敷居を越えて、ふたりが入ってきた。美和子は思わず顔を逸らせた。
どうせならタオルで口を塞いで欲しかったが、もう遅い。
レスリーが高木を座布団の上に座らせた。
美和子が縛られているテーブルから2メートルくらいの距離である。
美和子の真横に位置していて、彼女のすらりとした肢体が引き延ばされているのが
よくわかるはずだ。
高木は美和子の裸身を見て明らかに動揺している。
息を飲んでいた。

「さあ、どうぞ。そう緊張することはありません」
「し、縛ってるんですか!?」
「ええ。でも心配しないで。女の方も了承済みです。あなたが見物することもね」
「そ、そうですか」

女は顔を背けていた。
無理もないだろうと高木は思った。

「気を大きく持ってください。何をするわけでもないですよ、何かされるのはこの
女の方です」
「は、はい……。は、初めてなもんで、こういうのは……」
「そうでしたね。どうです、この女。けっこう美人でしょう」
「そうですね……」

顔立ちは整っているし、スタイルも抜群だ。
肌も綺麗なようである。
これが商売女だというのなら、かなり高いはずだ。

高木はテーブルの上で縛られている女を、見覚えがあるような、初めて見るような
不思議な感覚で眺めていた。
目鼻立ちのはっきりとした美貌だが、どこがで見覚えがあるような気もする。
ぱっちりとした瞳、少し気の強そうな目つき、鼻梁の通った鼻筋、控えめな唇、
形の良い耳。
部分部分は見覚えがある。
しかし「顔」として見てしまうと判断がつかないのだった。

加えて、その「状態」や「雰囲気」に飲まれていた。
美和子は何も身につけていていないのだが、肌には浴衣の帯が厳しく食い込んで
いる。
乳房は括り出されて盛り上がっていた。
脚にはなぜかハイヒールが履かされている。
白い肌に紺色の帯とハイヒールだけが異彩を放っている。
全裸よりも妖艶で、息詰まるような色気だった。
高木はその肢体に目を奪われていた。

高木の視線を全身に痛いほどに感じて、美和子はいたたまれずに堅く目を閉じ、
顔を背けていた。
医師の言う通り、どうやらバレてはいないらしい。
しかし、身体を見せ物にされ、それを恋人が見ているという事実は変わらない。
愛し合っている高木が見ているだけなら、ここまでの羞恥はないだろうし、恥辱的
な思いもしないだろう。
見ているのは高木だが、彼は美和子のことを美和子だと思ってはいないのだ。
ただ単に「商売女」として見ているだけだ。
高木が美和子のことを「男の視線」で見ていると思うだけで悲しく、悔しく思うの
だった。

「AVやエロ本を見ている気持ちで見てくれればけっこうですよ。そう堅くなる
ことはない」
「わ、わかました……」
「では、始めますか」

無表情のレスリーが近寄ってくると、美和子はにわかに恐怖感が込み上げてきた。
覚悟はしたが、やはり高木の前で嬲られるのは嫌に決まっている。

「せ、先生、私やっぱり……」
「今さら何です。もう諦めなさい」
「あ、諦めるってそんな……あっ!」

医師の手が早くも美和子の身体を這ってくる。
信じられなかった。
高木の前で、他の男に身体を触られているのだ。

「い、いやっ……先生やめて……!」
「あまり大声を出さないようにね、声でバレるかも知れませんよ」
「そんな……ひどい……」

帯で上下を厳しく締め上げられ、歪んだ形状になっている乳房を、医師はゆっくり
と揉み出した。
両手で片方ずつ掴み、すくい上げるようにして握りしめる。
先端を指先でこりこりといじくっていると、すぐにそこはぷくりと膨らんできた。

「せ……んせいっ……あっ……だ、だめ、しないで……ああ……」

大きく重量感のある乳房を充分に揉みほぐし、その上にそっと唇で愛撫する。
尖りだした乳首を唇でくわえ、舌先でとんとんと突いてやると、美和子は胸をぐっと
反らせて呻いた。
そうすることで男に胸乳を突き出す格好になり、レスリーの顔が一瞬、美和子の
乳房に埋まってしまう。

「ふうあっ……あ、あっ……くっ……」

乳首を舌先で転がし、時折押さえつけるようにして乳首を乳房にめり込ませた。
乳首の根元を歯で軽く噛み、そのまま引っ張るように持ち上げ、また舌で押しつけて
いく。
乳房の方は、下から全体を包むようにして柔らかく揉みしだいた。
美和子はたまらず、喘ぎ混じりの荒い息を吐き、呻いて身を捩らせた。

「うくっ……ひっ……あ、いや……うんっ……あ……ああっ……」

乳首を中心に乳房全体に走る甘い刺激に、美和子は首を振りたくった。
黒く艶やかな髪がばさばさと宙を舞い、女の甘い汗の香りが立ちこめる。
顎が持ち上がって首が仰け反っていた。
感じまいとして必死に堪えているその姿が健気であり、官能的だった。
しかし、いくら堪えようとも次々と送り込まれてくる快感には抗えず、次第に息を
荒く弾ませてしまっている。
そこでレスリーはちらりと高木の方を見た。
高木は、目の前で恋人が嬲られているとも知らず、責められる美和子を凝視して
いた。
関心がないという目つきではない。
ぎらぎらとした脂ぎった目だ。
明らかに、責められる美和子を見て欲情していた。
医師と目が合うと、照れたように顔を逸らし、部屋の冷蔵庫から出したポケット・
ウィスキーを瓶のままあおった。

「どうです、高木さん」
「……」
「この女、感じやすいですからね。もうきっと濡れてますよ。こっちへ来ませんか」

レスリーはそう言って高木を誘った。
高木は言われるままに場所を移動する。
大きく開脚した美和子の股間の正面に陣取ったのである。
美和子との距離は1メートルほどになっていた。

「いやっ……! 見ないでっ!」

「高木くん、見ないで!」と、そう叫びたかったが、名前を言えば一発で美和子だ
とバレてしまうだろう。
それでも美和子は充分に慌ててしまった。医師が、声からバレる可能性を指摘して
いたからである。
だが美和子の心配をよそに、高木にはわからなかったらしい。
「見ないで」と叫んだことで、一瞬、躊躇しただけである。
レスリーが美和子を見ながら落ち着いて言った。

