「きゃあ!」

今度こそアルファは絶叫した。

「あんまりでかい声出すなって」
「っ……!」

いくら近くに人家がないとはいえ、網戸だけで開けっ放しの窓から洩れた大声がおじさんやタカヒロにも聞こえるんじゃないかと脅えたアルファは口を噤んだ。
ごく希ではあるが、夕方以降に訪ねてくることもあるだ。
とはいえ、もう時間はアルファも寝る刻限だ。
取り越し苦労なのだが、自分で驚くくらいの声だった上、今のアルファは正常な判断能力が著しく低下している。

それに──もし本当に、万が一、こんなところをおじさんやタカヒロに見られてしまったら──そう思うと生きた心地もしなかった。
なのにアヤセはなおもアルファの尻の谷間を大きく割ったまま、そこを覗き込んでいる。
見られていることがわかるのか、アルファのそこが恥ずかしそうにヒクヒクと収縮している。
まるで火で灼かれているかのように肛門が熱い。

「お願い、アヤセさんっ……そ、そんなとこ見ないで……」
「そう言われるとますます見たくなんな」
「そんな……恥ずかしい……きゃあ!?」

今度こそアルファは仰天した。
アヤセが肛門に触れてきたのだ。
やはり指先にブランデーをまぶしてあるらしく、濡れた指がアヌスをまさぐってくる。

信じられなかった。
そこは排泄器官である。
見られたり触られたりする場所では断じてない。

アルファたちロボットは一般的に食が細いから──人間と同じ食物を摂るのだが、人体よりもかなり効率的に消化・吸収できる仕組みになっていて、さほど多くの食糧は必要ない。
水分に関しては、むしろ人より多く摂取するようだが、食物によるエネルギー補充はかなり少ないのだ(かつてマルコが指摘していた「食費が人よりかなり少なくて済む」のはこれが原因だ)。
だから排泄自体も人よりも回数、量ともに少ないのだが、まったくないわけではない。
だからそこが「不浄の場所」だとは知っている。

「アヤセっ、さんっ、あっ……だめ、そこ……んんんっ……や、汚いです、あっ」
「汚かないさ。風呂、入ったんだろ?」
「そ、そういう問題じゃありませんっ、それに……くっ……死ぬほど恥ずかしいっ……あっ、触っちゃいやあっ」

アルコールで濡れた指が、皺をなぞるように這い回り、擦ってくる。
指の腹だけでなく、つるつるした爪の表面で撫でるような愛撫も見せた。
アルファはもう、恥ずかしさと異様な感覚に呻き、のたうち回るしかない。
それでもアヤセの言いつけを守り、逃げ出すようなことはなかった。
顔を枕に埋めて呻いたかと思うと、ビクンと仰け反って声を放つ。

アヤセは、あまりアルファが嫌がるようならやめようかとも思っていたのだが、案外そうでもない。
本気で嫌がるなら蹴飛ばしてでも逃げるだろうが、それはなかった。
アヤセの方もだいぶ酔いが回っていて、普段より興奮していたこともあるだろう。
今度は指でアヌスをつまみ上げるようにして、軽くクッと引っ張ってみる。
アルファは「ああっ」と声を上げ、尻を振りたくった。
それらの淫らな動きによって、アルファのそこは否応なく揉み解され、柔らかくなっていく。

アルファは我を忘れて仰け反り、腰をうねらせた。
強引に肛門をほぐされて、そこにブランデーを擦り込まれる感覚がたまらなかった。
粘膜にアルコールが染み渡り、内部にも浸食していく。
そのせいか、最初は羞恥と恥辱しか感じなかったのに、身体の奥底が熱く灼けるような感覚がじんわりと広がってきた。

「あ、あうむ……い、いや……あう、そこは……あああ……」

声がとろけてきている。
その可憐な唇から洩れる息も熱く、籠もったようなものになってきていた。
もうアルファのそこは内側から小さく盛り上がるようにふっくらしている。
時折、ヒクヒクと蠢くのがやけに妖しく見えた。
もう粘膜の内側すら見せ始めているアヌスに、アヤセはなおもブランデーをなすりつけている。

「あ、ううっ……ああああ……た、たまんない……あうう……」

アルファは、恥ずかしい声を出すまいと枕の端を噛んでいたが、その口が離れ、また妖しい喘ぎ声が漏れ出る。
声を上げても堪え切れず、あうあうと口を開閉させ「ああっ」と腹の底から呻いた。
手はぐぐっと握りしめられていたかと思うと、指をピンと伸ばしてわなわなと震わせ、また爪を立ててシーツを思い切り掴む。

「や、やあ……もう、あっ……アヤセさん、お願い……はああっ……」

汗の浮いてきた背中をうねらせているアルファは、なおも襲い来る妖しい快感によってさらに深いところへ引きずり込まれていく。
アヤセが巧みだったのは、肛門責めに特化したのではなく、アルファが感じやすい乳首や媚肉も同時にいじくっていたところだ。
肛門をいじられるおぞましさも、乳房や膣から送り込まれる快感によって薄められ、次第に新たな快楽としてその身体に刻まれていった。

