腕時計を見て約束の時間より数分遅れている事に気が付いた竜一は小走りで階段を駆け上がり、屋上に向かった。屋上までの短い道のりの中で早坂が自分を呼び出した理由を考える。まさか決闘?そんな訳無いよな。アイツはそう言うのには全く関心が無い奴だ。じゃあ、何だ。……やっぱ望月との事か?俺にアイツとの橋渡しでもしろってか?…まぁ、俺も鬼じゃねぇから断りはしねぇけど……。色々と考えている内に見えて来たのはややさび付いた巨大な屋上への扉。鍵は開いているらしいそれを両手で押し開けると日の光が目に飛び込み、瞳を細めさせた。
「悪ぃ悪ぃ、ちょっと遅れちまったな」
光に慣れるまでのままならない視界で待ち合わせの相手を探しながら後ろ手でドアを閉める。眉間に皺を寄せて細められていた瞳が眩しい光にも構わずに大きく見開かれたのは、それから数秒後の事だった。
「早坂っ!!」
叫びながら竜一が全速力で向かう先では早坂がフェンスから身を乗り出し、一歩間違えれば転落する体勢を維持していた。叫び声に早坂が振り向くと同時に竜一の腕が早坂の腹部に回されて力強く引っ張られる。無我夢中で引き出された超人的な力に早坂は呆気なくフェンスから引き剥がされ、勢い余って竜一と共にコンクリートの上に背中から倒れ込んだ。パンッ。鋭い平手の音が後に続く。
「……お前…何考えてんだよ!一歩間違えたらお前、落ちて死んでたぞ!?」
「…………………………」
打たれて赤くなった右の頬を押さえて俯きながらも早坂は内心で薄く笑って呟いていた。合格、と。そして、心の中の薄い笑顔をそのまま表情に表して静かに言った。
「…僕を助けてくれたって事は…少しは僕の事、大切に思ってるって事だよね?」
「はぁ?何言ってんだ急に。大切って言うか……あぁ言うのは見捨てられねぇだろ?普通。そりゃお前は仲間だしな」
「うん………」
虚ろに答えながら出入り口のドアまで歩いて行って素早く鍵を掛け、改めて竜一の方へと近付く。自分の言動の不可解さに混乱しつつある竜一の怪訝そうな顔を見た早坂は何処となく妖艶な笑みを浮かべ、竜一の首に腕を絡めた。
「竜一君…僕のお願い、聞いてくれる……?」
「あ?何だよ、言ってみ………っ!!」
言葉を最後まで言う前に早坂の唇が押し当てられ、そのまま舌が割り入って来る。“大人しいが、何処か皮肉屋な秀才”である早坂しか知らない竜一は突然の事に目を白黒させ、激しく絡み付いてくる柔らかい舌の感触に頭が熱病に冒されたような感触を受けた。
「…僕を抱いて……僕と…Hな事して…」
唾液の糸を微かに引きながら数歩身を引き、躊躇い無くスラックスを下着と同時に脱ぎ捨てる。頬を微かに上気させる竜一の目の前で早坂はぺたんと腰を下ろし、両足を派手に開いて赤いジャムのような物で濡れている熟れた蕾を慣れた風に指で広げて見せた。
「ねぇ、知ってる?此処に竜一君の――入れると…竜一君も僕も凄く気持ち良くなるんだよ。……嫌…?気持ち良い事するの…嫌なの?」
ゴクッ。竜一は何も答えず、ただ生唾を飲み込んだ。狂ってるのか?目の前で淫らに振る舞い、卑猥な言葉を口にする少年が、あの純粋で大人しい早坂良麻である事が信じられず、ついつい狂人に仕立ててしまう。だが、当の早坂はそんな竜一の気持ちなどお構い無しと言わんばかりに続けた。
「竜一君、覚えてる?ずっと前、皆でHなビデオ観た時の事。あの時、まともに観れなかった僕に竜一君言ったよね。“お前みたいに純情そうな奴が案外一番やらしかったりするんだぜ?”って。…あの時は心外だって思ったけど……。本当だったみたいだね。だって僕、今はこんなにいやらしくなって、こうして竜一君も誘ってる…」
「や…やめろ!オイ!早坂!!目を覚ませ!!」
「……僕は…正気だよ…」
