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レオター1−4

 

 ここは新体操らしく、道具を使って戦うことにしよう。

 僕は彼女から距離をとり、床に置いてあったリボンを手に取った。

 「ふむ…」使い道は…ひとつしかなさそうだな。このリボンで敵の体を拘束し、反撃できないようにして、一方的に責めて勝つということ。これができれば、楽に次の部屋に進むことができる。

 回復ができない以上、戦闘を重ねて精力を消費した状態で次の部屋に進めば、もっと強力な敵に抜かれてしまう可能性だってある。ここはやはり、精力をなるべく温存できる方法で勝ち進むのが一番いい。

 問題は・・・

 どうやって彼女をリボンで縛るかだ。「あーちょっとすいませんね」って言ってぐるぐる巻きにするまで待ってもらう? できるわけないじゃんか。

 パシン!

 見ると彼女の方も、手にリボンを持っている。レオターはこれを器用に回すと、リボンが螺旋状の立体を作ってくるくると回転した。そして彼女が床にめがけて鞭のようにリボンを振り下ろすと、パシンと音を鳴らしてリボンがしなって強くたたきつけられるのだった。

 なるほど。このリボンの構造が分かってきたぞ。

 僕もレオターのまねをしてくるくる回転させる。遠心力が加わると、このリボンは強靱になり、操作次第では強力な鞭にも、敵を拘束するロープにもなるんだ。

 上手にしなりを利かせてリボン先端を相手にぶつければ、遠方から相手の手足を縛り、身動きをとれなくして、そこからじっくりいたぶるということも可能になる。

 だが。レオターの方もリボンを手にしていて、今にでも襲いかかろうとしているのがありありと分かる。むしろ敵は、僕が不慣れな中でリボンを駆使しようとして失敗するのを待っているかのようだ。僕が失敗すれば、彼女は余裕で熟練のリボン技を披露し、逆にこっちの方が捕まって拘束され、抵抗できないままに一方的に抜かれてしまうことになるだろう。

 チャンスは一度きりだ。

 リボンも特殊な構造で、不慣れな僕でもしっかり振ればちゃんと相手を拘束できるようになっているが、その一度きりのチャンスを逃せば、同じ構造となっている敵のリボンに捕らえられてしまうことになる。

 僕にできそうな方法は二つだ。彼女の足を狙ってリボンをくり出し、転ばせてのちしっかり着実に拘束していくか。さもなくば、いきなり大穴狙いで、彼女の上半身を狙ってリボンをくり出し、いきなり全身を拘束してしまうか。

 いうまでもなく後者の方がリスクは高い。失敗する可能性も高いだろう。だが、これで成功すれば一気に敵の自由を奪うことができるはずだ。

 足を狙えば確実にリボンは敵の足首を捕らえることができる。リボンが彼女の足首に絡まり、そのまま引っ張れば転ばせることができる。バランスを崩したところで、一気に襲いかかり、敵のリボンを奪って上半身を縛れば完璧だ。二段構えとなるが確実な方法だ。

 問題があるとすれば、敵が転んだあとにすぐに取りかからないと、敵が体勢を立て直してしまう可能性があるということ。そうなると、彼女の持つリボンを奪えずに逆にリボンをふるわれ、動きを封じられてしまうことになる。足首に巻かれたリボンもあっさりほどかれ、これも使って僕の体は完膚無きまでに縛られてしまうことになる。そうなったら完全敗北だ。

 胴体を狙って成功すれば、一気に敵の動きを封じられるだろう。両手ごと気を付けの姿勢で縛ることができ、一気に押し倒すことができる。そこでじっくり敵のリボンで両足首を縛れば完璧。あっさりノーダメージで敵に勝つことができるわけだ。

 が、失敗する可能性が極めて高い方法でもある。遠距離から胴体すべてをぐるぐる巻きにできる保証は全くない。不慣れな僕でそこまでリボンをさばけるだろうか。ヘタを打てば今度は敵のリボンが僕の上半身をがっちり拘束し、両足も縛られて同じように彼女がノーダメージで勝つということにもなりかねない。

 足か、胴か。上か、下か。一体どっちを狙えばいいんだ。

−選択肢−
レオター1−9  足を狙う
レオター1−10 上半身を狙う


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