「坊ちゃん、まずいっすよ」
「……いいからさ」

拓馬の自宅の庭内で、少年と若い男が何事か話していた。
大きな庭には照明があり、中を明るく照らしている。
拓馬は大型のワゴン車のドアを開け、乗車しかけているところだった。

「おやっさんに言われてるんすよ、あまり坊ちゃんを甘やかすなって」
「……」

先日の一件が後を引いているのだろう。
拓馬の父・弓馬は、自分の仕事が忙しいこともあって、子供の対しては放任主義
だった。
自分もそうだったし、信頼できる組の若い衆をお目付役としてつけていたから、
特に心配もしていなかった。
弓馬は、今では珍しい昔気質のヤクザだったから、仁義に悖ること、義理を欠く
ことを何より嫌っていた。
それだけに、まさか息子がいじめに荷担しているなどとは思いも寄らなかったらしい。
小遣いは充分過ぎるほどに与えていたし、あまり生活面でも干渉しなかった。
勉強に関してもあまりうるさく言わず──というより、何も言わなかった。
弓馬自身、勉学は嫌いだったし、息子も卒業できる程度であれば充分だと思っていた
からだ。
それよりは体力と度胸をつけるように言っておいたし、「将来のため」と称して、
女まであてがったりもした。
そうしたことが甘えにつながり、結果的に良くなかったのかも知れなかった。
あの時、毛利蘭に怒鳴り込まれて初めて息子の所業がわかったという次第だ。
事情を知ったヤクザの組長は、女子高生に頭を下げたのである。

不詳の倅が申し訳ないことをした。
これは親である自分の責任だ。
放置していた自分が悪い。
よく注意してくれた。
感謝する。

弓馬は、蘭と圭太にそう言って詫びたのだった。

面白くないのは拓馬である。
家ではもちろん、学校でも実力者の息子として畏怖され、誰も彼には逆らわなかった。
教師も、お付きの若い衆も彼の部下のようなものだった。
教師は面倒ごとには関わりたくなかったし、若い衆は親分の逆鱗に触れることを恐れ、
基本的には拓馬の言いなりだったのである。

「……今度だけだよ」
「え?」
「今度だけ目ぇ瞑ってくれよ。な?」
「い、いやでも……」
「ほらこれ。少ないけどさ」

拓馬はそう言って、車窓から紙幣を数枚差し出した。
若者は驚いたような顔をしてから、すぐに困惑した表情に変化したが、結局は受け入
れた。

「今回だけですぜ、坊ちゃん。もうこんなことは……」
「わかってるって、これが最後だよ」
「おやっさんにバレたら、今度こそ俺、殺されますよ」
「だからわかってるって言っただろ? もしバレても、全部俺が責任持つって」

その言葉を聞いて少し安心したのか、若者はもう一度頷くと、あまり音を立てない
ように裏門を開けていった。
その脇を、拓馬の運転するワゴン車がゆっくりと走り抜けていく。
それを小走りで若いヤクザが追いかける。
それを見ながら拓馬が言った。

「今夜は親父もおふくろも事務所で、どうせ帰って来ないだろ?」
「でも、あまり遅くなりますと……」
「ああ、俺もそこまでバカじゃねえさ。明日の朝までには帰るよ。どうせ明日は学校
も休みだしな」
「……わかりました。何かあったら携帯に連絡くださいよ」

そう言ってぺこりと頭を下げた若者に蔑んだ視線を投げつけながら、拓馬はクルマを
走らせた。
ほんの数秒走らせたところに数人の影がある。

「拓馬さん」

健が声を掛けると、ワゴン車が停止した。
待っていたのは健と大輝、そして圭太に蘭であった。
小学校の体育用具室に呼び出され、そこで犯されてから、ここまで連れて来られた
のだった。

蘭の方は、圭太を人質にされているということもあって抵抗出来なかった。
健と大輝は圭太を挟むようにして歩き、小振りのナイフを左右から突き出していた。
蘭はひとりで歩いていたが、そんなところを見てはとても逃げられるものではない。
悲鳴のひとつもあげれば、この子たちは本当に圭太を刺すかも知れないのだ。
さっきまで自分がされた惨劇を思っても、「まさかそこまではすまい」とはとても
思えなかった。

いや、それ以上に、小学生たちに輪姦されるという信じられない出来事のせいで
精神的にかなりのショックを受け、痴呆のように諾々と彼らについてきたのだ。
抵抗するとか逃げ出すとか、なぜかそういうことが思いつかなかった。
ここに連れて来られるまでの道中で、騒ぐなり駆け出すなりすれば、少なくとも
圭太か蘭のどちらかくらいは逃げられたかも知れないのだ。
度重なるレイプで心に出来た虚に、今回の輪姦が亀裂を作っていったのである。
蘭は、パレットに囚われ、牧田に初めて犯された時と同じかそれ以上の傷を心に
負っていたのだった。

「乗れ」

健はワゴンのスライドドアを大きく開けると、まず大輝と圭太を最後部のシート
に座らせた。
もちろん大輝はナイフを握っている。
そして自分と蘭は真ん中のシートに座り、ドアを閉めた。
それを確認し、拓馬はすぐに発進させた。

