「んっ……く……はっ……」

身体が瘧に罹ったようにガタガタ震えている。
決して寒いわけではない。
むしろ熱い。
身体の中からカッカと火が燃え盛るようだ。
あの薬のせいだろうか。
モロー博士は粘膜が熱くなるとか言っていたけど、それってウソ。
全身が熱いじゃないのよ。
自分でもわかる。
きっとあたしは頬を紅潮させて、瞳も潤んでいるんだろう。

こんな美女のそんな表情は、周囲の男を虜にする悩殺シーンに違いない。
けど、今あたしの周囲にいるのは枯れ枝の如き爺さんと、人外の類人猿だ。
いくらあたしの肉体が男を欲していたとしたって、そんな連中の相手は願い下げである。

でももうあたし自身、自分の身体の火照りや疼きを誤魔化せなくなってきた。
ああ、あたしの汗が甘く薫ってきた。
これも男を引き寄せるフェロモンだ。
そんなもの、ここで出したくないのに。

それだけではない。
恥ずかしいけど、M字に大股開きにさせられている股間の中心あたりからも、また別の
匂いが漂ってきている。
間違いない。
濡れてるんだ。
そんなあたしの媚態を猿どもが見つめている。
いや、そんなおとなしいもんじゃない。
目を血走らせてギンギンと凝視しているのだ。
もしかしてこいつら、マジであたしに欲情してるのだろうか。

確かにあたしはあられもない格好をしてる。
手首と足首を縛られたままM字開脚され、股間を晒されている。
短上着もホットパンツも剥ぎ取られているから、女として見られたくない場所をすべて
見られてる。

けど、見ているのは猿である。
人ではない。
恥ずかしいことは恥ずかしいけど、男に見られるよりマシだと思ってた。
その前提は、猿に人間の女などわからないと思ったからだ。
だけどこいつらは一体なんなの!?
あたしを見る目が、まるで女に飢えた変態野郎のそれなのよ。
あたしのおののきに気が付いたのか、モロー博士が説明した。

「わかるかな? そいつら、ヒトの女に欲情するんじゃよ」
「え……」

んなバカな。
動物の世界でも、モテるモテないがあるって聞いたことがある。
ということは、犬にも猿にも美人やイケメンはいるってことなんだろう。
だけど、それはあくまでもその種の中だけの話のはず。
いくら猿の中では美男だろうが、そんなものはあたしには関係ない。
それと同じで、あたしのような絶世の美女でも、オークにとってはそんなこと意味はない
はずなのだ。
博士は思わせぶりに言った。

「言ったじゃろう。この四頭……ああ三頭になったんじゃな、こいつらは生殖専用だと」
「……それは聞いたけど」
「勘違いするな。生殖専用というのは、「人間との交配」専用ちゅうこっちゃ」
「あんですって!?」
「ただ性交するだけなら、おまえさんの片割れを捕まえた戦闘用のオークにでも出来る
わい。オーク同士ならな。だが、ヒトのメスと交尾できるように改造したのがこいつ
なんじゃよ」

なんてことすんのよ、このジジイ!
言ってみれば、あたしが猿とセックスするようなものか。
あたしが牡猿を見ると欲情するように改造されたようなものか。
そういやさっき浣腸されてる時も、猿どもはあたしの胸を揉んだり舐めたりしてた。
あれは本当にあたしの身体を欲しがっていたのか。
あたしは顔から血が引く音を聞いた気がした。

「無論、オーク……いや普通の動物は人間相手にそんな気にはならん」

当たり前だ。

「苦労したわい。人間の女の肢体や表情。それだけじゃない、五感すべてで女の魅力が
わかるようにしたんじゃからな」
「じゃあ、あたしに欲情してるってのは……」
「ふむ、それだけおまえさんが魅力的な美人じゃ、という証明じゃな」

改めて言われるまでもないわ。
でも、こんな場面でそんなこと言われても、ちっとも嬉しくないわい!
オークどもが、あたしの身体に鼻をくっつけるようにして汗の匂いや体臭を嗅いでいる。
どいつもこいつも恍惚とした表情を浮かべていた。

人間が犬猫や猿などの獣臭さに顔をしかめるように、動物にとって人間も臭いらしい。
だから普通、こんな場面では、オークは警戒して近寄らないか、あるいは攻撃してくる
のが普通だろう。
絶対に人間の女を犯すなんてことはあり得ないはずだ。
だけどこのキチガイ博士は、オークに人間の女の味を教え込んだのだ。
冗談じゃない。

今までも敵に捕らわれて慰み者になったり、非道い性的な拷問を受けたこともあった。
でも、さすがにこんなシチュエーションだけはなかった。
あたしは本気で震えた。
本当に、マジに犯されるの!?

