを犯されて、いきなりいくのかな?」
「いや……ああっ、こ、これ以上されたら、もう……あああっ」

たくましいものをくわえ込まされ、張り裂けそうになっていたアヌスが、ひくひくと収縮を
始めた。
腸内の襞も尻肉も、そして肛門粘膜も総動員して、安部の肉棒を逆に責めてきているようだ。

「くっ」

安部も、まるで武緒のアヌスにペニスを食われそうな感覚に襲われ、そうはさせじと激しく
突き上げた。
もう安部は媚肉を犯すときと変わらないストロークを打ち込んでいた。
それでも武緒のアヌスは、その攻撃をしっかりと受け止め、激痛を悦楽に変換して脳髄に
伝送している。

武緒は、犯されるアヌスと媚肉、そして子宮から脳まで、まるで一本の神経で繋がっているかの
ような錯覚を受けた。
安部の硬くて大きなものでアヌスを貫かれると、膣の奥から蜜が噴き出し、頭の中では白い
爆発が連続するのである。

「あひっ、あああっ!?」

武緒の肢体がぶるっと震え、腰や腿に力が籠もった。
変化を見取った安部がすかさず言う。

「おおっ、あんたいくのか?」
「いやっ……お尻でなんか、いやあっ……あっ、あうっ……」

それでも武緒の呻きにも切羽詰まったものが出てきた。
熱く喘ぐ女体は、もう全身の痙攣が止められない。
安部も最後の追い込みで、容赦なく武緒の豊満な臀部を突き上げていく。
腰が浮き上がるくらいに激しい突き込みを受け、深いところまで肉棒が侵入して暴虐する。
腰をよじられ、こねくり回されると、武緒の喘ぎがつんざくようになり、肛門がぎゅぎゅっと
強く締まっていく。
安部ももう、獣のように吠え、ただただ武緒のアヌスを犯していた。
狭いアヌスも腸液や汗で濡れきっており、安部の力強い攻撃にもびくともしなかった。
痙攣していた肛門が一層強く引き締まる。
その瞬間、男は武緒の腰を左手で抱え込んで出来るだけ深くまで押し込み、右手で乳房が潰れる
ほどに強く握りしめた。

「ああああっ……だ、だめ、死ぬ!!」

ぎりりっとアヌスで安部のペニスを絞りたて、武緒は激しく気をやった。
男もたまらず射精した。
あさましく腰を押しつけて、深いところでどぴゅどぴゅと音が聞こえるほどに大量に放出して
のけた。

武緒はぶるるっと大きく痙攣し、次の瞬間、くたりとへたり込んだ。
全身汗まみれで、大きく熱く喘いでいる。
時折、思い出したようにぷるぷるっと腰が震えた。
妖しい愉悦が全身を包んでいる。
甘い快感というには、あまりにも激しい肉悦だった。

(ど、どうして……お、お尻でなんて……)

* - * - * - * - * - * - * - * - *

黄瀬がサンプルデータを打ち込んでいる画面を見ながら黒崎が言った。

「で? どんなプレイをやらせてるんだ?」
「いろいろ考えたんですがね、まあ取り敢えずはこんなとこで」

黒崎はモニタを見てうなずいた。

「なるほど、3Pか。このお堅いお姉さんは経験ないだろうな」
「でしょうね。それとこんなのも」
「おいおい」

メガネを指で上げながら黒崎は苦笑した。

「尻までやるのか」
「問題ないでしょう。経験の有無は関係ないです。むしろアナル処女だったら面白いでしょう
な。アナルの経験がないのに、肛門を犯されて感じるデータをぶちこまれてるんだから。初め
てケツを犯されれば痛いだけのはずですが、こいつならいきなり快楽です。バーチャルの世界
だとはいえ、けっこうショックでしょうよ」
「そこが凄いところだな」

さすがに黒崎も感心している。

「もっとも、このアマ少々生意気なこと抜かしてやがったから、少々お仕置きしてやりました
がね」
「お仕置き?」
「尻を犯された時の苦痛データも入れました。ま、大したことありませんや。すぐに感じる
ようになります」
「これを使えば処女でも感じまくるような女になるのか」
「理屈で言えばそうなりますね。実際の経験はどうでもいいんです。その女の脳神経に、オマ
ンコならオマンコ、アナルならアナルで感じたという女のオルガスムス・データを放り込んで
やってるんです。こりゃもう本人の意思とは無関係に感じるしかありません。これならどんな
女だってマゾ奴隷に仕上げられますし、不感症治療にも抜群の効果があるでしょうよ。まあ、
かかる時間はそれぞれの女の資質にもよりますけど」