とても正気とは思えぬ虚ろな瞳の少年は這うように竜一に近付き、無遠慮にスラックスの前を開いたかと思うと微かに興奮しているそれを引っ張り出した。凄い…と小さく感想を漏らし、愛しそうに口に含む。さっき口内で暴れた柔らかい舌が本体を丁寧に舐り始めると、微かな興奮が瞬く間に激しくなり、早坂の口を埋め尽くす。吸い付いているのであろう水音が屋上に響き始めた。
「は……早…坂………」
性的興奮の所為か声を震わせながら自分の両足の間で動く黒髪を両手で掴むと早坂はクスッと笑い、先端に舌先を捻じ込んで来た。未体験の感触に竜一の口から短い嬌声のような物が漏れた。
「…お、お前…一体……」
一体、何処でこんな事を覚えたんだ?その疑問を口にする前に相手の方が一旦顔を離し、唾液に濡れた口元を拭いながら上目使いで自分を見詰めて来た。その表情は相変わらず妖しい笑みを浮かべたままだ。
「一体、何処で覚えたんだ…って聞きたいんだろう?そうだね、竜一君には教えてあげようか。…僕、ちょっと前に学校をずっと休んでた時期があっただろ?あの時、僕何してたと思う?」
「えっ………何…って……」
「あの時ね、ある人に監禁されてずっと…殆ど休む事無くレイプされてたんだ。沢山の男の人に」
「―――――――!!」
告白の予想外の内容に息を飲み、固まってしまった竜一の反応を楽しむかのように見詰めながら早坂は赤いジャムで濡れた自分の内股に触れた。
「その時に、媚薬をいっぱい使わされて……いっぱいいやらしい事を強要されて…気が付いたら、こんな事になっちゃった。皆して僕の事を“調教”したんだ。淫らな奴隷にね」
“調教”の事を思い出しているのか早坂の頬は派手に上気し、笑みの形を作っていた口からはハッハッ…と荒い吐息が小刻みに漏れ、晒されている本体の先端は粘液でじっとりと濡れている。その姿は発情した動物を思わせ、竜一は無意識の内に顔を顰めた。
「…………っ!!…ぃや…だ……そんな…顔しないで………僕の事…嫌いにならないで…」
竜一の表情の変化を鋭く捉えた早坂の顔から笑みが消え、瞬く間に瞳からポロポロと大粒の涙を零しながら竜一の服を掴んで来る。その姿は人に嫌悪される事を何よりも恐れているように見えた。
「………………………」
顰めっ面を無表情に変えて自分の服を掴んでいる早坂を突き放す。コンクリートの上に転がった身体を押さえ付け、自棄を起こしたかのように制服を引き剥がし始めると早坂は待ってと叫びながら首を激しく振った。
「…シャツ……脱がさないで……お願いだから…」
「……何だ、着たままでヤる方が好きって奴か?」
「う…うん………」
小さく頷きながら、さりげなく左手で右の手首を隠すようにする。着たままで交わるのが好きと言うよりも、右手首に存在する自らが刻んだ切傷を見られるのが嫌だと言うのが上着を脱がされる事を拒否する理由だったが、そのような事を知る由も無い竜一は軽く溜め息を吐いて早坂のシャツから手を離し、赤く濡れた内股を撫で始めた。
「ぁ……ぅ………うんっ…」
竜一の指が肌に触れるか触れないかの微妙な距離で内股を幾度も往復し、その感触が早坂の背筋を震わせる。放置されている本体の先端から蜜が溢れ出るのを感じた。
「りゅ…い…ち……くんっ…触っ…て…僕の…―――も……」
ただひたすらに快感を求めて躊躇い無く卑猥な言葉を口にする早坂に竜一は口の中で呟いた。
「ちったぁ我慢しろよ。…ギリギリまで耐えたらもっと気持ち良くなるんじゃねぇの?」
そして指の場所は移動させずに、ひたすら汗ばんで来た内股に触れ続けていると、早坂は嫌だと言いながら激しくもがき始めた。そして。
「…はぁっ……あ…み、見ないで……こんな所………」
竜一の“意地悪”に耐え切れなくなった身体が勝手に動き、早坂の指が全く触れられていない蕾の周りを撫で回して解す。指は竜一が見ている前で解れた其処に入り込み、水音を立てながら激しく掻き回した。
「ふーん…お前、一人でする時は何時もそうしてんのか」
「…やっ………嫌ぁ……っ…!」