そう思ってオークを見て驚いた。
今の今まで気が付かなかったけど、こいつら勃起してる。
見たくなくても見えちゃうくらいにおっきいじゃないのよ。
これで相手がイケメンの男なら大歓迎だけど、相手は猿じゃ!

で、でも。
よく見たら大きすぎるわよ。
長さは……どう見たって20センチじゃ足りない。
30センチくらいあるんじゃないの!?
太さも7センチとか8センチくらいありそう。
これじゃハンサムな坊やだったとしても二の足を踏む。
あんなのまともに入れられたら壊されちゃう。

しかも。
異様なのはその形状よ。
ただでかいだけじゃない。
節くれ立っている。
これ比喩じゃないのよ。
本当に節があるんだ。
竹みたいに3つも4つも。
まるで亀頭が3つ4つつながってるみたいだ。

おまけに毛むくじゃらだ。
鬱蒼とした体毛が性器全体を覆っていた。
普通、人間の男なら付け根に生えてるもんなんだろうけど、こいつらはもう、その、
ええと、サオの部分まで剛毛が生えてる。

そんなものが、腹にくっつきそうなほどにそそり立っている。
肉体の一部とは思えなかった。
あれじゃ本当に凶器だよ。
女を犯すための武器だ。

そう思ってると、オークたちは本格的に襲いかかってきた。
おかしな薬と浣腸であたしの身体がこなれたと思ったのだろう。

「やっ、やめろ、やめなさいよ、このっ……お放し! あたしの肌に触れられんのは、
あたしが認めた男だけよ! 誰があんたらなんか猿なんぞと……あっ、およしっ!!」

身体の芯からじわじわとこみ上げてくる疼きに耐えながらも、あたしが大暴れするもんだ
から、いかにベルトで拘束してあるとはいえ、そうそうオークの自由にはならない。
三頭ともに我がちにあたしを犯そうとしていたオークは、さすがに方針を転換した。
二頭があたしを左右から抑え、一頭ずつやることにしたらしい。

最初のオークがのしかかってくる。
ものすごいものがあたしを貫こうとしてきた。

「ばっ、ばかっ! おやめ、絶対にいやっ、あっ……ああっ!?」

火のように熱く、岩のように硬いものがあたしの大事なところに押し当てられる。
ああ、こいつら女を愛撫しようなんて意志はないんだ。
ただただ性欲にのみ煽られて犯そうとしてくる。
おっぱい揉まれることひとつなく、いきなりあたしは滾ったペニスを受け入れさせられる。
精一杯腰をひねり、身を捩って抵抗するんだけど、文字通りの馬鹿力で押さえつけられて
動けない。
押し当てられたものがとうとう突き立てられた。

「うくっ……こ、この……痛い……じゃないのよぉっ……」

き、きつすぎる。
バカみたいに硬いから、それで余計にそう感じるのかも知れない。
しかも、こっちを思いやることもなく、ぐいぐいと突き進んでくるからたまったもんじゃ
ない。

「くっ、い、痛いってんでしょ……も、もっと、あっ、ゆ、ゆっくり……ひぅっ……」

確かにこっちも濡れている。
怪しげな媚薬のせいだ。
だけど少々濡れたところで、こんなデカブツが入ってきたら和らぐもんじゃない。
あたしの膣がギシギシと音を立てながら、極太のペニスを受け入れた。

「あ、あう……奥に……は、入りすぎよ……あぐうっ……」

いやだと思いながらも、オークはさらに中に入ってくる。
自分でも信じられないほど深いところまで入ってしまった。
猿は己の性器と力を誇示するかのように、なおもぐいぐいと突き込んでくる。

「ううっ……うんっ……うんっ……ああ……」

怖かった。
初めて体験させられる深さと感触。
ズシッとした衝撃が胎内全体に響いた。
あたしはとうとう膣の奥底まで貫かれたのだ。
子宮にまで届かされているのに、なおも押しこくってくる凄さに目眩がする。
ああ、ウソよ。
あ、あんなに長くて大きいのが入ってるなんて……。

子宮にまで届かされ、お腹の辺りまでペニスに占領されてしまった。
それでもオークのものは、まだ全部入ったわけじゃない。
根元まで挿入されたら間違いなくお腹が突き破られる。

あたしが呻く声と苦悶する美貌でさらに燃え上がるのか、オークはかさにかかって責め
てきた。
しまった、苦しんでるような顔見せちゃいけないんだ。
こいつら、見てくれはともかく、女に対する欲望は人間の男と同じだ。
男が昂奮するようなことはしちゃだめだ。
もちろん感じたような声や表情を見せたら、火に油を注ぐようなもん。

