「……」
蘭は不安げに天井を見つめていた。
遠藤は宣言通り、蘭を一線に出して客の相手をさせていた。
システムととしては、いわゆるヘルス系と同じである。
女の子が出向くのではなく、こうしてホテルで待ち合わせるようになっていた。
蘭の方は「本番」の時まで客と会うことはない。
拒否権はないのだから、その方が幾分気は楽だ。
しかし、やっていることは売春である。
蘭が積極的に身体を売ってカネにしたのなら、これは確かに援助交際だろうが、強制的
というか恐喝されて仕方なくやっているだけだ。
ただ、カネは蘭にも支払われた。客はまず担当者に10万円渡し、「行為」の後、女の子
に3万円支払うようになっている。
最初、蘭はそんなものを貰うつもりはなかったが、無理矢理に渡されてしまった。
しかも金銭授受を断った様子を監視カメラで遠藤らが見ていたらしく、事後、禎一に
こっぴどく叱られ、「罰」と称して、また彼らに輪姦されてしまった。
断っても強引に渡され、鞄に中に紙幣を入れられてしまうので、蘭はどうしようも
なかった。
といって、お金を捨てることにはかなり道徳的抵抗感があって出来ず、結果として
自宅の机の中に仕舞っておいている。
使いもしないし、入れる時以外は見もしなかった。
こうして、カネを受け取ってしまうことで、蘭は売春の片棒を担がされることとなった
のだった。
禎一からは、週に一度か二度、連絡が入った。
時間は二時間と限定されていて、延長は一切認められないので、あらかじめ連絡を
入れておけば、家族にはそう心配かけないで済んでいた。
とはいえ、年頃の女の子がたびたび家を空けることになったのだが、父もコナンも
心配しないわけがない。
園子がフォローしてくれて、小五郎とコナンは禎一のことを知った。
聞いた時は少々呆れた。
いかに面倒見が良いとはいえ、そこまでやるというのは人が良すぎる。
園子が言っていたが、これでは恋人同士と思われても仕方がなかった。
だが、それにしては蘭に元気がなかった。
彼氏が出来たのであれば、もう少し明るくなっても良さそうなものだ。
そしてそれ以上に疑問だったのが新一の存在である。
小五郎にしろ園子にしろ、蘭が新一に好意を寄せていることは知っている。
互いに(特に蘭が)意地を張っているせいで、その関係に進展がないものだと信じ込ん
でいたのだ。
ところが今回の話が降って湧いてきた。
小五郎はさすがに驚いたが、よくよく考えれば、いくら連絡しようとも一向に蘭と会おう
としない新一よりも、身近な男に惹かれていくのも不思議はなかった。
とはいえ、小五郎は今ひとつ納得がいかなかった。
コナンに至っては「納得できない」どころの話ではない。
その話を聞かされた時は、驚きと怒りで握り拳がわなわなと震えてしまい、バレないよう
にするのが一苦労だった。
彼の怒りは蘭に対するものではなかった。
蘭にモーションをかけているであろう森禎一への憤りと、蘭の願いにも関わらず、その
姿を現して会うことの敵わぬ自分についてであった。
こうして、小五郎もコナンもそれぞれが独自に探りに入ったのだった。
蘭はそんなことに気づく余裕もなく、ただひたすら地獄の時間が通り過ぎるのを待つ
ばかりだった。
最初の客の時は、泣き叫んで禎一に頼んだ。
客に身を任せるのだけは許して欲しい、禎一たちには好きな時に抱かれるから、何でも
するから、それだけはやめて欲しかった。
しかし彼らは「何でもするというのなら、おとなしく客に抱かれろ」と、冷たく言い
放った。
そして蘭の痴態を写した写真をちらつかせるのだった。
輪姦された時にも撮影されたらしく、何人もの男たちに犯され、喘ぎ悶えている蘭の
表情がくっきり写っていた。
もう蘭は、雁字搦めにされたに等しかった。
「死にたい」とまで思ったが、父や母にコナン、そして新一を残して死ぬことも出来ない。
洗い浚いぶちまけて、父母に「恥知らずの娘」と勘当され、コナンに「いやらしい」と
蔑まれ、新一に「ふしだらな女」と嫌われたのであれば、もうこの世に未練はない。
死ぬにしても、もう一度新一に会ってから死にたかった。
結局、蘭は耐えた。
いっそ気が狂ってしまえばどれだけ楽だろうと思ったか知れない。
こうして蘭は運命を受け入れた。
そして薬を渡されていた。
どうしても嫌な時は飲めと言われた。
彼らに輪姦された時に飲まされたあの薬である。
これを飲めば、一時的にセックスにのめり込んでしまうから、恥辱や羞恥を感じずに済む。
最初の一回はそれで誤魔化したが、薬に頼ってしまうと、より一層に乱れてしまい、自己
嫌悪が激し過ぎた。
客から「好き者」と蔑まれるのもたまらなかった。
結局、それを使ったのは最初の一回だけだった。
こんな生活になってから何日経つのだろうか。
この身体を何人の男に自由にされたのだろうか。
犯されるごとに落ち込み、射精されるたびに絶望し、気をやらされるごとに底なし沼に
引きずり込まれる。
心ならずも絶頂させられると、理性と気力が少しずつ剥がされていくように感じていた。
ベッドに腰掛けて、不安な面持ちのまま客待ちをしている蘭は、縄目が気になるのか、
少し身を捩らせた。
今日は緊縛されているのである。
遠藤らの手駒にされている蘭たちのような女は、客の嗜好に応じた装いがされている。
何もせず全裸で待つこともあるし、コスプレ紛いの衣装を着せられることもあった。
蘭も一度、制服を着せられたことがある。
さすがに在学している帝丹高校のブレザーではなく、そこらのコスプレショップで売って
いるような安物のセーラー服だった。
今日はロープで縛られたということは、客がそうした趣味を持っているということだろう。
サディストで女を虐めるのが好きなのか、あるいはMっ気の女を犯したいのかわからない
が、いずれ倒錯した趣味の持ち主に違いはなかった。
蘭は両腕を後ろ手に縛られ、その縄尻で乳房の上下にもロープを回されている。
ぎりぎりと引き絞るように縛られ、そうでなくとも豊満な乳房を強調するような縛り方に
された。
乳房や腕の皮膚にも食い込むほどにきつく縛られている。
女を縛って犯す変態の餌食されると思うと、蘭はくらくらしてきた。
それでも一切逆らうことはできなかった。
基本的に、客の言いなりになることが求められてはいるのだが、それも限度問題である。
もし身の危険を感じた時は、助けを求めれば、控えているはずの禎一や灰田らが飛び込ん
できてくれる手筈になっている。
そのため、室内には監視カメラが設置されているのだ。
これは女たちを守る手段でもあるのだが、同時に彼女らの痴態を撮影し、それを新たな
脅迫の材料にもしているわけだ。
