場所はそこから大して離れていなかった。
いわゆるラブホテル街などではなかった。
閑静な場所だったが、物寂しいとか危険な感じはない。
目指すファッションホテル「シャムロック」は、綺麗な外見で入りやすそうだ。
料金表を改めて見てみると、小遣い程度で何とかなる。
二時間の「ご休憩」であれば3000円で済むらしい。
ふたりで映画を見るよりも安かった。
ホテルの前でもう一度ふたりは見つめ合うと、そのまま中に入っていった。

フロントで渡されたキーの部屋に入ると、思いの外ゴージャスな部屋だった。
風呂はジェットバスだったし、冷蔵庫は大きかった。
テレビも大画面で、もちろんDVDもある。
部屋の隅には通信カラオケの設備まであった。
壁には、中世ヨーロッパでもイメージしたかのような壁画が飾られ、内装はピンク色で統一されてメルヘンチックな雰囲気になっている。
この辺も、いかにも女性受けを狙っているようだ。
部屋の真ん中にはドーンとクイーンサイズの大きなベッドが設置されている。

感心したのか呆れたのか、蘭は一言

「すごいね……」

とだけ言って部屋を眺めている。
ここまで来ると度胸が据わったのか、新一はシャツのボタンを緩めながら言った。

「蘭……、シャワー浴びて来いよ。……そのままでもいいけど」
「うん……。じゃあ、先に使わせてもらうから」

─────────────────────

蘭が浴室から出てくると、入れ違いに新一が入っていく。
その時、目を交わし合ったが何も言葉はなかった。
テーブルには氷が浮いたオレンジジュースが載っていた。
新一が冷蔵庫から出したのかとも思うが、グラスは部屋にあるものとは違った。
蘭がシャワーを浴びている間にルームサービスでも頼んだものか。
新一のものと思われるグラスは空いていた。
緊張していたから喉も渇くだろう。
蘭も、少し火照った身体を癒すようにジュースを一気に飲み干した。

「ふう」と息を吐く。
吐息が熱い。
これからの行為に期待と不安があるのだ。
おとなびたところもあるが、まだ17歳の少女なのである。

少しぼうっとしてきた。
ふらふらするところまでいかないが、何となく安定感がない。
蘭は飲んだことはなかったが、お酒を飲んだらこんな感じかも知れないと思った。
もしかするとさっきのジュースはカクテルだったのだろうか。
しかしアルコール飲料のような刺激はほとんどなかったと思う。

蘭が空のグラスを取り上げて眺めていると、新一が浴室から出てきた。
この時、蘭は視界が膜が掛かったように少しぼやけていることに気づいた。
意識も「朦朧」とまではいかないまでも、何だかぼんやりしている。
見れば新一も少し様子が変だった。
顔つきが虚ろで、足下が覚束ないようだ。
やはりお酒だったのかも知れなかった。
その時、蘭のすぐ側でゴトリと何か音がしたように思うが、あまり気にならなかった。
きっと気のせいだろう。

蘭はコトンと音を立ててグラスを置き、新一の前に立った。
ふたりはしばらくの間見つめ合った。
やがて、蘭はバスローブの帯を解き、少し目を閉じてからそれを脱いだ。
タオル地のローブが、蘭の足下に蟠る。
そこで動きが止まってしまった。
ふたりとも覚悟を決め、意を決してホテルに入ったはずなのだが、やはりいざとなると戸惑ってしまう。
怖じ気づくとか、そういうことではないのだ。
何とも言えず、気まずいのである。

これは新一、蘭ともに「初めて」であることが大きい。
どちらかが一度でも経験があるならば、例え自分が緊張していても相手以上ではないと思える。
つまり相手より優位に立てるわけだ。
そうなれば余裕も生まれ、こちらから積極的に働きかけねばならないという義務感も出てくる。

加えて、ふたりとも生真面目なところがあり、しかもこうしたことに関しては極めて奥手であった。
新一の性格からして、夢にまで見た蘭の身体を目の前にして、鼻息荒く押し倒すということは無理だ。
それが出来ればどれだけ楽かと思うのだが、蘭の方とていかに新一と結ばれるからとはいえ、無理矢理な形になるのはイヤだろうしショックも
受けるだろう。
だからどうしても躊躇する。
経験もないから、具体的にどうやって女体を扱えばいいのかよくわからない面もある。

新一も健康な男子高校生だから、当然セックスなり女性なりに関心はある。
猥談は好きではなかったものの、女抜き(というより蘭抜き)の悪友同士の間では、その手のシモネタはよく話していたのだ。
そうした耳学問の他にも、雑誌やビデオといったものも見ないわけではない。
特に今回、蘭とのセックスを意識してからというものの、恥ずかしい思いをしながら「その手のハウトゥもの」の本まで買い込んで「勉強」
したくらいである。
これはやはり、男として恥をかきたくないという思いと、蘭をリードしたいという思いがあったからだ。

しかし、いざ本番となると、勉強してきたつもりのことが頭から一切吹き飛んでしまった。
覚えたつもりのノウハウなど、蘭のヌードを目にした途端に蒸発した。
産まれたままの蘭が目の前に立っている。
その姿を見ただけで、頬がカッと熱くなり、喉がごくりと動く。
実のところ、コナン時代に何度か蘭と混浴したこともあるのだが、それとは状況がまるで異なる。
第一あの時は何だか蘭に申し訳なくて、ロクにその身体を拝まなかったのである。
ヘタに見てしまったら勃起してしまうかも知れない危険もあった。
それに、あの時は入浴するから裸になっていたのに対し、今回は新一とセックスするために肌を晒しているのである。
恋い焦がれ、相思相愛だった相手と初めて結ばれるのだ。
緊張しない方がどうかしている。

全裸の蘭が、手で僅かに股間を隠したまま立っていた。
見慣れたはずの恋人の顔が、新一の目にやたら新鮮に映った。
特徴的なヘアスタイルを形作る美しい黒髪。
ぱっちりとした目を中心にした華やかで愛らしい顔立ち。
色白で、若く充実したはち切れそうな弾力に富んだしなやかな身体。
特に、大きめの乳房などはいかにもぷりぷりと張った肌に覆われ、ぷるんと見事に膨らんでいる。
さらに視線を下ろしていくと、新一の目の動きに気づいたのか、蘭が恥ずかしそうに身体を捩り、左腕でそっと胸も隠した。
新一にだけは見てもらいたいのだが、やはり羞恥の感情も強い。

