「あああ……」
「さあ言って。オマンコ欲しいって」
「でも……あっ……」
「言うんです」
「し……あっ……し、して……前にも……あう……前にもして……あああ……」
「はっきりと、ですよ。いつも言ってるでしょう」

大神は、さくらのなめらかな背中と豊かに張った臀部の肌を身体の前面で感じ取り
ながら、ふたりの会話に嫉妬していた。
新次郎とさくらの会話は、憧れの女性と年下の少年の間で交わされるそれではない。
恋人同士に近いが、それも男の側が女を支配している関係に思えた。
自分とのセックスでは決して見せなかったさくらの真の姿を知り、そしてそれを
引き出したのが甥であることを痛いほど実感し、大神の心は妬心で熱く燃え盛って
いた。
それでも新次郎への妬みやさくらへの恨みとはならず、むしろそうした関係で燃え
堕ちたさくらに対し、異常なまでの妖美さを感じるのだった。
さくらの乳房を揉み込む手にも力が籠もっていく。

「しん、新次郎くんの、あっ……お、おちんちん、あはっ……そこっ……入れて
くだ、あっ、さい……おまん、ああ……オマンコに……あ……」
「さくらくん……このっ!」
「あはあっ!」

露骨なまでのさくらの物言いに、大神の頭にも血が上った。
今、さくらのアヌスに自分のものが入っているというのに、新次郎のペニスを媚肉
に求めるなど許せなかった。
下からの鋭い突き込みにさくらが悲鳴を上げていると、上から新次郎がのしかかっ
てきた。

「ひっ……新次郎くん、待って!」
「待つ? 何を待つんです」
「とにかく待ってくださいっ。ま、まだあたし、大神さんと……」
「ええ、叔父さんとしてますね、お尻でセックスを」
「は、恥ずかしいこと言わないでくださいっ」
「恥ずかしいことったって、実際におふたりが僕の目の前でやってることじゃあり
ませんか」
「ああ……」
「おいおい新次郎、おまえ本当に一緒に……」
「ええ。ふたりでひとりの女を犯すなんて叔父さんも初めてでしょ?」
「そりゃまあ……」

だいいち大神は、さくら以外の女は、いわゆる商売女くらいしかいない。
帝撃配属後は、そんな暇も余裕もなくなったし、何よりさくらという伴侶を見つけた
のだからその必要もなかった。
しかし海兵団や士官学校時代はそれなりに遊んだ。
堅物の大神だが、同期生同士で遊びに行く時に「俺はそういうところは行かない」と
断るわけにもいかない。
そんなことをすれば変わり者扱いだし、「付き合いの悪いやつ」とレッテルを貼られた
挙げ句、ヘタをすれば「女を怖がる臆病者」とされてしまう。
加えて、海軍は陸軍と比べて女性関係には寛大だったから、必要以上に大神が遠慮する
理由もなかったのだ。
経験としてはそれなりだが素人はさくらが初めてだったし、娼婦や芸者を抱く時でも、
あまり凝ったことはしなかった。
増して3Pだの肛門性交だのなどしようともしなかった。
新次郎は笑顔で言った。

「それならいい経験ですよ、もしかしたら病みつきになるかも知れません。さくら
さんくらい素晴らしい身体だったら、男ふたりを相手にしても充分こなせますよ」
「いやっ……それはいやですっ」
「でも僕はもう待てません。叔父さんにお尻を犯されてよがってるさくらさん見て
たら我慢できるわけないですよ」
「よがってるだなんて……ひどい」
「そういうわけですからね、いきますよ」
「だめっ! 待ってお願いです、大神さんが終わってから、ああっ!」

新次郎がぐっと両脚を割り開くと、さくらは慌てたように乳房を揉んでいた大神の
腕を押さえていた手を伸ばし、新次郎の腕を掴もうとする。
しかしそれまで胸を揉みしだいていた大神の腕が伸び、そのさくらの腕をつかみ取
ってしまった。
さくらは仰天した。

「おっ、大神さんっ……!」
「ご協力感謝しますよ、叔父さん。それじゃあ」
「だめっ! あっ、ああっ!」

熱くどろどろになっていた媚肉にあてがわれた肉棒は、さくらの肉壺の中に少しずつ
押し入っていく。
さくらは悲鳴を上げたが、その膣襞は媚肉を押し広げていくペニスに貼り付くように
粘り着いていく。

「あ、あ、あ……ホントに入ってきちゃうっ……んんっ……だめ、きつい……ああ、
中に来る……くあっ……」

途中、腸の奥まで入り込んでいた大神のペニスと内壁を隔ててぶつかり合うと、
さくらは悲鳴とも喘ぎともつかぬ声を放った。

「んひぃっ! あ、当たって、ますっ……ひあっ!」
「何が? 何が何に当たってるんですか?」
「おっ、大神さんのと……ああっ、新次郎くんのが、ああっ、あ、あたしの中でぶつ
かってっ……いっ……」

薄い肉を通じて互いのペニスが擦れ合い、ゴロゴロとさくらの胎内で転がっていく。
新次郎には大神のペニスの熱さが、大神には新次郎の肉棒の硬さと大きさが実感させ
られる。
ふたりの男に同時に愛されていることを、肉体が実感していた。

