「……」

哀が目を覚ました時、公民館の中に起きている者はいなかった。
少女は軽く頭を振った。
まだ少々熱が残っているが、だいぶ楽になった。
少なくとも頭痛は消えた。
哀は、蘭たちが観光している間はここで仮眠し、食事になって起こされて一緒に夕食
を摂った。
そして、酒の入った平次たちが騒いでいる最中、食事を終えて別室でまた少し眠った
のだった。

夏布団を除けて起き出すと、隣にはコナンが眠っていた。
周囲を見ると、平次も寝ている。
酒のせいか寝相が悪く、布団から大きくはみ出していびきをかいていた。
見回したが、蘭と和葉がいない。
女性は別室なのかも知れない。
そう思うと、哀は少し面白くなかった。
蘭や和葉よりは少し年上だが、哀とて妙齢の女性である。
まあ、この見た目では無理もないのだが。
それにしても、コナンと哀の子供ふたり(に見えたはずだ)は、ふつう女性と寝か
せるのではないだろうか。

少し気になって、哀は建物の中を探してみた。
どこにもいなかった。
そもそもこの建物自体、部屋らしい部屋は宴会をした広間と、この部屋しかないのだ。
後は簡易キッチンとトイレ、シャワー室しかない。
哀は胸騒ぎがしてコナンを起こした。

「工藤君、起きて」
「……」
「工藤君」
「ん……、なんだ灰原か……。どうした? トイレか?」
「寝惚けてる場合じゃないわよ。彼女たち、いないわよ」
「彼女? 蘭と和葉か?」

コナンはがばっと起きて辺りを見回した。

「公民館の中にはどこにもいないわ、ふたりとも」
「本当か……!」

すぐにコナンは平次を叩き起こした。
酒が入ったせいもあって、完全に熟睡していたため、文字通り叩いて起こした。

「いたっ……! なんや工藤かいな……、何やっちゅうねん、便所か?」
「バカ、違うよ。蘭と和葉がいない」
「なんやて!?」

さすがに平次も眠気が吹き飛んだ。
昼間のことが気に掛かってはいたのだ。
怪しい神社や遠見台。
それだけでなく、隆久も和弘もどことなく態度がおかしかった。
聡子もだ。
もしや何か企んでいたか。

「……そう言えば、今日は祭りや言うとったな」
「ああ……」
「祭りって?」

寝ていて何も聞いていない哀が尋ねた。

「なんや、大昔っから続いてる伝統的な祭りがあるんやて。その間は、そこら辺を
神さんがお通りになるから、夜は迂闊に出歩いちゃあかんて話や」
「じゃ、何であの子たちはいないの」
「……」
「その話をあらかじめ聞いていたんなら、自分から出歩くわけはないわ。だとしたら……」

連れ出された。あるいは拐かされた、の、いずれかしかない。
そして、それに気づいたとしても勝手に出歩かなくな、という警告だとしたら。

「あかん!」

平次は帽子をひっつかむと、転げるように外へ出た。
コナンと哀もその後を追う。
大きな音で引き戸を開けたが、誰も来なかった。
外は案外明るかった。
街灯などなくとも、今日は月齢が大きいらしく、ほぼ満月だ。
月明かりだけで十分歩けるだろう。

公民館から飛び出すなり、平次とコナン、哀は「里」の家々を一軒ずつあたった。
どこも真っ暗で明かりは灯っていない。
それでも戸を叩き、中へと飛び込んでいく。
どこも施錠されていなかった。
納屋や蔵も含め、すべての建物を確認したが、蘭も和葉も、そして聡子たちもいなかった。
家の中にはうっすらと埃が溜まり、しばらくの間だれにも使われていなかったことは明白だ。

「それにしてもどこ行ったんや。聡子ちゃんたちもおれへん」
「あの神社かな」
「いや、あそこで何かしようたってでけへんやろ。狭いし」

平次は少し背伸びして、昼間のぼった神社の辺りを見た。
ここから神社のあった丘は見えるが、暗いままだ。
人の気配はなさそうである。

「あの小島は?」

哀がぽつりと言った。

「小島って? あ、下島とか言う?」
「そう。あそこに渡ったんじゃないかな」
「そうか、船があれば渡れるんだ!」

確かあの辺りには船はいなかったが、ゴムボートを一艘持ってくれば事足りる。
間違いない気がして、三人は走った。
哀が言った。

「ここを突っ切れば速いんじゃない?」
「え?」

そう言えばそうだ。
下島との境界は、ちょうど里の反対側付近にある。
道は島の周囲に沿って敷かれているが、島を横断するように行けば最短距離だ。
昼間、道を使って一周している平次とコナンは思いつかなかった。
哀の指摘は正しかったが、道のない所を移動しなければならないわけで、走りにくいこと
夥しかった。
脚に絡みつくツタや草を蹴り飛ばし、目の前に立ちふさがる巨木を避け、枝を手で振り払い
ながら平次が叫ぶ。

「ええい、くそ! わけわからん草や木ばっかで邪魔くさいわ!」
「灰原、転ぶなよ」
「……わかってる」

言ったそばから、平次が止まった。
息が切れている。

「スタミナないわね」
「そう言うなや。まだ頭が少しふらつくんやて」
「お酒なんか飲むからでしょ、高校生のくせに」
「そういえば……」

コナンも頭を押さえて少し辛そうだ。

「俺もだ。おかしいな、俺は酒なんか飲んでないのに。灰原は平気か?」
「まだ少し調子悪いけど、もともと風邪気味だったし」

そう言って、哀はハッとした。

「工藤君もおかしいの?」
「ああ……、ひょっとして何か盛られたかな。灰原は?」

哀は大丈夫だった。
まだ少し調子がおかしいが、これは風邪のせいだろうと思う。
そう言えば、哀はそのせいもあって食欲があまりなく、さっさと寝床へ引きこもった
のだ。

