その日、美和子がおかしかったのは捜査一課面々誰もが気づいていた。
いつもの凛とした様子がない。
きびきびした動きも、溌剌さもない。
覇気がなく、ぼんやりとしている。
かと思うと、深刻そうな表情で考え込んでもいた。

一課活性化の元である彼女がこうなると、同僚の猛者たちも戸惑うばかりだ。
デスクの椅子に頬杖を突いて深く座り込んでいる美和子に、高木が代表して話しかけてみた。
他の連中が、無言で「そうしろ」と言っているのである。
ふたりの付き合いは公然の事実だったから、いちばん近しい高木がその役目を負うのは当然だったろう。
気は重いが、高木とて恋人の様子は気になる。
勇を奮ってその肩に手を置いた。

「佐藤さん」
「……!!」

美和子は、まるで後ろからいきなり「わっ」と驚かせられた時のようにびくりと反応した。
悲鳴を上げなかったのが不思議なくらいの動揺振りだった。

「な、何よ、高木くん! 脅かさないで」
「い、いや、そんなつもりはなかったんですが……」

何しろ、そっと肩に手を置いて話しかけただけである。
美和子の方は、まだ心臓がバクバクしている。
出来るだけ平静さを保ちつつ、美和子は言った。

「……で、なに? 何かあったの?」
「それは僕のセリフですよ、佐藤さん」

高木が立ったまま、美和子の顔を覗き込んだ。
美和子には、彼の真剣な眼差しが辛く、つい顔を背けてしまう。

「今日の佐藤さん、おかしいですよ。いや、僕だけじゃなくて、みんなそう思ってます」
「……」
「何かあったんですか? 僕でよければ……」
「何でもないわ」

女刑事は無理に笑顔を作って椅子から立った。
体力は回復していた。
輪姦され、犯し抜かれた直後は、足腰がふらついて立てないほどだった。
連中は美和子をクルマでマンションまで送り届けたが、そこから家まで帰るまで20分もかかったほどだ。
それでも、入浴して汚れを落とし、何とか眠りに就くと疲労だけは取れた。
よほど休もうかとも思ったが、体力は戻ったし、母親に余計な心配をかけたくもなかったので、そのまま登庁したのである。

「でも、佐藤さん」
「平気よ」

美和子はそう言って、高木の前から離れて行った。

「少し疲れてるだけだから」

美和子はそのままふらふらとした足取りで一課の部屋を出て、当てもなく廊下を歩いて行った。
顔見知りが何人か声をかけたり挨拶をしてきたのだが、気づかないとでもいうような顔で通り過ぎていく。
その時、不意に携帯が鳴った。

「……!」

本当に心臓が口から飛び出るかと思った。
メールらしい。
慌てて近くの会議室に入り込んだ。
幸い、誰もいない。

ポケットから取り出して確認したものの、記憶にないアドレスである。
実際、登録してある知人友人ではないようだ。
DMとかの迷惑メールの類だろうか。
普段ならそんなメールは相手にしないのだが、何となく嫌な予感がしてすぐに開いてみた。

差出人は「シャムロック」とあった。
ハンドルだろうか、やはり知らない名前である。
続けて2通ほど、同じ人物からのメールが着信した。
いずれも添付ファイルがあった。
かなりサイズがある。
そのうちの一通の添付ファイルを見てみる。

「……!」

あまりのことに声も出なかった。
顔だけでなく、頭の中からも血の気が引いたのがわかった。
貧血状態となり、そのまま床に座り込んでしまう。

その画像ファイルには、あの時の美和子の痴態が写っていたのだった。
顔の前にペニスを突きつけられている。
その顔は精液にまみれていた。
呆然としながらも、2通目、3通目のメールも開いてみた。
同じように添付ファイルがあったが、そっちは画像ではなく動画ファイルだった。
震える指でそれを再生してみると、まぎれもなく美和子のレイプ動画だった。
ひとつは、その膣に深々とペニスを挿入されているもの。
もうひとつは、美和子が喘ぎながら自らの乳房を揉みたてているシーンだった。

3通のメールともに本文は同じだった。
「無用の捜査は控えること。最愛の男に映像を送付する用意あり」という短いものだった。

────────────────

蘭は教室の片隅で、ぼんやりとしていた。
先日の出来事を思い出しているのである。
新一と結ばれた三日後のことだ。

放課後に寄り道をしてしまって、帰宅が遅くなった。
その帰り道、いきなり誰かに襲われたらしいのである。
「らしい」というのは、蘭の記憶があまりはっきりしないからだ。

確かに名前を呼ばれ、首まで絞められた。
朦朧とする意識の中で「このまま死んでしまうのか」と思ったりもした。
そして、確かにいったん気を失ったようなのだ。
しかし、蘭が意識を取り戻したのは、何と自宅前だったのである。
あまりのことに驚いた蘭は、慌てて腕時計を確認すると8時20分になっていなかった。

昨日のあの場所から、あのまま早歩きで帰ったとすれば、多分8時ちょっと過ぎ、遅くても10分にはなっていないと思う。
だからインターバルとしては10分そこそこなのだ。
その間、何があったのかはわからない。
しかし常識的に考えて、10分やそこらで何が出来るのだろう。
最悪の場合、殺されたかも知れないが、こうして生きている。
身体にも異常はないと思う。
強姦されるという可能性もあったはずだが、その形跡はなかった。
多少、制服に乱れはあったが、これは首を絞められた自分が抵抗したからだろう。
脱がされたり、下ろされたりしたようなところはない。

そうなると目的がわからない。
いったい何のためにそんなことをしたのだろうか。
それとも、殺そうとしたのか乱暴しようとしたのかわからないが、途中で怖くなって、あるいは罪悪感がしてきて中止したということだろうか。
それにしても、わざわざ家まで運んでくれるとは思えなかった。
普通はそのまま放って置くだろう。
意味不明としか言いようがなかった。
そんなことを考えていると、園子がつかつかと近づいて蘭の腕を取り、隅っこに押し込んで顔を近づけてくる。
少し驚いた蘭が戸惑う。

「な、何よ、園子。どうしたの?」
「どうしたの、じゃないわよ」

園子は小声で、しかし強い口調で言った。

「あんた、嵯峨島から呼び出し受けてるわよ」
「え? あたし?」
「そうよ! あんたを呼んで来いって、あのバカ教師にあたしが頼まれたんだから」

教室の片隅で、園子と蘭が顔を寄せている。
授業は終わり、今は当番の生徒が教室を掃除している。
部活に行こうとする生徒や、帰宅しようとする生徒たちがごった返し、室内は騒々しい。
園子と蘭は、その邪魔にならないよう、窓際に身を寄せていた。

「なんでまた!? どうしてあんたが生徒指導室に……」
「園子、声が大きいっ」

蘭は慌てて園子の口を塞いだ。
その手のひらを剥ぎ取るようにして園子は蘭の耳元で早口に小さく叫ぶ。

「だって納得いかないでしょ! なんかしたのあんた」
「してないってば」
「でしょ? 入学以来、生徒指導なんかとは無縁だった蘭が何で……」

そこまで言って園子は口ごもった。
今度はやっと聞き取れるくらいの小声で囁く。

「気をつけなさいよ。何度も言ってるけど、あいつあんたに気があんのよ」
「いやよ、そんな……」
「そんなことわかってるわよ。でも、問題はあんたの気持ちじゃなくてあいつが何考えてるか、よ」
「そうだけど……、まさか嵯峨島先生、あたしのことが……す、好きとか、そういう……」

園子はトンと後ろの壁にお尻を落とした。
寄りかかった園子に、蘭の方が向き直る。

「ね、そうなの?」
「……そういう単純な話ならまだいいわよ。って、良くはないけどさ」

園子はいかにも嫌そうに言った。

「恋愛だの純愛だの、そんな綺麗なもんじゃないわ、きっと。蘭だって知ってるでしょ、あのスケベ中年教師の悪い噂は」
「まあ……、大体は」

曰く、校内の女生徒を視姦するかのような卑猥な目でじろじろ見ている。
曰く、実際に女生徒の身体に触ってくる。
曰く、実は女生徒の何人かに手を出している。
曰く、嵯峨島の部屋はいやらしい雑誌やビデオでいっぱいだ。
曰く、他校だが女子高生を買春している。
曰く、いや帝丹高校の女生徒にも手を出したのだ。

噂の大半は無責任且つ誹謗じみた戯れ言ではあろうが、そう疑われても仕方のない言動をしているのも事実なのだ。

「で、理由は何なのかしら。園子、聞いた?」
「よくわかんないけど……、ビデオの件って言われた」
「ビデオ?」

蘭がきょとんとした。

「何それ」
「知らないわよ。あ、あたしと貸し借りした映画のDVDを持ってきた時に見つかったとか?」

それなら可能性はある。
当然、学校には授業と無関係なものを持ち込んではいけないわけだが、そんな校則を完全に守っている生徒はほとんどいないだろう。
エロビデオならともかく、アニメや映画のソフトを持ち込んだとしても、別に大したことではない。
かえって友人との交流にもなるのだ。
それを視聴覚室などで上映したとかいうのなら話は別だが、単に貸し借りするために持ち込んだのであれば、例え見つかっても大目に見てくれるのが
普通である。
あまり度重なるようなことにならなければ、叱られておしまいか運が悪くても没収ってところである。

ただ、今回は相手が悪い。
生徒イジメが趣味と言われ、それが女生徒だったら余計にねちねちと責めてくる嵯峨島である。
しかも園子が見るところ、あの男は蘭に並々ならぬ興味を持っているのだ。
どんな些細なことでも見逃さず、因縁を付けてくることは考えられる。
しかし、蘭は首を振った。