「くっ……さ、さくらくんっ……急にまた締まりがよくなってるよっ」
「あぐうっ!」

大神が呻くようにそう言った時、ついに新次郎の怒張が根元までさくらに埋め込まれた。
それだけで気をやったかのように、さくらがぶるるっと大きく痙攣した。
大きく張り出したカリの部分が、さくらの膣道を激しく刺激した。
たっぷりの蜜と新次郎のカウパーがミックスされ、抜き差しされるたびにぬぷぬぷと
粘った音をさせていった。

「あううっ、深いっ……あ、すご……新次郎くんの奥まで……あはっ、た、たまん
ない……」
「どうです、いいでしょう。ふたりの同時に犯されるのも」
「い、や……ああ、いいっ……ま、前も後ろも、んんっ……い、いっぱいよぉ……
ああっ……」

新次郎は大きく開いたさくらの両脚をさらに開かせる。
両膝の下に手を入れ、そのままぐいと前に押しつけていった。
膝や腿が胸まで届き、乳房とそれを揉んでいる大神の手を挟み込んでいく。
大股開きにさせたところで、新次郎は上から突き下ろすようにしてより深く挿入して
いった。
突き上げられるごとにさくらは嬌声を放ち、汗でぬめった裸身を淫らにうねらせる。
頬も肌もポッと桜色に染まり、妖艶さを演出していた。

「やあ、いいっ……そ、そんな奥までだめっ……うんっ、うんっ……すっごいっ…
…奥が抉られて……あううっ……」

まるで熱烈に愛し合った恋人同士のような激しいセックスに、さくらの下敷きに
なってアヌスを犯していた大神が嫉妬で燃え上がる。
自分も肛門に突っ込んでいるのに、膣を犯されることにばかり気を取られるさくらを
懲らしめるつもりで強く突き上げた。

「さくらくんっ、こっちも忘れるな!」
「あぐうっ! ひっ、ひぃっ……だめ、大神さんっ、そんな急に動いちゃ、あひっ…
…んぐうっ……」
「どうだ、さくらくん、気持ちいいか! 俺の方がいいだろう! そらっ、そらっ!」
「ひぃああっ……あ、いいっ……新次郎くんのと中でぶつかってるっ……あ、頭が
痺れちゃいますっ……ひぃっ、いいいっ……!」

大神の逸物も普段より太く硬くなっているようにさくらには感じられた。
膨れきった二本の肉凶器で二箇所の女穴を同時に抉られ、さくらは喉を絞って快楽の
喘ぎを漏らしている。
自分の腿や大神の指で潰されている乳首は、もう出血しそうなほどに腫れ上がり、
ちょっとでも触れられるとビンビンと頭に響くくらいに感じる。

初の肛門性交に興奮しきった大神は、本能のままにがすがすとさくらのアヌスを突き
上げてくる。
一方の新次郎には多少の余裕があり、大神の突き込みと少しずらしてさくらの膣を
突いた。
結果として、前後から間断なく突き込まれるとととなる。ひとりなら「ずんっ、
ずんっ」とか、せいぜいか「ずんずん」という感じだが、今は前と後ろから「ずず
ずずっ」という感じで、常にどちらかのペニスが身体の中にある。
中からペニスがひとときもなくならず、それでいて摩擦感もずっと続くという快感
地獄に、さくらは全身を引き絞って絶頂した。

「だめっ……だんめえっっ……い、いくっ……ひっ、いっくううっ!」

膣とアヌスの粘膜と筋肉が一気にきゅううっと引き締まり、びくびくと痙攣した。
二本の男根を思い切り締め上げてきて、大神は堪えきれなかった。

「さくらくんっ、そんなに締められたら俺っ……!」

大神は何度かガスガスとさくらの肛門に打ち込むと、腰を持ち上げてさくらの腸管
に射精した。
さくらと、その上に乗っかった新次郎をも押し上げ、ブリッジ状になって思い切り
精を放つ。
その熱さにさくらはぶるるっと大きく震えた。

「あひっ! あ、お尻に出てるっ……あ、大神さん……大神さんのが……?」
「そ、そうだよ、さくらくん。俺のがさくらくんの尻の中に……あっ……」

大神は盛んに腰をせり上げ、びゅるびゅると精液をさくらに注入していた。
ようやく出し終えて、どすんとベッドに腰を落としたが、さくらの中に入りっぱなし
のペニスは衰えを見せなかった。
そのことに気づいたさくらがぼんやりと言った。

「あ……大神さんの……まだおっきいです……」
「ああ……こ、こんなこと初めてだよ、さくらくん……。俺、まだ出来そうだ」

大神はそう言って、またゆっくりと腰を使い出した。

「ああう……そ、そんな……つ、続けてだなんて……」

大神のものがアヌスをこじ開け、腸管を擦り続けていると、さくらは短く呻いて身
を捩った。
気をやったものの、まだ快感中枢はしっかりしているらしく、大神の男根を感じ取
っているのだ。
大神に肛門を犯され、気をやったさくらを見て、今度は新次郎が灼く番だ。
アヌスを犯されただけでなく、前を新次郎に貫かれている影響もあるのだが、さくら
が気をやって大神が射精したのを目の当たりにして、大神がいかせたような錯覚を
受けたのだ。

