好印象に変わりつつあった白鳥に犯されたのはショックだった。
裏切られた思いが強く、安易に騙されたことが悔しくてならない。
心身ともにダメージを受け、翌日登庁するのが辛かった。
これが日本でいつもの職場にいたのであれば、特に事件がなければ休暇届けを出すところだ。
だが海外研修とあっては相手のスケジュールもあるから休むわけにもにもいかず、美和子は普段の様子で香港警務処本部へ顔を出した。
午前中の座学を終えると廊下で白鳥とすれ違った。

「……」

人目もあるので無視も出来ず、それでもなるべく無表情のまま会釈だけして過ぎ去ろうとした。
なのに白鳥と来たら、いつものように笑顔で挨拶する。

「やあ佐藤警部補、午前の研修は終わりですか」
「……」
「僕もこれからお昼なんですが、ご一緒にいかがです?」

信じられなかった。
まるで何事もなかったかのように気軽に話しかけてくる。
昨夜の出来事をなかったことにしたいのは美和子も同じだが、加害者であるこの男が被害者にそうした態度を取ることが理解できない。

(何なの、この人……、どんな神経してるの? 信じられない……)

微笑む白鳥の表情には、夕べのいやらしさは微塵も感じられない。
ことさら美和子の胸だの脚だのにいやらしい視線を走らせることもなかった。
けろりとしたその表情を見ていると、美和子を犯したことなど大したことではないとでも言っているかのようだ。

そう思うと無性に腹が立ってきた。
もと同僚の誼で被害届を出すようなことはしないつもりだったが、この厚顔無恥さを見ていると、いっそ訴えてやろうかとすら思ってくる。
無言の美和子が相手の目も見ずに返事をしない様子を見ても、白鳥は気にしない様子でなおも誘いを掛ける。

「どこでもお連れしますよ、何を食べましょうか」
「……」

廊下をすれ違う香港警察の職員たちが興味深げにこっちを見てくる。
立ち止まって見物するようなことはないが、ちらちらと美和子や白鳥に目をやりながらすれ違い、通り過ぎると何やらこそこそと話をしている。
中には振り返ってまたふたりを見ている者もいた。
この状況でことさら無視も出来ず、美和子は周囲を気にしながらようやく返事をした。

「……今日は他に約束がありますので」
「……」

もちろんウソだが、とにかくこの場を凌がねばならない。
白鳥も美和子のウソに気づいたようだが、あっさりと頷いた。

「そうですか、わかりました。じゃあ今晩はどうです?」
「……」

厚かましさもここまで来ると、美和子もさすがに呆れてしまう。
もう相手にしないとばかりに無言のまま再び会釈をしてその場を立ち去ろうとしたが、その背中にまた声が掛かった。

「あ、そうそう佐藤警部補。急な話で申し訳ないんですが、今日から僕の仕事も手伝っていただけますか?」
「……は?」

美和子は思わず振り向いた。
白鳥はそこから動かずに言った。

「実は例のパレット……いや、もうPMと言った方がいいのかな、そっちの仕事なんですがね。資料整理とかレポート作ったり……、もちろん事件経験者である佐藤警部補のご意見を伺うこともあると思います」
「……」

白鳥は単身で香港に来ているようだから部下もいないのだろう。
しかし先日、彼の執務室を訪れた時には秘書らしき女性がいたはずだ。
彼女も職員か、もしかしたらここの警官で白鳥を補助しているのではないのか。
美和子がそう思うと、それを察したのか白鳥が答える。

「香港警察からひとり付けてもらってるんですけどね、彼女は主にこっちでのスケジュール調整や書類整理をしてるだけなんです。日本語はある程度出来ますが、難しいというか日本独自の漢字なんかはまだよくわからないんですよ。それに……、ここだけの話、これは日本警察のヤマですからね、あんまり外部の目には見せたくないものもあるんですよ」
「でも、私は……」
「ああ、警務処本部の研修担当官には話を通しておきました。配慮してくれるそうです。一応、日本へ連絡して警視庁の松本管理官や目暮警部にはご許可いただきました。佐藤警部補に無理がかからない程度であれば、ということで……」
「……」

外堀は埋めた、ということか。
根回しまでされた以上、素っ気なくすることも出来なかった。
美和子はため息をついて承諾した。

「……わかりました、そういうことであれば……」
「そうですか、助かります。では早速で申し訳ないんですが、今日の夕方からお願いできますか」
「……」

声は出さなかったが「承諾した」と言うように美和子は小さく頷き、白鳥から離れていった。
顔は背けたままだった。

──────────────────

やはりというか、白鳥の仕事を手伝った後は夕食の誘いが来た。
あんな酷いことをしておいてぬけぬけとまた誘ってくる無神経さに腹が立ったから、曖昧にせずきっぱりと断ってやった。
白鳥は苦笑していたが、それでも強引に連れて行くようなことはしなかった。

翌日も、また翌日も同じだった。
呆れてしまった。
厚顔無恥もここまで来ると怒る気もしない。
それともこの男、本当に何とも思っていないのだろうか。

それを確かめたくなった美和子は白鳥の誘いに乗った。
ここで問い質してもいいのだが、周囲の目もある。
ドア一枚隔てた向こうには日本語が出来る職員がいるのだ。
あからさまな内容は知られたくなかった。

午後3時過ぎから白鳥の仕事を手伝い始めたが、この時は秘書も一緒だったせいか、白鳥も仕事以外の話はほとんどしなかった。
定刻の5時で仕事を終えると、約束通り白鳥と出かけた。
ふたり並んで部屋を出るところを、秘書がじっと見つめていたのが気になった。
白鳥は仕事中にも一度、夕食のことを美和子に確認しているから、近くにいた彼女もそれは聞いていたはずだ。
デートに行くのだと思われているのかと思うと美和子はうんざりした。

この日、連れて行かれたのはインド料理店だった。
なんでも、イギリス統治時代、植民地だったインドから随分とインド人が流入したらしい。
そのためインド料理も香港ではかなりポピュラーになったのだそうだ。
食べながら白鳥からそんな蘊蓄を聞かされたものの、美和子は聞き流している。
気障な男だ、おまえの蘊蓄なんか聞きに来ているわけではない、と美和子の顔が言っている。
そんな美和子の心情を知ってか知らずか、白鳥は何事もないかのように話し続けた。

