翌日。
美和子はシカゴ市警のパーシー警部に連絡を入れ、市内観光すると伝えた。
そしてタクシーに乗ってその場所へと向かった。
市内でも有名な店だったから、運転手はその名を聞くとすぐに理解した。
美和子が降り立ったのは「マルタン宝飾店」である。

昨夜、コナンと園子から、蘭が行方不明になったことを聞かされたのだ。
一応、会社に知らせ、警察には通報したらしいが、まだ行方が掴めないらしい。
何でも病院で治療を受けた後、姿が見えなくなったのだそうだ。
警察や財閥の人間も来て調べたり、聞き取りをしていたが、病院側は「知らぬ存ぜぬ」だった。
治療したのは確かでカルテも残っているが、終えた後のことは知らぬ、診療室を出ていって
からの行動はわからない、とのことだった。

何か悶着があったそうで、別室で治療を受けるよう言われて、別の医師に連れられて行ったのを
コナンたちが確認したのが最後だ。
園子もコナンも、その医師のネームプレートを憶えていたので、そのことを警官や病院関係者
にも告げたのだが、医師や看護婦たちは「そんな医師はいない」の一点張りだった。
知名度の高い病院で、金持ち主体の患者だということもあり、警察も信用しているらしい。
病院関係者が関係しているという発想はないようだ。
しかし、だからと言って中に犯罪者が侵入してきて蘭を攫ったという可能性も否定した。
そんな怪しげな連中が入り込む余地はない、というわけである。
コナンも園子も抗議したが、警察は異邦の旅行者よりも地元の病院を信用したようだ。
いなくなったのは事実だから捜査はすると言い残し、病院を早々に引き上げた。
ここは無関係だと言わんばかりの対応だった。

それを聞くと、美和子はすぐにおかしいと感じた。
当たり前である。
実際にいなくなったのは病院でのことなのだから、関係者がそこにいるかどうかはともかく、
現場は間違いなくそこなのだ。
徹底した初動捜査、検証を行うべきなのに、それをしない。
パーシーも言っていたが、シカゴというよりアメリカでも指折りの大病院であり、理事長は市
の名士だ。
警察局としても、出来れば触れたくない場所なのだろう。

納得できない美和子は、パーシーに掛け合って病院を捜査対象にしてもらおうと思い、ハタと
思い当たった。

「まさか……パレットが……」

美和子は依頼があったからシカゴへ来たのだが、蘭たちが訪れたのはまったく偶然のようである。
まさか、そこにミシェルがいるとは思いもしないだろう。
増して蘭はあの時の記憶を失っているのだ。

だがミシェルの方はどうだろうか。
日本の事件は、彼にとっては手痛い失敗だったはずだ。
狙っていた蘭を逃したばかりか、幹部としての立場もなくなったに違いない。
そこに蘭が目の前に出てきたらどうなるか。
黙っているわけがない。
その病院の理事長がミシェルらしいことは聞いている。
可能性に過ぎないが、蘭はたまたま治療に訪れたそこであの男に発見されたのではないだろうか。

あまりにも偶然が勝ちすぎているし、そうでない可能性の方が高いだろう。
しかし美和子は気になった。
いやな予感がした。
もしその予感が当たっていれば、蘭はまた囚われて性的凌辱を加えられているはずだ。
それを思うと、居ても立ってもいられなかった。
日本でのパレット事件の際は、美和子は犯される蘭を目の当たりにしていながら、何も出来な
かったのだ。
今度こそ助けたい。

そう思うと、ホテルでのんびりなどしていられなかった。
本来ならパーシーに事情を話し、協力を乞うのが妥当だが、昨夜聞いた通り、今日は事件の現場
検証でそれどころではないだろう。
第一、まだ確証はないことなのだ。
正面切ってミシェル──マルタンを攻めるわけにも行かない。
単に美和子の思い込みで、今回の蘭誘拐にミシェルは関係していないかも知れないのだ。
いやその前に、マルタンという人物がミシェルであるという確証すらない。

美和子は、自分に出来ることをしようと思った。
そのマルタンに会うのだ。
彼が本当にミシェルなら、美和子には必ず解る。
店に行ってオーナーの話を聞くだけなら、別に市警の手を煩わせることもないだろう。
この時点で、美和子は自分が市警に依頼されてこの地に来ていたことをすっかり忘れている。
自分が主体になり始めていたのだ。

ミシェルだという確信を得たら、その時は協力を頼もうと思っていた。
マルタンの顔を確認できればそれでいいのだが、もし会った場合、向こうにもこっちの正体は
バレるだろう。
だが、それも仕方がなかった。
一刻も早く確かめ、最悪の事態なら早急に蘭を救い出さねばならないのだ。

とはいえ、美和子は丸腰である。
昨日の拳銃はパーシーに返却しているし、手錠もない。
身分証明書は、考えた末に持参しないことにした。
バッグには、簡単な化粧品とキャンディにハンカチが入っているくらいだ。
他はいつも持ち歩いている五徳ナイフと小型のドライバーセットである。
何があっても何とかなるようにという用心と、いざという時、ちょっとした武器にもなるから、
日本にいる時でも常にバッグに入れている。