モニタには武緒に流入しているデータの他に、武緒から入ってくる感応データも表示されて
いっている。
この生真面目そうな婦警も、しっかりと官能に囚われているらしい。
流れ込んでくる性感数値はかなり高いようだ。

「そういや相手のデータはどうした? 架空の人物か?」
「いえ、この婦警さんの『憧れの人』を使いましたよ」
「憧れの人?」
「ええ。まだ実験段階なんですがね、相手から注文がなくても、その人の深層心理をさらって
懸想している人を探り出せるんです」
「へえ」

黒崎が目を丸くした。

「そりゃすごいな、そんなことまで出来るのか」
「だからまだ実験中です。でも、この女の様子を見てるとうまくいってるような感じですね」

* - * - * - * - * - * - * - * - *

武緒はエクスタシーの余韻すら味わう暇を与えられなかった。
アヌスに刺されたままのペニスをずるるっと抜かれると、もうそれだけで軽く絶頂してしまった。
ようやく安部が離れると、哀れな美女の裸体は、男の汗と唾液に精液、そして武緒自身の汗に
愛液や腸液と、あらゆる汚液にまみれていた。
安部と矢作がニヤニヤしながら武緒に手を伸ばしてきた。

「へへ、はじめてのアナルセックスなのに、ずいぶんと派手にいったもんだな、ええ?」
「……」
「オマンコの味もよかったが、おまえ、尻も好きなんだな」

男たちは武緒の黒髪を掴んで快楽にとろけた美貌を覗き込み、そんなことを言ってからかった。
武緒は返す言葉がなかった。
凌辱されただけでなく、そんなところまで犯され、挙げ句、今までにないほどに気をやらされた。
媚肉はともかく、肛門を犯されて痺れるような快美感を得、激しくいかされたことがショック
だった。
もう泣く気力もなかった。
しかし男たちはまだ許さなかった。

心身ともに打ちのめされた武緒はされるがままだった。
淫獣たちが身体をまさぐってきた。
むずかって払おうとした手を掴まれた。
ぼんやりと男たちを見ると、その股間には、またしても肉棒がたくましく勃起していた。
何をされるのか覚った武緒は、弱々しく懇願した。

「いや……もういや……これ以上はもう許して……」

矢作が鼻で嗤った。

「へっ、何を言ってやがる。俺に犯されて気をやったくせに、安部には尻を犯されてまたいき
やがってよ。その好きそうな身体は、まだいくらでもいけるだろうが」

そう言って中年男は武緒の後ろに回り込んだ。

「こっちが黙って待ってりゃ、散々色っぽい声で喘ぎやがって。あんだけ派手に喘がれりゃ、
男は収まりがつかないんだ。このままで済むかよ」
「いや……もういや……」

美貌の婦警は、普段の気丈さが消え失せ、恐れおののいて後じさりした。
その肩を矢作が抱えた。

「ひ……」

武緒は目の前でぶらぶらしているペニスに釘付けになった。
安部の肉棒は、さっきあれだけ射精したにも関わらず、赤黒い棹に太い静脈を浮かび上がらせて
ビクビクしていた。

「ああっ」

今度は背中に熱いものを押しつけられ、魂消えるような悲鳴が出た。
汗の浮いた背中にぺったりとくっつけられた矢作のペニスもたくましく、その熱さと硬さがいや
というほどわかる。

「何を怖がってやがる。つい今さっき、こいつを尻にくわえ込んでよがってたくせに」
「やああっ!!」

悲鳴をあげて逃げようと試みる武緒を押し倒し、安部が襲いかかった。
仰向けの武緒の下には矢作がいて、豊満なバストを掴んで動きを封じている。
美女は上下を男に挟まれたサンドイッチ状態にあった。
必死になってもがく武緒の両足首を掴んだ安部は、そのすらりとした脚を高く持ち上げた。
武緒の身体は二つ折りにされ、その腿が矢作に揉まれている乳房にくっつくほどに曲げられた。
彼女の柔らかな肢体は、そんな無理な姿勢でも受け入れていく。