「どうかしたんですか? あまり食が進まないようですが……」
「……」

あなたと一緒だからだ、と、喉まで出かかったのを何とか抑える。
お腹が空いていないこともないが、この状況では食べる気がしなかった。

今、ふたりが食べているのはプラーオと呼ばれるもので具をたくさん入れてスープで炊いたご飯だと白鳥が言った。
要はピラフで作り方もさほど変わらないらしい。
白鳥は食欲旺盛で、シーク・カバーブという肉の串焼きにかぶりついている。
羊肉だが、慣れてくるとこのクセがたまらない、などと言っていた。

一方の美和子は食欲などあるはずもなく、気のない様子でフォークの先でタンドリーチキンを突っついている。
もしかすると高木とつき合う前の自分は、男性と出かけてもいつもこんな感じだったのかも知れないな、と、ふと思う。
今の自分は、さもつまらなそうな顔をしているんだろうなと思ったりする。
友人の宮本由美や後輩の夏実が呆れ気味に忠告したのも無理はなかった。

だが、殉職した松田刑事と高木を除けば、美和子が意識したくなる男性がいなかったのだから仕方がない。
こんなつまらない女は、高木のような奇特な男が現れなかったら、一生独身か、意に染まぬ相手を見合いさせられ、結婚していたかも知れない。
そんなことを考えていたら、いつの間にか白鳥は食事を終え、デザートを食べていた。
見れば美和子の前にもデザートが用意されていたが、まるで気づかなかった。
白鳥は食後の紅茶を飲みながらおもむろに口を開いた。

「……ところで例の事件なんですがね」
「例の……って?」
「ほら、パレット事件ですよ、あなたも関わった」
「……」

美和子はふっと横を向いた。
その話は誰ともしたくないし、ましてこの男に知られたくはない。
興味なさげに頬杖を突き、横のテーブルのカップルをぼんやりと眺めている。
香港の若い女性は美人が多いなと、余計なことを考えた。
構わず白鳥は続けた。

「現場に踏み込んだ時にはヤクザの死体がひとつ転がっていただけでもぬけの殻だったんですがね、連中、慌てて逃げたらしくて証拠品すべては処分しきれなかったようなんですよ」

白鳥は指でトントンとテーブルを叩いている。

「あとで佐藤さんにもチェックしてもらいますけどね、その中にやつらが撮影したと思われる映像がいくつかありまして……」
「……!!」

驚いた美和子は思わず白鳥の顔をまじまじと見つめた。
自然と肩に力が入る。
身体が強張り、緊張が高まっていくのがわかった。
そんな美和子を見ながら白鳥は思わせぶりに言う。

「全部で13本かな……。その中に庁内でもトップ・シークレットの極秘扱いされているのが2本ほどありました。僕も見させてもらいましたが……」
「見たの!?」

美和子は唖然として目を見開いた。
白鳥の方は表情を変えずに紅茶を啜っている。

「……ええ、しっかりとね」
「あ、あの……」
「……佐藤さんが映っていました」
「っ……」

やはりそうだったのか。美和子はカタカタと小刻みに震えていた。
こんな男に、誰にも見られたくない痴態をつぶさに見られたというのか。

「ご安心下さい。さっきも言いましたが、あのビデオは極秘扱いです。警視庁、警察庁を合わせても、そうだな、僕を含めて見た人は片手ほどもいないと思います。ほとんどは佐藤さんと関わりのない人です。唯一、捜査一課でパレット専任になってる警部補が見ていたかな……」

松井刑事のことだろう。
あの人も見ていたとは思わなかった。
刑事部屋で会っても挨拶する程度だったし、九条検事事件の際は一緒に動いたこともあったが、そんなことをおくびにも出さなかった。
今さらながら松井の度量に感謝したくなる。
それに比べてこの男は……、と美和子が睨みつけると、視線を弾き返すように白鳥が言った。

「デザートは……もういいですか? では、そろそろ行きましょうか」
「行くって……、私はもう帰るわよ」
「もう少しつき合ってください。じっくりとさっきの話をしましょう」

これは歴とした脅迫だと思いながら、美和子は従わざるを得なかった。

──────────────────

「どういうつもりなの、こんなところに連れ込んで……」

何とか声の震えを覚られぬよう、美和子はそう言った。
連れて来られたのは白鳥が滞在しているホテルの部屋だった。
さすがに一警官の美和子とは違いスィートになっている。
VIPや大金持ちが泊まるような贅を尽くした作りではないが、寝室の他にリビングとパントリーがあった。
白鳥はガウンに着替えていたが、美和子は部屋の真ん中で立ち尽くしたままだ。

「よ、用がないから帰るわよ」
「いやいや、ゆっくりしていって下さい。何ならこのまま泊まって、明日はここから出勤するといい」
「冗談じゃないわ!」

美和子はきっぱりとそう言ったが、語尾が震えているのは誤魔化せなかった。
白鳥が何を望んでいるのかは承知している。
それを考えると脅えが出るのはやむを得なかった。
白鳥はタバコを吹かしながら言った。

「佐藤さんも着替えたらいかがです? 女性用のガウンも用意してありますよ」
「わ、私はすぐに帰るのよ。着替える必要なんか……」
「ところであのビデオですがね」
「っ……!」
「……こっちに持ってきてるんですよ。見てみませんか?」
「あ、あなたという人は……!」

やはりそうだ。
この卑劣な男は捜査資料にしか使ってはならぬ証拠物件で、美和子を脅し、その身体を弄ぶつもりなのだ。
それだけでも立派過ぎる犯罪行為だし、守秘義務違反でもある。
許せなかった。
殴りつけるか、それともこのまま帰ろうかと思っていると、白鳥がテーブルのリモコンを操作した。