「へへ……」

大輝は嬉しそうに、隣に座った蘭を眺め、制服のスカートをめくって、その太腿
を撫で始めた。

「やめて」

蘭は小声で抗い、その手を払う。
大輝は面白がって、なおも脚を触ろうとした。

「やめとけ、菊池」
「あ、はい」
「クルマなんか運転して……」

蘭がぼんやりとそう言うと、健は我が事のように自慢した。

「拓馬さんはもう一年くらい前から運転してるんだよ。そうですよね」
「……ああ」

拓馬は受け流しながらハンドルを握っていた。
運転はさほど乱暴でもない。
というより、けっこう慎重な方だ。
これは性格的なものではなく、要するにバレないためだろう。
ここで粗暴な運転をして周囲に迷惑をかけて関心を買っては、子供が運転している
ということがバレるかも知れない。
だからこそ一時停止はきちんとして信号は守り、速度違反も犯さない。
そういう運転をしていたのである。
もともと大人びているところにサングラスまで掛けていたから、よほど注意力の
ある人でなければ、運転席に座っているのが小学生だとは思わないだろう。

──────────────────

蘭はほとんど自失な状態だったせいか、すぐに目的地に着いた印象がある。
が、30分ほどは乗っていたらしい。
降りた時は、もうすっかり日は暮れ、あたりは夜の帷が降りていた。

「どこ……?」
「あ? ああ、多摩だよ、西多摩。ここ拓馬さんちの別荘」
「別荘……」

見れば、ログハウス仕立ての大きな家がある。
クルマはその敷地に駐めたようだった。

「大輝、余計なこと言うなよ。それよりこれ持てよ」

健が重そうに紙袋を差し出した。

「何だよ、これ」
「知らないよ、拓馬さんが持ってきたんだろ。運べってさ」
「あいよ」

大輝と健はそれぞれ大きな紙袋を持って、開け放たれているドアへと向かって
いった。
既に拓馬は先に入り、入居の準備をしているのだろう。
室内灯を照らし、あちこちを歩き回っているのが見える。
ガラガラと音を立てて紙袋を持っていくふたりの後を、圭太と蘭が続いた。
ぼうとしている蘭を見上げながら、圭太はその手をしっかりと握っていた。

中へ入ると、健はドアを閉め、錠も下ろした。手際がいいところを見ると、健たち
も何度かここを訪れているようだ。
圭太は蘭から引き離され、突き飛ばされるようにして奥の部屋に入っていく。
蘭も大輝に背中を押され、同じ部屋へ押し込められた。

「……」

大きな部屋だった。
フローリングの洋間だったので何畳あるかわからないが、10メートル四方くらい
はありそうだ。
南側には大きなフランス窓があるが、もう厚いカーテンが引かれている。
照明は、天井上に大きなシャンデリアがあるが、それは点灯していない。
代わりに、四隅に設置されているブラケットライトのみが明かりを放っていた。
室内は、暗くはないが、本が読めるほどに明るくはない。

調度品も立派なもので、アンティーク調のキャビネットやチェストが置かれている。
50型くらいの液晶大画面テレビもあった。
部屋の中央に、大きめのガラステーブルとレザー製の大きなソファがひとつ、そして
個掛けのソファがふたつほどある。
テーブルとソファの下には、毛足の長い絨毯が敷き詰められていた。
蘭はよく知らなかったが、どうもペルシャ絨毯らしい。

そして部屋の奥には、これまた大きなベッドが鎮座していた。
キングサイズと呼ばれるもので、おとなふたりに加え、子供も一緒に眠れるという
大きなものだ。
巨大と言ってもいい。
前板にも派手な装飾が施され、自らの高級さを誇っているかのようだ。
いかにも贅沢三昧に作られた部屋だった。
その大きなソファの真ん中に、拓馬は主のようにして腰を下ろしていた。

「……どういうつもりなの、こんなところに連れ込んで」
「学校の薄汚い体育用具室よりはずっとマシだと思うけどね」
「そういうことを聞いてるんじゃなくて、あたしたちをどうする気なのか聞いてる
のよ」
「あたしたち? ああ、黛の方はもうほとんど用済みだ。お姉ちゃんをここまで
おとなしく連れて来るための人質というか餌だっただけだから」
「……じゃあ圭太くんは解放してくれるわけ?」
「圭太くん?」

拓馬の表情が少し動いた。
意外そうな色が浮かぶ。

「そういや、今日もそう呼んでたっけな。へえ、もうそこまで仲良くなったんだね。
こないだまでは「黛くん」て呼んでたのに」
「そんなことどうでもいいわ。きみたちはあたしに……その……」
「ああ、そうだよ」

拓馬はあっさりと認めた。

「俺たち、ことさらあんたのこと……蘭姉ちゃんのことが気に入っちゃった。学校
でやっただけじゃ満足できなくってさ。あそこじゃいつ誰が来るかわかんないし」
「……」
「その点ここなら、少なくとも明日の朝……昼かな、それまでは誰も来ない。いい
ことし放題ってわけさ」
「じゃあやっぱり、きみたち、あたしを……」
「そう。ま、一回やらしてもらったけど、とても一回じゃ手放す気になれなくって
さ。ここで思う存分……」
「いい加減になさい」
「……」

徐々に気を取り戻してきた蘭は、ようやく彼女らしく拒否した。
あの時、この子たちに乱暴されたのは屈辱だったし、それによって感応されられた
ことは恥辱ではあったが、もうあんなのはお断りである。
これ以上舐められてたまるか、という思いもあった。