「見つかったことなんかないよ……。嵯峨島先生だけじゃなくて、他の先生たちにも」
「ふうん」

釈然としない話だ。
園子は困ったような顔になった。

「でもなあ、いくら嵯峨島とはいえ一応は教師だしねえ。呼び出されて行かないわけにもいかないか」
「うん」
「まあ、いくらあの男でもこの学校の女生徒に、しかも校内でなんか滅多なことはしてこないだろうけど。でも、危ないと思ったら大声出して逃げる
のよ。あ、あたしも一緒に行ってあげようか」
「いい、いい」

蘭は笑って首を振った。

「だって、あたしには何も後ろ暗いとこなんかないんだもん。先生も、きっと何か勘違いしてるんだと思う」
「あんたは人が良いわよね」

園子は少し呆れている。
どうしてこの子は、これだけ可愛いのにそうしたことに無頓着なのだろう。
美人で可愛らしく、しかも性格も良いのだから、あらゆる意味で男の関心を引くに決まっている。
今は新一と付き合い出したからいいものの、そうでなければ男子生徒から引く手あまたなのだ。

なのに、新一しか目に入らないからなのか、そうしたことに関心がまるでないのである。
良いことでもあるだろうが、逆に言えば無防備なわけで、園子は何度もヒヤヒヤすることがあった。
もし園子が今回の蘭の立場なら、絶対に一緒についてきてもらって、自分の疑いを晴らすと思う。
無実なのだから大丈夫だと蘭は言うが、それが事実かどうかなど、当の嵯峨島にとってはどうでもいいことだろう。
要は蘭とふたりっきりになるチャンスが欲しいだけだ。
じろじろ見るだけくらいならいいが(それだってイヤではあるが)、痴漢行為くらいさりげなくしてこないとも限らない。
園子は確認するように言った。

「いい? もしおかしなことされたり、言われたりしたら、逃げるのよ。いいえ、あんたせっかく空手やってんだから、叩きのめしなさいよ」
「平気だったら。仮にも先生なんだから」

有段者である蘭が、教師を空手で叩きのめしでもしたら、そっちの方がおおごとである。
蘭は苦笑しつつも、心配する園子に感謝して生徒指導室に向かった。

「失礼します」

蘭の声が固い。
園子にはああ言ったものの、やはりここに来るのは気が進まない。
体育教官室とか生徒指導室というのは、生徒に対して圧倒的な負のオーラがある。

引き戸を開けて中に入ると、すでに嵯峨島がそこにいた。
折り畳みの会議用テーブルの向こうでパイプ椅子に腰掛けている。
だらしなく脚をがに股にして、パイプが折れそうなほどに背もたれに寄りかかっていた。
蘭は、なるべくその不快な下半身を見ないように近づいていった。

「来たな、時間通りだ。さすがに真面目な毛利だな」
「……」
「というより……、くく、あの件で呼び出されれば誰だってこうなるか」

笑い方が卑屈だ。
しかもその顔は、淫猥さを浮き立たせて蘭の肢体を凝視している。
制服を着ているのに、まるでその服地を視線が貫通して、直接に肌を見られているような感じがする。
黙って立っている蘭に嵯峨島が言う。

「まあ、座れ」
「……」

おとなしく嵯峨島の正面に座った蘭は、教師が切り出してくる前に自分から発言した。

「先生、今日はなんですか? ビデオって何のことですか」
「……」

嵯峨島は何も言わず、まだじろじろと蘭の顔や身体を見ている。
特に胸付近へ刺さるような視線を寄越してきた。
ブラウスと制服を押し返すようなバストの膨らみに寄せる好奇心を隠そうともしない。
ブラウスの襟元から覗く白い首筋も睨め付けるような目で見ている。
蘭は近くに座ることがだんだんと耐えられなくなり、部屋の隅で立って話そうかとも思ったが、そうなればなったで、今度はスカートから見える脚に淫らな視線を寄せるだけだろう。

「先生」
「……惚けてるのか?」
「え?」

嵯峨島は、両手を組んで手に顎を載せていたが、その顔を持ち上げた。
そしてまたじろじろと無遠慮に蘭の顔を見る。

「……ほう。本当に何のことかわからないって顔だな」
「だって本当にわかりませんから。あたし、DVDソフトなんか持ち込んでませんよ」

これはウソなのだが、見つかってはいないはずだ。
でも、もしかしたら見つかっていたのかも知れない。
嵯峨島はそれを確認した上で直接その場では注意せず、こうしてわざわざ呼び出したのかも知れない。
この男の性格を考えればその可能性は充分にあるだろう。

嵯峨島はもったいぶった挙げ句、そのDVDを取り出すと蘭に提示した。
真っ黒のケースで、表には女の子の写真がプリントされている。
蘭がそれを手に取る前に、嵯峨島がケースをひっくり返して裏面を見せた。
そこには、性行為している男女の絡みのスチール写真がモロに掲載されている。

これはアダルトビデオではないか。
蘭は顔を背け、慌てて突き返した。

「なっ、何ですか、これ! いやらしい!」
「いやらしいも何も、おまえが出てるビデオだろう」
「……え?」

蘭は恐る恐るパッケージを手に取ると、その顔がサッと赤く染まった。
確かに自分である。
自分の下着姿であった。
目にはモザイクが掛かっているが、どう見ても毛利蘭であると自分でも思う。
何しろ、その下着には見覚えもあったのだ。

一体どこで撮られたのだろうと、蘭はそのことを考えた。
自宅には見えないし、どこかの店の試着室のようだが、試着などどこでもしていたから特定は出来なかった。
細かいところを見るほど冷静でもいられない。
どこかで隠し撮りされたらしいというショックと、そんなものが出回っているというショックが、この聡明な少女を揺さぶっていた。

震える手でパッケージを裏返すと、さらに衝撃的な画像が出ていた。
蘭自身がヌードとなり、男と絡んでいるのだ。
蘭にはすぐわかった。
相手の男は新一に間違いない。
ということは、これは本物なのだ。
あのホテルで盗撮されたに違いなかった。

羞恥で真っ赤に染まっていた蘭の顔が、今度は一転血の気が引いて青ざめていた。
嵯峨島はにやにやして言った。

「どうだ毛利。これでもまだ惚けるか」
「……」
「それにしても、おまえが裏ビデオに出てるなんてな。先生や同級生たちが知ったら仰天するぞ」
「で、でも……!」

蘭は何とか口を開けた。
チアノーゼ状態になった唇が小さく震えている。

「あ、あたしが出たくて出たわけじゃありません! これは盗撮されたんです!」
「盗撮?」

嵯峨島はDVDを取り戻すと、それも弄びながら言った。

「とてもそうは思えなかったがな。ま、演出が入ってるようにも見えなかったが、隠しカメラの撮影にも見えなかったぞ」
「……」

蘭には、この教師が何を言っているのかさっぱりわからなかった。
神仏に誓って、蘭はこんなものに出てはいない。
こっそり隠し撮りされただけなのだ。
完全に被害者であり、教師から詰問されるようなことはしていない。
嵯峨島はゆっくりした口調で続ける。

「まあ、これが盗撮されたものかどうかはわからんよ。俺にはそうは見えなかったというだけで、本当に盗み撮りされただけなのかも知れんしな」
「だ、だから最初っからあたしは……」
「でもな毛利」

そう言って嫌われ者の中年教師は、少女の弁明を止めた。

「ここに映ってるのは自分だと認めるんだろ?」
「あ……、で、でも……」
「何をしてるのか、という自覚もあるんだろうな」
「……」

セックス。
不純異性交遊。
校則違反。

そう言った言葉が蘭の頭の中を駆け巡る。
朝戸先生の言う通り、行為自体は悪いことではないはずだ。
ただ、まだ未成年ということで規制されているだけなのだ。
そうなったとしても、愛し合った結果であり、規則違反ということに関しては反省するものの、行為をしたことについては悪びれる必要はないと思う。

しかしこのことを学校側に知られてしまったのはまずかった。
しかも、相手は選りに選って嵯峨島である。
例えば朝戸先生に知られたのであれば、叱られはするだろうが、蘭は落ち込んだりはしないだろう。
むしろ相談相手として頼っていたに違いない。
その対極にいる嵯峨島に知られたのは最悪だった。
虚ろになった蘭の耳に嵯峨島の声が響く。

「で、相手は誰だ?」
「……!」

びくりとした蘭を睨め付けながら、嵯峨島は意地悪そうに言った。

「俺の見たところ……、工藤だな。工藤新一。違うか?」
「ち、違う! 違います、新一じゃありませんっ!」

自分のことはもう仕方がなかった。
しかし新一にまで害が及ぶのは何としても避けたい。
幸い、同じようにモザイクが入っている。
バレないかも知れない。

「そうかな? 俺には工藤に見えるし、なによりおまえらつき合ってるらしいじゃないか」
「……」
「そのパッケージの写真はモザイク入りだがな、中身は素顔なんだよ」
「!!」
「何なら、俺と一緒に今それを見てみるか? そうすれば頑固な毛利でも認め……」
「い、いやっ! そんなの見たくありません!」
「なら認めろ。相手は工藤新一だな?」
「ああ……」

直接指導することはないにしろ、同じ学校の生徒である。
教師の嵯峨島に見分けられないはずもなかった。
素顔なら誤魔化しようもないし、「他人のそら似」で乗り切れるとは思えなかった。