「あっ……」

大きな50インチのテレビにスイッチが入り、すぐにビデオが再生される。
黒人の巨漢が映っていた。
その向こうにいる白い人影は、言うまでもなく美和子自身である。

「や、やめて……もう、やめてっ!」

美和子は脚をガタガタと震わせ、そのまま絨毯の上にへたり込んだ。
目を堅く閉じ耳を押さえてわなわなと震えている。

「……わかりました」

白鳥はスイッチを切った。
見るに堪えないから確認しなかったが、あの後には凄惨なレイプシーンが映るのだろう。
白鳥は座り込んでいる美和子を見ながら立ち上がり、部屋の壁に設置されているオーク材のカップボードから洋酒のボトルを取り出すと、木製のワゴンにグラスと共に乗せてきた。
再びソファに座り、ブランデーをちびちび飲み始めている。

「帰らないんですね?」
「……」
「けっこう。では着替えてもらいましょうか」
「いや」
「佐藤さん」
「……」
「聞き分けが悪いなあ」

白鳥は肩をすくめて見せた。

「じゃあ、また上映会にしますか?」
「ひ……、卑怯者……」
「今日のところは何とでも言ってくれてけっこうです。で、どうしますか?」
「わかった……わよ……」

美和子は渋々とソファに置いてあったガウンを取ろうとすると、白鳥にそれを奪われた。

「?」
「最初に僕に逆らいましたんで、これはなしです」
「ど……、どういうこと?」
「脱ぐだけでけっこうです」
「何ですって!?」
「脱いでください。そしてそのままでいてもらいます」
「そんな……」
「言ったでしょう? 逆らったからです。これ以上逆らうと、もっと……」
「いや!」
「何度も言わせないでください。それとも僕が脱がせてあげましょうか?」
「いやだってば! じ、自分で脱ぐわよ」
「それでいい。あ、そうそう、ここで脱ぐんですよ。隠さないようにね」
「く……」

もう、どうでもよかった。
抱かれるならさっさと抱かれて終わりにしたい。
そしてこれ以降、白鳥とは関わらないような策を考えなければならない。
今日だけは屈辱に耐えて身を任せるしかなかった。
白鳥のやる気を殺ぐべく、なるべく素っ気ない態度でいてやればいい。
ヘタに嫌がったり躊躇ったり恥ずかしがったりすれば、それだけ男を悦ばせるだけだ。

意を決したように、美和子は自分から脱ぎ始めた。
今日はベージュのスーツ・スカートである。
デザインはオーソドックスだったが、明るいベージュが美和子に良く似合っている。
親友の由美が言っていたように「元が良いのだから何を着てもそれなりに似合う」のである。

スーツを脱ぐとウェストがキュッと締まっているのがよくわかる。
ボタンを上からゆっくりと外し、清潔そうな白のブラウスも脱いでいく。
素手から腕を抜く、丸く艶やかな女らしい肩口が露わになった。
スリットの入ったタイトスカートは膝上15センチくらいのミニなので、すらっと伸びた綺麗な脚がたっぷりと拝める。
ホックは外したが、大きなお尻で引っかかっているようで、美和子が少し腰を蠢かせながら裾に手を入れると、するっと足下にスカートが舞い落ちた。

そこでちらりとソファの方を見たが、白鳥は何も言わず、ブランデーを舐めながら美和子のストリップショウを見物していた。
卑劣なことこの上ないが、美和子を見る目つきにはさほどいやらしさは感じられない。
美和子の肌の色よりやや濃いくらいのストッキングも爪先から抜いた。

そこまでは何とか耐えられたが、さすがにこれ以上は辛かった。
今までも犯罪者たちから同じようにストリップを要求されたことはあったが、慣れるような類のものではないのだ。
白鳥に下着姿を見られるだけでもかなり恥辱的なのに、全裸になるなど信じられなかった。

しかし応じないわけにもいかない。
美和子は白鳥に背を向けてブラジャーを外しにかかる。
細い腕が背中に回り、器用にホックを外すと、ぽろりとカップが外れた。それを床に落とすと、今度はショーツの裾に手を掛ける。
ほんの少し躊躇したものの、死んだつもりになって一気に両手で足首まで引き下ろした。
そっと足首から下着を抜くと、左手でお尻を、右手で胸を隠しながら白鳥に言った。

「ぬ……、脱いだわよ」
「けっこう。あ、隠さないでください。さっきそう言ったでしょう?」
「……」

冷酷な言葉で諦めた美和子は、ゆっくりと白鳥に向き直った。
胸乳を隠していた右腕は外したが、さすがに股間を見られるのはつらいようで、そっと左手のひらで覆っている。
白鳥はそれについては文句は言わず、ただ美和子の裸身を眺めていた。

(なんて綺麗なんだ……!)

白鳥は改めてそう思い、食い入るように見つめた。
先日の半脱ぎ状態もなかなか興奮したが、こうして全裸にしてみると美和子の肢体の美しさが際立つように思う。
不自然な格好で寝そべっているのではなく、きちんと立っているせいもあるだろう。

白く陶器のような肌の綺麗さには感心させられる。
白人の女には望むべくもないものだ。
白鳥も香港で白人女性のコールガールを何度か抱いたが、この肌のきめ細やかさと美しさは日本美人のそれとは比較にならないと思う。

目はどうしても胸の膨らみに向けられる。
この前は寝そべっていてあれだけのサイズがあったのだからさぞや、とは思ったが予想以上に豊かな乳房だった。
見事としか言いようのない丸みと盛り上がりに加え、名状し難いほどに形が美しい。
古の彫刻家たちがこれを見たら、こぞってモデルになって欲しいと懇願するだろう。
理知的な美貌に似合わぬほど、はちきれそうな官能美を湛えた乳房には控え目な色の乳輪と小さな乳首が愛らしく膨れていた。
コルセットでもしているのかと思えるほどにウェストは引き締まり、それを強調するように腰が大きく張っている。
その真ん中にあるヘソまでが何とも艶っぽく見えた。
白鳥は股間が熱くなるのを感じた。

