迷った挙げ句、美和子は白鳥の薦め通り、一時帰国した。
白鳥の方から渡されたパレット、PM関係の資料を目暮警部と担当捜査官の松井に渡し、説明するためだ。
白鳥によってお膳立てされていたので断りようもなく、応じたのである。
スカイプではほぼ毎日高木とは会話をしていたから顔も見ていたのだが、やはり直接会いたいと思っていたのも確かだ。
何より、香港で白鳥に犯されたことを慰めて欲しかった。
もちろんそれを言うことは出来ないが、高木に抱かれることにより、白鳥に抱かれた事実を拭い去りたいという思いもある。
高木への愛を確かめたい気持ちが強かった。
香港を朝一番の航空便で出て5時間ほどで羽田に到着した。
課長や管理官へ挨拶と中間報告をして、やっと捜査一課の刑事部屋に戻ってきた時には、もう午後になっていた。
仲間たちがひさびさに見る美和子の周りに集まってくる。
千葉と長さんこと高木長介が相次いで話しかける。
「ひさしぶりですね、佐藤さん。元気そうで」
「本当だな。俺はまたホームシックにでもなったのかと思ったよ」
「口が悪いですよ、長さん」
美和子はそう言って笑った。
仲間同士の何気ない他愛ない会話にホッとする。
研修ということもあって捜査に関わることはないものの、外地であるし周囲は知らない人ばかりだ。
東京警視庁の顔を潰さないためにも、おかしな真似はできない。
実情はともかく向こうは美和子が警視庁代表と見ている。
それに武緒が言ったように幹部候補生としての研修という意味合いでもあるのだ。
物見遊山というわけにはいかない。
言葉も通じず、食事も異なり、習慣にも戸惑う。
気を抜く時がないのだ。
だから白鳥の誘いに容易に応じてしまったのかも知れないな、と美和子は思う。
「ところで辻本さんはどうです? ちゃんとやってますか?」
「はは、やはり可愛い後輩が気になるか。けっこう、けっこう」
長さんは嬉しそうに笑った。
「いや、心配ご無用だ。よくやってくれてるよ、問題ない。とても新人とは思えん」
「長さん、夏実ちゃんは新人じゃありませんよ。所轄にいて……」
「わかってる、千葉。確かにそうだがもとは交通課だろう。捜査畑じゃない」
「そうですね……。そこに刑事として抜擢されてきたんですから」
と言って、美和子も相槌を打った。
「そうさ。だから俺はかなり気に掛けてたんだよ。でもなあ、まさかあそこまでだとは思わなかったよ。さすがに木下管理官のお眼鏡に適っただけのことはある、本当に切れ者だな、あの女史は」
「で、その辻本さんは?」
「ああ、今、高木のやつと一緒に聞き込みに行ってる。例の自衛官の件だ」
「ああ……」
美和子はちょっと気になった。
もともと美和子が担当していた事件だったこともあるが、どうもその事件の被害者は夏実と抜き差しならぬ関係があったらしい、という噂が流れていたのだ。
だから美和子はその件が片付くまでは、と研修を渋っていたのである。
香港に行くときも後ろ髪を引かれる思いだった。
そんな美和子の複雑な思いなど知らず、千葉が明るい口調で言った。
「佐藤さん、本当は夏実ちゃんじゃなくて高木さんが気になるんでしょ?」
「え……」
「隠さなくたっていいですよ。へへ、二週間ぶりのご対面でしょうに」
「ちょっと千葉くん……」
「こら千葉、そうからかうもんじゃない」
窘める長さんも笑っている。
「なに、香港から毎日ラブコールしてるのさ。そうだろ、佐藤くん」
「もう、長さんまで……」
顔を赤らめる美和子に目暮警部が助け船を入れる。
「こらこら、そんなにからかうんじゃない。佐藤くん、長旅で疲れただろう。もう今日は帰ってゆっくりしたまえ。明日には戻るんだろう?」
それを聞いた千葉と長さんが驚く。
「え、もうですか?」
「たった一日の滞在かい……」
「……そうなんです。でも、これでも何とか日程をひねり出して来たの。……向こうにいた管理官から「どうしても直接渡してくれ」って言われたから……」
「ふうん」
「お陰で研修、二日も伸びちゃったのよ。今日と明日やる予定だったことが順延されて……」
「大変だなあ。でも、それって察庁の官僚でしょう? 現場の捜査官を顎で使いやがって……」
「まあ、そう言うな。こっちの立場じゃ逆らえんさ。ところで佐藤くん、誰だい、そいつは?」
「え、ええ……」
白鳥だ、とは言えなかった。
そこを目暮がまた助けてくれた。
「それくらいにしておけ、佐藤くんも疲れてる」
「……」
目暮は軽く美和子に目で何かを合図してきた。
多分、香港いるのが白鳥だということを知っているのだろう。
美和子は軽く頷いて感謝した。
「さ、今日はもう帰りたまえ。それと……」
話のわかる上司は美和子の耳元で何事が呟くと、背中を押して送り出した。
────────────────
高木は少し戸惑っていた。
今まで美和子が誘ってきたことがないわけではない。
ただその場合でも直接的には言わず、腕を絡めたり、身体をくっつけたりといったボディランゲージを使った。
高木でもそうなのだから、口で言うのは恥ずかしいのだろう。
だが今日に限っては、待ち合わせて食事に行った後、すぐに美和子が求めてきたのだ。
そう言えば食事の時でもどこか落ち着かず、そわそわしていたように思う。
そして店を出るなり「抱いて欲しい」とねだってきたのである。
美和子らしくはないが、愛しい恋人に──しかもこんな美人にそう言われて断る男はいない。
高木だって美和子がいない二週間は寂しく辛く、美和子の身体を思い出して自分を慰める日が続いていたのだ。
美和子が言い出さなければ、自分から切り出してホテルへ誘っていたはずだった。