だが、実は嵯峨島はここで蘭を引っかけている。
実際は、蘭は素顔を晒していたが、相手役の男はパッケージと同じくモザイク目線入りだったのだ。
嵯峨島の目には新一に見えたが、確信はなかった。
それでも、蘭がこのビデオを嵯峨島と一緒に検証するとは思えなかったので鎌を掛けたのである。
案の定、蘭は引っかかったようだ。

「認めるんだな? 相手は工藤新一なんだろ?」
「……」
「言えないというなら、俺が直接工藤に確認してもいいんだぞ」
「だっ、だめ! だめです!」
「なら言うんだ。工藤新一だな?」
「そう……です……」

もう、そう申告するしかなかった。
蘭はがっくりと項垂れ、小さな声で認めた。
今にも泣きそうな声だった。

「それでいい」

嵯峨島は満足げに頷いた。
そして手にしたDVDを弄びながら続ける。

「さて、これだがね、俺はどうすればいいかな?」
「……」
「本来なら学校側に提出するのが筋だ。何しろ市販されてるようなアダルトビデオじゃない。裏ものだ。つまり違法品なわけだ」
「……」
「モノがモノだからな。警察沙汰になるかも知れん」
「そんな……」
「おまえの父親は警視庁OBの高名な探偵だし、別居してる母親も有名な弁護士だったな。その娘がこんなものに出ているとなったら、さぞかし両親
たちも困るだろうよ」
「ああ……」

蘭は頭を抱えて突っ伏した。
そうだった。
ことは新一だけではない。
小五郎や英理にも及ぶのだ。

本来、盗撮であれば一方的に被害者なのであって、蘭に罪はないのだが(無論、性行為自体は校則違反ではあるのだが)、もはやそんなことを主張
する余裕すらなかった。
そもそも、今この男が蘭に対してやっているのは脅迫そのものではないか。
教師が生徒を恫喝、恐喝しているのである。
蘭はその理不尽な要求など突っぱねて、逆に嵯峨島を訴えることだって出来るのだ。

しかし、そのためには自分と新一の関係、そしてそのビデオに映っているのが自分たちであることも認めねばならない。
顔を上げた蘭は、涙に濡れた美しい瞳で嵯峨島を見て言った。

「お、お願いです、先生……」
「……」
「それを……返してください。学校にも内緒に……」
「……」
「先生……」

黙って腕組みしている嵯峨島に、蘭は小刻みに震えながら哀願していた。
その様子は、美少女マニアである嵯峨島の琴線を激しく揺れ動かしている。

「……いいだろう」
「え……」

予想外の言葉に蘭は驚いた。
まさかあっさりと許してくれるとは思いもしなかったのだ。
そして、自分や園子はこの教師について誤解していたのではないかとすら思った。
印象は悪いが、決して生徒を虐めたりするのが目的ではなく、こういう事態になれば内々で処理してくれるような人だったのかも知れない。
そんな蘭の甘い願望は簡単に打ち砕かれた。

「ただし条件がある」
「じょ、条件……て?」

嵯峨島はそこで立ち上がって蘭の側に歩み寄り、その肩に手を置いた。
不安そうに教師を見上げる蘭に、嵯峨島は予想通りの悪辣なことを要求した。

「一晩、俺とつき合ってもらおうか」
「……!!」

それが何を意味しているのかくらい、蘭にだってわかる。
信じられないという表情で蘭はおののいた。
仮にも嵯峨島は教師である。
蘭はその学校の生徒なのだ。
教え子に手を掛けようというのだろうか。

園子が言っていた嵯峨島に関する噂を思い出していた。
生徒に悪さをしている、
女子高生を買春している。
根も葉もない中傷だと蘭は思っていた。
そう疑われるような言動をとっている嵯峨島にも問題はあるが、確証もないのに誹謗めいたことをするのは好ましくないと思っていたのだ。
それがこうだ。
こうなると、噂に近い事実はあったのだと思わざるを得なかった。
蘭は激しく身体を揺すって嵯峨島の手をはね除ける。

「そんな……! いやです!」
「そんなこと言える立場なのか、毛利。俺がひとこと学校に漏らしたらどうなると思う?」
「ああ……」
「おまえだけじゃないぞ、両親にだって迷惑がかかる。いいや、恋人の工藤新一だってタダじゃ済まんぞ。きっと退学……」
「やめて!!」

蘭は両手で耳を塞ぎ、何度も頭を振った。
長い髪が宙を舞い、若い女の香しい髪の香りが辺りに漂う。
手で顔を覆って嗚咽を漏らしている蘭の肩に、また嵯峨島の不快な分厚い手のひらが置かれた。

「な? わかるだろう? おまえは自分や両親の運命だけでなく、工藤の将来も握ってるんだよ」
「……」
「一日だけでいいんだ。そうすれば、このDVDはくれてやる」
「……」

まだ俯いたまま返事の出来ない蘭に、嵯峨島はダメを押すように言った。

「無理にとは言わん。おまえには、俺の行為を「恐喝」だと言って学校や警察に訴える権利はあるんだ。それを行使するなら俺は止めん」
「……」
「だが、穏便に済ませたいならどうすればいいのか。賢い毛利のことだ、それくらいはわかるだろう」

俯いたまま肩を振るわせていた蘭は、消え入りそうな声でようやく言った。

「わかり……ました」

その言葉を聞くや、嵯峨島は弾んだ声で言った。

「そうか! わかってくれたのか」
「でも……、ほ、本当に……」
「もちろんだ、約束は守るぞ。俺だって教師だからな」

白々しいことをしゃあしゃあと言うと嵯峨島を見て、蘭はもう一度念を押した。

「本当に……本当に返してくれるんですね?」
「約束だ」
「一回だけ……、それっきりにしてくれますか?」
「わかっている。くどくど言うな」

嵯峨島は鬱陶しそうにそう言うと、蘭に指定場所と時刻を記入したメモ書きを渡して部屋を後にした。

────────────────

蘭は未だに自分がここにいることが信じられなかった。
そして、嵯峨島が一緒に居ることも信じられない。
いや、信じたくなかった。

少女には訳がわからなかった。
この教師が持っていたあのいやらしいDVDは何なのだ。
なぜあんなもののパッケージに自分が写っているのだ。
しかもその中身は自分と新一のセックスシーンらしい。
あの時見た記憶では、初めて抱かれた時のものらしかった。
まさか新一がそんなビデオを撮影していたはずがない。
そんなものを撮影する必要もないし、またそんな余裕もなかったと思う。
初めてだったのは新一も同じだったのだ。
緊張していた蘭から見ても、新一は堅くなっていたくらいだ。

だとすれば隠し撮りでもされたくらいしか思い当たらない。
中身を確認すればそれがわかるかも知れない。
そのためにもあのDVDを取り返す必要があった。
しかし、その代償として、蘭の身体をこの変態教師に差し出さねばならないのだ。
そんな卑劣な男に身を任せるなど嫌で嫌でたまらないのだが、交換条件がそれなのである。
しかも嵯峨島は、蘭は拒否すれば新一にバラすような示唆までしている。
教育者にあるまじき卑劣漢だが、蘭には他に道がなかった。

こんなこと、新一はもちろん両親にも相談出来るはずがない。
父は元刑事の探偵だし、母は現役弁護士である。
事件犯罪のプロではあるが、それだけにこのことが表沙汰になれば致命的でもある。
蘭は被害者なのだが、そんなことは関係なく、悪影響になるのだ。
そして蘭はホテルに呼び出され、その部屋に連れ込まれたのだった。

ドアが開けられると、蘭は弾けるように中へ飛び込んだ。
ホテルに入り、エレベータで上昇し、廊下を歩いて部屋に辿り着くまで、嵯峨島は蘭にぴったりと寄り添っていたのである。
蘭の背中に嵯峨島の出っ張った腹が当たる。
息が髪に掛かる。
寒気がするほどにおぞましかったが、逃げるわけにはいかなかった。
蘭は、嵯峨島から離れるように部屋へ飛び込んだのだった。
中年教師は、にやつきながらそんな少女を眺め、後ろ手でドアを閉めた。

「なんだ、そんなに俺に抱かれたかったのか、毛利」
「そ、そんなんじゃありません!」

あり得ない疑いを掛けられ、蘭は顔を真っ赤にして怒鳴った。
嵯峨島に犯されるかも知れないという恐怖でまだ脚が震えていたが、蘭はつかつかと本人に歩み寄っていった。
さすがに空手家の迫力があったようで、嵯峨島はやや身を引いた。

「な、なんだ」

おののいた風の男を見て、蘭はやや落ち着きを取り戻した。
もしかしたら、このまま蘭が押し切ってしまえるかも知れない。
少女は強気の表情を作って悪徳教師に立ち向かった。

「返してください」
「……」
「早く! 何のためにここまで来たんですか!」
「わ、わかったよ」

嵯峨島はタジタジと後ずさりしつつ、懐からDVDを取り出した。
蘭は飛びつくようにしてそれを奪い取る。
急いでパッケージを開け、中からディスクを取りだした。

DVD表面には一言だけタイトルの「Ran〜vol.1」と入っている。
裏を見てみたが、DVD−Rなどではなく、物理加工で書き込んだデータらしい。
素人の仕業とは思えない。
嵯峨島がいるここで中身を確認する気にはとてもなれなかった。
パッケージを改めて見てみると、確かに自分らしい。
裏面には、全裸になった蘭が男と絡んでいる生々しいフォトが何枚も写っていた。
目線が入っているが、相手は間違いなく新一のようだ。
蘭がそれに見入っていると、ようやく自分を取り戻した嵯峨島が尊大そうに言った。

