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姉4


 もちろん、わざとだ。

 すべては計画通り。

 一時的に姉の言うなりになって、彼女の期待するとおりの行動を取ることで、自尊心をくすぐる作戦である。

 姉さんは、一風変わった趣味趣向を持っている。かつてはそれが、多くの男性を惹きつけたゆえんでもある。それは、いたぶることともいたぶられることともまったく違うものであり、全面的な主従関係とも一線を画すものだった。

 彼女は、相手の男性が性的に魅了され、自分の思惑どおりに射精してくれることに、この上なく悦びと興奮を感じるんだ。とくに、自分が用意したシチュエーションや身体的能力によって、相手が射精に至ってくれることに、酔いしれる勝利感を味わい、これによって性的にも満足できるというタチの悪さだ。

 しかしそのおかげで、女を下に置こう、屈服させようという男たちが世にあふれかえっている中で、そいつらをみんな性的に”敗北させる”ことが、彼女にはできたのだ。陵辱を求めて近寄ってきた男たちを、あっさりイかせてしまうことで、彼らはその女体にやみつきになり、「これほどの快感を与えてくる相手には逆らえない」と思わせてしまう。

 それだけの経験と実力、美貌を持っている。一見、まったく地味な感じの姉さんだが、一肌脱げばこんなウラの顔を持っている。

 それはまた、女性に支配されてしまいたい、痛めつけてもらいたいという男たちにもまた、違う趣向で応えてくれるものでもある。そういうことはいっさいせずに、ただひたすら快楽を与え、しかしそれに屈しまいと抗わせることで、それでも屈してしまった男たちを余計な快楽に浸らせるんだ。

 それは姉の得意分野でもあったけれども、同時に、最大の弱点でもあった。彼女は、男たちに対してそのような扱いをし、それがうまくいったときに、どうしようもないエクスタシーに浸ることができる。彼女が満足するかどうか、イクかどうかは、男たちのテクニックや身体能力ではなく、彼らが姉さんの思惑どおりに動いてくれるかどうかにかかっている。

 そのため、彼女とのセックスを楽しむことができた男たちはみな、「同時に絶頂した」と思い込みがちだ。男性にとって、自分との性行為で自分と相手が同時にイッてくれることは、大きな満足となる。けれども、ほんとうは、男が思い通りに達してくれることを確信した”からこそ”彼女はイクのである。そのわずかな時間差に気づける奴はいなかったようだ。

 もちろん言うまでもなく、卓越した攻撃力を持つ男性が、姉を一方的にイかせたことはあるだろう。どんな女たちも、ひとりやふたり、こういう男性にぶち当たることはある。だが、性的に絶頂させてくれる男性でも、くり返し逢いたいとは思わなかったようである。やはり、姉が相手を絶頂さてやるというシチュそのものに、彼女は精神的に満たされるのである。

 そんな性癖の姉さんに対して、最大限の性感ダメージを与えられるのは、やはり姉さんの思惑どおりに、こちらが動いていくということである。ただし、姉の思惑には、従ってみるように見せかけるだけだ。決して、完全に思惑どおりに動いてしまうことのないよう、気をつけなくちゃ。相手のナスガママになりきるということは、当然射精して敗北ということを意味するから。

 姉さんとは、もうほんの数センチくらいしか離れていない。彼女は積極的にムギュッと抱きついてくることはなかった。ギリギリ体温が伝わるかどうかの瀬戸際で、僕たちは向かい合っている。彼女はわざと腰を引き、勃起したペニスが自分の腹に当たらないように注意している。触れるか触れないかのところで、上半身を前方に突き出して、三白眼の可愛らしい眼鏡娘が、僕を見上げていた。

 これも姉の作戦であると同時に、性的な嗜好性でもあった。彼女はあくまで、”僕の方から”抱きついてくれることで、性的な快感を強める。弟が自分の裸を前にしてガマンできなくなり、思わず抱きついてきてしまう、という状況に、大きな興奮を覚えるんだ。それは、弟という禁断の相手さえもが、自分の裸体の魅力に負けて、自分に抱きついてきてしまうという優越性の証でもあった。