「あ、あんまり見ないで……、恥ずかしいから……」
「わ、悪い……」

新一も慌てて目を逸らした。
自分の股間がトランクスを突き破りそうになっているのを蘭に気づかれはしないかヒヤヒヤする。

「……」

蘭が黙って一歩踏み出してきた。
蘭の方から向かってきたことで、新一も度胸を決めた。
俺は男だ。
蘭の恋人なのだ。
改めてそう思うと、少し踏ん切りがついた。

「蘭……」
「新一……」

新一が蘭に近寄ろうとする前に蘭の方が素早く移動し、新一の目の前にやってきた。
そのまま潤んだ美しい瞳で愛しい男をじっと見つめている。
どちらともなく目を閉じ、そのまま顔を近づけていく。

「ん……」

そっと唇が重なった。
キスは過去に何度か交わしたふたりだったが、この日のは特別だ。
重なり合った唇がぐっと押しつけられる。
蘭は少し吃驚したようだったが、すぐに優しく新一の唇を受け止めた。

「ん、んん……」

まだ舌を口腔に入れ、互いに口中を愛撫し合うような熱烈な接吻の経験はなかった。
中学生でもしていそうな、ごく軽く唇を合わせるだけの児戯のようなキスだった。
それでも蘭は、新一の体温を唇から感じ取り、充分に満足だったのだ。

新一の方は、蘭の背に手を回して抱きしめてはいるものの、ややぎこちなかった。
腰が逃げている。
どうやら完全に勃起してしまい、蘭に密着したらそれがバレてしまうことを恐れているようだ。
それでも右手で蘭の後頭部を抱き寄せ、左手で腰を抱いて口づけていた。
思い切って舌を伸ばし、そっと蘭の唇を舐めてみた。

「……!」

予想外だったのか、蘭はびくりとして顔を離した。
そして、やや気まずそうに俯き「ごめんなさい」と謝った。

「謝ることなんかないよ」

新一はそう言って、今度はしっかりと蘭を抱きしめた。
柔らかく熱い女体が心地よかった。
蘭も両腕を新一の背に巻き付けている。
硬くなった男根が、蘭の腰に当たったが、もう新一は気にならなかった。
しかし蘭の方は気になったようである。
顔を真っ赤にして少し新一を押し返す。
何が身体に触れたのか、なぜそこがそういう状態になってしまったのか理解しているのである。

「蘭」
「あ……」

新一は蘭を抱いたまま、ベッドに腰を下ろした。
蘭は横座りになり、同じように腰掛ける。
少女は黙ったまま、縋り付くように少年に抱きついてきた。
新一はそのまま蘭を優しくベッドに横たえた。

「……」

仰向けになった蘭の真上に新一の顔があった。
もうあまり堅さは感じられない。
彼らしい、優しい笑顔になっている。
そのことが蘭を少し落ち着かせていた。
胸が新一の前で露わになってしまっているが、もう隠そうとは思わなかった。
新一が位置を変え、蘭に覆い被さってきた。
蘭は目をぎゅっと瞑り、身体を堅くして身構えてしまっている。
閉じた瞼の睫毛がふるふると小さく震えているのが判る。
新一はその耳元で、そっと囁いた。

「……怖い?」
「……」

蘭は小さく、しかしはっきりと頷いた。
この気丈な少女が「怖い」と表現するのは怪談やお化けくらいのものだ。
現実のものは何一つ怖くないはずだった。
しかし、少女から別のもの──女へと変貌すること、昨日までの自分とは違う存在になることへの本質的な恐怖は拭い去れるものではないらしい。

加えて物理的なこともある。
「初めて」の時の痛みについては、蘭もあることないこと虚々実々に様々な情報を見知っていた。
何を聞いても読んでも不安さは残った。
何しろ自分の身体の中に異物が──男性の性器が入ってくるのである。
例え興味津々であっても、多少なりとも不安や怖さを感じない女性はいないだろう。

不安そうな蘭を見るにつけ、新一は男としての自信と保護欲が蘇ってくる。
自分がリードするのだ。新一は蘭の髪に手をやると、柔らかい口調で言った。

「やめる……?」
「……」

今度は少女ははっきりと首を振った。
新一は、蘭を愛おしそうに抱きしめ、その耳元で囁く。

「怖いならすぐにやめるから、そう言って」
「うん……」
「安心してくれ。乱暴にはしない、俺を信じて欲しい」
「わかった……あ、んんっ……」

蘭の返事を全部聞く前に、新一はその朱唇を吸った。
蘭の柔らかく暖かい唇の感触に感動しながら、その弾力を愉しむ。
長いキスになったが、蘭は拒まなかった。
蘭は身体を小さく震わせながらも、しっかりと新一の唇と舌を受け入れている。
唇をそっと離すと、蘭は潤んだ瞳で新一を見つめていた。
その身体は少し強張っていたが、その堅さを解きほぐすように新一は蘭の裸身に手を這わせていった。

「あ……」

恋人の手が素肌に触れ、少女はぴくりと反応した。
蘭は震える声で小さく言った。

「や……優しくして……」

新一は「わかってる」とばかりに頷き、少女の若い雪肌に唇を寄せた。
蘭の唇から顎、細く綺麗なラインを浮かべている首筋、鎖骨、なだらかな肩付近に、唇と舌を這わせている。
蘭は、ぞくりとするような感覚と恥ずかしさに小さく身悶えながらも、恋人の手に身体を委ねている。
新一は、神々しいほどに美しいと思った。

「蘭……、綺麗だよ。すごく綺麗だ」
「新一……、あ、あんまり見ないで。は、恥ずかしくて……」
「恥ずかしいことなんかないよ、本当に綺麗なんだ」

新一の目が蘭の胸に行っている。
恋人の乳房は初めてだというより、映像や画像以外で、女の乳房をナマで見ること自体初めてなのだ。
蘭の乳房は、さっきよりも間近で見るとさらに魅力的だった。
ぷるんとした感じで膨らみ、肌の若さと弾力を誇示しているかのようだ。
形も申し分ないし、もちろん垂れてもいなかった。
透けるほどに色が白く、それでいてサイズはかなりのものだ。
よくこんなボディが制服の下に収まっていたものだと思う。
着痩せするのだろう。