「うっ、ううん、いやあ!」

またしても訪れるであろう屈辱と愉悦の世界を思い、武緒は心の底から悲痛な叫びをあげた。
5分前の射精などどれほどのこともないように、安部の肉棒はギンギンにそそり立ち、武緒の
媚肉を縦になぞっている。
そうされると見る見るうちに割れ目が弾け、生き物のように蠢いてきた。
心とは裏腹に、熟れきった武緒の肉体は男を待っていた。
それでも精一杯の抵抗を見せ、髪を振りたくってずり上がろうとする。
そんな抗いなどものともせず、男は目指す媚肉を貫いていった。

「う、あああ……んんん……」

懊悩する美顔を激しく振って、武緒は重量感のあるペニスを埋め込まれていく。
大きなものをずぶずぶと奥まで貫かれ、満足に息もできない。
際限なく入っていくような錯覚を受けたが、先が子宮口にぶつかってようやく止まった。
武緒はぶるぶると震え、絶息しそうな悲鳴をあげながら仰け反った。
もう二度もいかされているというのに、さらなる絶頂を求めて武緒の裸身は進み始めた。
白い肢体がカッと燃えるように赤くなり、受け入れたペニスを包み込むように膣襞が絡みついて
いく。

「んんっ……はああっ……」

いやでいやで仕方ないのに、柔肉は武緒をあっさりと裏切り、男の肉棒を嬉々として迎え入れた。
どうしても襞が蠢くのを止められず、じわじわとペニスを締めつけて安部にも快楽を与えていく。
その動きは、武緒自身にもとろけるような快美感をもたらしていた。

「どうだ、満足か? 随分と気持ちよさそうな顔だな」
「ち、違う、ああっ……」
「ほれ、こうして欲しいんだろ?」
「ああっ、動かないで!」

安部は余裕を持って突き込み始めた。
淫蜜まみれの媚肉は、安部に突かれるたびに、ぬっ、ぬっと湿った音を立てている。
軽い突き込みだが、中に太いものが押し込まれると、その分、膣の奥から愛液があふれ出してきた。
とろとろとした透明なものではなく、薄く白濁し、どろりとしたものに代わっていた。
もちろん矢作が吐き出した精液も混じっていただろうが、武緒の感じっぷりが本物であった証拠
だった。

安部の動きはまだおとなしいものだった。
奥まで沈めてはいるが、引き出すのはほんの4〜5センチ程度だ。
短いピストンで、スピードもまだ緩い。
それでも武緒は、打ち込まれるたびに「あっ、あっ」と、隠しようもない喘ぎ声を放っていた。
武緒にのしかかって腰を使っていた安部が、下から手を伸ばして乳房を揉みしだいていた矢作に
目で合図した。
矢作がニヤッとして了解すると、安部は挿入したまま武緒を横抱きにした。
膣に突っ込まれたままぐるりと半回転させられた武緒は、胎内のあちこちに硬い肉棒があたって
悲鳴を出した。

「うあうっ……」

続けてもう半回転させられ、またしても敏感な襞にゴツゴツとペニスがぶつかって、美女は苦痛
と強い快感で呻いた。
今度は安部が下になり、武緒は彼と向かい合わせにうつぶせで抱かれていた。
安部が細かく腰を動かして、武緒の膣を抉っている。
特車二課の女性警察官に短い喘ぎをあげさせながら、下に入った男が尻に手を掛けた。
安部がぐいと武緒の尻たぶを割り開くと、その谷間の底にあるアヌスが見える。
初めてなのに激しいほどのアナルセックスをされ、肛門は少々赤く爛れていた。
そこに矢作がカチカチのペニスを押し当ててきた。
その感触に、武緒は「ひぃっ」と喉を鳴らして振り返る。

「ああっ、な、なにを……」
「なにをってことはないだろう。さっき、安部とやってたことをやろうってのさ」
「だ、だって、今は前に入って、ああっ……」
「オマンコに入ってたって、尻に入れちゃいけないってことはないだろう」
「ひっ、いやいやっ……そ、それだけはやめてっ! ……そんな、両方いっしょなんて……」

後ろ手に縛られた手を何とか動かそうとするがどうにもならない。
大体、安部の肉棒で膣がつなぎ止められているのだ。
身をよじって避けようとしても、上から矢作がまとわりついてきていて離れない。
むっちりした武緒の尻たぶを、下にいる安部が大きく割っている。
矢作の挿入を助けるためだが、尻たぶを盛んに揉んでいるところを見ると、安部も武緒の尻肉の
感触を愉しんでいるのだろう。

