「……ん、そろそろ行きますか」

それまで隅で新聞を読んでいた老バーテンが音もなくゆっくりと立ち上がるところ
だった。
どうやら「看板」のようだ。
レスリーはそれを見て、グラスの残りの酒を一気に干した。
つられるようにして美和子も自分のグラスを空けた。
残った氷がカラカラと澄んだ音を立てた。
見れば、ボトルは2/3くらい空いている。
一時間でよく飲んだものだ。
立ち上がった美和子もさすがに少しよろめいた。
酔いが回っている。
その腰に、すっとレスリーの手が回り、彼女を支えた。

「……」

美和子はそっと医師を見上げた。
残念ながら、高木はここまで気が回らない。
彼女はレスリーを頼もしい、好ましいとは思ったが、恋愛感情はまったくなかった。
信頼する医師、親身になってくれる好男子、という印象だけだ。
美和子が「すみません」と言って医師の手を腰から外すと、彼も抵抗することなく
素直に外した。
ここで強引に美和子を抱きしめるようなら、彼女は一気に信頼感をなくしたこと
だろう。

レスリーが支払いを済ませている間、美和子は酔った熱い息を吐いていた。
自分も払うと主張したのだが、医師は笑って謝絶した。
こうした場合、男は支払いたがるものだろうし、それをいたずらに拒否して自分も
支払えば気を悪くするに違いない。
だから美和子は折れて、医師に支払いを任せていた。
医師はすぐに戻ってきた。

「お待たせしました」
「どうもすみません。ごちそうさまでした」
「いえいえ。さ、もう戻りましょう」
「はい」

バーを出ると、ふたりはエレベーターに乗った。
ボタンを押すとすぐに上階から下がってきてドアが開く。
レスリーは美和子を先に乗せ、開閉ボタンを押した。

「何階ですか」
「あ、すみません、三階です」
「わかりました」

ボタンを押している医師の背中を見つめながら、美和子は背中を壁に預けた。
ここまで飲んだのはひさしぶりな気がする。
デートでも食事が主なのは、高木があまり強くないからである。
飲めなくはないのだが、飲むとすぐに眠くなるタイプらしかった。
美和子も特別強い方ではなかったが、それでも高木に比べれば充分にいけるクチ
だろう。
レスリーが振り返って言った。

「お疲れですね」
「いえ、さすがにちょっと飲み過ぎたみたいです」
「そうですか」

チーンと到着の音がした。ドアが音もなく開くと、レスリーは外へ出て美和子を
促した。
美和子は気を利かせて、出てからドアを押さえている。
医師が自分の階に戻るだろうと思ったからだ。
そのまま立ち尽くしている医師に美和子が聞いた。

「先生、お部屋は何階ですか?」
「僕? 五階です。ここですよ」
「え? でもここは……」

そう言われて美和子は廊下の壁を見る。
大きく「5F」と書かれたプラスティック・ボードが貼られていた。
美和子は少し慌てて言った。
手を離したドアが閉まり、エレベーターが階下に移動していく。

「先生、私は三階なんですが……んむっ!?」

美和子は、突然に迫ってきたレスリーに驚く間もなく、その唇を奪われていた。
必死に閉じた唇を割るように、医師の舌が侵入してくる。

「ん……んっ……い、いやっ……!」

美和子はレスリーの胸を叩き、押しこくって身体を引き離した。
慌てて口に手をやり、医師を睨みつけて言う。

「な、何をなさるんですか、先生っ。あ、いやっ……、んうっ!」

また唇を塞がれた。
顔を振りたくろうとする美和子の頭を両側から押さえ込んで固定し、レスリーは
顔を押しつけてくる。
また口が離れた。

「せ、先生いやっ……!」
「……」

美和子は「はあはあ」と荒く息をついている。
その耳元に医師は顔を近づけて言った。

「佐藤さん……、いや美和子さん。あなた、満足できてないんでしょう?」
「……!!」
「さっきそうはっきりと僕におっしゃった。だから僕は……」
「冗談じゃありません!」

美和子はぴしゃりと言った。

「わ、私は先生だから……カウンセリングの先生だからお話したんです! 誰に
でも身体を許すつもりでそんなこと言ったんじゃありません!」
「だから僕も医師としてあなたを治療するつもりで抱くと言っているんです」
「!!」

女刑事は美貌に眉を寄せ、わなわなと震えていた。
「治療」として「抱く」とは何だ?
結局、美和子を犯すことではないのか。
美和子はレスリーに抱かれることを決して同意はしないだろう。
ならばレイプと同じではないか。
医師の彼がそんなことをするとは信じられなかった。

そこまで考えて、美和子はハッと思い当たった。
今までも時折疑問に思っていたことであり、さっきバーでも考えていたことだ。
レスリーは美和子にカウンセリングと催眠術しか施していないのに、彼女の肉欲を
見事に解消させている。
彼は対症療法だと言っていたが、それはそうなのだろう。
しかし、その効果は顕著で、通院してしばらくの間はセックスに対するもやもやは
確かになくなっていたのだ。
そしてまたおかしな気分になってくると通院していた。
その繰り返しだったのだ。

そう考えると、もしやレスリーは治療と称して美和子を犯していたのではなかろうか。
そう言えば、毎回必ず催眠術を掛けていた。
そうして美和子の自主性を失わせてから、彼女の身体を好き放題に嬲っていたのでは
ないだろうか。
そうではないと言い切れる自信は、美和子にはなかった。
後催眠というのを掛けると、その時のことは意識下から消えるらしい。
そうして「なかったこと」にしていたのではないか。
美和子は酔いで赤くなった頬を青ざめさせて聞いた。

「先生、まさか……まさか私を病院でも……」
「さあ。それは言わぬが花でしょう」

決定的な回答だと思った。
美和子は目の前は真っ暗になったような気がした。
以前にも「もしや」という疑いを持ったことがなかったとは言わない。
だが、こうしてそれが事実だと知ると、やはりショックは大きかった。