「アルファ、感じてきてるな?」
「わ、私はそんな……んんっ……」
「ほれ、尻の穴がいいんだろ?」
「ち、違……、そんなこと……」
「でもよ、ほら、マンコも濡れてるぞ。ふふ、シーツがびっしょりだ」
「っ……! こ、これは……」
「いいんだよ、それで。人の女だって、ここを感じるのも多いんだ。アルファがそうでもおかしかねえさ」
「ほ、ほんとに……」
「本当だ。ほら」
「ああっ……!」

ぬるんっとばかりに、何かが肛門の中に入ってきた。

指だ。

アヤセが指をその中に挿入したらしい。

アルファは驚愕した。
いくら何でもそんなところに指を入れるなんて。
しかしアルファのアヌスはとろけきっており、ウソのように男の指を咥え込んでいた。

「んん……ああ、痛い……いや、抜いて……」

アルファはそう呻いたものの、実際はほとんど苦痛はなかった。
ただ、心を引き裂かれそうな汚辱感と羞恥に責め苛まれていただけだ。
心は頑ななまでに拒絶していたものの、肛門自体は驚くほどの熱さと柔らかさで指を受け入れている。

「ゆ、ゆるして……あむむ……」

アヤセの指が腸内で蠢き、出入りを繰り返すたびに、アルファは妖しい感覚に囚われ、尻を振って呻いた。
嫌がって、抜こうとして尻を振っているのではなく、その感覚がたまらないとばかりに蠢いている。
指が動くごとに、くねっ、くねっと腰が捩れ、臀部が揺れ動く様は例えようもなくエロティックだった。
アヤセの指が腸壁を擦るような動きをすると、アルファはぶるるっと背中を震わせて喘いだ。

アヤセは早急にそこを犯したい気持ちを抑えつつ、決して無理はせずにアルファの様子を見ながら責めている。
アルファの声が上擦り、艶めいてきたのを確認すると、挿入していた人差し指に加え中指もねじ込んでみる。

「ひぅっ……!」

ピリッと痛みが走り、アルファは仰け反った。
いかにも苦しそうに呻き、腰を震わせた。
それでも肛門にはさほど無理はかかっていないようで、二本の指を難なくしゃぶっている。
そこの伸縮性と粘りは目を見張るべきもので、早くも二本刺しに慣れ始めただけでなく、もう指の根本を食い締めるまでになってきていた。

アルファの悲鳴、喘ぎ、呻き声を聞きながら、アヤセは指を抜き差しし、内部を擦り、抉っていく。
アルファはもう仰け反りっぱなしになり、白い喉を晒して全身を痙攣させている。

「ああう……や……許して、あう……お、おかしくなる……お尻、おかしくなっちゃいます……あ、あは……あうんっ……」
「声までとろけてきたな、アルファ。お尻が気持ち良くなってきただろ?」
「な、なりません……こんな……こんなことで……んんう……」

アルファはそう言って弱々しく頭を振ったものの、精神的にはかなりぐらついていた。
お尻を拡げられる屈辱感と深々と指を入れられる苦痛の中に、じんわりと別に感覚──明確な愉悦感が生じていたからだ。
こんなことで快感があるわけはないと思いたいのに、アルファの身体はアヤセの望むままに燃えてきている。

「んあうっ……」

アルファが顎を反らせて呻いた。
アヤセが指を抜き去ったのだ。
ゴツゴツとした指の関節が思い切り肛門粘膜を擦り上げ、アルファはぶるぶるっと震えて喘いでしまう。

やっとお尻から指が抜かれ、ホッとしたのも束の間、すぐにアヤセはまた尻たぶを大きく割った。
熱を持ったアヌスに外気が触れ、また視線に晒されている。
アルファが振り返る間もなく、アヤセがのしかかってきた。

(お、犯される……? こんな格好で……)

バックという体位すら知らないアルファは酷く脅えたが、「これでやっと入ってくる」という安堵もあった。
アヤセに指摘されるまでもなく、媚肉はもう充分に潤っており、受け入れ態勢は万全だったからだ。
早く済ませてすっきりさせて欲しい、とすら思っている。

しかしアヤセのペニスは物欲しそうに涎を流している膣口ではなく、そのすぐ上──さっきまでの責めですっかりほころんでいる肛門を狙っていた。
熱く硬い亀頭がアヌスに押し当てられると、アルファはそれこそ仰天して振り返った。
いくらなんでもそんなことが……。
だがアヤセの肉棒は確実にそこを捉え、ねじ込んできた。

「あっ、アヤセさんっ! そ、そこ違う! 違いますっ!」
「違わねえよ、こっちにやるんだ」
「そんな……、だ、だってそこは……」
「そう。アルファの尻の穴でセックスするんだよ」
「ひ……!」

信じられなかった。
アルファの顔が恐怖と引き攣った。
恐ろしさ、嫌悪感、汚辱感、羞恥……、それらすべてがまとまってアルファの心にヒビを入れる。
あまりのことにわなわなと震える唇から、ようやく言った。

「だ、だめっ……そんな怖いことだめっ……」
「大丈夫だ、怪我しねえよう気をつけるから。アルファもあんまり動かねえで力抜け」
「やああっ……!」

必死になってずり上がろうとするアルファを抑え、アヤセはグイグイと、そして慎重にペニスを押しつける。
ほぐれきったと思われたアヌスがたちまち引き窄まる。
そこを無理にこじ開けては本当に裂けて怪我をするから、アヤセは挿入を急がず、愛撫を繰り返した。
乳房を揉み、ペニスの先でほぐすようにアヌスを刺激する。
ぐっと押しつけ、肛門がきゅっと締まると腰を引く。
そして力が抜けると、またぐうっと肉棒を押しつけた。