蘭はため息をついて過去の客たちを思い出していた。
最初の客は緊張と不安と薬の効果もあって、何が何だか判らないうちに終わっていた。
それに懲りて薬は二度と使わなかったのだが、使った方がよかったかも知れないと思わ
されるような酷い目に遭い続けている。
いちばんイヤだったのは、肛門責めばかりされた客の時だった。
この男は、最初から最後まで蘭の膣へは手を出さず、執拗なほどにアヌスばかりいたぶ
ってきた。
アナルパールやアナルバイブを押し込んで悲鳴を上げさせたり、蘭が泣き叫ぶまでアヌス
を舌で舐め回された。
挙げ句、肛門性交され、三度直腸に射精されるまで許されなかった。
おぞましいのは、三度目に犯された際には蘭も半狂乱状態となり、思考が飛ぶほどの
快感で失神してしまったことだ。
お尻を犯され堂々と気をやらされ、性器並の快楽を得たことに、いたたまれないほどの
羞恥と恥辱を感じていた。
かと思うと、何もしてこない男もいた。
この男は蘭をベッドに縛り付け、ただ見ていただけだった。
それでいて片時も目を離さない。
蘭のふくよかで若い乳房、よく発達した太腿、そして股間の中心などを、くっつくほど
に顔を寄せ観察したのだ。
視姦である。
そうでなくとも羞恥心の強い蘭は、もうそれだけで気が狂いそうだった。
息が掛かるほどに顔を寄せられ、くんくんと匂いを嗅がれると、恥ずかしさと恐ろしさで
悪寒が止まらなくなる。
そのくせ、見られているという感覚が蘭の性中枢に微妙な刺激を与え続け、いつしか
蘭はもじもじと腿を擦り合わせるような仕草までするようになった。
いつしか股間は濡れそぼち、割れ目も肉襞を蠢かしていた。
最後の方にはもう耐えきれず、心ならずも「犯して」と叫んだものだ。
しかし、それでも男は黙って視姦し続け、時間になると帰っていったのだった。
岩村らにロープを解かれた時には息も絶え絶えで、そのまま押し倒されても一切抵抗せず、
ようやく貫いてきた肉棒の感触に喜悦の声を放っていったのだった。
今日はどんな男なのだろう。
遠藤らは、蘭がこの仕事に馴染むまでは、わざと変態的な客ばかりあてがうと言っていた。
どんなことをされるのか考えるだけでおかしくなりそうだ。
ロックが外され、ドアが開く音がした。びくりと反応した蘭は、反射的に顔を背けている。
こんな姿を、見も知らぬ男に見られることへの羞恥がそうさせていた。
男が側に来て見下ろしている。
蘭はおずおずと男を見上げ、そして絶叫した。
「いっ……いやああああああっっっっ!!」
見覚えのある男だった。
そしてもっとも嫌っていた男だった。
帝丹高校教諭の嵯峨島だ。
「ふっふっふっ……」
「いやあああっ、こ、来ないで、近寄らないで! 森さん! 森さん、いるんでしょっ!?
いや、この人はいやああっっ!」
「騒ぐな、毛利」
「い、いやっ、あなただけは……先生だけは絶対にいや! 森さん、助けてぇっ! こ、
この人は、この人だけは絶対にいやなんですっ! お願い、何でもしますから、この人と
だけは許してぇぇっ!」
近くにいるはずの禎一は沈黙していた。有事の際にはすぐさま飛び込んでくるだけに、
蘭の悲鳴を聞いても出てこないということは、すべて織り込み済みなのだろう。
蘭は大声で叫んで、激しく拒絶した。
慌てて立ち上がり、逃げようとするが、両手を後ろ手に縛られているせいかバランスを
崩し、よろけてしまった。
そこを嵯峨島が横抱きするように抱えて押さえ込む。
そうやって、しばらくは蘭の暴れる身体の感触と体温を楽しんでいたが、蘭の動きが少し
おとなしくなると、そのままベッドに放り出した。
「あっ……!」
「いい格好だな、毛利蘭」
「やめて! 触らないで!」
白い雪肌を赤い麻縄で縛り上げられた蘭の裸身は、嵯峨島のS心を激しく刺激する。
括り出された乳房は押し出されるようにパンパンに張り詰めている。
「想像以上にいい身体だな。制服や水着の上からじゃあ、これほどとは思わなかったぜ」
「やあっ、見ないで! ど、どうして!? どうして先生が……!」
客層は厳選されていると聞いていた。
信用のおけない人物や怪しげな連中が混じる余地はないと。
況してや関係者が来ることはあり得ない。
だから安心して客の相手をして、おまえ自身も楽しめと言われていたのだ。
なのになぜ同じ高校の教師が来るのだ。
しかも、よりによって毛嫌いしていた嵯峨島である。
いくらなんでも遠藤らがこんな手落ちをするとは思えない。
嵯峨島はしゃあしゃあと言った。
「どうして、と言われてもな。俺だって森から聞かされた時は信じなかったさ。ウチの
生徒が売春、それもエンコーしてるなんてな」
「そんな……、じゃ、じゃあ森さんが……」
蘭は唇をわなわなと震わせた。
信じられなかった。
これは偶然でも嵯峨島が探し出したのではなく、森の方から嵯峨島に接触していたという
のだ。
あの日、嵯峨島が蘭を生徒指導室に呼び出したのもこれでわかった。
あらかじめ禎一から、蘭の「仕事」について情報を得ていたのだ。
蘭も疑念を抱いた通り、単に禎一との仲を邪推されただけなら、援助交際という発想は
出て来まい。
すべて禎一たちが嵯峨島に情報を漏らしていたということだ。
その上で、嵯峨島を蘭の相手にさせる。
あの男たちは、どこまで蘭を堕とせば気が済むのだろう。
悪徳教師は、愉しくてたまらないというように言った。
「まさかとは思ったがな。だが、その格好を見れば、どうも本当だったようだ」
「違う、違いますっ! こ、これには訳が……」
「訳? そりゃああるだろうな。しかしあの毛利が、こうやって男に身体を開いていた
とは……」
「だから違いますっ! あ、見ないでください! そ、それより早く解いて!」
「解く? なぜ?」
「な、なぜって……」
「おまえにはもうしばらくおとなしくしてもらってないとな」
嵯峨島はそう言いながら服を脱ぎ始めた。
蘭の顔が蒼白となる。
やはりこの男は自分を犯すつもりなのだ。
「せ、先生、まさか本当に……」
「あ? 本当も何も、やることはやるぜ。おまえだってそのつもりだろうが」
「そんなっ……! 先生、先生考え直してください! きょ、教師なのに同じ学校の生徒
と……」
「今は放課後だよ。もう教師と生徒の関係じゃない。ただの男と女さ」
「バカなこと言わないでくださいっ! そんなことしたらどうなるか、わかってるんです
か!?」
「どうにもならんさ。俺にはもう恐れるものはないしな」
蘭には何のことかわからなかったが、嵯峨島は先日、妻との協議離婚が成立した。
その上、さすがに学校での不埒な行為が問題化し、近日中に校長や理事連中から査問を
受けることになっている。