「よし……、今度は後ろを向いて」
「……」
「早く。お尻を見せるんです」
「っ……」

見せ物にされる屈辱と恥ずかしさで、美和子の胸がカッと熱くなる。
動きが鈍くなったりためらいがちになっているのは、羞恥というよりもこんなことをさせている白鳥への怒りが強いせいだ。
唇が細かく震えているのも、今にも怒鳴りつけたいからかも知れない。

「……!」

美和子が背を見せると、白鳥は息を飲んだ。
白く艶やかな背中のラインが見事だった。
まっすぐ伸びた背中線も綺麗で、後ろから見ると腰のくびれが一層に際立つ感じがする。
そして張り出した腰骨、そしてむちっと豊かに盛り上がった臀部の迫力は見る者を圧倒する。
大きいだけでなく、その年齢にふさわしくなく、ちっとも垂れていないのだ。
このサイズで美和子の年齢なら、筋肉も落ち、自重に耐えかねて尻肉がだらしなく垂れてもおかしくないのだが、美和子のそれときたらまるでモデル並である。

腰から生えている脚も官能的なことこの上ない。
腿の肉と脂の乗り具合も申し分なく、膝できゅっと締まっている。
そこからまたふくらはぎがふっくらと柔らかそうに膨らみ、そして足首でまた思い切り締まっていた。
メリハリのついた女らしい脚だった。

それらを見ているだけで、もう白鳥のペニスはすっかり勃起してしまい、ガウンのそこを盛り上げている。
立ち上がった白鳥は美和子の裸身を抱きしめる。

「なっ、何を……」
「言われなくてもわかるでしょう? こんな身体を見せつけておいて……」
「み、見せたくて見せたわけじゃないわ! あなたが無理矢理……」
「ふん、まだそんなことを言うんですね。では仕方ない」
「あっ……!」

白鳥は美和子の背中をドンと押して突き転がした。

「何するの!」

白鳥は座り込んでしまった美和子の腕を掴むが、激しく抵抗された。
美和子は腕を振り回し、白鳥を押し返そうとする。
白鳥は顔を顰めながら手を上げた。

「この期に及んでまだ逆らうんですか」
「だ、だって……」
「わかってないようですね。手を出して」
「何でよ、私は……」
「いいから。縛るんです」
「っ!」

見れば白鳥は手に白いものを持っている。
包帯のようだ。かなり大判で幅が10センチくらいありそうだ。
美和子は顔色を変えた。
この男も女の自由を奪った上で辱めようというのだろうか。

怒りと同時に美和子は別の感情が滲み出てくる。
かつてロープでぎりぎりと縛り上げられた上で凌辱された記憶が蘇った。
あの時の屈辱は忘れられないが、同時にそんな状態で男に好き放題犯された時、異様に燃え上がってしまったことも身体が憶えている。
ふと気づくと、美和子は腰の奥が熱を持ってきていることに気づいた。
それを振り払うように強く言う。

「わ、わかったわよ。言うこと聞くから……」
「信用できませんね、逆らわないと言いながら何度も抵抗したじゃないですか」
「それはあなたが酷いことばかり言うから……!」
「だから信用できないんですよ。どんなことでも従うってことにならないでしょ、それでは」
「……おとなしくするから……、何でも言うこと聞くから縛るのは……」
「いいから腕を後ろに回してください。何でも言うこと聞くんでしょ?」
「……」

白鳥が見せつけるように何度も包帯をしごくと美和子は諦めたように項垂れた。
美和子はガックリと頭を垂れていたが、しばらくするとおずおずと両手を後ろに回していった。
すかさずその腕を掴んだ白鳥は、美和子の細い両手首を包帯で縛り上げていく。

「痛いですか? 伸び縮みするタイプなんでさほど無理はかからないと思いますが……」
「……平気よ」
「そうですか。じゃ、少しきつめに縛りますよ」
「くっ……」

美和子の手首に包帯がぐるぐると巻かれていく。
腰の後ろで両手首を縛り上げると、そのまま包帯を伸ばして前まで持っていく。
そして乳房を強調するかのように上下に包帯を通してぎりぎりと強く絞り上げた。

「ああっ……」

美和子の両手首は肩胛骨の辺りまで持ち上げられ、そこで固定された。
胸の上下には包帯がかっちりと巻き付けられ、ただでさえ豊かな乳房を括り出させていた。
柔らかそうな乳房に包帯が食い込み、美和子が呻く。

「くっ、きつい……苦しいわ……」

よほど強く縛ったのか、美和子の乳房は淫らに形を歪め、はちきれそうなほどに思い切り張り詰めている。
薄い肌から細く青い静脈が透けて見えるほどだ。
美和子が許しを乞うような目線を送ってきたので思わず仏心が出そうになったが、白鳥は心を鬼にしてその思いを振り切った。
ここが正念場なのだ。
うまくいくかどうかはここで決まる。

「やっ……! もう許して、白鳥くん……あっ」

白鳥は美和子の腕を縛っただけでは満足せず、左足首にも包帯を巻いて思い切り引っ張った。
それを頑丈そうなベッドの脚に縛り付けて固定する。
右足首にも包帯を巻くとさすがに美和子も抵抗して大きく脚を揺さぶったりしたが、白鳥にその右足を抱え込まれてしまうと、もうそれ以上は動けない。
その上で白鳥は美和子の右膝に包帯を巻き付けて、そのまま天井のシャンデリアに引っかけて、そこでしっかりと縛った。
こちらもかなりしっかりした作りのようで、それくらいの負担はどうということはなさそうである。

「こ、こんな格好……」

恥辱的な格好に美和子がもがいて右足を動かそうとすると、つながれたシャンデリアがゆらゆらと動き、照明が落ち着かなくなる。
光が美和子の裸身のあちこちに当たり、動くので、妖美さがいや増してますます女体を魅力的に見せていく。
恥ずかしそうに身を捩っていた美和子だったが、白鳥が迫ってきたのを見て青ざめた。

「し、白鳥くん、だめ、こんな格好は……、だ、抱かれる! あなたに抱かれるから解いて!」
「抱かれるというなら、そのまま抱かれてもらいましょうか。きかん気の強い女はこうでもしないと安心できない」
「だから言うことは何でも……あ、いや、やめてっ!」