それを繰り返しているうちに、アルファの方も息み続けるのに疲れてきたのか、ふっと脱力して肛門が緩む間隔が長くなってくる。
何度かそれを確認すると、アヤセはようやく本格的に挿入していった。
硬いペニスがじわっと肛門を割り、中に押し入ろうとすると、その強烈な感覚にアルファは歯をかみしばってグウッと仰け反る。

「ぐうっ……、痛いっ……う、うむっ……」
「ち、力抜け。本当に裂けちまうぞ。ほれ、リラックス」
「そんなこと言っても……あっ……い、たいぃぃっ……」
「もうちっと……それ!」
「あう!」

アルファの肛門が極限近くまで拡げられ、アヤセの太い亀頭部をようやく飲み込んだ。
その瞬間、バリッと音がして本当に裂けたように感じたが、実際にはそんなことはなく、血も滲んでいない。
それでも「もう精一杯」という感じで肛門が拡げられ、皺はまったく見えなくなっている。
それでも、もっとも太い部分を飲み込んでしまったため、あとはそれほど苦労はなかった。

「ん……」

アヤセが呻いて腰を送り、ゆっくりと肉棒を挿入していく。
かなりのきつさで、アヤセの方も痛みがある。
それでも、挿入されていくアヌス周辺の粘膜をブランデーに濡れた指で撫で、緊張を緩ませようとしている。
その成果なのか、ゆっくりとだが、アヤセのペニスがアルファの肛門の中にじわじわと入り込んで行った。

「う……うむ……ううん……は、はう……」

ずっ、ずっと少しづつ入り込んでいくたびに、アルファはぶるっと震え、呻き、腰をわななかせた。
アヤセは腰をよじり、出来るだけ奥まで押し込んだ。
そしてアルファの丸い尻に腰がくっつくまで挿入すると、ホッと息をついた。
熱い肉が絡みついて、強く食い締める感触がたまらなかった。

「……どうだ? 全部入ったじゃないか」
「ああ……」
「これで「口」も「尻」も「女」になったわけだ。ご感想は?」
「……」
「すごいぜ、アルファの尻の中は。熱くてぬるぬるしてて、そのくせ痛ぇくらいに締めつけてくる」
「あう……抜いて……い、痛くてもう……ああ……」
「もうちっと我慢しろ、そのうち平気になる。ってか、もう痛みはねえんじゃねえか?」

アルファの顔からは血の気が引いていた。
耐えられぬと言わんばかりに唇を噛み、アヤセが少しでも動くと「ああっ」と悲鳴を上げて仰け反る。
お尻の穴が弾けそうなくらいに拡げられ、奥の方にまで男根が責めてきている。
まるでお腹の中まで占領されたような気がした。
お腹の底まで埋め込まれた圧迫感に吐き気すら催してきた。
なのに、肛門や腸管が、ぎゅううっとアヤセのものを食い締めているのが自分でもわかる。
なぜこんな反応をしているか、自分の身体がわからなかった。

「うむ……きつい……ああ……く、苦しい……」

アルファは初めて味わう異様な圧迫感に呻くばかりだ。
腸管を深々と串刺しにされてしまい、動くこともままならない。
肛門どころか、身体が引き裂かれてしまいそうな気がする。

「うう……ああ……」
「だいぶ練れてきたな」

苦しそうに呻いていたアルファの身体から少しだけ力が抜ける。
アヌスも、肉棒を食い締めるだけでなく、緩んだり締め上げたりと収縮するようになっていた。
まだ快感とまでは行かないだろうが、それでも状況とペニスに馴染んできたのは間違いなさそうだ。

アヤセはそう見ていたが、実はアルファには早くも「快感」が芽生え始めていたのだ。
アルファ自身わかっていなかったかも知れないが、さっきから媚肉がじくじくと愛液を漏らし、シーツと腰の間はべとべとになっている。
乳首もベッドに押しつけたままで触られていないのに、硬く尖ってジンジンと痺れていた。
何より、お尻を犯されているというのに、なぜか膣の奥までもが疼いてきたのだ。
アヤセの段階的な責めが功を奏したというのもあるが、やはりアルファの官能感度はかなり高いということらしい。

ここまで来れば……と思ったアヤセは、ゆっくりと腰を動かし始めた。
アルファはギクンと反応する。

「いっ! や、動かないで、お願いっ……ひっ……ああ……あうっ……ううんっ」

ほんのちょっと動いただけでも、頭にまでビンビンと響いてくる。
ほんの2〜3センチ抜き差しされるだけだが肛門がミシミシと軋んでいる感じがした。
ペニスと腸粘膜が擦れ合い、その摩擦で肛門が燃え上がりそうだ。

挿入の距離が少しずつ伸びていく。
3センチから5センチ、そして10センチ。

ずるるっと奥まで入れられるとアルファは「ひぃっ」と悲鳴を上げ、ぬるるっと抜かれると「はああっ」とお腹の底から呻く。
燃え上がりそうなくらい熱い息を吐き、拳を作った手をぎゅううっと握りしめる。