「ということは酒のせいだけでもないんやな」
「でも、酒にも何か入ってたんだろうな。俺は飲んでないが、おまえと同じもの食って
たんだから。灰原が軽くて済んでるところを見ても……」
「どうもそうらしいな。くそ、迂闊やったな」

哀はふたりを見ながら言った。

「でも、あなたたちを見てると、毒とかじゃないみたいね。睡眠薬か何かかしら」

ということは、殺すつもりまではなかったのだろう。
明日の朝、蘭たちがいないことに気づいたらどうするつもりだったのか知らないが、
取り敢えず今夜だけ眠らせておけばいいと判断したようだ。

「ま、ええわ。とにかくあそこまで行くで!」

平次はそう言ってまた走り出した。
コナンと哀を気遣って、全力で駆けているわけではないようで、ふたりは平次から
引き離されていく。
舗装された道路なら、コナンはスケボーで行きたいところだが、道すらない場所では
如何ともし難い。
道を横切り、整然と植物が並んで植えられている畑らしいところに突っ込む。
作物を踏み荒らすのは気が引けるが、この際かまっていられなかった。
だが、走りにくい。
その植物がまた、ちょうどコナンや哀の顔の高くらいだったから、余計に進みにく
かった。
顔に花がぶつかる。
案の定、哀が足を引っかけた。

「あっ!」
「どうした?」

すぐ前を走っていたコナンは振り返った。
躓いたものの、哀は転ばずに済んだらしい。
靴に絡みついた草をほぐしている。

「これって……!」

哀の顔色が変わった。
平次も異変を感じたらしく、哀の止まった場所まで戻ってきた。

「どうかしたんか、ちっさい姉ちゃん。もうあかんか? 走れんならおぶったるで」
「違うわよ。これ見て」

哀は花を一本ちぎって手に持っていた。
ペンライトで照らされたそれは、昼間、和葉が見つけて「綺麗だ」と言っていた花だ。
ここは例の花畑だったらしい。

「あちゃ、花畑を荒らしちまったんかいな」
「そうじゃなくて。これ、何か知ってるの?」
「何って……、確か聡子はポピーとか言ってたぜ」

コナンがそう答えると、哀は呆れたように言った。

「工藤君、しっかりしてよ。ポピーってケシのことよ!」
「ケシ? あ、アヘンか!」
「なんやと!?」

欧米では、ポピーとは一般的にヒナゲシのことだが、日本ではケシ一般のことを指す。
ここにあるのは、明らかにヒナゲシなどではなかった。
哀は、その花を顔に近づけて観察している。
可憐な花は少女によく似合っていたが、それはとんでもない薬物の元だったのだ。

「確かこれ、アヘンに精製しやすい種類のはずよ。こんなものが自然に群生している
なんて信じられない。これはケシ畑よ」

ケシが開花して二週間もしないうちに大きなケシ坊主が出来てくる。
これがまだ完熟しない青いうちに、刃物で表面に傷をつけるのだ。
すると、そこからアヘンのもととなる白い液体が滲んでくるのである。
この時、深い傷を与えてしまうとケシ自体が弱ってしまい、その実からはもう乳液は
出てこない。
白い液体は、しばらくすると赤紫色に変色し、なおも新しい白濁液が滲んでくる。
そのまま半日ほど放っておき、液体が生乾きになったあたりで、ヘラを使って掻き取る。

そうやって集めたものを陰干しする。
おおむね一週間から10日ほどだ。
完全に乾燥すると褐色になり、固形物となる。
このままだとほとんどが不純物なため(純アヘンは10%もない)、ここからさらに
純度を上げる作業がある。
それを済ませて砕くと真っ白な粉となるわけだ。

「まさか……、偶然やろ。聡子ちゃんたち、知らずに栽培してたんと違うか?」
「そうだとしても、ケシは栽培するだけで違法よ。とにかく確認する必要がありそうね」
「急げ!」

コナンは叫んだ。
ケシ畑が作られているということは、組織的にアヘンが製造されていることを意味する。
もしかすると、それがコナンたちにも使われたのかも知れぬ。
となると、和葉や蘭にもそれを使い……。
それ以上の想像は頭を振って追い払い、コナンは懸命に駆けた。
何か聞こえたような気がしたが、前を走る平次の背中を見ながら少年は振り返らずに
走り続けた。

────────────────

風戸和弘は興奮していた。
盛んに首を回し、額に浮いた汗を拭っている。
何度も何度も唾を飲み込む。
それもそのはずで、彼の目の前には極上品の女体──遠山和葉が転がっているのだ。

和弘は童貞ではない。
それどころか、来年に備えての「禊」で、何度となく都内へ出て「修行」を積んでき
たのだ。
ソープで童貞を捨てると、風俗とナンパで性体験を重ねてきた。
今ではもう、同年代の男には決して負けないほどの自信と経験を持っていた。
その彼にして、ここまでの女は滅多に味わったことがない。
いや、初めてと言ってよかった。

蘭と和葉、どちらを選ぶかは隆久との間でもめることはなかった。
隆久は好みで蘭を選んだし、和弘は和葉の方が気に入っていたのだ。
少し残念に思うことがあるとすれば、和葉は「ヒモ付き」であり、これだけの美少女
ということを考えれば、処女である可能性は低かったことくらいだ。
だが、和葉のような美少女を前にして、それはいささか贅沢が過ぎるというものだろう。