「わかってるの、きみたち。これは誘拐、拉致、それに監禁なのよ。いくら小学生
でも逮捕されるわ」
「わかってるさ、それくらい。最近は子供にも世間は厳しくなってきてるしね」
「当たり前よ、こんなことする子がいるんだから」
「ま、それもこれも「見つかれば」の話でしょ?」
「え?」
「俺たち、見つかる気はないから」
「そんなこと……」
「例えばさ」

そこで少年は言葉を切った。

「……好きなだけお姉ちゃんを弄んだら始末して、どっかに埋めちゃうとか」
「……!!」
「もちろんその時は、可愛い圭太くんも殺して……」
「やめて!」

信じられぬ思いで蘭はその台詞を聞いていた。

「まさか本気なの? 本気でそんなこと……」
「本気も本気、大マジだよ。でないと、俺たち捕まっちゃうし。でも捕まりたくない
からね。黛やお姉ちゃんがおとなしく言うこと聞いてくれて、黙っててくれないと
いうのなら仕方がないよ」

冗談か脅しだと思いたかったが、それも自信がなくなってきた。
子供だ子供だと思っていたが、これまで蘭や圭太に仕掛けてきたことは、あくどい
大人顔負けの酷いことばかりだ。
それに、子供だからこそ加減がわからず、感情の抑制も出来ず、将来どうなるかを
考えもせず、刹那的に本当にそうするかも知れない。

見れば、圭太は震えている。
俯いていて表情は窺えないが、足下がぶるぶるしていた。
よほど普段から、彼らに脅されたり暴力を加えられたりしていて、恐怖が染みつい
ているのだろう。

拓馬は「明日の朝まで」と言った。
それまで耐えるしかあるまい。
いかに彼らとて、このまま蘭と圭太を攫ったまま逃亡するわけにはいかないのだ。
今夜だけは、蘭も圭太も自宅へ電話を入れさせられ、圭太は拓馬の家に、蘭は園子の
家に泊まると言わされている。
だから今夜は平気だろうが、そのまま戻らねば不審を抱かれるに決まっている。
解放せざるを得ないのだ。
今夜だけ、あと数時間だけ、小学生の自由にされるという屈辱と恥辱に堪え忍べば
いいのだ。

これが蘭ひとりであれば、こんなことはない。
多少きつい「お仕置き」になるだろうが、向こうが暴力で来るならば、蘭も力で
返せばいいだけだ。
空手を使ったこと、結果的に小学生に手をあげたということで蘭も非難に晒される
かも知れないが、それは仕方がない。
もちろん、真相を話せば納得されるだろうし、蘭が罪に問われるようなこともない
だろう。
しかし蘭は、もし無事に解放されても、このことは黙っている気でいた。
小学生にレイプされた恥ずかしい体験を事情聴取されるのはイヤだったし、彼女も
圭太も無責任な野次馬達による興味本位の視線で見られるに決まっているのだ。
つまりこの事件は、加害者はもちろん被害者にとっても、訴えていいことは何もない
のだ。
ここから帰ったら、また拓馬の父親にこのことを相談し、彼に「解決」してもらうのが
いちばんだろう。蘭
はそう考えていた。

「……わかったわよ」

蘭はやや投げやりな口調で言った。
そうすることで、少しでも彼らの「その気」を挫こうとしたのだが、あまり意味は
なかった。
大人ならともかく、小学生ではそうしたやる気をなくさせるようなテクニックは
通用しない。
女体へ興味を持ち始めた時期であり、もうそのことしか考えられないくらいに夢中に
なっている頃だ。
例え蘭がダッチワイフのように無反応でいても、彼らは無関係に彼女の肉体を犯す
だろう。
案の定、拓馬がにやりと笑って言った。

「覚悟できたみたいだね。じゃあ服を脱いでくれる? さっき、せっかく着直した
ばかりなのに悪いけど」
「……」

もう変に逆らっても無意味である。
蘭は、まるで自室でそうするように、てきぱきと制服を脱いでいった。
ためらったり恥ずかしそうにしたりしても、彼らを悦ばせるだけである。
制服のブレザーとスカートは丁寧に畳み、ブラウスも折りたたんだ。
皺になったらいやだ。
下着も、思いの外、潔く脱ぎ去った。
これも制服の脇に、綺麗に畳んでおいた。

再び晒された白く美しいヌードに、また健と大輝の歓声が飛んだ。
さっきまでの無惨な凌辱がウソのような、神々しいばかりの若い肢体である。
さすがに股間の前だけは隠していたが、それについては拓馬も何も言わなかった。

「いい覚悟だ。さすがに武道家は違うね」
「それとも、そんなに黛が心配かい? 逆らったら何されるかわからないって」
「……そうよ。おとなしく裸になったんだから、圭太くんは……」
「何もしないさ。おい黛!」
「は、はい」
「そこでおとなしくしてろ。立ったままだぞ」
「ちょっと待って!」

蘭はそこで初めて異議を申し立てた。

「話が違うわよ、圭太くんはここから出して」
「出すわけないでしょ、帰るのは明日だよ」
「そ、そうじゃなくって、このお部屋から出して。どっか別のところ……となりの
部屋でもいいから、そこに連れてってあげて」

