メイド3−1
暫くメイド達を倒しながら迷宮を進む。ドジメイドのパターンも大体掴めたし、ヘンな小槌を振り回されても勝てる位の自信が付いた。最初に三人バージョンと戦った時は違うのが混ざってたけど、あれ以来大阪には出会っていない。三人ともドジメイドなので、「うまく避ける」「言動に惑わされない」「感度が高くなっても泣かない」の鉄則を守れば倒すのは簡単だった。
相手がドジで何かしでかすと分かっているから対処も簡単で、何もさせない、やろうとしたら警戒する、って気をつけてればお茶をこぼそうが転ぼうがうまく避ける事ができる。
正方形の魔法を使われて包茎になっても避け方を知っていればメイドに群がられても耐え切れるし、一気に反撃を仕掛ければ済む。
そろそろこのフロアも脱出の頃合だな。
歩いていると視界が急に明るくなった。外だ。外といっても迷宮の外じゃなくて塔の中に擬似的に作り出された架空の庭園みたいなものだった。薄暗い迷路から解放された感じだ。
庭園は小規模な体育館位の大きさで、なかなか立派だ。中心に噴水、周囲には広い花壇が設置され丁寧に手入れされた花が咲き乱れている。まぶしい光がこぼれる上品な場所だった。
メイドフロアはバナナの皮みたいな小道具があちこちに散らばっていたが、この庭園はバナナの皮所かチリ一つ落ちてないキレイな空間だった。噴水の向こう側に扉が見える。あそこが上り階段か。やっぱりここはメイドフロアのボスがいる場所。いよいよ10人バージョンだ、気を引き締めないと。
「お待ちしておりましたご主人様。」左右から5人ずつ、静々とメイド達が歩いて来た。こいつらがドジメイドのヘッドか。きっと輪をかけてヘンな人達なんだろうな。
「メイド達をお楽しみ頂けましたでしょうか。」「…。」「申し遅れました。わたくしメイド長のマリLと申します。」すらりとした気品ある美女がおしとやかに頭を下げた。「ご主人様が来るのを楽しみに、わたくしはこの庭園を丹念に手入れしながらお待ち申しておりました。やっとご主人様に会えましたわ、やっと…」優しい癒し系の笑顔でマリLは迎えてくれた。
…。本当にこの庭園は手入れが行き届いている。掃除もしっかりしているし、快適だった。「まず少しお休み下さいませ。お疲れになったでしょう。」マリLは小さな丸いテーブルに紅茶を入れてくれた。「さあ、どうぞおかけになって下さいませ。」「…。」「ご安心下さい、何も毒も薬も入れておりません。ほら…」上品なメイド長は同じポットから紅茶をすすった。なるほど毒見付か。
僕は促されるままテーブルに着いた。「お砂糖はいかがですか?」「結構。」「ではお召し上がり下さいませ。」ずず…「あ、おいしいね。香りもいい。」「ペパーミントでございます。」「ふうん…」
僕は拍子抜けしていた。今までこのフロアのメイドはみんなしのむとかま●ちとか要らない子とかばっかりのドジメイドだったから、きっとメイド長なんてドジに輪をかけてあわてんぼうで何をされるか分からないと思っていたからだ。
しかしここの人達だけはドジメイドじゃなかった。紅茶もきちんと入れるし庭もちゃんと手入れするし仕事もきちんとこなしているみたいだ。マリLがあのドジメイド達を飼ってるなんて信じられない位丁寧な物腰だ。
「わたくしども、モニターでご主人様のご勇姿をずっと見てまいりました。」「そ、そうなんだ…」「わたくしのメイド隊がイロイロとご迷惑をお掛けしてしまったみたいで、申し訳ありませんでした。」「…。」「ご主人様、メイド達がみんなドジだから、彼女達を統括するメイド長はきっとドジに輪をかけたどうしようもないシロモノに違いない、そんなヤツの顔を見てみたい、そう仰っていましたね?」「う…」聞かれてた。
「どうぞ、わたくしがメイド長でございますので。じっくりと見て下さいませ。ウフ。ウフフ…」「…。」ちょっと怖い。
たしかにこの庭園の10人のメイドだけは雑魚メイドとは違う気品と丁寧さが備わっているように見えた。僕に向かい合って座っているメイド長のマリL、後ろにずらりと9人が立っている。彼女達をこれから全員倒さないといけないのか。
「んー…。マリLは強敵そうだな…」「…?なんでしょう?」「あ、いやこっちの独り言さ。」「そうですか。」「…後は…なんか端っこにえらくちっこいのがいるな。金髪の美少女って感じだ。その隣にはめがねっ子が一人。それから…その他。」