「あっ……」

蘭の戸惑ったような声が上がる。
新一の手が乳房にかかったのだ。
新一はその感触に感動していた。
震える手で押さえ、指で乳房の肉を軽く揉んでみると、蘭のそこは蕩けるほどの柔らかい肉が、指を弾くような若い肌に覆われているのがわかる。
マシュマロのような頼りない柔らかさのそこは、新一の愛撫に合わせて自在に形を変えていった。
新一の手が敏感なところに触れるとぴくんと反応し、軽く仰け反る。

「あっ……、む、胸……んんっ……あっ……」
「すごいよ、蘭……。すごく柔らかくて気持ち良い。蘭の胸は最高だ」
「む、胸、やだ…………恥ずかしいっ……あっ……」
「蘭も……、気持ち良いんだろ? 乳首がこんなに……」
「い、言わないで……あっ……や、やだ、こんな……あ……」

新一の愛撫にいやらしいほどに反応していく身体が恥ずかしい。
乳頭は淡いピンクから、やや濃い色に変化し、だんだんと尖っていくのがわかる。
それでも愛撫は拒絶せず、手をぐっと握りしめて耐えている。
直にその手が新一の背や腰に回っていった。

(ああ……、新一、優しい……)

彼の愛撫は優しく柔らかで、蘭を心から愛そうとしているのがわかり、その目に涙が浮かんでくる。
乳首が新一の指の腹で優しく撫でられ、擦られると、蘭は切なそうな声を漏らし、もじもじと太腿を捩り合わせるような仕草を見せた。
肉体は快楽を覚え始め、さらに刺激を求めているのだ。
しかし、男の目に晒されている、これから貫かれるという恐怖の方がまだ強かったし、何しろ羞恥が大きかったので、そんなことを口にすることは
出来なかった。
蘭が反応してきていることがわかるのか、新一の動きや言葉にも少しだけ余裕が見えてきた。
蘭の胸をまさぐり、その肌を撫でながら言った。

「気持ち良い?」
「あ……、いい……す、少しだけ……あっ……」

恥ずかしかったが、蘭は肯定した。
感じてきているのは事実だったし、気持ち良くなんかないと言ったら、新一が傷つくのではないかと思ったからだ。
蘭の様子を見ながら、新一は徐々に手を下にずらしていく。
何しろ経験はなく、あくまで「勉強」した知識だけだから見よう見まねではある。
しかし未経験なのは蘭も同じだろうし、彼女の反応を見ていると、間違っているとも思えなかった。

しかし、肝心なところ……股間にはまだ手を伸ばさなかった。
新一は早くそこに触れたい、見たいという思いはあるのだが、蘭が脅えてしまったり、嫌悪感を抱いてしまっては意味がない。
焦る気持ちを抑えながら、蘭のなめらかな腹部や腰を撫で擦りながら、蘭が馴れるのを待っている。
よほど肌が敏感なのか、それとも性的な素養があるのか、蘭の反応は悪くなかった。

「はっ……んんっ……やっ……新一っ……あっ……そ、そこ、くすぐったい……はああっ……」

シーツを掴んでいた蘭の手が新一の腕を抑える。
強引に止めるという感じではない。
その証拠に、蘭の息は弾み、声が上擦ってきている。

「……感じる? 蘭……」
「やっ、そんな……恥ずかしい……んんっ……ん、んあっ……ああ……」

まともなセックスから考えれば大した愛撫ではないのに、蘭の肉体は過敏に反応し、その肢体をうねらせている。
新一の指や手が肌を這い回るたびに、少女の身体はびくんっと痙攣して軽く跳ねるほどになっていた。
唇も震え、そこから零れる声も譫言のようだ。

「し、新一……新一ぃ……ああ……」

蘭の声は苦しげで、喉から絞り出すようなものになっている。
実際、初めての経験による緊張とそれに伴う快楽、新一との行為に対する悦びといった感情がない交ぜとなり、少女の心と身体を動揺させているのだ。

新一はだいぶ落ち着いてきている。
普段のような気の強さが消え失せ、年齢相応の嫋やかさを見せる蘭に、今までとはまた別の魅力を感じていた。
新一は、顔同士がくっつくくらいに蘭に顔を寄せ、小さい声で聞いた。

「蘭、大丈夫か? ……もう、今日はやめておく?」
「……」

蘭は目を瞑り、無言のまま新一に抱きついた。
「やめないで、続けて」と言っているのだ。
抱きつかれると、何とも言えない良い香りが蘭の身体から漂った。
新一は小さく頷くと、張った腰骨をくすぐるように撫でていた手を、おもむろに股間へ進出させた。

「あっ……!」

蘭は驚いたのか、びくりと身体を痙攣させて、股間に伸びて来た新一の腕を押さえ込んでいた。
その顔は、やはり少しびっくりしたような表情に
なっている。
それでも、しばらく新一の顔を見つめると、抵抗しなくなった。
彼の腕を掴んでいた手からすっと力を抜き、掴むというより添える感じで新一の腕に触れていた。
肝心なところに触れるとあって、さすがに新一も緊張し、喉がごくりと動いた。
そして、思い切って手を蘭の股間に触れさせた。

「ああっ……!」

蘭のしなやかな肢体がガクンと跳ね上がり、大きく反応した。
予想外の動きだったのか、新一の動きが少し止まったが、また蘭の裸身に取り付いていく。
どうしたらいいのかよくわからなかったが、取り敢えず蘭の乳房に口をつけて唇と舌で愛撫しながら、秘所をまさぐってみた。

「あ、ああ……はああっ……あっ、く……しん……いちぃっ、あっ……!」

新一は「焦るな、焦るな」と自分に言い聞かせながら、蘭の媚肉を愛撫していく。
蘭の恥毛は柔らかく量もほどほどで、触り心地がよかった。
そこをかき分けて、膣部分を恐る恐る撫でてみる。
蘭はまた大きく震え、わなないた。
新一は、蘭が怖がらないように、そっと撫でるようにして、もっとも敏感な箇所を刺激してみる。