それを聞いて拓馬は意地の悪そうな笑みを浮かべた。

「へえ、どうして? 黛は蘭姉ちゃんのことが大好きだそうだぜ」
「そ、それとこれとは関係ないわ! こんな格好、見られたくないのよ。あ、圭太
くん、こっち見ちゃだめよ!」
「おやおや。これから俺たちにはいやってほど、その綺麗な身体を見せてくれるって
のに、黛に見られるのはいやのかい? 黛、おまえ蘭姉ちゃんに嫌われてるぞ」
「誰がそんなこと言ってるのよ! あ、あたしは素直な圭太くんのこと好きだわ、
少なくともきみたちよりずっと」
「ありゃ、嫌われちゃったよ。でもおかしいな、嫌いな俺たちに裸見られるのは良く
って、好きな黛には見られたくないっての?」

蘭は説明する気にもなれなかった。
好意を抱いているからこそ、こんな恥ずかしい姿を見られたくなかったのだ。
それは、さっきコナンを呼ぶと脅された時と同じ心境である。
こんなけだもの同然の拓馬たちの目なら、恥ずかしいけど我慢もする。
熊や河馬にでも見られていると思えばいいのだ。

しかし好感を持っている圭太の目は、彼らのそれよりもずっと恥ずかしかった。
それに、コナンくらいの年齢の子ならまだしも、圭太たちは性に目覚め始めた頃で
ある。
もう蘭を「女」として見るようになっているのだ。
意識しないわけがなかった。
だが、どうせ言ったところでわかってもらえないだろう。
それどころか、知っていて蘭をからかっている可能性もある。

「ま、どっちにしろ、蘭姉ちゃんの言うことを聞くわけにはいかないね。黛、おまえ
も見たいだろ? 蘭姉ちゃんが悶えるところ」
「……!」
「おまえだって蘭姉ちゃんが好きだって言ってたじゃん」
「圭太くん……」

蘭は複雑な表情で圭太を見つめた。
見つめられた少年は相変わらず顔を伏せたままで、その表情は窺えなかった。

「だからここにいろ、いいな?」
「……はい」
「よし。あ、それとおまえも服脱げよ」
「え……」
「脱げ。おまえが憧れの蘭姉ちゃんの裸を見てどんだけ興奮したか、蘭姉ちゃん
自身に見てもらえや」
「こ、この子……」

どこまで悪辣なことを考えつくのだろう。
もうこうなると、ほとんど小学生の思考ではない。

「はい、おしゃべりはここまで。高橋、ロープ寄越せ」
「え、あ、はい」

ぼうっと蘭のヌードを見ていた大輝は、ズボンの前を膨らませたまま、慌てて紙袋
の中からロープを取りだした。
赤い麻縄で、どう見ても荷造り用のものではない。
女体を緊縛するためのものだろう。
拓馬の家にあったものを持ち出したのだ。
蘭は一歩身を引いた。

「し、縛るの!?」
「うん」
「縛らなくても逃げやしないわ、だから……」
「勘違いしないでよ、蘭姉ちゃん。逃がさないようにするためじゃないよ。そう
ならさっきみたいに手っ取り早く手錠するって」
「じゃあ……」
「SMっての? あれ、実際にやってみたくてさ」

それを聞いて、健と大輝も喜んだ。

「いいっすね、それ!」
「俺も、拓馬さんとこでビデオ見て興奮したんだよな。女を縛って犯すっていいよ」
「だろ? 縛られて苦しそうな顔してるのもいいんだよな」
「じょ、冗談じゃないわよ!」

蘭は両肩を震わせて叫んだ。
過去に何度か縛られて犯されたことはある。
その時の屈辱感は忘れようもなかった。
まるで女を荷物か何かのように縛り上げ、人間扱いしない。
それでいて、実に淫らな格好に固定し、辱めるのだ。
こんな子供までそんな趣味があるのが信じられなかった。
拓馬が言った。

「何だよ、今さら。もう覚悟したんでしょ? 今夜だけは辱められてもいいって」
「でも、いやよ、縛られるなんて」
「いやでも何でも縛られるんだよ。蘭姉ちゃん、少しは学習してよ。あんたが言う
こと聞かないと、黛がろくな目に遭わないってことをさ」
「き、汚いわよ、卑怯者!」
「卑怯、けっこう。そのお陰で、こうして蘭姉ちゃんを好きに出来るんだから、
卑怯ばんざいだ。ほら、諦めてベッドに座って」
「……」

有無を言わさぬ勢いで言い寄られ、躊躇はしたが、結局、蘭は従った。
この場だけだ。
この場だけ耐えればいいのだ。
何をされても反応せず、無視してやればいい。
縛られても、恥ずかしい言葉で罵られても相手にしない。
そんなに身体をいじくりたければいじらせてやる。
その代わり、絶対に屈服なんかしてやらない。
蘭はそう誓っていた。

しかし、蘭は忘れていた。以前に凌辱された時も、毎回同じように思っていたのだ。
なのに、そのたびに男の手練に陥り、めいっぱい恥ずかしい声を上げさせられ、
何度もいかされ、惨めな敗北を喫していた。
確かに、今回は過去のような狡猾な男どもとは違い、小学生である。
いかに大人びている、多少の性経験があるとはいえ、彼らとは比較にもならない
だろう。
それを思えば我慢できそうな気がするのも無理はなかった。