「これでわかったろう。紛れもなくおまえのビデオだよ」
「……」
「まあ、生徒指導教師としては、こんなものに出ているおまえを叱責し、学校へ報告する義務があるが」
「……」

そこで教師はにやりとした。

「俺も話はわかるつもりだ。前途ある女生徒にそんなことはしない。これがバレたら、毛利本人だけでなく、おまえの両親や工藤にも影響が及ぶからな」
「……」
「だから俺はおまえにDVDを渡してやった。約束通りな。次はおまえが約束を守る番だ」
「いや……!」

蘭は激しく首を振って、血を吐くように叫んだ。

「先生、こんなの……こんなのおかしいわ! いけないことですよ!」
「交換条件だったはずだがな」
「だ、だってそんなの……そんなの脅迫に等しいじゃないですか! あ、あたしが断れないと知っていて……」
「無理にとは言わんよ。なら、そのビデオ返して貰おうか」
「だめ!!」

蘭は慌ててDVDを持った手を引っ込めた。

「こ、こんなの絶対に返せない!」
「そうだろう? だがな、俺だってせっかくの証拠をわざわざ返してやったんだ。その代償でおまえは俺の自由になる。そういう条件だったはずだ」
「でも……」
「それとも返してくれるのか?」
「……」

そんなことが出来るはずがなかった。
いやらしい教師から奪い返すというだけでなく、どうしてこんなものが撮影されたのか、なぜ出回っているのかを調べなければならない。
その上で対策を立てなければ、いずれまたこうしたことが繰り返されることになるのだ。
困った様子の蘭を見ながら、嵯峨島は居丈高に言った。

「わかるな、毛利。もう他に手段はないんだ」
「ああ……」

蘭は哀しそうにため息をついた。
よくよく考えれば、嵯峨島の行為は蘭の言う通り、脅迫、恐喝である。
従う必要はないのだ。
こうしてビデオを取り返したのだから、蘭はこのまま逃げ去ればいいのである。
最悪、嵯峨島を叩きのめしてしまってもいいくらいだ。
もし、これが親友の園子であれば、躊躇なくそうしたことだろう。
嵯峨島には巨大な負い目があるのだから、そのことで訴え出ることも出来ないのだから。

しかし、ここが蘭の生真面目さと言うべきで、向こうは約束通りブツを渡してくれたのだから、自分も約束を守らねばならないと思い込んでいる。
今日だけ、この時間だけ、悪夢のような時を過ごせばいいのだ。
そうすれば、少なくとも嵯峨島の魔手からは逃れられる。
命取りになりかねないビデオを入手した代償なのだ。
致し方なかった。

がっくりと肩を落とした蘭に、嵯峨島は忍び足で近寄った。
不意打ちで殴り飛ばされるのではないかと恐れていたのだ。
実際、彼はそうされても文句を言えないほどに酷いことをしている。
その小心な男も、肩に手を置かれても何もしてこなかった蘭を見て、ようやく安堵の息をついた。
諦観したと判断したのだ。

嵯峨島はドスンと音をさせてベッドに腰掛け、そして蘭に服を脱ぐよう命じた。
少女は縋るような目で教師を見つめていたが、どうにもならぬと諦めたのか、俯いたまま真紅のネクタイを外していく。
ブレザーを脱いだところで手が止まった。
そのままブラウスを脱いで肩を見せるのも、スカートを脱いで素足を見せるのもイヤだった。
どっちにしても素肌を晒し、下着を見せることになるのだ。
蘭がちらりと嵯峨島を見ると、案の定、卑猥な中年教師はじっと蘭の着替えを観察している。
たまらず蘭が小声で訴えた。

「み、見ないで……ください……」
「そんなこと言える立場か、毛利。俺のことなんか気にしないでさっさと脱げ。先へ進まないと、どんどん帰るのが遅くなるぞ。別に俺はここに
泊まったっていいんだがな」
「い、いやです、そんなの! 家に帰してください!」
「なら早くしろよ」
「……」

仕方なく蘭はブラウスから脱いだ。
袖から腕を抜くと、ひんやりとした空気が肩口に当たって鳥肌が立つ。
寒気を感じたのは外気のせいではなく、嵯峨島の視線のせいだったかも知れない。
蘭は思い切ってスカートも下ろしてしまった。
白く艶やかな若い肌に、いやらしい男の視線が突き刺さる。
キャミソールの薄い生地では、あの男の目を躱しきれないように思えた。
そのキャミも脱いでしまうと、あとはもうブラとショーツのみである。
ショーツの裾に指を入れたものの、さすがにそれ以上は脱げなかった。
どうしようと迷っていると、意外にも嵯峨島はこう言った。

「ようし、毛利。そこまででいい」
「え……」

もしかしたら、これで許してくれるのか、これから先はないのだろうか。
そう思った蘭だったが、甘い考えは一瞬で消え去った。
嵯峨島はにやりとしてこう言ったのだ。

「そこから先は俺が脱がした方が愉しいのでな」
「あっ……」

嵯峨島は蘭の右手首を掴むと、引き摺るように近寄せた。
大きな顔が近づいてきて、蘭は小さく悲鳴を上げて顔を背けた。
男の不快な手が、蘭の背を抱き寄せ、腰に回る。蘭はその男を突き飛ばすことも出来ず、ただひたすらに耐えていた。
両手はぎゅっと握られ、腕が小刻みに痙攣している。
イヤでたまらないのだが逃げることが許されない。
怖いということではなく、度を超した不快さで全身が拒絶反応を起こしているのだ。

「いや……!」

汚い唇が自分の口に近づいてくるのを見て、蘭は思わずそう叫び、顔を背けた。
嵯峨島は強引のその唇を奪おうとはしなかったが、代わりに少女の顔を舐め回した。
蘭の頬や額、その髪の生え際、耳元、そしてまぶたにまで唇と舌が這い回った。
新一とのキスは経験したものの、彼はこんな脂っこいことはしてこなかった。

あまりのおぞましさに、つい口から悲鳴が漏れる。
両手の拳が、教師の胸板や肩をめちゃめちゃに叩いた。
そこで、やっと嵯峨島の口が蘭の顔から離れた。
少女は力なくため息をついたが、顔中にあの男の匂いが染みついたようで吐き気すら催した。
嵯峨島の手が離れると、蘭は腰が砕けたかのようにへなへなと床に座り込んでしまった。
嘔吐き上げる口を必死に手で押さえ込んでいる。

「毛利」
「……」

呼ばれて、蘭はふらふらと立とうとしたものの、嵯峨島は止めた。

「立たなくていい。そのまま膝立ちになるんだ」
「……」
「ここまでずり寄ってこい」
「……」

目の前にはベッドの縁に腰掛けて、大きく股を開いた嵯峨島がいた。
いつのまにか上半身は裸であり、下はトランクスだけだった。
蘭は思わず目を背けたが、嵯峨島はトランクスの前開きから男根を引っ張り出している。

「毛利、よく見ろ」
「い、いやっ……!!」

その言葉に、僅かに目をそっちに向けたことを蘭は後悔した。
見たくもないものがそこにあったからだ。
愛する新一のものでさえ、まともに見るのが恥ずかしいくらいだ。
嵯峨島は少し苛ついたように、蘭の頭を掴んで引き寄せた。

「手間を掛けさせるな、見るだけで脅えていてどうするんだ」
「だ、だって……」
「だってもヘチマもあるか。おまえはこれから、こいつをフェラするんだからな」
「な……!」
「なんだ? 知らんとでも言うのか? フェラチオだよ、フェ・ラ・チ・オ。知ってるだろ?」
「……」

知ってはいる。
知識としてはある。
そして「強引な方の新一」に無理矢理やらされ、叱咤されながら、少しずつテクニックも覚えさせられた。
でも、蘭はもともとそんなことはあまりしたくはなかったし、相手が新一だからこそ我慢していたのだ。
なのに、嫌いでたまらない嵯峨島相手にそんなことが出来ようはずもない。
しかし、拒否は不可能だった。

「何してる。ほら」

嵯峨島は蘭を促して、股間をさらに開いた。
堅く閉じていた目をうっすらと開ける。

「ひ……!」

蘭の表情が青ざめる。
どう見てもグロテスクで醜悪な肉塊だ。
美しい少女を前にして、これからの快楽に期待しているのか、興奮しているのか、ビクビクと不気味に脈動している。
それほど長くはなかったが、その代わり野太く、とても口の中に収まるとは思えなかった。
人体の一部であるはずなのに肌色などではなく、赤黒く荒んだ色をしている。
この男の薄汚い経験や感性そのものの色に見えた。
それが男の性器だと思うと余計にそう感じる。
新一だからこそ我慢も出来たし、その気にもなったが、他の男のものを口にするなど想像も付かなかった。
そこに悪魔のような男の声が掛かる。

「やらないのか?」
「……いいえ」

蘭はまた目を強くつむって、おずおずと膝でずり進んで行く。
雰囲気で、それが目の前にあることがわかった。
饐えた不潔な匂いがむっとする。
それだけで頭がくらくらしてきた。
恐る恐る目を開け、予想通りのものがそこにあるのを見て一瞬躊躇したものの、思い切ったように手を伸ばした。