「そんな……」
「誤解しないで下さいよ、美和子さん」
「何を誤解するなと言うんです!」
「僕はあなたを抱きました。否定はしません」

やはりそうなのだ。
予想はしていたがショックは大きかった。
美和子は脚の力が抜け去り、今にもぺたんを尻餅をついてしまいそうになる。

「ですがそれはあくまで治療の一環です」
「そ、そんな治療がありますか! そんな淫らな……」
「淫らかも知れませんが、効果はあったはずです。違いますか?」
「……」

それはそうなのだ。
男が欲しくて切ない思いをしていた女体が、めいっぱい抱かれて何度も気をやらせて
もらえたのだから、当然すっきりはするはずだ。
しかしそれはすべて当人たる美和子には内密だったというのが問題なのだ。
これではだまし討ちだし、立派な強姦、犯罪である。
美和子がそう抗議すると、医師は冷静に言い返した。

「そうかも知れません。ですが、美和子さんはいかに治療とはいえ、僕が抱くと
言ったら受けてくれましたか?」
「そんなはずないわ!」
「でしょう? だったら仕方がないでしょう」
「そんなことありません!」
「ではお聞きしますが、僕以外の男が抱くと言ったら、美和子さんはOKしました
か? もうひとつ聞きます。誰にも抱かれずに、その身体の疼きを抑えることが可能
でしたか? オナニーでもだめだったのに」
「……」

自慰でも収まらず、日々のいらいらが頂点に達したため、医師に相談したのである。
当然自分ではどうにもならなかったはずだ。
そこで医師はそっと美和子の肩に手を置いた。
肩を揺すってその手を外そうとしたが、レスリーはしっかりと美和子の肩を押さえ
ている。

「そう重く考えることはありません。これはいわゆる不倫や浮気ではない、治療なん
です」
「でも……」
「あなたが誰にでも身体を開くようなタイプの女性なら、僕はこんな心配はしないし、
実行もしません。根本的な治療はともかくとして、一時的にでもその肉体の疼きは
何とかしなければならない。でもあなたは身持ちの堅い女性だ。誰彼問わずという
ことも出来ない」
「……」
「ならば、もう道は他にないのではありませんか?」
「それは……」

戸惑い、迷い、混迷する美和子に医師はだめ押しをした。

「僕は無理強いはしません。強引なこともしますが、相手を殴り倒してでも、なんて
ことはしないです」
「……」

酔いも手伝って、美和子の頭脳はまとまらなかった。
楽になりたいという思いもあっただろう。
そして何より、高木とのセックスで中途半端に燃え上がってしまった肉体の「後始末」
もしたかった。
どのみち、帰ったらすぐにレスリーの元へ訪れるつもりだったのだ。
「このまま抱かれてもいい」という思いと「それだけはいけない」という思いが交錯
し、美貌の女刑事の心中で葛藤が始まった。
そこにまた、医師の唇が襲ってきた。

「んんうっ……んっ……んんっ……んむ……」

胸を拳で叩くことこそやめたが、まだ抵抗が激しい。
美和子はレスリーの浴衣の裾を掴み、何とか引き離そうとしていた。
その美和子の頭を抱えるようにして医師はなおも美女の口を吸い続けた。

「むむう……ん、んん……っ……むっ……ぷあっ」

いったん口が離れると、美和子は止まっていた呼吸を必死に繰り返した。
はあはあと喘ぐその口を、またもレスリーが塞ぐ。

「んぷっ……むっ……ん、ん、んんっ……」

浴衣の裾を掴んだ腕がぷるぷると小さく痙攣してきている。
力を入れすぎているのか、それとも思わず抜けそうになる力を込め直そうとしている
のか。
また口が離れる。

「せ、先生、もうやめて……」
「このまま放っておくわけにはいかないですよ」
「そんな……。もう部屋に帰して……」
「ええ、部屋へ行きましょう。僕のね」
「ち、違います、私の……私と高木くんの部屋に、んむうっ!」

唇を四度奪われ、美和子はがくがくと震えだした。
身体の内部から熱いものが込み上げてくる。
それが官能の疼きだということははっきりしていた。
何としてもそれを覚られるわけにはいかない。
健気だが儚い抵抗は徐々に弱められ、美和子の腕はレスリーの浴衣から離れ、だらり
と下がっていく。

「ん、んく……ふうっ……んん……っ……ん、んじゅっ……」

僅かに開いた唇の隙間に、医師の舌が侵入してくる。
唇の裏側、前歯の歯茎をねっとりと舐め上げられると、美和子はぞくぞくするような
感覚を覚えた。
さらに口が開き、歯が開く。
そこに舌が入り込み、美和子の甘い舌を捕らえていく。

「んんっ! ふ、ふむうっ……んうっ……ちゅっ……じゅるっ……」

思わず甘い息を医師の口に吐き込んで、美和子は呻いた。
力が抜けつつある美和子の身体を支え、レスリーは彼女の浴衣の胸を割った。
白いカップが被った柔らかそうな乳房をブラの上から揉み込む。
指で確認すると、もう乳首は勃起しかけている。
そこをくりくりと布地の上からこねてやると、「たまらない」とばかりに腰をうねら
せてくる。
すっかり舌を医師に預けていた美和子は、その舌を強く吸われ、頭の中が真っ白くな
っていくのを感じていた。
そこでレスリーは口を離した。

「さ、美和子さん、いいですね?」
「……」

美和子は答えることも出来ず、へなへなと医師の胸によりかかってしまう。
その美貌はうっすらと朱に染まっており、熱い吐息が香しかった。
いつもは凛とした大きな瞳は意志力が消え失せ、とろんと霞がかかっている。

「さあ」

医師は美和子の腰を抱えるようにして自室へと連れて行く。
引きずられるようにして歩かされながらも、美和子の葛藤が大きくなる。

(い、いけない、こんな……。先生となんて……)

そうは言いながらも、もう一方ではこんな風にも思ってしまう。

(どうせもう何度も先生には抱かれている。今さら抗ってどんな意味があるの……)