「灼けますね、さくらさん。今度は僕がいきますよ」
「ああ……ま、待って……」
「新次郎、俺、まだいけるぞ」
「やりますね、叔父さん。それなら今度は同時にさくらさんの中に……」
「よし」
「やっ……あ、新次郎くんっ、何を……んむっ」

新次郎はさくらに挿入したペニスを慎重に動かし、位置を探っている。
互いの陰毛が擦れ合うほど……というより、さくらの蜜でべとべとになって絡み合う
ほどに密着し、奥まで挿入されている。
そこからさらにぐっと腰を落とすと、コツンと亀頭が柔らかい壁に当たった。
最奥の子宮口を捉えた新次郎は、そこをこじ開けんと抉り込んでいく。
さくらは目を剥いた。

「しっ、しんじろくんっ……だめっ、そ、そこはあっ……」
「どこです、ここは?」
「し……子宮っ……さくらの子宮っ……ああ、そんな奥まで……深すぎますっ……」

感じ過ぎ、いかされすぎたさくらの子宮は、受胎を望んで下降してきている。
無論さくらは新次郎との小作りなど望んではいないが、肉体的、本能的な欲求は拒め
なかった。
新次郎が顔を真っ赤にしてあのも押し込むと、さくらは全身を強張らせてわなないた。
大神も、協力するようにさくらの腰を支え、上へ押し上げていた。
もともと密着していた新次郎の腰は、さくらの腰にめり込むように沈んでいく。

「あ……あ……ぐうう……」

さくらは苦しげに呻き、首を大きく仰け反らせた。苦しいのか、口は開けっ放しだ。
さくらの下腹部──ちょうどヘソの下あたりがなだらかに小さく盛り上がるのが判る。
新次郎の肉棒が、さくらの子宮口を無理矢理押し開き、その亀頭部だけだが、とう
とう中に入ったのだった。

「ひぃぃっ! ぬ、抜いてっ、だめ、こんなのっ……ひっ、新次郎くんっ、お願いっ
……いやああああっ!」
「くっ……さすがに締め付けきついな。すごいですよ、さくらさん。僕がさくらさん
のいちばん大事なところに入ってるの、わかります?」
「こ、怖いっ……怖いんですっ……ふ、深すぎるっ……んひぃっ……!」
「すげっ……本当に凄いや……、くっ、油断したら出ちゃいそうですよ」
「し、子宮まで……子宮まで犯されてるっ……ひぃっ……いっ、いいっ……」

新次郎は、彼にしては珍しくやや興奮したようにさくらを犯し始めた。
子宮口の締め付けがきつすぎるのと、さくらの子壺を犯しているという肉体的および
精神的な満足感が彼をけしかけている。
さくらの性器を奥を貫いた新次郎の肉棒は、胎内すべてを征服した。
子宮まで犯され、さくらの媚態がいっそう妖艶になったのを見て、大神も行動を再開
した。

「さくらくん、そんなに新次郎に奥を犯されるのがいいのか」
「いやっ……違いま、ああっ!」
「何が違うんだ、そんなによがって。くそっ、こうしてやるっ!」
「ああっ、大神さん、お願い動かないで! だめ、そんなに激しく動いちゃあっ…
…だめ、いいっ……あ、あうっ、お尻もいいっ……またお尻がよくなっちゃうっ…
…!」

新次郎が子宮まで貫いてくると、さくらのアヌスの締め付けはさらに強くなって
いった。
きりきりと音を立てて締まってくるさくらの肛門を、大神の肉棒が力尽くでこじ
開けて激しく律動している。
前を最奥まで貫かれ、後ろを激しく抜き差しされて、両穴にねじ込まれたペニスの
たくましさに、さくらは頭と腰をがくがくさせて大声でよがっていた。

「ひっ、いいっ……あ、あ、こんな奥まで……あう、お尻のも激しいっ……あ、
また中で擦れてますっ……それ、いいっ……い、いく……どうしよう、またいき
そうっ……」

さくらは両脚の指をぐぐっと屈め、両手は新次郎の腕に爪を立てていた。
あうあうと喘ぎ、よがる口を塞ぐように、新次郎がさくらの唇を奪った。

「うむっ……!」

突然のキスに、さくらは動転した。
セックス面ではほとんど新次郎の言いなりになっていた彼女だったが、どうした
ことか口づけだけは頑なに拒んでいた。
もっとも、それもセックス後半となり、めろめろにされてしまえば、抗うことなく
応じてはいた。
しかし、まだ乱れる前はなかなか許さないのは今でも変わらなかった。
これは、さくら自身がまだまだ古風な面を持った大和撫子であり、接吻に対して
特別な感情を持っているからだろう。
大神とであれば、セックス前に前戯として口づけすることはあったし、身体を重
ねる余裕がない時などはキスを交わして精神的に充足していた。
つまり彼女にとって、まだ親愛は大神にあり、新次郎とは肉体関係に於いてのみ
従属しているということなのだろう。