「……!」

指が少し触れただけだが、びっくりするほど熱かった。
どうして男のものは皆こうなのだろう。
新一のものもそうだった。
ちょんと触っただけなのに、ペニスはびくりと脈打ち、ぐぐっとさらに反り返ったように見える。
いったいこの男は何歳なのだろうか。
いかにも女をたくさん食ったというふてぶてしいペニスだが、それでいて硬そうに勃起している。
こうしたものは年相応に退化しないのだろうか。
そんなことを考えながら、蘭は指でそれを支え、そっと舌を伸ばした。
美しい貌が苦悶で歪んでいる。
まるで汚いものに触れるかのような扱いだが、嵯峨島の方は気にした様子もなく好きなようにさせているようだ。

「んっ……!」

舌先がペニスにちょんと触れただけで、蘭は顔を顰めた。
ぴりっと痺れるような刺激がある。
苦いような酸っぱいような不快な味だった。
といって、やめるわけにもいかず、我慢してそのまま行為を続行する。
まるで猫のように小さく舌を伸ばし、いやいや肉棒を舐めていたが、それでもぴちゃぴちゃといやらしい音をさせ、男に性的な刺激を与えている。
嵯峨島が言った。

「それだけか? ちゃんとやれよ、時間ばかりかかるぞ」
「……」
「仕方ない、指導してやるか。もう少し口を大きく開けるんだ。思い切って頬張ってみろ」
「……」

こんな汚いものを口中に収めることなど身の毛がよだつし、そもそも入りそうにない。
それでも、言われた通りに大きく唇を開き、男根を口に入れた。
いつも「新一」にやってあげていることだと思えば何ともない。
そう思うようにした。

「んん……」

思った通り太すぎる。
唇の端が切れそうだ。
なるべく触れたくないから、出来るだけ大きく唇を開けたのだが、それでも肉棒の周囲全体に唇が被さる感じになってしまう。
不快に熱く、そしてべたついているのが気色悪かった。
吐きそうになるのを懸命に堪えつつ、蘭は何とか咥内に収めた。
それでも教師はまだ満足しないようで、さらに命じた。

「もっとだよ。喉の奥にまで入れる感じでやるんだ。きちんと舌でしゃぶるんだぞ」

それが女生徒に教師が言う言葉かと思いながら、蘭は従った。

「んんん……ん、んく……んふう……ちゅっ……んじゅっ……むうう……」
「ん、よし……、まあ、そんな感じだな。おお、そこは気持ち良いぞ」
「っ……ん、ぷあっ!」
「おっと、何で口を離すんだ。そのまま続けろ」
「で、でも苦しくて……んむ!」

太いものを無理に咥えさせられ、息継ぎのために蘭がペニスを吐き出そうとすると、すぐさま嵯峨島が叱咤して、その頭を押さえ込む。
やむなくまた男根を口にし、懸命に唇と舌で愛撫を再開した。
蘭が新一だと思い込んでいる阿武らによって調教されてはいるものの、まだまだ経験不足であり、その舌使いはぎこちなく拙いものだった。
これまで幾人もの女を弄んできた嵯峨島にとって、蘭程度の技巧ではとても満足できるものではない。
それでも、校内でも評判の美少女、しかも空手をやる気の強い蘭にそこまでさせているというだけで、彼の獣性は充分に満たされている。
それに、あのビデオではまだ辿々しいばかりのセックスしか見せていなかったのに、蘭は唇で肉竿をしごき、舌先で鈴口をこそぎ、カリを擦るなど、
拙いながら一応ポイントは抑えた口唇愛撫はしているのだ。
あれからも、それなりにセックスを重ねているということなのだろう。

「ふふん、テクニックはまあまあってところだな。あれ以来、工藤のやつに何度も抱かれたのか?」
「……!」

蘭の動きがぴたりと止まる。
嵯峨島は、震える少女の肩をいやらしく撫でながら言った。

「図星か。まったく、とんだ優等生だったわけだな、毛利は。学校ではキスすらしたこともないような顔をしてたくせに、実際は男浸りだったとはな」
「んんんっ……!」

「違う」と言いたいのか、蘭は咥えたまま何度も顔を振りたくった。
そのせいで、咥内はペニスにかき回され、頬の裏が亀頭の先で削られる。
それが良かったのか、嵯峨島も快楽に呻いて蘭の顔を両手で挟み込んで踏ん張っている。
フェラというよりイラマチオに近く、蘭は嵯峨島のものを舐めながらも、苦しげに顔を歪め、鼻から息を漏らした。

「んっ、んんん〜〜っ……、ん、んうっ……んくう……ん、んふ……じゅっ……むむむ……んむ……むううっ……」

もうすっかり諦めたのか、蘭に普段の気丈さはなく、おとなしく嵯峨島の言うがままになっている。
悪徳教師の方はそんな蘭を見て図に乗ったのか、ますます増長していく。

「毛利、もっと舌を使うんだよ。舌先を尖らせたり、全体を使ってべろりとやったり……、工藤相手に散々やったんだろうが」
「っ……!」

悔しかったが、蘭は指示通りに舌を使って嵯峨島の分身をしゃぶっている。
もう、ここまできたら、嫌なことはさっさと片付けて早く終わりにしたいと思っているのだ。

「ん、ん、んん……ん、ちゅっ……んんう、んふっ……んむふっ……んんん……」

一心不乱となり、必死に顔を前後させて激しく口をストロークさせている。
頭を上下に揺らし、ペニスを口にくわえたまま顔を横にも振っていた。
そうすることで頬裏の粘膜で亀頭を愛撫しようというのだ。
そんな姿に興奮してきたのか、嵯峨島も息を荒くさせて長い黒髪を掴むと、蘭の顔を腰に押しつけ、肉棒を喉の奥にまでぶち込んだ。

「んぐっ!? ぐうううっっ……!」

驚いたのか、蘭の顔が苦悶から驚愕の表情に変わった。
喉奥まで男根に占領され、蘭は吐き気と苦しさで目尻に涙を浮かべながらもそれに耐えている。
男の陰毛が鼻先や頬をくすぐり、むせ返るような饐えた臭気が直接鼻腔に入り込んできた。
しかし、その不快ささえ、ややもするとマゾヒスティックな悦びを呼び起こしかねなかった。
蘭はそれを意識すると、ゾクリとした痺れが背筋を走るのを感じた。

「ぐっ……ぐっ……ぐううっ……んぐううっ……んむぐぐっ……!」

嵯峨島が遠慮なく硬くなったもので喉の奥までズンズンと突いてきても、それを懸命に受け止めていた。
それでもやはりつらいのか、舌をペニスに絡めて、何とか宥めようとしているのが哀れだった。

そんな仕草でさえ、蘭の方から必死になってペニスを舐めしゃぶり、唾液をまぶしているかのように見えてしまう。
美少女の奉仕を前に、嵯峨島も腰の後ろあたりが熱くなってくる。
射精欲がむくむくと盛り上がってきた。
嵯峨島としてはフェラで抜くつもりはなかったのだが、もう抑えが効きそうにない。
それに、毛利蘭という類い希な美少女に咥内射精するという背徳的行為にも、限りない魅力を感じてきた。
この少女相手であれば、二度や三度は射精できそうな気もする。

蘭は美貌を歪め、乱暴なイラマチオに耐えつつ、自分からも唇と舌を総動員させて死ぬ気になって愛撫を続けていた。

「んむっ……ぐぐううっ……んっ、ぐおっ……じゅっ、じゅぶっ……ん、んむっ」

嵯峨島は蘭の食道まで犯す勢いで腰を使っていく。
蘭は男の腰を押さえ、何とか挿入を浅くさせようとするのだが、頭を後ろから押し込まれてどうにもならなかった。
喉の奥にまで亀頭が届き、カリが舌の付け根や口蓋垂まで擦っている。
何度も嘔吐き上げるのを堪えながら、今、自分の喉にはくっきりと嵯峨島のペニスが浮き出ているのではないかとすら蘭は思った。

「んっ……おっ……」

今度は嵯峨島が呻き出した。
込み上げてくる射精欲も限界に近かった。
熱く重くなってくる腰を踏ん張って支えつつ、蘭の喉を犯していく。

蘭にも嵯峨島が限界なのはわかった。
阿武のものをくわえ込んでいて憶えたのだ。
ペニスがびくびくと震えだし、亀頭を中心にしてまた一回りぐぐっと大きくなったような気がする。
蘭は、口の中に出される、口まで穢されるという汚辱感と屈辱に、倒錯した官能を感じ取っていた。

(ああ……、せ、先生のが……も、もう出るんだわ……、ああ、どうしよう、く、口になんか出されたくないのにっ……!)