マルタンの店に到着した。
大きな店舗である。
二階建ての建物だが、ビルと呼びたいくらいに大きかった。
上は低いが敷地が広いのである。
この手の店になどほとんど縁の無かった美和子は幾分躊躇したが、意を決して店に入った。

「……」

自動ドアが音もなく開くと、店内は静かで、低くBGMが流れている。
時折、ささやくような会話が聞こえるのは、店員と客が商品について話している声だ。
その店に並んでいる商品群に、美和子はまったく関心がなかった。
ショーウィンドウやガラスケースの中には、それこそ天の川か思うばかりに各種の宝石が散り
ばめられていたが、生憎、彼女はそうしたものに興味がない。

今、美和子が眺めているのはルビーの裸石だ。透き通る赤が美しいと思う。
カットの仕方が良いのか、光の加減で様々な表情を見せてくれる。
1.15カラットで9000ドルだという。
日本円で100万を越える。
これでも、この店では特に高い方ではないらしい。

美和子は小さくため息をついて軽く首を振った。
きらきら輝いているジュエリーは綺麗だとは思う。
それにしてもどうしてこんな法外な価格(彼女はそう思っている)がつくのか、さっぱりわか
らない。
いや、経済観念としてはわかるのだ。
希少価値だろうし、しかも欲しがる人も多いのだろうから、高価なことも理屈では理解できる。
それはわかるのだが、彼女の感性の面から、こんな石っころに何百万も支払える人たちの心情
はわからない。

彼女は、こうしたアクセサリー一般にまるで興味がなく、一種冷淡ですらある。
決して野暮天ではないのだが、着飾りたいという欲求が極度に少ないのである。
例えば、ピアスやイヤリング、指輪にネックレスなどを身につければ美人になるとは彼女には
思えないのだ。
女性の魅力とは、そうしたものとはあまり関係がないだろうと思っている。
周囲の友人たち──例えば宮本由美など──は、普通そう言う風には考えないから、これは
美和子の方が変わっているのだろう。
可愛げのない女だと自分でも思うのだが、興味の持てないものはしょうがない。

ついでに言えば、自分の魅力に関しても無頓着だ。
それなりにモテはするので、自分に対して美人だという評価をしている男性が多いらしいことは
わかる。
しかし、美和子自身は自分の美貌をそう評価はしていない。
風呂上がりの時などに鏡を覗いた時でも、我ながら悪くないと思うこともあるが、きつそうに
見える目元がもっとすっきりすればいいのにと、ため息をつくことの方が多い。
自分の魅力はあまり認めず、異性からのアプローチにも面倒くさいと思ってしまう。
佐藤美和子とは、そういう女なのであった。

しばらくあれこれとアクセサリーを眺めていたが、早くも飽きてきた。
自分がいかにもつまらなそうな顔をしていないか気になってきたので、気分を変えるためトイ
レに立った。
トイレまで宝飾じみているには呆れたが、そういうものなのだろう。
美和子は個室に入ると、正面の小窓を見た。
中折れ式のつっかい棒があり、全開はしないタイプだ。
美和子はバッグを開け、中に手を入れた。

トイレから戻ると、もうすっかり覚悟を決めていた。
彼女は店に潜入しに来ているのではなく、要はマルタン──ミシェルの確認が出来ればいいのだ。
こういう場合、自分を上客に見せて、高額の商品を欲しがっているように見せればいい。
そうすれば責任者──つまりマルタンとやらが出てくる可能性がある。
美和子が日本人なのも好都合だろう。
彼女は、別に高そうなブランドを着ているわけではなかったが、着こなし自体は良いので何を
着ても似合う。
手の空いている店員たちは美和子の方を気にしているようだ。
カネを湯水のように使う、日本のセレブ夫人だとでも思っているのだろう。

「これでいいかな」

彼女が目を着けたのは、店内のほぼ中央にあるガラスケースに収まった宝飾品である。
場所的に見ても、目玉商品あるいは集客用として展示してあるものらしい。
ティアラだった。
いったいいくつダイヤが使ってあるのかわからないくらい散りばめられたそれは、なんと……

「126万ドル……?」

2億5千万円てところだろうか。
典型的庶民である美和子には想像を絶する価格である。
ただ店員たちにはそう見えなかったのか、ひとりの若い男性店員が寄ってきた。
ブロンドを綺麗に撫で付けたブルーアイの、モデルのような男だ。

「いらっしゃいませ。日本からですか?」

流暢な日本語だ。
やはり日本人は上客なのだろう。

「ええ、そう。これステキですね」
「さすがにお目が高い。このティアラは雪の結晶をモチーフにしてベルギーで特別に作られた
もので、全部で100カラットのダイヤを使ってあります。これより高価なものならまだ他
にもございますが、デザインや品質、価格面でもっともバランスの取れている品でございます」
「そう。でも、少しお高いですね、もう少し何とかなりませんか?」

それを聞いて店員は少し驚いた。
冷やかしではないようだ。
美和子がこれを本当に買うつもりだと思ったのだ。
このティアラは、言ってみれば飾りであり、客寄せだ。
無論、買いたい客がいれば売るのだが、さすがにここまで高価だと、手を出せるのは中東の
王族だのヨーロッパ貴族の末裔だの、そうした連中くらいだったのだ。
美和子は一気に最上客へと昇進した。
揉み手をせんばかりに店員は相好を崩して言った。