「ん、んむ……む……んっ、んっ……じゅっ……んちゅるっ……」

さくらはたやすくその唇を奪われ、新次郎に咥内を許していた。
新次郎の口が吸い付いてくると、一瞬焦ったものの、すぐに口を開けて舌の侵入を
許可していた。
男の舌が咥内を自在に動き回り、頬裏や上顎、舌の裏までに入り込み、粘膜を擦り
取るように這い回っている。
歯茎を舐められ、舌を絡め取られると、さくらは痺れるような甘い快感が突き抜けた。

「んむ……むうう……むっ……んんんっ……っ……っ……」

存分にさくらの甘い舌を愉しみ、思い切り吸い上げると、さくらはぶるっと震えて
首を仰け反らせた。
キスでいってしまったらしい。
もともとさくらは、セックスにキスを絡めると弱く、咥内と膣内を同時に刺激して
やると簡単に達してしまうところがあった。

「ん、ぷあ……はあ、はあ、はあ……あ、んむっ!」

ようやく新次郎が口を離すと、今度は大神がさくらの顔をねじ曲げてその唇を吸っ
てきた。

「んんっ……んんん〜〜っ……ん、じゅぶっ……ちゅっ……」

大神とは思えぬような激しいキスだった。
新次郎ほどではないが、それでも舌をさくらの口に突っ込み、荒々しいほどに中を
かき回している。
さくらが舌をおずおずと伸ばしてくると、たちまちそれを絡め取り、思い切り吸い
上げた。
新次郎はその間、無理にねじ曲げられたさくらの白い首筋に舌を這わせている。
時折強く吸い上げて、またそこに赤いキスマークを刻んでいた。

「んあっ……お、大神さん、激しいです……あ、あむうっ!」

大神が口を離すと、また新次郎が吸ってきた。
どうしても大神とさくらの接吻などを見ていると嫉妬するらしい。
大神に負けぬような激しい吸い上げでさくらの咥内を蹂躙した。

「んっ、んっ……むっ……じゅっ……ちゅっ……ちゅぶっ……」

さくらは口中の空気を全部吸い取られるような強烈なバキュームを受けた。
新次郎はその心肺機能をフルに使ってさくらの口を吸ったのだ。
空気だけでなく、唾液まで吸い尽くそうと吸引してくる。
口中の唾液を全部吸い取られると、今度は逆に新次郎の唾液がさくらの咥内の注が
れてきた。

「んんっ!? んっ……んむ〜〜っ……んっ……んくっ……ごくっ……んくっ」

最初はびっくりしたように目を大きく見開いたさくらだったが、新次郎が口を離さ
ず、なおもどろどろと流し込んでくるので飲み込まざるを得なかった。
さくらは目を堅くつむって、流し込まれてくる新次郎の唾液を、喉を鳴らして飲み
下した。
口の中だけでなく、胃の中まで新次郎の匂いが染みついたような気がした。
いつしかさくらは、新次郎の頭を両手で抱え込んで口づけを続けていた。
存分にさくらの口を愉しんだ新次郎が唇を離すと、途端にさくらは喘ぎ、よがり
だした。

「うんっ、いいっ……いいですっ……き、気持ちいいっ……ああっ……」

新次郎が腰の動きを再開させながらさくらを言葉で責めていく。

「そんなにいいですか、さくらさん」
「いいっ……すごくいいですっ……ど、どうにかなりそうっ……!」
「いきたいんでしょう?」
「い、いきたいっ……!」

さくらは恥も外聞もなく、ガクガクと何度も頷いた。
膣もアヌスも熱と摩擦で爛れているのにちっとも痛くない。
かえってその激しい摩擦が気も失せそうな快感となって攻め寄せてくる。

「いきたいならどうすればいいか、わかってますよね?」
「ああ……ど、どうすれば……あっ、いいっ……大神さんっ、お尻、いいですっ…
…ひぃっ……い、いかせてっ……」
「よがってばかりいないで、ほら」

新次郎は軽くさくらの頬を叩いた。

「僕に聞かれたことは正直に何でも言う。そうでしたよね」
「は、はい、そうです……んんっ、新次郎くん、深いっ……あ、そんな奥まで…
…いいっ……」

官能の炎で炙られ燃え上がった愉悦は、さくらから理性を消し去って肉欲のみに
没頭する牝に変化させている。
前後から責め込んでくる男の攻勢を喜々として受け入れ、二本の強靱なペニスで
貫かれ、抉られることに喜悦を感じていた。
子宮という女の神秘まで貫かれ、これまでにないほどの快楽を味わったさくらは、
子宮の奥まで犯してもらおうとばかりに、いつも以上に愛液を迸らせていた。
それにつれ、新次郎の長大な怒張は子宮口の中に亀頭を完全に侵入させてしまっ
ている。
大神も負けじとばかりに、さくらが持ち上がるほどに腰を突き上げて、その肛門を
貪っていた。

「さくらさん、どっちが気持ちいいですか?」
「いいっ……ああ、気持ちいい……」
「お尻もオマンコも?」

さくらは首をかくかくさせて何度も頷いた。

「どっちも、いいっ……お尻も、ああっ……オマンコもいいっ……あ、太い、おっ
きいっ……!」
「そうですか。じゃあ、どっちが大きいですか? 僕と叔父さんと」
「あ、ああっ……そ、それは……いいっ……」