「くあっ……!」

反応は激烈だった。
その鋭い快感に、蘭は白い喉を晒して大きく喘いだ。
苦鳴でも呻きでもなく、はっきりと喘いでいた。
そこは敏感なだけに、強くいじると苦痛になるらしいことを思い出し、新一は優しくクリトリスをさすっている。
薄い包皮をそっと剥いてみると、愛らしいピンク色の肉芽が恥ずかしそうに顔を出した。
そこをくりくりと軽くしごいてみると、蘭の反応が激しくなる。

「んひっ! し、新一、そこだめっ……あっ、ああっ……はああっ、あ、あうっ……!」

強烈な快感に、蘭は新一に添えていた手に力を入れ、ぐっとその腕を両手で掴んだ。
同時に股間を閉じ、太腿でぎゅっと新一の手を挟み込む。
新一がそこで動きを止めると、蘭はおずおずと脚を開き、掴んでいた腕から力を抜いていく。
クリトリスの刺激が強すぎ、ついつい力が入ってしまうようだ。

新一も、そんな蘭の動きや表情を読みながら、愛撫の強弱を感覚的に掴んでいく。
だんだんと力のいれ加減が良くなってきたのか、蘭の抵抗はほとんど止み、新一の愛撫に身を委ねだした。
そのうち、蘭の膣をいじっていた新一の指に違和感が感じられた。
指先がぬめってきたのだ。
ぬるぬるとしたものが蘭の媚肉から滲み出し、それが新一の指を濡らしていた。

「濡れてきたよ、蘭……」
「やっ……! だ、だめ、恥ずかしいから……あっ……」

羞恥の指摘をされ、蘭はハッとして官能を我慢しようとするものの、一度溢れ出した愛液は堪えようがなく、次から次へと膣口から漏れてて行った。
その羞恥で、蘭の頬が燃えるように熱くなり、赤く染まる。
次第に快楽に染まりだした蘭を見ながら、新一は少しずつ少しずつ力を加えていく。
彼の指が感じるところ付近を通ると、もどかしそうに身を捩り、呻く。
そしてポイントに触れてくると、ガクンと仰け反って息を荒げていた。

「くっ……はあ、はあ、はあ……ああ……あ、だめ……んっ、いやあ……!」
「いやなのか、蘭?」
「あ……、い、いやじゃないわ……で、でも……んむっ!」

蘭の言葉を吸い取るように、新一がその口を吸った。
蘭もうっとりした表情で唇を吸わせ、新一の好きに任せていく。
新一の口が離れると、すぐに喘ぎ出した。

「ぷあっ……あ、ああっ……あ、あくっ……うんっ……あ、あ……ああ、あ……」

男の指が肉芽に直に触れると、蘭は小さく悲鳴を上げてその強すぎる快楽に戸惑う。
クリトリスはもうすっかり剥け切り、ぷくんと勃起してその姿を晒していた。
新一の指がそっと割れ目を開き、膣口に直接触れてみる。
熱い愛液がぬるっとした感触で指を捉えた。

「やっ……! ああ!」

口では「いや」と言っているが、それが本気で抗っているわけではないということは、これまでの行為で新一にもわかってきた。
どうしても本能的にそうしてしまうとか、恥ずかしくて口に出してしまうとか、そういうことらしい。
新一は思い切って、指を膣口に押し当てると、ぐぐっと中に押し込んでみようと試みた。
途端に蘭の悲鳴が上がった。

「い、いや!!」

今度はさっきまでとは違い、口だけの拒否とは思えなかった。
新一は指を離し、また蘭と向き合った。

「怖い?」
「す、少し……だけ……。でも、新一がそうしたいなら……」
「わかった。いいんだね?」
「……」

蘭はコクンと頷き、少し顔を逸らした。
顔はもう真っ赤である。

蘭にも自慰の経験はある。
そこを自分でいじって、気持ち良くなったこともあった。
これが新一の手だったらと思わなかったことはない。
しかし、いざその場になるとやはり怖いものらしい。
ぐっと新一の腕を押さえていた手から力を抜いた。
新一は、すっかり陰毛を濡らしていた蜜のぬめりを利用して、そっと蘭の中に指を入れていく。

「……!」

蘭はギクンと身体を震わせたが、唇を噛みしめて悲鳴を堪えていた。
すると新一の指は、吸い込まれるようにして媚肉の中に潜り込んでくる。

「ふあ、ふああっ……や、新一……あ、あっ……!」

新一は指を第一関節まで入れ、軽く中をかき混ぜている。
指が動くたびに、蘭のそこからはぴちゃっと恥ずかしい水音がした。
そこまで来ると、もう新一にも冷静さが失われてくる。
もうペニスは恥ずかしいほどに勃起し、びくびくと蘭の身体に反応している。
ちょっとでも刺激したら、それだけでもう出てしまいそうなほどだ。
興奮してきた新一は、なおも指を奥へ挿入しようとする。
第二関節まで進めたところで、蘭が悲鳴を上げて抗った。

「しっ、新一っ、それ以上だめえっ……あっ!」
「!」

新一はその声を聞いて、慌てて指を引き抜いた。
蘭はホッとしたようにがくりと脱力し「はあはあ」と荒く呼吸をしている。
焦るなと言い聞かせていたのに、危うく指で蘭の処女を奪ってしまうところだった。

新一は天井を向いて大きく深呼吸して気を落ち着かせた。
回りで何か動く気配があったが、特に気にならなかった。
この部屋にはふたりっきりのはずだ。
他人がいるわけがないのだ。
少し視界が白く飛んだ気がする。
強いライトに照らされたような感覚だったが、すぐにそれも消えた。
ゴトゴトと雑音がするが、ネズミでもいるのだろうか。

そんなことを考えていると、蘭の綺麗な脚が閉じられ、新一の手を柔らかく挟んできた。
その感触に陶然としながら、新一はまた行為に没頭していく。
今ので蘭はまた恐怖を感じたかも知れない。
新一としてはすぐにでも挿入したいところだが、その欲望を何とか抑えて蘭を再び快楽に導こうと思った。