それでも美和子は、心の底では抵抗していた。
高木に対する思い、自らの淫らさ、そして医師の職務を利用した非道な行為。
それらに対する憤りと反発だった。
しかし、それらをまとめても、熱くなってしまった肉体の疼きには勝てそうになか
った。
部屋に連れ込まれ、布団に転がされても、逃げだそうとはしなかった。
丹前と浴衣の前をはだけさせられて呆然としている美和子の前に男は立ちはだかった。

「美和子さん」
「……」
「まだちょっと信用しきれませんので、こうさせてもらいますよ」
「あ、何を……いやです、先生っ!」

レスリーは美和子から浴衣をはぎ取った。
酔って力の入らぬ美和子を押さえつけ、ブラジャーとショーツも脱がせてしまった。
その上で、転がした美和子の浴衣から帯を抜き取って、それを美和子の裸身に巻き
付けた。

「なんで縛るんですか。縛らなくても……」
「素直に抱かれるってことですか」
「……」

顔を逸らせた美和子だったが、もう身体はどうにもならなかった。
高木との中途半端なセックスでぶすぶすと不完全燃焼だったのに加えて過度のアル
コール摂取、そしてレスリーの強引な口づけと軽いペッティングで、すっかりとろ
けてしまっていた。
このまま何もせず放置されるとしたら、そっちの方が混乱してしまっただろう。
心はともかく、肉体の方はレスリーを──男を受け入れる状態になっている。
抵抗は形ばかりであり、「犯される」という状況を自身に説明するためでしかなか
った。

下着まで剥ぎ取られ、両腕を後ろに回される。
そしてその手首を肩胛骨の辺りまで上げられて縛られた。
その縄尻をぐいっと前に持ってきて、そのまま胸を緊縛されている。
胸の上下で二重に帯を回され、豊かな乳房が弾けんばかりに括り出されていた。

「ああ……」

美和子は自分の今のポーズに羞恥していた。
信頼していた男の前で素っ裸にされ、淫らに縛られている。
胸も股間も、隠しておきたい箇所をすべて晒されていた。

「あっ……!」

後ろ手で縛られ、横座りになっていた美和子の背後にレスリーが回り込み、背中から
腕を回してその乳房を揉んできた。
両手いっぱいにふくよかな乳房を覆われ、包み込むように握られると、美和子はくっ
と顎を突き上げて呻いた。

「うっ……」

医師は以前にも美和子の胸を何度も愛撫していたが、その触感や感じやすさは絶品
だと思っていた。
柔らかくてとろけてしまいそうな乳房だ。
弾力感も充分にあったが、触り心地は柔らかい。
それでいて決して弛んではいなかった。
肌は張り詰めているのにここまで柔らかいというのは、その肌の肌理が細かいという
証拠だ。
手のひらから感じられるぬくもりが、いかにも生の女を実感させる。

「っ……あ……くっ……う……あ……」

美和子は目を閉じて顔を背けている。
レスリーが自分を抱いている現実も、胸を揉まれて感じ始めている事実も認めなく
なかったのだ。
それでも、瑞々しい色の乳輪からぷくりと膨れた乳首を指で揉み出されると、たま
らず首が仰け反ってしまう。

「ああ……」

その白く伸びた首筋に、医師の熱い舌がねっとりと貼っていく。
口が開いて歯が立てられ、強く吸われると、美和子はその快感にぞくぞくしながらも
悲鳴を上げた。

「あっ、先生っ……! そ、それはやめて……」
「ふふ、あまり強く噛んだり吸ったりするとキスマークが残っちゃいますね。彼氏に
バレたらまずいですか」
「……」
「しかし本当に綺麗な肌ですね。真っ白だ。でも、ついさっき高木さんに抱かれたの
でしょう? その形跡が残ってませんね。彼はこうやって肌にマーキングを残したり
しないんですか」

とてもそんなタイプではなかった。
接吻でも出来るだけ優しくするような男だ。
美和子の肌に跡が残るような(例え一時であっても)マネはしない。

「まあ、お話を聞くとそんな感じの男性ですけどね。でももったいないなあ。美和子
さんは縄目がつくくらいきつく縛ったり、肌が赤くなるくらいきつく愛撫するくらい
の方が感じるはずなのに。そうですよね?」
「ち、違います……。いやらしいこと言わないでください」
「そうですか? でもあなたは僕にそう告白したじゃありませんか。犯罪者どもに
嬲られた時、かなりきつい責めばかりだったと。おぞましいことに、その責めに馴
らされ、快楽を感じてしまったと」
「ああ……」

美和子は顔を伏せた。
そうなのだ。この男には──レスリーにだけは、何もかもすべて話してしまっている。
今さら誤魔化そうとしたり、取り繕っても無駄なのである。

「だから美和子さん。僕の前では隠し立てする必要はありません。あなたの欲望通り
に動いて下さい。結果的に、それが対症療法にもなるんですから」
「ああ、でも先生……」
「ふふ、でも「恥ずかしい」ですか。それがあなたのいいところだ。ますます男心を
そそりますよ。凌辱者たちの気持ちがわかるような気がする」
「そんなひどい……あっ、せ、先生、やっ!」

帯で縛り上げられ、手で持ち上げられた乳房を舐められた。
医師は肩口から顔を回し、首を伸ばして美和子の胸を唇で愛撫している。
舌先でしこった乳首を転がされて呻き声を上げさせられ、唇で優しく潰されて思わず
喘がされた。舌が蠢き、乳輪を舐め回し、乳首をころころと転がされ、舌先でぐっと
押し込められると、背筋にびぃんと快楽の電流が駆け上る。
それに子宮が連動し、胎内にまでじーんとした甘い痺れが響いていた。

「ああ……あっ……」

(い、いやっ……感じてしまう……)

美和子は医師のテクニックに戦慄し、喘いだ。
高木とはまるで違う。彼は美和子を意識しすぎ、強引な行為が出来ない。
それでいて、美和子を悦ばせようという気持ちがあるのはわかるのだが、そこが美和
子には物足りなかった。
この美貌の女刑事は、愛されるのも、感じさせられるのもいいが、こちらの生理を
無視して男の欲望のみで乱暴に扱われることに、得も言われぬ強い情欲を感じていた
のだ。
まるで人権を無視し、物のように扱われる屈辱。そしてその行為に鋭い快感を持って
しまう背徳。
その両方が、聡明な女捜査官を性に狂わせてきたのだった。