「ん……」
「おっと」

眠りこけている和葉が呻きながら寝返りを打とうとすると、和弘は思い出したように
ロープを取り出した。
隣の部屋でもがさごそと物音が聞こえる。
どうやらあっちでも隆久が動き出したようだ。
その様子を思い浮かべながら、和弘は和葉を手際よく縛り上げていく。
聞いたところだと、この少女は見かけによらず合気道なんぞをやっているらしい。
男を張り倒すことなど何でもないとのことだったので用心のためだ。そうでなくとも、
こうして縛り上げて抵抗を奪い、意識を覚醒させてから犯す方が楽しいに決まっている。
犯されて悔しそうな表情を浮かべる気の強い美少女。
それこそが凌辱の醍醐味ではなかろうかと思う。
それが男に犯される快楽に溺れていくのを見るのもいい。
早速緊縛しようと思ったが、まず服を脱がすことにした。
破いてしまってもいいのだが、脱がせる楽しみも味わいたい。

剥き出しになったすべらかな肩に触れると、びっくりするくらいの肌理の細かさが
わかる。
肌の柔らかさもそうだが、産毛がほとんどわからないほどの美しさに感心する。
こうしたものは、いかにエステしようがどうにもならない天性のものだ。
その心地よさにうっとりして、しばらく和葉の肌を擦っていた和弘だったが、目的を
思い出し、苦笑して脱がせにかかる。
レモンイエローのタンクトップは、まるで脱がせてくれと言わんばかりの着衣だ。
ウェストの裾に手を掛けると、そのまま一気に頭から抜き取った。
ポニーテールの部分が少し引っかかったので起きてしまうかと思ったが、まだころり
と寝ている。
ホッとしてキュロットにかかった。
コットン地のバルーンタイプなので、これまたあっさりと脚から抜き取れた。

下着姿になった美少女に、思わずむしゃぶりつきそうになるのを何とか堪えて最後の
布地を脱がせる。
ショルダーオフの上着だっただけに、ブラはストラップを外しているようだ。
露わになった少女のブラジャーは、上のカットソーに合わせたのか、薄い同色だった。
カップ部分には白糸で線画調の細かい刺繍が施されている。
メッシュに見えたので、和弘は「大胆だな」と思ったが、よく見ると、ちゃんと内布が
あって透けないようになっているようだ。
両カップの間にリボンの装飾がある。
男勝りで強気な印象だった和葉だが、やはり可愛らしいものを好む少女には違いないと
いうことなのだろう。

背中に手を回してホックを外し、ブラジャーを取り去る。
すると、ぷるんと弾んで若い乳房がまろび出てきた。
じっくり賞味したいのを抑えつつ、下も脱がせる。
セットだったらしく、同じ薄いイエローのショーツだ。
これも裾にフリルがあり、真ん中に紐リボンが飾ってある。
そのウェストゴムに指を掛けると、するっとこれも引きおろした。

見とれるほどの裸身だが、そんなことをしていては和葉が目を覚ましてしまう。
和弘は、まずは自由を奪うことだとロープを扱いた。
ソファベッドの背もたれを倒し、そこに寝ている少女の脚に両手を手首でひとまとめに
してから頭上に持ち上げさせる。
その端をソファの脚に縛って固定する。
脚は片方ずつ足首を縛って開脚させ、それぞれをやはりソファの脚で固定した。

ようやくひと息つけた。
何人もの少女と関係を持ってきた自分としては情けない限りだが、こんな綺麗な娘は
初めてだったのだから仕方がない。
和葉を縛り上げてから、ようやっとその全身をじっと見下ろした。

「こりゃあマジで一級品だな……」

和弘は改めて感じ入った。
両手両足を縛られ、無防備に開脚した格好で横たわっている和葉の均整の取れた裸身
に見とれてしまう。
蘭よりは肌の色が濃いようだが、これは蘭が白いだけで、むしろ和葉の方が日本人と
しては一般的だろう。
その素肌も、若干の酒と和弘たちが仕込んだ薬のせいで、ほんのりと淡いピンクに
染まっていた。
まさに輝くような若い裸体だ。

仰向けに寝かされているため、やや乳房は扁平気味になってはいるが、乳首を中心に
充分丘状になっている。
乳房の張りは、臀部と違って100%肌によるものだ。
20代中盤を過ぎた女性たちが、緩んできたボディを気にして盛んにストレッチに
励んだりするが、確かにこれはヒップアップには役立っている。
臀部は筋肉だからである。
筋肉を鍛えることにより、垂れ尻はある程度の予防あるいは回復につながるのだ。

ところが乳房は違う。
乳房に筋肉はなく、そこには脂肪と皮膚しかない。
従って、女性の大きな乳房の張りを形づくっているのは肌の張力だけなのである。
胸筋を鍛えようとも鳩胸になるだけで、垂れた乳房が元に戻ることは有り得ない。
それだけに、寝ても形の崩れない乳房というのは、若くて張りのある肌をしている
という証拠にもなるのだ。

視線を下に移すと、うっすらと浮いたあばらが見える。
余計な肉はついていないらしい。
ウェストは華奢そのもので細く、急カーブしてぐっと腰骨が張っていた。
キュロットの上からも想像は出来たが、それ以上に豊かな肉付きのヒップだった。

