マンションのスチールドアが乱暴に開かれた。
途端に酔ったミサトの声が響く。

「ぷあーーっ、飲んだ飲んだ!」

龍田は、やや足下の覚束ないミサトに肩を貸しながら、暗闇の中、灯りのスイッチを探す。
パチッと音がしてまばゆい光が玄関を照らすと、ミサトはまぶしそうに目を薄くした。
今日は、同窓生だった加持、リツコ、そしてミサトが主催して歓迎会を催したのである。

なのに、加持は寸前になってキャンセル、リツコの方も昨日になって急遽、防衛省へ出張することとなり、これも欠席となってしまった。
それならまた出直すかと龍田は言ったのだが、ミサトの方が「せっかく予約したのだから、ふたりでもいいから行こう」と誘ったのである。
ミサトは不義理な加持やリツコにぶつぶつ文句を言ったが、特別監査部の加持が神出鬼没でいつどんな予定が入るか判らないのはわかっていたことだ。
リツコの方も、こちらからの希望ではなく相手からの要請での出張だったから不可抗力だ。
こんな仕事をしている以上、こうした予期せぬ予定は日常茶飯事ではある。
ミサトだって同じなのだ。

しかし、せっかく6年振りに顔を合わせた旧友との再会だ。
仲良しだった4人集まってというのはまた別の機会にして、ミサトだけでも今日は再会を祝ってあげたかった。
加持は飄々としたタイプだが、龍田の方は朗らかで物事にあまりこだわらない方だったから、ふたりきりの飲み会とはいえ大層盛り上がった。
ネルフを定刻の18時で引けてから飲みに行って、最後の店を出たのは午前1時だったから、6時間以上は飲んでいたことになる。

「どこ? 喉、渇いたってば」
「わかったよ、わかったから、あんまり暴れるな」

龍田は苦笑しながら苦労してミサトをダイニングまで連れて行った。
ここは龍田のマンションである。
ミサトのいるマンションとは別棟で、飲んだ店からはこっちの方が近いということで立ち寄ったのだ。
喉が渇いたというミサトに対し、それなら俺の部屋で休めと言われてついてきた。
自販機で買って飲んでもいいと言ったのだが、それでは味気ないからと龍田に言われ、それもそうかとあまり深く考えずに彼の部屋を訪れたのだった。
キッチンテーブルの椅子によろよろと腰を下ろすと、酒臭い息を一気に吐き出す。

「でもさ、龍田くん全然変わってないね。なんだかホッとしちゃった」
「そうか? 葛城もそうかな。いや、それでも少しは落ち着いた感じになったか」

龍田はキッチンの灯りをつけ、テーブルを片付けながら相手をする。

「少しは、ってひどいなあ。でも、そうかな。一応、保護者やってるしね」
「そうなんだってね。エヴァのパイロットをふたりも引き取るなんてな」
「引き取るってこともないんだけど。まあシンちゃんの場合は成り行きって言うか……、一人暮らしさせるのは何となく可哀想だったから」
「ふうん」
「アスカはまた別。あれの場合は、勝手に押しかけてきたみたいなもんよ」
「らしいな。あれ? もうひとりは?」
「ああ、レイね……」

なぜかミサトは少し目を伏せた。

「彼女がいちばん古いんだろ? なんで綾波って子は引き取らなかったんだ?」
「……あの子は少し感じが違うから。仮にあたしと暮らそうって言っても、断ってきたでしょうね」
「そうなのか。まあ僕はまだあんまりよく知らないけどね。あ、シンジくんとはたまに話すよ。アスカはもともと顔見知りだしな」
「あ、そうなんだってね、加持もアスカもそう言ってた」
「ベルリン駐在時代だな。まあ短かったけどね。そこでもアスカは例によってよく目立ってたから」

龍田がそう言うと、ミサトもおかしそうに声を立てて笑った。
また少し頭痛がした。
龍田が少し顔を顰め、小さく唸った。
それを耳聡く聞きつけたミサトが心配そうに言う。