美和子を起き上がらせると、白鳥は後ろに回り込んで白い背中に覆い被さった。
手を前に回して胸を揉み始める。
美和子の頭が反り、白鳥の肩に乗った。
閉じた口から「んんっ」と呻き声を上げると、「はあっ」と大きく熱い息を吐いた。
もともと感じやすかった乳房は括り出されて張り詰め、余計に敏感になっている。
そこに指が食い込むほどに強い愛撫を受けると、つい声を上げたくなってしまう。
恥ずかしい声を聞かれまいとして美和子は必死に唇を噛んだ。

「もう乳首がこんなだ。ふふ、佐藤さん、こんな状況でも感じてるんですね」
「誰が……こ、このっ……んうっ」
「もしかしたらマゾなのかも知れませんね。虐められて感じるようですから」
「勝手なことばっかり……くっ、そこ、いじっちゃだめっ……あうっ」
「ほう、ここがいいんですか。なら、もっと」
「や、やめて!」

白鳥は美和子が嫌がったり強く反応するところを見つけると、しつこくそこを責めた。
早くも硬くなった乳首をこねたりくすぐったり転がしたりすると、声も出せずに身体を震わせ、激しく頭を振る。指で乳房にめり込ませると我慢しきれず「あっ!」と喘いでしまう。
そのまま責め続けられたらとても耐え切れそうにない。
また白鳥の手管に落ちて、いやというほど恥ずかしい姿を晒してしまいそうだ。
責められているのは胸なのに、腰の奥の方から熱いものが突き上げてくるような気がした。

「くっ……、も、も、だめ……あ、あっ……やっ、お願い、もう……」
「もうですか? いきそうだと?」
「ち、違……ああっ!」

白鳥は顔を前に持っていき、首を思い切り曲げて乳房を吸った。
かぷりと乳首を唇で挟むと強く吸い上げ、舌先でころころと転がす。
舌先で乳首を押し込み、ねぶるように乳輪を舐め込んだ。
舌で舐め込まれるたびに美和子は身を震わせ、呻き声を上げた。

「うああっ……!」

口と舌で責められる右の胸ばかり意識していたら、
今度は左胸が強く揉み込まれた。
指がこりこりと乳首をこね、ぎゅうぎゅうと胸肉を激しく揉んでいる。
脚がバタバタと暴れている。
縛られた手首がぐるぐると回り、何とか動こうとしている。
そうでもしないと胸から伝わってくる切ない快感に責め堕とされてしまいそうだ。

「んんっ……あ、はあ、はあ、はあ……あうっ……やっ、いっ……うんっ……んくうっ」

両の乳首がずきずきと疼き、乳房は焦れったい快感に悶えている。
鼓動が激しくなり、息苦しくさえなった。
大声を上げて喘ぎ、よがれば、きっとすっきりするだろうに、それが出来ない。
今にも乳房だけにいきそうになる寸前で、すっと白鳥の愛撫が止んだ。
口は乳首から離れ、手は揉むのを止めてそのまま乳房に添えられている。

「……?」

美和子は虚ろな目で白鳥をぼんやりを見上げている。
手による愛撫は止んでいるのに、美和子の方から胸を反らせて白鳥の手を食い込ませていた。

「何です、その顔は。続けて欲しいですか?」
「……くっ」

この男は、今、美和子がどんな状態か知っていて焦らしているのだ。
以前も同じように責められたことがあるから、それはすぐにわかった。
最初は嫌がっていたのにだんだんと肉体を燃え上がらせてしまい、切羽詰まってくると手を引いてしまう。
そうして女を焦らし、虐めているのである。
白鳥も同じだ。
サディスティックなところがあるらしい。

美和子は悔しそうに顔を伏せた。
しかし、さっきまでの愛撫せいでジンジンと乳首や子宮が疼いているのは止まらない。
見てはいないが、きっと膣も濡れているだろう。
膣奥は熱かったし、奥から何かが流れ出る感覚がしている。

「わかりましたよ。そんな切なそうに見つめなくてもけっこうです」
「私は別にそんな顔なんか……あっ、いやあ!」

美和子の前に戻ってきた白鳥は、大きく開脚された股間に顔を突っ込んだ。

「すごいな、もう濡れ濡れだ。やっぱり興奮して……感じてたんですね」
「やっ、見ないで! だめよ!」
「前にも言いましたが、素直に感じればいいじゃないですか、愉しむんですよ」

そんな状況ではないと言いたかったが、その言葉は白鳥の責めに屈した。
股間に指を這わされ、息詰まるような鮮烈な快感に大きく喘いだ。

「ああっ……!」

白鳥に恥ずかしいところを間近で見られていると思うと、ますます股間が熱くなり、蜜も溢れ出してくる。
しかもそこをねっとりとねぶられているのだからたまらなかった。
白鳥の指が動く度にびんびんと鋭い刺激が走り、美和子の腰が何度も跳ねる。

「濡れてるだけじゃない、クリトリスも赤く腫れ上がってますよ。ほら、こうしたら気持ち良いでしょう?」
「んひぃぃっ……!」

クリトリスを口でくわえ、舌先でちろっと舐め上げられた。
たまらず美和子は達してしまう。

「いっ、あああっ!」

ガクンと大きく仰け反り、お尻が何度も跳ねて白鳥の顔が股間に埋まった。
美和子はがっくりと頭を後ろに倒したまま荒々しく呼吸している。
美和子の絶頂したばかりの色っぽい表情を見ながら、白鳥はまた愛撫を再開する。
今度は大きく拡げた両腿の内側をくすぐるように撫で、舌を大きく使って舐め上げていく。
美和子はぐうっと伸び上がり、大きく息を吐いた。

「はああっ……いや、もういや……だめ、く、くすぐった……いああっ!」

美和子はまた激しく頭を振りたくった。
お腹や胸を何度もうねらせ、爪先がピンと伸びたり、指をググッと屈めたりしている。
背中に回った両手も握ったり開いたりを繰り返していた。
そうでもしないと快感が逃げていかない。