視線に対する拒絶の言葉を言いながらも身体の方は見られる事を望むように腰を浮かせ、竜一の視線の先で利き手の指を幾度も出し入れさせると共に右手をシャツの中に割り込ませて、胸元を弄る。右手の指の下で硬い突起が生まれた。
「ゃ……あぁ……んぅ…」
瞳を閉じながら顔を背けて艶かしい声を漏らす早坂の指は相変わらず休み無く動き、開かれた両足の間からクチュクチュと卑猥な音が漏れる。眼前で行われている淫らなショータイムに竜一は口の中に溜まって来た唾液を飲み下し、そのまま早坂に手を伸ばした。指の長い手が早坂のシャツのボタンを外して左右に広げ、汗が浮かんでいる胸部を露出させる。相変わらず無表情を維持している竜一の顔が湿った胸元に近付き、刺激を求めて立ち上がっている小さな突起に舌を這わせると共に軽く吸い上げると短い嬌声が頭の上から聞こえた。
「あんっ……ぁ…はぁっ………」
口から吐息混じりの声を出しながら、うっすらと濡れている蕾から引き抜いた指の露を舐め、その手が胸元で動く茶色い髪を掴もうとした瞬間、胸を愛撫していた竜一の手が素早く早坂の手を掴むと同時に指を1本1本丁寧に咥え、舐め啜った。
「あ…な、何……これ…りゅ…竜一…くんっ………」
未知の感触に早坂は心地良い寒気に似た何かを感じ、眼を固く閉じて体を細かく震わせる。何かに耐えるように余った手の指に歯を立てる早坂の固く閉じられた瞳から涙が零れ落ちた。
「ひっ…ぁ……だ、駄目…イッちゃう………!」
「バーカ、こんなのでイッてんじゃねぇよ」
「じゃ…じゃあ、もう…入れて……これ…僕の中に入れて……。ね?お願い…」
一度口から指を離して乱暴な台詞を吐く竜一の両足の間に手を伸ばし、慣れた手付きでスラックスの下で熱くなっているそれを擦り上げると小さな呻きが聞こえた。凄いね。小さな声で感想を漏らして微笑みながら中身を搾り出すように本体を軽く握ると、竜一は頬をうっすらと赤く染めつつ早坂の肩を掴んでコンクリートの床に仰向けに横たえた。両足を大きく広げて自分を待つ早坂の視線を感じながらスラックスを下ろして腰を近付ける。先端が微かに触れただけでも早坂は過剰反応して艶っぽい吐息を漏らした。
…本当にコイツは早坂なのか?熱く引き締まり、激しく収縮する早坂の中に翻弄されるがままに腰を揺さぶりながら竜一は自分の下で鳴く少年を見詰めた。両手両足を自分の身体に絡ませ、口を開けば卑猥な言葉を連呼する。……俺の知ってる早坂は、こんな奴じゃない。早坂良麻って奴は口を開けば小難しい事ばかり。こっちが何か言ってからかえば皮肉で倍返しして来る。理論派で皮肉屋。だが普段は大人しくて優しい純粋な奴。それが俺の知ってる早坂だ。間違っても自分から男相手に足開いてヤッてくれだの言って来るような奴じゃない。…………でも。
「はっ…あぁんっ……りゅ…いち…くっ……竜…いちぃ…!!」
普段は決して他人を呼び捨てにしない早坂が自分を呼び捨てているのは完全に快楽の世界に堕ちている証か。だが、自分から腰を激しく振って快感を求めている早坂の張り付いたような虚ろな笑顔が、時折り悲しげになる事を竜一は見逃さなかった。頬を幾度も伝っている涙も性交による快楽だけで流している訳ではなさそうだ。一体、何が彼を此処まで狂わせているのだろう。何が彼を此処まで悲しませているのだろう。
「……早坂…」
竜一には今の早坂は自暴自棄を起こしているようにも見えた。もう、どうでも良いや。抱けば抱くほど、彼の身体を貪れば貪るほどに彼の投げ遣りな声が聞こえてきそうな気がする。それでも竜一は彼に何をしてやれば良いのか分からず、せめてもの慰めと言わんばかりに自分の唇を早坂の唇に丁寧に押し当てた。
「………っ!」
虚ろな瞳が見開かれ、光る涙の粒が飾られた長い睫毛が小さく震える。吸い付かず、舌を割り込ませてくる訳でもない“優しい口付け”に早坂は涙を散らし、改めて竜一に強く抱きついた。
「っく……うぅう…」
