掃除娘♪ 第3回
いつもの如く迷宮を彷徨う。この環境に完全に慣れっこになってる状態が今更ながら恐ろしくも思える。
「ん?」歩いていると右の扉からなにやら話し声が聞こえる。よくは聞き取れないが…。奥に誰かいるみたいだ。敵かな。ここで素通りして後ろから奇襲されるのもしゃくだな、確認だけはして置くか…敵に見つからないように。僕は扉をそ〜っと開けて中を覗き込む。扉の奥は短い通路になっていた。
通路の突き当たりは右への曲がり角、その奥から明かりが漏れていて、話し声はどうやらそこから聞こえているみたいだ。物音を立てないように近づく。曲がり角の所から見つからないように奥を覗いた。話し声には男の声も混ざっているみたいだ。この塔には僕以外に男がいるんだろうか…それともトラップか何かだろうか。確認ができるまで警戒して置こう。
覗くと曲がり角の先はちょっと広め、4畳半位の小部屋になっていた。小さな電灯がぶら下がり、部屋の隅にテレビが付いている。話し声はテレビだった。こんな異世界なのにテレビが見られるんだ。始めて知ったよ。こりゃあ今度休憩中にはテレビをゆっくり見るしかないな。久しぶりだし。
それよりも気になるのはテレビを見ている主。ねずみ色のワンピースがごろんと横になってボリボリせんべいか何かを食べている。お茶をすすりながら女の子がテレビを見ていた。こいつは…
『いやぁ最近インフルエンザが流行ってるそうですからねえ。気を付けないと…』『あーそうかいそうかいよかったよかったよかった、なんだっていいやなぁ!あぁ。』『なんだっていいってこたぁないでしょうが、大変ですよインフルエンザ。最近では鳥インフルエンザ!コワイのが出て来てるでしょ。』『あーそうねそうねしょーがないしょーがないしょーがない。鳥インフルエンザなら鶏肉食わなけりゃあいいんだし豚肉業界は大儲けだしさ。よかったよかった。うんうん。』『どーしてアンタはそう不謹慎な事を言うかねぇ。そういう問題じゃないでしょうが。』『ぁそーかいそーかいわるかったわるかったわるかった!あーゴメンゴメンゴメン!』
「にゃははは…」掃除娘がテレビの漫才見て笑ってる。あっ!ポリポリとケツをかきやがった。せんべいを食べながらくつろぎまくっているので段々腹が立って来た。とりあえず話し声の主も分かったし厄介なトラップでもないのが分かったから一安心だ。よぉし、イタズラしちゃえ。
「うわあああああああ!」「ぎゃああああああっ!!」僕は突然大声を出しながら掃除娘向けて突進、掃除娘も心臓が飛び上がらんばかりにびっくりして体ごと3センチは浮いた。何が起こったのかまるで分からずに目を丸くして僕を見上げる掃除娘。
「…てめぇ何くつろいでるんだよ。」「な…アンタか。今休業中なの!正月位休ませろー!」「…四六時中休んでる癖に。」「うっさい!テレビ見てるんだから邪魔すんな!失せろ!」「そういえば確か、お前が暇な時は戦闘可だったよなぁ。」「ぅ…それは私が望んだ時であって、今は…」「ふうん…」
ロングスカートのワンピースがむちむちしてる。「…暫く会わない間、ちょっと掃除する以外はこうやってテレビ見ながらゴロゴロしてる訳か。いいご身分だな。」「いいじゃないのよぉ。私だって只のんべんだらりと遊んでる訳じゃなくてちゃあんとイロイロ準備してがんばってるんだから!」「それのどこががんばってるんだよ。」「掃除娘グラマー化計画!」「…。」
たしかに随分グラマーになっている。胸も前回より大きくなったし腰周りも大きくなっている。「…おなかと足もグラマーになったな。テレビばっかり見てお菓子を食べながらゴロゴロしてりゃあ、誰だってそうなるわな。」「うぐ…」「デヴとグラマーは紙一重…」
「だまらっしゃい!そんな事を言うんだったらこのナイスバデーを乗り越えて御覧なさいよ!もう少しくつろい…もとい、体を作ろうと思ったけどこのぷるぷるお肉で倒してやるから!」怒って身を起こした掃除娘はそう言いながらも近くに置いてある掃除袋をガサゴソし始めた。「結局道具に頼るのかよ。」「うっさい!複合して強化すんのよ!見よ!この対男性用の掃除機!ホラ、ここの所に羽根が付いててウィ〜ンって回転、これで全身コショコショしてやるぅ!」
掃除機の吸い込み口にはガソリンスタンドの洗車みたいなモコモコした丸い羽の束が取り付けてあった。多分スイッチを入れるとこれが回転して性感帯を刺激できるようになってるんだろう。「そしてー!」
掃除娘が立ち上がりむちむちしたワンピースを脱ぎ捨てた。前回の勝負時もナカナカにグラマーだったが、今は前にも増して太っ…女を磨いて母性と優しさを備えつつ甘く丸い色香に満ち溢れるようになっている。
「さあ勝負よ!」掃除娘は掃除機のスイッチを入れた。「…。」「…。」掃除機はうんともすんとも言わない。「あれぇ……あ、コンセント。」「…君、今無意味な事しなかった?」「ぅ…ちょっと間違えただけでしょ!気を取り直して、行くわよ!」今度はT字の吸い込み口が唸り、取り付けてある羽根がもの凄い勢いで回転する。
「くらえー!」裸のむちむち女の子が掃除機を持って僕に迫って来る。ある意味ヘンテコリンな光景だ。掃除娘はいきなり掃除機を僕の体に押し付けた。「うひゃひゃひゃ…やめれー!」くすぐったさが全身に広がる。
僕の体のあちこちをくすぐりながら掃除機が段々ペニスの方へと動いて行く。徐々に快感ダメージが発生し強まって行った。機械で高速回転する羽がくすぐったさと心地よさを全身に広げ、精力と耐久力を少しずつ奪い始めていた。こりゃあ遊んでいる場合じゃないな。しっかり対処しないと掃除機ごときに射精しちまう。掃除娘に負けたとあっては末代までの恥。
さて、この状態で戦闘するなら、掃除機を避けて掃除娘の豊満な肉体にぶつかって行くか、それとも掃除機攻撃に立ち向かいつつ全身愛撫で倒すかだな。グラマーになった彼女はそれなりに鍛えてもいるだろうからお餅のような体に思わぬ力が備わっているかも知れないし、この掃除機も侮れない…彼女に掃除道具を使わせたら意外に強力な攻撃力を発揮する事があるからな。どう反撃しようか。