だから願ったり叶ったりではあったのだが、どことなく違和感があったのも事実だ。
その違和感はホテルの部屋に入っても同じだった。
美和子は入るなり服を脱ぎ始め、シャワーを浴び始めた。
一瞬ちらりと高木を見たのは、誘っていたのかも知れない。
だが高木が躊躇しているうちに美和子はシャワールームへ入ってしまった。
そして出るなり高木に抱きついてきたのだ。
「さ、佐藤さん……」
「美和子って呼んでって言ったでしょ……。早く……」
「ちょ、待って下さい! 僕もシャワーを……」
「いいわ、そんなの……。高木くんの匂い、好きなの……」
そう言うなり、美和子は高木の首に抱きつき、口づけを求めた。
高木は目を白黒させながら美和子のキスを受け、片手で服を脱いでいく。
キスしながら美和子の背を抱き、ベッドの方へ誘導していく。
そして美和子をそこに寝かせると、ようやく落ち着いてワイシャツを脱ぐ。
「さと……、じゃない美和子、さん。いったいどうしたんですか……」
「……どうもしてないわ。ただ……」
「ただ?」
「あなたが恋しかっただけ。いけない?」
「……」
「それとも……」
美和子は少し悲しそうな顔をして高木から視線を外した。
「こんな……、こんな男を欲しがるような女は嫌い? 私は向こうに行ってる時も高木くんのことが……あっ」
高木はすべてを言わせず、美和子を抱きしめた。
「……それは僕も同じですよ、美和子さん。あなたがいない間、どれだけ寂しかったか……」
「……」
「改めて僕はあなたを愛してると確認できました。だから……」
「もう何も言わなくていいわ。私も同じよ。愛してる、高木くん……」
「美和子さん……」
ふたりの身体が重なり合う。
互いの唇をついばみ合うようなキスを繰り返してから、唇をしっかりと重ねた。
舌を絡ませ、強く吸い合う。
「ん……んん……んちゅっ……んむ……んむ……ちゅうっ……」
唇を離すと、高木はバスタオルで巻かれた美和子の肢体を見つめた。
美和子のスリムなスタイルには不釣り合いなほどのバストが、今にもはみ出しそうだ。
高木は黙ってバスタオルを剥ぎ取り、窮屈そうな乳房を解放する。
ぽろんと零れ出た見事な胸乳は、白く張りのある肌を見せながら、美和子が身を捩るたびに重そうに揺れ動く。
「あんまり見ないで……」
「凄く綺麗ですよ、美和子さん……。い、いいですか?」
「……いちいち断らなくていいの。私の身体、高木くんは好きにしていいんだから……」
白鳥が聞いたら嫉妬しそうな言葉を掛けられ、高木は目の前で艶やかに光る乳房に手を伸ばす。
「あっ……」
高木の指が触れると、美和子は小さく喉で喘いだ。
この辺は白鳥のとは全然違うと思う。
高木であれば、ちょっと触れられただけでも快感を感じるのだ。
美和子の反応を見ながら、高木は優しく揉みしだいていく。
もっと強くして、という言葉を美和子は飲み込んだ。
あまり淫らに思われたくないというのもあるし、乱暴な愛撫はつい白鳥のそれを思い出してしまいかねないからだ。
白鳥は、セックスも自分と高木を比べろなどと言っていたが、とんでもない話だ。
比較にならない。
白鳥は強引に美和子を感じさせてしまうが、高木となら側にいるだけで気持ち良いのだ。
高木の手が乳首に触れると、美和子はよりはっきりと喘いだ。
「あっ、あ……うん、そう……いいわ、ああ……」
美和子の乳房は高木の優しく懸命な愛撫で素直に反応し、乳首がぷくんと持ち上がってきている。
美和子は自然に高木をリードするようになっている。
年齢もそうだが、恐らく経験も美和子の方が多いかも知れない。
あの事件以前はほどんと経験はなく、その時点では高木の方が経験豊かだったろう。
しかしパレット事件以降の美和子は、それまでの何倍ものセックス経験を積まされてしまっている。
そのため肉体は完全に熟れ切って、身体中開発されてしまっている。
そんな女体に高木程度の経験ではとても対応できないのだ。
美和子は「して欲しいこと」があったり物足りない時は、それとなく高木をリードしてセックスするようになっていた。
必然的に、美和子は高木との時は積極的になっている。
高木は美和子の美乳に夢中になり、盛んに揉み、こね回している。
まだどこがポイントなのか、どう揉めば美和子が強く反応するのかはよくわかっていないようだが、それでも乳首が感じるくらいはわかるらしい。
乳輪から乳首にかけて、指でこねられたり摘まれたりすると美和子の喘ぎ声が大きくなる。
「いいっ……ああ、そこ気持ち良いわ……あんっ、そう……いっ……ああっ」
「美和子さん……、んむっ」
「うあっ!」
高木はたまらず美和子の乳首に吸い付いた。乳輪ごと口に含み、舌でぺろぺろと乳首を舐め回す。
そして強く吸い上げて、美和子に甲高い声を上げさせた。
美和子は快感で身体をわななかせながら、喘ぎ声を上げ続ける。
「た、高木くん、いいっ……ああっ、いいわ……」
「み、美和子さん、僕もう……、入れていいですか?」
「……いいわ」
少し早いなと美和子は思っていた。
これが白鳥なら、前戯だけで軽々と美和子を何回かいかせてしまうだろう。
そして美和子の方が入れて欲しくてたまらなくなっているのを見越してから、ようやく挿入してくる。
比べてはいけないと思っているのに、美和子は無意識のうちに白鳥とのセックスと比較してしまっている。
だが、高木が早くつながりがっているのも無理はない。
生真面目な彼のことだ、美和子がいない間、風俗で発散する、などということはなかっただろう。
二週間禁欲させられた上で美和子の素晴らしい身体とその反応を目の当たりにしたのだ。
我慢しろ、という方が無理である。