「ちょっとちょっとちょっと!」「その他って!」「私を捕まえてその他とはなんぞやっ!」「斬るぞ貴様!」「ひどいですぅ!かわいいナースメイド服なのにっ!」「こっちはお側御用隊よっ!?」後ろのメイド達が騒ぎ出す。なんとな〜く、ここのフロアのメイド達がドジメイドばっかりな理由が分かって来た気がする。
「ウフフフ…みなさん個性派揃いでしょう?」「…。」「さて、ご主人様、伽の前にリラックスして頂きます。わたくしどものご挨拶代わりでもあります。どうぞこちらへ。」僕は促されて噴水の前に連れて来られた。「こちら清水ですので、歯磨きもできますの。」「では私が磨いてあげます。口をお開けになって下さい。」
「えー、丁重にお断りします。」歯磨き位自分でできるってーの。「はうあっ!」断られたナスメイドは数歩後ずさってウルウルし始めた。「…そんな事で泣くなよ…」「あら。泣かせてしまいましたね。泣くのは当然ですわ。だって、ご主人様からご奉仕を断られるという事は即解雇ですもの。」「ふうん。でも僕には関係…」「この不況の中ッ!解雇されたメイド達は再就職先も見つけられずにっ!ついにはいかがわしいメイドコスプレ店でいかがわしい行為を余儀なくされるのですう!」
「なんじゃそりゃ…」この塔にいる事自体いかがわしいだろ。「ウフフ…そうなりますと解雇されたメイドは新手のコスプレ風俗嬢として数倍もパワーアップしてご主人様にご奉仕させて頂く事になりますが。」「う…」それは困る。只でさえ10対1で不利なのに風俗嬢化してパワーアップなんてもっての外だ。「解雇なさいますか?」「わー、なんだか急に歯磨きをお願いしたくなっちゃったなあ。あはははは…」
しゅこしゅこしゅこ…他人に磨いて貰うなんてめったにない経験だ。「ではうがいを。」歯磨きが終った。「次は耳掻きさせて頂きます。どうぞ私に膝枕して下さいませ。」ミニスカのメイドがスカートを捲り上げる!「いっいいよ!」生足にほお擦りさせられるなんて…「解雇なさいますか?」「いやあ、耳掃除っていいもんだよねえ!」
耳掃除が終るとメイド達が小さな浴槽を運んで来た。「では私達がご主人様を洗って差し上げます。」「お風呂もいい湯加減ですよ〜。」(チビメイドが笑顔でコクコク首を縦に振る。)「次は三人がかりかよ!それは流石にダメ!」女性に体を洗って貰うなんてヘタするとダメージになるぞ。「解雇なさいますか?」「う…うぅ…」
結局僕は全身と頭を洗って貰って浴槽に浸かった。アワ踊り攻撃とかがなかっただけでもましだったが…軽くダメージ。「では湯上りに全身をマッサージさせて頂きます。」「そんな…」スベスベの女の手で全身をさすられるのか。「解雇…」「……おねがいします…」風俗嬢にパワーアップするとこんな程度のご奉仕じゃあ済まなくなるんだろうなあ。
僕は全身をやわらかい手で揉みしだかれ、さすられ続けた。ペニスがどんどん反応してしまう。「気持ちいいですかぁ?ご主人様ぁ。」「あふ…」マッサージの技術もそこらのドジメイドには出せない洗練したものだった。つい眠ってしまいそうになる。
完全に揉み解され、僕は脱力してしまった。でもアソコだけはますます力強くなった。「ウフ。戦闘準備も整いましたね。」「…そうか、今までの行動は僕をソノ気にさせる準備だったんだな。」「はい♪」「じゃあご主人様、最後に私達の愛を受け取って下さいッ!」「あ…うわあ!」
僕の全身をさすり続けていたマリL以外の9人のメイド達が手から唇攻撃に切り替えた。体のあちこちにキスマークがつけられる。ぷるんとした口が僕の体中に吸い付き、くすぐったい刺激を押し付けては滑って行く。やめろと言いたいが解雇よりはまし。てか解雇前に全員消してしまうしかないんだ。
「さあご主人様、あなたがメイドに向かった時が戦闘開始でございます。今はまだご奉仕の最中、殿方の大事な部分には指一本触れてはおりませぬ。ご主人様がメイドの肌に触った瞬間から、わたくしどもは大事な部分にもご奉仕させて頂きますわ。」
なるほど、では僕に群がっているメイド達の誰かに攻撃を加えるのを合図に戦闘が始まる訳だな。このままご奉仕ばかりされていては精力も防御力も削られてしまう。さっさと始めてとっとと終らせる方がいいな。長期戦は不利だ。
とりあえず目立つのはメイド長のマリLと、金髪のちっこいおにゃのこと、技術部所属のめがねっ娘だな。この内の誰かから手を出して戦闘開始しよう。さて、誰から倒すべきか…
−選択肢−
メイド3−2 マリLから倒す
メイド3−3 ちっこいのから倒す
メイド3−4 めがねっ娘から倒す