だが今回は、レスリーの診療をしばらく受けていないことで、蘭の中にもやもやと
した欲求不満が溜まっている。
そのせいで、最近は性夢を多く見てしまい、自慰も増えてきてしまっていたのだ。
その証拠に、さっきはこの子たちに感じさせられてしまったではないか。
それでも、絶頂にまではいかなかったということが、蘭の唯一の支えになっていた。
あの時の延長だ。
危ないことはあるかも知れないが、耐えて耐えきれぬことはない。
あの時はコナンをダシに使われたからこそ、危ないところまでいってしまったのだ。
今はもう、コナンで脅されることもない。

「いっ……いった……痛いわよ、ちょっと……」

蘭は顔をしかめて抗議した。
ベッドに腰掛けた蘭の後ろに回った拓馬は、まず手首を縛り、続けて乳房を締め上げ
ようとした。
その上で脚はM字に開脚させてやろうと思った。
しかし、小学生の生半可な知識や技術でどうなるものでもない。
日本的な緊縛は、かなりのテクニックと知識が必要なのだ。

しばらく四苦八苦して試みてみたものの、どうにも思い通りにならないとわかるや、
拓馬は意外とあっさり諦めた。
とはいえ、蘭の肢体を縛る欲望は抑えきれず、結局、後ろ手に縛ってから、別に
乳房を縛ったに留めた。
乳房の上下をそれぞれロープで二巻きしただけである。
だが、それでも十二分に少女の裸身から色気を引き出せている。
後ろ手に縛っただけでも「拘束された女」という雰囲気は出る。
さらに形良く膨らんだ乳房の上下をぎりぎりと縛っているから、いかにも緊縛した
という実感もあった。
実際、蘭の白い肢体に赤いロープは実に官能的に映えるのだ。
ただ、力加減がよくわからないから、けっこうきつく縛ってしまったらしく、蘭が
呻いたわけだ。
しかし、その苦悶の美貌すら、少年たちの性欲を亢進させる材料となってしまう。

「ああ……」

何とか縛られると、蘭は大きなベッドに座り込んだまま、背を壁に凭れさせかけた。
女を縛って犯すという淫らな欲望は、おとなも子供も関係ないのだろうか。
不自由な格好の女を犯すというのは、そんなに刺激的なのだろうか。
蘭にはさっぱりわからなかったが、彼女を見下ろしている少年たちは興奮しきって
いる。
気の早いことに、もう三人ともすっかり全裸になっていた。
この状態で、タダで済むとは思えなかった。

拓馬は蘭を引きずり、ベッドの真ん中へ連れ込んだ。
そうさせておいてから、座らせた蘭の腰の後ろに大きな枕をあてがった。
蘭は少年たちの目の前で、後ろ手で縛られたまま体育座りのような格好にさせられ
ている。

「よし、これでいいな。おい蘭姉ちゃん、足を拡げてよ」
「……」
「物覚えが悪いな。言うこと聞いてくれないと……」
「わかったわよ……」

蘭は顔を背けて拓馬の言葉に従った。
膝を立てたまま、おずおずと股間を開き、M字開脚状態となった。
縛られてこの格好にさせられたことは何度かあるが、自分で開かされたのは初めて
である。
小学生の視線が股間の中心に迫ってくるのを感じて、思わず脚を閉じそうになる。

「は、恥ずかしい……見ちゃだめ……」
「おっと脚はそのままだよ、閉じないで」
「……」

羞恥に顔を染めたまま、蘭は目を閉じ、顔を背けた。
そのいじらしい様子も、少年たちの興奮を呼んだ。
拓馬はまだ落ち着いていたが、健と大輝は早くも息を荒げ、歓声を上げて蘭の脚の
間に潜り込んでくる。

「おおっ……きれーじゃん。綺麗なマンコだなあ」
「マジで綺麗だ。しっかしよぉ、拓馬さんとこで見た裏DVDに出てた女のマンコ
なんかきったなかったぜ。ゲロ吐きそうになるくらい」
「まったくな。けど、このお姉ちゃんのはマジ綺麗だ。やっぱ顔が美人だとマンコも
綺麗なんだな」

今にも顔がくっつきそうになるくらいに、健と大輝が蘭の媚肉を覗き込んでいる。
蘭は目をつむっていたが、彼らの目が血走っているだろうことまで想像できた。

「ああ……だめ……、み、見ないでお願い……」

少年たちは、もちろんそんな言葉など気にもしていない。
それどころか、蘭の羞恥を煽るように顔を寄せ、卑猥な言葉を口走るのだ。

「このさ、この毛もいいんだよな」
「そうそう。俺、どっちかってと毛のない方が好きだったんだよ。パイパンての?
でもさ、蘭姉ちゃんのマンコ見てると、毛のあるのもいいよ」
「だろ。この生え際がいいよな。毛自体もさ、ごわごわしてねえし、柔らかいしよ」

(ああ、見てる……。こ、こんな子供たちに見られてる……)

蘭の膣は、少年たちの熱い吐息が吹きかかると、びっくりしたように蠢いた。
蘭には、彼らの熱い息が、まるで視線の物理化したような圧力に感じられ、一層に
恥辱と羞恥心に染まっていく。
膣の奥がきゅうっと締め付けられる。
何か熱いものが滲んでくるのもわかった。
拓馬の声がかかった。