「だっ、だめっ、矢作さん、お願い、やめてぇっ!」

矢作の肉棒が武緒のアヌスに食い込んでいく。
腰がおかしくなるほどに安部に犯され抜いた肛門は濡れそぼち、ぬめり、緩んでいた。
そこに大きなものがじわじわとめり込んでくる。
たまらず武緒は仰け反ったが、下にいる安部に腰を押しつける形になり、子宮が持ち上がるほど
に深くペニスが入り込んできた。
かと言って腰を引けば、上にいる矢作に尻を突きつけることになり、肛門への挿入を助けること
になってしまう。

「ひっ……さ、裂けるっ、ああっ……あ、あむぅっ……」

充分に潤い、緩んでいたはずの肛門が、太い男根を迎え入れて軋んでいた。
前に安部の太いものを飲み込まされていることもあって、アヌスが相対的に狭くなっているの
だろう。
そうでなくとも大きなものを入れられているのだから、アヌスの苦痛は想像以上だった。
汗でぬめる武緒の全身に新たな脂汗が噴き出していく。
アヌスは、もう無理というくらいに拡げられ、矢作の肉棒を埋め込まれつつあった。

「痛い、ああ……う、うむっ、は、入らないわ、やめて、ああっ……」

性に長けた中年男は、無理をせずに武緒のアヌスを突き刺していった。
豊かなヒップを抱きかかえて、ゆっくりと押し込む。

「うはあっ!!」

もっとも太い箇所が飲み込まれた時、婦警の美貌が歪み、肺の空気がみんな出てしまうほどの
絶叫が放たれた。
強引に野太い亀頭部を埋め込まれた武緒の臀部は、ぶるぶると痙攣が止まらない。
難関を乗り越えた矢作はホッと息をついて、腰をよじって肉棒を捻り込んでいく。
肛門の粘膜が引きちぎられるような感覚に、武緒はひぃひぃと呻き、身悶えた。
矢作がぐっ、ぐっと腰を少しづつ送るごとにペニスが直腸に送り込まれ、武緒との腰の距離が
縮んでいく。
そして、とうとうふたりの腰がくっつき、肉棒が根元まで埋め込まれると、武緒は意識が消え
かかった。
下半身のすべてを男たちに支配された。

「し……死ぬ……」
「おっと」

ここで気を失われてはつまらない。
下の安部が軽く頬を叩き、上の矢作は、まだ痙攣している臀部をぴしゃりとひっぱたいた。
そのショックで身体が動き、身体の中に入り込んだ二本の肉棒に内部を擦られて、武緒は仰け反る。

「あう! ……ああ、もう許して……こ、こんなの、ああ、死んでしまう、ああ……」

美女の悲痛な悲鳴を聞いて、安部はニンマリとして答えた。

「なに、死にはしないさ、あんたくらい身体を鍛えてりゃ、これくらいどうってことはないよ。
もっとも、死にそうな気分は味わえるかな」
「いやよ、そんな……ああ、苦しいわ……お腹にいっぱい、ああ、入ってて……」
「ウソつくなよ、前も後ろも根元まで入ってやがるくせに。その苦しいのがいいんだろうが」
「そんな、あうう……」
「ほれ、俺たちのチンポがどこまで入ってるか言え」
「ああ……」
「言うんだよ!」

安部が声を荒げて尻を抓った。
武緒はその激痛でビクンとなり、苦鳴を出した。

「ほら、オマンコはどこまでだ?」
「ああ……ま、前は、お、奥まで……」
「尻はどうだ?」
「あうう、お尻……お尻も……深い、ああ……」
「前も後ろもめいっぱい深いんだな?」

武緒はカクンと頷いた。

「ああ、はい……前は、ああ、し、子宮に届いてて、くああ……」
「尻は?」
「ふ、深い、です……いちばん奥まで、あう、入ってて、ううむ……」
「前と後ろのペニスはどっちが大きいかな?」
「わ、わからない、ああ……ど、どっちも、ああ……」
「どっちも、なんだ」
「どっちも、あうう……すごく大きい……ああ、か、硬くて、もう……」

美人婦警の口から零れ出る淫らな言葉に満足すると、安部は矢作に聞いた。

「どうです、矢作さん、そっちは?」
「ああ、たまらんねえ。この締まり具合はオマンコじゃ味わえんな」
「こっちもすげえですよ。矢作さんが尻に突っ込んでるからでしょうけど、一段とよく締まり
やがる」
「そろそろ動いてやるか」
「そうですね」
「いや、動いちゃいやよ、あああっ!!」