それでも蘭はペニスを口から出さなかった。
嵯峨島が頭を押さえていたからなのだが、今の蘭であれば、それがなくとも男根を口から離さなかったかも知れない。
嵯峨島のピストンが早くなる。

「くおっ、毛利! このまま出すからな! いいな!」
「ぐううっ」(いやっ)
「今……、くっ、今、出してやる! いいか、飲むんだぞ、毛利っ!」
「ぐうううっ!」(いやああっ!)
「で、出る!」
「ぐうう!?」

喉の奥──というより、食道へ勢いよく精液が噴き出してきた。
その熱さと濃さ、量の多さに、蘭は目を剥いて呻いた。

「ぐっ、ぐううっ……んっ……んっ、んく……んくっ……ごくっ……んんくっ」

蘭は言われた通り、嵯峨島の精液を飲み下していた。
これも阿武に仕込まれたことだった。
授業で飲むものではないと教わっていたが、度重なる阿武とのセックスで、すっかりこうされることに身体が慣らされていた。
イヤなのはイヤなのだが、肉体の方はさほど抵抗なく男の精液を受け入れていた。
蘭はむせ返るような異臭と粘液の感触を堪えながら、何度も喉を動かして嚥下していたが、射精される量が多すぎて、あっという間に唇の端から溢れ出してきた。
もう呼吸も続かず、蘭は吐き出すようにペニスを口から離した。

「げっ……げほげほっ……んっ、んくっ……け、けほっ……く、苦しい……けほけほけほっ……」
「なんだなんだ、もったいない。せっかくの精子をこんなに零しやがって」
「ひ、ひどいです、先生……、こんな……こんなことするなんて……」

蘭は口を押さえて咳き込んでいたが、まだ咥内の精液が指の隙間から溢れ出している。
喉の奥に絡んだ濃い粘液は、必死になって嚥下してもなかなか胃の腑に落ちていかず、蘭を苦しめている。
阿武は一滴も残さず飲めといつも言っていたが、こんなに出されてはそんなことが出来るとは思えなかった。

嵯峨島は、そんな蘭を見ながら自分のペニスをしごいていた。
蘭が咥内射精され、その精液を飲み込み、苦悶の表情を浮かべながら苦しんでいる。
その姿を見ているだけで、この中年教師の性器はすぐにまた使用可能の状態になっていくのだった。
弱々しげに横座りとなり、俯いたままでまだ咳き込んでいる蘭を、嵯峨島は容赦なくベッドに引き上げた。

「あっ……!」

まだ口の周辺を精液で汚したままの蘭が、いよいよ犯されると脅えている様子は嵯峨島の鬼畜性を一層に高ぶらせていく。
襲いかかる嵯峨島を押しのけようとする腕をあっさりとつかみ取り、そのまま押し倒した。
蘭が叫ぶ。

「先生、だめ!」
「なんだ、今さら。もう覚悟したんだろう」
「でも……、ああ、だめです、こんなの……先生、考え直して下さいっ!」
「もう遅いさ。おまえだってさっきまで俺のチンポを口で……」
「い、いや! 言わないで! あ、だめっ!」

嵯峨島の重たい身体がのしかかってきた。
蘭は嵯峨島の腕や胸を押し返そうとしているが、ほとんど効果はなかった。

「ひっ……!」

嵯峨島の大きな顔が近づいてくると、蘭は反射的に顔を背けた。
女子高生の若い性を貪ろうとする中年の脂ぎった顔など見たくなかった。
少女が男の口から逃れようと首を捻ると、その首筋に唇と舌が吸い付いてきた。
蘭は悲鳴を上げて嵯峨島の背中を叩くが、教師はしがみつくように蘭を抱きしめ、その肌を味わっている。
白い首筋や浮き出た鎖骨、ブラジャーから零れそうになっている胸肉やその谷間を舐められ、蘭の背筋に悪寒が走った。

「ひっ、いやっ! やめて!」
「うるさい。そら、乳を見せてみろ」
「いやあ!」

ぽてぽてと分厚い手がブラを捲り上げると、制服の上からは想像もつかないような豊満な乳房がぽろんと零れ出てきた。
嫌がる蘭が暴れると、それだけ乳房が扇情的にぶるんと揺れ動き、嵯峨島の性欲を煽っていく。
揺れる乳房を大きな手でぐっと掴みながら、嵯峨島は蘭の顔を見下ろした。

「なかなかいい乳じゃないか、毛利。でかいし、張りもある」
「やだっ、触らないでくださいっ! 先生、だめ!」
「ふむ、揉み心地も良いな。くく、高校生のくせにこんなでかい乳をしてたのか。これならいくらでも男が釣れそうだ」
「ひどいっ、あたしはそんなこと……あうっ、つ、強く揉まないで!」
「きつく揉まれるのが好きになるようにしてやるよ。どれ、こっちはどうかな?」
「あっ、だめえ!」

教師の手が下半身に伸びると、蘭はびくりと反応し、大声で抗った。
不快な手が内腿を触れてくると、ざわっと鳥肌が立った。
大慌てで股間を閉じたが、すでにその間に入り込んでいた手を腿で挟みつけただけだ。
股間に手が伸びないよう、グッと力を入れて挟んでいるが、男の手に肉感的な太腿の感触を伝えるだけで、かえって嵯峨島は悦んでいる。
芋虫のような太い指がもぞもぞと太腿の間を這い上がり、とうとう股間に達してしまう。
薄いショーツのクロッチ部分に指先が当たり、こしこしとそこを擦ってきた。
とても快感などとは呼べない不快で気色悪い感覚に、蘭は何度も喚いて嫌がった。

「いやあ! そ、そこだめです、先生っ! い、いや、触っちゃだめ、んんっ……!」
「そのうち気持ち良くなってくるさ。それ、これはどうだ?」
「やっ、やだ、指、しないで! ああ、いやあ、こんなの……」

蘭が盛んに股間を責めてくる指に気を取られていると、今度は無防備になっている胸に手と口が責め込んでくる。
蘭は必死に嵯峨島の胸板を叩き、腕に爪を立てて抗うのだが、分厚い脂肪に包まれた筋肉にはほとんど効果がなさそうだ。
左手が右の乳房を揉み、唇が右乳房の乳首を舐め始めると、たまらず蘭は両手で嵯峨島を押し返した。
その時、僅かに腰が持ち上がってしまい、その隙に嵯峨島がするりとショーツを腿まで下ろしてしまった。

「あっ!」

気づいた蘭が慌てて腰を落としたが、もう股間は露わになってしまっている。
それでも最後まで脱がされまいと、脚にも腰にも力を入れて踏ん張るようにして股間を守る。
うまく脱がせないことに業を煮やしたのか、嵯峨島は焦れたように言った。

「股を開け」
「い、いやっ! 絶対にいや!」

股間の前に下りた嵯峨島の頭を、蘭は懸命に押しのけようとしている。
両腿──というより両膝をぴったりと合わせ、脚が小刻みに震えるほどに力を込めて股間を閉じた。
これ以上の暴虐は絶対に許さない、という強い意志の表れだった。

「む……」

さすがに手強いと嵯峨島は思った。
部活で鍛えているだけあって、蘭の下半身の強さは相当なものだ。
そうでなくとも腕よりは脚の方が筋力もあり、こうやって閉じられてしまうと男の力を持ってしても、簡単に開脚させられるものではない。
嵯峨島は蘭の膝に手を掛け、閉じられた脚を開こうと力を込めたが、腿が痙攣するほどに踏ん張った蘭の足は開かなかった。
嵯峨島は強引な手法から、陰湿な懐柔法に切り替えた。

「あっ……!」

蘭は、腿を走る生温かい感触にぞわりとした。
嵯峨島が腿を舐めているのだ。
それも、ねっとりと舌全体を使い、敏感な腿の内側に舌を這わせている。
それだけではない。膝小僧の脇や、腿の外皮には軽く歯を当てて刺激していた。

「やっ! く……気持ち悪いっ……あっ……!」

確かに気色悪かったのだが、それとは別の感覚も起こっていた。
指先を使い、くすぐるように腿や腰にタッチしてくる。
唇を押しつけ、柔らかい皮膚と肉をちゅうっと吸い上げる。
手のひらで優しく撫で、舌で舐め上げていく。
ぞくりとするような明らかな快感もあった。

「うっ……い、いやいや……あ、あ……うくっ……んんっ!」

そのこそばゆい、そして性的な快感に、思わず蘭も脚を開きそうになる。
ハッとして慌てて脚に力を入れ直すが、嵯峨島は開こうとはしてこない。
相変わらず、蘭の脚に愛撫を加えることに執心していた。

「あっ……や、やっ……うんっ……せ、んせい、あっ……!」

いけない、と思う気持ちを肉の疼きが飲み込んでいく。
阿武にイヤと言うほど開発された若い肉体は、男の愛撫を敏感に感じ取り、受け入れる状態に近づいてしまう。
脚が痙攣している。
もうほとんど力は入っていない。
今、嵯峨島がその気になってぐいと割り開けば、あっさりと蘭は開脚してしまうだろう。
だが、嵯峨島はそんな蘭の動揺や変化に気づかぬかのように、腿を舐め、歯を立てていった。

「あっ……そ、そこ、あっ……いや……くううっ……」

僅かに開きかけた腿の隙間に手を入れられ、少しだけ開かされた。
おののいて震える内腿を優しく揉みほぐされ、舌がべろりと這っていく。
腿の外側は、皮膚や肉を指で摘まれ、こねくられていた。
蘭は腰の奥の熱を感じていた。
じわっと何かが奥から分泌されてくる。
それが膣入り口にまで届き、媚肉が熱くなるのを感じていた。
このまま腿を責められ続けたら、きっといやらしい体液が漏れてしまう。
ショーツが汚れるところを、こんな男に見られてしまう。

一気に羞恥で顔が赤くなった蘭は、懸命に顔を振りたくって堪え忍んだが、そんなことで止まるものではない。
じわっと溢れてきた蜜がショーツのクロッチに達したことを蘭は知った。

「ああ……、先生、いやあ……も、もう、やめ……ああ!」

その時、嵯峨島が蘭の脚を割った。
形だけ合わさっていた両脚は、呆気ないほどあっさりと開かされてしまった。
肉体だけでなく、蘭の方も、それを阻止しようという意志がほとんど失せていた。
がぱっと恥ずかしいくらいに開脚されたまま、蘭は両手で顔を覆った。
嵯峨島は、ショーツの裾に指をかけると、それを一気に引き下ろした。