「あっ!」

男の手がするりと股間に進出してきた。
唇に嬲られる乳房にばかり意識が行っていたので、唐突に急所をいじられて美和子は
がくんと首を反らせてしまう。

「先生、だめっ……!」

指が綺麗に整った陰毛をかき分けつつ、ほころびかけている割れ目を拡げていく。
中にすうっと外気が入ってくるのを感じ、美和子はそこが晒されているのを知った。
膣口も小さく口を開けており、美和子が呻いたり喘いだりするごとに、とぷっと愛液
を噴き零している。
その蜜を指ですくい取りながら、レスリーは割れ目の内部をそっとなぞっていく。
膣だけでなく尿道口までいびられ、美和子はどんどんと煽られていった。

「ひっ……あうっ……せ、んせぇっ……あっ……だ、だめえ……んんっ……」
「どんどんいやらしいのが漏れてますよ。気持ちいいんですね?」
「い、いや……くううっ……!」

医師の中指がつぷっと膣に突き刺された。
ぬるりと何の抵抗もなく受け入れた媚肉は、押し入れられた指の分だけ、また愛液を
零している。
レスリーはさらに人差し指も同時に挿入した。
いびつに口を開けられた膣口は痛々しいほどだったが、美和子には苦痛がほとんど
なかった。
それどころか、待ちかねたように腰が上擦ってしまっている。
指は膣の狭隘を割り拡げるように侵入し、内部の肉襞をこそいでいく。
その指をきゅっと絞るように締め付けてくる膣内壁の動きは、明らかに美和子が肉の
喜悦を感じ取っている証明だ。
挿入している指を回転させて内壁を抉ってやると、美和子は極まったような声を
上げた。

「あひぃっ……! せんせいっ、お願いもうやめ、ああっ……!」
「やめて? そんなはずはないでしょう、こんなに濡れていて。ほら、いくら掻き
出しても、後から後から出てきますよ」
「そ、それはあっ……あぐうっ……」
「さっきも言ったでしょう。僕の前では気取る必要はありません。ありのままで
いい。「演技」は要りませんよ」

同じ演技でも大違いだと美和子は思った。
高木と寝ている時は、あまり感じていないのにいったふりをし、満足した表情を作ら
ねばならない。
今は、感じて感じて仕方がないのに、感じていない素振りをしている。
180度異なった「演技」だった。
医師が二本の指をずぼずぼと律動させると同時に、親指で敏感な肉芽をいびってきた。
弾いたり擦ったりされるごとに、美和子は背をぐぐっと伸ばして喘いだ。

「ひぃっ……あ、だめえっ……先生ホントにだめですっ……ああっ、そんなことされ
たら私もうっ……!」
「もう? 「もう」何です? いきそうなんですか?」
「いやっ……!」

すんでの所で美和子は首を振りたくった。
素直に首肯してしまいそうになるのを堪えたのだ。
医師の言う通り、ここまで来て我慢しても始まらぬとも思うのだが、まだ残っている
理性が、恋人以外の男の前で乱れることに羞恥を覚えている。
それでいて腰は指の動きに合わせるようにうねり、尻を振っていた。

「どうしたんです、そんなにいやらしく腰を振って」
「あ……」

戸惑う美和子の耳元に口を近づけ、その耳たぶを優しく唇で挟む。
舌でちろちろと舐め、軽く歯を立てた。

「ああ……」

ぞくりとする刺激が、美和子の官能中枢を突き抜けていく。
耳の穴にふっと息を吹き込まれ、美和子とも思えぬ可愛らしい悲鳴を上げさせられる
と、そこに悪魔のささやきが響いてくる。

「さあ、正直になることです、美和子さん」

いつもの、治療の時のレスリーの声がする。
美和子は夢うつつとなり、ゆっくりと振り返った。

「欲しいのでしょう、僕が」
「それは……」
「素直に、正直になりなさい。犯して欲しいと言うのです」
「……」
「さあ」

一瞬、美和子は堅く目を閉じたが、すぐに首を振り、力なく言った。

「……しい……です……」
「はっきりと」
「ほ、欲しい……です……」
「犯してください」
「お、犯して……くだ、さい……ああ……」

美和子に意識がなかったわけではない。
無理に言わされたというのでもない。
この時、彼女にはきちんと自我はあった。
それだけに、高木に対する後ろめたさ、申し訳なさを強く感じていた。
またそのことが、美和子を精神的に欲情させ、燃え立たせているのも事実だった。

(ああ、た、高木くん、ごめんなさい……私、もう……)

医師は媚肉から手を引き、美和子をごろりと仰向けに寝転ばせた。
そうして腿の付け根を腕で押さえ込み、ぐいと大きく股間を拡げてしまった。
美和子は目をつむり、顔を背けた。

(い、今だけ……今夜だけ許して……私、我慢出来そうにない……)

美和子の幻想を打ち砕くかのように、レスリーの男根が現実感を伴って媚肉の中に
入ってくる。
怖いほどに硬くなり、脈打っているペニスの亀頭が挿入されてくると、美和子の細く
締まった腰がびくりとおののいた。

「ああっ……!」

とうとう来た。
待望していたものなのに、なぜか絶望を感じてしまう。
しかし焦燥感に苛まれていた膣は大喜びで肉棒を迎え入れ、その圧倒的な充実感に
蜜を吐き出していた。
医師はそのまま両腿を押さえ込んで脚を割り開き、ぱっくりと開いた割れ目に太い
ものを入れていく。
野太いものに限界いっぱいまで拡げられた媚肉は、今にも軋んで音を立てそうな
ほどだ。
美和子はその重さ、力強さに目を剥き、溜め込んでいた吐息を一気に吐き出した。

「か……はっ……!」

何度もレスリーには抱かれているはずなのに、その大きさに圧倒される。
高木に抱かれた後だから、余計にそう感じたのかも知れない。

(だ、だめよ、そんな……。高木くんと比べるなんて……!)