ふたりの言葉を聞いて狼狽える武緒を嘲笑し、安部と矢作は腰を使い出した。
律動が開始されると武緒は、すでに一度射精したとは思えないほどに硬くなった肉棒を前後で
感じさせられた。
太い肉の塊に前後の穴を同時に抉られて、武緒は快楽の喘ぎを抑えきれなかった。
アナルを責める矢作は、締まろうとする窄まった穴をこじ開けるようにねじ込み、深い挿入を
行なって直腸を犯した。
一方、前を責めている安部は、素晴らしい収縮を見せる武緒の媚肉を存分に味わっている。
その膣襞は、ひくひくと不定期に締めつけ始め、早くも精液を求めるかのような蠢きを見せて
いた。
いきり立った男根に責め抜かれ、両穴を深くまでねじ込まれて、武緒はガクガクと腰と頭を
揺らして喘ぎ続けていた。

「かはっ……だ、だめ、それはぁっ……あ、ああ、前と後ろが、ああ、擦れてるっ……」

直腸と膣の薄い粘膜同士が、中で暴れる大きな異物のせいで擦れ合い、武緒にたまらない快感を
与え続けた。
責める男たちは、それを知ってリズムを合わせてピストン攻撃している。
媚肉を犯す安部は子宮を突き上げるように深く挿入し、アヌスを凌辱する矢作は子宮の裏付近の
直腸部分を盛んに責めていた。
子宮の表と裏から同時に擦りつけられて、武緒は本当に気が狂うかと思った。

下で思うように突き上げが出来なかった安部が、矢作に目配せする。
矢作は上から武緒の背中にのしかかってアヌスを犯していたが、安部の要請を受けて武緒の胸を
掴んだ。
そしてそのままゴロリと横向きに寝転がる。
川の字になって、その真ん中に武緒を置いて両穴を責めるのだ。
これでも動きにくいが、さっきよりもマシである。
安部が本格的に腰を打ち込み始めた。
途端に武緒が大きく首を仰け反らせて喘いだ。

「そんな急にっ……ああっ、激しっ……激しすぎるぅっ……あ、あはあっ……あ、あああっ……」

武緒の中は、前も後ろもぬるぬるだった、
滑るというよりぬめるような入れ心地を愉しみながら、矢作と安部は美しい生贄を責め抜いた。
媚肉を犯す安部は腰を擦り合わせて、武緒のクリトリスを潰すようにして愛撫する。
後門担当の矢作は背中から大手を拡げて、たぷたぷと官能的に揺れ動く乳房をきつく揉み上げて
いった。

身も心もとろけてしまうような快楽は、ふたりの男に同時に犯されるという倒錯的なものも影響
していた。
武緒の想像を遙かに超える凄絶なセックスに、彼女は恍惚とした表情を浮かべている。
もう知性も理性もどろどろになり、性欲にのみ感応する淫らな牝になりつつある。
悲痛と屈辱と苦痛にまみれるだけだった凄まじい輪姦劇を受け入れ、二本のペニスにアヌスと
ヴァギナを貫かれることを悦んでいた。

犯される美貌の警察官の変化を見取り、ふたりの凌辱者はさらに突き上げを激しくし、その美麗
な肢体を存分に味わった。

「あ、あああっ……いっ、いいっ……!」

呆気ないほどに、その言葉を口にしてしまった。
が、それを恥ずかしいと思う理性など、とうに消し飛んでいる。
武緒の脳裏には、股間にひしめきあうように蠢いているツインの大きな肉棒のことしかなかった。
安部が子宮まで突き通すくらいに深くまで犯すと、矢作も負けじと武緒の尻が持ち上がるほどに
奥深くまで突き立てた。
二本の硬い男根が、武緒のふたつの肉穴に埋没し、その中で競うように薄い壁を隔てて擦れ合う。
無我夢中に責め込む男たちの行為に、武緒の神経が灼き切れた。

「おおっ……あおおっ、もっ、もう、あああ、だめっ……」

切羽詰まったような声が響き、長い両脚が安部の腰に絡みつく。
両手が縛られていなかったら抱きついていたかも知れない。
媚肉も肛門も擦り切れるほどに腰を打ち込まれ、武緒が最後を迎える。
ぶるぶると細かい痙攣が走り、あうあうと呻き出す。
アヌスも膣も不規則に締まり、矢作と安部のペニスに射精を促した。