「お買い上げですか?」
「欲しいですね。お部屋に飾ろうかと思ってるんです」
「それはそれは。これをお飾りになれば箔が付きますし、話題にもなると思いますよ。でもただ
飾るだけではもったいない。パーティの際などには是非お着けになってください。奥様はお美し
いですから、きっとお似合いですよ」
「あら、お上手だこと。でもヘプバーンじゃあるまいし、さすがにそれは出来ませんわ」
「いえいえ、お世辞じゃありませんよ。奥様ならヘプバーンにも負けません」

店員は半ば本気でそう思っているらしい。

「お値段の方ですが、もしよろしかったら当店のオーナーと直接ご商談なさってみて下さい。
きっとオーナーも奥様の美しさに見とれて、サービスしてくれますよ」
「オーナーというと……マルタンさんですか?」
「よくご存じで。さあ、こちらへどうぞ」

美和子は特別室に通された。
派手な装飾が施されたドアが開くと、室内の方は意外と落ち着いていた。
というより、かなり異質である。
洋室に床の間があるせいだろう。
そこには、ご丁寧に禅画の掛け軸がかかっており、信楽の壷まで置いてある。
このわけのわからぬ和洋折衷は何だろうと思っていると、奥の間から大柄な白人男性が入って
きた。

「ようこそ、日本の……」

そこまで言った途端、男が息を飲んだ。185センチ以上はありそうながっしりした長身。
細長い禿頭で、鬢に残った髪には白いものが混じっている。
パリッとした高価そうなスーツを着こなした薄青い瞳のその男に、美和子は確かに見覚えが
あった。

「……やっぱりあなただったの」
「……」
「おひさしぶりね、ミシェル。いえ、ここではマルタンとお呼びした方がいいのかしら?」

腹を決めたのか、ミシェルは薄笑いすら浮かべた。

「……まさかとは思ったがね。佐藤美和子、きみが直接来るとは思わなかったよ」
「……」
「市警の方から、日本の警官が来ているとは聞いていたが……。そうか、私の面通しと言った
ところかね?」
「そんなところね」

答えながら美和子は油断なく周囲を見渡した。
脱出経路を考えていたのである。
マルタンがミシェルだとわかった以上、長居は無用だ。
とはいえ、この状況では逃げられるものではないだろう。
それは美和子も覚悟して来たのだ。
ミシェルは軽く肩をすくめた。

「やれやれ、シカゴも住み難くなってきたな。警察も細かい情報を流して来なくなった」
「当たり前でしょう? 警察もそこまで腐ってはいないわ」
「そういうことのようだな。まだ完全浸透には時間がかかるということか」

ミシェルはデスクの上のブザーを押しながらついぶやく。
それを見ながら美和子が言った。

「あなたも年貢の納め時ね。日本ではうまく逃げたようだけど、今度こそ……」
「そうは行かんさ」

オーナーは笑った。

「年貢を納めるのはきみの方さ。「虎穴に入らずんば虎児を得ず」かね? 穴に入ったはいい
が、虎児を得る前に食われてしまっては意味があるまい」

日本通の外国人は、美和子の立場をそう評した。
ドアが内側に開くと、どやどやと数人の男たちが入ってきた。
今度は人当たりの良さそうな店員ではない。
野卑な街のチンピラといった風情である。
どうしてこんな連中が高級宝飾店にいるのか、さっぱりわからない。

「なんですボス、このビッチは」

そう言いながら、リーダーらしい若者が聞いた。
舐めるような視線でジロジロと美和子の肢体を見つめている。
いかにも好色そうな表情だ。
それをジロリと見てミシェルが注意した。

「甘く見るなよ、フィル。このお嬢さんはな、ニッポンの刑事さまだぞ」
「へえ! こんな別嬪さんがですかい?」
「ああ、そうだ。銃の腕前も格闘技も並外れているぞ」

それを聞くとフィルは顔を顰めた。

「またですかい。どうしてジャップのスケってのはそんなに荒っぽいのが多いんです? ヤマ
トナデシコとか言うのは死語なんですかね。あの蘭って小娘といい、美人なのはいいが、気が
強くで乱暴なのは始末に困ります」

それを聞くと、美和子はすぐに割って入った。

「待って! 今、あなた蘭って言ったわね!?」
「ああ言ったとも、美和子。毛利蘭も、すでに我々の手中にある」
「あなた、また……」
「何を思ってるか知らんが、多分きみの想像通りのことを蘭はされてるってわけだ」

ミシェルがそう言うと、若者たちが卑猥そうに「くくく」と笑った。

「きさま!」

またしてもあの美少女が凄惨な凌辱に遭っている。
心に癒しがたい傷を残したままの女の子を、男どもの薄汚い欲望の生贄にしている。
その後は売り払うつもりなのだろう。
女性の純潔を踏みにじった挙げ句、売買までするというその行為が許せなかった。
そう思うと腹の底から怒りが込み上げてきた。
カッとした美和子が飛びかかろうとすると、ミシェルは懐から銃を出した。