弱く焦れったいような愛撫に耐えていると本格的な責めが始まった。
男の舌がねっとりと割れ目を抉り、膣口を舐めてくる。
クリトリスにも這い寄って、舌先で根元の方をねぶっていく。

「いひぃぃっ……!」

途端に美和子の悲鳴が上がった。
いかされたばかりで敏感になっている部分をことさら責められるつらさと気持ち良さに、どうしていいかわからなくなる。

「ううっ……ぐううっ……やっ……んむっ……」

それでも何とかよがり声を出すまいと唇を噛み、くぐもった呻き声に変えている。
大した気丈さだが、それだけ白鳥への嫌悪感が募っているのかも知れない。
いかされなるものかとばかりに踏ん張って息んでいるものの、縛られた上半身はわなわなと痙攣し、激しく身悶え、のたうっている。
いかに抗っても、白鳥によってもたらされる股間からの快感は強烈だった。
ちょっとでも気を緩めると「このままいってしまいたい」という欲望が抑えきれなくなる。

「いっ! ああっ!」

白鳥の舌先がクリトリスを掠るように舐めると、もう堪えきれずに美和子は大きく喘ぐ。
唇が肉芽を吸い上げたり、舌先が膣内に潜り込んで抉ってくると、そのたびに腰を跳ねさせ、全身を震わせて恥ずかしい声を放ってしまう。
身体の芯が燃えるように熱くなり、じわっと全身から汗が滲み出す。
油断すれば一気にいってしまいそうな感触を、美和子は必死に耐えていた。

吊られた右足が大きく揺れ動き、足の指を踊らせるように蠢かせて我慢する。
堪えようとしてググッと腰に力を入れると、とぷっと内部から愛液が零れ出たのを感じた。
その蜜を白鳥は舌ですくい上げ飲み下している。
それを知った美和子は羞恥で顔が燃えるように熱くなった。
高木にもそんなことはされたことがない。
自分の体液を飲まれるという恥ずかしさを味わわされ、美和子も昂ぶっていく。

(だ、だめっ……ああっ、もういく……いきそうになってるっ……!)

白鳥にもそれがわかるのか、だめ押しだとばかりに美和子の上半身へ手を伸ばし、乳房への愛撫まで絡めてきた。
揉みくちゃにするのではなく、優しいタッチで撫でている。
乳房に押し当てるようにした指を開き、裾野をなぞるようにさする。
そのままそろそろと指を頂上にまで上げ、震えている乳首をきゅっと摘んだ。
膣ばかりでなく胸からも堪えがたい快感が押し寄せ、美和子の肢体がくねくねとうねり、尻が絨毯の上で弾む。

「だ、だめ、もうっ……、ひっ……ああっ、し、白鳥くん、もう許してぇっ……!」

美和子の哀願を無視して白鳥の舌の動きが速くなる。
膣に舌を突っ込ませたその内部で激しく動かし、媚肉全体を揺さぶっている。
二本の手が双球の頂点をそれぞれいびり、嬲っている。
鼻先でクリトリスを押しこくり、舌は深々と膣内に挿入されていく。
そこから舌を抜くと、今度は唇でクリトリスを挟み込み、吸い千切るくらいに強く吸い上げた。
同時に乳首の根元を擦り、思い切りひねってやる。
美和子はひとたまりもなかった。

「だ、だめぇっっ……ぐっ、ぐううううっっ……!!」

その瞬間、美和子の肢体が思い切り反り返り、そのまま硬直した。
頭をぐっと突き上げ、長く美しい首筋をさらしながら、何度も何度も裸身を跳ねさせる。
そのまましばらくぶるぶると痙攣していたが、やがて女体から力が抜け、どさりと絨毯に落下した。

何でこんな男の行為でこんなに感じてしまい、気までやってしまうのだろう。
美和子は甘く靄の掛かった頭でぼんやりと考えている。
そう言えば高木はあまりクンニリングスはしてくれなかったような気がする。
そこを直に見られるのは美和子も恥ずかしかったし、高木にも遠慮があったのだろう。
内心はして欲しいと思っていたし、高木にそこをじっくり見られることを想像するとゾクゾクするような甘い痺れがった。
こんなことなら、恥ずかしいのを我慢して自分から求めればよかったと思う。

美和子が気をやったことを見届けると、白鳥はようやくそこから顔を上げた。
口の周りだけでなく、目の間や頬までかなり濡れていた。
膣に口をつけていたからだけでなく、美和子はいった瞬間に潮でも噴いたらしかった。
美和子は仰向けに倒れたまま、激しい呼吸を繰り返している。
豊かな乳房が鼓動と呼吸で大きく揺れ動いていた。
白鳥はガウンの裾で軽く顔を拭いながら言った。

「こんなに感じて、気をやって。佐藤さんもセックスが好きなんでしょう?」
「違う……、私は違う……」

まだ頂上から降りきれず、あまり働かない頭で美和子は何とか反論した。
しかし肉体は頂点を極めたことで満足している。
絶頂したことは誤魔化せそうにない。

「違いませんよ。別にいいじゃありませんか、生物の本能なんです、好きだっておかしなことではありません」
「だから私は……」
「女性にだって性欲はあるんです。恥ずかしがる気持ちもわかりますし、誰に対しても欲望を見せつけるというのは困りますが、今ならいいんですよ」
「……」

ちっとも良くはない。
美和子はそうすべき相手は高木であり、白鳥ではないのだ。
その高木に対してすら、美和子は羞恥心や恥辱感の方が勝ってしまい、思うように言えないことがほとんどなのである。

「高木とももう二週間くらい会ってないでしょう。佐藤さんは男なら誰でもいいという人ではない。だとすれば、もう……」
「へ、変なこと言わないで」

言い返しつつも美和子は白鳥の指摘を否定することは出来なかった。
事実、この前がそうだったのだ。
恥ずかしい話だが、白鳥に抱かれる前までは身体が疼いてしようがなかった。
自慰でも解消できなかったほどだ。
子供ではないから、その時自分がどういう状態だったのかは美和子にもわかる。
浅ましい欲望が澱のように身体の奥で溜まっていたのだ。