股間にはうっすらとした翳りが女陰を隠している。
ごわごわした剛毛ではなく、触れてもわからぬほどの繊細な恥毛であった。
そこから目を下ろすと、開かれた両の太腿のたくましさに気づく。
スポーツをやっているからだろうが、腰や腿といったところの発達が良い。
素直にすらりと真っ直ぐ伸びた美脚は、少女らしい青さと成熟した女の肉付きもある。
熟れる寸前の少女の蒼く酸っぱい色気が発散されていた。

飽くことなく和葉のヌードを見下ろしていた和弘は、決心したように自分も着ている
ものを脱いだ。
和葉の身体を見ているだけで、もう彼の分身は破裂寸前なほどになっていた。
それを二三度擦ってから、和弘は和葉の頬を軽く叩いた。

「ん……」
「ほら起きて」
「……」
「和葉ちゃん、起きて」
「んん……」

酒とクスリで酔わされたとはいえ、そこから本物の睡眠に導入されつつあったのか、
和葉は不満そうにむずかった。
そもそも朝は弱く、低血圧気味だ。
うっすらと目を開けると、半端な明るさだった。
まぶしいほどではないが、暗くもない。
目の前には風戸和弘の顔があった。

「なんやの……風戸くん……。うち、眠いって……。まだ夜やろ?」
「寝ぼけてんのか?」
「当たり前や、眠いんやから……」

そう言って横向きになろうとして身体が動かないことに気がついた。

「な、なんや……。あっ……!」

両手が頭の上にある。それだけでなく手首が縛られているようだ。
「あっ」と思って脚を動かしたが、これも足首で縛られて固定されているらしい。

「なんやこれ! あんた、冗談にしては度が過ぎるで!」
「冗談? 冗談とは恐れ入ったな」

和弘はそう言って大笑いした。

「まだ寝惚けてるみたいだな。冗談なんかじゃないさ。冗談でおまえの処女を戴いた
とでも思うのかい?」
「な、なんやて……? あっ!」
「気がつくのが遅いよ。涼しいとは思わなかったのかい、素っ裸じゃないか」
「……」

和葉の強気の顔が見る見るうちに羞恥で赤く染まっていく。

「恥ずかしがることはないぜ。実に見事な身体じゃないか、びっくりしたぜ。肌も
綺麗だし、高校生にしちゃあえらく発達した肉体だ」
「く……」

こんな男に、まだ誰にも見せたことのない全裸を見られてしまった。
最初に見せることになるのは──いや、見せるのは生涯を通じてただひとり服部平次
だけだと思っていたのに。
そこで和葉は戦慄した。
さっきこの男は「処女を戴いた」と言っていた。
ということは、平次に捧げる前にこんな男に犯されたということだ。
赤かった顔から血の気が引いていく。

「おうおう、今度は青くなったな。怒ったり恥ずかしがったり、赤くなったり青く
なったり、忙しいことだな」

唇まで血の気が失せている和葉を見て、面白そうに和弘が言った。
怒りのせいか、少女の両手の拳が握られている。
唇もわなわなと震えていた。
そこで男が破顔した。

「あはははは、冗談だよ、冗談。まだ何もしちゃいないさ」

それを聞くと、和葉の全身からホッとしたように力が抜けた。

「でも、その顔色から察するにマジで処女らしいね。男がいるくせに」
「お、大きなお世話や! さっさと解いて! あんたなんか、ぶっ飛ばしたるわ!」
「おお怖い怖い。優男の俺なんか、簡単に伸されちゃいそうだな」
「当たり前や! うちだけやない、平次かてタダじゃおかへんで!」

それを聞いて、和弘はまたあくどそうな表情を浮かべた。

「そうそう、服部がいたんだったな。ま、ここにはいないけど」
「どこや! そういや蘭ちゃんやコナン君たちも……」
「とりあえず心配しないでいいよ。蘭ちゃんはすぐそこにいるし、服部やあのガキども
もまだ無事だ。ここにはいないけどね」
「まだ無事……やて?」
「そう。でも、和葉ちゃんや蘭ちゃんが俺たちの言うこと聞かなかったら、どうなるか
わかんないなー」
「……」

和葉はぎりっと歯軋りした。
和弘は、和葉や蘭の肉体を欲望に供させるために、平次たちを人質に使うつもりでいる。
視線でこの男を殺せないのが悔しくてしようがないという顔で和弘を睨んでいた。

「この卑怯もんが……!」
「そりゃそうさ。だってあんたらをこの島に誘ったこと自体、和葉ちゃんと蘭ちゃんの
身体を戴いちゃうことが目的だったんだもの。徹頭徹尾卑怯なんだよ」
「こ、こいつ……。そのために平次やコナン君たちも?」
「うん、まあついでだけどね。それにあんたらだけを誘うよりは、彼氏ごと誘った方が
騙しやすいと思ったしさ。まさかガキどもまで来るとは思わなかったけど、あの哀ちゃん
てのは結構可愛いよな。将来有望だ。この島、女っ気が足りないし、あの子が成長する
まで飼って共用のセックス奴隷にするのもいいかな」

とんでもないことを言い出した和弘に、和葉の怒りが倍増する。

「この外道が、どこまで腐ってるんや! そんなことしおったらタダじゃ済まんで!」
「タダじゃ済まないって?」
「あほ! ええか、うちの親父は大阪府警の刑事部長や。平次の親父も大阪府警の
本部長や。その子供を攫ってタダで済むと思うとるんか!」