高木を受け入れようと、美和子はスッと脚を開いて待ち構えた。
高木がペニスを押し当てる前に、自分で彼のそれを持ち、自ら媚肉へ導いた。
高木は美和子の手でペニスを握られただけで思わず射精してしまいそうになる。
入れる前に出してしまうなど、そんな童貞みたいなことは出来ない。
そこであることに気づき、高木は慌てて美和子の手からペニスを抜いた。
美和子は意外そうな顔で恋人を見ている。
「……どうしたの?」
「え、はい、その、忘れてました」
「忘れたって……、何を?」
この期に及んで何を言い出すのだろうと思っていたら、高木はコンドームを装着し始めた。
避妊を忘れたと言っているのだ。
美和子は複雑な表情で若い恋人に言った。
「高木くん……、私のことを大事に思ってくれるのは嬉しいんだけど……、今日はそれ、しなくていいわ」
「え?」
高木はびっくりして手を途中で止め、まじまじと美和子を見つめた。
「い、いやでも……」
「いいの、本当に……」
「……わかりました」
美和子の態度と表情に何か感じ取ったのか、若干の不安を抱えながらも高木は従った。
改めて美和子に覆い被さると、またその手がペニスに伸び、そのまま膣へと運んでいく。
「んっ……」
軽く秘所に押し当てると、高木の熱さと硬さを感じ取り、美和子は小さく声を上げた。
美和子のそこも熱く、潤っている。気分の高まりと肉体の体勢は充分だった。
亀頭が膣口へ僅かに沈み込むと、高木はそのまま腰を落としていく。
「んんっ……ああ……」
亀頭が沈んでしまうと、美和子の媚肉は少しずつ高木の肉棒を飲み込んでいく。
狭い穴だがほとんど抵抗はなく、難なく挿入されていった。
高木のものが膣内を押し広げて入っていく感覚に、美和子は身を震わせて呻き、喘いだ。
「んっ……入って、くる……高木くんの……あ、あふっ……いっ……ああっ!」
高木と美和子の腰がくっつき、完全にペニスが埋没すると美和子は首を反らせた。
高木も美和子もそのまま抱き合って動かない。
ひさしぶりに感じる恋人の身体を感触をゆっくりと味わっている。
同時に、コンドーム無しで交わることはふたりの間では初めてであり、その心地よさに浸っている。
ゴムの皮膜無しで感じる美和子の膣内の感触に、高木は呻きながら美和子に言った。
「うっ……き、気持ち良いですよ、美和子さん……。ナマでするなんて初めてだけど……美和子さんの中、すごくいい……」
「私もよ……あっ……高木くんのが直接感じられて……ああ……いいわ……」
「美和子さんの中、すごく熱い……。柔らかいし、もう何とも言えない……」
「高木くんのも、あっ、熱いわ……私のこと好きだから、こうなってるんでしょう? こんなに硬くして……ああ……」
「そ、そうです。僕はあなたのことを思うと……」
そう言いながら高木は腰を揺すり始めた。
膣内で襞に絡まれている男根が動くと、美和子は気持ち良さそうに声を上げた。
「あ、あ……いい……そう、そうよ、ああ……も、もっとして……あっ……」
美和子も改まってそう言うのが恥ずかしいのか、少し小声で喘ぎつつ、自分からも小さく腰を蠢かせている。
美しい肢体をうねらせ、高木が与えてくれる愉悦をしっかりと受け止めていた。
高木はあまり経験がないせいか、どこに女体の──美和子のポイントがあるかわからないようで、単調に突き上げるだけだ。
美和子の方が気を遣い、自分が感じるところが刺激を受けるよう、巧みに身体を動かしている。
そして快感のツボがあるところに高木のものが当たると、きゅっと引き締まった唇を綻ばせて甘い喘ぎを漏らす。
「んっ、ああっ、そ、そこ……んうっ、そう、そこ、あっ……そこをもっと……ああっ、いいっ……」
「くっ、絞まる、美和子さんのが絞まりますっ……」
高木は、美和子の膣圧の強さと心地よさに驚いた。
今までもそうだったのだろうが、ナマで味わうのは初めてなのだ。
こんなに気持ち良いものだとは知らなかった。
ペニスを締める媚肉からの快感や、感じている美和子の顔を見ているだけで、もう出てしまいそうになる。
しかし、こんなところで出してしまっては美和子も不完全燃焼だろうし、男としてのプライドもある。
高木は歯を食いしばって射精の誘惑に耐え、美和子の膣に腰を打ち込んだ。
高木なりにテクニックを駆使し、美和子に挿入したまま腰で円を描き、膣内をかき回すような動きを見せる。
美和子は素直に反応し、歓喜の声を放った。
「ああっ、いいっ……高木くん、それ、いいわ……あ、あううっ、いいっ……」
さらに美和子の膣圧のが強まり、高木も呻き声を上げている。
コンドームをしていては味わえなかった快感に満足しているが、同時にそれをつけないことによって自分のペニスがより感じやすくなってきている。
ゴムをしていても、そう長持ちする方ではなかったがナマの今は余計に敏感で、出したくてたまらないほど気持ち良くなっていた。
美和子は白鳥のねちっこいプレイを思い出しつつも、高木を何とか踏ん張らせようとしていたのだが、そのうち自分の快感に流されていくようになる。
「んんっ、いい……ああ……んっ……あうっ……ああっ……いい、いいわ……くっ、いいっ……」
高木は、次第に快楽へのめり込んでいく美和子の美貌を見ながら、出来るだけ長引かせようと踏ん張っていた。
腰を上げ、膣に埋め込まれていたペニスをカリ手前まで引き抜き、そしてまたズンと埋め込んだ。
亀頭は大きく膨らみ、膣口や膣道を擦り上げると美和子に喜悦の声を上げさせることが出来るが、その分、自分にも相応の快感が返ってきて、我慢するのが辛くなるほどだ。
しかし高木の努力は実りつつあり、高木の動きが大きく大胆になっていくにつれ、美和子が放つ快感の喘ぎ声も大きくなっていく。
