の腰が砕けて、そのまま床に崩れ落ちた。


慌てて、伸ばした腕に縋りつく。自分もしゃがみこんで覗き込めば、彼女は荒い呼吸を繰り返している。
縋りついた手が、小刻みに震えていた。


「 !? 」


心配して駆け寄れば、彼女の視線が持ち上がる。常軌を逸した、光の揺らめき。
これが・・・媚薬の、効果ですか。こんなにも早く効いてくるとは思わず、一瞬うろたえた時だった。
の身体が伸び、先程吸い取った唇が近づいてくる。


・・・柔らかな、感触。甘く、酔いしれてしまうのは、私の方・・・。


そっと彼女の腰を引き寄せて、何度も唇を合わせ、やがて深いものへと変化する。
求めるようにわずかな隙間から舌を侵入させ、彼女の口内を荒らす。
んッ、とくぐもった声さえも飲み込んで、舌を絡ませた。
互いの唾液を交換するように。口の端から零れる雫など気に止めず、舌先で歯列をなぞった。
腕を握っていたの指に、力が篭って・・ようやく、身体を離した。


「 ・・・始めましょうか 」


・・・こうなった以上、私も覚悟を決めなければ。
媚薬の効果から開放する為にも・・・、私は、貴女を。


震えの止まらない彼女を横抱きにし、そっと牀榻に寝かせると、そのまま唇を首筋へと舌を這わせる。
は・・・ッ、と吐息を吐いて、寄せる快感に漂うように、の身体がもぞりと動いた。
そっと帯を解いて、胸元へと手を伸ばす。いつぞや見惚れた、項の下の、美しい真珠色の肌。
思ったよりも膨らんでいる胸が、呼吸に合わせて激しく上下に揺れるのを・・・眺めていた。


「 んん、あ、ふぁンッ・・・! 」


胸の突起に吸い付けば、の嬌声が上がる。
上がった自分の声に驚いたのか、一瞬、瞳を大きく見開いた。が、続く快感に柳眉を顰める。
舌先に力を入れて、ぐっと持ち上げるように舐めるのが、気持ちよかったのだろう。
一際大きな声が部屋に響き、は自分の声を抑えるように、脱がした衣を口に当てる。
私は、彼女の胸に当てていた手を移動させ、その布を除けた。


「 大丈夫ですよ、・・・もっと、聴かせて下さい。もっともっと、啼いて、下さい・・・ 」
「 ふぁ・・・あ、やぁあん、ぃやああっ! 」


人差し指を入れ、口を閉じられないようにする。
私の指を噛まないようにという気遣いと、責められる快感とが、優しいを駆り立てる。
媚薬の効果の手伝ってか、彼女の意識が少しずつ混濁してきたようだ。
唇の端から唾液が零れても、拭うこともせずに無我夢中で呼吸と嬌声を繰り返す。
その視界には、今、何も映っていないのだろう。 恥ずかしがっていたのに裸体であることも既に忘れ、彼女は快感の波に支配されぬよう必死だ。 だが・・・きっとそれも時間の問題だろう。
口に含んでいた胸の突起を、名残惜しそうに離して、肋骨の脇から、徐々に下へと唇を降ろす。
身体の線を確かめるように掌に感覚を集中させる。滑らかな肌に、熱が宿っていく。
息も絶え絶えだった彼女が、突然慌てたように私を拒んだ。足を引き寄せて、固く閉じる。
こうなることを予想していた私は、彼女の両腕をまとめて掴むと、もう片方の手で大腿部を撫でた。
冷たい感触に、くす、と笑みが浮かんだのが、自分でも解った。


「 夜具にまで、零れていますよ。貴女の、愛液 」
「 や・・・や、だぁっ!はず、か、し・・・やめて、はくげ・・・い、いやぁ・・・! 」
「 綺麗です、・・・今まで見た、どんな花よりも 」


芙蓉、と例えられる女性の秘部。のそれは、真っ赤に熟れ、神々しいまでに美しかった。
指を伸ばして触れると、彼女の腰が浮いた。


「 んあああ、っ・・・!ふぁ、あ、いやァ、ひ、ああンッ!! 」
「 、快楽を拒まずに受け入れるのです、大丈夫です・・・私が、傍にいますから 」


混濁した中でも、はふるふると首を振って『 いやだ 』と叫ぶ。
( その言葉しか、もう彼女の頭の中には思い浮かばないのだろう )






・・・なら、何故彼女は媚薬を?薦めたのは自分だと解っていても、わからない。






あんなに嫌がっていたのに、今だってこんなに嫌がっているのに。
飲まずに、今のように頑なに拒否したならば、私だって『 自分 』に言い訳が出来たのに。
やっぱり・・・私は『 友達 』でしかないのですか、
貴女は、陸家のことしか考えていない私よりも、逢ったこともない趙雲殿がいいのですか。


私の手の中で弄ばれ、花開いていく姿。彼女の身体は初めて味わう性の快楽に溺れていく。
自分が仮想・趙雲であることも忘れて、乱れた彼女に呼応して興奮していくのがわかる。


今だけは・・・今だけは趙雲殿でなく『 私 』を見てください・・・!!