「んっ……!」

新一の指がクリトリスにそっと触れると、それまでぐったりしていた蘭の肢体がびくっと跳ねて強く反応した。
ぷくりと膨らんだそこを指で軽くこねたり、膣口をなぞったりすると、蘭の性感がどんどんと上昇していく。

「んああっ、あっ……くっ……んっ……あ、ああ……んはっ……!」
「気持ち良いかい、蘭」
「わ、わからないっ……で、でも、あっ……くうっ……」

蘭の反応を見ながら、新一は刺激を強めていく。
左手を伸ばして乳房を揉んでみると、その頂点の乳首は硬く尖っており、ちょっと弾くだけで蘭は気がいきそうな喘ぎを上げていた。

「気持ち良い?」
「はああっ、いっ……う、うんっ……い、いい……あああ……」
「もっとしていいか?」
「い、いいけど、あっ……な、何だか身体が……あ、あそこが熱くなって……ああっ!」

勃起したクリトリスが、触れてもいないのにぴくぴくと痙攣してきている。
新一は女体の神秘に驚きながら、なおも肉芽をいじっていく。
馴れぬながらも、懸命にそこを愛撫していくと、蘭の声が切羽詰まってきた。

「あ、だめ、新一っ……こ、これ以上は、ああっ……やっ、だめ、やめて!」

蘭の声が鋭く響き、新一の腕を必死に抑えてくる。
しかし新一はその手を振り払うようにして、さらに蘭のそこを揉み、さすっていった。
新一にも、蘭がいきそうになっていることがわかるのだ。
蘭は、気をやってしまうのを怖がっているのだろう。
新一は、何とか自分の手で蘭をいかせてみたいと思い、追い立てるように責めていった。

右手でクリトリスを責め、左手で少し強めに乳房を揉んだ。
指先で硬くなった乳首をこねつつ、クリトリスの付け根をくりっと絞ると、蘭は身体をがくがくと震わせ、大きく身悶えた。

「い、いやあっ……いやああああああっっっ……!!」

蘭の絶叫が静かな室内に響き渡った。
また少しガタッと音がしたような気がする。
しかし蘭も新一もそれどころではなかった。
蘭は肢体を激しく痙攣させてベッドの上で跳ねていた。

新一はその様子を呆然として眺めていた。
蘭はとうとう絶頂したのである。
いったと同時に、蘭の媚肉から愛液が噴き出し、新一の手をびっしょりと濡らしていた。
新一は、ほんのりとした満足感とこそばゆいような嬉しさが込み上げてきた。
蘭に気をやらせたのだ。
多分、自分が初めてこの少女を性の絶頂にまで導いたのである。
その事実は、男としての自信と、蘭のパートナーとしての責任感の双方を満たしていく。
新一は、そっと蘭の髪を撫でた。

「蘭……」
「ああ……」
「蘭……。い、いったのか……?」
「やっ……!」

蘭は両手で顔を覆って顔を激しく振った。

「違うのか?」
「……」
「恥ずかしいだろうけど、俺、確かめたいんだ。俺の手で蘭がいったのかどうかって……」
「……」

蘭はそっと顔から手を外し、火照った頬を恋人に向けた。
新一は、満足とも不安ともつかぬ複雑な表情を見せている。
蘭を気持ち良くさせてあげたのか、まだよくわからないのだろう。

気持ち良かった。
時々、自分で慰める秘められた行為でも、これに似た状態になったことはある。
しかし、その時の快感は一瞬であり、直後に襲ってくる何とも言えぬ後ろめたさと羞恥が蘭を落ち込ませたものだ。
しかし、今度のこれは違った。
異性にオルガスムスを見られてしまったという羞恥心はあるものの、オナニーの時に感じていた虚しさはなかった。
見られてしまった相手は新一であり、恥ずかしいのは確かだが恥辱感とは無縁だった。
エッチなこと、いやらしいことをしていたはずなのに、少しも後ろめたさはない。
蘭は羞恥と嬉しさを噛みしめながら、小さくコクンと首を縦に振った。

「うん……」
「いったのか!?」
「何度も言わせないで、恥ずかしいから……」

新一は軽く感動しながら、蘭の顔を両手で挟み込んで正面を向かせる。

「嬉しいんだよ、俺。蘭が俺の手で……」
「新一……」

またふたりの唇が重なった。
蘭はこれで終わったような感じがしているが、本番はこれからである。
そっと唇が離れると、蘭の顔が名残惜しそうに追いかけていく。
さっきの行為による恐怖感はなさそうである。
新一は蘭の両膝に手を掛けると、ぐっと大きく股を開かせた。
この上なく恥ずかしい格好なのだが、今の蘭にはそれを気に留める余裕もないらしい。

「……いいかな、蘭」
「……」

蘭が新一をちらちらと見ては、恥ずかしそうに視線を外すのを繰り返している。
顔を見ているわけではなさそうだ。
少女の視線は、羞恥と緊張、そしておののきを滲ませながら、じっと一点を見つめているのだ。
不思議に思った新一が聞いて見る。

「どうかしたのか?」
「あ、ううん……あ、あの、その……し、新一のが、その、見えてる……」

やっと気づいた。
蘭の視線は、新一の股間で硬そうにぶらぶらと揺れていた男根に注がれていたのである。

蘭とて今時の女子高生だ。
例の性教育のビデオだけでなく、男性器くらいは何度か見たことがある。
但し、こうしてナマで見るのは初めてだ。
コナンとは入浴もしたが、あの時はコナンがそこを必死に隠していたから、殆ど見てはいない。
今思えば、あれは新一だったのだから、蘭のヌードを見て勃起してしまったのを見られたくなかったのだろう。
それに子供の性器なのだから、ペニスというよりは「おちんちん」といったものであり、とてもセックスを連想させるようなものではなかったはずだ。

