『キミだけを見ている』扉>>>

○第6話○ それぞれの日常(その3)


◇怜二のいつもより幸せな日常◇



 何だか久々に授業が楽しく感じる。
 既に家庭教師に習ってしまったつまらない授業が、今日は復習気分で参加できる。

 いいことがあると、何もかも楽しくなるんだな。




 それにしても、兄さんに言ってしまうっていうのは名案だった。まりえさんは、いきなりで驚いてたけど。

 兄さんはオレに甘いから、認めないわけはないと思ってた。
 後は、父さんと母さんだ。
 母さんは父さんの決めたことなら反対しないから、父さんさえ何とかすれば・・・

 どうやって切り出すかな?



 夢は、学生結婚だ。

 オレが大学生になったら、会社の方も少しは手伝う約束だし、それなりに給料ももらえるだろう。


 う〜ん、プロポーズの言葉とかどうしようかなぁ・・・
 やっぱりシチュエーションは大事だよな。それなりのムードをつくって、まりえさんもドキドキしてきたところで・・・。

 あ、やば、顔がニヤけてきちゃった。


 子供は双子の女の子とか言ったけど、要は雄じゃなけりゃいいって話なんだよね。子供に嫉妬はしたくないし。

 だから、女の子。

 まりえさんに似ちゃってた日には、きっとベタベタに可愛がっちゃうんだろうなぁ・・・

 日傘をさしたまりえさんの隣でオレがベビーカーを押して仲良く散歩とか。遊園地では一緒にメリーゴーランド乗ったりなんかして、お昼はまりえさんの手作りのお弁当を頬張る。
 ごはんつぶが頬についてたりしたら、

「怜二、ごはんほっぺについてるよ」
「え? どこどこ? とって」
「もぅ、・・・はい、取れた」

 とか言ってそのごはんつぶを自分でパクって食べちゃったりしてさ。

 う〜ん、なんて幸せな図だ。

 あ〜、もうダメだ、顔の笑いがとまらない。





その4へつづく

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