「気にすることはありません。じっくり見てやればいい」
「ああっ……」

美和子はバレずに済んでホッとした反面、「どうしてわからないの」という思いを
噛みしめていた。
恋人として何もかも許し合ったはずなのに。
だが、彼には本当にわからなかったのだ。

高木は、美和子の「見ないで」というようなおののく声など聞いたことがなかった。
そして「ああ、いいっ」という風に本気で喘いだ声も聞いていなかった。
「いきそうっ」という切羽詰まった声も、「中はやめて!」という脅えた声も、
「いくっ」という腹の底から絞り出したような声も、そして「ああ……、中に出さ
れた……。こんなにたくさん……」という放心したような声も知らなかったのだった。

美和子の身体を愛している時でも、高木は懸命になって愛撫して彼女に尽くそうとは
しただろうが、じっくりとその美しい肉体を鑑賞したことはなかった。
いつも暗がりだったし、いわゆる「視線で犯す」ようなことはしなかった。
すべてを許し合った恋人同士であったはずなのに、彼女の美しい乳房、豊満そのもの
の臀部、透き通るような白い肌を、視覚的及び肉体的に完全に覚えるところまでは
いっていなかったのである。
美和子は今さらながらに、ふたりはまだ恋人同士の関係として熟していなかったこと
を痛感させられていた。

「ほら。女なんてのは、こうやってちょっとおっぱいをいじっただけでこんなに濡れ
るんですよ」
「……」

レスリーが美和子の腿の付け根をぐっと押して、さらに股間を大きく開く。

「だ、だめっ……!」

美和子は叫んだが、医師は意に介さず、彼女の媚肉をあらわにしていく。

(ああ見てる……高木くんが見てる……)

美和子は涙を流しながら頭を振りたくった。
高木の視線が股間の奥──膣に来ているのが痛いほどにわかった。
淡い陰毛を湛えた女丘、それを割っている秘裂は、とても28歳とは思えぬほどに
初々しく新鮮な色をしていた。
野卑なヤクザや粗暴な黒人の巨根を何度もぶちこまれ、蹂躙されたとは思えない
外見だった。
小陰唇を指で少し拡げてやると膣口がのぞき、透明な愛液がとろりと滴ってきていた。

「は、恥ずかしいっ……やめて、もう見ないで……」

その声が聞こえないのか、高木は息を飲んでそこを見つめていた。
高木とて健全な男だから、裏ビデオくらい見たことはあるし、女陰も見たことはある。
しかし、ストリップやビデオで見たそこは何ともグロテスクだった記憶しかないが、
それに比べてこの女の媚肉はなんと美しいことかと思っていた。
高木は美和子の媚肉を愛撫することはあったが、クンニリングスすることがなかった
ため、それが彼女のものであることに気づかなかった。
彼は、自分の愛する女の媚肉をじっくり見たこともなかったのである。
高木は生唾を飲んでつぶやいた。

「本当ですね、先生。すごい濡れてる……。まだ胸を揉んだだけなのに……。女って
こんなに濡れやすいんですか」
「そういうところもありますね。状況にもよります。その女が興奮するような状況
だったりすれば余計にこうなります」
「すると……、この人はこうやって他人に見られると、その……」
「そう。この女はそうした性癖があるんでしょうね。ま、それ以前に好き者なのかも
知れませんが」

ふたりの会話を聞いて美和子は泣きそうになる。
まるで美和子が変態のような口ぶりだった。

「いかがです、少し触ってみますか」
「!!」

医師がそう言った時、美和子は思わず絶叫しそうになったが、高木は「いや……」と
言って遠慮した。
美和子はホッとしたのだが、レスリーは高木が断るだろうと思っていたのかそう気に
もせず「そうですか」と言って、また美和子への愛撫を再開していく。

「ひぃあっ! そ、そこぉっ……!」

クリトリスの包皮をめくられ、そこを指の腹で擦られて、美和子はつんざくような
悲鳴を上げた。
医師の指で肉芽を弄ばされ、美和子は腰をがくがくと震わせた。
さすり、撫でているうちに、たちまちクリトリスは大きく勃起してきた。

「ひっ、だめっ……あぐうっ……くあっ……」
「派手によがるもんですね、そんなにいいんですか」
「いっ……ああ、もういやあっ……あぐうっ……ひっ……!」

レスリーは、左手は胸に残したまま、休むことなく乳房を揉み、乳首を弄んだ。
そうしておいて、右手はひくつくクリトリスを責めていく。
蜜を膣からすくい取り、ねっとりと光った指先で膣口を撫でると、美和子は思わず
腰を持ち上げていた。

「ああっ!」
「なんです、その腰は。はしたない」
「ああ……、だ、だって……」
「焦れったい? 欲しいのかな?」
「……」

悔しそうに目を瞑った美和子だったが、次の瞬間、大きく見開くこととなる。
医師がその中指を媚肉の中へ差し込んできたのだ。

「ふわっ……!」

その衝撃に、美和子はぐぐっと背を反らせていた。
しかし媚肉の方は実にあっさりと医師の指を飲み込んでおり、何の抵抗もなかった。
レスリーは膣内部の熱さや襞の具合を確かめるようにして、ゆっくりと指でまさ
ぐり、抜き差しした。
ぬぷっと根元まで押しこんでやると、美和子は腰を浮かせて呼吸を荒くした。

「ゆ、指、入れないでっ……ああっ……」
「何か入れて欲しいんでしょうに。それともこれじゃ物足りないんですか?」
「いやあっ……あ、はああっ……!」

ぬぷぷっと長い中指が根元まで収まると、今度はゆっくりと引く抜いていく。
美和子は顔を振って嫌がっていたが、膣の方はせっかく入ってきた指を逃がすまい
とするかのように襞を絡ませ、引き留めている。
それを引きずり出すようにして腕を引いていくと、愛液にまみれた指が姿を現して
くる。
それをまた深くまで挿入する。
そこをほぐすようにして、ぬぷっ、じゅぷっと抜き差しを何度も繰り返すと、美和子
は身をうねらせながら仰け反り、白い首筋を晒していた。