「あっ……!」

引き下ろすといっても、蘭は腰をついていたわけだから脱げるはずもなく、ピィーーッと高い音をさせて引き裂かれていた。

「先生、ひどい!」
「騒ぐな、こんなものいくらでも買ってやる。それより毛利。これは何だ?」
「あ……」

指にひっかけたボロ切れのようになった下着が、蘭の目の前に突き出される。
案の定、クロッチの部分が湿っていた。
嵯峨島が、これ見よがしにその汚れた部分に触れ、蘭の体液を指で掬い取った。
蘭に、粘る愛液を指でねちゃねちゃさせて見せつけている。

「こんなものを出しおって。どこまで淫らなんだ」
「ああ……、そ、それは……」
「これはおまえが出した愛液だ。いやだいやだと言いながら、おまえは感じてたわけだ。さすがあんなビデオに出るだけのことはあるな、毛利」
「ひどい……、ああ、違う、違うんです、先生……あたしは……」
「言い訳はいい。あの毛利蘭が、こんなスケベな女だったとはな。学校の連中が知ったら腰を抜かすぞ」
「いや……」
「この分じゃ、どうせそのうまそうな身体をいろんな男に差し出して良い気持ちになっていたんだろう。そんな生徒は風紀上問題がありすぎだ。
ここはひとつ、生徒指導の俺が、そのけしからん身体を教育してやろう」
「い、いやあ!」

教師は蘭の濡れた秘所にペニスの先を押しつけた。
その先端で、綻びかけている媚肉の合わせ目を軽く上下になすっていく。
蘭の顔が青ざめた。

「せ、先生……、先生、本当にあたしを……」
「決まってる。俺は前からおまえに目を着けてたんだからな」
「だめ、そんな……いけません、先生っ……、きょ、教師と生徒がそんなこと……」
「教師と生徒の「いけない関係」ってか? それもいいな、それこそビデオになりそうだ」
「い、いやっ……!」
「諦めろ。いくぞ」

蘭は嵯峨島を説得することこそ諦めらものの、必死に顔を背けて唇を噛みしめている。
せめて屈した悲鳴を上げまいと、意地になっているのかもしれない。
気丈に抗い、それでも脅えを隠しきれない女子高生をにやにやと見下ろしながら、とうとう嵯峨島は男根を挿入していった。

「ひっ……! だ、だめえ!」

最後の抵抗で腰を揺さぶったものの、硬いペニスはあっさりと蘭の膣口にめり込んでいった。
狭隘な入り口だが、濡れそぼっていただけあって、蘭のそこは嵯峨島の肉棒を受け入れていく。

嵯峨島は意外に思っていた。
楽に挿入できる感じだったが、入れてみるとけっこうきつい。
しかも内部の襞が、入り込んだペニスを盛んに擦ってくるのだ。
なるほど名器らしい。

蘭の方も、嵯峨島の太さを実感させられていた。
濡れた媚肉は粘膜をじわりと拡げて肉棒を飲み込んでいくのだが、見た目以上に太さがあった。
太さだけなら新一──と蘭が信じ込んでいる阿武や荒戸──よりもすごいかも知れない。

「あ……あ……」

ゆっくりと貫かれていく間中、蘭は腰をわなわなと震わせ、熱い吐息を吐いていた。
どんなに嫌がっていても、蘭の肉体は阿武らによって男の味を覚え込まされていたのである。

「やっ……ふ、太い……ぐぐ……き、きつい、先生……あっ……」
「そうだろう、俺のものもけっこう良い線いってるだろう? ほれ、もっと奥まで入れてやる」
「やだっ……うっ、ううんっ……も、いや……ああ……あぐ!」

そこで、ぺたんと嵯峨島の腰が蘭の股間にぶち当たった。
全部中に入ったらしい。
深さはそうでもなかった。
阿武に貫かれた時は子宮にまで届かされたものだが、嵯峨島のものはそこまではいっていない。
それだけが救いだったが、それでも太さは充分で、蘭に「犯されている」実感をイヤと言うほど与えていた。

「くっ、いや……うっ……くう……」

蘭は懸命に声を出すのを堪えているのだが、嵯峨島がゆっくりと動き出し、ずんずんと胎内を突かれていくと、意地も矜恃も突き崩されていってしまう。

「う、動かないで! い、いやです、あっ……はああっ……」
「動くためにやってるんでな、少し我慢してくれ。そのうちおまえも気持ち良くなってくるさ」
「やだっ、そんな……むううっ……くっ……ああ……」
「おほっ、マンコの方が素直だな。もう俺のものに絡みついてきやがる。いい具合になってきたわ」
「やっ……いやっ……もうやめて、しないで!」
「マンコに突っ込まれていて、今さら何を言ってる」
「はうっ……やっ……は、早く済ませて……早く終わってぇ……」

蘭は半泣きになりながら、そう訴えた。
今の彼女の真情だろう。どうにもならぬ凌辱であるなら、さっさと済ませて欲しかった。
長い時間、この男と肌を合わせるのも悪寒が走るが、それ以上に、阿武たちに仕込まれたこの身体が、セックスに流されてしまい、官能を感じてくるのが怖かった。
大嫌いな男の前で快感を訴えてしまうという恥辱だけは避けたいのだ。

と、嵯峨島の動きが少し小さくなった。
今まで蘭の腰を両手でしっかり押さえて犯していたのに、今は左手だけだ。リズムが変化したのはわかったが、それをいちいち確かめたくはなかった。
早く終わって欲しい。
それしか蘭の頭にはない。
だが、どうも様子がおかしい。
蘭は顔を起こし、恐る恐る目を開けてみた。
信じられない光景が見えた。

「ひっ!?」

あろうことか、嵯峨島はビデオカメラを構えていたのである。
蘭を突き上げながら、右手に持ったビデオカメラの液晶を覗き込んでいた。
ハメ撮りしていたのだ。
あまりのことに蘭は絶叫した。

「いっ、いやあっ! 先生、何を……!」
「何って、見りゃわかるだろうよ。ビデオに撮ってるんだよ」
「だ、だから、なんでそんなこと……」
「心配するな、売ったりするつもりはないよ。俺が個人で愉しむためだ」
「た、愉しむって……」
「けどな、おまえがあんまり俺に逆らうようならわからんぞ。裏ビデオ屋に投稿しちまうかも知れんなあ」
「……!!」

DVDを渡してしまった以上、蘭はもう嵯峨島に身を任せるようなことはしないだろう。
それを防ぐために、新たな恐喝材料を作っているのである。
この映像をネタに、繰り返し蘭を凌辱するつもりなのだ。

「やだ、やだああっっ……! 先生、いや! と、撮らないで! んあっ……」
「おっ!? なんだなんだ、カメラに撮られてるとわかったら、急に締まりが良くなったぜ」
「ああっ、そんな……そんなこと……くっ……あ、はああっ……や、やあ……いっ……」

嵯峨島の言葉通り、蘭の膣がきゅううっと音を立てるほどに締まってきた。
そして思い出したように緩み、また締め上げていく。
あのDVDにもショックを受けたが、それは取り戻した。
なのに、こうしてまた撮影されてしまっている。
そんなものを嵯峨島に鑑賞されるのは死ぬほどいやだった。
他の誰かに見られる可能性もある。

そんなことを考えると、蘭の裸身が瘧に掛かったように震えだした。
禁断の行為を見られるという恐怖、そして屈辱と羞恥が蘭を官能の染め上げていく。
阿武らにも散々指摘されていたことだが、蘭は見られたり、恥ずかしいことを言われたり言ったりすると、官能の深度を増してしまう。
悔しくて唇を噛みしめるものの、すぐにふっと緩み、耐えきれぬように熱く甘い吐息が漏れ出てしまった。

「んっ、は……は、はう……いや……いっ……あああ……」
「くくく……」

嵯峨島は、撮影している手前、強く突き上げられはしなかったが、巧妙に腰を使って蘭を追い込んでいく。
いきなりいかせてしまうようなものではなかったが、蘭の官能と感情が八合目あたりで徘徊させておくには充分なテクニックだった。
ビデオの液晶には、羞恥に身を揉み、屈辱に美貌を歪めた少女の裸身が映っている。
男に腰を突き上げられ、リズミカルに軽く身体が揺さぶられると、大きめの乳房がゆさっ、ゆさっと上下左右に大きく揺れ動いた。
嵯峨島は、この娘は本能的にマゾっ気があると見抜いていた。
そのマゾ性をより刺激すべく、言葉で責めていった。

「顔が蕩けていたぞ、毛利。いい顔だ、撮影しがいがある」
「やっ、撮らないでくださいっ……んあっ!」
「喘ぎながら何を言うんだ。しかしなあ、おまえが俺に犯されてこんなに喘いでいるのを工藤が知ったらどうなるかな」
「……!!」

新一の名を出されると、蘭の媚肉がきゅっと強く締まった。
その、強烈だが甘美な収縮を愉しみながら教師は腰を打ち込んでいく。

「このビデオ、工藤に送りつけてやろうか」
「だ、だめ! 絶対にだめっ! そ、そんなことしたら、あたし死にますっ」
「そうか? 死ぬなら死んでもいいぜ。俺はおまえの死体をたっぷり犯してやる。中にも顔にもおっぱいにもたっぷり精液をかけてやって、それを
写真に撮ってやろう。もちろん工藤にも見せるぜ」
「そんな……、ひどい、ひどすぎます……」
「だからな」
「あ!」