喘ぐばかりのさくらに新次郎は苦笑しつつ、少し腰の動きを緩めてやった。
申し合わせたように、大神の突き上げもなくなった。
アヌスに突っ込んだまま、腰を緩やかに回転させている。
上下運動はなかった。
さくらが激しく狼狽する。

「ああっ、ど、どうして……いきそうなのにっ……」

物欲しげに、下の大神に尻を押しつけ、上の新次郎のペニスをくわえた膣をきゅっ
きゅっと締めてきている。
しかし新次郎は、ここでさくらに引導を渡すつもりだったから、その誘いにも乗ら
ない。

「して欲しいですか」
「して……お願い、して……ああ、もうあたし、このままじゃどうにかなっちゃ
います……」
「じゃあ答えて。僕と叔父さんの、どっちが大きいですか」
「……」

さくらは、目をつむり唇を噛んで顔を伏せた。
言えないのだ。
ということは、答えはわかったようなものである。
しかし、それをさくら自身の口から言わせないと意味がなかった。
新次郎は、焦らすようにゆっくり、ごくゆっくりと腰を動かした。

「あっ……!」

思わずさくらが腰を合わせて動かし出す。
それを見計らって、新次郎は腰を引き、子宮から肉棒を抜いてしまった。
もちろん胎内にはまだ肉棒はほとんど残っているのだが、あまり動いてくれない。
しかも、わざと膣内を擦らないようにしている。
覚えたばかりの子宮セックスの味と、思い切り膣襞を抉られた快楽の記憶に炙られ、
さくらは目に涙すら浮かべて懇願した。

「ああ、お願い……お願いです、新次郎くん……」
「……」
「動いて……もっと動いて……奥まで、して……」
「言って下さい」
「それは……」

ふたりのものを比べるなどという淫らであさましいことは出来ない。
もう答えは出ているのだが、それを口にすることは破滅を意味する。
まだ吹っ切れないさくらに、新次郎は一転して攻勢を加えた。
今までののろい動きから、一気に突き上げるような激しい動きになったのだ。
子宮にまで突っ込んではいないものの、思い切り膣内を擦り上げ、子宮口を亀頭の
先でガンガンと小突いていく。
急激に激しくなった動きと刺激に、さくらは「ああっ!」と叫んでぐうっと伸び
上がった。

「やあっ、いいっ……うんっ、うんっ、うんっ、は、激しっ……いいっ……ああ、
いくっ……いきそっ……!」
「ほら言って! 正直に!」
「いいっ……ひぃっ、気持ちいいっ……だめっ……」
「言うんだ!」
「しっ……」
「し?」
「新次郎……くんっ……」
「僕ですね!?」

さくらはこくんと頷いた」

「しっ、新次郎くんの方が、お、おっきいっ……ああっ……」

それを耳にした大神が、さくらの乳房を思い切り握りつぶす。

「ひぃあっ! む、胸がぁっ……しんじろくんっ……新次郎くんの方がふ、太くて
長いんですっ……」
「それだけ? それだけですか?」
「か、硬いです、すごくっ……ああっ、さ、先がごりごりしてて凄くって……ひっ
……そ、そこで中を擦られるとおかしくなりそうなんですっ……」
「さくらくんっ」

下から大神が大きく突き上げてきた。

「ひぁっ! お尻っ! お尻がぁっ……!」
「くそっ、きみは……きみは新次郎の方がいいって言うんだな!」
「ああっ、待って大神さんっ……いいっ……」
「何を待てと言うんだ!」
「あっ、いいっ、お、大神さんもいいんですっ……ウソじゃありませんっ!」
「でもきみは……」
「大神さんもいいっ……お、大神さんに抱かれると幸せになるんです……ああ、
暖かい気持ちになれる……」
「……」
「で、でも……でも、おちんちんは新次郎くんの方が凄いんです……こ、こんなに
たくましくておっきくって……何度出しても硬いままなんです……こんなので何度も
何度も責められたらおかしくなります……」

さくらの告白を聞き、新次郎の肉棒がまた一回りさくらの中でぐぐっと大きく膨れ
あがった。
それを敏感に感じ取ったさくらは大きく喘いだ。

「んああっ、いっ……あ、また……また新次郎くんの中でおっきくなってる……ああ、
もうだめ……だめになりそうっ……!」
「くっ、さくらさん、そんなにきつく締めたら、僕ももうっ……!」

自白したことによりいっそうに興奮が高まったのか、さくらの膣圧は凄まじいものに
なっていた。
新次郎も堰を切ったように腰を打ち振るい、何度も何度もさくらの子宮を突き上げて
いく。
また口を開けてきた子宮にその先端をあてがい、ぐいぐいと押し込んだ。

「あっ、あっ、ああっ……だめ、いくっ……もういきそうですっ……」
「い、いっていいよ、さくらさんっ! 僕も出す! さくらさんの中に出すよ!」

さくらは首が折れそうなほどにがくがくと頷いた。
勢いを増した新次郎のセックスに完全に屈服したさくらは、理性よりも欲望を優先
させた。
子宮に出されたらどうなるか、もうそんなことはどうでもよくなっている。
妊娠よりも快楽を選択した。