「どしたの? 悪酔いした?」
「……いや、平気だ」

少し白目の部分が青みがかった龍田の口調が落ち着いた。
龍田は冷蔵庫を漁って、ペットボトルのスポーツ飲料を取り出し、口を開けるのももどかしく、一息で半分ほども飲み干した。

「あーーーっ、龍田くん、自分ばっか飲んで。あたしにもちょっち頂戴ってば」
「……」

ミサトの言葉を無視するように、龍田はまたペットボトルを口にする。

「あ、こら、全部飲むな! あたしにも……むうっ!?」

突然に抱きすくめられ、ミサトは龍田の唇を奪われていた。
仰天したミサトは、目を白黒させている。

「うむっ……んんっ」

咄嗟に歯は閉じたが、唇はそのままだった。
そこに男の唇が押しつけられ、ミサトは酔いがいっぺんに醒める思いだ。
両手で龍田の肩を掴んで離そうとしたり、胸に手のひらを当てて押し返そうとしたものの、龍田はしっかりとミサトの顔を抱え込んでいる。

「んっ……んっ、く、くっ……うもっ!?」

また新たな衝撃がミサトを襲う。
何かの液体が彼女の口中に流し込まされてきたのだ。
薄甘いこの味は、飲み慣れたスポーツドリンクのものだ。
龍田は、一度口に含んだ飲み物を、口づけしてミサトの口の中に注ぎ込んでいた。

「ぐっ……ぐううっ……んっ……んくっ……くんっ……んくっ……」

ミサトは顔をしかめて液体を飲み下していった。
口中に溢れかえるほどに注ぎ込まれたからだ。
毒ではない飲料だし、喉も渇いてはいたが、いったん他人の口に入ったものを飲むなど寒気がした。
冷たかったドリンクは龍田の口で温められ、生温かい状態でミサトの咥内に入ってきている。
吐き出したいが、龍田が口を離してくれない。
鼻から出そうと思えば出来るだろうが、あまりにも無様である。
ミサトは目を堅くつむり、鳥肌を立てながらそれを飲み込んでいく。

「……っ……んくっ……ぷあっ! な、何すんのよっ、あっ、むむうっ!」

ようやく口が離れたものの、酸素を吸い込み、龍田の文句を一言言っただけで、また唇が吸い付いてきた。
唇を離したのは。新たな飲料をまた口の中に補給するためだったようだ。
今度は拳を作って腕と言わず肩と言わず、胸や背中まで叩いたのだが、龍田はビクともしないでミサトの口を塞いでいた。

またも大量のスポーツ飲料を流し込まれ、それを飲まされた。
1リットルサイズに残っていた500ccほどを飲まされると、やっと龍田はミサトを解放した。

「ぷああっ……げっ、げほげほっ……ごぼっ……!」

ミサトは口を押さえ、苦しそうに咳き込み、嘔吐き上げた。
押さえた手のひらの隙間から、白濁した飲料が僅かに零れて床を汚した。
ほとんどは飲まされてしまったようだ。
まだ嘔吐き上げるのを何とか堪えると、ミサトは立ち上がって龍田を睨んだ。

「何するのよ、あんた! 酔ってるの!? あたしは……うむううっ!?」

龍田は、口を拭っていたミサトの右腕を掴むと、左腕で彼女の頭を抱え込み、またもその唇を奪っていく。
叫んでいただけに口を開けていたミサトは、易々と龍田の舌の侵入を許してしまった。

「ん、ん、んむっ……ぐぐ……ふっ……んむっ……んんっ……」

男の太く熱い舌の生々しい感触が気持ち悪い。
友人である龍田の舌を噛み切ることはさすがに出来ない。
舌で押し返そうとするものの、かえって龍田の舌に絡めることとなり、効果はなかった。
結果として、龍田が満足するまで、あるいは息継ぎをするまで耐えるしかない。