「あ、あう……死ぬ……はああっ……あぐっ……うん……ひっ……あう……んむっ……むむう……」

力一杯握りしめる手は血の気が飛んで白くなっていたが、逆にさっきまで蒼白だった顔は真っ赤になっている。
そして、微かではあるが時々「ああ……」と悩ましい声で喘ぎ、喜悦の色が見え隠れしていた。

アヤセも少し驚いていた。
いかに感受性が高いと言えど、初めての肛門性交で快感にまで導かれる例は少ないだろう。
ロボットの人がみなそうなのか、それともアルファという個体独自の個性なのかはわからないが、かなり鋭敏な性感を持っているのは間違いなさそうだ。

「んんっ……はっ……あう……いっ……」
「よくなってきたみてえだな。よしよし、もっとよくしてやる」
「や……、もうよして……抜いて……き、きついの……あう……」

アヤセのペニスが打ち込まれ、腸管を抉り込まれると、アルファの肛門は痙攣しながら引き窄まり、ぎゅっとばかりに締めつけてくる。
そしてフッと緩み、また食い締めてきた。
アヤセはそのリズムに合わせ、緩んでいる時に一気に突き刺し、窄まった時に引き抜いた。

アルファは特に、引き抜かれる時に強く反応した。
入れられるより抜かれる時の方が感じるらしい。
あるいは、食い締めた時に抜かれるから、その時に思い切り粘膜を擦られるのがたまらないのかも知れない。

「ああっ、いっ……!」

思わず「いい」と言いそうになってしまい、アルファはハッとして口を手で覆った。
アヤセに言われた通り、だんだんと気持ち良くなってきてしまっている。
張り裂けるかと思うような痛みもない。
もう、どうにも誤魔化せないほどにアヌスから身体全体が燃え上がり、官能に打ち震えていた。
乳首は痛いほどに尖り、クリトリスは包皮が剥けきり、膣口からは止めどなく蜜が溢れてきている。
責められているのはお尻なのに、肛門でセックスさせられているのにどうしてこうなるのか、アルファにはさっぱりわからなかった。
わかるのは、このアナルセックスがいやでなくなってきていることだけだ。

「いっ! あっ! はうっ! んんん……あっ! ……あう……んむうっ!」

アヤセの動きがだんだんと速くなってきた。
いつしかストロークも大きくなり、ペニスが抜けそうなほどに引き抜かれたかと思うと、腰がお尻にぺたんとぶつかるまで打ち込まれた。
カリの部分が肛門の内側に引っかかる感触や、奥の奥まで貫かれる感覚がたまらない。
アルファは背中を大きく反らし、両手をベッドに突いて仰け反ったまま喘ぎ続けた。

(こいつ、すげえな……)

アルファの反応に見張りつつ、アヤセは責め続けた。
アルファの丸くて形の良い尻を押し潰すかのように腰を打ち込み、奥まで肉棒を捻り込んだ。
もう媚肉を犯す時とほとんど変わらぬほどにピストンが繰り返され、アルファは堪え切れないところまで追い詰められる。

「ああっ……あ、あむっ……もっ、もう……」

アヤセの腰が尻にめり込むほどに深く貫かれ、カリが腸管を思い切り擦り上げると、アルファは一気に灼き尽くされた。

「うああっ……!!」
「くっ……!」

その食い締めには堪えようもなく、アヤセもアルファの腰をしっかり掴んで密着したままで思い切り射精した。
どびゅびゅっと音が聞こえそうなほどに激しく射精され、アルファは全身を痙攣させて喘いだ。

「んああっ……あ、出てる……アヤセさんの……お、お尻の中に……あう……」

夥しい量の精液を腸管に浴びせられ、アルファは何度も痙攣した。
アヤセは、びゅくびゅくと精液の残滓が出終わるまでアルファを後ろから抱きしめたままだった。
そしてようやく全部出す終えても、まだ離れようとしなかった。
アルファのアヌスと直腸は、アヤセから絞り取るように締めつけてきている。
それが何とも心地よく、アヤセのものはまた大きくなっていった。

「あっ……」

中でまたどんどんと膨張していくのを感じ、アルファは脅えたように言った。

「アヤセさんのまたっ……また、おっきくなって……」
「アルファの中があんまり気持ち良くてよ。いいよな、もっかい」
「や……、もういや……」
「気持ち良かったろ?」
「……なんでそんなこと」
「聞きたいからさ。言えって」

アルファは恨みがましそうな目でアヤセを軽く睨んだ。

「そんな恥ずかしいことばっかり……。どうして……どうしてさっきから意地悪ばっかするんですか?」

アルファは泣きべそをかきながらそう言ってアヤセを見た。
涙ぐんでいる。

「私のこと……嫌いなの?」
「んなことねえさ」
「じゃ、どうして……」
「んー、アルファにはわかんねえかなあ。男の子ってのはな、好きな女の子をちょっと虐めてみてえなって思いがあんだよ」
「そんなの、わかりませんっ」

アヤセも嗜虐嗜好というわけではない。
男だから多少はあるだろうし、軽いSMっぽいのは興味もある。
だが、女を虐めること自体に悦びを見出すようなタイプではなかった。
むしろ、軽い意地悪をされて戸惑ったり恥ずかしがったりする女の子を見るのが好きだった。
意地悪自体は何でもよくて、相手の心身を傷つけたりするものでなければ何でもいいのだ。