「おい、そこまで。そんなもん、あとでいやっとほど見せてやるって。いや待てよ」

拓馬は、蘭は殊の外恥ずかしそうに身をくねらせているのを見て、にやっと笑った。
もちろん若い女が股間を覗き見られるのだから恥ずかしいのに決まっているが、蘭の
場合、それだけではないように見えた。
見られて青ざめるかと思っていたのに、少女の裸身はポッと薄くピンク色に染まって
きていたのだ。

「大輝、俺の部屋からビデオ持ってきたよな」
「は? ああ、ええ、デジタルビデオ。カメラっすよね……」
「それ用意しろ。健、おまえそっちから照明もってこい」

少年たちが離れてホッとしたのもつかの間、蘭は足腰に何だか熱気を感じて目を開けた。

「あ……」

見れば、目の前には電気スタンドがふたつほど立っていて、そのまばゆい光を蘭の腰
──というか、脚の付け根や股間に向けていた。
肌の色が白く飛ぶほどである。
そして何より少女を驚かせ、怯ませたのは、大輝がビデオカメラを構えていたことだ。
蘭はとっさに叫んだ。

「や、やめて! 撮らないで!」
「動くなよ、蘭姉ちゃん。そのまんまだ」
「で、でも、いや、撮影されるのは……」
「いやでも何でも撮影されるんだよ。その恥ずかしい格好をな」
「そんな……いや……」

脚を閉じようとすると圭太のことを言われ、閉じることが出来ない。
蘭は脚の震えと羞恥を噛みしめながら、この恥辱に耐えていた。

「ひゃっ!?」

突然の冷たい感触に蘭はぱっちりと目を開けた。
見ると、大輝は相変わらず蘭を正面から撮影していたが、拓馬と健は蹲るようにして
股間をまさぐっている。

「な、何を……」
「おっと動くなよ。そのままそのまま」
「やっ!? ちょ、ちょっと……!!」

彼らは何と、蘭の股間の小さな穴に何やら怪しい器具を差し込んでいるのだ。
冷たい金属色をしたハサミのようなものが、蘭の膣とアヌスに食い込んでいる。

「おら、動くなって。中を覗いてんだから」
「おっ、見えてきましたよ、拓馬さんっ。こりゃすげえ、蘭姉ちゃんのマンコの中を
覗けるなんて」

そう言って健が手にしていたのは、コリン式のクスコであった。
カモノハシの平べったい嘴のような先端が、蘭の柔らかい媚肉に挿入され、それが
じわじわと開かれていく。
ゼンマイのようなネジがついていて、それを回転させることで先が広がるように
なっていた。
膣が内側から広がっていく感覚がたまらず、蘭は大声で叫んだ。

「ひっ、や、やめてぇっ……そんなひどいことっ……ああっ!」

蘭の腰が硬直してぶるぶると痙攣する。悲鳴も声が掠れ、満足に呼吸すら出来なく
なってくる。
しかしそれはまだ序の口だったことを蘭は判らされた。
拓馬は同じような器具をアヌスに使ってきたのである。
これらの淫らな医療器具も、すべて拓馬の自宅から持ち出したものだ。

「ひぃっ!? い、いやそんなっ……お、お尻はだめえっ!!」

じわっと肛門粘膜が拡げられ、そこから身体が引き裂かれそうな錯覚を受けた。
少しずつ拡張され、蘭は乳房や腹を大きく波打たせて喘ぎ、呻いた。
膣も肛門も金属の嘴に内側から押し広げられ、生々しく口を開けていく。
中にあるのは、女体の禁断の臓器だった。
膣もアヌス3センチほども拡張され、そこをライトに照らされて、膣内に無数にある
襞や、つるつるした腸腔すら、はっきりと見えてきた。

「すげえ……マジすげえ。お、女ってこんなになってんのか……」

健は感極まったようにそう言ったが、拓馬は黙って蘭の尻を嬲ることに集中し、大輝
は生唾を何度も飲み込みながら、その部分をアップで撮影していた。

「ちくしょう、俺もそれやりてえよ」
「文句言うな、高橋。ちゃんと撮影したら、あとでデータをダビングしてやるから」
「頼みますよ。でも、こうやってアップで見るのもいいな。あ、痛、くそ、もうチンポ
立ってきやがった」
「やああ……見ないで……見ちゃやあ……あ……」

蘭は仰け反るようにして、この暴虐に耐えていた。
それでも、少年たちの目が自分のもっとも恥ずかしいところに集中しているのが痛い
ほどにわかる。
その視線を意識してしまうと、膣の奥がさらに熱を帯び、とろりとした蜜が分泌され
てくるのを、もはや止めようがなかった。
拓馬もそのことに気づいたようだ。

「へへ、蘭姉ちゃん、ずいぶんといい匂いがしてきたよ」
「ホントだ。甘いような酸っぱいような……何ともいい匂いだあ」
「あ……ああ……」
「蘭姉ちゃんも興奮してきたようだぜ。どうだい蘭姉ちゃん、マンコや尻の穴の中
まで見られてる気分は?」
「や……いや……あああ……」
「しかもビデオに撮られてるんだぜ。ヌードだけじゃなくて、マンコや尻の中まで
撮影される女なんて蘭姉ちゃんくらいだ」
「いやいやあ……見ないで……撮らないでっ……やあっ……」