「おっと動かないでもらおうか。そのままだ」
「……」
「それでいいんだ。なに、怖がらなくていい。日本で私に会った時のことを思い出したまえ。
またあの時のように良い思いをさせてやろう」

淫靡な責め。
凄まじい凌辱。
屈辱的な快感。
美和子の脳裏に悪夢が甦る。
男たちが飽きるまで犯された後は殺されるか、蘭のように売られるのだろう。

「フィル」
「へい」

ボスに呼ばれ、にやつきながら寄って来たチンピラは、美和子が持っていたバッグを奪い取っ
た。
留め金を開け、無造作にバッグを逆さにすると、応接デスクの上に中身が散らばった。
ひとつずつ確認するようにフィルキンスがつぶやく。

「……リップにシャドー、ファンデーション。あとは財布にハンカチにキャンディにティッ
シュ……ってとこですね。ん? アーミーナイフがありやがる」

いわゆるスイスナイフとか五徳ナイフというやつで、ブレードの他、ハサミや缶切り、ミニ・
ソウ(ノコギリ)、マルチフックなどが装備されている小型のものだ。
つまりマルチツールである。

「……それだけですね」
「武器は?」
「ありません。ガンも手錠も持ってない。おまけにポリのバッジもありません」

フィルが目をやると、軽く両手を上げていた美和子を身体検査していたチンピラもうなずいた。
美和子のスーツのポケットにあった携帯電話は床に投げ捨てた。

「敵地に乗り込んでくるにしては無防備だったようだな、サトー警部補。もっともきみはここ
では捜査権はないか」
「……」
「まあいい。よし、フィル」
「へへへ」

好色な欲望を丸出しにした顔のまま近寄るチンピラを、美和子はひと睨みで威嚇した。
フィルがその気迫に飲まれて立ち止まると、今度はミシェルを見据えた。

「この卑怯者! いつもいつも自分は手を汚さないのね。手下ばかりにさせないで、自分でやっ
てみたらどうなの」
「ほう」

ミシェルの目が細まった。
冷たい視線で日本の女刑事を見つめている。
そして、美和子に向かおうとしていたフィルを片手で制して言った。

「……いいだろう。それも一興かも知れん」
「そんな、ボス……」

おあずけを食った犬のような表情をしたフィルたちを部屋から追い出すと、ミシェルは上着を
取った。

「そこまで言うからには覚悟は出来ているんだろうな」
「……」
「そう言えば、きみを抱くのはこれが初めてになるんだな」
「……一生ご免被りたかったけどね」
「まあ、そういうな。どうやら長いつき合いになりそうだ」
「……」

─────────────────

ミシェルはジャケットとワイシャツを脱ぎ去っていた。
胸板にはもじゃもじゃと剛毛が密集している。
靴も脱ぎ捨て、厚い絨毯の上を素足で直接踏んでいた。

美和子の方はといえば、そう広くもないガラステーブルの上に転がされていた。
もちろん一糸まとわぬ素っ裸である。
そのメリハリのある肉体には、ひしひしとロープが巻き付いていた。
黒い縄が、美和子の肢体をより一層官能的に見せている。

ミシェルは、わずか5分ほどの早業で美和子を縛り上げていた。
もともとこの男が和風に凝りだしたのが、日本の緊縛プレイからだったから、縛り方は堂に入
っている。
背中の真ん中で後ろ手縛りにし、乳房の上下にしっかりと縄をかける。
脚をやや開かせる格好でロープをかけ、テーブルの脚に縛り付けた。
本当はもっと凝った緊縛を愉しみたいところだったが、予定外の凌辱のため、そう時間がない。
市の名士であり、犯罪組織の幹部であるミシェルは、文字通り分刻みのスケジュールなので
ある。
それでも、若いやつらのように、ただ女を犯すだけではつまらない。
それなりに女にも反応してもらわねばつまらないし、彼のプライドも傷つくというものだ。

「んっ!」

美和子が籠もった声を上げた。
ミシェルが、スッと指で美和子の臀部をなぞり上げたのだ。
そのもぞもぞした感覚に鳥肌が立ち、女は身を捩った。
悲鳴にならなかったのは、彼女の気位だろう。

「こうしてきみの身体を見るのは初めてだが、なるほど見事なものだ。少女の、水を弾くよう
な若い肌も良いが、成熟した女のしっとりした肌も悪くない」
「さ、触るな! 触るなと言って、ああっ」

ミシェルは美和子の丸い臀部をなぞると、そのまま太腿まで指を滑らせていく。
その触り心地や形状を確かめるかのように、触れるか触れないかの微妙なタッチで撫でていった。
腿の裏や内側に指が到達すると、美和子は必死に脚をすりあわせようとモジモジと蠢いた。
そして、我慢しきれないように息をもらす。