「そういうアルファは可愛いと思うしな」
「そ、そんなこと言っても誤魔化されないから……」
「ほんとのことだよ。おめえは人に愛されるタイプだな、色んな意味でよ」
「……」
「おめえを嫌う人なんていねえだろ。おれもおなんじだ」
「でもアヤセさんのは……、あ……、ちょっと抜いて……ま、またお尻の中でどんどん……」
「ちょうどいい。もう一回だ」
「やっ、もう普通にして……ああっ、そんないきなりっ……!」

思う存分精液を吐き終えて萎えかかっていたペニスは、また太く膨張し、アルファの腸管を拡げていく。
アヤセの精液とアルファの腸液でぬるぬるになった腸壁が、きつきつに張ってくる。

「アヤセさんの太いからきついっ……、ひっ……」

アルファは悲鳴を上げていたが、それでいてアヤセの律動に合わせて尻を振り始めた。
ぬちゃぬちゃと音をさせながら太いものが出入りするたびに、粘液が掻き出されてくる。

「んうっ……くっ……あ、はあ、はあ……あうっ……くあっ……」
「気持ち良いなら我慢すっことねえぞ」
「が、我慢なんか、して、な……ああっ!」

噛みしばった唇が僅かに開き、吐息と喘ぎが漏れ出す。
肉棒が腸管をこねくり回し、硬く広がったカリが腸壁を抉ってくると、アルファは激しく感応した。
こんなことで愉悦を感じ始めている自分が恥ずかしく、またそれを見抜かれていることがたまらない羞恥を呼ぶ。
しかし、どう足掻いても耐えきれない喘ぎが唇を割り、指がググッとシーツを掴んだ。
足の指まで反り返っている。

「あ……あ……、だ、だめ……うんっ……あ……うんっ……うあ……はああっ……」

腸内を硬い肉棒が擦り、盛んに出し入れされると、肛門粘膜がめくれ上がり、まためくれ込んでいく。
次第にアルファの腰から力が抜け、アヤセが支えていてくれないとベッドに落ちてしまいそうになっている。
脱力してしまう身体に対し、アヌスだけは強い力でペニスを咥え込み、収縮を繰り返していた。

「ううん……うっ、あ……はんっ……い、あ……ああ……」

ずぶっ、ぬるっと内壁が肉棒によって引き摺り出され、また巻き込まれるように押し込まれていく。
それが止めどなく繰り返され、アルファの肛門は赤く爛れてきている。
そのくせ痛みがなく、代わりにビリビリと痺れるようなはっきりとした快感が襲ってきた。

「ああ……ああっ、いいっ……!」
「やっと認めたな。それでいい。恥ずかしいこっちゃねえんだから」
「ああ、でも……、でも恥ずかしいよ……いや、もう、こんなの……」
「いいんだよ、みんなオレが悪ぃんだ。アルファは悪かねえ」
「……」

その言葉を聞いて、アルファの顔が次第に恍惚に染まっていく。
アヤセはもう限界なまでにアルファの尻たぶを掴み拡げ、出来るだけ奥まで貫こうと腰を打ち込んだ。

「んあ! だめ、激しっ……つ、強すぎますっ……んんっ、あ、いい……」

柔らかい尻が男のたくましい腰で何度も押し潰され、深々と突き込まれると、アルファは激しく首を振って何度も仰け反る。

「んんっ、い、いいっ……ああ、お尻、いい……どうにかなるっ……お尻、溶けちゃいそう……んはあっ……」

苦悶と悦楽の混じり合ったゾクゾクするような表情を浮かべ、アルファは尻肉をぶるぶると震わせて大きく喘いだ。
傍目からも、もう絶頂に近いのは明白だ。

「だ、だめっ……もうだめえっ……お願い、アヤセさんっ……わ、私ぃっ、あ、もうっ……」
「お、オレも行くで」
「は、早くっ……、ああっ……ああっ、い、いくっ!」

背中を大きく弓なりに反り返らせ、アルファは頂点に達した。
それを確認してから、アヤセはどすんとアルファの尻を突き上げ、その奥で濃い粘液を放った。

どびゅるっ、びゅくくっ、びゅくっ。
びゅるんっ、びゅるっ。

三度目とは思えぬ勢いで激しく射精され、熱い精液を腸内に浴びたアルファも続けざまに気をやった。
アヤセはアルファの細腰を掴んで腰を押しつけたまま、何度も腰をしゃくり上げている。
びゅくっ、びゅくっと射精の発作を繰り返すと、そのたびにアルファの肢体がビクンと小さく跳ねた。

「あ……あは……、まだ……またお尻に……アヤセさんのがいっぱい……んん……」

尿道に残った精液を残らず吐き出すと、アヤセはようやくアルファのアヌスからペニスを抜き去った。
カリが肛門を強く擦って外へ出て行くと、アルファはまたぶるるっと大きく痙攣する。
今まで大きなものを咥え込まされていたアヌスは、閉じることを忘れたかのように小さく口を開け、多すぎる精液をとろりと吐き出していた。

