妖怪百手1
 


 壁と絨毯、ぼんやりしたあかり、こればかりが続く迷宮。だが、その迷宮にも少しは慣れて来たような気がする。完全な迷路という訳ではなく、ある程度の癖みたいなものもあって、そう道に迷う事もなくなった。

 襲い掛かる敵を倒しながら歩いていると、通路の一角におかしな所があった。

 壁の色が明らかに違う。青く薄暗い壁が普通なのだが、目の前にある通路約5メートル程だけは金属質の壁になっている。ステンレスか何かでできているような光沢だ。

 その金属の壁には直径10センチ余りの穴がびっしりと開いている。壁だけではない。床も天上も金属質で、やっぱり穴が開いている。この穴は一体なんだろう。そ〜っと覗いて見る。奥が深いみたいで真っ暗だ。何も見えない。

 と、前方に目をやると金属質の通路の先に小さな宝箱のようなものが見える。箱は開いていて、暗いのでうっすらとしか見えないが、女性用バイブレーターのようなものが見える。もしバイブだったらこれから先の戦闘も暫く楽になるぞ。

 取って来たいが、やっぱりこの壁は気になる。罠かも知れない。まさか矢とか槍とかは飛んで来ないだろうとは思うけれども、用心するに越した事はない。なにしろ目の前に宝があって、その前に奇妙な造りの壁があるのだから、警戒するのも当たり前だ。

 さて、どうしようか。この壁を通らずにはあの箱を取って来る事はできそうにもないし、5メートル程もあるので飛び越える事もできない。

 引き返すか、それともあえて踏み込んでみるかだ。

 …。

 よし、思い切って渡ってみよう。やはり強力な武器は欲しい。

 足を一歩踏み込んでみた。…何も起きない。もう一歩踏み込んでみた。体が完全に奇妙な壁の所に入り込んでいる。何も起きない。

 罠だと言うのは考え過ぎかな。恐る恐る、周りに警戒しながら、一歩一歩進んで行く。真ん中まで来たその時だった。

 ウイイイイン!ウイイイイン!突然警告音が鳴り響いた!

 「シンニュウシャ ハッケン タダチニ コレヲ ホカクスル」

 しまった!やっぱり罠だったか!

 僕は踵を返して一目散に走り出した。罠が作動する前に何とか逃げてしまおうとしたのだが、もう遅かった。

 10センチの穴という穴から、「女の手」が次々と飛び出して来た!「ひいいいい!」不気味だ!指先から肘までの女の手ばかりが、手と二の腕の部分だけが、壁、天井、床のそれぞれの穴から、次から次へと出て来る。一つの穴から一本ずつではなく、何本もの腕が矢のように飛び出している!

 逃げる間もなく、沢山の手が僕を捕まえ、がっちり固めてしまった!柔らかい指先、掌、手の甲、二の腕が全身に絡み付いて動けない!

 それでも何とか逃れようともがいた。自分の左腕を掴む手を引っ張り、ちぎっては投げちぎっては投げの状態で、悪あがきをするのだが、沢山の手は振り払っても振り払っても再び僕の体めがけて飛んで来るのだった。

 頭もなく体もなく、手だけで動く妖怪だった。手の一本一本が宙に浮き、僕を捕まえようとしている。手の一本一本は、女性の手の為か、力が弱く、振り解こうと思えばできるけれども、それらが寄り集まって僕の全身に絡み付くともう太刀打ちできない。一本の手が弱くても、集まれば強い力になる。

 僕は段々抵抗できなくなって行った。振り解いてもどんどん群がり、その内疲れて来てついには「妖怪百手」の手に完全に捕らえられてしまったのだった。

 頭を数本の手が押さえ、首、顔、胸、両手、胴、足先に至るまで、数十本の手が群がり、押さえつけ、がっちりと握っている。それだけでは飽き足らず、僕の体に触る余地もなく余っている手も沢山あった。それだけ多くの手に掴まれてしまったら、僕はもう抵抗できない!

 「!!…ウアッ!」

 女達の手の動きが変わった!さっきまで力ずくで僕の体を取り押さえようとしていた手が、なまめかしく蠢き出した!やはりそうか!妖怪百手は男の体を百本以上の手で捕らえ、身動きを取れなくした上で手による全身愛撫で男をイかせる為に用意されたトラップだったのだ!