卑猥な言葉を聞くたびに、蘭の胎内が震え、ぞくぞくするような刺激が背を走る。
膣が勝手に締まり、押し広げている嘴を閉じようとするように収縮する。
そんなものでは金属はびくともせず、かえって拡げられていることを実感させられた。
アヌスも同様だった。
クスコと肛門拡張器は、膣と腸内の熱気によってぼうっと白く曇ってきている。

「高橋、あれ持ってこい」
「あれ?」
「さっきウチで詰めてきたやつだよ、ほらチューブの」
「あ、わかりました。でもカメラは……」
「いったん中断しろ。それと一緒に筆もな」
「はい」

いったんクスコが抜かれ、ようやく一息つけた蘭は、息も絶え絶えに尋ねた。

「な……何をしてるの……」
「気になる? お姉ちゃんを天国に連れてってくれるものだよ」

拓馬はチューブから中身を絞り出し、空の灰皿に取り出した。
一見、歯磨き粉のようなクリーム状のものだ。
色は薄いピンク色である。

「あ、ああっ、またっ……」

蘭は「んんっ」と声を絞った。
再びふたりの少年が拡張器を使って、蘭の媚肉とアヌスを拡げ始めたのだ。
難なく嘴を飲み込んだふたつの穴は、またも生々しい内臓を彼らの前にさらけ出す
こととなる。
また熱くなってきた膣内と腸内に、突如、冷たい感触が襲ってくる。

「つ、つめた……、な、何をしてるのっ……」

拓馬と健は、手にした小筆にクリームを取って、それを蘭に塗り込め始めたのだ。
裂けそうなほどに伸びきった肛門と膣口の粘膜に、ふたりの少年は念入りに怪しげな
クスリを塗っていく。

「や、やめて……おかしなものを塗らないでっ……ひっ……」

冷たかったクリームは、塗られているうちにじんわりと熱を帯びてきた。
拓馬は筆先にたっぷりと掬ったクリームを、広がったアヌスの周辺や襞にすり込む
ように塗っている。
健は、見かけによらず細かく筆を動かして、膣口周辺だけでなくクリトリスにまで
塗り始めた。

「あ……あ……」

蘭は目を引き攣らせ、口を大きく開けて呻き声を上げた。
その声は上擦っている。
塗られた直後はひどく冷たいのに、塗られるとすぐに灼けるように熱くなってくる。

拓馬が持ち出してきたのは一種の媚薬であった。
現実に於いて、いわゆる媚薬というものはそのほとんどが眉唾であるが、中には
効果がないと言い切れないものもある。
精神的に女を興奮させるものはほとんどダメだが、性器やクリトリスなどに塗って
刺激するものは効果のあるものもあるのだ。
少年の使っているのはまさにそれだった。

これは水分を吸収して溶解すると、熱を帯び、痛痒感を刺激する。
つまり、皮膚に塗ってもさほど有効ではないが、粘膜に塗ると、そこが熱く、そして
かゆくなるということだ。
もちろん口や鼻の中、あるいは目に塗っても効用はあるが、性的には無意味だろう。
拓馬は、それを組の連中が女に使っているのを見て、その効果を実感していたのだ。
そして、いつか自分もこれを使って女を泣かせてみたいと思っていた。
毛利蘭こそ、その女だと思った。

「あ……くう……」

蘭はとてもじっとしてはいられず、腰を切なそうに震わせ、閉じたくとも閉じられ
ない脚をなよなよとうねらせている。
ここに及んで、まだ圭太を意識して股を閉じない精神力は大したものだ。
しかしその努力も徐々に限界に近づいている。

「あ、あむう……や、やめて、そんな奥に……ああ……」

拓馬と健は、それぞれの拡張器の隙間から小筆を突っ込み、膣内深く、そして腸内
にまでクスリを塗り込んでいく。
蘭はたまらず、腰をうねらせながら苦しそうに喘いだ。
膣口から入り込み、膣道や胎内を這いずり回る穂先が、肛門深くまで入っていき、
腸内のあちこちを擦ってくる穂先が信じられなかった。
いくらこらえようとしても、勝手に腰が蠢いてしまう。

「や、めて……ああ、許してもう……あああ……」

「感じてるのかな? いい声になってきたじゃない、蘭姉ちゃん」

拓馬も予想以上の蘭の反応の夢中になっていたが、特に健は、悶える蘭のあまりの
色っぽさに、もう若いペニスから精を零しつつも筆を操っていた。
媚肉や肉芽だけでなく、調子に乗って乳房へも塗っていく。
乳輪をなぞるように、立ってきた乳首を虐めるように穂先で嬲る。
が、乳首は粘膜ではないから、穂先の刺激以外、あまり反応はないようだ。
それでも、ふたつの女穴に塗られた媚薬の効果は絶大で、少女の肉奥は驚くほどの
反応を見せていた。
特にクリトリスに塗られるのがたまらなかった。
筆が蠢くたびに、びりびりと電気が走るような鋭い刺激が、美少女の脳髄にまで
到達する。

「や……あっ……もっ……し、しないで……あっ……そ、そこだめっ……あっ、
く……」

媚肉や肛門の拡張などという異常な行為、そしてそこに媚薬を塗られるという倒錯的
なプレイに、蘭の正常な感覚が麻痺してくる。
薄いピンク──というより、肌色がややピンクがかった程度の初々しい少女の性器は、
いつしか灼けるように色づいており、ひくひくと喘ぎ、淫らに口を開け、蜜を零して
いる。
肛門も、そこが排泄器官とは思えぬほどに口を開け切り、盛んに収縮していた。
膣からだらだらと漏れてくる愛液が、開かれた肛門の中に入り込み、直腸へと吸い込
まれていく。