どうも生徒どもや他の教師たちの証言も取っているようだから、どこまで誤魔化せるか
わからない。
しかしもう嵯峨島はどうでもよくなっていた。
離婚、不祥事と続き、投げやりになっていたのだ。
そこに禎一から蘭の一件を聞かされ、自暴自棄になっていた彼は、それに乗ることにした
のだった。
万が一表沙汰になって解雇され、逮捕されるようなことになっても、もう懸念するような
ことはない。
どうせろくでもない人生、ここらで幕を引くのも悪くない。
ならば、やりたいことをやるだけやっておいた方が良い。
嵯峨島は、唖然とするほど刹那的になっていた。
「いや……、先生いや!」
「諦めろや」
「あっ」
起き上がろうと半身になった蘭を、嵯峨島が突き倒した。
男の身体がのしかかり、大きく片足を上げさせて蘭の股間を割り開く。
そこに視線がいったのを見て、蘭はまた絶叫した。
「ああっ、いやあ! 先生だめっ……見ないで、見ちゃだめですっ!!」
「何を今さら。ほう、けっこういいマンコしてるじゃないか。男を何人もくわえ込んだ
とは思えんな」
「言わないで! ああ……、見ちゃいやあ……」
「ふん、清純ぶりおって。もう濡れてるんじゃないのか」
「バカなこと言わないで! ああっ、触っちゃいや!」
筋が浮くほどに大きく開かれた蘭の股間中心部に、教師は手を這わせた。
さりさりという乾いた細い陰毛の感触だ。
さすがにまだ濡れるわけがなかった。
だが「見られている」という刺激、それも嫌っていた男に間近から観察されるという
屈辱と恥辱が、微妙に蘭の肉体に変化を与えていく。
今までの蘭であれば、教師が生徒にこんなことをするなんて、という正当な怒りの方が
爆発するだろうが、すっかり調教を施された今では、恥ずかしい、おぞましいという
感情の方が強くなっている。
そしてそれは、蘭の性感に直結するのだ。
「み、見ないで……」
蘭の声がとろけてきている。
恥ずかしさと恍惚感が入り交じったような甘い声だ。
男の視線は媚肉からアヌスへ向かっていた。
嵯峨島が片手で器用に尻たぶを割ると、恥ずかしげに肛門が収縮した。
蘭は、じゅんっと膣奥が潤ってしまうのを感じていた。
「ああ……、こんな……」
中年教師の手が、蘭の恥丘を這い進んでいる。
隙間なくぴったりと閉じた割れ目は、どう見ても処女のそれに等しい。
嵯峨島はツバを飲み込んで、そのスリットを左右に押し広げる。
そこは、淡いピンクの肉襞が蠢いており、小さな膣口とその上にある小さな小さな尿道口
が行儀良く並んでいた。
教師は慎重に膣口をほぐし、こじ開けてやると、あろうことか、中から僅かではあるが
透明な粘液が零れてきた。
「いやあ……先生、お願い……もうやめて、やめてください……こ、こんなの酷すぎま
す……」
女の秘密を拡げられ、観察される羞恥に泣きながらも、蘭は必死に嵯峨島を止めた。
「濡れやすいんだな、もう蜜が出てきてるぞ。それでも高校生か」
「ウソよ……ウソだわ……」
「ウソなもんか。ほら」
そう言って、嵯峨島が人差し指を挿入する仕草を見せると、蘭は狂ったように身をうね
らせて叫ぶ。
「ああっ、入れちゃだめっ!」
「指なんかじゃ物足りないんだろうが。よしよし、それなら俺のチンポを入れてやろう」
「せ、先生……まさか本気で……」
蘭は青ざめた。
本当にこの男は、教師の分際で生徒である蘭を犯すつもりなのだろうか。
きっと脅しだ。
誠心誠意頼めば判ってくれる。
いざとなったら禎一が踏み込んでくる。
そうした蘭の淡い希望はひどくあっさりと打ち砕かれた。
嵯峨島は下着も全部脱ぎ去って、誇るように下半身をぶらぶらさせている。
「ひっ……!」
血の気の引いた美貌を引き攣らせ、蘭は必死に後ずさりした。
嵯峨島教諭のペニスは、年齢相応に使い込んだ感のある、恐ろしげな持ち物だった。
サイズも充分に大きい。
禎一や灰田よりは一回り太く、長かった。
遠藤クラスである。
遠藤のものに底まで突き通され、忘我になるまで責め抜かれた記憶を思い起こし、蘭は
目眩がした。
「せ、先生……お願いです、そんなひどいことしないで……ああ、まだ……まだ間に合い
ます……」
「何が間に合うというんだ? 男がこんな状態になったら、もう女に突っ込まにゃ収まり
はつかんよ」
「やっ……いやああああっ!!」
蘭は心の底から絶叫した。
なぜ、どうしてこんなことになったのか。
すべて遠藤一派の仕組んだことだった。
嵯峨島に蘭のことを漏らしたのも彼らだが、学校での悪評やその行為について彼の妻に
情報を流したのも彼らだったのだ。
もちろん学校サイドへ嵯峨島の悪行についての情報を提供し、理事や校長たちの査問会
にまで発展させたのも彼らだった。
遠藤らは生徒の保護者を騙って嵯峨島の言動をことさら非難し、問題化させたのである。
そして学校側が放置するなら、教育委員会か警察へ相談すると脅したのである。
帝丹高校としても、嵯峨島のことは頭の痛い問題だったのは事実で、いよいよ表に出て
しまうと懸念し、呼び出すことになったのだ。
その上で懲戒処分にする予定だった。
こうして遠藤は嵯峨島を追い込み、その上で毛利蘭という餌をちらつかせ、自暴自棄に
なった嵯峨島に食いつかせようとしていたのだった。
禎一から、蘭はことさら嵯峨島を嫌っているという情報を得ており、それを利用したのだ。
すべて蘭を追い込み、堕とし、屈服させるためである。
毛利蘭は、完全に彼らの蟻地獄に嵌ってしまったのだ。
嵯峨島は、暴れる蘭の腰を片手で難なく抱え込むと、しっとりと潤った媚肉に肉棒を
ぴたりとあてがった。
その熱と硬度に、蘭は絶望的な悲鳴を上げる。
「あ、だめだめっ! あ、あっ……いやあああっっ!」
もう一回終わったのかと思えるほどに濡れそぼっていた蘭の性器は、中年男の醜いペニス
をすんなりと受け入れていく。
教師に貫かれる感覚に、蘭は痙攣しながら身悶えている。
「やっ……やあっ、本当に入ってくるっ……は、入る、ううんっ……いやっ、やめて先生
っ……あ、あああっ……!」
「おおっ、こりゃなかなかいい肉壺だな、毛利。よしよし、もっと奥まで入れてやるぞ」
「やああっ! あ、うむ……むむう……」
太いものがめりめりと膣道を押し広げつつ、奥へと進んでいく。
その重みのある圧迫感に、蘭は首を反らせて呻いた。
奥まで貫かれていく蘭は、身体を突っ張らせるようにして何かを堪えている。
嵯峨島がさらに押し込もうとすると、亀頭の先にこつんと何かが当たる感触があった。
「お、ここがいちばん奥か。毛利の子宮だな」
「やっ……言わないで! あ、深い……いや、抜いて……」
「くく……」
嵯峨島はそこまで挿入した肉棒をゆっくりと引き戻ししてから、改めてもう一度貫いて