「ああっ……あうっ……あっ……うあっ……くうっ……」

よがりたい、喘ぎたいのだが、それが出来ない。
美和子の呻き声はそう言っているかのようだった。
言うまでもなく、高木の視線を気にしてのことである。
それでも、吐息は自然と熱くなっていき、呻き声は甘く悩ましげな喘ぎに取って代わ
られつつあった。
やるせない快感に悶えている裸身には汗が浮き、女体からは香しくも妖しい匂いが
漂ってきていた。

レスリーは美和子の悶えっぷりを見て満足していた。乱れ、崩れるのがいつもより
ずっと早い。
やはりこの女は被虐体質に違いない。
他の男に嬲られる様子を恋人に観察されるというこの上ない羞恥と恥辱、背徳感を
味わいつつ、それを強い官能と性感に変化させているのだ。
恋人の高木に見られ、女の恥ずかしい生理を晒していくその羞恥と恥辱、そして
罪悪感に女刑事は異様に昂ぶっていくのであった。

「やっ……指、しないで……あっ……」
「ウソをつきなさい。オマンコはこんなに濡れて悦んでいるのに」
「違いますっ……あひっ……あっ……」

膣への指挿入をされながら、乳房の愛撫も続いている。
指先が少し強めに力を入れて、年齢の割に弾力のある乳房をぎゅっと鷲掴みにし、
たぷたぷと音を立てて揉みたてていく。
媚肉への指刺しも深く浅くを巧みに混ぜ合わせているのと同じように、胸の愛撫も
激しく優しくの緩急を微妙につけて揉みしだいた。
レスリーの手指が蠢くごとに、美和子の乳房は彼の手の中で自在に形を変えていた。
喘ぎを抑えられない美和子と、その様子を息を飲んで観察している高木を交互に
見ながら、医師は責めを続けていく。
乳首をこりこりと刺激しながら、ふたりに聞こえるように言った。

「この辺でこいつを使ってみますか」

レスリーが取り出したのは擬似男根──ディルドであった。

「ひっ……!」

美和子は息を飲んだ。
擬似は擬似なのだが、その形状は必要以上にリアルに思えた。
竿は隆々としており、根元の方へいくほどに太くなっている。
そして亀頭部は異常なほどにカリ首が開いていた。
色が半透明のブルーなのが救いで、赤黒く変色した肌色に塗られていたら本物と
見紛うばかりだったろう。
何しろ、怖いくらいにぐぐっと反り返ったところまでそっくりだったのだ。

何より恐ろしいのがその大きさだった。
20センチは楽にありそうだ。
しかも太い。
直径5センチは優にありそうに見える。
かつて美和子は、巨根自慢の男どもに犯されてきてはいた。
特にトッドにレイプされた時などは、本当に膣が裂けると思ったくらいだ。
それに、このレスリーのものも、このディルドくらいあったことは、昨夜、美和子
自身がその身で確認している。

医師がどこかスイッチを押したのか、グロテスクなディルドは不気味な音をさせて
亀頭を回転させ、うねらせていった。
それを見させられて美和子はその美貌を引き攣らせ、「ひっ」と喉を鳴らした。

「そ、そんなもの使わないで……」

その美しい肢体を散々嬲りものにされてきた美和子だったが、思い起こしてみれ
ば、こういった性具で責められたことはなかった。
アヌスにはいろいろ悪戯されたが、膣へバイブを突っ込まれた経験はなかった。
それだけに、その威力が想像できず身体を震わせておののいていた。

「オマンコはもう濡れ濡れだ。入れて欲しくてしようがないんですね」
「ち、違う……違うわ……、そんなのいやっ……!」

ほころんだ媚肉に沿ってバイブが這っていくと、思わずその腰がよじれてしまう。
一気に突き入れたりせず、焦らすように何度も割れ目の中を行き来させていた。

「い、いやよ……そんなの使わないで先生……。す、するなら普通に……」
「普通に? 普通に犯されたんですか、恋人の前で?」
「ああ……」

高木の前で淫らなグッズを使われるのも、凌辱を受けるのも、どちらも嫌だった。
しかし、いずれこの男はそのどちらも美和子の身体に仕掛けてくるのだろう。
上半身を後ずさりさせて逃げようとするものの、足が吊り上げられていてはどうにも
ならない。
宙に浮いた脚をうねらせながら、淫具の矛先を逸らそうとしていた美和子だったが、
ついにバイブの先端が媚肉の肉層を捉えた。

「ああっ、いやあっ!」

ぐぐっと仰け反らせた美和子の白いのど頸からつんざくような悲鳴が上がる。
もうそこはレスリーがいやらしく指摘するまでもなく、愛液でどろどろになっている
にも関わらず、今にも引き裂かれそうな感覚を美和子に与えている。
もともと美和子の膣が狭いことに加え、やはり高木の視線を意識して媚肉が萎縮して
いるのだ。
性器をこじ開けるように侵入してくるバイブと、それを見ているであろう高木を思う
と、美和子はやりどころのない苦悶を、その美貌に浮かばせた。

「や……めて……あ……うむっ……」

目を剥くほどの太いものが、熱く柔らかくとろけた肉層の襞を巻き込むようにして
じわじわと潜り込んでくる。
ただ入ってくるのではない。
ジィーッと淫靡な駆動音をさせつつ、淫らなバイブレーションとくねりを与えなが
ら、奥へ奥へと突き進んでくるのだ。
膣肉をこねくり回され、美和子はたちまち息もつけなくなり、「ひぃっ」と呻く
ばかりだ。
胸が張り裂けそうな羞恥と裂かれそうな苦痛、息も詰まるような圧迫感が彼女を
苦しめていたが、膣の方はまるで待ちかねたかのように淫具にからみついていった。

「あ……こんな……い、いや……はああっ……!」

羞恥や恥辱をおしのけて襲いかかってくる官能は、美和子が頭を振りたくっていくら
振り払おうとしてもダメだった。
バイブが奥へ進むのに連動するかのように、美和子は身体の芯から熱く灼けていく。
媚肉は引き攣るような収縮を始めている。