「あああ……あ……」
「どうだい、気分が出てきたろう? もう我慢できないんじゃない?」
「い……や……ああああ……」
「へえ、なかなか強情だね。俺が見た女は、これをやられたら5分も保たずに、泣い
て欲しがったけどね」

拓馬は筆を使いながら、そう嘯いた。

「でも、それでこそ蘭姉ちゃんだね。そういうところがまた責め甲斐があるって
もんだ。強情で聞き分けのないお姉ちゃん、よく聞いて。我慢できない、欲しいって
言わないと、いつまでもこのまんまだよ。おい菊池、クスリあるだけ全部塗っちまえ」
「やった!」
「あ、待て、少しだけとっとけ。あとは塗れ」
「わっかりました!」

健は喜々として、筆にまたたっぷりとクリームを載せて、蘭の膣、胸、そして肉芽に
塗り込んでいく。
拓馬も執拗なほどに蘭のアヌスと直腸に塗布していった。
50グラム入りのチューブは、もう全部灰皿に絞り出されている。
その灰皿に乗ったクリームも、もうほとんどなかった。
すべて蘭の中に使われたことになる。
少年たちが、ドイツ語で書かれた注意書きを読めれば、一回の使用適正量は7〜10
グラムだとわかっただろう。
蘭には、その5倍が塗られたことになる。
とても耐えきれるものではなかった。

「あああ……」

全部塗りおえても、健は名残惜しそうに筆を使っている。
クリームはなくとも、溢れてきている蘭の蜜を穂先に染みこませ、それでまた膣付近
をまさぐっている。
拓馬の方は、徐々に露わになってくる蘭の反応を見ながら、焦ることなく様子を窺っ
ている。
カメラを回している大輝は、片手でカメラを持ち、液晶を覗いてはいるものの、
空いた左手で自分のペニスをしごき始めていた。
そして、部屋の隅で立たされている圭太ですら、ズボンの股間を大きく膨らませて
いた。
状況が許せば、裾から手を突っ込んでマスをかきたいところなのだろう。
まだ何もしていないのに、蘭の媚態は少年たちにはあまりにも刺激的に過ぎたので
ある。

蘭の腿の震えがわなわなと大きくなってきている。
脚は今にも閉じてしまいそうだ。
実際、何もしていなかったら閉じてしまっただろう。
しかし健が片手で太腿を押さえて開かせ、しつこく媚肉を筆責めしている。
もう、とてもじっとしていられなかった。

「ああ、もうやめてっ……あ、あ……へ、変になりそうっ……」
「……」

男の性本能に燃え移りそうな、蘭の熱い呻き声を聞きつつも、拓馬は無視していた。
狼狽している蘭は、恥も外聞もなく尻を揺すり、よじりたてていた。
アヌスも膣も火がついたように熱く燃え盛っている。
加えて、むずむずズキズキするような痛痒感がたまらなかった。
堪えきれず、蘭はすがるように少年に言った。

「ああ、もうっ……」
「どうしたの、蘭姉ちゃん」

拓馬がすっとぼけてそう聞くと、蘭は唇をわななかせながら見つめてきた。

「も、もうどうにかして……ああ、た、たまらないの……」
「どうにかして、ったってなあ。どうして欲しいか言ってよ、ちゃんと」
「い、言えないそんなっ……そんな恥ずかしいこと……」
「へえ、恥ずかしいことして欲しいんだ」

拓馬はそう言って笑った。

「どうして欲しいか言えば、蘭姉ちゃんの願いを叶えてあげるよ」
「やっ……そんな……」
「じゃあ我慢するんだね。言わなきゃずっとこのままだ。健、もうよせ」
「え? はあ……」

拓馬に命令され、健は渋々と筆を引いた。
穂先は蘭の蜜を吸い取って、べったりしている。
健はその穂先を鼻に持ってきて、蘭の香りをクンクンと吸っていた。

「い、意地悪っ……ああ……」

蘭はキッと拓馬を睨みつけたが、一瞬のことだった。
そんな余裕はないのだ。
小学生にいたぶられ、その肉体を欲しいままにされる屈辱だけは我慢できない。
薬効が切れるまで耐え抜こうと決意もしたが、ものの1分も保たずに崩壊した。
精神力でどうにか出来るものではなかったのだ。

「許して、お願いっ……」

蘭は切羽詰まった声を上げて、全身を引き攣らせた。
いくら我慢しても、ズキンズキンと灼けるようなむず痒さが、アヌスと媚肉、そして
直腸内と膣内にまで響いてくる。
熱く疼いたクリトリスもひくひくと痙攣し、刺激を欲して止まらなかった。
歯を食いしばり、眦を決して耐え抜こうとしても、狂おしいほどの刺激が蘭を許さない。
性器と排泄器官を襲う凄まじいばかりの刺激に、何もかも忘れてそこをこねくりまわ
されたくなってくる。

(ああ、もうだめ……。どうにでもされたい……)

肉の疼きと欲求に、聡明な少女の理性と意識は飲み込まれていった。

「何とか……何とかして……もう、ああ……もうだめ……」



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