 ここで誘惑に負けてしまえば、僕は姉さんから大ダメージを喰らい、射精するまで許してもらえなくなるだろう。だが、あえてそうすることで、姉の性感を最大限に引き出すこともできる。完全に諸刃の剣だ。こっちにも相当の危険がある闘い方だ。

 だから、こちらはあくまで計算ずくで、姉の思うがままに行動する。そうすることで、姉さんを興奮させ、そこへ快感攻撃を叩き込んで、先にイかせてやれば僕の勝ちだ。だがしかし、その計算どおりにいかず、こっちが本当に興奮してしまう、性感ダメージを大きく受けてしまうようになれば、完全に僕の負けである。

「姉さん……」

 ぎゅうっ!

「んふっ……いぃかんじ・・・」

 僕たちは抱き合った。すかさず彼女は僕の背中に手を回す。控えめだったおっぱいの膨らみが、僕の腹部から胸板部分にかけて大きく潰れた。

「どお!? あこがれのお姉ちゃんの肌、直接抱いちゃったね。ね? スベッスベでどこもかしこもいい気持ちがするでしょ。これが女のカラダ……おねえちゃんの感触だよ?」
「ぅぁ・・・やわらかい・・・」

 声が震える。

 思った以上だ。やはり肉体は相当に強化されていて、これまでずいぶん女の裸を抱きしめてきたのに、その感触と同じ心地よさだから十分慣れきっているはずなのに、初めて女性に抱きついたときのような新鮮すぎる心地よさが、僕の前半身を滑っていく。

 よく知っている姉さんだからなのか。子供の頃からあこがれていた肉体を、じかに抱いてしまい、禁を犯してしまう興奮からなのか。いずれにしても、ただの攻撃力だけではなく、やはり僕自身が、姉さんの身体の感触を、人一倍敏感に感じるようになってしまっているようだ。弟だから、好きになってはいけない相手だから、しかしそれを破ってしまっているから、危険な甘さに酔いしれやすいんだ。

 肌が密着している。彼女の頬も、胸も、腕も、お腹も、生足も。僕は全身で、彼女の感触を深く味わってしまっている。こすれあうだけで、やわらかな肉質がムギュッと潰れていくだけで、脳の奥がジンジン痺れるような甘美な心地よさに包まれてしまう。

 すり……すりっ……

 とりわけ姉さんの太ももが、僕の足の間にねじ込まれ、深くこすれあってしまう。ああ、性に目覚めた頃から、ずっとあこがれていたお姉ちゃんの素足の感触だっ。あのシコシコした滑りの良さそうな形の良い太ももが、いままさに、想像以上の心地よさで、僕の足をこすってくれている!

 何回、彼女の脚を想ってオナニーしたことだろう。想像だけでその感触の良さを感じ、興奮して、それだけで射精することができた。いまやそれが、本当に本物の姉さんの脚が、僕の脚にこすれている。あこがれだった肌触り、想像した以上のゾッとするような心地よさで、じかに味わわされている。その達成感は、僕を興奮させるより、陶酔・脱力を誘うものだった。

 僕は両脚を動かして、姉さんの生足の感触をより深く味わおうと、大きく滑らせていく。姉さんも、それに合わせて自分の脚を奥までねじ込むようにして、内股の感触を刻みつけながら、ずりゅずりゅっと奥まで生足を滑らせてくれた。

 ペニスは彼女のお腹や腰部分に激しく当たり、こすれ、やわらかに包まれる。玉袋にも姉さんの太ももが滑っていて、なんとも心地よい。

 まずい……このままでは、姉の術中に嵌まってしまう。言うなりになるように見せかけながら、こっちが隙を見て反撃できる状態を作らなくては。

「ね。どうしよっか。おねえちゃんの脚で出しちゃう!?」
「うっくそ! それだけは……」

 この状態で、太ももスマタ攻撃を受けたら射精負けは確実だ。それだけは避けなくては。

「じゃあ、私に上から抱かれたい?」
「うぅ……」
「アンタが高校生の頃は、それ考えて抜いてたんだよね? でも、中学の頃は、逆におねえちゃんを後ろから襲って、おねえちゃんの指示どおりにアソコを両手で触り続けたい、って思ってたんだよねえ。くすくす……成長とともに変化した、ってところかな~?」