「ひぃ!」

とうとうバイブの先端が、ズンと子宮口にまで届かされた。
美和子はまるで気をやったかのように呻き、ぶるるっと腰を振るわせた。

「どうです、いちばん奥まで行ったでしょう」

レスリーは、美和子は深々とバイブをくわえ込んだ様子を、首を伸ばして覗き込ん
でいる高木に見せつけていた。
抜群のスタイルを持った美女がアダルトグッズでいいように責められている迫力に、
もはや高木は声もなく、食い入るように見つめていた。
高木の男根より二回りは太そうで、握り拳ひとつくらい分くらいは長そうなものが、
まるで杭でも打ち込んだかのように美和子の媚肉に貫いている。
見る者を圧倒する光景だった。
レスリーは、バイブを美和子の中に深々と突き込んだままわざと動かそうとはせず、
そのままの様子を高木に見物させた。
その視線が、痛いほどに美和子に刺さっていく。

「もういやあ……み、見ないで……もう取って……ああ……」

美和子は今にも消え入りそうな声で訴えた。
高木が見ているだけで、こうも感覚が違ってくる。
性技に長けた医師の責めを耐え抜き、快感を追い払うことなど今の美和子の感度では
到底できない。
と言って、高木が見ている前で官能に溺れ、感じるままで喘ぐこともできなかった。
身体中がぷるぷると小刻みに震え、汗がじわっと噴き出してくる。

「お、お願いです、先生……。もう許して……取ってください……」
「……」
「ああ、お願い……。何でも……何でもしますから………。た、高木くんの前で責め
るのだけは許して……」
「許さない。一度気をやってもらいましょうか、彼の目の前でね」
「ひっ……!」

美和子は絶望感に囚われた。愛する高木の前で嬲られるだけでなく、行為の結果と
して絶頂してしまうところを見られてしまう。
こんな恥辱があるだろうか。
強気で鳴る女刑事は、彼女らしくもなくわなわなと唇を震わせつつ懇願した。

「そ、それだけはっ……! それだけは許して!」
「許さない。ほら、彼もあんなに目を血走らせて見てるじゃないですか。せいぜい
派手にいってもらいますよ」

レスリーは冷酷に言い放ち、ゆっくりとバイブを動かし始めた。
ぐちゅっ、ぬちゅっと美和子の媚肉が鳴り、妖しい女の香りが周囲に立ちこめてくる。

「ああっ……ああ、いやあ……あ、あ……しないで……あ……」

堪えようと思っているのに、いやでも甘い声が出てしまう。
浅く抉って膣内をこねくり、深くまで貫いて子宮口を虐める。
手による抜き差しだけでなく、モーターによるバイブレーションや回転運動が膣襞を
こねくっていった。
快感の波が子宮から背筋に走り、美和子を倒錯の官能へと引きずり込んでいく。

「ああ……ああっ……あうっ……あああ……」

そんな美和子の様子を、高木は身を乗り出すようにして見ていた。
彼の脳裏には、彼女が恋人に似ているという思いもあったのだが、目の前で繰り広げ
られる妖艶なショーの濃厚な雰囲気にすっかり飲み込まれている。
浴衣の下で、男根が勃起してきているのを高木は知った。

その間にも美和子の肉体は官能の炎に包まれていく。
媚肉を犯しているバイブは思ったより柔らかい素材で出来ているらしく、美和子は
その大きさによるきつさは実感しているが、硬い異物であるという感じはほとんど
しない。
本物のペニスとの違いは熱さくらいのもので、この永遠に果てることのない人造男根
は、美和子の胎内を責め貫いていた。

「やっ、あうう……うんっ……そ、そんな奥まで……ひっ……あ、ああ……」

深くまで飲み込ませた淫具を大きく、だが緩やかに操作していくと、美和子はその
しなやかな肢体をくねらせて喘ぎ続ける。
乳房も男の左手で強く握りしめられ、ゆさゆさと揉みあげられていた。
乳白色だった胸肉はすっかり汗ばんでピンクに染まり、医師の手でいいようにこねら
れている。

美和子はもう医師の手練にのめりこみ、全身が狂おしいほどに熱くなっていた。
責めは巧妙を極め、柔らかくクリトリスをつまんでそっと揉み上げつつ、膣内深く
挿入した責め具を使った。
ぐっと強く奥まで押すように見せかけてそっと引いてみたり、ゆるゆると浅いところ
を責めるように思わせて、突然すぶっと深くまで突いてみせる。
焦らすような責めに、たちまち美和子は取り込まれていく。
陰毛から滴るほどに愛液を漏らした美和子の膣は、彼女の情感が高まるにつれてその
吸引力と収縮力が強まって、異常なほどの粘っこさを示していた。
奥まで食い込んだバイブには膣襞がねっとりと絡みつき、抜こうとすると引き留めん
ばかりの抵抗を見せている。

「あううっ、いっ……あ、ああ……いや……ああっ……うむっ……んっ……くうっ
……」

美和子の喘ぎ声が荒々しくなっていく。
全身を燃え立たせて悦楽の境界をさまよう美和子は、早くも頂点へと近づいていた。

「もういきそうなんですか。いつもより早いじゃないですか」
「いや、いやっ……!」

懸命に抗う美和子だが、レスリーの操るバイブはその動きに激しさを増していく。

「いきなさい」
「やはああっ……! いっ、いいいっっ……!」

ひときわ強く抉られ、突き上げられるように美和子の腰が持ち上がり、捩れた。
吊り上げられた官能的な脚がピンと伸びる。
ハイヒールの中で、足の指がぐぐっと内側に屈まった。
ガクガクッと腰を跳ね上げて、くわえ込んだバイブをレスリーの手から奪い取りそう
になるほどに強烈に食い締め、激しい収縮を見せた。

「や、だめっ……い、いく……い、いっちゃうっっ!!」

美和子は、ガクンガクンと全身を跳ねさせて絶頂に達すると、そのままガクッと力を
抜いてがっくりと項垂れた。
医師がぬぷりとバイブを抜き去ると「あう……」と呻いて腰を捩る。
責め具からは粘い糸が引いていた。
そこまで見て、高木は「ふうっ」と大きく息をついた。
こんな迫力のあるシーンは初めてだった。
アダルトビデオも、いわゆる裏ものも見たことはあったが、ここまでの作品はなか
った。
生の迫力というのか、臨場感がまるで違う。
もちろん責められる女が素晴らしかったというのもあるだろう。
いずれにしても、高木はかつてないほどの興奮を感じていた。
レスリーはその様子を見ながら言った。