媚肉を引き裂かんばかりのきつさと、熱いものに貫かれる感覚は、女だけが味わえる
肉の快楽だった。
背中で合わされた両の手が、ぐっと拳を作ってその苦痛に耐えている。
首も背も仰け反らせ、切れ切れに掠れた呻き声を上げている。

「ふああっ……く、うううっ、き、きつい……ああ……お、大きい……」

こんなに熟れているのに、まるで処女のような狭隘さを持った美和子の膣は、軋み
ながら拡げられ、少しずつレスリーのペニスを受け入れていく。
医師も慌てることなく、美和子の腰をがっしり掴むと、じっくりと腰を進めていった。
ぬめぬめと熱くまとわりつく襞を引きはがしながら、男は時間をかけて根元まで
押しこみきった。

「くあっっ……!!」

子宮口まで届かされ、胃の方へ持ち上げられる感覚に、美和子はがくっと首を折り
曲げ、腰を浮き上がらせて呻いた。
男がそのままの状態で美和子の膣内部を味わっていると、美和子は全身からじっ
とりと汗を浮かばせつつ荒く息を吐いた。

「どうです、美和子さん。全部中に入れましたよ」
「あ、あ……」
「どんな感じか言ってください」
「あ、あうう……、き、きつい……」
「ほう、なぜ?」
「せ、先生のが、ああ……ふ、太くて大きいから……お、奥まで届いて……ああ
……」
「よく言えましたね」
「あ、あむっ……!」

そこでレスリーは美和子に覆い被さり、唇を重ねた。

「む、むぐ……むむう……」

嫌がって振りたくる顔を押さえ込まれ、美和子は正面からレスリーの口を迎えた。
それでも口は開かず、咥内は許さなかった。
医師はそれでも無理はせず、舌先を使って美和子の唇を割り、上唇と下唇の間に
入り込んでくる。
美和子にも初めてのキスで、言葉には出さず動揺した。
キスではなく、何だか無理に媚肉を押し広げられているような感じがする。
唇を犯されたと思った。
美和子が口に気を取られていると、今度はまた胸に手が伸びてくる。

「あっ……」

腕と胸元が縊り上げられるように帯で緊縛され、締め上げられている。
豊かな白い乳房がややいびつに歪み、上下の帯の隙間から餅のように飛び出ている
のが何ともエロティックだった。
緊縛され張り詰めた乳房の肌が一層に艶やかになっている。
その先にある硬くしこった乳首をレスリーに弾かれると、ぴりっとした痛みにも
似た痺れが胸を突き抜けていく。

「あくっ……!」

そのじぃんとした痛みがまだ残っているうちに、今度は柔らかい唇が乳首を含み、
熱い舌先が根元をなぞるようにしてねぶってくる。

「あう……」

軽い痛みと優しい愛撫のコントラストに、美和子の喘ぎ声が甘く艶っぽくなって
くる。
舌で乳首を舐められつつ、大きな手でも覆いきれぬほどの乳房がやわやわと揉み
込まれてきた。
うっとりとその快感に浸っていると、突如、手の動きが活発となり、今度はぎゅう
ぎゅうと乳搾りのように強く揉みしだいてくる。
乳首同様、乳房も強弱を巧みにつけた愛撫に翻弄され、美和子は快楽に身をうねら
せていた。

「それじゃいきますよ」
「……」

もはや拒絶の言葉は出ず、むしろ小さく頷いてしまう美和子だった。
レスリーはまた両腿を限界まで拡げさせ、大きく開脚させた状態で膣をゆっくりと
抉っていった。

「ああ……」

まだ緊張して硬さの残る膣道をほぐすようにゆっくりと動く。
そのたびに、ぬぷっ、にちゃっと粘った愛液が淫らな水音をさせていた。
ゆっくりとだが、大きく揺さぶるような腰の動きに、軽く円を描くような運動も
加え、レスリーは美和子はセックスに集中できるよう、彼女の快感を引き出して
いく。

「あ……あ、あは……」

小さな優しい動きでは我慢できないのか、美和子はもじもじと腰をうねらせている。
とろ火で焦らされるような抽送は確実に快感を与えてくれるが、切ないほどに焦れ
ったく、より強い刺激を求めてしまう。

「どうですか、美和子さん。満足ですか」
「……」
「今ひとつって感じですね。どうして欲しいんです?」
「つ、強く……」

羞恥にまみれながらも、美和子は思った通りのことを口にしてしまう。

「もっと……強く、して……は、激しく……ああ……」

それを聞いて、レスリーはゆっくりと腰を引いていく。
ずるりとペニスが美和子の膣から姿を現し、張ったカリで襞をこそいでいく。
愛液にまみれた肉棒がほとんど出てしまうと、美和子は「ああ……」と失望した
ような声を出す。
そこに、ぐいっと腰を力を込めて大きく突き刺した。

「あうっ……!」

レスリーは少しずつ大きくストロークを取っていき、律動に円運動を巧みに混ぜて、
美和子から喘ぎ声を絞り出していく。
静脈が浮いた太いペニスが媚肉の襞を伸ばすように押し広げ、ずちゅっ、ずちゅっ
と抜き差しされ、かき回している。

「いいですか、美和子さん」
「ああ……いい……」

美和子は小さく頷いた。
医師は左手で美和子の右腿の付け根を押さえ、右手で左の足首を掴んで持ち上げた。
そうやって思い切り美和子の股間を開かせる。

「あっ、な、何を……」
「なに、あなたにも見せてあげようと思ってね。ほら、こうやるとあなたにも見える
でしょう、自分のオマンコが」
「ああっ……」

大きく開脚された股間が、男のたくましいものに貫かれている様子を見せつけられ、
美和子の顔が羞恥に染まる。

「い、いやっ……!」

レスリーは腰を使いながら聞いた。

「さあ、どうなっていますか、あなたの大事なところは」
「やあっ……。先生、もう辱めないで……あっ……」
「言うんだ。さあ」

(ああ……、どうして……。逆らえない……この先生には逆らえない……)