「あ……、はあ……はあ……はあ……はあ……」

アヤセが腰を離すと、アルファはそのままどさりとベッドに突っ伏した。
男は小さく息をついたが、女の方はまだ息が荒い。
俯せになっている背中がビクッ、ビクッと動いているのは鼓動だろうか。
アルファはもう失神寸前だったのだが、その手を掴まれ、引き寄せられた。

「あ……、何を……」

まだ虚ろな目でアヤセに目をやると、彼はアルファの手を掴んで自分のものを握らせていた。
アルファは、握らされたそれが男根だと知ると、見る見るうちに顔を紅潮させた。

「あ、アヤセさんっ……、ま、まだ、その……」
「ん? そりゃそうだべ。だってアルファだって、これだけじゃ不満だろ? ちゃんと前でして欲しかねえか?」
「……知らない」
「んなこと言うんか? なら、また尻にやってやろうか?」

アルファは反射的に否定した。

「いやっ……! も、もう……もうお尻は許して……」
「前ならしてもいいってか?」
「……」
「つうか、前にして欲しいってとこか」
「……ほんとに意地悪……」

アルファは涙ぐんでアヤセを軽く睨む。
アヌスを二度も犯され、射精もされたが、肝心の膣を放置されたままだ。
お尻でセックスされている間も、ずっと媚肉はジンジンと疼いていた。
膣だけではなく、その奥の方も熱く灼け、痺れるような疼きがある。
「これで終わり」と言われたらどうしたらいいのか、わからなかった。
自慰の知識もなく、当然したこともなかった。
だからアヤセが「まだできる」とわかって、この男の精力に恐れおののくと同時に、どこかでホッとしたのも確かだった。

「なら言ってみな」
「え……」
「前にしてくださいってよ。いんや「オマンコにして」かな」
「っ……!」
「言えねか? じゃ……」
「あ、ま、待って……!」

アヤセが立ち上がりかけると、アルファは慌てたように止めた。
そのアヤセの行動がポーズなのはわかっているが、アルファは乗るしかない。
自分から「求める」ことがどれだけ恥ずかしいかも知っているけど、その恥ずかしいことを言わされる自分に背徳的な悦楽も感じ取っていた。

「言うか?」
「ん……」
「……」
「あ……、し、して……ください」
「もっとよ、はっきり。どこに何をすんだ?」
「……。前に……、そ、その……お、おま、んこに……ああ……して……」
「……続けて言ってみな」
「お……オマンコ……に、して……オマンコにアヤセさんの……入れて……ああ、もう……」
「よしよし、よく言えたな。悪かったな、恥ずかしいこと言わせて」
「……」

アヤセがそう言ってアルファの頭を撫でてやると、アルファはくすんとすすり上げてコクッと頷いた。

「んじゃ、いよいよ本番だな」
「……あっ」

俯せのままだったアルファが仰向けになろうとすると、アヤセはそのままアルファの腰を押しつけた。
そして、あろうことか、またお尻をぐっと割り開いたのだ。
大きく割られた股間には、先ほどまで散々犯された肛門がまだひくついている。
見られていることがわかるのか、時折きゅっと引き窄まるのがやけにセクシーだった。

「み、見ないであんまり……」
「あんまり? じゃ、少しなら見てもいいってか?」
「あ、やあっ……」

綺麗に合わさっている肉襞を指でこじ開けると、薄紅色の肉襞が充血しているのがわかる。
繰り返し挿入されたのはアヌスだったからなのか、物欲しげに収縮していた。
なおも襞を丁寧に掻き分けると、底に見えた小さな膣口から、とろっとした透明な粘液が流れ出た。
見れば、割れ目の頂点にある肉芽までひくついている。

普通に考えれば「このロボット、本当によく出来ているな」と思うところだろうが、アヤセもタカヒロもそんな風には考えない。
そう思ってしまうのは悪い、ということもあるかも知れないが、それ以上にアルファを「女」として見ているからだ。
もはや「ロボットの人」だの「人間の女」だのといった区別はしていないのだ。
そこを見ているだけで、アヤセのものも、またグンと勃起していく。

「……いくか」

そう言ってアルファの尻を抱え上げると、アルファが振り返って不安そうに言う。

「で、でも……あ、こ、このまま……このままで……?」
「ん? そうか、まだこの格好でしたことねえか」
「……」
「んじゃ教えといてやる。こういうのもあるんだよ、ほれ」
「あっ……」

肉棒の先をアルファの媚肉に押し当てると、そのままググッと腰を進めていく。
肛門ではなく、膣の方に大きなものが入り込んでくる圧迫感に、アルファは背を反らせて大きく呻いた。

「あっ、あっ……ぐううっ……は……入る……あう!」

ずぶりと根本まで刺し貫かれると、アルファはググッと大きく仰け反った。
美しいラインを描く太腿の付け根には、アヤセのいきり立った肉棒が深々と突き刺さっていた

アヤセも初めて味わうアルファの媚肉は、さすがに肛門ほどではなかったものの、かなりきつい。
それでも内部は充分に濡れ潤っており、アヤセの太いペニスをもしっかりと受け止めている。
熱い愛液をまぶし、襞が絡みつき、アヌスとはまるで違う快楽に男が呻く。