「どうです、すごいもんでしょう」
「ええ……。こんなすごいとは……」
「本気で感じさせれば、女はこれくらい反応するものなんです」

医師はそう言いながら、美和子の髪を掴んで顔を上げさせ、高木によく見せた。
それでも彼にはわからない。
何しろ、美和子が本気で感じ、気をやったところ見たのは初めてなのだ。
しかも顔の識別ができない状態にされている。
声にしても、彼女が本気でよがる声など聞いたこともなかったのだ。
演技で喘ぐ美和子の声と、今、目の前で大きく喘いでいた声は別物であり、高木に
は目の前の女と自分の恋人を結びつけることはできなかった。
その高木にレスリーが思わせぶりに言う。

「どうです、さっきも言いましたがご自分で責めてみませんか。抵抗はしませんよ」
「い、いやその……」

まだ高木には倫理観がある。
いかに非番とはいえ警察官である。
本来であれば、こうして違法なショーを見ること自体、問題があるのだ。
そこまでは目を瞑るとしても、さすがに手は出せなかった。
医師は躊躇する高木に何度か頷いて言った。

「そうですか。ま、無理は言いません」
「……」

沈黙する高木を見つつ、もう少し刺激的な光景を見せてやろうと思った。
美和子を見ると、彼女はまだ特に反応がない。
堅く両目を閉じたままぐったりしていて、官能の余韻を「はあはあ」という熱い
吐息に乗せて対外に放出しているだけだ。
鴨居に引っかけた帯を外し、吊り上げていた美和子の脚を下ろしてやる。
美和子はまだ力が入らず、また状況もつかめていないのか、だらしなく股間を開いた
ままだ。
そこを食い入るように覗き込んでいる高木に苦笑しつつ、医師は美和子の肢体をひっ
くり返した。

「あ……」

媚肉も乳房も隠れてしまい、思わず残念そうな声を出した若い刑事は驚いた。
うつぶせにされた女は腰をぐいと持ち上げられて、膝立ちにさせられていた。
そして腕を脚の方へ伸ばされ、手首と足首がまた帯で縛られていく。
右手と右の足首、左手と左足首がそれぞれひとまとめにされたのだ。こうすること
で自由を奪われると同時に、ぐいと腰──というか尻──を後ろに突き出す格好に
なっている。
女の熟れた豊かな臀部が強調された姿勢には異様な迫力があった。
尻と太腿には、乳房にはないたくましさがある。
その乳房も、上半身を顔で支えている格好のため、完全に隠れているわけではない。
重そうな肉の塊がゆさっとばかりに胸で揺れていた。

「高木さんの興奮ももう一息というところのようですので、少し変わった責めを
ご覧に入れましょう」
「変わった……責め?」

高木自身は、もうかなり興奮していると思うのだが、レスリーの言う「変わった
責め」という言葉に惹かれ、美和子に視線を戻した。
レスリーとしては、彼が恥も外聞もなく美和子に手を伸ばす、出来れば凌辱する
ところまで持っていきたい。
性器が勃起したくらいではまだまだだと言うのだ。

「そう。僕の個人的な考えでは、セックスにノーマルもアブノーマルもないと思う
のだけど、世間的にはアブノーマルの範疇に入るでしょうね」
「はあ……」
「何をする……いや、どこを責めると思います?」
「さあ、僕にはさっぱり……」
「ここですよ」

レスリーは美和子の尻に手を伸ばし、その股間を指でいびった。
指先を肛門に押し当てると、皺をなぞるようにしてくすぐってやった。

「ひぃ!」

それまでぐったりしていた美和子は活が入ったように飛び跳ねた。

「先生、そこだめっ!」
「どうして? あなたはここを責められるのが大好きでしょうに」
「そんなひどい……。す、好きじゃありませんっ」
「ここを念入りに開発されたんでしょう? 何度も浣腸までされて」
「ああ……」
「か、浣腸ですか?」

さすがに高木もびっくりした。
そういったSMプレイがあるのは知っているが、本当にそれをされた女を見るの
は初めてだ。

「興味がおありですか? 何ならご覧に入れましょうか」
「ひっ、いやあっ!」
「い、いや僕は……」

美和子の悲鳴の後、高木は少し気圧されたように答えた。
浣腸で責めるというのが実感としてよくわからない。
自分もそうした倒錯的なプレイで興奮するとも思えなかった。
それより、浣腸の結果としての排泄がおぞましかった。
スカトロの趣味は永遠に理解出来そうにない。
レスリーに言わせれば、それはまだ高木が性的に幼いせいなのだが、一度にそこ
まで引っ張り上げるのは無理だろう。
まずは女が──美和子がアヌスでも充分に快感を得られるということを思い知ら
せる方が先決だ。

「やだっ! やめて先生っ! そ、そんなところ、しないで!」

美和子は半狂乱になった暴れた。
これで高木がそこにいなければまた別だったろうが、恋人の前で排泄器官を嬲られ
るなど、耐えられるはずもなかった。
それでも、高木が興味深そうに──というより、明らかに欲情した目でこっちを
見ていることを知ると、諦めたようにしくしくと泣き出した。

(ああ高木くん、いや……。こんな恥ずかしい格好、見ないで……)

意識してはいけないと思えば思うほどに、彼の熱い視線を感じてしまう。
その視線が、臀部の谷間に鎮座している秘められた器官に向けられているのがわか
り、見られているアヌスがかあっと熱くなってしまう。
肛門が熱を帯びてきているのは、高木が凝視しているせいだけではない。
レスリーに愛撫され、敏感に反応してしまっているのだ。
いつしかその刺激を快楽と捉え、受け入れるかのように揉みほぐされ、緩み、とろ
けはじめていた。