和弘はまったく動揺せず、こう言い放った。

「関係ないね。あんた、島へ来た時のこと忘れたの?」
「な、何のことや」
「だからさ、ここはほとんど治外法権だよ。そりゃあ警官がいて逮捕でもされたら
仕方がないけど、ここにはそんなものいないよ」
「……」
「言ったろ? 呼びに行かなきゃそんなのいないんだよ。もちろん誰も呼びになんか
行かないがね。呼びに行きそうな連中はみんなふん縛ってあるしな」

意味がわかったのか、和葉は顔を背けた。
父親のことを持ち出したのは無論脅しである。
過去も彼女は父親の権威を使って何かしようと思ったことはない。
犯罪者どもが少しでも怯むことを期待したのだが、どうやら無意味だったようだ。
やや低い声で和葉は聞いた、

「……どうするつもりやの」
「何を?」
「だから……。うちたちを、や」
「どうもこうもない。言った通りだよ。和葉ちゃんと蘭ちゃんは、そのおいしそうな
身体を提供してもらう」
「……平次たちは?」
「和葉ちゃんが言うこときいてくれなきゃ始末するっきゃないよね。ガキも一緒に」
「じゃあ……」
「ん?」
「じゃあ、うちらがおとなしくしてれば、平次たちは助けてくれるのん……?」
「約束しよう。もちろんあんたらも殺したりはしないよ」
「……」

和葉は、まだクスリと酒が残っている頭を必死に回転させて考えた。
和弘は「殺さない」と言っているが、それが明らかにウソだろう。
平次たちはもちろん、和葉と蘭を凌辱しておいて、そのまま素直に帰すわけがないのだ。
そんなことをしたら、たちまちお縄となる。
和葉たちがすぐに通報するからだ。
それくらいわかっているだろうから、やはり始末されるのだろう。
どうせ周囲は海ばかりだ。
殺害してから舟に乗せ、重石を着けて海に沈めればわからない。
そう思っているに違いないのだ。

逆に言えば、和葉と蘭を犯している間は、少なくともふたりは殺されることはない。
平次やコナン、哀も、和葉たちが従っている間は殺されないで済むかも知れない。
そうであれば、生きているうちに何かしら打てる手立てがあるかも知れないのだ。
平次やコナンの頭脳、そして行動力なら期待できる。
それまで時間稼ぎをする必要があるのだ。

「納得した? じゃあ、さっそく……」
「ちょっ、待たんかい! 触らんといて!」

覚悟しようと思ったが、やはりそう理屈で割り切れるものではなかった。
仮に和葉が非処女であっても同じだろう。
若い乙女が、その身を穢されるのだ。
躊躇どころか恐怖が湧くのは当然である。
理性では仕方のないことだと諦めようとしても、女性本能として脅えや憤りがあるのだ。
そこへ和弘が迫ってきた。

「や、やめっ! やめちゅうてるやろ!」
「そう騒ぐなって。おとなしくやられろや」
「誰があんたなんかに……!」
「仕方ないな」

和弘は少しぼやいて後ろを向いた。
いかに縛ってあるとはいえ、こう騒がれては興を削ぐ。
少しおとなしくさせる必要がある。
平次らの命で脅迫はしているが、いざ犯されるとなると身体が言うことを聞くまい。
凌辱を素直に受け入れるような生理は女性にはない。
それが処女ならなおさらであろう。
少し肉体的恐怖を与えた方がいいかも知れない。

「な、何を……」

和葉は引きつったような声を出した。
和弘が手にしていたのは大きめのサバイバルナイフだったのだ。

「そ、そんなものでどうする気や」

どうしても語尾が震えた。
犯されるのも怖かったが、刃物で身体を傷つけられる怖さはまた別格だ。
気丈だとか男勝りだとか、そんなことは一切関係ない。
凶器や理不尽な暴力は誰だって怖いのだ。
生命の危機を感じて、身体が途端に強張る。
男はサディスティックな笑みを浮かべて、震える白い膨らみに切っ先を持っていく。

「ひっ……!」

鋭く尖った刃先が、初々しいピンク色の小さな乳首にそっと触れると、和葉は全身を
緊張で硬直させた。

「……可愛らしい悲鳴も出せるじゃないの。そうそう、その調子だよ」
「痛っ……やめ、やめてや……。怖い……」

ちょんちょんと何度か乳首を乳房内に押し込むように突っつくと、乳首がたちまち
硬くなっていくのが切っ先から伝わってくる。
素晴らしい弾力と感触だ。
和葉の方は、痛いことは痛いが、我慢できないほどではないらしく、唇を食いしばって
耐えている。

「乳首が勃起してきたぜ」
「……」

きつめな目元に不似合いなほどに大きなバストだった。
外したブラジャーには余分なパッドなどついてはいなかった。
これだけのサイズなら、そんなものは必要ないだろう。
聞いたところではEカップだそうだが、なるほどそれくらいはありそうである。
乳房の見事な豊満さに比べ、乳首がぽつんと小さいのが、いかにも処女らしく清楚
だった。

「やめ、やめて……あっ……」

充分に和葉を脅えさせたことを知ると、和弘はナイフを置いた。
和葉がホッとするのもつかの間、和弘は太腿に手を伸ばしてきた。

「ひぃっ……やあっ……あっ、触らんといて! ……いやや!」

腿から脚の付け根あたりまで、和弘はその肌を何度も両手で撫で回した。
太腿の肉感や弾力、そして和葉の素肌のぬくもりまでもその手で感じ取っていく。
和葉の方は、まるで毛虫か蛾でもたかったかのような嫌悪の表情を浮かべ、その肌が
ざあっと鳥肌を立てた。