「っく……、こりゃたまんねえな……。こんないいもん滅多に使わねえなんて宝の持ち腐れってもんだ」
「そ、そんな……、わ、私はそんな、あっ……だ、誰でもいいってわけじゃ……ああっ」
「わかってるって。オレが望外の幸せもんだってことだよな」
「あうっ」

(ふ、深い……中……中いっぱいに詰まってる……太い……こんなのって……)

ずぶっと深くまで突かれると、その裸身は極めて鋭敏な反応を見せる。
ただでさえ狭い膣道の膣圧が強まり、肉棒をしっかりと絡め取った。
襞が蠢き、さらに奥へといざなうような蠢動すら見せている。
その刺激に耐えつつ、アヤセはアルファの腿をしっかりと抱えながらゆっくりと、しかし大きく突き上げていく。

「ああっ……ああっ! ……ん……くうっ……いっ、あ……あ、あんっ……」

ようやく待ちかねた真の快楽を受け止め、アルファのそこはますます具合がよくなっていく。
アヤセは膣の入り口から最奥まで味わい尽くすかのように男根を操り、内部を抉った。
肉棒を抜き差しするのに併せて襞が蠢き、腰が動く。
無意識の行動だとは思うが、ずぶりと差し込むとアルファは腰をわななかせて喘ぎ、膣圧を緩める。
そして抜いていくとキュッと膣を引き締め、ペニスに適度な刺激を与えていた。

初めての体位に戸惑い、その恥ずかしさに顔を赤らめながらも、媚肉は男根をしゃぶっている。
アルファは、背徳感を際立たせる格好、羞恥にまみれる自分に反応してしまっている裸身を持て余していた。

「気持ち良いべ? なら遠慮なく喘いでいいぞ、もっとよがってくれや」
「あっ! 私はそんな、別に、ああっ……」

まだ羞恥心が勝るのか、アルファは首を振って否定するが、身体の方はしっかりと反応する。
四つん這いになってベッドに突いた手は、ぎゅっとシーツを掴んで皺を作っている。
突き刺されるたびに腰を震わせ、背中を反らせ、足の指までぎゅっと何かを掴むような動きを見せた。
ゆさっ、ゆさっと官能的に揺れ動く乳房は、アヤセにぎゅっと掴まれ、盛んに揉みしだかれている。
男の指で歪に歪んだ胸は、その頂点をこりこりに硬く勃起させていた。
アルファの揺れ動く尻を押さえつけ、アヤセは思い切り奥まで突いてやる。

「あうんっ……!」

先端が最奥にぶつかると、アルファはひときわ大きな声で喘いだ。
ここは子宮だろうか。
人間の女なら間違いなくそのはずだが、ロボットであるアルファにも子宮があるということなのか。
しかし、どう考えてもロボットに人の子が産めるはずもなく、そうなら無用の臓器であるはずだ。
しかし亀頭に何かが当たっているのは確かだ。
アヤセは慎重に、しかし強い力でそこを責めてみた。
アルファの反応が目に見えて激しくなった。

「うんっ! あ、そこっ……ひっ……アヤセ、あっ、さんっ……うあっ」
「ん? なんだ、ここがいいのか? なら、ほれ」
「ひぃあっ! や、やめ……ああっ!」
「気持ち良いなら、そう言えって。その方がオレもやりがいがあらあ」
「でっ、でも……んんっ……」
「よくねえか? ほれ、ここは?」
「ああっ……、いっ、いいっ!」

アルファは、はっきりと淫蕩な言葉を吐いた。
自分が快楽に浸っていることを認めてしまった。
酒が入っていることもあるが、アヤセに深責めされて耐えきれなくなったのだ。

「あっ! あはあっ、だめっ……そ、そんな深くまで……あうう……」

アヤセは容赦なくアルファの最深部まで責め上げ、子宮口と思しき箇所をグイグイと突き上げていた。
前後に突き込むだけでなく、円を描くようにして膣口を拡げるような動きまで魅せた。
腰をグラインドされ、あそこを押し広げられると、アルファはぐうっと背中を弓なりにして甲高い声で喘ぐ。

「いっ、あ……は、激しいっ……アヤセさん、それっ……だめ、あう、深いっ……」

もう窓が開けっ放しだったことも忘れている。
さきほどアルファが恐れた通り、今窓の外に──いや、敷地におじさんやタカヒロがいたら、絶対にばれてしまう。
アルファが誰かと激しくセックスしていることを知られてしまう。
なのにアルファはもう喘ぎ声を抑えようがなく、喉を搾り、腹の奥から艶っぽいよがり声を放っていた。
その声をさらにほじくり出そうと、アヤセも懸命に腰を使う。

アルファのくびれた細腰をがっしりと掴み、これでもか、これでもか、と言わんばかりに激しく打ち込んだ。
アルファの腰や膝が浮き上がるほどに強い挿入だ。
そのたびにアルファは「あっ」と大きく喘ぎ、手を握りしめ、顔を何度も降りたくっている。
次第に「行為」に没頭していくアルファの痴態は、アヤセをより興奮させていく。
アルファの締めつけもきつく、その反応も彼の射精欲をすこぶる高めている。