「んんっ……や、めろと言っているっ……んうっ……」
「ほう、ここが感じるのか。どれ」
「よ、よせ、あああっ……」

人体は、表より裏側、正面より内側といった具合に、普段隠れている箇所が敏感である。
足の裏、脇の下は言うに及ばず、脇腹や膝の裏、腿の内側などがそうだ。
外気に触れにくい箇所というのは、それだけ人間にとっての急所でもある。
外的刺激が少ないものだから、ちょっとした刺激を敏感に感じ取ってしまうわけだ。
くすぐったいというのとイコールなのである。
美和子も、こそばゆいのか、それとも本当に感じてきているのか、うっすらと白い肌が染まり、
汗も滲みだしている。

「やっ、めろ……あっ……くうっ……はあっ……」
「なんだ、そんな声を出して。もう感じているのか?」
「ふざけ、ああっ!」

必死になって逃げよう、堪えようとしている声にも、甘い色が染みてきている。
早くも美和子の肉体は、ミシェルの指の動きに反応してきていた。
その声を絞り出そうと、ミシェルはしつこいほどに美和子の身体に指を這わせ、撫で上げ続けた。
外国人のごつい手は、思いも寄らぬほどに繊細に動き、その動きに反応して、美和子の尻がなよ
なよぷりぷりと震えるように蠢いていた。

「あっ、く……ほ、本当によせ……あ、んんむっ……」

ミシェルは美和子の初々しい反応を愉しみながら、腕を上半身へと進める。
たっぷりとした乳房がロープに括り出され、扇情的な色気を醸し出していた。
それを揉み込む。

「ああっ!」

蘭のような若い弾力こそないものの、充分以上の大きさのそれは柔らかくて、揉み込んでいると
彼の手の中でとろけてしまいそうだ。
アクセントに乳首をつねってやると、「ひっ」と喉を鳴らして仰け反る。
痛いことも痛いのだろうが、快感になってきているに違いない。
もうすっかりしこっている乳首の硬さがそれを証明していた。

「い、いや……あうう……」

美和子は当惑していた。
もともとこうなるかも知れない、あるいは「こうなること」を目的とした潜入だ。
凌辱は覚悟の上だった。
最初にいた若い連中の輪姦を避けられたし、こうしてミシェルの相手をすることは願ったり叶っ
たりのはずだ。
あとは石のように冷たく硬くなって、男からの愛撫に耐え抜きさえすればいい。
そう思っていた。
だが、そう簡単にはいかないだろうということは、彼女自身にもわかっていた。
何しろ前回の凌辱、調教が堪えていたのだ。

美和子自身、セックスは特に好きでも嫌いでもなかった。
愛する男に抱かれれば人並みに感じるが、自分の性欲が抑えられないなどということはない。
仮に犯され、快感を得ることがあったとしても、充分に理性で快楽を制御できると信じていた。
そうではなかったことは、牧田やトッドに犯されてイヤと言うほど解らされた。
彼らは、女体はおまえが思っているほど心的なものではないと言った。
もっと機械的なもので、感じるポイントを押さえられれば、誰だって感じるの当たり前だと。

最初は信じなかったが、牧田に犯され、トッドに凌辱を受け続けるにつれ、本当かも知れない
と思い始めた。
どんなに心で抗っても、身体の方が許してくれない。
乱暴なヤクザ者や野卑な黒人に犯されているというのに、信じられないような肉体的快感に襲
われたのである。

言葉でも虐められた。
おまえはマゾだと言われ、虐められると燃えるのだと指摘された。
恥ずかしいことをされ、それを見られると感じてしまう体質だと罵られもした。
最後には否定できなくなっていた。
みんな事実だったからだ。
浣腸責めされ、排便を我慢している顔を見られ、排泄まで見られる。
膣を犯されるだけでなく、あろうことか肛門まで犯されてしまった。
そうした屈辱的な行為すら、美和子の肉体は受け入れていったのだ。
ひどいことをされ、恥ずかしい言葉を言われ、あるいは言わされると、ウソのように肉体が
火照るのがわかった。
悪夢のような連続絶頂地獄から助け出された時、美和子は半ば廃人のようになっていた。
よくここまで持ち直したと自分でも思う。
だが、その後遺症とでもいうのか、以前より明らかに性的な欲望が強くなってしまったように
思う。

自宅で母親とテレビドラマを見ていてラブシーンが出てくると緊張する。
絡みのシーンでも、以前は平気で見ていられたのに、今では、まるで自分が抱かされているある
いは犯されているかのような錯覚を受け、身体の奥が熱くなってくる。
ちょっとした刺激でもびっくりするくらい感じてしまうこともあった。
これで痴漢にでも遭ったらどうなってしまうのかと本気で心配したくらいだ。
それでも、あれ以降は男と触れる機会もなく、また仕事も忙しかったため、気持ちを性へ持って
いく余裕もなかった。
だが、こうして機会が訪れると、自分でも情けないくらいにあっさりと感じてきてしまっている。
意に染まぬ相手に犯されるというのに、嬌声を放ってしまうかも知れない。

美和子の不安は的中する。
股間を覗き込んだミシェルがつぶやいた。

「ふむ、濡れてきてはいるが、まだまだだな」
「くっ……どっ、どこを見ている!」
「もちろん美しい日本の女刑事さんの大事なところさ。ほう、綺麗なものだな。処女のようだ。
トッドのでかいのを何度もくわえこんだとはとても思えんな」
「言うな!」