「………大丈夫か?…ホントは嫌なんじゃねぇ?」
啜り泣きながらも下半身を忙しく揺らしている早坂の顔を心配そうに覗き込み、頬を何重も濡らしている涙を指でそっと拭い取ると、早坂は幾度も顔を横に振り、泣き過ぎて赤くなった瞳で竜一の瞳を見詰め返すと共に微笑を見せた。
「…大…じょぶっ………僕は…大丈夫…だからっ……お願い…続け………えっ…?」
言葉の最後を紡ぐ前に竜一の身体が離れて立ち上がる。突然の中断に早坂はきょとんとした顔を浮かべていたが、見る見る内に焦りの表情に変えて竜一の足を掴もうとした。
「ど、どうしてっ!?僕…上手じゃなかった?気持ち良くなかったの!?」
「…うるせぇなぁ。何焦ってんだよ。ホラ、サッサと四つん這いになれよ。さっきの体勢のままお前がイッたら俺の服にお前のがかかるじゃねぇか」
荒い口調とは裏腹に早坂の背中を軽く押して促すと早坂は安心したかのような溜め息を吐き、素直に四肢を付いて獣の体勢をとった。竜一の手が突き出された早坂の腰を掴み、ゆっくりと自分の下半身を前進させると濡れた蕾が竜一を迎えた。
「あぁっ……!はぁっ……あっ…あん、あ、あっ!!」
後ろから襲う衝撃に体が激しく揺れ、小刻みになる嬌声が絶頂の時を知らせる。自分の嬌声と同じく、竜一の律動も短くなっている事に気が付いた早坂の身体は無意識の内に全てを受け入れようと収縮を繰り返し、竜一の絶頂も促した。
「早っ…さか………早坂……っ…くぅ……うっ…!」
「あ……だ、駄目…そんなっ………激しくされたら……イッちゃ……っ…ああぁぁあっ!!」
低い呻きが聞こえると共に中に熱い精が多量に注ぎ込まれた事を感じた早坂は身体を幾度か小さく痙攣させた後、竜一が制服にかかる事を避けた白濁を床に飛び散らせた。
「…………………………」
性交が終わった瞬間に羞恥心が舞い戻って来た竜一はいそいそと制服を整えた後、まだ横になっている早坂に背中を向けたままドッカリと座り、動揺を隠すかのようにポケットから取り出した煙草に火を点けた。
「………ヤケに手馴れてたね…。男の人抱くのはコレが初めてじゃないみたいだけど?」
「……………………」
背中から聞こえる少し気だるそうな声にも答えずに煙を大きく吐き出すと、もしかして…と背後から聞こえて来た。
「…竜二君?それとも…音無君?」
思わぬ言葉に小さく肩が跳ねる。その反応を早坂は見逃さず、クスクスと笑った。
「もしかして図星だった?…で、どっちが相手なの?」
広い背中を見詰めながら問うと竜一は小さく溜め息を吐いたが、意を決したかのように口を開いた。
「…誰にも言うなよ?竜二も…音無もだ。だが、どちらも恋愛感情は無い。ヤりたくなったらヤる。二人ともそれだけの関係だ」
「ふぅん…セックスフレンドみたいな関係なのかな?そう言う関係ってのも気楽で良さそうだね」
「まぁな。恋愛絡むと色々面倒臭ぇのは互いに分かってるし。……にしても竜二はともかく、よく音無とも関係あるって分かったな」
「……僕、見てたもの。君がよく音無君と一緒に帰ってる所。何だかんだで仲良いんだなって思ってたんだ」
そんな君が羨ましいよ。心の中で呟き、竜一の広い背中に頭と両手の平を乗せて甘えるように擦り寄ると何故か涙が溢れ出て来る。背後から聞こえた小さな嗚咽に竜一は背中に頭を押し付けたままの早坂の方を振り向いた。
「………早坂…………」
「…うっ…く………こんなに…優しく抱かれた事…殆ど無かった…。……ごめんっ…ちょっとだけ……ちょっとだけ泣かせて………ぅ…うわああぁぁあぁぁあーーーっ!!…」
「…………………」
堰を切ったかのように泣き出した早坂を竜一は拒みはしなかったが特に慰めもせず、改めて早坂から視線を反らして煙草を咥えた。
★ココからはエンディングが3パターンに分かれます。
以下の選択肢から選んで進んで下さい。
どのパターンもベタな事には変わりないんですけど。
っつーか1つに搾れんかったんか自分