「ふわあああっ、あっ、あひぃっ……う、うああ、いく、いっくうぅぅっ……!!」

強烈な括約筋の攻勢に耐え切れず、安部も矢作も呻いて射精した。
灼けるような熱い精液が子宮口と直腸深くに撒き散らされると、武緒は最大の痙攣を見せて
続けざまに気をやった。

「あ、熱いっ……で、出てる、ああっ……子宮にぃ、んんんっ、いくっ……」

矢作が射精の発作ごとにずんずんと尻に打ち込んでいく。
武緒はそれにも敏感に反応し、いかされた。

「あう、お尻にも出てる……奥に……ああ、奥にいっぱい……あうう、いくう……」

男たちはほぼ同時に武緒の中に欲望の濁液を注ぎ込んだ。
アヌス内に出された矢作の精液も年齢の割りに量が多かったが、媚肉に射精した安部は若いだ
けに大量だった。
どくどくと子宮めがけて射精し、口を開きかけていたその内部にまで精液が放たれた。
ビクビクと脈打ち、武緒にも初めての深い箇所でたっぷりと注がれた。

「あう……」

満足するまで射精し終えたふたりが、まだ硬度を保った肉棒を引く抜くと、武緒の肛門、膣の
粘膜が、名残惜しそうに粘り着いてきた。
太いものが抜かれても、アヌスも膣もまだ口を閉じ切れていなかった。
多すぎる精液が逆流し、ふたつの穴からとろとろと流れ出ているのが見てとれた。

完璧な凌辱だった。
武緒は肛門性交も、両穴同時責めも経験させられ、それで何度もいかされた。
いやというほど味わわされた究極の絶頂で、もう指を動かすのも難儀だった。
男たちはまだまだという顔をしている。
今度は安部が後ろに回り、矢作が前に行った。
ふたりは、武緒が完全に二人責めに溺れるまで責め抜くつもりだった。

* - * - * - * - * - * - * - * - *

椅子に腰掛けた武緒の身体がビクンと跳ね上がり、反り返った。
自分の胸を揉んでいた左手から力が抜けてガクリと落ちた。
股間をいじっていた右手も、くたりと垂れ下がる。
武緒の側に行くだけで、もぁっと女の淫らな香りが薫ってきた。
汗や分泌液の匂いであろう。
スラックスの中に隠されている下着は、濃い愛液でじっとりとぬめっているに違いない。

「お、終わったかな?」

小刻みに痙攣している美女を見て、黄瀬がそう言った。
仮想現実の中で絶頂に到達したのであろう。
モニタで監視していたが、何度か大きな波があった。
数度いったようだが、最後に最高値を記録していた。
恐らく、この女が現実では味わったことのない絶頂だったと思われた。

「……う」

黄瀬がシステムを終了させて覚醒信号を送ると、卑猥なプログラムに躍らされた美婦警は正気に
戻った。
ちらと黒崎の方を見ると、ホッと息をついてハンカチを使っている。
さすがの黒崎も、武緒の痴態に興奮していたのだろう。

指のキャップを抜かれ、ヘッドギアを脱がされると、虚ろな頭をシャンとさせようと、武緒は
何度か頭を振った。

「お目覚めかね、お姉さん」
「……」
「どうだい、なかなかよかっただろう。黒崎さんとこの技術者が最新の脳医学と人間工学、
それにシステム工学を融合させた傑作だからな」
「こ、こんなもので……」
「ん?」
「こんなもので何をしようと言うの!」

武緒の白い怒りに、やや気圧される。
この女、まだ怒る気力があるのか。
黄瀬は少し上擦ったような声で言った。

「こんなもの、はないだろう。こいつは日本でも非合法化するのは難しいと思うぜ。もし日本で
ダメでも、海外ならいける。警官に叱られる類ものじゃないと思うがな」
「そ、それは……。でも、私は望んでこんな機械にかけられたわけじゃないのよ」