「あっ、だ、出してっ……お願い早くいかせて、もう保たないっ……な、中に出して
いいからっ……!」
「ううっ、僕、本当にもうだめだ我慢できないっ。出るっ、もう出る、さくらさんの
子宮の中にたっぷり出してやる!」

新次郎は上からさくらと大神の両方を押しつぶすように激しく突き込んだ。
さくらの両脚を開かせていた手をさくらの背に回し、顔を乳房に押しつけてぐっと
その裸身を強く抱きしめている。
さくらもそれに応えるように新次郎の背を抱き、自由になったしなやかな脚をしっ
かりと新次郎の脚に絡みつかせていた。

もちろん大神も黙っているわけもなく、上からの激しい突き込みを避けるように
して、下から腸管深くまで鋭く貫いていた。
かちかちに勃起した二本のたくましいペニスは、さくらの二穴を占拠し、その内部
を抉って互いにぶつかりあっている。
先に屈したのは新次郎だった。

「もっ、もう出るっ! さくらさんの中に全部出す!」
「だっ、出して、いかせてぇっ! あたしの中に……子宮の中にたっぷり出して
いいっ……あ、あたしもいくっ……い、いきますっっ!!」
「くっ、出る!」

さくらの脚と手が新次郎をきつく抱きしめた時、膣の締め付けに屈した新次郎が一声
吠えて激しく射精した。

どびゅしゅっ、どびゅうっ。
びゅくっ、びゅるるっ。
どびゅっ、びゅっ。

「あーーーっ、で、出てるっ、熱いっ……お腹の奥で新次郎くんのが出てる……い、
いく!」

さくらは何度も背を仰け反らせ、激しく裸身を痙攣させ、手足を突っ張らせて気を
やり続けた。
あまりにも激しい絶頂ぶりに、大神も二度目の射精が迫っていた。

「よ、よし、俺も出すぞ、さくらくんっ! お尻に出す! 覚悟しろ!」
「ああっ、大神さんのもおっきくなってきてるっ……お尻、広がっちゃいますっ……!」
「くそっ、食らえ!」

どくどくっ、びゅぶっ。
どびゅうっ、びゅっびゅっ。

「あぐうっ、お、お尻にも出てるっ……あ、あ、たまんないっ……ひっ、熱いの出て
ます……い、いく……またいきそうっ……いっく……いくうっ!」

タイミングはややずれたものの、新次郎が射精すると続けて大神もさくらの中に精液
を放った。
新次郎はさくらの子宮内に亀頭を押し込んで、そこで思い切り精液を噴き上げている。

「あ、まだ……まだ出るよ、さくらさん」
「あ、あはっ……すご……まだ出てる新次郎くんの……ど、どうしてこんなに……
お腹、新次郎くんの精液でいっぱいになっちゃう……」

びくびくと脈動する肉棒を膣全体でさくらは感じた。
なおもドクドクと射精し、奥深いところで精液が弾けているのがわかる。

「ああ……お、お尻のもまだ出てる……大神さんのがいつもよりたくさん……お尻の
中もいっぱいになる……ふ、ふたりともすごい……中でポンプみたいにびゅくびゅく
出てます……」

双方の穴からドクドクと流し込まれる精液を、さくらは恍惚とした表情で受け止めた。
アヌスも膣も二本のまだ硬いペニスをくわえたまま、なおもひくひくと蠢いている。
呼吸でもするかのように時折パッ、パッと隙間が出来、そこから白濁した濃厚な精液
が逆流していた。
もう全部出したと思うまで射精したふたりは、ほぼ同時にさくらからペニスを抜き
去った。

「あう……」

抜かれる瞬間、カリの部分でアヌスと膣の粘膜を引っ張られ、さくらはびくんと反応
したが、またすぐに脱力した。
その肢体からは完全に力が抜けてだらりとしている。
乱れに開かされた股間の中心部にある、無惨に犯された媚肉と肛門からは、ぴゅっと
精液が噴き出している。
あまりにも大量に注がれて、中の容量をオーバーしているらしい。
仰向けになったさくらは汗に濡れた裸身を喘がせ、荒く呼吸をしている。
心臓の鼓動に合わせて胸も激しく隆起していた。
そんなやつれきった美貌を見ているだけで、またふたりには獣欲が込み上げてくる。

「……新次郎」
「はい」
「今度は俺がさくらくんのオマンコにする。いいな?」
「いいですよ。どうしますか、叔父さんひとりで愉しみますか?」
「……おまえはもう限界か?」
「とんでもない」
「なら、今度はおまえが尻をやれ。またふたりでさくらくんを責めるんだ。失神する
まで責めてやる」

そうつぶやいた大神の目は、やや常軌を逸しているようにも見えた。

────────────────────

「……というわけで、本日をもって新次郎……あ、いや、大河新次郎海軍少尉の、
帝撃花組に於ける研修を修了する」

室内には一斉に拍手が沸き起こった。
支配人室には米田と副司令のかえで、そして花組メンバーが顔を揃えていた。
口々に「おめでとう」「ご苦労様」という慰労の声がかかる。
新次郎は照れくさそうに笑みを浮かべ、頭を下げた。
マリアが微笑む。