「いいっ! ああ、いい、気持ち良いっ……あ、あんっ、いいっ……も、もっとして、もっと突いてっ……」
「くっ、美和子さんっ……」
強い快楽に堪えきれず、美和子も自分から腰を使っていった。
下から高木を持ち上げるように突き上げていたが、そのうち高木にも要領がわかってきたのか、美和子が腰を引いた時に自分も腰を持ち上げ、突き上げて来た時に高木も腰を打ち込んでいく。
まだ初々しい鮮やかな薄紅色を見せる美和子の膣口を押し広げて、高木の肉棒が何度も何度も抜き差しされている。
突かれると内部からぶじゅっと濃い蜜が溢れ出し、ふたりの腰や腿をベタベタにしていた。
「いいっ、高木くんの、いい……んああっ」
目を見張るような反応の良さに、高木もスパークしていく。
さらに喘がせ、よがらせようと懸命になって美和子の中を突き上げる。
角度と深度によって、美和子の性感ポイントに亀頭やサオが当たると、美和子は甲高い声を上げて高木に伝える。
「くうっ、そ、そこっ……そこがいいの……ああっ、そうよっ……いいっ!」
「こ、ここですか」
「そうよ、あっ……も、もっと深く……奥まで来てっ……」
「くっ……」
高木は美和子の腿を抱え持ち、腰を押しつけて出来るだけ深くまで挿入した。
子宮までは届かないものの、硬い亀頭がぐりっと膣内を抉り、美和子は大きく身悶えた。
高木も自分の欲望に我慢できなくなったらしく、美和子を悦ばせるというより自分が気持ち良くなるように動いていく。
貪るように美和子の中を抉り、突き込んでいる。
「み、美和子さんっ」
「高木くん、いいっ……あ、愛してる……高木くん、愛してるわ……」
「僕もです。美和子さん、好きだ……愛してますっ」
「んんんっ、いっ、いいっ……あああ……」
美和子は突如、大きく身体を捩って顎を突き出すように反らせた。
高木が右手でぎゅっと乳房を握りしめたからである。
強く乱暴な愛撫に美和子は激しく反応し、よがり声を上げていたのだが、高木の方がそれに気づかず腰を打ち込むのに夢中だった。
そもそも高木が美和子の胸を掴んだのは意図的なものではなく、腰を突き上げる身体を固定しようとしただけで無意識の行動だった。
それでも美和子の快感はホンモノで、高木の指が乳房に食い込むと引き攣ったような声を上げ、偶然に乳首に触れでもするとつんざくような喘ぎ声を発した。
それらの反応は膣の収縮に繋がり、快楽に苦悶する表情はいっそうに高木の官能を昂ぶらせる。
肉棒にへばりつく襞を引き剥がし、高木は何度も美和子の媚肉を深くまで貫いた。
「み、美和子さんの中、どんどんきつくなって……うあっ……」
「や、もう少しっ……も、もっとして、突いて! ああっ、あ……んああっ」
「だめです、もう我慢できないっ……美和子さん、美和子さんっ!」
「ああっ……ああっ、私もうちょっと……ああ!」
高木の手が美和子の豊満そのものの臀部を掴むと、そのまま自分の腰まで持ち上げて密着させた。
その瞬間、高木の腰がぶるるっと震えた。
「うあっ……!」
「あ、あひっ……! いくっ!」
先にいってしまった高木との絶頂に合わせることは出来なかったが、その射精を胎内に受けて美和子は気をやった。
「んっ……く……出てるわ、高木くんの……ああ……」
高木が射精の発作で腰をしゃくり上げると、びゅっと放たれた精液が美和子の膣内に引っかけられていく。
射精を受けるたびに美和子も腰をビクビクさせて反応していた。
「……」
美和子はそれなりに満足していた。
本音を言えば、もっともっと貫いて欲しかったし、身体を揉みくちゃにするくらい激しく愛して欲しかった。
だが今の高木にそれを求めるのは無理だろう。
このままつき合っていくうちに──そして結婚して一緒に暮らし、毎夜のように閨で相まみえれば、彼も美和子の性癖を理解するだろうし、強くなってくれるだろうと期待した。
何より彼には、誰にも負けぬ美和子への強い愛情があるのだ。
美和子が今絶頂したのも、愛する高木の精液を身体の芯で受け止めることが出来たという満足感からに違いないのだ。
それに、乱暴な男どもに犯された後に残る屈辱感、相手や自分に対する嫌悪感など無縁だ。
「愛された」という充足感が肉体的満足感に優っていると思う。
凌辱者たちに徹底的に嬲られた時は、肉体的には満足しきっていたものの、こんな気持ちにはならなかったのだ。
終えると高木は深く息をつき、美和子から男根を引き抜いた。
そしてティッシュで綺麗に美和子の媚肉を拭ってくれる。
過去の男たちには、そんなことをしてくれた者はいなかった。
そして美和子の横に寝そべり、毛布の中でそっと手を伸ばして彼女の手を探し当て、指を絡ませるように手を握った。
ともに少し力を入れてギュッと握りしめ合う。
どちらともなく顔を見合わせ、優しく微笑み合った。
しばらくの間、雲に乗ってふわふわしているかのようば至福の時を味わってから、美和子は横を向いて高木を見た。
「……高木くん」
「は、はい」
「何よ、その返事」
セックスを終えると途端に元通りになる高木を見て、美和子はクスリと笑う。
「さっきは聞けなかったんだけど……、蘭ちゃんの方はどう?」
食事の時、夏実のことについては確認できたが、さすがに蘭のことは聞けなかった。
まだ事件にはなっていないのである。
高木の顔が少し引き締まる。
「ええ、佐藤さんに言われてから時間を見て少し尾けてみたり、それとなく周囲に聞き込んでみましたけど、特には……」
「そう……」
「僕の目には普通に見えました。ちゃんと学校へも行ってるようですし、部活もやってます。園子ちゃんにも聞いてみましたが、特に変わった様子はないようですよ。あ……」