 図星だった。異世界に来るときにその情報を入手したのか。いや……どういう経路かは知らないが、現実に姉は、僕の性癖願望を知り尽くした上で、僕が想像している状態まで分かった上で、ことあるごとに自分の肌を見せていたのだろう。僕がそれでさらにオナニーするということが、姉にとっても性的な興奮につながったのだから。

 どちらかを選ばないと、このまま姉主導で挿入攻撃か、スマタ攻撃に晒されてイかされてしまいそうだ。げんにペニスは、姉の腹や下腹部で暴れ回っており、その肌のこすれる感触でダメージを受け続けている。これまでにないほどの気持ちよさだ。これしきの刺激でここまで感じさせる姉は、やはり強敵すぎる。

 僕がモタモタしていれば、姉ちゃんはすぐさまペニスをそのあこがれの内股で挟み込むか、身体を反らして挿入に持ち込んでくるだろう。この状態のまま生足でもオンナでも、ペニスが包まれてしまえば、主導権を奪い返すことができず、姉に魅了されたまま負けとなってしまう。なんとか反逆のチャンスを見いだすんだ。

 中学時代の、後ろから襲いたいという思いは、まだ僕が積極性を保っていた精神の名残だ。こっちから仕掛けていくことで、自分の手で姉を悦ばせたいという思惑が、かすかながら残されていた。

 だが、お姉ちゃんは受け身になりながら口であっちを触れ、こっちをこすれと指示を出してきて、そのとおりにしているうちに、僕の方がまいってしまって、さいごには姉のお尻とペニスが密着した状態のまま、勝手にペニスが脈打ち始めてしまう……そんなシチュを想像して抜いていたものだ。幼い空想でもあった。

 だが、高校時代には、もう積極性も残っておらず、姉に一方的に上から抱きかかえられて、こっちは身動きできないまま、一方的にイかされてしまうというシチュでオナニーするようになった。

 性的な知識が増え、成長も遂げた一方で、姉には敵わないという思いも決定的になっていて、それが性的な興奮と結びついてしまったのだろう。ただし、その頃にはもう、姉以外のオカズの割合も増えていっている。空想の幼さは幾分減っていたのかも知れない。

 姉の身体のパーツを思い起こしながら抜いたことも多かったが、こうして状況設定の上で射精したことも、数多くあったんだ。

 こっちから責めていくべく、姉を後ろ向きにすれば、僕たちは尻餅をついて座り、僕は後ろから姉のオンナを手で攻撃することができる。ただし、姉の指示どおりに手を動かしていって、僕はそれによって興奮させられるということになる。

 主導権を握りやすい反面、彼女にどんな反撃を喰らうか計りがたい弱点がある。幼い空想の実現でもあるため、こっちの弱さがもろに露呈してしまう可能性もある。

 逆に、こっちが寝そべってしまえば、姉は嬉々として上にのしかかってくるだろう。上手に体重をかけて僕を動けなくして、一方的に責めてくる。こちらのダメージも相当大きいことを覚悟しなければいけない。

 ただし、もう幼い空想の具現でもないために、いくらでも反撃の可能性を見いだせる。これまでも、上に乗られた状態のまま相手の女性をイかせ倒したことは数多くあるんだ。それに、このシチュは姉にとっても大興奮の展開だ。姉さん自身がどんどん自滅していく形にできれば、精力を温存しながら勝利を手にすることもできるはずだ。

 どちらにも大きなリスクは伴う。慎重に選びたい。



-選択肢-

姉9 下から反撃
姉10 後ろから反撃



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