信頼していた医師だということもあるだろうが、なぜか美和子はレスリーに反発
出来なかった。
彼はそのカウンセリングで、美和子に覚られることなく主従の関係を暗喩してきて
いた。
催眠術の成果もあって、美和子は知らず知らずのうちに、彼を主人として見ている。
ただ、一般的な主と奴隷ではなく、対等は対等なのだが、彼の言うことは背きにく
い、逆らいにくい、という程度ではある。
しかし、それで必要充分でもあった。

「言って」
「あ……、は、はい……」

美和子は堅く目を閉じ、そしてうっすらと開ける。
目の前では、生々しいほどに男性器が美和子の媚肉を何度も抜き差ししていた。
見た目だけでなく、膣内部でもそれは感じられる。
狭い膣道いっぱいに拡げ、みっしりと詰まっているきつさ。
それが動くごとに粘膜がへばりついていく感じ。
硬いカリにごりごりと内壁が抉られる感触。
そして奥深くまで貫かれ、子宮にまで届かされ、子宮口をごりゅっとこじ開けられ
そうな感覚。
すべて身体の中のことなのに、美和子にはそれが目に見えるかのようだった。

「あうう……せ、先生のが私の……」
「オマンコ」
「わ、私のオマ、ン、コの中に入って……ああ……お、奥まで来てます……」
「それで?」
「な、中で動くたびに、あっ……いやらしい汁が出て、ああ……」

美和子の淫らな言葉を聞くごとに、レスリーのペニスに力が入り、その太さと硬さを
増していく。
普段の美和子のきりっとした姿を見ているだけに、彼女が口にする淫靡な台詞とその
ギャップに興奮が高まる。
大股開きにさせたまま、レスリーは大きなストロークで思い切り深くまで突き込んだ。

「あくあっっ! ふ、ふっかいっ……!」

つんざくような悲鳴を上げる美和子を見下ろしつつ、医師はぐぐっと深くまで腰を
沈め、ぐいっと引き抜く。
ずんと深くまで突き上げ、子宮をぐいぐいと押し上げた。

「くうあっ、すごっ……奥っ……奥まで来てるっ……ひぃっ……」

きゅうきゅう締まる媚肉に絞り上げられつつも、肉棒は膣を押し広げるようにぐぐっ
と膨張していく。
こそぎあげ、抉り、襞をまくり出すような激しいピストンに、美和子は腹筋をわな
わなと痙攣させながら喘ぐ。
たくましい男根に突き上げられ、美和子はびくびくと震え、嬌声を上げ、何度も頭を
振りたくった。
最奥に叩きつけられるように亀頭が抉り込まれ、大きなグラインドが全身を揺さぶる。
引き抜く時のカリがごりごりと内壁をかき回し、擦り上げていく。

「ふうあっっ! んああっ、いいっ……ひっ……いいいっ……!」

しなやかな肢体を弓なりに反らせ、艶やかな黒髪が汗で額にへばりついている。
突き込むとぴったりと密着した下半身は、レスリーの動きに合わせて跳ね、より
大きなストロークを生み出していく。

「は、激しっ……激しいっ……ああっ、すごいいっ……」

敷き布団がまくれそうなほどに大きな動きに翻弄され、美和子の嬌声が室内に響き
渡る。
レスリーの動きが激しくなるにつれ、美和子は満足に呼吸も出来なくなる。
何度も顔を振りたくり、黒髪が宙を舞う。うねる裸身には汗が滲み、身悶えていた。
熱くとろけた媚肉をひっかきまわすペニスが深くまで刺し貫くと、ぬちゃっと派手な
水音を立てて新たな愛液が零れ、シーツを通して布団にまで染みを作っていった。

「ああっ、いいっ……先生、いいっ……くっ、気持ちいいっ……!」

膣の襞はペニスにへばりついて離れようとせず、ひくついたような収縮を繰り返して
いる。
力強い律動に耐えているどころか、むしろ積極的に受け止めて、さらに奥まで誘って
いた。

「あっ、ああっ……せ、せんせっ……も、私っ……」
「もういくんですか、美和子さん」
「も、だめっ……ひっ、ひっ、来るっ……来ちゃうっ……うああっっ……!」

全身を激しくわななかせ、大きく背中を仰け反らせて美和子は絶頂を迎えた。
がくんがくんと肢体を痙攣させながらも、媚肉はまだ射精しないペニスを離そうと
しない。
絶頂によってひくついている媚肉の収縮は射精を促し、なおもレスリーの肉棒を
絞っている。
その甘美な締め付けに危うく射精しそうになりつつも、レスリーは美和子に腰を
打ち込んできた。
休むことなく与えられる強烈な快感に美和子は目を剥いた。

「あああっ! ま、待って先生っ! そ、そんなまだだめっ……休ませて……少し
休ませてぇっ……」
「その必要はない。美和子さんの身体は、ほら、まだこんなに欲しがっている。
まだいくらでも気をやれると言ってますよ」
「やはああっ……いいっ……やっ、いくっ……先生ぃぃっ……!」

絶頂後の気怠い余韻を味わう暇もなく、美和子の掠れた、しかし甘い艶声が流れて
くる。
一度いかせたことで医師にも余裕が出たのか、腰の動きを少し落として、揺れる
乳房に手を伸ばした。
突き上げると、ゆさっ、ゆさっと揺れる乳房はいやでも目に入り、いじってくれ、
揉んでくれと訴えかけているかのようだ。
その乳房をぎゅっと鷲掴みにし、指の跡が残るほどに強く揉みしだく。
激しく揉まれていくと、だんだんと乳房が重くなってくる気がする。
内部に快感がどんどんと溜まってくるかのような錯覚を受けた。