「なに?」
「ええ、そう言えば園子ちゃんが言ってたんですが、たまに落ち着きがない時がある、と。蘭ちゃんらしくないと……」
美和子にはわかる。
恐らく、身体から込み上げてくる肉欲と戦っているのだ。
恋人の新一とは離れているし、あんな体験をしているとはいえ、蘭は誰にでも身体を許すような女ではない。
その点は美和子と同じである。
だからこそ蘭の状態が痛いほどわかった。
オナニーでは収まりがつかないほどに身体が火照り、「欲しく」なってしまうのだ。
「じゃあ……、そうね、蘭ちゃんが医者に行ってるとか、そういう話は聞かない?」
「ええ、知ってますよ。毛利さんもご存じでしたし……」
「えっ……、それって……」
「ええと何だったかな……」
高木はベッドを降りるとハンガーに掛けたスーツの内ポケットから手帳を取り出した。
「ああ、メンタルクリニックですね。そこに……」
「待って、それ毛利さんも知ってるの、本当に?」
初耳だ。
小五郎は蘭がレスリーのもとへ「通院」していることを知っていたのか。
「ええ。蘭ちゃん、例の事件で、その……」
「例の事件?」
「だからその、佐藤さんも関わったパレット……」
最初の事件のことを言っているのだろう。
高木はシカゴで起きた事件に蘭も絡んでいたことは知っているが、そこで何があって何をされたという細かいことまでは知らないはずだ。
高木はベッドへ戻ったが、表情は少し暗い。
「あの事件でかなり精神的に傷ついてしまったようで……当たり前ですよね。それでメンタル治療を受けているようなんです。でも、そこは佐藤さんが紹介したって聞いてますけど……」
高木は何で美和子が知らないのかと怪訝な顔をしている。
何となくわかってきた。
多分、蘭は通院していることを小五郎に知られたのだろう。
本当のことを言うわけにはいかないから──もっともパレット事件での心の傷を癒すため、というのも間違いではないのだが──、最初の事件でダメージを受けて美和子に相談し、その結果、あの病院を紹介されたと小五郎に説明したに違いなかった。
美和子は唇を噛んだ。
「それでどんな感じ? 通院の頻度とか……」
「さあ、そこまでは……。プライベートなことですしね。ただ毛利さんの話では二週間に一度くらいだそうです。時間も30分くらいと……」
「30分?」
そんなことはない。
一度行けば投薬されて意識朦朧にされて徹底的に嬲られ、犯されているのだ。
二時間や三時間は戻れないはずだ。
「僕が尾行した時も、そうだな1時間かからずに出てきましたよ」
「じゃあ……、そうね、他にどこか通ってるとか知らない?」
「病院以外で、ですか? いえ、特には……」
「そう……」
「まあ、たまに夜遊びするようになったとは言ってましたね。でも、ちゃんと門限は守るし、無断でどっかに行くようなことはないそうです。お年頃ですから友達とご飯食べたりお茶したりくらいはするでしょう。隠れてお酒を飲みに行くような子じゃないですしね。それに、出かけているのは部活の子とか園子ちゃんらしいんで、毛利さんはあまり心配してないようですよ。蘭ちゃん、しっかりした子ですからね」
「……」
恐らくその時にもレスリーのもとへ訪れているのだろう。
蘭はそこで……。
美和子の思考は高木の言葉で中断された。
「何がそんなに気になるんです? おかしなところは見受けられませんけど……」
「……でも気になるの。悪いけど、私が帰るまでもう少し……」
「わかりました、佐藤さんがそう言うのなら」
「ありがと」
美和子が礼を言うと、高木は時計を見ながらそわそわし始めた。
美和子は少しがっかりする。
一緒にいる時は時計なんか気にしないで欲しかった。
「……時間が気になる? この後、何か用事でも……」
「あ、そうじゃないんです。佐藤さんお疲れでしょうし、自宅へ帰るのかな、と……」
「……ううん。お母さんには今日帰国したこと、言ってないから」
「え、じゃあ……」
「……帰らなくていいの。高木くんこそ……」
「ぼ、僕は平気です! 全然大丈夫です!」
思い切り断言する高木を見て何だか可笑しくなり、美和子は笑った。
高木の声が上擦っている。
「じゃ、今日は、その……」
「ここで泊まっても平気。もっとも高木くんが帰りたいっていうなら別だけど」
「いいえ! あ、あの僕……、もう一度、その、美和子さんとその、したかったんですけど時間がないかなと思って、つい……」
「大丈夫よ。いいわ、来て……」
「美和子さん……」
美和子が自然に開いた股間に身体を入れると、高木はその上に覆い被さっていく。
美和子の艶やかな声が漏れ始め、ふたりは二度目の行為に入っていった。
────────────────
香港へ戻ったその日、研修はなかったが、やはりというか白鳥からの呼び出しはあった。
断ることも出来ず、不承不承美和子は出かけていった。
ただ意外だったのは、会って食事をしただけであとは何もされなかったことだ。
長旅の疲労もあったので助かったが、どうも白鳥も美和子の疲れを気にしてそれ以上を求めなかったフシがある。
よくわからなかった。
美和子は、白鳥の告白など信じていなかった。
どうせ身体目当てで誑かしているだけだろうと思っている。
だが、闇雲に己の性欲の捌け口にするのであれば、美和子の体調など気にしないだろう。
気が強く腕っ節も強い美和子が弱っているのであれば、むしろチャンスというものだ。
やりたい放題の変態プレイも出来る。
もし誘いを拒絶しても、ビデオの件でやんわり脅しをかければ、美和子は言いなりになるしかないのだ。