事故のようなものだとはいえ(美和子はそう思っていた)、白鳥に抱かれて身体は満足してしまい、疼きも一時的とはいえ無くなったのである。
これはどう言い繕っても、美和子の身体が男を欲していたという証拠に他ならないだろう。
白鳥は何度か納得したように頷いた。

「なるほど、これは聞きしに勝る気の強さですね。普通、ここまでされたらもう無抵抗というか、されるがままになるもんですが」
「バ……バカにしないでよ……私はこれでも……け、刑事なんだ、から……」
「そうでしたね。その腕利き女刑事さんを心底まいらせるには、まだまだ責めが足りないってことですか」
「な、何よ……、まだ酷いことするっていうの?」
「これなんかちっとも酷くないですよ。気持ち良い思いしたんでしょうに」
「ふざけないで……」

言い返す美和子の声にもまだ力がない。
白鳥はいったん立ち上がってどこかに行ったが、それを見届ける気にもなれなかった。
どうあれ拘束されてしまっているのだから逃げようもないのだ。

「あ……」

戻ってきた白鳥は、美和子の腰の下に大きなクッションを差し込んだ。
絨毯敷きの床ではあったが、仰向けで自分の体重がかかっているので縛られた手首と背中が痛かったから、それを和らげようとしてくれているのかと思った。
それが大きな間違いだったことはすぐにわかった。

「んあっ!」

ぐったりしていた美和子は、肛門に異様な──それでいて何度も経験させられた感覚を得てギョッとした。
慌てて顔を上げると、何と白鳥は筒状のものを持っていて、それを美和子のアヌスに突き刺しているのだ。
クッションで持ち上がった尻の前には、風呂用らしい樹脂の大きな洗面器が置かれている。

美和子は唖然とした。
白鳥は浣腸責めをしようとしているのだ。
唇が青ざめ、わなわなと震えだした。
さっきまでの快感など消し飛んでしまっている。
白鳥までこんな変態行為を好む異常者だったのだろうか。
香港に来る前、レスリーからいやというほど浣腸を中心としたアヌス責めをされたことが思い出される。

「や、やめて! そんなことやめて白鳥くんっ!」
「僕もどうしようかと思ったんですがね。あんまり佐藤さんの聞き分けが悪いものだから……」
「わ、わかった、わかったわよ! 白鳥くんの言うこと聞くからっ……ああ、だからそれだけはしないで……か、浣腸なんていやあ……」
「そうですか、と言いたいところですが、気が変わりました。いやあ、これだけすごいお尻を見せつけられたら、ここを虐めてみたいと思いますよ、男なら」
「い、いやっ……!」
「美和子さんだってここを虐められるの、満更でもないんでしょう? ふふ、だってあのビデオでもかなりきつくお尻を責められてたじゃないですか。なのに、あんな悩ましい声で喘いだりして」
「あ、あなた……」
「浣腸だってされてましたよね。あんなに大きな浣腸器で何度も何度も……」
「いやあああ……」

やはりすべて見られてしまっていた。
犯されているシーンだけならともかく、気も狂うような肛門責めや浣腸で泣かされているところまでみんな見られたのだ。

「始めましょうか」
「い、いや、しないで!」
「おっと、暴れないで。お尻の中でガラスが折れたらどうするんです? 救急車を呼べば助かるでしょうけど、病院で原因を聞かれたら何ていうつもりなんですか」
「……」

いつもこうだ。
以前の男たちはそう言って美和子の抵抗を封じていったのだ。
美和子はぷりぷり振っていた尻の動きを止め、殉教者のような顔になって恥辱に耐えていた。
白鳥は悪ノリしてアヌスに食い込ませた嘴管を回転させてそこを弄んだ。
その刺激に、美和子は「たまらない」とばかりに尻を小さくうねらせ、アヌスをひくつかせている。
覗き込んだ白鳥が面白そうに言う。

「ほほう、佐藤さんの肛門がヒクヒクしてますよ。気持ち良いんですか?」
「そんなこと、あっ、あるわけないっ……もういや、す、するならさっさとして、早く終わらせて!」
「そうですか、そんなにされたいなら……そら」
「ひっ! あ、あ……ああっ!」

白鳥がゆっくりピストンを押し込むと、カラス筒内で渦を巻きながらグリセリン液が美和子の腸内に流れ込んでいった。
たまらず美和子は顔を仰け反らせて悲鳴を上げた。
尻たぶに力が入り、ググッと硬くしこる。
わなわなと尻肉を震わせ、背中まで痙攣していた。

「うあ……うああっ……い、いや、もう……んくっ、いやっ……い、入れないで、お願いっ」
「まだ始まったばかりですよ。それにしてもこれはなかなかいいもんですね。何だか犯して射精してるような気になれる」
「や、やめ……んんっ……ひっ……」

美和子の性癖を教えられてから急遽取りそろえたため、用意できたのは300ccのものだ。
初体験の白鳥としてはこれでもかなり大きいと思うのだが、ビデオで見た美和子がされていたのは500ccだった。
それが欲しかったのだが見つからず、やむなくこれで妥協した。
美和子は来る前にもレスリーにたっぷりと浣腸責めされていたから、これくらいどうということはなさそうだが、そういうものではないようで、半分ほども入れられるともうつらそうな表情になっている。

「あっ……く……だめ、入れないで……ううっ」
「色っぽい声で喘ぐなあ、こりゃたまらないや。それに苦しいのを我慢してる顔がすごくいいですよ、佐藤さん」

なおもシリンダーが押され、美和子の呻き声が高くなる。
もう腸内で薬効が出始めたらしく、美貌を真っ赤にして顔を振りたくっている。

「ん?」

白鳥はあることに気づき、注入を中断した。
美和子の全身はもう汗にまみれているが、それとは別に媚肉や陰毛がどろどろなほどに濡れているのだ。
さっき白鳥がしてやったクンニのせいかとも思うのだが、注入してやるごとに身を震わせ、膣からはとぷっと蜜を吐き出しているではないか。