「あああっ……ううっ……そんなっ……うんっ……ううんっ……」

でも、どうしたって声が出る。
感じてるわけじゃない、苦しいんだ。
息が詰まりそうよ。
そんなあたしを見て、オークは自分のものにしたとでも思ったのか、動きを激しくして
きた。
アソコはみちみちに拡げられて軋むようだ。
けど適度に濡れていて、辛うじて傷はつかない。

そうよ、恥ずかしいけど愛液が出てた。
身体の防御反応で濡れたこともあるだろうけど、変な薬のせいで、膣内がカッカとして
るのも事実。
それだけでなく、むず痒くもなっていた。
そこに、これでもかとばかり太いものがこじ入れられてきたんだ。
少し、ほんの少しだけど妖しい感覚を覚えても仕方ないじゃない。

なるべく奥まで入れられないよう上へ後ずさって逃げようとするのに、他のオークが肩
を押さえてる。
それにあたしを犯してるやつも、細い腰をがっしり掴んでガンガンと激しく責めてくるのだ。
腰が突き崩されそうなほどの鋭く強い突き上げが延々と続き、あたしは呼吸もままならない。

「あぐっ……ううんっ……ひっ……おやめ、ああっ……ふ、深すぎるってんでしょうっ
……うくうっ……」

ああ、どうにかなる。
気持ちよくなってきちゃった。
普通ならこんなの痛いだけ。
悔しいだけ。

けど、オークのでかくて気色悪いペニスが、あたしの膣の中のむず痒さを解消してくれて
いる。
ずぶずぶと貫かれるごとに火照る肉体が鎮静させられ、そして一層激しく燃え立たされる。
ムリヤリされるのが快感になってきてる。
まずい。
まずいけど、ああ、もう身体が。

「うっ……うんっ……うむっ……あっ……ああっ……あ、んむっ……」

思わず洩れそうになった媚声を必死に噛み殺した。
あたしが今まで経験したセックスの中では、あり得ないところまで犯された感覚。
子宮を押し上げるほどに深く挿入され、不安と恐怖、そして柔らかい臓器を小突かれる
苦痛しかなかったのに、それが変わってきてる。

突如、頭にずぅんという衝撃と痺れるような刺激が駆け抜けた。
それからだ。
あたしの膣や子宮がとろけるような快感がわき上がったのは。
最奥まで突き上げられると、ふっと意識が遠のいてしまうほどの愉悦。

「いや、だめっ……あ、ああ……ふわっ……あああああ……」

こんなのいや。
猿に犯されて感じてるなんて絶対イヤよ。
あたしの意識はそう叫んで盛んに叱咤してるのに、肉体は朦朧としてる。
全然あたしの声が届いてない。

あたしを犯すオークは、徹底的に奥の肉を責め込んでくる。
同時に身体を押さえている二頭のオークもあたしの汗ばんだ裸体をさすり、揉んできた。
愛撫である。
こいつらに女を愛撫する頭なんかないと思っていたけど、それは誤りだったみたい。
どうせモロー博士が仕込んだのだろう。

あたしの右にいる猿は、グローブみたいなでかい手で、あたしの豊満な乳房を揉み込んで
いる。
91センチの美乳を存分に味わっている。
普通の男なら手に余る大きさのはずだけど、こいつらは規格外だ。
そんな手でこねこねと揉み抜かれ、いやでも乳首が立ってくる。
反応してしまう。

「痛っ……もうちょっと優しく扱ってよ、ああっ……」

これはウソ。
ぎゅうぎゅうと乳搾りでもされてるみたいに乱暴な愛撫なのに、悲しいことにあたしの
身体は官能を覚えていた。
勃起した乳首が太い指で擦られて、仰け反るほどの快感が背筋を走った。
右のオークは右のおっぱいを、左にいるやつは左の乳房を担当し、なんとかあたしに声を
上げさせようと、揉み、さすり、舐めていた。
あたしの艶やかなお肌が、オークの汚らしい唾液に汚されていく。
ぬたぬたした舌にアンダーバストや乳首を存分に舐め上げられると、ゾクゾクするような
愉悦が首筋に鳥肌を立てた。

明らかにオークどもは、あたしが反応し始めたのを見て気をよくしている。
もっともっと感じさせようとしているようにしか見えない。
ごつくて大きな手で力任せに揉みほぐされるおっぱい。
分厚い舌でどろどろの唾液を塗りたくられる素肌。
そして、これでもかと言わんばかりに奥深くまで突入してくる剛直のものすごさ。
どれもこれも、あたしが初めて味わわされる感覚だ。
どの責めも刺激的で、敏感で貪欲な肉体はどんどんとそれを受け入れ、激しい快楽に変換
していってる。
肉欲の炎がゆらゆらと揺らめき、全身に燃え広がっていく。