もうビデオのことで脅迫したりはしないと言っていたが、もちろんこんなものも美和子は信じていない。
信じていなかったのだが、少なくともその日の白鳥は本当にビデオの件は持ち出さず、美和子をホテルに送ってそのまま自分のホテルへ帰って行ったのである。
こうなると美和子の心もほんの少し揺れ動いてくる。
もしかすると白鳥が今でも美和子を好きだというのは本当なのではないだろうか。
白鳥も高木とは別のベクトルで不器用であり、ああいう方法でしか口説けなかったのではないか、とすら思えてきてしまった。
そんなことあるはずがないと思うのだが、白鳥の日々の言動を見ていると、どうも先日のレイプ劇の彼が想像できないのだ。
実際、香港警務処本部内でも白鳥の評判は良いらしい。秘
書のサリーも白鳥を「ステキな方」と言っていたし、彼女によると本部内にも白鳥の隠れファンらしい婦警が何人もいるのだそうだ。
見た目だけでなく紳士的で偉ぶらないところが好感を持って迎えられているらしい。
それは美和子もそう思うのだ。
もう何度となく一緒に食事をし、飲みにも行っているが、そこでは一貫して洗練された紳士だった。
そんなこともあり、美和子は少なくとも食事については二つ返事でOKするようになっている。
抱かれることに関しては諦めているので、求められたら仕方がないと思うようになっているし、やはり美和子も寂しいのである。
ホテルの食事は悪くなかったし、その周辺にはいくつもレストランがあったから、その気になれば何でも食べられる。
美和子は英語であれば日常会話程度なら何とかいけるし、日本人観光客も多いから片言の日本語なら通じる店も多い。
注文や支払いで困ることはほとんどない。
しかし言葉の通じぬ異国である。
いくらおいしい料理でも、ひとりで食事をしても味気ないものだ。
話の通じる日本人はほぼ白鳥ひとりだったから、彼と行く他に選択肢はないのだ。
もちろん、どうしてもイヤな相手なら別だが、最初はともかく、今では白鳥がそれほど嫌悪すべき存在でもなくなっていた。
香港へ戻って二日目、この日も美和子は白鳥の誘いを受け、一緒に食事に出ていた。
もう彼と夕食を共にするのは日課のようになっている。
「本当は今日、在香港総領事館のパーティに招待されてたんです」
「え、そうなの?」
「はい。総領事とは顔見知りでして……」
「じゃあ、私なんかとご飯食べてていいの? そっちに行かないと……」
「いいんですよ。今日はデートだからと言って断りました」
「デ、デートって、あなたね……」
白鳥はそう言って、茶目っ気たっぷりにウィンクして見せた。
美和子は返答に困り、ただ白鳥の顔を見ていた。
頬の辺りが少し熱い。
紅潮しているのが自分でもわかった。
別に白鳥に対して恋愛感情など持っていない。
最初にあんなことをされたものの、その時の悪印象が少し薄れただけである。
それでもやはり大事に思ってくれていると思うと悪い気はしないのだ。
だから好意を持つとかそういうことではない。
しかし彼がそう思っているということは意識することになる。
美和子は複雑な気持ちになってくる。
胸の奥で高木の顔が思い浮かんだ。
食事を済ませると白鳥のホテルまで一緒に行き、地下のバーで軽く一杯飲んでから、彼の部屋へ連れて行かれた。
もう食事につき合った時点で、抱かれることは覚悟している。
むしろ昨日抱かれなかったことが不思議なくらいだった。
気になったのでその時に確認してみたが、やはり美和子が少し疲れ気味だったので遠慮した、とのことだった。
ただ肉欲的に美和子を犯したいというのであれば、そんなことは気にすまい。
美和子の脳裏に「まだあなたのことが好きだ」という白鳥の言葉が響く。
部屋に行くと、白鳥は無言で美和子を脱がせにかかった。
美和子もことさら抗いはしなかった。
裸に剥かれると、白鳥もガウンに着替えることなく服を脱ぎ捨て、そのまま美和子を抱きしめた。
胸を合わせる感じで抱きしめられた美和子は、白鳥から顔をを背けるように横を向いたものの、おとなしく抱擁を受けている。
それでも、白鳥の腕に手を掛け、外そうとしている意志は見せた。
仕方なく抱かれるのだ、という美和子の本意は示しておきたかった。
美和子は、白鳥の胸板で柔らかく潰されている乳房を気にしながら言った。
「……どうしたの、今日は。やけに焦ってるみたいよ」
「三日ぶりですからね、佐藤さんを抱くのは」
「……」
「恋しくて仕方なかったんですよ。あなたがいない間、こうしてあなたの身体を抱きしめることばかり考えていた」
「そんなことばかり……」
「ウソじゃありません……。まあ、いい。そういうことで僕は今、欲情してる。せっかちなようですが我慢してください」
「あっ……」
白鳥らしからぬ早急な行為で、美和子はベッドに押し倒された。
今までのようにたっぷりと時間をかけて全身を隅々まで舐め回され、身体中の肉を愛撫され、前戯だけで何度かいかされるようなセックスではなかった。
乳房を揉みしだき、媚肉を口と舌で責めるだけだったが、それでも美和子は充分に燃え上がってしまう。
クンニリングス自体、高木にはされたことがなかったし、過去に凌辱を受けた時もあまりされなかったせいか、白鳥の念入りなクンニには敏感に反応した。
舌と唇による愛撫がこれほどいいとは思いもしなかった。
抱かれることは諦めるが、なるべく反応せず終わらせたいと思っていたが、その決意は早くも崩れ始める。
(私、本当にどうしちゃったの……? あんなにこの男に辱められて……日本に帰っても高木くんに抱いてもらったのに、どうしてまた……たった一日抱かれてないだけなのに、どうしてこんなに欲しくなってるの……?)