 頭を撫でる手、首筋を這う手、口の中に入って僕の舌や内側のほっぺをくすぐる手、胸を揉んだり乳首をカリカリと愛撫する手、わき腹をくすぐる手、脇の下をくすぐる手、僕の両手の指と指の間に細い指を絡めがっしり指を組んで手のひらのやわらかさを僕の手のひらに押し付ける手、僕のリーチをさする手、お腹を撫でる手、両足をさする手、足の裏をコチョコチョくすぐる手。そして、僕のペニスを扱いたり揉みしだいたりする手、お尻の穴をまさぐる手、玉袋をふにふにと弄ぶ手、これら群がる女の手に翻弄され、僕は体をよじらせてしまう!

 もう女性の体にも随分慣れたつもりだったが、こんなにも沢山の手で愛撫された事はなく、手だけで快感ダメージを受けてしまう!

 しかもどの手も、男の体をくすぐったり快感を与えたりする事にかけては相当のテクニシャンだ。亀頭の先を掌で撫でる手、上部、下部にそれぞれ一本ずつの手、合計3本のやわらかい手が、ゆっくりと、時には早く、僕のペニスを扱きたて、揉みしだき、くすぐって来る!玉袋を揉んだりさすったりする手も強力だ!

 「ぬあ!」お尻の穴にも指が入り込んで出入りしている!

 「うわあああああ!」ついに沢山の手は、僕の体ごと持ち上げ始めた!僕はあおむけで横になったまま、女達の手で空中に浮く状態になった!これで、絨毯についていて愛撫できなかった背中、首根っこ、お尻にまで、女達の手が群がる事になった。数十人以上の女性に一斉に全身をくまなく愛撫されているような錯覚に陥る。

 「ホカク カンリョウ タダイマ ヨリ ショチ シマス」

 ガシャーン!金属の壁の両端で、金網が下りて来た!これで僕は完全に逃げられなくなった!「はうう…」

 頭を撫でつつ僕の髪の毛をかき上げるようにくしゃくしゃして来る。首根っこはネコを掴むようにワキワキしている。背中にも何本もの手が這い回っている。もちろんお腹や胸もやわらかい手に占領されている。くすぐりと愛撫のオンパレードだ。口の中に細くて柔らかい指が出たり入ったりする。思わず指先を舐めてしまう。頬から首筋にかけてスベスベの掌がスリスリとさすっている。足の裏は相変わらずくすぐられ続け、股の間では何本もの腕が上下に出入りしている。二の腕のスベスベで柔らかい感触が、太ももからふくらはぎにかけてこすり付けられている!二の腕ってこんなに気持ちよかったのか!そして。

 ペニスには何本もの腕、手、指先が絡み付き、交代で愛撫し続けている!玉袋、玉袋からお尻の穴までの会陰部分、お尻の穴、臀部に至るまで、くまなく愛撫攻撃に晒されてしまった!

 逃れられないで妖怪百手のなすがままにされ、精力値はどんどん減っている!やばい、このままでは女の手の攻撃で果ててしまう!

 こうなったら、こちらからも攻撃して相手をイかせて妖怪百手を消滅させるしかない!

 だが、どうやって?相手は手だけの妖怪だ。手を感じさせる事ができるのだろうか?よしんば感じさせたとしても、100本以上はある手のすべてをイかせる事まではできそうもない。その前にこっちが射精してしまう方が先だろう。

 二本の手がお祈りをする要領で組まれ、それが完全にペニスを包み込んだ。ひんやりとした柔らかい感触!そしてそのまま息の合った動きで二本の手が上下し始めた!うわああ、手コキがこんなに強烈な攻撃力を持っていたとは!おまけに二本の指先が、見え隠れする亀頭をグリグリとこねくり回しているぅ!

 このままでは、手だけでイッてしまう!何とかしなければ…!

−選択肢−
妖怪百手2 手当たり次第に女手を愛撫する
妖怪百手3 最後の力を振り絞って逃げる
妖怪百手4 プレジャーボルト!


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