強いて言えば父の小五郎と入ったことくらいだが、あの時は蘭も小学校の1年か2年くらいだったはずで、当然そんなものに関心はなかった。
いや関心はあったかも知れないが、それは自分にはついていない妙なものが小五郎にはついているという好奇心だったろうと思う。
3年の時には、もう小五郎とは一緒に入らなかった。
だから、これがナマで見るのは事実上初めてなのである。
しかもあからさまにセックスを意識して見るのだから、蘭が戸惑うのもわかる。

新一のペニスはもう充分すぎるくらいにそそり立ち、若者らしく反り返っている。
蘭は頬を染めながらも、ほんの少しの興味を湛えながら、脅えて見つめているのだ。
蘭の視線に気づき、新一も顔を赤らめて視線を背けた。

「……そんなに見ないでくれるか? 俺だって恥ずかしい」
「あっ……」

蘭の顔が一層に赤くなり、慌てて顔を逸らした。
その顎に新一の手がかかる。

「あ……」
「見ただろ、俺のも」
「……」
「もう硬くなってて痛いくらいだけど、相手が蘭だから、俺のはこうなってるんだ」
「あ、あたし……だから?」
「そうさ。俺も、俺の……ここも、蘭と一緒になりたがってる」
「新一と……一緒になるの……」
「いいかな」
「……うん」

怖さはまだあるが、蘭はそれを乗り越えようとしている。
相手が新一なのだ。
これ以上ない理想的な展開のはずだ。
怖いことは怖いが、女なら誰でも経験する通過儀礼ではないか。
蘭は目を閉じ、新一にすべてを委ねた。

「いくよ」
「……」

蘭は返事も出来なかったが、新一は構わずそのまま肉棒を膣に押しつけていく。

「あっ!」

ペニスの熱さと硬さに驚き、蘭は思わず腰を引いてしまう。
その腰を新一が押さえ、男根の先で媚肉をまさぐっている。
亀頭の先がクリトリスに当たったりすると、蘭は小さく悲鳴を上げて身悶えた。なおも新一は、焦らすように割れ目の中をペニスでなぞったり、突っついたりを繰り返している。
弱い快感と鋭い刺激が不定期に訪れ、蘭はたまらず声を上げた。

「し、新一っ……ああ、もう……だ、大丈夫だから……あたし大丈夫だから、もう……」

するなら早くしてくれ、入れてくれと言っているのだ。
新一は明らかに焦っている。

「わかってるけどさ……こ、ここかな……」
「ああっ……そ、そこじゃなくて……も、もっと上……そこじゃないっ、そこ、おしっこが出るとこ……」

蘭は何だか可笑しくなってきた。
新一が焦っているのを見ていると、ウソみたいに肩から力抜けてきた。
リラックスまではいかないものの、身体から固さが取れた。
今度は蘭の方がリードすべく、そっと手を伸ばして新一のものを手に取った。
そして気がついた。
この感触は人肌ではない。
ゴムか何かだ。
新一はコンドームを装着していたのである。
恐らく、さっきシャワーを浴びた後にでも着けたのだろう。
コンドームを被っているから新一を直に感じることが少し残念だったが、新一は蘭の身体のことを考えてくれたのだろう。
ヘタに中で射精してしまって、万が一にでも妊娠させてしまったら申し訳ないということだ。
相手を傷つけまいとする新一の気遣いと優しさが、蘭の心へほんのりと染み渡っていく。

嬉しくなった蘭は、新一のものをしっかりと握ってきた。
これには新一の方が驚いた。

「ら、蘭……!」
「平気よ、落ち着いて」
「あ、ああ……あ、ま、待て」

蘭の柔らかく暖かい手が軽く持っただけで、もう新一のそこは暴発してしまいそうになったらしい。
新一は慌てて腰を引いて蘭の手から逃れると、大きく一度深呼吸して、再び蘭に向き直る。
そして蘭の両脚を割ってその間に身体を入れると、蘭がまた手を伸ばしてきた。
彼女の手がペニスに触れても、今度は焦ることもなく蘭に任せている。
自分も初めてなのだからわからないのは当たり前だと思うことにしたのだ。
何も恥ずかしいことではない。
蘭は、初めて手にした男根に驚いていた。

(すごい……。これが男の人のものなんだ……。すごい熱くて硬くなってる……これって、新一があたしを見てこうなったんだ……)

嬉しいような恥ずかしいような気持ちで、蘭は新一のペニスを軽くしごくと、そのまま自分の膣穴に導いていった。
新一は蘭の膝を持ってその股間を開かせ、踏ん張るようにして力んでいる。
蘭の手によって膣口に亀頭が当たると、「うっ」と小さく声を上げた。
蘭も、新一のものをあそこで感じ取り、その熱さと硬さを改めて実感している。
ゴムを被せているのが信じられないほどに、新一の男根は熱さと硬さを主張していた。
こんなものが自分の中に入ってくることが、今さらながら怖くなってきた。

「し、新一……お願い、優しくして……」
「わかってるよ。でも、俺も初めてだからうまくいくかどうか……」
「初めてなのはあたしも同じよ。だから焦らずに……ね?」
「あ、ああ」

いつの間にかリードする側が逆転してしまっている。
新一は苦笑しそうになったが、これでよかったのかも知れない。
少し気負いすぎていたのだ。
ここにきてお互いに堅さと緊張が取れてきたのはいいことだ。

「じゃ……いくよ」
「うん……」

蘭はもう新一から目を逸らさずに、その時を待ち受けた。
新一は蘭の腿を抱え、あてがわれたペニスの亀頭をゆっくりとその膣内に押し込んでいく。
蘭の顔が小さく仰け反る。

「あっ……!」

意外なほどに抵抗がない。
中は柔らかく、そして信じられないほど熱かった。
それだけ蘭も興奮しているのだ。
蘭の方も、思ったより痛みがないことにホッとしていた。

しかし、そんなもので済むはずもなかった。
途中でペニスが行き止まった。
何か内部に障害物のような抵抗がある。
ここが処女膜らしい。
医学的にはそんなものは存在しないらしいのだが、実際に初めて性交する女性の膣にはそれらしい何かがあるのだ。
蘭の膣が狭いこともあって、新一にはかなりきつく感じられた。