いく。
きつい肉穴だったが、そこは濡れているだけにそう不便は感じなかった。
むしろ心地よいきつさだ。
今度は奥に当たっても容赦せず、おのれのペニスをすべて埋め込むまで挿入していった。
「あう!」
奥まで届かされただけでなく、子宮を押し上げられる感覚に、蘭は仰け反って喘いだ。
ペニスが子宮に当たり、なおも奥へ入れられる。
子宮が胎内で動かされる感覚に「くぅっ」と呻いてわなないた。
嵯峨島は緊縛された蘭の上にそのままのしかかり、その身体を抱きしめた。
縄目に解放された乳房の、張り詰めた若い肌の感触が教師の官能をくすぐった。
蘭の方は、柔らかい乳房が男の胸板で押しつぶされる苦しさに呻き、嵯峨島に抱きしめら
れている事実に身の毛がよだつ。
しかし、胸毛がちろちろと敏感な乳首を刺激してくると、ともすれば漏れがちな甘い声に
拍車がかかってしまうのだった。
「あ……あ……、深い……深すぎます……う、うむ……お、大きい……ああ……」
「本当にいいマンコだな。柔らかい感触なんだが、中はきつきつじゃないか。襞の具合も
いい」
「い、いや……いやらしいこと言わないで先生……んあ……ふ、太い……きついんです…
…」
「先生は褒めてるんだよ。さすがにスポーツやってると締まりが違うんだな。これが若い
女のいいところだ。といっても毛利、おまえくらい具合のいいのは他にいなかったな」
「せ、先生、他にもこんな……あう……」
「ああ、抱いたことあるぞ。さすがにうちの高校じゃないが、女子高生とやったのも二度
や三度じゃない」
「さ、最低……最低です、先生……あっ……」
「最低だ? そういう毛利はどうなんだ? 俺で何人目の男なんだ?」
「しっ、知りませんっ」
「知らないほど大勢とやったのか、ええ? だが、それにしちゃ綺麗なマンコだったな」
「だ、だからいやらしいことばっかり、ああっ……!」
「なんだかんだ言っても喘いでるじゃないか。気持ちいいのか、毛利」
「ち、違……こ、こんなのいやなだけです……抜いて……早く……ああ……」
「心にもないことを言うな。だいいち俺が抜こうとしても毛利の方が締め付けてきおるわ」
「ウ、ウソッ……ウソですそんな……あ、うっ……」
いやらしい中年男、そして教師でもある嵯峨島にのしかかられ、蘭はそこから抜け出そう
と懸命になっている。
中年男のむっとするような匂いがする。
汗臭さともまた違う異臭に、蘭は顔をしかめている。
加齢臭というやつかも知れない。
嵯峨島がおおいかぶさってきているため、その匂いはモロに蘭の鼻腔に入ってくる。
それでも、まだ動き出さないのが救いだった。
なぜか嵯峨島は蘭の中に押し入ってからは、その裸身を抱きしめたまま動こうとしなか
った。
その魅惑的な膣肉をじっくり味わっているかのも知れない。
ただ、抜き差しこそされなかったが、彫刻のようにじっと動かないわけではない。
何かの弾みに身体を捻ったり捩ったりするごとに、膣道いっぱいにみっしりと入り込ん
でいたペニスが蘭の性器とその中を摩擦し、いやでもその硬さと熱さを実感させるの
だった。
「くっ……ん……」
蘭は声を上げまいと必死になっている。
気持ち良いとかそういう問題ではなく、ただひたすらに嫌悪感に襲われていた。
吐き気すらしてくる。
それでも、媚肉を犯す肉棒に蘭の肉体が馴染んでくると、徐々にその内部が熱を持ち、
とろりとした蜜を分泌してきた。
股間の熱さを察知した蘭は「いけない」と思ったものの、身体は動かせない。
そのうち、嵯峨島の手が、蘭の乳房をじっくりと揉み込んできた。
「きゃっ……! そ、そんなところ……さ、触っちゃいやあ!」
「触るだけで済むと思うのか? 揉んだりさすったり舐めたり、いろいろなことをして
やるさ。しかし見事なおっぱいじゃないか、毛利。こりゃあとで縛ってない状態のも
見せてもらわんとな」
「も、揉んじゃだめぇっ……やああっ!」
嵯峨島は、縄目から大きくはみ出した蘭の乳房を、ぐいと鷲掴みにしてじんわりと揉み
上げていく。
力任せにぎゅうぎゅうと揉みしだくような若い愛撫ではない。
ねっとりと指を這わせ、じっくりと揉み込んで若い乳房を味わっている。
蘭は、中年のしつこい愛撫に寒気がしたが、すぐにその揉まれ方の虜になっていく。
太い指が、乳輪の麓からなぞりあげるようにして乳首を目指す。
蘭の柔らかい乳房が嵯峨島の指の轍を残すようにへこみ、それを追いかけるようにぞく
ぞくするような快感が込み上げてきた。
(あ、あたし……感じてる? だめっ、感じちゃだめっ……!)
自分の心を叱咤する蘭だったが、それを嘲笑うように執拗な愛撫が繰り返される。
しつこく乳輪を愛撫されると、乳首が恥ずかしげに小さく顔を覗かせてきた。
すかさず嵯峨島がそれを指で弾いた。
「あう!」
びぃんと頭が痺れた。
痛いと言えば痛い、でも我慢出来ないほどではない。
それでいて乳首から爪先まで甘い刺激が駆け抜けていく。
敏感な箇所だけに、あまり強く弾いては痛いだけなのだが、その辺りの加減が絶妙だった。
経験豊富な色事師らしい責め口だ。
「くっ……やっ……あっ……んんっ……」
蘭は首を大きく仰け反らせ、後頭部を枕に沈めている。
動けないなりに、何とか脱出しようと試みているのだが、縛られている上に重いのでどう
にも出来ない。
中年男の汗ばんだおぞましい肌がぴったりと蘭の柔肌に張り付いてくる。
ますます酸性っぽい匂いがしてきて、蘭はくらくらした。
「や……あっ……ううっ……うんっ……あっ……」
嵯峨島の責めが巧妙だった。
乳首を悪戯して蘭に悲鳴を上げさせたものの、乳首が完全に乳輪から顔を出すと一転、
今度はそこに触れなくなった。
さっきから乳房全体をやや弱めに延々と揉み続けているのだ。
「う、あ……やっ……ああ……あ……」
何だか蘭は焦れったくなってきている。
乳房を揉まれるだけでは物足りなくなっていた。
しかもポイントが外されている。
もっとも感じやすい乳首は素通りされる。
それでももっと強く揉んでくれれば、また別の快感になるのにそれもしてこない。
隔靴掻痒とはこのことだ。
蘭の欲望を訴えかけるかのように、乳首がビンビンに充血し、ひくひくしている。
「なんだ毛利、その物欲しそうな顔は」
「べ、別にあたしは……あっ……」
「こうして欲しいんだろ?」
嵯峨島の指が蘭の両乳首をきゅっとつまみ上げた。
親指と中指に摘まれ、ぐりぐりと潰される。
「くあっ!」
その鮮烈で強烈な快感に、蘭は大きく喘いだ。
そのままくいっと引っ張り上げられると、蘭は「ひぃっ!」と悲鳴を上げた。
(だ、だめ、感じる……感じ過ぎちゃうっ……あ、あたし、また……ああ、こんな男に…