「ああっ……ああ、もうっ……」

だめ。
耐えらんない。
汚らしいじじいの前で人外の猿に犯され、乱れていく。
恥ずかしいとか屈辱だとか、考える気力が根こそぎ奪われていった。
ああ、最後までいきそう。

「あ、ああっ……あああっ!?」

あたしの膣が勝手に絞まる。
太くて硬いものをきゅっと締め上げる。
その時、とどめとばかりに最後のひと突きをオークが打ち込んできた。
途端にあたしは頂点まで押し上げられてしまった。

「うっはあああっっっ……!!」
「ウオオオオッッッ……」

あたしがそうなった瞬間、締めつけのきつさに我慢できなくなったのか、オークも達した。

類人猿の射精は凄まじいばかりだった。
びゅくびゅくなんてもんじゃない。
まるで突き刺されるかのように、びゅびゅーーっと子宮にぶちあたった。
あたしもその時、またいった。
ガクンガクンと身体が大きく震える。
背中が、そして首が大きく仰け反り、足の指がかがまった。

それでもなおオークは腰を振り続けている。
最後の一滴まであたしに注ぎ込もうと、ぐいぐいと腰を押しつけ、そのたびに射精の発作
があった。
射精する音が聞こえそうなほどの精液をたっぷりと受け、あたしは目の前が真っ白になった。

───────

無人の研究所内に、一頭の獣が歩いていた。
アイボリーでまとめられたその建物は、一見清潔そうだが、よく見ると廊下の隅などに埃の
塊がわだかまっている。
さらによく観察すると、その埃の正体が何かの毛だとわかる。
人の毛ではない。
動物の体毛であった。

この建物の住人は生命工学の権威、モロー博士のみである。
他にはいない。
動くものがあるとすれば、それは博士がおぞましいバイオテクノロジー生みだした嫌悪
すべき生物だけであった。
時折廊下を行き交っている二足歩行者も人間などではなく、博士が作り出した人造類人猿
である。

それらは細長い棒を携帯している。
筒先を相手に向けて射撃するパラライザーだ。
というよりごく軽微な電磁銃だ。
軽い電気ショックで相手を失神させるタイプである。

そのオークの側を別の獣が行き違った。
黒豹の如きその姿はムギであった。
肩から伸びる触手をゆらゆらさせながら、とっとっとっと軽快に進んでいく。
正面から来た二頭のオークは、ムギの姿を視認したものの、何事もなかったかのように
通り過ぎていく。

オークたちは、相手が人間の場合、異常事態として認識するようになっているが、相手が
動物の場合は無視している。
それが敵性異物であってもである。
これはモロー博士の飼育怠慢というよりは、オークの能力不足によるものが大きい。
もともと猿程度の知能しかないところに、無理に人語を覚えさせた(といっても3000
語程度だが)ので、他のことが疎かになっているのだ。

戦闘猿は、それ以外は武器や格闘しか覚えなかったし、生殖用は交配技術しか知らない。
それが限界だからだ。
第一、ここに忍び込むとしたらそれは人間であり、動物ということはあり得なかったから
だろう。
そうでなくともここにはいくらでも実験用動物がいる。
いちいち動物を見て警戒警報を出していたらキリがないということだろう。

ムギはオークを黙って見送ると、頭部の触角を震わせた。
普通の猫や豹なら耳がついているあたりに、この動物には体毛を捩り合わせたような触角
が渦巻き状に伸びている。
ムギはこの触角を使って、あらゆる電波や電気反応を操れるのだ。

彼は飼い主であるふたりの美女の行方を探っていた。
ケイとユリは常に発信器を身につけている。
イヤリングがそれだ。
内蔵した高性能の無線機は、音声信号を送信することもできるが、それが出来ない場合
でも現在地を知らせる意味で電波が出ている。
ふたりと別行動をとって以来、まだどちらからも連絡はなかった。

所在地を確かめると、ケイもユリも別々の場所にいる。
しかも、2時間ほど前からまったく動いていない。
ふたりとも、だ。
もちろん連絡もない。
状況から判断するに、これは捕まったのであろう。

ムギは控えめにため息をついた。
やれやれ、手の掛かる飼い主だと思ったのかも知れない。
しかし、人質を取られたりとか、不意を突かれてあの類人猿に襲われればわからないでも
ない。
助けに行こうと思えばいつでも行けたが、ムギは目的地に向かった。
ケイから、こちらから連絡があるまで自分の任務を遂行することを厳命されていたからだ。
ヘタに気を使って、ほこほことケイのところにでも出向いてみても、もし無事だったら何
を言われるかわかったものじゃない。
叱られたり嫌みを言われるくらいならいいが、餌抜きになってはかなわない。
ここはいちばん、言われた通りにするしかないだろう。
心配は心配だが、あのふたりのことだ。むざむざとやられたりはすまい。