「ら、蘭……痛いかも知れないけど……」
「い、いいから! あたし我慢するから! 新一……好きにしていいよ……」

その言葉に勇気づけられ、新一は少し腰を落として体重を掛けていった。

「んあっ!」

膣の中で、何かがバリッと破かれたような、裂けたような痛みが走る。

「新一っ……! も、もっと優しく、あっ……さ、裂ける……お願い、ゆっくり……ああっ……!」

蘭はシーツを強く握りしめてその苦痛に耐えている。
シーツは今にも引き裂かれそうなほどに引っ張られ、それを握る蘭の指も力が入りすぎて白くなっていた。
かなり力んでいて、身体も震えている。
心なしか濡れ方も弱まっているようだ。
身体の中に異物が押し込まれるのだから、怖いのは当然だろう。
新一は動きを止め、蘭に覆い被さると唇を重ねていく。

「ん……」

すぐに蘭も反応し、新一の口を強く吸ってきた。
口を開けて咥内までは許していないものの、積極的に新一の唇を吸う。
蘭の気が済むまで吸わせてから、そっと口を離した新一はその耳元で言った。

「力を少し抜いて。じゃないと、余計に痛いと思うぜ」
「あ……う、うん……」

蘭はコクンと頷いてから、おずおずと身体から力を抜いていく。
蘭の肉体が少し弛緩し、膣からも緊張が薄れてきたのを感じると、新一はまた腰を少しずつ進めていった。
蘭の身体は、また身構えるように力が入る。
これはもう仕方がないだろう。

新一は構わず中へ押し込んでいく。
蘭のそこはかなり狭く、これでは指一本でもきつそうである。
こんなに狭隘であれば、それほど巨根でもない新一のペニスでもかなり痛いに違いない。
新一は慎重にペニスを送り込み、蘭の膣肉をゆっくりと押し広げるようようにして埋め込んでいった。

「あっ……く……あっ!」

蘭は全身を硬直させ、わなないている。
中から身体を引き裂かれそうな苦痛と圧迫感に襲われているのだ。
蘭の乳房がゆさっと揺れる。
新一のものがずぶりと中程まで通り抜けると、蘭は腹筋や太腿の筋肉を浮き立たせて痙攣した。

「うあっ……!」

どうやら貫通したらしい。
新一のペニスは蘭の中から愛液とは別の液体を感じ取っていた。
見たわけではないが、恐らく少し出血したのであろう。
蘭は堅く目を閉じて、必死に苦痛と闘っている。
目の縁には、じわっと涙の玉が膨らんでいた。
なのに、新一に心配かけまいと懸命に堪えているのだ。
その健気さ、愛らしさに、思わずそこでやめてしまおうかとも思ったが、新一は振り切るように首を振ってから、さらに蘭の中を引き裂くように突き進んでいった。

「ああっ……!」

痛かったらしい。
カリが膣襞や、引き裂いたばかりの膣壁を擦る痛みを蘭に与えている。
それでも決して「痛いからやめて」とは口にしなかった。
蘭の鼓動が膣内に響くかのように、内部で脈動している。

心臓が破裂しそうになっているのは新一も同じだった。
ペニスに心臓があるかのように、そこがびくびくと脈動していた。
新一には想像もつかない激痛に堪え忍んでいる蘭は、ぐっと唇を噛みしめたかと思うと、大きく口を開けてパクパクさせている。

「くうっ……あああっ……」

15センチほどのペニスを通らせるだけだというのに、こんなに時間がかかるとは思いもしなかった。
しかし新一は蘭の苦悩ぶりを見るにつけ、これ以上急いで進める気にはなれなかった。
ゆっくりと時間を掛けて押し進めているが、ずるっとカリが膣の傷口を擦るたびに、蘭は激しく首を振りたくり、涙が飛び散った。

とうとう新一の腰が蘭の腰にくっついた。
全部入りきったのである。
辺りには薄く血の匂いが漂っていた。
ペニスを少しだけ抜くと、ぷうんとその臭気が広がる。
見てはいないが、新一の男根は蘭の破瓜の血にまみれているのかも知れない。
新一は再び奥まで貫き、そのまま蘭に覆い被さって抱きしめた。

「終わったよ、蘭……」
「ああ……、新一……ううっ……ひっ……ぐすっ……うう……」

蘭は泣いていた。
激痛のせいではない。
なぜ涙が零れるのかわからない。
どうして泣いてしまうのかわからなかった。
新一と結ばれ、その顔を見ているだけで、自然と涙が溢れてしまうのだった。
新一は愛おしそうに蘭の艶やかな髪を撫でている。

「ごめん……。痛かったか?」
「うん……、でも平気……」

蘭は小さくにこりと笑顔を作った。
ぱっちりとした目の端から、ぽろりと大粒の涙が零れる。
遠慮がちに「動いてもいいか」と聞いてきた新一に、蘭は首肯して許可した。
それでもやはり痛かった。

「んっ……く……はっ……あ、あっ……」
「い、痛いか? やめた方が……」
「い、いいから……あっ……つ、続けてそのまま……あ、あたし我慢する、あっ……!」
「……」

蘭は健気にそう言っているが、新一としては気が気でなかった。
男には決してわからない苦痛を堪える恋人を気遣いつつ、新一は慎重に腰を使っていった。

「あっ、く……く……んっ、あ、あまり強くしないで……あっ、うう……」

しばらく律動していると、蘭と新一との結合部から血が滴ってきた。
辺りはだんだんと金属のような匂いが立ちこめてくる。
多分、シーツも血で汚れているかも知れない。

それでも蘭は、もう最初ほどの激痛ではなくなっているようだ。
小さくピストンしても、もう苦痛で顔を歪めることもなくなった。
ただ、さすがに膣を犯される快感にまでは到達しないらしい。
まだセックスしても痛みと違和感しかないのだろう。
自慰やペッティングでも出来る範囲──つまり胸を始めとする身体のあちこちを愛撫され、舐められ、吸われることには官能を感じるようだから、
次第に性交にも馴れていくに違いない。

擦りむいた傷口を何かで擦られるような痛みが内臓から響いてくる。
痛いというか熱いというか、裂けるような激痛とともに染みるような疼痛まで混じってきた。
でも、ここで泣き喚いたり強く拒絶したりしたら、新一はどれだけ傷つくだろう。
そう思えばこそ、蘭は堪え忍んでいるのだ。
相手が新一でなければ、力尽くでも拒否しただろう。