美和子の活きのいい反発を嘲笑しつつ、ミシェルは彼女が強く反応したところを集中的に撫でて
いく。
丸くて大きな臀部から、腿の内側へかけて、何度もなぞった。
剥き出しになった尻のつるつるした感触と、内腿のすべすべした感触。
異なった肌触りのコントラストを愉しんでいると、美和子の口からは堪えきれない喘ぎを噛み
殺し、熱い息を吐いていた。
慎ましやかなはずの女が、徐々に性の反応を露わにしていく過程こそ、男にとってたまらない
昂奮を呼ぶ。

「も、もう触るな……はああっ……」

美和子は、次第に明らかになる愛撫への結果を、必死になって押さえ込んでいる。
それを支えているのは、ミシェルに嬲られるという屈辱に他ならない。
しかし同時に、美和子は屈辱すらも官能にすり替わるという被虐的素養を高く持っている。
悔しい思い、恥ずかしい思いを耐えれば耐えるほど、堕ちた時のギャップが激しい。
美和子の忍耐力が勝てば問題ないが、破れた場合は、堪えた分だけ一層激しく燃え上がって
しまうことになる。
女に関しては百戦錬磨のミシェルと、まるで奥手だった反面、性的感度は抜群の美和子では、
はなから勝負になるはずもないのだった。

「ひっ!」

突然の感覚に、美和子は思わず仰け反った。
ミシェルの指がとうとう媚肉に伸びてきたのだ。
ミシェルは、初めて見る美和子のそこを、じっくり調査でもするかのように周辺を指でなぞっ
ていく。
陰毛が吸い上げた美和子の蜜が、なぞるミシェルの指にもまとわりついた。

「う、あっ……やめ、あっ……んんっ……そこっ……くうっ……」

指がさりげなく美和子のポイント──やや肉厚の割れ目の縁だとか、もう半分ほど顔を出して
いるクリトリスだとかを触れていくと、身体がギクンと跳ねるように反応する。
面白いことに、美和子が大きく反応する箇所を責めると、膣も収縮するが、同時にアヌスも
キュッと締まっている。
トッドが、美和子には尻責めが利くと言っていたが、どうやら本当らしい。
ミシェルも嫌いではないから、ついそこも責めようとしたが、今は時間がない。
さっさとこの女に引導を渡して、フィルたちに引き渡せばならない。
時間が取れたら、ゆっくりアヌスを責めればいい。
浣腸責めにアナルバイブ責め、仕上げにアナルセックスとフルコースで責めてやろう。
今はます、美和子をメロメロにすることが先決だ。

「見……るな……ああ……」

ミシェルの指を秘裂に感じ取り、美和子はゆるゆると臀部を振ってむずかった。
もっと強く拒絶したいのに力が入らない。
犯されることは覚悟していたせいでもあるまいが、身体の方が男に慕い寄ってしまう。

割れ目に指をかけて開き、内部を見られているのがわかる。
外気が秘められた穴──尿道と膣口に当たるのだ。
そんなところをじっくりと見られていると思うだけで、腰の奥から熱いものが分泌され、媚肉
から漏れ出てしまう。
男の指が感じるところに触れるごとに、グッと全身に力を込めて耐える。
それが繰り返されるものだから、美和子はすっかり疲労してしまっていた。
そのせいか、ミシェルの指がすっと離れると、ガクリとばかりに脱力した。
やや崩れた四つん這いの状態で、荒い息を吐いている美女を眺めながら、ミシェルはスラック
スも下ろした。

「では、美和子を味わわせてもらうかな」

トランクスも脱ぎ去って、剥き出しになった男根を手にすると、そのまま美和子の媚肉に押し
当てた。
肉棒の熱い感触を感じ、美和子は焦ったように叫んだ。

「やめろ! 入れるな!」

実は彼女にとって、これはある程度「望んだ展開」ではあったが、そこは女性である。
意に染まぬ相手に犯されることには本能的な恐怖があるのだ。
女の抵抗など、肉料理のスパイス程度にしか思っていないミシェルにとって、美和子の悲鳴は
味付けでしかない。

「どれ、蘭とはどう違うか試させてもらおうか。蘭も具合が良かったぞ、若いだけに締まりが
抜群だった」
「きさまあっ! ……は、ううむっ!」

美和子の怨嗟は最後まで続かなかった。
ミシェルが押し入ってきたのだ。
太い亀頭部がむりむりと美和子の狭い膣口を拡げた。

「あ……うう……くあ!」

亀頭が膣口を通り抜けた瞬間、美和子は甲高い悲鳴を上げた。
裂けるかと思ったのだ。
トッドといい、ミシェルといい、どうして外国人のものはこうもたくましいのか。
ショックを受ける暇もなく、肉棒が膣を犯していく。
ペニスが奥を目指して進んでいくと、その太さに合わせて膣道が広がっていった。
みっちりという感じで収まり、少なくとも太さに関しては隙間がないくらいの窮屈さがある。
そのまま進めていくと、ちょうど根元まで入ったところでコツンと最奥にぶつかった。