だいたい、発信器は彼女たちの脈に連動している。
耳から微かな脈動を感じ取って動いているのだ。
だから、もし発信器からの信号がなくなれば、それは発信がバレてイヤリングを外された
か、あるいは死んだということになる。
そうなれば確実に緊急事態だから何を置いても駆け付けるが、まだ発信している。
生きてはいるのだ。
状況がわからない以上、今できることをやるしかない。
ラブリーエンゼルの賢いペットはそう結論して、行動を再開した。

───────

「あっ、ああっ……」

あたしは汚らしい精液を胎内にぶちまけられ、そのショックで気を失っていたが、また
すぐに意識を取り戻した。
それはそうで、オークのやつら、失神してるあたしに構わず、また犯しにかかってきたのだ。
さっきあたしを辱めたやつは股間から離れ、仰向けになったあたしの頭の方に回っている。
射精したら交代するらしい。
まださっきのやつの精液が零れている膣に、次の猿が遠慮なくぶち込んできた。
せっかく閉じかけていたアソコが、またムリヤリこじ開けられていく。

「きつそうじゃが心配するな。何度も犯られとるうちに、オークのペニスに合うようになっ
てくるわい」

じじいがとんでもないことを呑気に言った。
心配に決まっとるわい!
あんなバカでかいサイズに慣らされた日にゃ、もう普通の男とデキなくなっちゃうじゃないの。
博士はもう見る気はないのか、ドアに歩み去ろうとしながら笑ってこう言った。

「その子壷にたっぷりとオークの精液を受けるんじゃぞ。いい子を孕むようにな」
「……あんた、バッカじゃないの?」

あたしがそう言い返すと、爺さんは馬鹿笑いをやめた。

「この猿どもが、あたしにいくら射精したって子供なんか出来るわけないじゃない」
「……」
「馬とロバとかならわかるけど、あたしは人間だし、そいつらはもとは猿じゃないの。同じ
猿同士にしても、チンパンジーとオランウータンだって異種間交配は不可能なのよ。いくら
人間の胚や細胞を取り入れたからといっても、そんな気持ち悪い猿と人間で交配できるわけ
ないわ!」

そうなのだ。
実はあたしもさっき気づいたのだが、そんなことはあり得ないんだ。
いくら種が近いからと言っても、そう簡単に混血だの混合種が出来てしまっては、あちこち
雑種だらけのはずだ。
それに、人間が動物と交わっても妊娠しないからこそ、獣姦というものがあるんだ。

あたしには到底理解不能だけど、世の中には牛や鶏(!)のアソコにペニス突っ込んで
セックスする変態男や、馬のペニスを挿入して悦ぶ倒錯女もけっこういるらしい。
当然この人たちだって射精したりされたりするんだろうから、いちいち妊娠していたら、
馬と人の混合種や犬と人間の雑種なんかがぼろぼろいるはずだ。
だけどそんなことない。
つまり人間が他の動物といくら性交したって孕むわけはないんである。
こいつ本当に生物工学の教授なのか?

黙ってあたしの主張を聞いていた博士は、薄笑いを浮かべて答えた。

「……暴れるだけが取り柄のじゃじゃ馬娘かと思うとったが、そこそこ知識はあるよう
じゃの」

ったりまえじゃない。
年中無休の脳天気女のユリと違って、あたしは在学中でもちゃんと勉強してたんだから。

「確かに、今あんたが言うとった通り、まったく相違点のないような種では、精子と卵子が
出くわしても胎児は出来ん。つまり受精できないわけじゃな。その理由はといえば、その
動物の卵子には種独特の膜がある。透明帯と呼んどるが、ここには同じ種の精子でないと
入れないのだ。まあ、メスの卵子に入るための鍵を持っていると思えばよい」
「そうよ」
「じゃがな」

ここで博士はニヤリと笑った。

「逆に言えば、透明帯さえを取り去ってしまえば受精は可能ということになる。ロックを
外してしまうというわけじゃ。だからわしはまず、バイオテクノロジー技術を駆使して
こいつを取り払うことに成功した。これはそう難しいことではなかった」
「……」
「だが、これでもまだ不十分じゃ。膜を取り去れば、取り敢えず精子は卵子と出会うことが
出来る。だがそれでも受精はせんのじゃ。なぜかわかるかね?」
「……」