「くっ……」
「そんなにイヤか?」
「き、決まってるやろっ……すぐやめ……」
「優しく触られるんがいやなら、強くしてやるか」
「あ、あほ! 優しうも強うもないわ、あんたに触られるんがいやや言うてるやろっ、
あ、痛っ!」

突然に両方の乳房をぎゅっと鷲づかみにされ、和葉は悲鳴を上げた。
乳房の柔肌にわざと爪を立てられ、傷つかない程度にゴリゴリと強く揉まれた。
かと思うと、今度は乳首を指で摘んで抓ったり、ぐいと上へ引っ張り上げたりもされた。
悲鳴を上げる和葉に、和弘は乳房を嬲りながら聞いた。

「なあ、おまえあの服部ってやつとはホントにやってないのか?」

和葉はハッとして黙った。
そしてゆっくり答える。

「ない、言うてるやろ……」
「こうやって乳を揉まれたことも? 脚を触られたこともないのか? やられそう
になったけど、おまえが逃げたとかそういうのも?」
「だ、だからないわ! 平次はそんな恥知らずとちゃう。あんたと一緒にせんといて」
「ふうん。なんだ、服部とは恋人なんかじゃないとか言ってたくせに、やっぱ好き
なんだろ?」
「……」
「沈黙が答えになってるな。まあいい、それでも処女なのは本当らしいしな。それに、
それなら面白い趣向もある」
「何をする気や……」
「そうだな、あの服部の前でおまえを犯すとかな」
「……!!」

和葉は、今度こそ驚愕した顔で和弘を見た。
にやにや笑っている男から顔を逸らし、ようやく言った。

「そんなこと……そんなことされたら、うち死ぬ……」
「そんなこと出来ないだろ。服部が悲しむぜ、きっと」
「……」
「ま、その趣向は考えとくよ。そうするのも面白いかなって思っただけで、すぐに
そうするわけじゃない。いずれにしても、あんまり抵抗するようなら……」
「……」

ここはもうおとなしくこのけだものの餌食になるしかないのかも知れなかった。
本当に平次の前で凌辱されるなどということをするかどうかはわからないが、本気で
するつもりなら、少なくともそれまでは和葉はもちろん平次の命もつながるのだ。
いずれにせよ、この身を犠牲にして時間を稼ぐしかなかった。
和弘のからかうような声がする。

「そら丸見えだぜ、和葉ちゃん。へえ、なかなかいい毛並みじゃないか」
「こっ、こらっ、どこ見てるねん!」
「どこってオマンコに決まってるだろうに。可愛い和葉ちゃんのオマンコ」
「くっ……、こ、このっ」

声を上げるのも恥ずかしかったが、それ以上に憤りが強い。
和弘は大股を広げられた和葉の股間の前にしゃがみ込むようにして眺めているのだ。

「や、やめっ、触るんやないっ!」

和弘の指先に感じられる陰毛の感触は柔らかく、滑らかだった。
下着に押さえつけられていたとは思えぬほどに整然と生えている。
何度か梳るようにして恥毛を撫でてから、和葉の花芯の肉の溝に指を這わせた。
和葉はつんざくような悲鳴を上げたが、和弘にはまったく気にならない。
割れ目の頂点にあるピンク色の肉芽をちょんとつっついた。

「ひっ!」

恐らく他人に触れられたのは初めてなのだろう、和葉は全身を大きく跳ね上げた。
和弘が面白がって、そこを何度もつんつんと突いてやると、そのたびに和葉は裸体を
すくませ、あるいは弾ませて悶えていた。
相当に敏感な場所だから、和葉の反応は痛いのか感じているのはよくわからない。
ただ、根本の部分をそっとなぞってやると、これははっきりと感じたらしく、ギクッ
と身体を震わせた。

「だ、だめっ……ひっ……そこ、触っちゃっ……くっ……!」

和葉の反応が徐々に露骨になってきたのを見て、和弘はクリトリスをしゃぶってみた。
つるんと唇内に含んでやると、またギクンと可憐な少女の身体が悶える。
和弘はそこをくわえたまま舌先で優しく愛撫し、ねっとりとしゃぶっていく。

「くうっっ……!」
(あ、あかんっ……なんやこれ……あっ……こんな……う、うち、まさか感じて……?)

和弘のテクニックで徐々に燃え立たされていく肉体に、和葉は動揺した。
子宮がキュンと収縮する。
ジィンと痺れるような性感がこみ上げる。
男の舌から熱気が注入されているかのように、女芯から官能の炎が燃え広がり、下腹部
全体へと飛び火していった。
突き抜けるような快感──そう、和葉はこの時点ではっきりとした快感を得ていた──
が少女の頭まで痺れさせ、淫らな欲望すらわき上がってくる。
ややもすると、もっとして欲しいと言って、腰を和弘に押しつけてしまいそうだ。
和葉の肢体がほんのりと桃色に染まって汗ばんできた。
そろそろクスリも作用してきたようである。

「は、恥ずかしいっ……どうしてこんな……うそや……ああっ……」

和弘の舌が急所を責めてくると、電流のような快感が媚肉から子宮まで駆け抜ける。
そのたびに胎内の奥深くから、こんこんと蜜が湧いてくるのが、和葉にもはっきりと
わかった。

「そろそろいいみたいだな」

広げられた股間の真ん中で、大きく花開いている秘裂を見て和弘はそう言った。
和葉の愛液分泌量はかなり多い方らしい。
もう彼女の恥毛では吸い取り切れず、腿の付け根から滴り落ちていた。
若いということなのか、それとも和葉が人並み以上に鋭敏な性感を持っているという
ことなのか。
いずれにしても、和弘にとっては大歓迎である。
和弘は和葉の媚肉から口を離し、立ち上がって己のペニスを振りかざした。