「うくううっっ!!」

子宮口まで届かされ、美和子はグンッと背を反らせた。
感じるというより、その圧迫感が苦しい。
みっしりといっぱいに入れられ、息も出来ないほどだ。
腰を美和子の柔らかい尻に密着させると、ミシェルは満足げに言った。

「なるほど、これはなかなかのものだな。マキタやトッドがきみを褒めちぎっていた理由が
わかるよ」
「う……ああ……」
「確かきみは28歳だったね? 歳を食ってるから、もっと緩いのかと思ったが、どうして
どうして。蘭に負けず劣らず、充分に締め付けてくるじゃないか」

ミシェルは感嘆したように言った。
若い娘ほどの締め付けはなかろうが、その分、熟れた女の性器としての魅力はあるだろうと思
っていた。
ところがそうではないのだ。
身体を鍛えているせいもあるだろうが、収縮は10代の娘並みだ。
おまけに膣内の肉襞の状態が絶品だ。
絡みつくような感触はミミズ千匹というやつだろう。
成熟した女としての媚肉の味わいもあるということだ。
つまり、両方のいいとこ獲りではないか。
散々女を泣かせてきたトッドが褒めるのも当然というわけだ。
存分に美和子の胎内を愉しむと、ミシェルは腰を動かし出した。

「あ、あくっ……やめ、動くな! ああっ……」

奥深くまで挿入されても、まだ健気に抵抗する美和子だったが、嫌がって尻をもぞつかせる
たびに、ミシェルがクリトリスをいびってくる。
指に蜜をまぶして、そのぬるぬるした感触で敏感な肉芽をコリコリとこねてくる。
途端に美和子は、素直な性反応を見せてしまう。

「はうっ……そ、そこ、いじるなっ……ひぃっ……やめろっ、あうっ……はああっ……」

それだけでもしっかりと感じている風だったが、ミシェルはなおも片手を乳房へ進める。
左手でクリトリスをこね、そのまま美和子の背中に覆い被さって、右手を豊潤そのものの乳房
を揉みしだく。
ツンと屹立した乳首を指で捻ってやると、また別の反応を示した。

「ああ! ……くっ……い、いやっ……ううんっ……」

クリトリスを責めているミシェルの左手は、美和子の愛液が垂れてきている。
それがさらさらしたものから、ねっとりとした粘りのあるものに変わっていく。
ミシェルはそれを確かめると、いよいよ本格的に腰を使ってきた。

「やっ、やめっ……いやあああっ……」

ズンズンと奥深くまで、連続したピストンで攻撃してきた。
ただ突っ込むだけの稚拙な性技ではない。
突くたびに、微妙に角度を変化させ、美和子の性感帯を探るような責めだ。
感じるところを突かれると、つい甲高い声で喘いでしまう。
その仕草を男は見逃さない。

「そうか、美和子はここが弱いんだな。それならこれでどうだ」
「やっ、はあああっっ……!」

少し浅く挿入され、腹側──バックで責められている場合は、下の方を突かれると、気が飛び
そうなくらいに感じてしまう。
逆に、2/3ほど挿入された状態で、背中側の壁を擦られると、これもビリビリと痺れるほど
の恍惚感が来る。
だが、もっとも感じるのは、やはり子宮口付近だ。
トッドにいやというほど開発されたボルチオである。

(ああ、だめっ……こ、こんな……抱かれるのが目的だったけど、これじゃあ……ああっ……)

「あはっ! あうっ! ああっ、あっ、んあっ、うんっ、うあっ」

深く重い律動を加えられ、突かれるごとに声が出る。

「んああ〜〜〜〜〜っっ!」

根元まで沈められたまま、グリグリと先っぽで子宮口を抉られると、腹の底から獣のような
声で呻いた。

「本当にいいヴァギナだ。私のペニスに吸い付いてくるよ」
「あああ……んわっ……くうっ……」

ミシェルの戯れ言につき合う余裕もなかった。
まるで性の神経が剥き出しになっているかのようで、大きな男根で擦られると、飛び上がり
たいほどの刺激が走った。
中程までの挿入のまま、ぐいぐいと媚肉を拡げるようにして嬲られていたが、突然、腰をぐいっ
と引き寄せられた。
その勢いがついたまま硬い男根が子宮に激突すると、美和子はギクッと背中を大きく仰け反った。

「うあああっ!」
「なんだ、もういったのかね?」

きゅうきゅうと収縮してくる媚肉の感触を得て、ミシェルはそう言った。
美和子には「いかされた」実感はなかったが、その瞬間に鮮烈な快感を感じたことは確かだった。
意識はしなかったが、いってしまったのかも知れない。
美和子が答えられないでいると、ミシェルはその細腰を掴んで、律動の速度を上げていく。

「うああっ……ああっ……やはあっ……ひっ……うむううっ……」

囚われの女捜査官は、男の肉棒が作り出す激しい律動に合わせて、あうあうと口を開けて情け
ない呻き声を洩らした。
凄い勢いで肉棒が美和子の膣を出入りしている。
美和子の蜜が漏れ、それが男女の腰の激突で弾け飛んでいた。
さっきまでとは比べものにならないスピードで、美和子の割れ目から子宮口まで激しく突き
上げていく。
女刑事の理性をピストンが打ち砕き、愛液が溶かしていった。

(だめえ……ああ、もう何も考えられないっ……!)