あたしは答えられない。
そんな専門的なことはわからなくて当然だ。
博士は、まるで学生に講義するかのような口調で説明を続ける。

「それはな、染色体じゃ」
「染色体って……」
「生物の遺伝情報を担う生体物質のことじゃな。通常、ひとつの染色体にはひとつのDNA
が含まれとる。進化にとって重要な役割を持っとるものだ。ちなみに人間なら何対あるか
わかるかな?」
「確か……46対?」
「正解じゃ。類人猿なら48対じゃな。馬で66対、鶏なら100対じゃ。生物というのは
な、いや生物の受精卵というのはな、精子、つまりオスの染色体、卵子、つまりメスの染色
体を半分ずつ組み合わせることにより、新しい細胞として生まれ変わるわけじゃ」

博士の言葉に熱が入ってくる。

「さっき言ったように、種によって染色体総数は違う。だから異なる染色体を半分ずつ出し
合ったところで、双方の数が異なっていれば組み合わせ不可能になるじゃろう? だから
異種間雑種というのは生まれんのだ」
「……」
「そこでわしはオークの染色体をいじった。こいつの染色体数は、類人猿ともヒトとも違う
47対だったが、それをヒトと同じ46対にしたんじゃよ」
「え……」

だったら。
だったら、何も人間の女と交配しなくとも、こいつらのメスを作って交尾させれば、出来た
子供は46対の染色体を持った人間もどきが出来るはずじゃないか。
そんなことを考えるだけでもおぞましいけど、少なくともオークと人間を無理に掛け合わせ
ることなんかないはずだ。
あたしがそう言うと、モロー博士はやや気落ちしたような表情で答えた。

「まったくその通りなんじゃ。わしもそうした。だが、どうしたことか、46対の亜人間
オーク同士を掛け合わせてもダメだった。受精することはするが、出来た胎児はオークの
それじゃったんじゃよ」

博士はため息混じりに言った。

「……何度やっても無駄じゃった。シャーレの中で人工授精させてもダメ、オスとメスを
交尾させてもダメ。とにかく何度やってもダメだった。そこでわしは最後の手段を執ること
にした」
「……人間の女と掛け合わせることにしたのね!」
「そうじゃ。もうそれしかない。実のところ、人工授精ではやってみたんじゃが、どうしても
うまくいかんかった。やはり自然の方法でやるしかないらしい」
「だっ、だけど!」

あたしは必死に言った。
何とかして、そんなのは無駄だと覚らせないと、あたしはまたこの猿に凌辱される。
そんなのはゴメンだ。

「さっきあんた自分で言ったじゃない! 卵子にはナントカっていう膜があって、そこには
同じ種の精子しか入れないって。人間なら人間の精子しか入れないんでしょ!」
「そう、その通り。だからわしは、オークの精液中にその膜を溶解させる成分を混入した」
「な……」

あたしは思い切り目を見開いた。

「だからな、こいつらの精液内には人間と同じ46対の染色体を持っとるし、相手の卵子の
透明帯を解かす酵素も入っとるというわけじゃ」
「じゃ、じゃあ……」
「うむ。こいつに犯されて、膣内に射精されたら孕むちゅうこっちゃ。人間の男が人間の女
と交配するのと同じになるな。むしろこいつらは、他のどんな動物と交わっても子は出来ん
が、人間かオークと交われば妊娠させることが可能だというわけじゃ」

こっ、この大馬鹿野郎!
なんてことすんのよっ!

「それじゃ気張って子作りに励んでくれい。邪魔者は消えるわい」

モロー博士はそう言って出ていった。

ひどいことになった。
ウソでも冗談でもなく、あたしはこの猿に犯されると本当に妊娠してしまうらしい。
そう考えると本能的に肉体が脅えるのか、膣が締まっていく。
ただでさえ太いオークのものが、犯されていることをイヤでもあたしに実感させた。

モロー博士に訥々と説明され、改めて妊娠の恐怖を思い起こされたあたしは、それこそ死に
物狂いでオークの手から逃れようとした。
でも。
上半身は二頭に抱え込まれている。
それもあたしの左右のバストをしっかりと掴み、痛いほどに揉みしだいている。
片手で乳房を揉みあげ、片手で肩を押さえつけられる。
何とか動く腰を懸命に捻って逃げようとするんだけど、それがかえってオークの挿入を
助けることになってしまった。

「あぐうっっ……」

あたしは仰け反った。
オークの逸物が、ぐぐっと深くまで貫いてきた。
さっき膣内射精されてオークの精液で穢れた子宮を、さっきとは別の肉棒が、またこじり
開けようとせせりあがってくる。