日本とシカゴで受けた凄惨な調教のせいか、それともレスリーに仕込まれ、妖しげな薬を投与されたためなのか、美和子の肉体は非常に脆くなっていた。
白鳥がショーツをむしり取った時には、もうクロッチが愛液で糸を引いている有様だった。
そのまま男根を美和子の膣にあてがう。
「いいですね?」
「あ……」
美和子は困惑した表情で小さな声を出したものの、拒絶する言葉は出なかった。
「……」
白鳥は亀頭の先端で媚肉の合わせ目をすっとなぞった。
美和子はピクンと身体を震わせる。
「あっ」
濡れて愛液が垂れ始めている美和子のそこは、膣口に亀頭が少しめり込んだだけでざわめいてきて、早く入れて欲しいと言っている。
白鳥は挿入せず、ペニスで膣周辺を擦ったり突いたりしている。
焦らすような動きに、美和子の腰がすっと上がっていく。
はしたない動きに気づいたのか、美和子はハッとした表情になり、慌てて腰を落とすものの、またゆっくりと腰が上がってしまう。
(な、何をしてるの……。するんだったら早く……)
白鳥はにやっとして言った。
「待ちきれないのかな?」
「……」
答えられない美和子を見下ろしながら、白鳥はヒクヒクと苦しそうに喘いでいる媚肉にペニスを押し当てると、ゆっくりと腰を突き入れていった。
「んんっ! んっ、くううっ!」
声を出したくなのか、美和子は両手で口を押さえ、くぐもった声を漏らしている。
そうでもしなければ、はっきりとよがってしまったのかも知れない。
それでも、最初の一撃で深々と奥まで埋め込まれてしまうと「ああ……」と小さく喘いでしまう。
美和子の濡れやすいそこは、白鳥の太いものを楽々と飲み込んで行った。
疼く身体に長大なものを挿入される快楽に抗えず、美和子は腰をわななかせながら熱く甘い息を漏らす。
「んんんっ……はあっ……」
「気持ち良さそうですね、佐藤さん。僕もだ」
「くっ……ああ……」
「いい声だ、聞き惚れちゃいますよ。ふふ、日本で高木に抱かれた時もそんな艶っぽい声で喘いだんですか?」
「……!!」
美和子は驚いて白鳥を見つめた。
なぜこんな時に高木のことを持ち出すのか。
そんなことを言われれば、美和子は高木と寝たことを思い出し、イヤでも今の白鳥と比較してしまう。
少し喘いでしまった美和子だったが、高木のことを思い、また声を我慢している。
しかしそんな美和子の辛抱を打ち砕こうと、白鳥は徐々に腰を強く打ち込んでいく。
「うっ、動かないで! くっ、いや……はあっ……だ、め……あっ」
「動かなくていいんですか? 美和子さん、早く終わらせたいんでしょう? ゆっくり動いていたら佐藤さんはともかく、僕はいつ終わるかわかりませんよ」
「ひっ、卑怯……んあっ……」
「卑怯とはまた心外ですね。一緒に気持ち良くなってるのに」
「よ、けいなこと、あっ、い、言わないでいいからっ……くっ、さっさと、ああっ、す、済ませて……あっ」
「早く済ませてどうするんです? 僕とのセックスが終わったら高木に電話でもしますか」
「だ、だから高木くんのこと言わない、で、あうっ……」
「そうですね。高木のことなんか忘れて僕と腰を振り合いましょう」
「いっ……や……あ、あ……ああ……あぐっ!」
ひときわ強く腰を突き上げると、最奥まで貫かれて子宮口まで届かされた美和子は、ガクンと首を仰け反らせて我慢しきれない声を喉から絞り出した。
「うあっ……!」
(い、いやっ……声、出したくないっ……)
また美和子は口を手で押さえるものの、白鳥はその右手を掴んで押さえ込む。
残った左手で必死に唇を塞ぐものの、今度は白鳥の手が揺れる乳房を強く揉みしだいてきた。
悲鳴とも喘ぎともつかぬ声を上げて、美和子はその手を振り払おうとするが、手が口から離れた瞬間、また白鳥が強く腰を打ち込んできた。
「ああっ……!」
声を気にして口を押さえれば、乳房と乳首をいいように嬲られ、ますます声を我慢できなくなる。
といって胸を愛撫してくる手を振り払おうとすれば、膣を抉られる快楽の声がどうしても口から零れ出る。
美和子はもうどうしようもなくなり、口を塞いだり白鳥の手を払ったりすることもなく、ただ白鳥の腕を掴むだけだった。
「あ、ああっ……はあ……くううっ、いっ……や、ああ……はああっ……うんっ……いっ……ああ!」
奥深くまで打ち込まれて子宮口を亀頭が小突くと、美和子の背筋に電流が走り、脳髄まで駆け抜けて頭が痺れてくる。
高木はここまで入ってくれなかったのに、白鳥にはそこまで易々と侵入されている。
そう考えると、屈辱と背徳感で胸が白く灼けていった。
同時に、膣だけでなく身体全体が感じやすくなっていった。
性感が異様に高まり、蜜はじくじくと際限なく漏れ、全身に汗が滲んでくる。
それでも時々理性が戻るのか、悔しそうに唇を噛むが、また絶えきれなくなって甘い声を漏らしている。
白鳥は確信していた。
教えられていた通り、美和子はやはりマゾ体質らしい。
恥辱的な責めや言葉による羞恥責めがことさら効く。
アヌスが弱いというのもそのためだろう。
そして恋人である高木のことを持ち出すと、彼以外の男に抱かれて快感を得ているという背徳感に苛まれ、それがまた強い官能を産みだして、美和子に悦楽を与えているようだ。
「もうよがり声を抑えきれませんね。ふふ、こんなところを高木が見たらどう思いますかね?」
「たっ、高木くんに……」
「そう。佐藤さんが僕に抱かれて悩ましい声を上げて悶えているのを知ったら、あいつ嫉妬で発狂するんじゃないかな」
「やっ、やああっ……た、高木くんっ、許して! こ、これは無理矢理に……ああっ」