「んひっ、お、おっぱいっ……む、胸、強すぎます、先生っ……ああっ……」
「乱暴にされるのがいいんでしょうに。強く揉んで欲しいのでしょう?」
「ああ……」

美和子は、本当に自分がマゾにされていくような気がしていた。
彼女の肉体を貪った誰もが、美和子を乱暴に犯し、粗暴な愛撫で泣かせていた。
おぞましいことに、その強引なセックスに馴らされてしまい、強制的な快感を与え
られることで、この上ない官能の高みに達するようになっている。
でも高木にこんなプレイは望むべくもない。
満足するには、こうしてこの医師に定期的に身を任せるしかないのだろうか。
それとも。
そこまで考えて、美和子は自分の考えに脅えた。
どこの誰とも知れぬ男にレイプされないとだめなのだろうか。
ミシェルや牧田、そしてトッドと、彼女をみっちりと性技と快楽を仕込み、一時的
に性奴隷のように仕立て上げた憎むべき男たち。
彼らのような連中に、この身体を好きにされないと満足できないのかも知れない。
それよりは、社会的ステータスもあり、普段は紳士的であるこの医師の方がいいの
だろうか。
美和子はそこまで考えていた。

「はあうっ! そこだめえっ……ああっっ!」

乳房を強く揉み込まれるだけでなく、太いペニスが盛んに出入りしている膣の上に
鎮座しているクリトリスにまで愛撫が来た。
ひくひくと震え、包皮から顔を覗かせている女芯が指でしごかれ、美和子は尻と頭
でブリッジが出来るほどに背を反らせて仰け反った。

「そこいやああっ、か、感じすぎて……ああっ……!」
「そこ? そこってどこです?」
「くっ、クリトリスっ……! クリトリスですっ、ああっ……やめ、そこはもっと
優しく、ひぃっ……!」
「優しく? こうですか」
「ああ、そう……そうよ……いい……」

一転して指の動きが滑らかになる。
指にたっぷりと美和子の愛液をつけて、ぬるぬるした状態で優しく肉芽を嬲っていく。
包皮をくりっと剥くようにしごき、そこで指の腹で撫でるように擦る。
するっと指が擦ると、そのたびにびゅるっと愛液が噴き出すほどの感度だ。
うっとりしてきた美和子を見て、レスリーはまた強く責め立てる。
クリトリスの根元をきゅっとつねるようにしごき、上から押しつぶすように圧力を
かけた。

「いやああっ、はあああっ、強い、強すぎますっ……いっ……ひぃっ……い、いく
……だめ、もういっちゃううっ……!」

がくがくっと仰け反った美和子は、がっくりと脱力した。
室内にはむっとするほどに、美和子の淫液の匂いが漂っている。
立て続けの絶頂に、美和子の膣内は異様なほどに熱を持っていた。
気をやった余韻で、小刻みにレスリーの肉棒を締め付けてきた。

「くっ……」

腰の後ろが熱くなり、射精欲が昂ぶってくる。
それを必死に堪えて、またしても律動を再開した。
汗にまみれ、激しく呼吸する裸身を突き上げ、腰を打ち付けていく。

「せんせいぃっ、ゆ、許してっ……もう許してぇっ……す、すごいっ……な、中が
……オマンコがとろけてしまうっ……いいっ……」
「またいきそうなんですね。オマンコがひくひくしてますよ」
「いっ、いきそうっ……」

美和子は何度もガクガクと頷いた。
びくびくと全身を痙攣させ、甘い汗を身体中から絞り出している美和子の嬌声が響く。
さすがにレスリーも我慢の限界に来きている。
美和子の腰を抱え持つと、腰を叩きつけるようにして肉棒で子宮を小突いた。

「はああっ……! こっ、壊れるっ……奥、壊れちゃいますっ……んああっ……いっ、
いいっ……ひっ……い、いく……いっちゃうわっ……」

大きく仰け反りっぱなしの美和子は、身体の下で縛られている手をぐっと握りしめて
いた。
指先が白くなるほどに力が込められ、爪が手のひらに食い込んでいる。
両脚はいつしかレスリーの腕を押しのけて、彼の腰に回っていた。
たくましいが美しい太腿が、しっかりと男の腰に巻き付いている。

「ひぃっ、いいっ……どうにかなるっ……いっ、いきたいっ……いかせて先生っ…
…は、早くぅっ……!」

匂うようなフェロモンを全身から発散し、身も心もとろけるような肉の愉悦を貪る
美和子は、狂ったように嬌声を噴き上げ、身悶えていた。
レスリーは子宮口をこじ開けるかのように貫き、腰をよじって出来るだけ深くまで
押しこんでいく。
美和子の脚が巻き付いていて激しいピストンが出来ない分、子宮口に亀頭を密着させ
た状態でぐりぐりとそこを抉ってやった。
強い刺激と摩擦が子宮に加わり、美和子は頭が弾けそうになる。

「いかせてあげよう。中に出していいんだね?」
「そ、それはっ……!」

迫り来る絶頂、襲い来る快楽の中でも、美和子はそればかりは拒否した。

「だめっ……ああ、中はだめ……それは許して先生……ああっ、いいっ……」
「なぜ? あなたは中に出されないと満足できないはずだ。このまま終わってしま
っては、また不完全燃焼ですよ」
「でっでもっ……ああ、中に出されたら妊娠してしまいます……あっ……」
「何を今さら。もう何度中出しされたと思ってるんです?」
「ああ……」
「僕だけじゃない。レイプされた時にも、溢れかえるほどに出されたのでしょう」

とはいえ、レスリーは、美和子や蘭を犯した後は、必ず膣内洗浄を行なっている。
催眠下にあるから、彼女たちは憶えていないだけだ。
もっとも、コンドームやピルよりもかなり避妊率は下がる。
しないよりマシ程度ではあった。
孕んだら堕胎するしかないが、それでも彼女らに「中に出されたら望まぬ妊娠をして
しまうかも知れない。でも中に欲しい」という被虐や倒錯感を植え付けるためには、
それがもっとも良策なのだ。
孕むことを脅えている美女に、容赦なく膣内射精して絶頂に押し上げることこそ、
男の理想とする凌辱像だろう。