快感なんかない。
苦痛だけである。
もちろん猿なんかに犯されているという精神的な苦痛もあるが、物理的にアソコが痛いんだ。
バカみたいに大きなものをムリヤリくわえさせられて、あたしの締まりのいい膣がギシギシ
いってる。
石か何かみたいに硬いのが、内臓である子宮をゴリゴリしてるのだ。
痛くないわけがない。

狭くてきついあたしの膣は、凌辱する側にとっては具合の良いものなんだろう。
あたしを犯すオークは、気持ち良さそうにグリグリと抉ってきた。

「痛いっ……ったいってんでしょうっ、ああっ……す、少しは加減をおしっ……あっ」

無駄と知りつつも、あたしはそう言わずにはいられない。
なんせ、突っ込まれると呼吸が出来ないくらいにきついのだ。
でかすぎるのだ。
首を曲げて、自分が貫かれてるのを見て慄然とした。
めり込まされてる。
オークのペニスがあたしの股間の真ん中に窪みを作って、中に押し込まれてる。
本当に壊されると思った。

「ひっ……やめてよぉっ……」

オークはあたしの太腿を抱え込み、ズンズンと突き上げ始めた。
決して焦って犯しているわけではないのが憎たらしい。
余裕すら持ってあたしを犯している。
まるで締まりの良い膣内の圧力を愉しむかのように、律動を繰り返した。

自分の膣内がきゅうきゅうと締まってきてるのがわかる。
なのに許容量以上の大きさのものがずるずるっと抜き差しされていた。
それでも裂けたり傷ついたりしてない。
認めたくなかったが、濡れていた。
出し入れされるオークの肉棒には、ぬらぬらとした蜜が絡みついていたのだ。
繊細な膣を傷つけないように分泌されたものだと思いたいが、それだけではない感覚が子宮
の奥からこみ上げてきた。
オークの繰り出すペニスに、身体の方が反応し始めている。

だめだ。
理性なんかとはまったく別に、身体が肉の刺激に感応していた。
抽挿される猿の性器、あたしの襞がねっとりと絡んでいく。

「ああっ……ああ、もういやあっ……くあっ……」

涙が出てくる。
あたしは今、どんな顔してるんだろう。
人外のものに犯され、その美貌は悔しくて歪んでいるに違いない。

でも。
だんだんと頬が火照ってきてるのも事実。
時々だけど、力なく口が開いてしまうこともある。

まずい。
これがもっと進むと、人として女として口にしてはならないことまで言ってしまいそう。
猿に犯されて歓喜の声を出す。
それだけは絶対に避けたかった。
そう思った瞬間、オークはもっとも奥まで突き上げてきた。

「うはああっっっっ……」

悲鳴が出た。
柔らかい子宮を小突かれる痛みだけでなく、名状しがたい強烈な痺れが走ったからだ。

オークはさらに奥まで入れるつもりなのか、あたしの片足を抱えて大きく開脚させ、挿入
したままググッと腰を押しつけてくる。
やつの亀頭部があたしの子宮口に直撃する。
何度も何度も子宮口を突き上げられた。

締まる。
あたしのアソコが締まる。
膣道だけでなく入り口も狭くなっていく。
まるでペニスの根元を締め上げるかのように。

「あっ……ああっ……んううっ……んむっ……だっ、だめえっっ……」

だ、だんだんと、ああっ、か、快感の方が勝ってくる。
太すぎるものを突っ込まれる苦痛が薄れ、充実感とともに痺れるような肉悦がくる。
だめ。
ホントにだめ。
このままされたら来ちゃう。
アレが来ちゃうよぉ。

「ああ……もう許し、ああっ……だめよお……ひっ……んむっ……」

窮屈な膣内に極太のものが押し込められている。
そのせいで伸びきってる膣襞がゴリゴリと擦られるのだからたまらなかった。
あたしのアソコはオークのペニスに対して激しい反応を示していた。
口から洩れる吐息も、湿度と温度が上がってきている。
男心をとろけさせるような、甘ったるい湿った声になっていた。

「んんっ……んっ、おおっ……あ、ああ……か、はあっ……」

感じ方が鋭くなる。
オークの責めを、肉体が貪欲に受け止めてきた。
あたしは、オークから注がれる快楽に身を委ね出した。
とても入るとは思えなかった巨大な肉棒をがっつり挿入され、繰り返しピストンされ、
胎内にたまった淫らな蜜を掻い出していた。

それだけでもたまらなかったのに、さらにあたしを煽り立てようと、他の二頭も協力する。
ごつい大きな手で胸を押し潰すように揉み込み、ザラザラした舌で背筋や首筋、腋など、
感じやすいところばかり舐め回してきた。
乳房の根元、胸筋までもゴリゴリと力任せに揉み潰され、それまでにない快感を得て
あたしは喘いだ。