「充分とは言えないでしょうけど、今の時点ではこれが精一杯ね」
「相変わらずきついな、マリアはん」
「当然でしょう。彼はこれから副隊長として紐育に赴くんだから」
「何とか頑張ります。隊長にはベテランの方がいらっしゃるそうですし」

隊長には、やはりここで研修したラチェットが就任している。
その補佐として新次郎は赴任するのである。

「だがな新次郎。いくらラチェットがいるといっても、実際はおまえさんが指揮を
執ることが多いはずだぞ」
「はあ」
「ラチェットは隊長として実戦に出ることもあるだろうが、それ以上に司令の補佐も
しなきゃならん。新設したばかりの紐育華撃団は、まだあれこれごたついているよう
だからな。訓練でもおまえが先頭に立って指導するんだ、わかるな」
「わかりました」
「ん。それでいい」

米田はそう言って新次郎の肩をポンと叩いたが、すぐにかえでを振り返って困った
ような顔を見せた。
かえでの方も同じく顔を曇らせている。
新次郎の研修修了というお目出度い場には不似合いな表情だ。
不審に思ったすみれが尋ねる。

「……どうしたんですの?」
「いやな」

米田は指で指で頭を掻きながら言った。

「……実は新次郎の他にも、うちからひとり出さなきゃならなくなったんだよ」
「は?」
「どういうことや?」
「聞いてねえぞ、そんなこと」

一斉に不満の声があがり、米田は慌てたように両手を拡げて宥めた。

「いや待て、俺やかえで君だって三日前に聞いたばかりなんだよ。いやな、今も
言ったが隊長のラチェットは事実上司令の仕事が中心になるらしいんだ」

これは総司令のマイケルが民間人であり、軍事作戦にはまるで素人だということが
大きい。
それを知った米国陸軍が司令職として士官を派遣すると言ってきたのを賢人会議が
拒否したのである。
帝撃や巴里華撃団の例からして、あまり軍事色を強めたくないということと、軍が
必要以上に華撃団へ介入することを防ぐためだ。
しかし一方で米国陸軍が主張する通り、まったくの素人を総司令にしている以上、
そのサポート役あるいは参謀は不可欠である。
そこでラチェットの名前が出たのだ。

隊長兼副司令というのは、詰まるところ重職を兼ねることとなり、どちらかが疎か
になる危険性がある。
加えて、内密の話ではあるが、ラチェットの霊能力が落ち気味で、霊子甲冑に搭乗
して実戦に出ることが危惧されているせいもあった。
そこで、どうしても実際に戦場で部隊を指揮する立場の隊員が必要となったのだ。
紐育華撃団はまだ誕生したばかりで、霊子甲冑に慣れていない隊員ばかりである。
そもそも米国製の霊子甲冑の開発自体が手間取っているという情報もあった。
そういった事情がラチェットを通じて米田のもとに伝えられ、日本政府や賢人機関
とも検討した結果、取り敢えず期間限定で花組から隊員を出向させるということで
話がついたのだ。

「……」
「ま、そういうことでな、このメンバーから誰か出さなきゃならねえんだ」
「……紐育へ行くの?」

レニがぽつりと言った。

「でも司令、確かに今、帝都は降魔の被害が減ってはいますが、花組のメンバーに
余裕があるわけではありません」
「いやまあ、マリアの言う通りなんだがな、ほれ、うちは大神を加えてもともと
6人でやってたろう。そこにレニと織姫が来てくれてだいぶ助かった。だから2人
増えてるんだからひとり回してくれ、と、そういうわけなんだ」
「……」
「それに大神が巴里に派遣されてた時があったろう? あの時も残ったおまえたち
は大変だったろうが、何とかこなしてくれた。そのこともあってな、期間は区切る
から何とか融通してくれってラチェットがな……」
「それで、誰を出すつもりなんだい」

カンナが腕組みして言った。
米田は疲れたようにドスンと椅子に腰を下ろした。

「……実はな、もう本人には言ってあるんだ」
「……私、行きマス」
「織姫……」

一歩前に出てデスクの前に進み出たのは、日伊混血のソレッタ織姫だった。
黒髪、褐色の別名「太陽の娘」は、幾分きびしい表情で米田の前にいる。
彼女とて帝撃を、花組を気に入っている。
出来うるならば行きたくはないのだ。
しかし、彼女の代わりに他の隊員が出ることを考えると気が重い。
レニが行ったら、ラチェットとはうまくやれないかも知れない。
米田は、そんな織姫を痛々しそうな顔で見ている。

「……行ってくれるか」
「はい……」
「でも司令……」
「織姫、行っちゃやだよ!」

レニがそう言った時だけ、織姫の表情が僅かに動いた。
米田が言う。

「……米国だしな、言葉の問題もある。うちで英語を普通に喋れるのはマリアに
レニ、そして織姫だけだ」
「マリアさんに行ってもらっては困ります」
「レニも、せっかくここに慣れてきたのに……」
「まあ、そういうことだ。言葉が喋れる上にラチェットとも昔からの知り合いだ。
織姫ほどの適任はいねえってことなんだよ」
「あたしが……」