…嵯峨島先生にまで……)
胸に気を奪われているうちに、媚肉の方もすっかり仕上がってきていた。
挿入したまま抜き差しはされなかったものの、嵯峨島はそのままの状態で微かに腰を動か
していたのだ。
律動される激しい摩擦感はないものの、太いサオが膣内を微妙に動き、感じるところを
探している。
大きく張ったエラは襞をこそぐように刺激してきていた。
「下の方も、このままじゃ物足りないだろ、ええ?」
「そんなこと……」
「ないのか?」
「……」
「くく、本当にウソがつけない性格のようだな。動いて欲しいか?」
「……」
「恥ずかしいか。ま、それもおまえらしくていいさ。それに「動かさないで」とも言わん
ようだしな」
「そ、それは……ああ……」
「奥まで突いてやる。そら」
「ああっ!」
やっと来た、という感じだった。
もともときつめだった蘭の膣は、動いてくれなかったペニスをより締め付けていたせいか、
さらにきつくなっている。
しかし、多すぎるほどの愛液を垂れ流しており、嵯峨島とのセックスをサポートしていた。
ゆっくりと、ゆっくりと、中年教師は蘭の中を行き来している。
押し込んだ肉棒をゆっくりと引き戻し、またゆっくりと押し入っていく。
「ますますよくなっていくぞ、毛利。毛利の柔らかいマンコが俺のチンポを……」
「い、いやっ! そんなこと言わないで、あ、あああっ……!」
まだ微かに残っている反抗心が、肉茎の突き込みで次第に薄れていく。
男が腰を使って蘭の胎内を突き上げると、蜜にまみれた肉棒と媚肉が強く擦れ合い、
ぬちゃっ、ねちょっと粘った水音をさせてくる。
嵯峨島はわざとその淫らな音を立てさせ、蘭に聞かせようとしていた。
もう蘭の性器は、無理に犯されているとはとても思えないほどに愛液を滴らせ、いっぱいに
押し広げられた女性器は、嵯峨島のペニスが抜き差しされるたびに粘膜が外にめくれあが
っていた。
「ううん、いい具合だ。ねっとりと絡みつくようなマンコだな」
「ううんっ、いやっ……あ、そ、そんなにされたらっ……」
「ん? なんだ、もういくのか?」
「違うっ……へ、変なこと言わないでくださいっ……ひっ……ああ!」
乱れ始めた蘭の様子を見ても、嵯峨島はペースを崩さずじっくりと犯していく。
ぐいとその肢体を刺し貫くと、ゆっくりと引き抜いていく。
そしてまたゆっくりした速度で埋め込んでいった。
また蘭を焦らす戦法らしい。
しかし蘭の方は、嵯峨島の予想を遥かに超えて官能に取り込まれていた。
ひと突きひと突きされるごとに、じわっ、ぐぐっと性感が高まり、それが一向に降りて
こられない。
このまま上がり続けたら、最悪の状態をこの卑劣な教師に晒すこととなってしまう。
それだけはイヤだった。
「だ、だめ……あ、あう、動かないで……あっ……動いちゃいや……」
「おや? もっと激しく動いて欲しかったのかと思ったがな」
「違う……違います……ああ、いや……もういやです……あ、あは……くっ……そ、
そこだめっ……あう……」
「そうか。じゃあ、抜き差しせずにこういうのはどうかな?」
「あ……、ああっ!?」
嵯峨島はいちばん奥まで押し込んだ状態──蘭の子宮口に亀頭の先をくっつけた状態で
腰を動かし始めた。
確かにピストンはしていないが、腰を回転させて蘭の子宮を擦っているのだ。
ぴったりとくっついた亀頭部が、ねじ込まれるかのようにぐりぐりと子宮口を擦り上げて
くる。
「の」の字に回転してくるだけでなく、軽く律動してコツコツと子宮口をノックするような
動きまで見せていた。
嵯峨島は両手で蘭の尻を抱えたまま、腰骨同士が密着するくらいに身体をくっつけ、両者
の恥毛が絡み合い、もつれあうほどにすりつけてきた。
男の陰毛が蘭のクリトリスにくすぐり、微妙な刺激を与えている。
媚肉周辺、女芯、そして胎内と子宮を同時に責められ、蘭は身体を大きく仰け反らせて
痙攣した。
「ひっ、あひっ……ああ、だめっ……あっ、あっ……だめ、それっ……ああ、あたしっ
……あたし、もうっ……ああっ!!」
蘭の膣圧が急激に高まった。
結合部からは蜜がしぶきだしている。
どうやら気をやってしまったらしい。
嵯峨島は少し驚いて、気をやった直後の輝くばかりの美少女の顔を見つめていた。
焦らし責めが功を奏したとはいえ、あの強気な毛利蘭がこんな短時間で絶頂するとは思い
もしなかった。
この少女は以前から男遊びをしていたとはとても思えない。
ということは、蘭を紹介してきた森たちによってかなり徹底的に仕込まれたのだろう。
それにしても、蘭自身の肉体の感受性の強さがなければこうはなるまい。
女性の中には、いくら経験を積んでも仕込まれても、額面通りの快楽を得られないタイプ
もいるのである。
それに比べれば、この毛利蘭という少女は男の予測以上の反応を見せ、その成長速度も
著しかったのだ。
「あ……」
激しく嫌っていた男に犯され、心ならずも絶頂させられるという屈辱と強烈な愉悦のため、
僅かな時間ではあるが蘭は失神していたらしい。
嵯峨島が嘲るように言った。
「目を覚ましたか。いかされて気を失うとはな、この好き者めが」
「ああっ……!」
蘭はいつのまにか後背位にされている。
四つん這いにはなっていない。
そうしたくとも、両手が後ろ手に縛られているのだからやりようもない。
腰を嵯峨島に持ち上げられて尻を突きだし、上半身は顔で支えていたのである。
少女が意識を取り戻すと、嵯峨島は腰の動きを激しくした。
濡れた媚肉が、嵯峨島の腰に打ち付けられるたびに飛び散り、湿った肉の音を立てている。
「いっ……ああっ……やっ、もう……あうっ……」
「くっくっくっ……、いったばかりだってのに、もうそんなに感じてるのか。優等生の
毛利とは、とても思えんな。やっぱりおまえは清純な女子高生の仮面を被っただけのビッチ
だったってことだ」
「やっ、違うっ……ああっ……こ、これは……これはか、身体が勝手に……ああっ……」
「身体が? そうか、おまえ自身はイヤなのに身体が勝手に感じてるのか。スケベな身体
だな」
「くっ……違うっ……違います、そんな……あ、あっ……」
「喘ぎながら否定されても困るな。ほれほれ、気持ち良いんだろうが。いい加減に認め
たらどうだ」
「バ、バカに、あっ、しないでっ……あうっ……き、気持ち良くなんかなるもんですかっ
……ひっ……」
「いいな、その態度。可愛い顔して気の強い毛利らしいぞ。そういう女の方がやってて
愉しいんだよ。生意気な毛利が俺に屈服してひぃひぃよがるのを想像するだけで勃起
するわ」
「誰があなたなんかにっ……屈服するわけないっ……あっ……そ、それでも教師なの!?