「んあっ……んあああっ……ひっ……ああ、いっ……いっ、いうっ……」

厭きることなく抉りあげられ、あたしをどんどんと淫蕩淫爛な女に変化させていく。
あたしがすっかり受け入れるようになったのがわかるのか、責めるオークも容赦なく突き
上げていた。
見えないけど、もうすっかり爛れているだろう媚肉いっぱいにペニスが突き刺さる。
グイグイと抉り込み、もっとも深い位置にある女の臓器を虐め抜いた。

ただ深くまで犯すだけではない。
深々と最奥まで貫き、引き抜く。
根元までぶち込んでそのままの位置で腰を押しつけ、グリグリと円運動までしてのけた。

そう。
最初は1/3くらいあたしの媚肉からはみ出ていたオークのペニスは、いつしか完全に
埋没していた。
どうなっているのかわからない。
子宮を上まで押し上げられている感じはするが、それにしたって全部入るとは思わなか
った。
なのにオークは、今ではあたしとやつの恥骨がぶつかり合うまでに根元まで挿入して
いたのだ。
その腰使いに圧倒され、あたしは小爆発を繰り返していた。
小波のようなオルガスムスを何度も感じていた。

「だめっ……ああ、そんなかき回しちゃあ……いっ……ああ、いいっ……」

ああ、恥ずかしい。
とうとう言っちゃった。
猿に犯されて「いい」だなんて。
我慢できなかったんだ。

オークはあたしの中で思う存分動き回った。
窮屈な膣内をスクリューみたいにかき回して、まるであたしの媚肉を拡げにかかっている
かのよう。
もちろん子宮は小突かれっぱなし。
ますます硬くなってるペニスは、子宮口を開かせようとゴリゴリ擦りつけてくる。
こんなことされたら耐えられるわけがない。

「オオウ……オウッ」
「な……なに……?」

オークが変な声を出した。
それまで余裕すら見せて律動してきた腰が震えてる。
ズンズンと奥までめいっぱい深く貫いていたのが、浅くて小刻みな突き込みに変わって
きてる。
えっ、これって。
これって、もしかして出そうとしてんの!?
あたしの中に射精すんの!?

「だ、だめっ、おやめっ……出しちゃだめよっ……ああ、いやあっ」

あたしは一瞬にして醒めた。
オークのパワーに対抗して、必死に抗い逃げようとする。
ここで射精なんかされたら絶対いってしまう。

いや、それどころじゃないんだ。
さっきのモロー博士の話によると、本当にこいつらは人間の女を妊娠させることが出来
るらしい。
さっきは知らなかったから平気だったけど、事情を知った今は別だ。
冗談じゃない、オークの子を孕むなんて絶対にイヤっ。
ああ、だけど。
妊娠なんか絶対いやなのに、身体が言うこと聞いてくんない。
あたしの膣は痛いほどにやつのペニスを感じ取っている。
締めつけてる。

「ぜ、絶対だめだからっ……聞いてんの、この猿っ……しゃ、射精しちゃだめっ」

言っても無駄だし、聞いてもいない。
オークはオウオウと吠えて、盛んに腰を打ち振っている。
もうあたしを感じさせるためのセックスじゃない。
自分が満足するため、思い切り射精するためのセックス。
あたしを孕ませるための、文字通りの交尾だ。

オークは小刻みなピストンを数十回も繰り返した後、今度は思い切り深くまで突っ込ん
できた。
虐められ続けて口を開きかけていた子宮に、ぴったりと亀頭の先っちょを押し当てると、
そこで一気に射精した。

どびゅるるるっ。
どぶどぶどぶっ。
びゅくくっ。
びゅるるっ。

「だめ、いやあああっ、な、中で……ああ、中で出されてる……いや、抜いてえっ……」

なおもオークの射精は続き、何度も腰を振ってあたしの中に注ぎ続けた。
人間より体温が高いせいか、人のそれよりずっと熱い精液がどくどくと流れ込んできた。
どろどろと濃度が高いのは、子宮に浴びせかけられるその感触でわかった。

「ああっ……あっ……」

あたしは、オークのペニスが震えながら射精してくると、その脈動に合わせるようにぶるる
っと痙攣していた。
いってしまったのだ。
犯され、妊娠させられるという恐怖とは裏腹に、巨大なもので抉られ、胎内に精液をぶち
まけられる被虐の快感。
まるでオークの肉棒から残ったザーメンを絞り出そうとでもしているかのように、あたしの
膣はきゅっと締まっていく。
あたしは、子宮の奥にまで流れていく濃い精液の感触にとろかされ、意識が薄れていった。




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