嵯峨島は蘭の細い顎を掴むと正面を向かせる。
蘭は反発するように顔を背け、目を堅く閉じた。

「自殺なんかしたって無駄だ」
「ああ……」
「そんなに悩むことはないだろう。やらせればいいだけだ。おまえにも俺にも将来はある。そんなにつきまとったりはしねえさ。まあそうだな、2年も
抱いてればそのうち飽きるだろうから、そうなれば解放してやるさ」
「ひどい……」
「泣くな。そのうちその涙がよがり涙になるんだからな」
「あ、あっ! だめ、動かないで、ああっ!」

嵯峨島は蘭の腿を抱えながら右手でカメラを持ち、そのまま犯し続けた。
浅く突いて膣口を拡げるようにペニスを回転させ、ずぶりと深く突く時は腰を押しつけて媚肉を摩擦した。
蘭は頭を振りたくり、涙と髪を散らしながら泣き、そして喘いだ。

「やっ、だ……はあっ……はああっ……あっ、あうっ……や、だめ、あっ……ああっ……あああ……」

口では抗っているものの、蘭ははっきりと反応してきている。
やはりビデオ撮影されているという羞恥や、それを新一に見せるといった言葉責めが効いている。
本当にこんなところを新一に見られたらと思うと、蘭の心底脅えるとともに、膣がきゅっと締まってくるのだ。
どう否定しても、いたぶられ、嬲られると愉悦を感じてしまう体質は押さえようがないらしい。
揺れる乳房を掴んで揉みしだき、責めを強めながら嵯峨島が嘲った。

「清純そうな顔してるくせになんだその感じっぷりは。そんなにセックスが好きなのか」
「はああっ、ち、違いますっ、いっ……はううっ、い、いや……いやなのに……んああっ」
「いやなのに? いやなのに感じてしようがないんだな」
「ち、違……くううっ……あ、あは……あああ……」

いやらしい教師に嬲られ、詰られながら、蘭は敏感に反応した。
太いもので突き上げられるたびに白い裸身を震わせ、思わず漏れそうになるよがり声を堪えるのに必死だ。
喘ぐのは仕方ないとしても、よがるのだけはいやだった。
それにしても、強引に犯され、虐められているというのに、蘭の膣からはこんこんと熱い愛液が分泌されてきている。
もはや同意の上の行為だと言われても仕方がないほどだった。

「よく濡れるマンコだな、毛利。俺の足まで汚しおって」
「そんな、それは……あ、あ……うそです、そんな……ああっ」
「ウソなもんか。ほれ、びちゃびちゃといやらしい音がするだろうが」
「いやあっ……!」

蘭のよがり顔に刺激されたのか、嵯峨島はカメラを放り出して本格的に犯し始めた。
蘭の上に覆い被さると、左手で蘭の右足を抱え持ち、そのまま乳房に押しつけるほどに屈脚させた。
大きく開脚させた状態で、出来るだけ深くまで貫いていった。
右手は蘭の顎を掴み、いやがる少女の唇を求めてその顔に唇を押しつけている。
嵯峨島の唇が首や顔に吸い付くたびに、蘭は寒気が走った。

「くっ、いや! キ、キスなんか……あっ……絶対だめ、いやですっ……ひっ……んあ!」
「往生際が悪いな。じゃあ、その綺麗な顔をたっぷり舐めてやるか。こうしてな」
「やだっ、汚いっ……ひっ、な、舐めないで!」

嵯峨島の舌が伸び、蘭の頬や額、瞼や鼻筋まで舐め回っている。
唇を尖らせて頬や首筋に吸い付き、いくつものキスマークを残していく。
そのおぞましさに蘭は全身を震わせるのだが、同時に深く突き上げられ、嵯峨島の舌や唇の気色悪さまでが快感のもととなってしまった。

「あ、あうう……いっ……い、いい……」
「なに? 今なんて言った毛利。気持ち良いのか?」
「あっ……、ち、違います、そんな……」

思わず蘭は顔を真っ赤にして否定した。
嵯峨島のような男に犯され、性的快感を得てしまうなどという屈辱と羞恥で泣きたくなってくる。
だが、肉体は確実に官能に染まりつつあった。快感を感じた時は素直に「いい」と言え、と、毎回のように阿武の命令を受けていた蘭は、自然と
そう口にしてしまったのだった。
それがどれほど恥辱的なことかはわかるのだが、同時にそうしたことに限りない被虐の悦楽も得てしまっている。

「やだ……もう、やだあっ……」
「いやじゃないだろう、よがりおってからに。ほれ、こうして突いてやれば……」
「くっ、い、いいっ……ああ……」

もう嬌声を押さえようがなくなった。
目に見えて蘭の反応がよくなり、ややもすれば嵯峨島にしがみつきたくなってきている。
それだけはしたくなかった。

「だ、だめ、いい……あ、あっ……いいいいっ……あ、あああ……はああっ……!」

学校でも評判の美少女が、自分のような冴えない教師に犯され、快楽に喘いでいる。
その状況と悩ましい美貌を見ていると、嵯峨島もたまらなくなって肉欲の求めるままに突きまくっていった。

「いったん喘ぎ出すと底なしだな、毛利。くく、おまえのこの感じ方を工藤のやつに見せてやりたいもんだな」
「い、いやあっ、新一っ、見ないでぇっ……やあっ……くっ、いいっ……ああっ……」

新一を意識すれば勝手に肉体が反応し、膣も締まって、より快楽が強くなってしまうのに、蘭は新一の名を叫びながら官能に打ち震えている。

「や、やはっ、激しっ……くっ、だめっ……あ、あっ、あそこ……あそこが熱く……ああっ!」
「あそこ? はっきり言え、毛利。マンコだろ?」
「やっ、そんな、恥ずかし……んあっ!」
「言え、こら!」

そこでずぶりと深く貫く。
たまらず蘭は恥辱の言葉を口走った。

「おっ……オ、オマンっ……こっ! そ、そこ! ああっ」
「もっと言えよ」
「くっ、いや! いっ、いいいっ……オ、オマンコっ、い、いいっ……!」

腰をくっつけられるほどに深く入れられ、根元の太い部分で思い切り媚肉を擦られて、蘭は堪えきれないよがり声を放った。
もう恥も外聞もなく、自分から尻を振り、脚を嵯峨島の脚に絡めている。
毛臑がすべすべしたふくらはぎに触れる気色悪さも気にならなくなった。
蘭のよがりぶりが一層に激しくなり、膣の収縮も強く、不定期になっていく。
いきそうになっているのだ。
嵯峨島の方も、蘭の様子を見たり、膣の締めつけが甘美すぎて射精欲が高まっていた。
それでも、蘭より先にいってしまっては恥だと思っているのか、最後の力を振り絞って膣奥を突き上げた。

「もっ、毛利! いきたきゃいっていいんだぞ!」
「やだっ……せ、先生に犯されて、あっ、い、いくなんて……いやああっ!」
「そうは言ってもおまえのマンコは俺の太いのをくわえ込んできゅうきゅう締めてくるぞ。いきたくてしようがないくせに」
「いっ、やっ……あ、もうっ……だめだめだめっ、もうっ……いっ……く……い、きそうっ……いやあっ!」
「いけ、毛利! 俺も……」
「だ、だめです、先生っ……だ、出しちゃだめっ……!」
「もう我慢できないんだよ!」
「やだやだ、やめて! ああ……、せ、せめて、あっ、せめて外に……あ、だめ、中はぁっ!」

嵯峨島が射精に向けてラストスパートで腰を打ち込んでいくと、たちまち蘭は達してしまった。
全身をがくがくっと震わせ、ほぼ同時に膣肉が激しく収縮した。

「かっはあああっっ……!」
「くっ、毛利っ!」

蘭がいったのを確認してから、嵯峨島はその裸身を抱きしめ、蘭の唇に吸い付いて射精した。

「むぐうううっ……!!」

口を塞がれ、くぐもった悲鳴を上げながら、蘭は激しく仰け反り、わなないた。
腐った教師の精液が少女の胎内に勢いよく注がれていく。
その熱い飛沫を絶望的なまでに感じ取りながら、蘭は続けざまに気をやった。

「むううっ……むうっ!」

どくっ、どくっと汚液を吐き出されるたびに、蘭はその裸身をびくっ、びくっと震わせている。
ようやく射精を終えて嵯峨島が口を離すと、蘭は哀しげ「ああ……」と息をついた。
大嫌いな嵯峨島にとうとうキスされてしまったことよりも、膣でその精液を受け止めたことに衝撃を受けている。

「ひどい……。いやって言ったのに……先生のを出さないでって言ったのに……ひどすぎます……」
「俺は最高だったぜ、毛利。とうとうおまえに中出し出来たんだからな」
「やあ……、あ、まだ……まだ出てる……ああ……もう出さないで……熱い……」
「どうだ孕みそうか? 運悪く妊娠しちまったら堕ろせよ。教師が女生徒を孕ませたなんてことでマスコミに騒がれたくないからな。それに俺はガキは大嫌いだ。ガキを作る行為は好きだがな」
「最低です、先生っ」
「その最低の俺に孕まされたかも知れんのだぞ、毛利」
「に、妊娠なんかしたくない……先生の赤ちゃんを産むなんて絶対にいやよ……。も、もう離れて下さい……重いんです」

蘭は呻きながら、嵯峨島の大きな腹を押しのけようとするのだが、身体が萎えてしまって力が入らない。
なおも押し返そうとする蘭の腕を、嵯峨島が掴んで両手首をひとまとめにして頭上に持っていってしまう。

「な、何を……」
「もう一回くらいいいだろ? おまえがいった顔をビデオに撮り忘れたしな」
「そ、そんな……もういやあ……!」

教師は、しくしくと泣く女生徒を再びその毒牙に掛けていった。


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