ムリヤリこのマシンを使われるというのは、女性にとってレイプに該当するのではないかとすら
思える。

「だが、身体的に影響があるわけでもない。医療行為でもないから医師法にも引っかからんだろ

よ。それに、あんただって気持ちよかったんだろうが?」

頬がほんのり赤いのがわかる。
さっきまでの仮想世界での出来事は、武緒もちゃんと記憶しているのである。
醒めてみて、あれはバーチャルなのだということがわかったが、その間、生身の自分はどうな
っていたのだろう、と武緒は思った。
着衣に乱れはないから、黒崎らが淫らな悪戯をしたようなことはないようだが、少し腿を動か
したら、下着がかなり濡れていることがわかった。
かぁっと顔が赤くなったが、動揺は男たちに覚られたくなかった。
なるべく平静を装ったが、まさかあの時、無意識に自慰行為でもしていなかったかと思うと、
いたたまれなくなる。
武緒に自覚はないのだが、事実、自慰に準じるようなことはしていたのだ。
目を固く閉じ、そのことを吹っ切るようにして武緒が聞いた。

「余計なお世話だわ。そ、それより……」
「?」
「……リチャードは無事なの?」

武緒は消え入りそうな声で訊いた。
それをどう捉えたのか、黒崎は素直に答えた。

「ええ無事ですよ。重傷ではありましたが、一命は取り留めました。じき退院できるでしょう」
「……」

内海の腹心である男は、きらりとメガネを光らせて言った。

「課長に会いたいですか?」
「……!」

武緒がどきりとしたのを見逃さず、言葉を続ける。

「会わせてあげてもいいですよ。ただし、条件があります」
「条件……?」
「ええ。難しいことじゃありません。定期的にここへ来ていただけますか?」
「え……」

思わず武緒は黒崎を見た。
小柄な男は笑みすら浮かべていた。

「ここへ来て、また我々の訊問に答えていただきます。条件はそれだけです」
「それだけって……」

武緒は何を喋ったのかよく憶えていない。
意識はあったが、ぼんやりしたものだったからだ。
それからすると、まともなことは言っていないと思うのだが、それなら黒崎たちは再度の訊問
など要求しないだろう。
武緒は不安になったが、ここは応じるしかないような気がする。
断れば無事に帰れないだろうし、武緒が出向かなければ黒崎たちも警戒するだろう。
松井らにこのことを告げて強制捜査になっても、もう逃げ去ってしまい、もぬけのからという
こともありうる。
せっかく掴んだ尻尾を切られ、また捕捉するのに苦労することになるだろう。
それよりは協力せざるを得ないフリをして、何とか打開するしかないのではないか。
それに、これを逃したら、もうリチャードと会える機会はないかも知れないのだ。

「で、でも……」
「ん?」
「あれはもういやよ……」

さっきのバーチャルセックスのことだろう。
よほど強烈なショックを受けたらしいことは黒崎らにもわかった。
武緒の身体は黒崎らのシステムに敏感に感応し、指一本触れていないのに、何度も絶頂を味わっ
ていたのだ。
黄瀬がニヤニヤしながら言った。

「そうか? けっこう気に入ってくれたと思ったがな」
「……」

唇を噛んで睨む武緒に黒崎が言った。

「まあ、それはな。また考えるさ」
「……」
「あんたのデータもサンプルとして使えるしな、こういうデータはいくら蓄積があってもいい
んでね。別にあんたの名前を出して使うわけじゃないし、それくらいは我慢してもらおう」
「いやよ!」
「勘違いするなよ」

今度はドスを利かせて黄瀬が言った。

「条件を要求できる立場か? 次回以降もつき合ってもらうさ。今、黒崎さんが言った通り、
おまえの名前を出してデータを使うわけじゃない。おまえが気にしなければそれっきりさ、
バレることもない」
「……」
「だがな、もし裏切ればおまえの画像を添付してデータを流してやってもいいぜ」
「黄瀬さん、そう脅すなよ」

黒崎が武緒の顔を覗き込んだ。

「協力してもらうことになるかも知れん。だが表には出さないから心配しないでいい。それより
約束は守ってもらう。そうすれば課長にも会えるようにしてやる」
「……」
「それと、言うまでもないがこのことは他の人間には言うなよ。もし警察に洩れたら二度と課長
には会えないし、あんたの恥ずかしいデータを放出することになる」

武緒はギリッと音がするほどに奥歯を噛みしめた。
美人婦警のこめかみに癇癪の筋が走るのを見て、黒崎が言った。

「あんたがバラしたかどうか、あんた自身に聞けばすぐにわかることになってる。また、指定
した日にここへ来なければ同様の処置を執るし、僕たちはすぐに国外へ脱出する。無駄なこと
はしないことだ」




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