おかしいわ、あなたっ……ああっ!」
喘ぎ喘ぎではあったが、蘭はかなりはっきりと嵯峨島を拒否していた。
身体は調教の成果もあってもろかったが、心はまだ折れていない。
折れそうになったのは事実だが、皮肉なことに嵯峨島が出てきたことで、持ち前の反発心が
蘇りつつあったのだ。
一度気をやってすっきりしたことも影響しているのかも知れない。
しかし、責められ、犯される回数が増えるにつれ、蘭の肉体は次第に貪欲になっていた。
最初の頃は、一度いかされただけで心身ともにぐったりしてしまい、なかなか立ち直れ
なかった。
しかし、頻度が増えるたびに身体の方が絶頂に馴れてきたのか、何度でもいけるように
なっていった。
そのくせ、一回ごとの絶頂感の強烈さは一向に衰えず、それどころかむしろより強くなって
きた感もあった。
嵯峨島は、腰を振りながら余裕たっぷりに言った。
「いつまでそんな口を利いていられるかな」
「な、何を……」
不気味な物言いに不安となった蘭が後ろを振り向くと、嵯峨島が右手に何か持っている。
赤い棒状のものだ。
その先に火が点っている。
ロウソクのようだった。
「先生、それ……」
「ロウソクだよ。見りゃわかるだろうに」
「そ、そうじゃなくて、どうするつもりなんですか! そ、そんなもので……」
強気を装う蘭の語尾が震えていた。
「おや、カマトトぶるのか? おまえだって今時の女子高生だ、これくらいは知ってる
だろう。しかも、清楚そうな顔して男とやり放題……」
「言わないで! あ、あれは無理矢理……」
「まあ、いいさ。で、わかるだろう、何に使うのか」
「……」
もちろん蘭も薄々はわかっている。
蘭はさほどそうした話題には興味なかったが、それでも年頃であり思春期であり、第二
性徴期でもある女の子だ。
まるで無関心だったわけではない。
それにしても、せいぜいが好き合ったパートナーとのロマンティックな世界に憧れる程度
だった。
昂じるにつれ、それなりに性欲も出てきたから、つい自慰するようなこともあったものの、
それでも夢想するのは健常な性行為や愛撫しかなかったのである。
しかし、世にはSM趣味というのがあるらしい。
女をロープで縛ったり、革ベルトで拘束したり、鞭でしばいたりするセックスプレイが
あると聞いた。
叩く男は征服欲や支配欲を充足させるが、打たれる女の方も従属する悦び、酷いことを
されることへの背徳的な快楽があるらしい。
いずれ蘭には理解不能で、自分には無関係なことだと思っていた。
「これをな、おまえのその綺麗な身体に垂らしてやるんだよ」
「ど、どうしてそんな……」
「どうしてと聞かれても困るな。そうしたいからだけだ。おまえの白い肌に赤いロウ。
さぞや映えるだろうな。それに、そのクソ生意気な口も利けなくなるさ」
「い……いや!」
「思い知れ」
嵯峨島は薄笑いを浮かべながら、ロウソクを持った右手を軽く振った。
ゆらゆらと炎が揺らめき、芯の根元にたっぷりと溜まっていたロウがぽたぽたと蘭の上に
垂れていく。
「ひぃあああっっ!」
綺麗に伸びた蘭の背中の窪みに、赤いロウがパッ、パッと華を咲かせていく。
ロウの熱さに、蘭の肢体が大きく跳ねて絶叫が噴き上がった。
嵯峨島が使ったのはもちろん低融点のSMプレイ用ロウソクだ。
普通のロウソクの融点が50〜70度くらいなのに対し、こっちは40度を僅かに超える
ほどだ。
つまり、落ち着いて考えればやや熱めの風呂くらいなのだが、何しろ精神的なものが大きい。
演出効果もあるが、ロウソクのロウは熱いという固定観念がある上、実際に体温よりは
ずっと高いので、それに触れるとかなり熱く感じるのである。
但し、前述したように実際の融点はその程度なので、火傷になることも希なくらいだ。
しかし効果は絶大だった。
思いも寄らぬSMプレイまでされていることで、蘭の狂乱の度合いは一層に高まったし、
ロウを垂らされることで、その熱さに反応した身体が緊張し、ぐっと息んでしまう。
つまりロウを垂らされることにより、ただでさえ締まりの良い蘭の膣が余計にきゅっと
締まることになる。
さすがに嵯峨島も呻いた。
「おおっ……こりゃすげえな。毛利、おまえ、俺のチンポを食いちぎる気かよ」
「熱い……やめて……」
「冗談じゃねえ、こんなに味が良くなるとは思わなかったぜ。ほらよ」
そう言って嵯峨島はまたロウソクを傾ける。
ロウがつつっとロウソクからこぼれ落ち、ぼたぼたと蘭の柔肌を灼いていく。
「ひぃ! 熱いっ! や、やめて、こんな酷いっ! 熱っ! ひぃっ!」
衝撃と熱さに驚き、蘭はくねくねと肢体をうねらせて逃げようとする。
しかし、嵯峨島はサディスティックな笑みを浮かべながら、逃げる裸身を追いかけるよう
にしてロウを垂らしていった。
右の肩胛骨付近に垂らされ、蘭が悲鳴を上げて身を捩ると、今度は左の肩胛骨にロウを
落とす。
すっと素直に伸びた背中の窪みにもぼたぼたと垂らし、白い肌はたちまち固まった赤い
ロウに覆われていく。
「ひぃっ! もうやめて、お願いですっ……こ、こんなこと、あうっ……熱いっ……!」
その熱さにとても耐えきれず、蘭は乳房をぶるんぶるんと揺すってのたうち回っている。
溶けたロウがロウソクから垂れるたびに甲高い悲鳴を上げ、弾けるように仰け反った。
その間、膣もロウが垂れるごとにきゅっ、きゅっと締まり、蘭はそこに入っているものの
大きさをいやでも実感させられることになる。
もちろんその収縮は、責める嵯峨島にも強烈な快楽を与え続けた。
肉感的な快感だけではない。ロウソクの炎に照らされた蘭の苦悶する美貌や、妖しい
までに蠱惑的な身悶えが、この悪徳教師の欲情を燃え立たせていった。
「くく……、もう背中は赤いロウでいっぱいだな。よし、今度はこの白くて丸いケツだ」
「ひぃああっ、熱いっ! ……そこ、許して!」
蘭のぷりぷりした臀部に、ぼたぼたっと赤いロウが零れていく。
途端に媚肉が強烈に締まる。
背中と違って直接下半身に垂らされるだけあって、さすがに膣の締め付けはさっきよりも
強くなっている。
「ひっ、熱っ! いや、もういやあっ! あぐうっ!」
「くっ……、くそっ、本当にすげえ締まりだぜ、毛利!」
自慢の野太い逸物をきゅうきゅうと締め付けられ、女馴れしている嵯峨島も叫ぶように
呻いた。
見る見るうちに、よく張った蘭の尻までが赤いもので覆われていく。
もうロウソクは半分に減っている。
蘭の雪白の肌が赤いロウですっかり覆われると、嵯峨島はそのロウを手でボロボロと
払い落としてから、またロウを垂らしていった。
まだ許す気はないらしい。
しかもその間も、蘭の媚肉を貫いたままで、膣奥を抉り込んでいるのだ。