「無理矢理じゃないでしょう。美和子さんは抵抗していない」
「だ、だってそれは……ああ、いやあっ!」
「まあ、いいさ。安心なさい、ここには高木はいませんし、こんなことやつは知りません。愉しめばいいんですよ」
「やっ、で、でも……あ、あはっ……いあっ……いっ……」
高木のことを言われ、思い出すたびに、美和子の膣がきゅんきゅんと唸るように絞まり、白鳥のペニスを痛いほどに絞り上げている。
突き込んでみてわかったが、高木のことを言うと、子宮口までひくひくとわなないているようだ。
そこを亀頭でなぞってやると、美和子は恥ずかし気もなく大きな声で喘いだ。
今にも「いいっ」と叫びそうになるのを必死になって堪えている。
渋々抱かれてながらも快楽に身を委ねる決心をした美和子だったが、高木のことを意識させられるとまた理性が戻るようだ。
「帰国した時、あいつと寝たんでしょう? どうでした、ちゃんと気をやれましたか?」
「そっ、そんなこと……んあっ……いああっ……あっ、あっ……ああ……」
「どうです、高木のセックスと比べて僕のは? どっちが気持ち良いですか?」
「しっ、知らない……あ、あうっ……いっ……」
「そうですか。じゃあ、どっちのペニスの方が好きですか? 大きいのはどっちです?」
「そ、そんなこと聞かないで……いやあっ……いっ、ああ……あは……あうう……」
悶える声と悲痛な叫びが混じり合い、美和子の肉と心の葛藤を窺わせる。
心には高木の面影があるが、身体の感度はさらに良くなり、敏感に白鳥のものを感じ取っていた。
なじられながらペニスで深々と突かれると、美和子は快楽を押さえきれなくなり、声がどんどんと艶っぽくなっていく。
白鳥に何か言われるたびに奥からじゅんっと熱い蜜がわき上がってくる。
「すごい濡れようですね、佐藤さん。もうシーツがひどいことになってる」
「い、いや、そんな……あは……あ、ううっ……」
白鳥は美和子の官能的な太腿を抱え込むと、さらに結合を深くして子宮口を突き上げる。意識して最奥まで責められると、美和子の身悶えは露骨となり美貌が快感に蕩け始めてくる。
「気持ち良さそうですね、佐藤さん。そろそろ「いいっ」とか言ってくださいよ」
「やっ……、だ、誰がそんな……んんっ……んあっ!」
「もう一息なんですがね。どれ、それじゃあ……」
「やっ……!」
白鳥の顔が近づくと、美和子は慌てて両手で彼の顎を押し返した。
この前は不覚にも口づけを許してしまったが、もう二度とイヤだった。
ある意味、セックスよりもキスを許す方が背徳な気がする。
思いの外抵抗が強かったので、白鳥は顔を引いた。
意外ではあったが、まだ高木に対する美和子の気持ちはかなり強いのだ。
若きエリートの警察官僚はむらむらと嫉妬心が燃え上がった。
身体はある程度堕ちそうになっているが、まだ精神的には強敵のようだ。
女はこれくらいの方がいい。
その分、堕とし切った後の彼女の反応が楽しみだ。
白鳥がキスを諦めたのを知ると、美和子はホッとしたように腕を下ろし、また性の喜悦に浸り始める。
キス出来なかった分のお返しだとばかりに、白鳥も欲望のままに美和子を深く貫いていく。
美和子の媚肉襞は男性器に吸い付くように絡み、奥へと引きずり込もうとうねっている。深度や強弱、角度を変えて突き込んでやると、美和子の腰が微妙に動き、白鳥に合わせるように受け止めていった。
それでも、白鳥が手を握ろうとして指を絡めてきても、美和子はそれを振り払った。
また白鳥はカチンと来る。
同時に、それなら美和子の方がそれを求めてくるまで堕としてやると暗い執念を燃やしていた。
「いっ……ああっ……白鳥くんっ、いやっ……」
「何が「いや」なんです。こんなによがって」
「ち、違う、これは……ああっ! だめ、そんな激しくっ……くっ、奥が熱くなって……あああっ!」
「くっ……、確かに佐藤さんの奥……子宮が熱くなってるのがわかりますよっ。僕ももういきそうだ」
「だめっ……! 中、だめよ、白鳥くんっ……!」
「何を今さら。あんなに中に出されてきたのに。それに日本で高木にも中出しされてきたんでしょう?」
「ああっ……」
美和子の脳裏に、高木に抱かれた時のこと、中出しをねだったこと、そして願い通りに膣内射精を受けたことが思い出されてくる。
知らず知らずのうちに膣が思い切り収縮してきた。
これにはさすがの白鳥も堪えきれない。腰の裏が熱くなるのを感じ、射精するためにペニスを美和子の膣襞で激しく擦った。
そのままぐいぐいと子宮口を突き上げ、鋭敏そのものになった亀頭がぐぐっと大きく膨れた。
「だめえええっ、ふっ、深いぃっ……やっ、もうっ……もうっ……うあああっっ!」
美和子は全身をぐうっと伸び上がらせてガクガクを大きく痙攣した。
それと同調するように柔肉の襞が白鳥の肉棒を強く食い締める。
美女の鮮烈な絶頂シーンを見せつけられ、白鳥もたまらず射精した。
「くっ……、佐藤さん!」
「いやあああっ!」
美和子のしなる肢体を強く抱きしめ、腰同士が密着するほどに押しつけてから精液を放った。
どろっとした濃い液体が勢いよく子宮口にぶち当たり、美和子はその熱さと勢いをモロに感じ、連続して気をやった。
「うああっっ、でっ、出てるっ……いや、出てる、ああ……そ、そんなに出しちゃだめ……ああ……」
ドクドクと間欠的に噴き出されてくる精液の凄さを子宮で実感し、美和子はビクビクと腰を震わせて喘ぎ続けた。
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