米田がため息とともに言葉を絞り出すと、小さな、しかし決意に満ちた声が聞こえた。

「ん? 誰か何か言ったか?」
「あたしが……行きます」

見ると、さくらが小さく手を挙げているのだった。

「え……?」
「何だと!?」
「ちょっとさくらさん」
「何言うてはるんや、さくらはん」

隊員たちがさくらを取り囲み、口々に問い詰めた。
さくらは俯いたまま何も言わない。
初老の司令も妙齢の副官も呆気にとられていた。
それまで口をつぐんでいた大神がぼそりと言う。

「……俺も昨日、さくらくんからそのことを打ち明けられた時は驚いた」
「!? じゃ、大神くんは知っていたの?」

かえでの言葉に大神が頷くと、たまりかねたようにすみれが大神の腕を掴んでふさ
ぶった。

「ちょっと大尉、本気ですの!?  大尉はそれでいいんですの?」
「……さくらくんが決めたことだ。俺には引き止める権利はないよ」
「そんな、大尉!」
「ちょっと待て」

米田が、大神を問い詰めるすみれを止め、さくらをじっと見て聞いた。

「……さくら、そりゃ本気か?」
「……はい」
「事情や経緯はこの際、問わねえ。だが、これじゃ冗談ごとじゃねえんだ。それは
わかってるな?」
「はい」
「何言うデスか!」

呆然としてやりとりを見ていた織姫も、ようやく割って入った。
感情を害したような表情でさくらを見やっている。

「アタシはハーフです」
「……」
「そのアタシでさえ、決断するのに時間かかりマシタ。悩みマシタ」

そこでさくらが織姫の顔を見る。
その目には涙が浮かんでいた。

「なのに……」
「織姫さん」

さくらがその言葉を止めた。

「あたし、強制されたわけじゃありません。織姫さんを気の毒に思って身代わりに
なろうということでもないんです。あたし自身が決めたことなんです」
「さくら……」
「あたし、いつまでも未熟でみんなの足を引っ張ってばかりでした」
「そんなことあらへんやろ」
「こないだのことはもう……」
「いえ、そうじゃないんです」

実際は、さくらの降魔撃破数はマリアや大神に匹敵している。
潜在霊力の高さは他のメンバーたちも認めるところである。
戦力の中心なのだ。
その彼女がそこまで謙った態度をとれば、普通は嫌みと思われる。
ところがさくらの場合、基本的に人が良く、人を蔑んだり、おごり高ぶったりする
ところが皆無のため、こうした言葉は額面通りに受け取られる。
つまり彼女は、本気でそう思っているのである。
真面目で責任感が強いせいか、一度の失敗や過失を必要以上に重く悩み考えてしまう
のだ。
従ってさくら自身としては、回りの評価と関係なく、自分はまだまだ未熟であると
いう認識から離れられない。

「でも……だからこそ、一度自分を見つめ直してみたいんです」
「いや……でもさくら、あなた言葉だって……」
「そういう織姫さんだって最初は日本語、あまり出来なかったじゃありませんか」
「……」
「それにラチェットさんだってアメリカ人なのに日本語ぺらぺらでしたよ。そりゃあ
あたしはラチェットさんほど頭が良くありませんから、英語を覚えるには苦労すると
思いますけど、ラチェットさんは日本語が出来ますから……」
「そ、そりゃそうだけど……」
「一年間という期間が限られてますけど、あっちで日常生活していればいやでも言葉
は覚えますよ。他の方達とのコミニュケーションも、身振り手振りで何とかなると
思います」
「うーん……」

米田もさくらの決意を聞かされたのは初めてだったから、ただただ唖然としていた。
しかしよく考えてみると、確かにさくらの言にも一理あるのだ。
マリアを出すわけにはいかない。
レニはラチェットとうまくやれないだろう。
となれば織姫が適任なのは変わらないが、幾分気が強すぎるから、向こうで要らぬ
衝突を起こす可能性がある。
それは誰が出ても同じだろうが、そうした心配がないとしたらさくらなのだ。

人当たりがよく気立てが優しいさくらであれば、まずそうした懸念はない。
霊力は抜群だし、霊子甲冑の操作にも長けている。
根が親切で世話好きだから、未熟で発展途上の若い隊員たちを的確に指導も出来る
だろう。
欠点があるとすれば、自ら表に立ってみんなを引っ張る積極性というかリーダー
シップに欠ける点だが、それも今回の任務で培われてくるだろう。
次世代の隊長への道も拓けるのだ。
米田が聞いた。

「……織姫、おめえはどう思う」
「……」
「米国へ……ラチェットのところへ行きてえか、どうしても」
「どうしてもってことはないデス……。もともと頼まれてなければ行きたいとは思い
ませんデシタし……。でも、さくらは……」
「あたしは……あたしは行きたいんです」
「本当に……」
「はい」

さくらはにっこりと笑顔を作って答えた。
しかしその表情は、さくらの笑顔を見慣れていた彼女たちには作り物のそれだと
すぐにわかる。
事の成り行きを見守っていた新次郎がさくらを見ると、その顔は泣き笑いしている
ように見えた。
新次郎からの視線に気づいたのか、さくらが一瞬彼の方を見たが、またすぐに目線
を外した。
彼には、さくらがわざと視線を外したように見えた。



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