その醜悪な凶器に、思わず和葉は目を背ける。
何しろそいつは、今や遅しとばかりに、先端からねっとりと透明な汁を滴らせて
いたのだ。
恥ずかしさと悔しさで目を堅く閉じていた和葉だったが、男が肉棒を花弁にあてがい、
溝をなぞり始めると絶叫した。

「い、いややっ! やめて! ホ、ホンマにいやなんや!」
「何を今さら。ここまで来てやめられますかっての」
「いやあああっ!! 平次っ、平次ぃっ、助けてぇぇぇっ!」

多分、和葉の「助けて」という叫び声を聞いたのは和弘が初めてだろう。
和葉自身、こんなことを叫んだのが初めてかも知れない。
しかし、助けを求めるべき服部平次はこの島にいない。

「怖い! やああっっ!」

媚肉に男の熱い肉棒の感触を感じ取と、和葉はそれまでの快美感が消え去り、とてつも
ない恐怖感が押し寄せてくる。
和葉の悲鳴をむしろ愉しむように聞きながら、和弘は腰を微妙に動かして媚肉をなぞり、
探り出した膣穴にペニスを押し込んでいく。
指で広げた大陰唇はペニスに絡み、襞は巻き込まれるように内部へと引きずり込まれて
いった。
亀頭の先が少々潜り込んだだけで和葉のそこはもういっぱいなのか、膣は窮屈そうに
わななき、肉棒を圧迫した。

「だめぇっ! は、入らへんて! いっ、痛いぃっ!」

なかなか内部へと入らないことに、和弘は戸惑った。
意外な堅さだ。
まさかと思って聞いてみた。

「……ホントに処女なのか?」
「……だから、何度もそう言ったやろ……」

あらかじめ本人が言ってはいたが、やはり意外だった。
見た目がすべてではないだろうが、どちらかというと蘭という少女の方が処女で、
和葉の方は男もいるし、経験済みではないかと思ったのだ。
それがヴァージンだった。
望外の幸運に、和弘は驚喜した。

「それじゃきついわけだ。少し痛いとは思うが、まあ我慢してくれ。どっちみち誰かに
奪われるものだしな」
「だっ、だからそれは……」
「服部か?」
「……」
「残念だったな。服部には謝っておくか」
「いやや! やめて、これ以上せんといて! あっ……んっ、ぐぐっ……い、や、あ……」

和葉は本当に身体が引き裂かれるかと思った。
メリメリと膣が軋み、破れていくような気がする。
それでも肉体はこれ以上の苦痛を和らげようと、膣内から多量の愛液を湧出させた。

「うっ……あ、あううっ……くううっ……!」

和葉の腰は、苦痛を逃れようと無意識のうちに上へ上へとずり上がろうとする。
それを和弘の腕が腰をつかんで押さえ込む。
どうにも逃げられなくなった和葉は、その全身から脂汗を滲ませ、可憐な美貌を苦痛で
歪ませた。

「い、い……いっ、たいっ……痛い……ぐぐ……」

引き裂かれそうな激痛と衝撃に、頭の上にある両手が白くなるほどに握られている。
悲鳴を上げまいときつく噛みしめていた歯がきりきりと軋み、がちがちと鳴った。
中へ挿入していく途中で、和弘は亀頭に抵抗を感じ、そこで止めた。
どうやら処女膜らしい。
和葉の顔を見ると、ペニスの動きが止まったので少しホッとしたのか、目は閉じたまま
だが肩で息をしている。

「あぐうっ!」

再び中へと進み出した肉棒に、和葉は白い首を仰け反らせて呻いた。
処女膜と呼ばれてはいるが、実際には膜などはない。
それでも和葉は、処女膜が破られた音をはっきりと聞いたような感じがした。

「ああっ、ぐうっ……ううっ、うむっ……くうあっ……いっ、たいっ……やっ、ああ
ああっっ!」

処女膜を突破し、なおも奥へと侵攻するペニスの強烈さと苦痛に、和葉は背をたわま
せて絶叫した。
徐々に、和葉の熱く濡れた肉が和弘の肉棒をすっかりくわえ込み、きつく締め付けてきた。
眉間に深いしわを寄せて堅く目を閉じ、苦悶する和葉の表情がやけに色気を発散している。
男を知り、意志とは無関係に男を誘う表情になっているのかも知れない。

根本まで深々と挿入されてしまうと、和葉は諦めたようにがっくりと力を抜いた。
それでも、和弘が少しでも肉棒を動かすと、ビクンと反応して呻き、悶えた。
口でクリトリスを弄ばれたような快楽はまったくなかった。
処女を奪われた精神的かつ肉体的な苦痛と、屈辱のみであった。
わずかに身じろぎするだけで、頭のてっぺんまで届くような激痛が走る。

一方、和弘は有頂天だった。
自分の真下にある、和葉の可憐な美貌が、動くたびに痛みで歪み、苦しげに悶えるのを
見ているだけで興奮が高まってくる。

「じゃあ、いくぜ」
「いやや……。抜いて……もう抜いて……ああっ、動かんといてぇっ!」

和弘が硬直したペニスを深々とねじり込むと、和葉の喉が仰け反る。
さぞや痛いのだろう。
とはいえ、和弘は責めを緩める気はない。
儀式を終え、和葉が役儀を果たした後は、和弘はもらい受けるつもりでいた。
そのためにも、和弘がいちばんいいと思わせたかった。