「中に……美和子さんの子宮に出せないくらいなら、ここでやめます」
「そんなっ……」

今ここでやめられたら気が狂う。
苦悩する美和子に医師がたたみかける。

「いいですね?」
「……」
「言って下さい。中に出して、とね」
「ああ……」

その間、レスリーはわざと腰の動きを弱めている。
乳房も軽い愛撫にとどめ、決していかせないが、いきそうな状態を保つようにして
いた。
成熟した女体には、拷問に近いものがあった。
とにかく、この場を何とかしたい。
美和子はそれしか考えつかなかった。

「……だ、出して……んんっ……」
「中に、ですね」
「ああ、はい……あっ……な、中に……子宮に出していいです……だから!」
「いいでしょう」

医師が子宮口周辺をなぞり上げるようにして亀頭で刺激してやると、美和子の身体は
その刺激にひとたまりもなく激しく反応する。

「ひっ、ひっ……あああっ、いいっ……子宮が……子宮があっ……」

子宮口に亀頭の頂点が密着し、そのまま食い込まされるのを感じて、美和子は喜悦を
叫んだ。
腿やふくらはぎがぶるぶると震え、爪先がぐぐっと内側に屈まっていく。

「いっ、いくっ……またいくっ……ひっ、いくっ、いっくううううっっっ!!」

美和子は不自由な上半身をうねらせ、背中をぐぐっと反り返らせて全身をびくびくっ
と激しく痙攣させ、この日最大の絶頂に達した。
美和子がいったことを確認し、その膣が今までにないほどに締め付けてくると、
レスリーも子宮口めがけて思い切り熱いものを放っていく。

「くっ……、出る!」

どぴっ、どびゅびゅっ。
どくどくっ。
どくっ、びゅくっ。

「ひぃぃっ、熱いっ……ああ……だ、出された……中に出された……こ、こんなに
……ああ……」

どくどくと間歇泉のように噴出する熱い精液に、美和子は愉悦と後悔の混じった
表情を浮かべ、熱い息を吐いた。
ぷるるっと全身が小刻みに痙攣している。
よく見ると、びゅるっと射精されるたびに震えているのだった。
どんなに膣内射精を嫌がっていても、その肉体はそれを望んでいたのは明らかだ。

びゅくっ、びゅくっ。
ぴゅっ。
どくっ、どくっ。

「あ……ああ、まだ出てる……先生のがいっぱい……濃いのがたくさん……」

射精の間中、その脚をレスリーの腰に絡ませていた美和子だったが、ようやく全部で
終わると、がっくりと全身から力が抜け、両脚がシーツの上に落ちた。
ピンクに染まった白い肌が生の女を実感させる。
豊かな乳房が大きく何度も上下して、荒い呼吸を繰り返していた。

「あう……」

レスリーがペニスを抜き去ると、美和子はまたぶるっと震えて身を捩った。
ぬぷっと肉棒が抜けると、愛液に混じったレスリーの精液が膣口からぴゅるっと
逆流した。

「ふふ……」

レスリーは、愛液と精液でぬとぬとになったペニスをしごき、その粘液を手にとると
、美和子の肌にすり込んでいく。
腿や腹、乳房に、男女の淫液をぬりたくられるという変態的な行為も、今の美和子
には愛情表現にすら思えてくる。
医師は美和子の横に寝転び、その口を吸った。

「ん……んん……」

もう美和子は逆らわなかった。男の顔が近づくと、自然に目を閉じ、唇を開けていた。
そこの医師の唇が重なり、舌が侵入してくる。
ねっとりとした舌の感触に、新たな官能を予感させる。

「んむ……んっ、んっ……ん、んじゅっ……ちうううっ……」

レスリーの求めるままに舌を任せ、存分に甘い口を吸わせた。
舌に舌が絡みつかれ、引き抜かれるほどに強く吸われる。
こんな口づけも高木にはなかった。
レスリーは口を離すと、肘で上半身を支えたまま美和子の胸を軽く揉んだ。

「ああ……」
「美和子さん、満足しましたか?」
「ま……んぞく……しました……」
「そうですか。ではお聞きします。恋人とのセックスよりよかったですか?」
「……!」

美和子は驚いたようにレスリーを見たが、医師は落ち着いて彼女の乳房を揉んでいる。
そこから込み上げてくる快感と、その後に行われるであろう激しい行為に、美和子の
膣からは新たな蜜が分泌されてくる。
押し出されるように膣口から、どろりとした精液が零れてきた。

「どうなんですか。それとも高木さんとの方がよかったですか」
「せ……先生の方が……」
「僕の方が?」
「先生の方が……よかった、です……」

レスリーは満足げに頷いた。

「それでいい。つまりあなたは、恋人に抱かれただけでは満足できなかったんです
ね。そうならはっきり言ってください」
「満足……できなかった……。高木くんに抱かれても……満足できません……でした
……」
「それで?」
「せ、先生に抱かれて、ああ……な、何回もいきました……。高木くんより……
ずっとよかったです……」
「よし、合格です」
「……」

医師はそう言うと、美和子の帯を解き始めた。
気丈な女刑事は不安そうな顔になる。

「あ、あの……」
「わかってますよ。これくらいじゃ物足りないんでしょう?」
「……」
「心配しないでいい。今度は縛らないで犯してあげますから。じゃあ四つん這いに
なって」
「ああ……」

美和子は言われるままに犬の格好をした。
この一種屈辱的な姿勢でのセックスは、男に征服される感じがして、彼女をいっそう
に燃え上がらせる体位だった。
男の側が一方的に責め、女はどうしようもないという被虐性を味わえるからだ。
なのに、なぜか高木はそれを欲しなかった。
まさか自分から「後ろから犯して」とも言えず、そういう意味でも美和子は悶々と
していたのだった。
レスリーは美和子の尻たぶを割り開くと、そのまま濡れそぼった媚肉にペニスを突き
立てた。

「ああっ……!」

今し方射精したばかりとは思えぬ硬さと太さだった。
すっかり太いもの馴染まされ、内部も蜜と精液でどろどろなはずなのに、相変わらず
医師の肉棒が入ってくるときつかった。
レスリーは美和子の両手を掴み、馬の手綱を引くようにして、バックから犯していった。



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