「本当に今日はどうしたんです? もうお尻までとろけていますよ」
「ああ……、もういやあ……ひぃっ!?」

緩んだアヌスに指がぐっと押しつけられる。
慌てたように指の侵入を拒もうと、緩んでいた肛門がきゅっと窄まったものの、
医師はそれを強引に貫いていく。
美和子は何とか拒もうと尻を振りたくったのだが、既に柔らかくなってきていた
肛門はどうにもならず、少しずつ男の指を飲み込まされていく。

「ああっ」

口では何のかんの言いながらも、美和子の腸内は熱く潤ってきていたことを、レス
リーは指先の感覚で知った。
しっとりとした粘膜が指にまとわりつき、ひくついている。
医師はその妖美な感覚を愉しみながら、ゆっくりと指を回していった。

「いやああっ、指、しないでっ……と、取って……う、動かさないでっ!」

抜き差ししながらその指先を軽く曲げ、腸管をごく軽くひっかいてやると、美和子
は腰をガクンと揺すって痙攣した。
その都度、深く押し入っていた指の根元を、美和子のアヌスが締め付けてくる。
それを振りほどくようにして腸管をこねくり、指を回転させて肛門粘膜を巻き込む。
指先で、ちょうど子宮の裏側あたりを刺激してやると、美和子は苦しそうな、うなる
ような喘ぎ声を漏らしていった。

「ううんっ……あ、そこ……あああ……や……だ、だめ……あむう……」

素人の高木の目からも、その女が快楽を得ているのがわかった。
バカバカしいほどにノーマルなプレイしかしていない高木には想像もつかなかった。
いや、そういったプレイや性行為があることくらいは知っている。
しかしそれはあくまで知識として知っているだけで実体験があるわけではない。
極端な話、高木は女のアナルを責めるなどというプレイは、小説やポルノなどのフィ
クションの世界だろうと思っていたくらいだ。
そのフィクションじみた行為が目の前で展開されている。高木は、思わず勃起した
ペニスをトランクスの上から押さえ込みながら、アヌスを嬲られる美和子を見つめ
ていた。

美和子は混乱していた。
羞恥と恥辱、倒錯、そしてアヌスから来る妖美な快感。
もう触れられていないはずの媚肉までがひくつき、膣口からはまたも粘っこい蜜が
滴ってきていた。

「オマンコがまた濡れてきましたね。お尻がそんなに感じるんですか」
「はああっ……いや……う、うむ……あっ……」

顔を真っ赤にして左右に振りたくっていた美和子はその動きを止め、ぐっと奥歯を
噛みしめるような表情を見せながら呻いていた。
もう否定にしようもなく、はっきりとした快感が美和子を覆っていった。
充分にほぐされたアヌスの粘膜はぬるぬるになっており、指が引き出されてくると
へばりついたものがめくれあがり、押しこまれると巻き込まれるようにして中に戻
っていく。
指の動きが大きく大胆になっていくにつれ、美和子の膣からは愛液がとめどなく
あふれ出してきた。

「い、や……あああ……お尻は……ど、どうしてそんなところばかり……あう……」

しばらくこね回してから指を引き抜くと、美和子は腰をぶるっと震わせて呻いた。
レスリーの指は、ねっとりとした腸液にまみれている。
かなり本気に美和子は感じていたらしい。

「せんせい……もうやめて……許して……」
「まだまだ。もっときつく責めてあげないとね」

やめてと言いながらも、美和子の美貌からは悦楽の色が滲んでいる。
愛しい男の前で嬲られるという、新たな倒錯を性的な愉悦に結びつけ、新たな悦び
として開花しようといていた。

「じゃあ次はこれだ」

続いて取り出したのは巨大な数珠だった。
少なくとも美和子や高木にはそう見えた。
ただその玉は数珠とは比較にならず、直径3センチほどはある。
それがごろごろと5つほど数珠つなぎになっているのだ。
ひもが伸びた先端にはリングがついている。
美和子の顔色がさっと青ざめた。

「そ、そんなもの……」
「どこに使われると思ってるんです?」
「……」

言わずともわかる。
どうせ肛門に使う気なのだ。
アナルパールというやつだ。
さっきまでの指での愛撫は、これが入るようにほぐしていたのだろう。
それはわかったが、使われるのはごめんだった。

「そんなもの使わないで……しないで……」
「あなたに拒否権はありません。いきますよ」
「や……やああっ……!」

樹脂性のボールがアヌスにあてがわれ、嫌がる間もなく押し入れられた。

「んん〜〜〜っっ!」

肛門が押し込められ、むりむりっと粘膜がボールに拡げられていく。
とても入りそうもないほどに質素な佇まいを見せていたアヌスは、見るも無惨に
開口させられている。
ボールが半分ほどめり込んでいっぱいに開かされると、粘膜からぎちぎちと軋む
音が聞こえてきそうなほどだ。

「きっ、ついっ……、先生、無理っ……は、入りませんっ……痛いっ……」
「そんなことないですよ。何せあなたは黒人の人間離れしたペニスまで、この大きな
お尻で受け入れたのですからね」
「言わないで! ああっ……さ、裂けるぅ……」
ひくついたアヌスの縁に指をあて、皺を拡げるようになぞっていくと、ぶるっと臀部
がわなないて、つるりとボールを飲み込んでしまった。
「ほう、見事に飲み込みましたよ」
「は、恥ずかしい……ああ……」
「……」

美和子は想定外の羞恥に身も心も灼け焦がしていた。
高木の方は声もなく、凄まじいほどの肛虐に見入っている。
したことはなかったにしろ、彼にもそれが極めて妖艶な性技だということはわかった
らしい。
女が快感を示してよがるのはもちろんだが、こうして苦悶する美貌を愉しむのも悪く
なかった。
しかも、責められている女の方も、口では嫌がり、泣き叫んでいても、その身体は
確実に感じているらしいというのが、高木には新たな発見だった。

「あうっ」
「ううんっ」
「ひっ」
「も、いやあっ」

ひとつ入ってしまうと、残りの4つが案外とあっさり入ってしまった。
美和子の腹の中は、樹脂性のボールが5つも入り込んで彼女を責め苛んでいた。
レスリーが手をかけて尻を揺すったりすると、腸の中でゴロゴロ動いて美和子を刺激
する。
乳房を揉んで乳首をピンと弾いたりして美和子がぐっと仰け反ったりすると、腹の中
のアナルパールが動き回り、ゴツゴツとボール同士が接触して響いたり、転がって
腸壁を擦ったりして、美和子に悲鳴を上げさせた。