そんな蘭の努力が実ったのか、少しずつ苦痛は薄まっていった。
新一の方も臆病なほどに気を遣って動いていたし、時折、乳房への愛撫や蘭の好きなキスも交えて緊張を解きほぐしていったのも大きかった。
そして何より、蘭の肉体自体が男を受け入れだしたことが効いている。
感度が良いのは愛撫やキスでわかっていたが、性格に反して身体の方は意外と早熟だったのかも知れない。
まだ膣への刺激は快感までいかないが、胸を揉まれたり、新一の腰がくっついてクリトリスを刺激したりすると、鋭い快感が走って苦痛を軽減する役割を果たしていた。
また、どのタイミングで力を抜き、呼吸をすれば痛みが和らぐのかも体得していった。
希有な肉体と言えるかも知れない。

蘭もそうだが、新一とて初体験だ。
女性器にペニスを入れただけでも射精しそうになっている。
おまけに蘭の膣の締まりが格別に良いものだから、新一は何分と保たなかったのだ。
にも関わらず、蘭の身体は「男に抱かれること」を着実に学習していたのである。
その媚肉は、苦痛を湛えつつも新一のペニスを懸命にくわえ、襞をひくつかせていた。

「ん、んあ……あ、はあ、はあ……うっ……ああ……」
「ま、まだ痛いか、蘭?」
「う、うん……でも、あっ……さ、さっきよりも、ううんっ、ず、随分マシになって、ああ……」

ふたりがそんな会話をしている間にも、蘭の膣は熱く潤って肉棒を包み込んでいる。
貫いてしばらくすると、膣内もペニスの圧力に馴染んできたのか、次第に膣圧が緩んできた。
セックスするに適した状態になっていったのだ。
もともと性感が強く、感じやすかったせいか、膣はまだ痛いが、乳房やクリトリスなど感じるところへの愛撫やキスを交えてやると、その苦痛も
幾分弱まるようだった。
膣奥まで刺し貫かれる痛みも、乳房を揉まれ、乳首を舐められ、肉芽を擦られる快感の方が強いらしい。
もう破瓜による出血よりも、内部から分泌される愛液の方が多くなってきているようだ。
こうなると新一の方の快感も増してくる。
盛んに強く収縮する蘭の膣圧に負けそうになりながらも、必死になって腰を使っていく。

「ら、蘭っ……」
「あ、新一ぃっ……くっ……あ、熱いっ……新一のが熱い……こ、こんな……ああっ」
「お、俺も気持ち良くて……くっ……」
「あたしも……ああっ、な、何だか気持ち良くなってきて……んんっ……あうっ、し、新一ので……あたしの中がいっぱいになってる……あ……ああ……」

蘭のとろけたような喘ぎを聞かされてしまうと、新一にも余裕がなくなってしまい、優しくゆっくりやろうという気よりも、本能のままに深く打ち
込んでやりたいという思いが強くなる。
いつしかピストンも速く、強くなっていく。

蘭は小さな悲鳴を上げたが、その刺激にもすぐに馴れ、また甘い声に変化していった。
もう新一の男根はほとんど根元まで挿入されており、蘭の胎内をかき回している。
膣襞もそれを受け入れて、潤った愛液をまぶしつつ新一のものにへばりつき、奥までずぶずぶと飲み込んでしまう。
膣を硬いペニスで擦られる感覚が、苦痛から快楽に変化しつつあった。

「あああ、新一……新一ぃ……んっ、ふあっ……あ、あ……いい……」

蘭は股間からはとめどなく蜜が滴らせながら、両手を伸ばして新一に縋り付くように抱きしめている。
新一も腕を蘭の背に回し、抱き寄せていた。
身体を密着させていると、突き上げて揺さぶられる乳房が顔に当たる。
新一がぷるんと揺れ動く乳房に吸い付き、乳首を口に含むと、蘭は唇を噛みしめて喘ぎを堪え、それでも我慢できずに「ああっ」と快感を訴えている。
胸を愛撫すると、その刺激で膣も活性化し、ペニスを奥へと引き込むように襞が蠢動していく。

蘭の裸身が小さく震え出す。
腰がぶるぶるとわなないていた。
膣がきゅううっと強く絞まってくる。蘭は仰け反って、切羽詰まったような声を上げた。

「ああっ、新一っ……だめっ……あ、もうっ……あたし、また……ああっ……!」
「くっ、蘭っ! お、俺も……俺も、もう……」

新一もいってしまう。
一緒に頂上に昇れる。
そう覚った蘭は、一気に性感が急上昇した。ふたりは指を絡め、ぎゅっと手を握り合った。
全身をぶるぶると震わせ、媚肉の内部は新一をさらに締めつける。
その感触に耐えきれず、新一は今にも射精してしまいそうだ。

「だ、だめだ蘭っ……俺もうっ!」
「はああっ、新一っ……! あああっ……ひっ……ふああああっっ!!」

蘭は背中をぐぐっと弓なりにして仰け反り、上に乗っている新一を持ち上げるような姿勢で絶頂した。
新一の手を掴んだ蘭の手が思い切り強く握ってくる。
膣の収縮は素晴らしく、童貞だった新一に堪えきれるものではない。
新一も呻いて射精した。

「ら、蘭っっ……!」
「あああっ……!」

新一は蘭の腰を掴むと、二度ほど深くまで突き上げ、そこで欲望を放った。
腰が震え、頭の天辺から足の先まで痺れるような快感だった。
腰が勝手に痙攣し、蘭の奥を突いていく。
精液は、コンドーム先端の小さな袋を突き破りそうな勢いで射精された。
射精の感触はなかったものの、蘭の胎内でも新一の精液の熱さはゴム越しに感じられた。

「ああ……、新一の……出てる……熱いわ……あ、いい……」
「蘭……」

新一は、まだ射精の発作を繰り返しながら、蘭を抱きしめていた。
汗と体液にまみれたふたつの身体は今やひとつとなり、完全に溶け合っていた。



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