「あっ……ああっ……あああっ……!」
蘭が、もうたまらないとばかりに大きくうねり、悲鳴を上げた。
そこをすかさず突き込み、抉る。
蘭は、ロウが肌に垂れるたびに汗がジュッと蒸発する音を聞いたような錯覚を受けていた。
肌に刺すような痛みと猛烈な熱さが伝わる。
料理中に、熱湯や熱い油が皮膚に飛んできた時のことを思い出す。
それと違っているのは、その火傷のような熱さと痛みの中、蘭はまた別の感覚をも感じて
いたことだ。
ピリッとした刺激の直後、得も言われぬ鋭い快感が胎内に走り抜けるのだ。
声が少し変わってくる。
この美少女のマゾ体質は、どうやら本物のようだった。
「あ、はうっ……いっ……熱っ……あ……あうう……うんっ……!」
右手でロウソク、左手で蘭の腰を抱え込んだ嵯峨島は、休むことなく律動していった。
蘭はぐぐっと背中を弓なりにしてきた。
ひときわ大きく仰け反ってくる。
「あ、ああっ……!」
「なんだ、いくのか? 俺はまだだが、まあいい。いけよ、ほら」
蘭は腰をぐっと浮き上がらせ、激しく突き込んでくる嵯峨島のものをしっかりとくわえ
込んだままキリキリと締め付け、ぶるるっと大きく痙攣した。
「や、やめて、もうっ……!」
「いっていいと言ってるんだよ、いけよ」
蘭が泣き叫ぶのも構わずに、教師はとどめを刺すようにずぶっと奥深くまで抉り込んだ。
同時に、白い尻にぼたぼたっとロウを大量に垂らす。
「あぐううっっ……!!」
ガクガクッと身体を跳ねさせて、蘭は激しく肢体をわななかせた。
すごい収縮が肉棒を襲い、嵯峨島は必死にそれを堪えた。
突っ張ったように肢体を力ませ、ぶるぶると痙攣していた蘭は、ガクッと脱力してベッド
に沈んだ。
髪は振り乱れ、背中に何筋も張り付いている。
激しい呼吸のせいで、その背中は波打つように大きく上下していた。
きつい収縮が終わり、ホッとしたような顔で嵯峨島は倒れ込んだ蘭の尻を叩いた。
ぴしゃっといい音がする。
「いってもいいとは言ったが、いく時はちゃんと教えろよ。いかせ甲斐がないだろうが」
「あ……はあ……はあ……はあ……はあ……」
「だが素直でないのも悪くない。おまえのような女が、快感を堪える顔は実にそそる。
くくっ……」
もう蘭はまともに答えられるような状態ではない。
あまりにも変態的なセックスで倒錯的な快楽を味わわされ、目も眩むような絶頂に押し
やられたのだ。
しかも、大嫌いな嵯峨島によって、である。
肉体的にも精神的にもダメージが大きすぎた。
だが、これくらいで許すほどに中年男は甘くなかった。
蘭の突っ伏した裸身を再び持ち上げると、汗でぬらつく尻たぶにまたロウを垂らしていく。
熱ロウぼたっと肌に落ち、汗がじゅんっと蒸発する音がすると、蘭は活が入ったように
臀部がぶるっと震えて筋肉が収縮する。
「あひぃっ!」
後ろ手にされた手のひらが、嵯峨島の暴虐を止めようとするかのように、何度も開いては
また閉じた。
「やっ……やはあっ……それ、もういやですっ……ひっ、熱っ……もう虐めないで!」
「その熱いのがいいんだろうが、こうやって虐められるのが好きなんだよ、おまえは。
ほれほれ、どうだ」
「いやあっ……!」
もう嵯峨島は自分から腰を使う必要すらなくなっていた。
ロウを垂らしてやるたびに、蘭の方が勝手に腰を跳ね上げ、肉棒を食い締めながら上下
しているのだ。
もちろんこれは、熱いロウから逃げようとする動きだし、熱いから身体が跳ねている
だけなのだが、結果的に蘭の方から律動しているような動きになっている。
ロウがぼたっと垂れると、そのたびに蘭の腰が跳ね、尻がうねり、硬くしこる。
同時に膣も恐ろしいほどに収縮した。
「くっ……しかし本当にすげえな。これじゃ普通の男じゃとても保たねえぜ」
実際、嵯峨島ももう堪えきれなくなってきている。
ただでさえ膣圧の強い蘭が、思い切り食い締めているのだ。
足の裏からむずむずと上昇してきた射精欲が、もう腰にまで到達している。
もう出してもいいかなと思っていると、その前に蘭の方がまた達してしまう。
「やっ……やあっ……ま、またっ……くううっっ……!」
ぶるるっと大きく肢体を震わせて、ぐぐっと大きく背中を弓なりにしたかと思うと、
艶っぽい喘ぎを上げて果てた。
さすがにその締め付けには耐えられなかった。
嵯峨島はロウソクを吹き消して床に投げ捨てる。
そして、まだ絶頂の余韻で痙攣している蘭の尻から赤いロウを払い落とすと、がっしりと
その腰を掴み直した。
蘭の痙攣する尻を掴み、がしがしと突き込んでいく。
たちまち蘭は意識を取り戻し、大きく喘ぎ出した。
いかされて意識を失っても、続けて犯されるとまた快楽に溺れてしまうようだ。
「あ、ああっ、もういやあっ……ゆ、許して、あうっ……」
もぞもぞともがいて逃れようとする蘭の尻をしっかり掴むと、ペニスを何度も打ち込ん
でいく。
もう技巧的な動きはなく、またストロークも短くなっている。
単調だが、その分、速度が上がっていた。
蘭をいかせるというよりも、自分が射精したいがための動きだ。
激しく胎内をかき回され、蘭は身を捩ってよがっていく。
「や、やああっ、いいっ……ど、どうしてこんな……ああっ……こ、こんな人に……
嵯峨島先生に犯されてるのに、どうして……いいっ……!」
続けざまに何度も気をやらされ、蘭のリミッターが外れたようだ。
もう快楽を口にする恥ずかしさや、その快感を嫌っていた嵯峨島に与えられた屈辱も
薄れてしまっている。
もともと太かった嵯峨島のペニスが、蘭の中でまた一回りぐぐっと膨れたような気がした。
特に蘭の奥を突く亀頭部が著しく硬く膨張している。
蘭は青ざめた。
「やっ、いやっ……せ、先生、出さないで!」
「ほう、わかるのか、俺が射精しそうなことが」
「だ、だって……ああっ……あ、あたしの中で先生のが、あっ、お、おっきくなって
ますっ……!」
それが射精の前兆だということは、禎一たちや複数の客のものによってイヤと言うほど
判らされていたのである。
激しく抜き差しされるペニスと膣の隙間からは、ぼたぼたと愛液が漏れ出ている。
量はさっきよりもずっと多い。
それは、蘭がより感じさせられて蜜の分泌が増量されていることもあるが、嵯峨島の
カウパーも大量に蘭の中に出ていたのだろう。
中はそうした粘液でぬるぬるなのに膣圧は一向に弱まらず、むしろ強まって嵯峨島の
ものを締め付けていく。
「出すなと言われても、毛利の方がこんなに締め付けてくるから、もう無理だな」
「そんなっ……! じゃ、じゃあ抜いて! 抜いて下さい!」
「そうは行くか。このまま毛利の中に出させてもらうとするか」