「ああ、いや……もう取って……お尻が……お腹の中が変なんです……あああ……」

うっすらと涙すら浮かべて哀願する美和子だったが、その瞳には愉悦が混じっている
ようにも見えた。
高木の視線すら、羞恥と被虐の炎へと変換され、美和子の心と肉体をひたすらに燃え
立たせていくのだった。

「そんなに抜いて欲しいですか」
「ああ……は、はい……抜いて……」
「よし」
「あ……ああっ……」

医師はひもの先についた取っ手のリングに指をかけ、ぐっと引っ張ってみた。

「あっ……ううんっ……」

肛門が内側から盛り上がり、そこから細いひもを覗かせていている。
さらに引っ張ると、膨らんだアヌスがわずかに口を開け、中からピンク色をした
ボールの表面が出てきた。
そこで指から力を抜くと、またぬるっと奥へと戻ってしまった。

「あううっ……」

それを何度も繰り返してやると、美和子は泣きながら訴えてきた。

「せ、先生ひどいっ……どうしてそんな焦らすような……」
「あなたがけっこう気持ち良さそうな顔をしているから、もっとして欲しいのかと
思いまして」
「いや、そんな……ひ、ひと思いに取って……こ、このままじゃ私……」
「ふふ、焦れったくておかしくなりそうですか」
「……」

美和子はいやいやという風に顔を振った。
しかし、突き出された尻はもどかしそうにうねっている。
医師は、もじもじと悶えている肛門から伸びているひものリングを指に引っかける
と、それを一気に引き抜いた。

「いひぃっ!!」

アヌスの皺が引き延ばされ、丸いボールが姿を現す。
ぬぽん、と、先頭のひとつが勢いよく抜け出た。
よくこんなものが入っていたものだと思えるほどの大きさだ。
ピンクの玉はぬらぬらと腸液にまみれ、鈍く光っていた上に、湯気すら立ち上って
いる。
美和子の腸内はかなりの高温らしい。

それを見た高木は、思わず「おおっ」と声を出してしまった。
これが普通の排便であったなら、顔を背けたことだろう。
しかし、出てきたものは便ではない。
排泄器官から便以外のものが無理矢理に出てくる様に、表現し難い興奮を覚えていた
のだった。
淫靡とも妖艶とも言い難い異様な光景だったが、それでいて非常な性的興奮をかき
立てるものでもあった。
もう高木は男根が勃起してしまったことを隠すことも忘れ、美和子の痴態に見とれて
いた。

興奮を隠そうともせず肛門責めに見入っている高木を薄笑いして観察しながら、レス
リーはなおもひもを引っ張っていく。

「ああっ……ぐぐ……ううんっ……」

今度は一気にではなく、ゆっくりと引き出していく。
それだけに、美和子にはボールが腸内を転がっていく感覚と、アヌスがじわじわと
拡げられていく感覚が、いやというほどに味わわされる。
たまらないという風に、腰に力を入れて踏ん張っているのが悩ましかった。

「あ……あ……で、出てくる……」

大きな玉をひりだし、再び窄まっていた肛門が、また内側から開かされていく。
アヌスから、腸液に濡れたピンク色のボールがのぞき、ゆっくりと引き出されて
いった。
なおもにじり寄るようにして凝視してくる高木に、もっとよく見せるようにと、
レスリーは片手を器用に使って尻たぶを開いた。

「ああっ、いやっ……お、お尻、開かないで!」
「よぉく見せてあげなさい。あなたがアナルパールをひりだす様子をね」
「いやああっ、見ないで! は、恥ずかしいっ……!」
「全部見せなさい」
「やああっ!!」

お尻の穴から物を出し入れするという究極の恥辱責めを味わわされ、しかもそれを
恋人に見られるという飛び切りの恥辱責めを受け、美和子の理性が崩壊していく。
恥ずかしそうに尻を悶えさせつつも、吐息は熱く荒くなり始め、明らかに快感を
得ている状態を晒していた。
ほんの少し頭を出したピンクのボールがなおも外へ出ようとすると、美和子のアヌ
スは苦しそうに喘ぎ、収縮した
。中途半端な力で引っ張られて出るに出せず、中に戻ることもできない半端な状態
に、肛門はひくひくと蠢くばかりだった。
知らず知らずのうちに、美和子のアヌスがパールを食い締めるように収縮している。
疼くような焦れったい快感が、肛門から子宮へ直撃してくるようになっていた。

「あ、あう……あ、はあ、はあ……ううっ……あ、あむっ……やっ……んんっ……」

ぐいっと引っ張るとアヌスに圧迫感を感じ、身体にぐっと力が籠もる。
緩めるとホッとしたように力が抜け、肛門がひくついた。

「どうです、こうやっていつまでもお尻の穴を開いていたいですか」
「い、いや……もうしないで……ああ、もうどうにかしてください……こ、このまま
じゃ私……」
「どうなるというんです? まさかお尻を虐められていっちゃうんですか?」
「ち、違います、ああ……で、でも……もう我慢できない……ああ……」

沸き立つような色気を全身から発散させてきた美和子を見て、レスリーはボールを
少しずつ抜き出していった。

「ああっ……うむっ……」

肛門の皺が徐々に伸び始め、粘り着くように粘膜が張り付いた状態のパールがぐぐっ
とせり出してくる。
美和子のアヌスが、どろっとした腸液を零しながらボールを吐き出していく。
半分ほど姿を現し、もっとも直径の大きいところまでくると、美和子自らアヌスに
力を込めて踏ん張り、パールは勢いよく飛び出るように放出された。
ボールは宙を舞い、粘液にまみれながら尻からぶら下がっている。

「あう!」

その瞬間、美和子は極まったかのように呻いて、ぶるるっと尻全体を痙攣させていた。
そのままがくりと突っ伏して、荒い呼吸で乳房を上下に揺らしていた。
アヌスからは、ひもに繋がれたふたつのボールが美和子の呼吸に合わせて揺れ動き、
ボール同士がふれあってかちかちと乾いた音を立てていた。
だが、まだ美和子の中にはボールが3つも残っている。
医師はなおもひもをゆっくりと引っ張って、美和子のアヌスを突っ張らせていた。