美和子は何か吹っ切れたかのように、喘ぎだした。
凌辱される屈辱と、犯されねばならない決意が混じり合い、精神による快感の耐性が不可能と
なる。

「あううっ、いやあっ……はっ、激しいっ……も、もっとゆっくり……あああ……」
「そうかね? トッドの話だと、きみは激しいのが好みだと言うが」
「ち、違……あああっ!」

美和子の言葉などまるで無視して、ミシェルはさらに激しい腰使いで責め上げる。
奥深くにある子宮口がもっとも感じるようだが、入り口付近の浅い箇所や、中程の膣壁にも
感じるところがあるらしい。
最奥までぶち込んだ時と、浅くとも角度を変えてやった時には、美和子は嬌声すら上げた。

「あはあっ……ああっ、く……い……」
「いいのだろう? 素直に言えばいい、「気持ちいい」とな」
「だっ、誰が……ああう……」

盛んに頭を振って否定し、黒髪を振り乱してはいるものの、両手はしっかりと握りしめて快感
に耐えている。
弱点を責められると、きゅっと媚肉が締まって、挿入した肉棒を絡み獲っていく。
まだはっきりとしたよがり声にならないところを見ると、微かに残った理性が、犯されて絶頂
に達することを我慢しているのだろう。
だがそれも、ミシェルの最終攻勢の前には虚しかった。
残留理性をすりつぶすかのように、何度も激しくペニスを打ち込んでいく。
美和子は喘ぎを止められなくなった。

「あああっ……あはあっ……あ、あううっ……お、願いっ……も、やめ、ああっ……お、おか
しくなるっ……」
「いきたいのだろう? いいさ、いけばいい」
「い、いや……それだけは……あぐうっ……」

ミシェルは腰を突くだけでなく、両手で乳房を揉み潰したし、クリトリスをこねくったり、
アヌス周辺をいびったりもした。
美和子は、こうして複数の快感を相関させられるのが、もっとも弱い。

「だめっ……あ、あ……だめ、来るっ……来ちゃうっ……」
「いくなら「いく」と言いたまえ」

美和子は、汗に湿ってきた全身をぶるぶると痙攣させ始めた。
性の頂点が近いのは、誰が見てもわかる。
ミシェルのペニスを締め上げる膣も、さっきから周期的な収縮を繰り返すようになっていた。
ここだと思ったミシェルは乳房を責めていた両手を腰にまわし、がっしりと掴むと、強烈な
突き込みで最奥を責めた。
亀頭部による激しい頭突きで子宮口が壊れそうなほどだ。

最後の一撃が美和子の子宮にめり込んだ時、美和子の意識が飛んだ。
指の爪が手のひらに食い込むほどに握りしめ、美和子の裸体がガクガクッと跳ね、背中をぐぐっ
と弓なりに仰け反らせた。
大きな絶叫とともに、美和子の肉の快楽が一気に爆発する。

「はあああっっっ!!」

その瞬間、今までにない収縮がミシェルの肉棒を襲った。
きゅううっと締まってくるきつさは、毛利蘭のそれに優るとも劣らなかった。
ミシェルでさえも、とても我慢できるものではなく、腰を中心に力を入れた。
込み上げてくる快感と射精欲が、精嚢から突き上げてきた。
三段締めする美和子の膣が、ペニスの根元とサオの中程、そしてカリの下をを締め付ける。
ミシェルは呻いて射精した。

「ううっ……」

どぴゅんっ。
どびゅびゅっ。
どぶっ。
どびゅるっ。
びゅくっ。

暴発した精子の塊が、流れとなって美和子の胎内を犯していく。
子宮口付近でモロに射精したため、子宮にもたっぷりとひっかけられた。

「あ……中で……出てる……ああ……」

美和子は、胎内に流れ込んでくる精液をしっかりと感じ取っていた。
ミシェルは未練がましく腰を振り、最後の一滴まで美和子の子宮に注ぎ込んだ。
ペニスが抜き取られた膣は、まだ口を小さく開けたままで、そこからどろりとした精液が逆流
してきていた。

女にすっかり抵抗の意志がなくなったと見て、ミシェルは縄を解いた。
美和子は拘束を解かれた途端、バランスを崩してテーブルの上に崩折れた。
つぶれたカエルのような格好だった美和子が、震える腕で立とうとし、膝が崩れて絨毯に座り
込んだ。
横座りになった股間からも、まだ精液が零れ、毛足の長い絨毯が吸い取っている。

ミシェルが逸物をティッシュで清め、トランクスを履いていると、美和子はハンカチで股間を
拭っていた。
自分の愛液もあるが、何しろミシェルの吐き出した精液が気持ち悪いのだろう。
それを見て、ミシェルが哄笑した。

「きれい好きなようだが、そんなことをしても無駄だぞ。どうせこの後、あの若い奴らに回さ
れるのだからな」
「……」
「まあ、奴らが一通り終わったら、ゆっくりシャワーを浴びるがいいさ。その後でアジトの方
へご招待しよう」

パレット幹部はそう言うと、インターフォンでフィルたちを呼び出した。




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