「 ふ、あああぅ、はくッ、んやっ、な、なんか、なんか、や・・・やああああぁんんッ!!! 」


身体中に電撃を走らせて、彼女の背が大きく反った。
ぷしゃ、と小さく音がしたと思えば、蜜壷から溢れる愛液。指で掬って、舐める。
・・・これが、彼女の味。何と甘くて、どんな菓子よりも、私を虜にする味なのだろう。
5本の指、すべてを舐め終えて彼女を見下ろす。初めての『 快感 』に、は動かない。
抵抗する力など、今の行為で全て使い果たしてしまったようだ。だらり、と牀榻の端から腕が落ちる。
、と尋ねれば、閉じていた瞳が半分だけ開いた。潤んだ瞳が、これまたそそる・・・。


「 ・・・今、の・・・何・・・? 」
「 気持ちよかったですか?もう一度、味わってみたいでしょう? 」
「 ・・・・・・・・・・・・ 」


思考回路が追いついていないのだろう。しばらく間が開いて、弱々しく首を振った。


「 ( 頭ではそう思っていても、身体はどうでしょうね ) 」


何せ、そこはまだヒクついている。初めて達した快感を、受け入れて。
もっと、もっとと強請るように、涎を垂らして赤く蠢いているのだ。
次はどう攻めてやりましょうか・・・と思案していると、横たわったが、ふ、と目線を向ける。
・・・ああ、伽が初めてなら、見るのは初めてかもしれませんね。
私の視線に気がついたが、はっとして羞恥に視線を逸らすが、もう遅い。


「 触って慣れておくことも、大事です・・・さ、手を 」


いや、とまた首を振ったの手を取り、無理矢理、自身に触れさせる。
最初は、その感触にびっくりしたようだった。だが、振り払えないと知って、導かれるままゆっくりと撫で始めた。 両手で私のを包み込み、上に、下にと擦り始める。


「 ・・・・・・、っ! 」


導いたのは自分なのに・・・堪らず、声が上がりそうになる。
本当は、彼女の手に包まれていると考えるだけで、自分もイきそうだ。
頬に、熱が上がる。顔が赤くなっているのだけは、知られたくなくて・・・次第に、昂っていく男根を 見ているの両頬を掴んで、顔を上げさせないようにした。
けれど、勘の良い彼女は目線だけ一瞬上げると・・・そっと口を開いた。


「 はッ!んっ、く・・・、ッ!! 」


突如襲われた快感に、背筋がぶるりと震えた。
上目遣いで私の表情を伺いつつも、必死に男根を自分の口の中へと収めようとする
( その角度が・・・また、自身を昂らせるのが解った )


「 は、ふへん・・・ひもち、いいお? 」
「 ああッ、だ、ダメ、です・・・く、ふうッ・・・喋って、は・・・はっ、ァあああ・・・! 」


追い詰められて、彼女の口の中で、痛いほど大きくなっていく。
も、それを逃すまいと必死に咥えるものだから、それがむしろ仇となって快感の波が頭を過ぎる。
私は彼女の身体に覆いかぶさるようにして、咥えながらも、感じている秘部へと舌先を伸ばした。


「 んあッ!ふ、あふっ!ら、らめえぁ・・・ァアア!! 」


身体の向きを逆さに、お互いの秘部を舐め合う。
彼女は暴れたが、口の中に入れている昂りが楔となって、逃げられずにいる。
破裂しそうなほど、熟れた花芯をそっと口に含めば、勢いよく愛液が溢れ出した。
足の爪先まで痺れているかのように、びく、びくりと身体を震わせている。
2回目の波が近づいているのだろう。ひくついた花芯が、大きく膨らみ出した。
・・・だが、自分も・・・もうそろそろ、限界だった・・・。


「 ひぅ、は、あ、んはあぁんっ、んくッ、やあんンッ、はああぁぁんッッ!!! 」
「 ・・・ふッ、あ・・・くぅ、ッ! 」


一度快感を覚えた彼女の身体は、呆気なく達する。
それと同時に自分も絶頂を向かえ、じゅるるる!と唾液の絡まった自身を引き抜く。
自ら扱く必要もなく、の胸に精液を吐き出した。熱・・・っ、と小さく声がした。




「 ( だけで・・・自分は、イく気など更々なかったのに・・・ ) 」




ぽたり、と夜具に落ちた雫は、汗か、それ以外のものなのか・・・もう私にはわからなかった。
国に、他人に認められるためとはいえ、自分がどれほど最低な行為に及んでいるかわかっている。
男を知らない、初めてだらけの女性を相手に、私は・・・何を、しているのだろう。


どこまでも、堕ちて行く気がした。底など無い、闇の奥深くに。
しかし・・・それでも良い、と思う。2人して堕ちて行くなら、怖いことなど無い。
むしろこのまま・・・このまま、夜明けが来なければ。と永遠に、快楽の海に漂っていられたなら。










身分や立場や役目など、全てを忘れて・・・本当に彼女を、手に入れられたのなら・・・。










未だ小さな痙攣を繰り返し、柔らかな肢体を牀榻に伸ばしているに近づく。
覆った影に気づいたのか、薄く開いていた瞳を大きく開けて・・・伯言?と尋ねるように呟く。


そして、自分の腿に当たる熱に・・・顔を、引き攣らせた。






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