「せ、んせい……っ……、は、早く……早く取って……抜いてください……ああっ…
…」
「わかった、わかった。もっとこの快感を味わいたいんですね」
「違う、違います……ああもうお腹の中が変……お尻が変になっちゃいます……ぬ、
抜いてぇ……」

医師はひもを引き、3つめのボールが美和子の肛門を内側から責めている。
美和子は苦痛と恥辱に苦悶しながらも、淫猥な玩具がもたらしてくる悪魔の快楽に
翻弄されていた。

そんな美和子の呻きとも喘ぎともつかぬ色っぽい声に、高木はいつしか自分の性器を
しごいてすらいた。
酔っていたせいもあって、自制できないらしい。
息遣いも荒く、美和子を見ながらオナニーするのをやめられなかった。
浅ましいと思うこともなかった。
目の前で嬲られている女が美和子だと知れば、殴りかかってでも止めさせたろうが、
商売女だと聞かされ、また、酒と術とで朦朧混乱した意識下では望むべくもなかった。

一方、美和子とレスリーはそんな高木を構いもせず、アヌスを巡った攻防を繰り広げ
ている。
攻防と言っても、一方的に責めているのは医師で、美和子は防戦一方だった。
早く全部出したい、でも出す瞬間の快感で思わずいってしまいそうになる
。その姿を晒すわけにはいかない。その葛藤が、聡明な女捜査官の心をかき乱して
いた。

「ああっ、は、早くぅ……が、我慢……できないっ……ああっ……」

引きはだけられた臀部をわななかせて喘ぐ美和子に対し、レスリーは落ち着いたものだ。
美和子の艶っぽい呻き声を聞きながら、ぐっと力を込めて抜きかけ、すっと抜いてまた
戻すような悪戯を繰り返している。
こんなに虐められているというのに、美和子のアヌスは少しも型崩れせず、初々しい
ままである。
トッドの極太ペニスすら受け入れたのに美しいままで、初めてそこを見る者は美和子が
散々肛門性交を仕込まれたことを信じないだろう。
よほど収縮性と柔軟性に富んでいるということだ。
彼女自身、感じていることは明白な事実のようだ。
アナルパールが美和子の腸や肛門をいたぶり苦しめているのは間違いないが、同時に
その苦悶の中から官能の煌めきも感じ取っているのだ。

「ああっ……うむ!」

ボールが肛門から半分ほども顔を覗かせたところで、また医師が力を抜いてしまう。
玉はそのままぬるっと回転し、美和子の腸内に収まってしまった。
大きなボールが潜り込んできた感覚に震えながら、美和子は呻いた。

「ああ……い、虐めないで……もう取って、お願いです……」
「そう言ってもね、あなたのアヌス……尻の穴がきつすぎるんですよ。締まりが良すぎ
てなかなか引っ張り出せない」
「いやあ……」
「だからあなたも協力してください」
「きょ、協力って……何をすれば……」
「息んでくださいよ。ウンチをひりだすみたいにね」
「そ、そんな……恥ずかしい……」
「しかし、そうしてくれないと全部出そうにないですよ」

美和子のうらめしそうな視線は「あなたが入れたくせに」と言っていた。
しかし、ここで抗っても、レスリーは面白がるだけで出してくれないだろう。
従うしかなかった。

「わ……かりました……。その代わり……」
「ええ、もちろん。僕の方もちゃんと引っ張ってあげますから、せいぜい息んで踏ん
張ってください」
「……」

恥ずかしい言葉を投げつけられ、美和子は赤面して顔を背けた。
ちょっとでも動くと、腹の中にあるボールが腸内で転がって、美和子に苦痛と妖しい
快楽を送り込んでくる。
急がねばならなかった。

「んんっ……」

美和子が息み始めた。
恥ずかしいのか、それとも息んでいるからなのか、その美貌が朱に染まっていく。

「んっ……むうっ……くっ……」

羞恥にまみれながらも息んでいくと、中のボールがアヌスの皺を引き延ばしつつその
姿を現してくる。
腸壁がめくれあがり、ピンク色の粘膜を男たちの目に晒していた。
足首とともに縛られた手も、ぎゅっと拳を作って握りしめられている。
レスリーは頃合いと見て、ぐいっとリングを引っ張ってやった。

「あっ……ううっ……ううんっっ!」

美和子が腰に力を込め、ぐぐっと踏ん張ると、レスリーにも助けられてピンクの
ボールが吐き出されるように飛び出てきた。
吐き出した瞬間、いっぱいまで開かれたアヌスは、ボールが出て行くと、また急速に
窄まっていく。
その様子が何ともエロティックであり、高木などはそれだけでも射精してしまいそう
だった。
どろっとした粘液が滴っているが、美和子の肛門はしっかりと閉じられている。
驚くべき収縮性だった。

「で……出た……」
「ああ、出ましたね。あと2つだ」
「あ……」

言われて、美和子はまた息み出した。
レスリーも引っ張る力を調整しながら、美和子の様子を観察する。
窄まったばかりのアヌスがまた開き、わななきながらボールを吐き出していく。

「あぐっ……うんっ……で、出るっ……」

ぽろっ。

「あっ……むむ……うんっ、うんっ……あっ……も、もう少し……ううんっ……
で、出そう……出るっ、んむうっ!」

ぽろっ。

最後のパールが呻き声とともにひりだされ、美和子はがっくりと突っ伏した。
5つめのボールが腸液でねとねとになりながら排出されると、テーブルの上にごと
ごとっと落ちてきた。
むっとするような甘く濃厚な女の匂いがあたりに立ちこめた。
腸液の匂いもあったが、美和子の媚肉が洪水状態だったのだ。
臀部から腸液、秘部から愛液を垂れ流し、美和子の太腿はもうべとべとだ。
前後の穴から女汁を噴き出すように搾り出し、美和子は呼吸も荒くわなないていた。



      戻る   作品トップへ  第四話へ  第六話へ