「んんっ……ああっ、いいっ……くっ……ちょ、あっ……あ、あは……くううっ」

聞いているだけで射精してしまいそうな喘ぎを放ち続けるアルファを見ているだけで、もう我慢の限界になる。
アヤセはさらに男根が膨張し、硬化していくのも感じ取り、さらに腰を強く使った。
アルファの尻がアヤセの腰に潰され、ぴしゃぴしゃと肉を打つ音が辺りに響く。
抜き差しの振幅は小さく鳴ったが、その分、出し入れする速度がかなり増した。
それだけアルファにとっては膣内の、アヤセにとってはペニスへの摩擦感が強まり、切羽詰まったところまで追い込まれていく。
先に屈したのはアヤセの方だった。

「く、くそっ……アルファ、オレ、もう……」
「んんあっ……はああっ、いいっ……や、もう……ああっ」
「いくぜ」
「ああっ!」

アヤセはアルファの尻を引き寄せると、思い切り強く打ち込んだ。
男根は見事なほどに根本まで突き刺さり、その先端は子宮を押し上げている。
亀頭の先に、少し硬めの内壁を感じた瞬間、アヤセは自失した。

「おっ、おっ……!」

奥の子宮口に亀頭が当たった瞬間、アヤセはそのままこみ上げてくる快楽に抗い切れず、一気に精液を放った。

「ひぃああっ……!」

アルファは、その強烈な感覚に思わず目を剥いた。
胎内に浴びせられる精液の熱さと濃さに目眩がするほどだ。
アヤセはなおも腰を密着させ、びゅくびゅくと射精している。
そのすべてを膣奥で受け止めさせられ、アルファは何度も痙攣した。
アヤセの腰が射精の発作でぶるっと震え、腰をしゃくり上げるようにして精を注ぎ込む。
そのたびにアルファは「あっ」と呻き、喘いだ。
もう身体を支えていられないらしく、腕はだらしなく前へ伸び、顔はシーツに突っ伏している。
持ち上げられている豊かな臀部だけが、思い出したように時折ひくひくとわなないていた。

「あ。ああ……いい……い、いっちゃった、私……ああ……」

男は痺れるような快感を足の裏と頭で同時に感じ取り、女の脚を抱え込むようにして腰を押しつけ、己のすべてを注ぎ込むように射精した。
ペニスが脈打って射精を繰り返すと、それを受けてアルファの膣壁はすぐに蠢動し、流し込まれた精液を次々と奥の臓器へと送っていった。

「……ふう」

ようやく射精し終えると、アヤセは軽く息をついてアルファの中からペニスを引き抜いた。
ぬらついた男根は、三度の射精を終えると、ようやく萎れてきたようだ。
アルファの方は、硬い心棒を抜かれると、途端に膝が笑って姿勢を崩し、くたりとベッドに頽れた。

「あ……、はあ……はあ……はあ……」

アルファは、まだ薄いピンクに染まった肌に軽く汗を浮き立たせている。
まだ絶頂の余韻に酔っているのか荒い呼吸を繰り返し、息遣いに併せて肩胛骨が何度も上下していた。
時々、快楽を思い出したようにビクッとわなないている。
だらしなく開いたままの股間の奥は、卑猥なほどに襞がめくれていた。
激しいセックスを物語るように、少し爛れている。
そこから見える膣口は小さく口を開けたままで、中からゆっくりと体液を吐き出していた。

少々責め過ぎたかと、アヤセは苦笑してアルファの尻を撫でた。
男の手の感触に、アルファはぴくりと反応したが、すぐにまた動かなくなった。

「……悪かったな。少し激し過ぎたみてえだ。何せオレもひさしぶりの……、ん?」
「……」

ぐったりしたアルファはもう反応していない。
アヤセがひょいと顔を覗き込むと、すうすうと寝息を立てていた。

「……なんだ、もう寝ちまったのか」

アヤセはそうつぶやいて軽く笑った。窓の外を眺めてみると、もう東の山間がうっすらと朱色に染まりつつあった。
時計を見れば、もうそろそろ4時になる。
またずいぶんと長時間愛し合ったものだ。
いくらロボットでも、責められる側がぐったりして失神するのも無理はない。
とはいえ、怖い夜をやり過ごすことが出来たのだから、アルファにとってはこれでよかったのかも知れない。

「……」

アヤセは眠りこけているアルファに掛けシーツをそっと掛けてやると、もう一度シャワーを浴びに行った。
さっぱりして部屋に戻ると、アルファはまだ目覚める様子はない。
今のうちに出発した方が良さそうである。
のんびりしているうちに、地元の人や常連客などが来たら説明が面倒だ。
家に男が一泊した、などというウワサが立ってはアルファも暮らしにくくなるだろう。

アヤセは服を着て旅支度を調えると、鞄の中をそっと覗く。
どうやらカマスもまだ寝ているようである。
ショルダーバッグを肩に掛けると、机の上にメモ用紙があるのを見てペンを取って書き置きを残した。

「……世話になったな」

そう言って、寝ているアルファに軽く頭を下げて出て行こうとしたが、ふと何か思いついたように足を止める。
そして再びアルファを眺めると「これくらいはいいか」と言いながら、何やらメモに書き加えると、そっとドアに向かう。

「……うん」
「……!」

突然にアルファの声がしたので起きたのかと思ったが、眠りこけたままだ。
どうやら寝言のようである。
もう疲労の色はなく、幸せそうな寝顔だった。
それを見て少し安心したアヤセは、足音を忍ばせながらカフェ・アルファを後にした。



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