これは面白いことになった。
美和子は浣腸の苦しさで苦悶する反面、明らかに官能的なものを感じ取っていたのだ。
自覚はないかも知れないが、浣腸されることで感じてしまっている。
苦しむことでマゾ気質が刺激されることもあるだろうし、こんな恥ずかしい責めを受けているという恥辱感でも快感を得ているに違いなかった。
膣からはとろりとろりと透明な愛液が垂れ落ち、シーツに大きな染みを作っている。

それを知った白鳥はますます興奮し、唸るように注入を続けた。
ピストンを押されると豊かな臀部が反応し、尻肉が硬直しアヌスがノズルを食い締める。残り1/3ほどになると、美和子は滑稽なほどに狼狽え始めた。

「うっ……ああっ!」
「ん? どうしました、佐藤さん」
「も……だめ……、ほ、解いてお願い……」
「何を言ってるんです、全部入れなきゃ許しませんよ。もう少しです、辛抱してください」
「そ、そんな……もう無理……うっ……」
「無理なことはないでしょう。例のビデオではあんな大きな浣腸器で何度も……」
「いやっ、それは言わないで! あ、あっ……ま、まだ入ってくるっ……」
「それ、もう一押しくらいだ」
「やっ……は、早くして……我慢できなくなっちゃうっ……」

美和子の尻がぶるぶると大きく震えだしたのを見て、さすがに限界かと思い、白鳥は残りを一気に注ぎ込んだ。

「んああっ!」

ちゅるるっと勢いよく流れ込んでくる感覚に、美和子は背中を反らせて大きな声を放った。
ようやく終わったと、美和子の身体ががっくりと絨毯に沈んだが、それも長くは続かなかった。

「あ、あ……ううっ……」

注入されている時はその圧迫感で顔を真っ赤にしていた美和子だったが、今は一転、顔面蒼白になっている。
額に浮かび、背中や尻に光る汗も脂汗から冷や汗に変わっていた。

「んっ……ああ、く、苦しい……お腹が苦しいわ……」

美和子がくぐもった声で呻き始めた。300ccとはいえ原液を注入されてしまったため、美和子のつらさは相当なものだった。
腸がグルグル鳴っている音が白鳥の耳にも届く。
懸命に引き締めているのか、肛門がきゅっときつそうに締まっているのがわかる。
それがフッと緩みかけると慌てて息んで窄ませている。
苦しそうに腰をもじもじさせ、汗の浮いた裸身がくねっている。
そんなことをすれば腸内の溶液がさらに腸壁に沁みてしまうだろうに、動かずにはいられなかった。それだけ切迫してきているのだ。

「うっ……あ……き、きつい……お、お腹が、ああ……」
「いいなあ、実にいい。佐藤さんが苦しんでるその顔も、つらそうな声も最高ですよ。おかげで僕のここもビンビンだ」

白鳥はそう言ってペニスを振ってみせるが、美和子はそれを気にするどころではなかった。
開脚された股間の奥をじっくり観察していると、美和子のアヌスは収縮がますます慌ただしくなっている。

「しっ、白鳥くんっ、お願いっ……!」

美和子は眦を決して切羽詰まったように叫ぶ。

「どうしました?」
「もうだめ、ホントにだめっ、我慢できないっ……」
「ほう。で?」
「だ、だから……んんっ……お……おトイレに……」
「でも解いたらトイレに行った後、僕があなたにぶっ飛ばされるかも知れませんよ」
「し、しない、そんなことしないからっ……あ、あ……何もしない、何でも言うこと聞くからっ……は、早く……」
「どうしようかな」

白鳥はそんなことを言ってずるずると引き延ばし、美和子に腹痛と便意の地獄を味わわせていた。
美和子はもういてもたってもいられないようで、吊られた脚をうねらせ、はしたないほどに腰を振り、排便を願っている。

「あああ、だめ……くっ、もう耐えられない……もう我慢が……」

見れば美和子の肛門はひくつき、ぐうっと内側から膨れあがって、今にも暴発しそうになっている。
腿やお腹も汗でぬるぬるになっており、まるでオイルでも塗ったかのようにテカっていた。
白鳥は美和子の全身がぶるぶると痙攣し、それが収まらなくなっているのを見て、どうやら限界らしいと覚った。
ダメを押すように恥辱の言葉を吐かせるよう仕向ける。

「もう出したいですか?」
「くっ……だ、出したい……ああ……」
「ウンチがしたい、と」

さすがにそれは言葉に出来ず、美和子は横を向いて恥ずかしげにカクカクと頷くだけだ。

「ふふ、じゃあトイレに行かせて、と甘い声で頼んでくれますかね」
「お、おトイレに行かせて……あ、本当にもう我慢できない……」
「そんなにしたいんですか。なら「させて」と言って下さい」
「し、したいのよ……ああ……さ、させて……苦しくてもう……お腹が裂けそうよ……ううむ、苦しいっ……」

美和子のそんな言葉を聞いただけで、白鳥の男性器まで暴発しそうなほどに勃起していった。
苦悶する美女を眺めながら言葉で責め、己のペニスをしごいていたが、美和子のアヌスからぴゅっと透明な液体が少量噴き出したのを見て、慌てて洗面器をそこにあてた。

「おっと危ない。部屋を汚されちゃかなわないな」
「は、早くおトイレっ……」
「もう間に合わないでしょう? ここでするんですね」
「な……」
「ほら、僕が始末してあげますから、ドバッと出したらどうです?」
「な、何を言って……いやよ、絶対にいやっ……お願いだからおトイレに……ああっ」
「まだ我慢できるんですか? じゃあ外しちゃいますよ」
「あ、だめっ! やあっ、もう出る……出ちゃうわ! 見ないで、見ちゃだめ!」
「しっかり見させてもらいますよ。ビデオじゃなくてナマだから大迫力でしょうね」
「あ、そんな……やっ、見ないで……あ、あ、もうだめ出るっ……いやああああっ、見ないでぇぇぇっっっ……!!」

防音壁でも突き抜けそうな悲鳴を放つと、美和子のアヌスは限界を突破し、決壊した。


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