ゆっくりと深く二度三度と突き込みながら、和弘は和葉の美貌と肉の妖しさを同時に
味わっていた。
じんわりとペニスを締め付けてくる乙女──ついさきほどまで処女だったのだ──の
肉襞の熱く柔らかいぬくもりが何とも言えない。
狭くきつく締め付けながらも、瑞々しい弾力に富み、太い肉棒にも何とか馴染もうと
する柔軟さもある。

「痛いっ……本当に痛いんや……。お願い、もうやめて、抜いて」
「可愛いよ、和葉。おまえみたいな子からそんなこと言われるなんて、男冥利に
尽きるぜ」

涙を零さんばかりの和葉だったが、和弘の言葉を聞いて羞恥に染まった。
はしたないというより恥ずかしい言葉を聞かれてたまらなく恥ずかしかったのだ。
「お願い」とか「やめて」とか、まして「抜いて」などとは、普段の和葉からは思いも
つかない言葉である。
それが恥ずかしかった。

男が少し動くと、自分の中に男のものがあることを実感する。
足を窄めたいのに、縛られていてそれが出来ず、腿をもじもじさせるのが精一杯だ。
すると和弘の手が腿の下に潜り込み、抱えるように持ち上げた。
縛られているからそうは持ち上がらないが、腰が浮くくらいは動く。
和弘は腿を抱え、和葉の股間に身体を挟ませたまま、ゆさゆさと太腿を揺さぶった。

「あひっ! 痛いっ! もうあかんっ……やめっ……堪忍してぇっ……痛い、痛い、
痛いっ!」

和弘が腰を使うたびに、媚肉に突き刺さったペニスが子宮まで突き上げてくるほど
に貫いてくる。

「くあっ!」

その激痛と内臓をかき回し、押し上げてくるような不気味な圧迫感に少女は脅えた。
気丈な和葉だったが、身体の奥まで犯される恐怖と苦痛に脅えつつも何とか堪えている。
男に両手で抱え上げられている太腿に指が食い込む。

その感触に和弘は酔っていた。
滑らかな肌とこの柔らかさはどうだろう。
そして腰や腿、指に触れる和葉の太腿の温もりや肌触りが、男の官能をますます上昇
させた。
突き上げるごとに、和葉の温かい内腿が擦れ、和弘の皮膚を刺激していく。
するとペニスの芯がさらに硬くなり、和葉の苦痛が強くなる。
思い切り深くまで男根を突き通し、和葉の胎内でそれを動かした。

「あっ……いやあ……」
「どうだ、もうそろそろ痛みが取れてきたか?」
「そ、そんなわけあれへんっ……痛いんや、抜いてっ……!」

突き込まれ、ずるずると引き抜かれるペニスは、和葉の血と愛液にまみれている。
それが少しずつ零れ、シーツを赤く汚していた。

「は、早う……早う終わってっ……痛いっ……もう、もういややっ……!」

処女膜を破られるのは悔しかったが、痛みはそれで終わると思っていた。
だが、それが甘かったことを痛感させられていた。
いったん貫かれた激痛の後にあったのは、安堵でも快楽などではなく、処女を失った
痛みに負けぬほどの苦痛だった。
その痛みは強気の和葉にして目を剥くほどだ。
当然と言えば当然だが、和葉はまだ媚肉を犯される快感を知らない。
今はただ苦痛のみのセックスだ。
いずれは性に溺れようが、今の苦痛に責め苛まれる和葉の哀れな姿もまたそそるもの
があった。

「ああ……あっ……やっ……あう……痛い……」

もう叫ぶ気力も失せたのか、悲鳴にも元気がなくなってきていた。
和弘の方は、興奮していたこともあって、初めての和葉に負担をかけないようにして
いたわけではない。
それでも和葉の性器が、和弘の男根を食いちぎりそうなほど強烈に締め上げていて、
ろくに動けないほどにくわえ込んでいた。
そのせいで結果として動きが鈍く、和葉の苦痛を僅かながら和らげていた。
ややもすると、責めている和弘の方が痛いくらいの締め付けだったのだ。
和葉の方は、蜜は順調に分泌しているようだが、あまりにぎっちりと締め付けており、
スムーズな挿入を手助けするほどではなかったようだ。
その心地よさときつさに、和弘は呻いた。

「おっ……いいぜ、和葉……。くっ。おまえ良すぎるわ。もう我慢できそうにない」
「ああうっ……痛いっ……」
「い、いいな、出すぜ」
「だめや!」

和葉は痛みを堪えながら必死に言った。

「な、中はあかん! 中だけはあかんで!」
「無理言うな。もう我慢できねえよっ」
「やめえ! お願いや、中は、中だけは堪忍や……、許してぇ!」
「しっ、仕方ねえなっ」

和弘はうわずった声でそう言うと、さっきより激しく突き上げた。
明らかに射精しようとしている。
こみ上げてくる射精感を押さえきれず、和弘は欲望を迸らせた。

どびゅっ。
びゅるるっ。
びゅくんっ。
びゅくくっ。
びゅるっ。

「あっ……!!」

すんでの所で肉棒を引き抜くと、和弘は横たわった和葉に向けて射精した。
勢いよく飛び出た精液は、和葉の若い肢体を汚した。

「最低や……、あんた最低や!」

少女は血を吐くように叫んだ。
射精の瞬間、反射的に逃げたせいで顔にこそかからなかったが、顎と言わず首と
言わず、胸や腹まで白濁液で汚れた。
その白い濁液は、ところどころ赤く滲んでいた。
和葉は顔を逸らした。
目を閉じ、唇を噛みしめて、懸命に涙を堪えていた。



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