「だ、だめだめっ、絶対にだめっ! な、中はやめて! あ、ああっ……!」
「本当にやめて欲しいのか? 中に出されると知ったら、おまえのマンコはさっきよりも
ずっときつく締めてくるじゃないか。本当は出されたいんだろ?」
「違うっ……ああ、いや、やめて……せ、せめて外に……あ、あうっ……いいっ……」
「嫌がったりよがったり忙しいな。だがだめだ。おまえのいちばん奥で出してやる」
「だめぇぇっ! そ、そんなことされたらっ……!」
膣内射精を嫌がる蘭を押さえ込み、最奥まで肉棒を押し込むと、そのままぐりぐりと
子宮口を擦り、抉っていく。
何度もいかされ、降下していた子宮は、その口を小さく開けていた。
「くうっ……! 出る!」
「いやああああっっ……あ、ああっ……ひっ、いく……い、いっく……いきますっ……!」
亀頭の先が子宮口に食い込んだ時、蘭は激しく絶頂した。
いかされた瞬間、蘭の裸身がぐぐっと反り返る。
指が白くなるほどにぎゅっと握られ、拳が作られている。
全身が思い切り力み上がり、膝が曲がって脚が持ち上がる。
その足の指までが、ぐぐっと内側に屈まり、激しい絶頂を示していた。
ふくらはぎや腿は、攣っているのではないかと思えるほどに筋肉が浮き出し、ぶるぶると
細かく痙攣している。
手足の指は何度も何度も開くのと握るのを繰り返していた。
同時に嵯峨島の射精が始まる。
どぶぶっ、どびゅっ。
びゅるるっ、びゅくっ。
びゅくくっ。
びゅるるんっ。
「いやああっ、でっ、出てるっ……! 先生のが出てるっ……! やっ、出さないで!」
そう言いながらも、蘭は射精された感覚でまたいっていた。
蘭自身は中出しされることを心底いやがっているのだが、その膣は精液を絞り取るかのよう
に、嵯峨島の男根に襞が絡みつき、収縮している。
「あ……、あ……あ、あは……熱いの出てる……あうう……」
何度も中出しされることで、蘭は膣内に射精される快感を覚え込んでしまっていた。
男根をくわえ込んだ膣も、嵯峨島に突き出している臀部も、射精されるごとにびくっ、
びくっと痙攣を繰り返している。
蘭の脳髄には、膣と子宮から強い快楽信号が送り込まれていた。
それは、鮮烈というよりも、重く、しかも鈍い快感だった。
いやなのにクセになる。
そんな背徳的な被虐の愉悦だ。
嵯峨島は、最後の一滴を注ぎ込むまで抜かないぞ、とばかりに蘭の尻に指を立てて腰を
押しつけている。
蘭は、僅かに涎が垂れているわななく唇を僅かに開いて力なくつぶやいた。
「あ、ああ……こんなひどい……こんなにたくさん……奥に出された……受精しちゃう…
…ああ、いや……先生のを受精するなんていや……」
蘭の虚ろになっていく頭の中には、嵯峨島から放出された無数の精子が、蘭の子宮へ
競い合うように入り込んでいく情景が浮かんでいた。
─────────────────────
「……」
毛利小五郎探偵事務所では、小五郎がデスクで考え込んでいた。
コナンが、蘭の様子が少々おかしいと告げてきたのである。
大抵の場合、コナンは蘭の味方であり、何かあっても小五郎に相談するようなことは滅多に
なかった。
もっとも小学生なのだから(小五郎はそう思っている)、どうにもならぬと思えば大人に
相談するしかないだろう。
コナンによると、蘭は近頃ぼうっとしていることが多いという。
しかし、いくら蘭が陽性で活発な娘だとはいえ、疲れることはあるだろうし、たまには
ぼうっとすることくらいあるだろう。
しかし、そう言われてみれば小五郎にも思い当たる節はあるのだ。
食事の時にも虚ろな瞳をしていることもあるし、ダイニングのテーブルに腰を下ろしたまま
ふさぎ込んでいることもある。
成績でも落ちたか、あるいは学校で嫌なことでもあったのかも知れぬと、小五郎は黙って
見守っていた。
こういう場合、ヘタに慰めても逆効果になることが多いと、経験上わかっていたからである。
英理に似たのか、蘭は芯の強い娘で、よっぽどのことがない限り、自分で解決することが
多かった。
そしてそれが出来ぬ場合は、素直に小五郎なり英理なりに相談する子だったのだ。
今回はそれがない。
意地っ張りで気は強いが、根は純粋で素直な娘だから、親に心配をかけるようなことをした
とは思えない。
小五郎は黙ってデスクの引き出しからカタログ封筒を取り出して、中身を机上に置いた。
その中の書類のひとつを手に取る。
「……」
依頼のされた人捜しの資料だ。
蘭と同じ帝丹高校の女生徒である。
一年先輩の三年生らしい。
それとなく蘭にも聞いたが、あまり関わりはなかったらしく、よく知らないようだった。
西園千秋という生徒会長を務めていた娘だ。
親は米花市内の有力者で、企業の社長である。
営利誘拐という線もあったので警察に届けたものの、その後、千秋自身の書いたと思われる
家出を告げる手紙が届き、それで警察は捜査を打ち切ったそうだ。
しかし両親は納得出来ず、小五郎に捜査依頼したということのようだ。
彼がこのことを思い出したのは、彼女の両親から聞いた千秋がいなくなった前後の話と、
今の蘭の様子が酷似していたからである。
明るかった娘が急にふさぎ込むようになり、ろくに口も利かなくなる。
気づいた親が心配して様子を窺っていると、突然にいなくなってしまった。
蘭はまだいなくなったわけではないが、千秋失踪の前段階とよく似ているのである。
嫌な予感がした。
蘭は千秋と違い、お嬢様的な甘さはないし、いざとなればそこらの男を叩きのめす力はある。
だからそうそうおかしな目には遭わないとは思うが、そこはやはり女の子だ。
心配になる。
それと、千秋と蘭が同じ学校の生徒だというのは偶然だろうか。
裏に何かあるのではないだろうか。
毛利小五郎は、コナンの「裏の声」により名探偵の名声を得ているものの、実態を知って
いる者には昼行灯と思われている。
だが、そんなこともないのだ。
コナンが来る前は、彼なしで立派に探偵事務所を運営していた。
ということは、依頼された捜査はきちんとこなしていた、ということである。
コナンの働きが華々しかったから、小五郎のそれまでの実績が薄れてしまっただけなのだ。
確かに名探偵という称号には及ばぬかも知れないが、もと警視庁刑事という経験と人脈を
活かし、人並み以上の捜査活動はしていたし、推理能力もそこそこにあるわけだ。
その「もと刑事」のカンが小五郎に告げていた。
こうした時の彼のカン働きは馬鹿にならない。
「まさかとは思うが……、何かあるな」
小五郎はおもむろに受話器を取り、ダイヤルをプッシュしていた。
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