「んんん……んん〜〜っ……」

別の生き物のように舌がミサトの咥内を蠢き、犯していく。
上顎の裏や舌の付け根、前歯や奥歯の歯茎までたっぷりと舐められ、愛撫された。
彼の唾液がじわじわと口中の粘膜に染みこんでいく気がした。
実際、びりびりとするような感触が咥内に広がっていった。
最後に、舌を付け根から引き抜かれるほどに強く吸われると、ようやく男は口を離した。

「ぷあっ……あ、はあ……はあ……はあ……」

龍田もそうだろうが、ミサトも息ができなかったから、口が離れると激しく呼吸を繰り返した。

「あっ……」

そんなミサトをまた抱えなおし、今度は両手をしっかりと顔を押さえ込み、龍田は強引に口づけをした。
もうミサトはすっかり観念したのか、あるいは酔いが回って力が入らないのか、あまり抵抗しようとしなかった。
龍田の好きにさせ、時折「んんっ」と呻いたりするだけでその身体を預けている。
眉間を寄せ、目を堅くつむって拒絶感を表してはいた。身体は小刻みに痙攣している。
たまに喉が小さく動くのは、彼の流し込んでくる唾液を飲まされているのかも知れない。

龍田が唇を解放すると、ミサトは力なく彼の身体に寄りかかっていた。
目の下あたりがぼうっと赤くなっている。
酔いのせいもあるだろうが、それだけではなさそうだ。

実際、ミサトはおかしな気分になってきている。
何となく身体が熱いのだ。
まさか龍田に欲情しているのかと思い、首を大きく横に振り払った。
もしかすると自分はキスが好き……というよりキスに弱いのかも知れない。
そう言えば、加持との関係が復活したきっかけというのも、ネルフ本部内のエレベータの中で強引に加持にキスされたことだったような気がする。
無論、そんなことだけで恋愛感情が復活したり、性的に欲情することはないと思うが、そんな加持を憎めなくなったことだけは事実だ。

だが、今さっきの龍田の接吻はそれ以上だった感じがする。
どこがどうとは言えないが、何だか口の中に何かが染みこんできたような感覚があり、それが体内にまで伝わったみたいな錯覚もあったのだ。

「や、やめてよ、ホント……。あたしは龍田くんとは何でもないんだから」
「……」
「加持くんから聞いて知ってるんでしょ? あたしは……」
「また加持とよりを戻したんだってね」
「そ、そうよ……。わかってるなら、もうやめて……あ、ちょっ!」

まだ力の入らないミサトの腕を掴むと、龍田はその身体を引っぱっていく。
嫌がって足腰に力を入れて踏ん張るものの、ストッキングを履いた足の裏はフローリングの床や廊下をつるつると滑り、引きずられていった。
そして部屋のドアを開けると、そこに放り投げるようにミサトの身体を押し込む。

「あっ!」

バランスを崩してミサトが倒れ込んだのはベッドの上だった。
触れた掛け布団の感触と身体が弾む感覚でそれと知ったミサトは、顔色を変えて旧友を詰った。

「どういうつもりなの!? あなた、そんな男だったわけ!?」

こんな関係になろうとして龍田の誘いを受けたわけではなかった。
純粋に喉が渇いていたし、自販機で飲むくらいなら近いからウチへ寄れという彼の言葉に納得したからだ。
何か飲ませてもらい、一休みしたらすぐに帰るつもりだった。
ゆっくりするつもりはなかったのだ。
まして外泊する気など毛頭なかった。
マンションにはシンジたちが待っているのだ。
第一、今のミサトはもう加持とよりを戻している。
そのことは龍田も知っているし、それを祝ってくれていたのに。

「やっ……!」

転がされた状態から慌てて立ち上がろうとしたミサトだったが、横座りの状態で、龍田に背から抱きつかれた。
驚いたミサトは、龍田の胸の中で必死にもがく。

「やめて、龍田くんっ! 本気なの!?」
「本気だとも。今夜は泊まっていってもらおうか」
「そんな、いやよ! え、あ、やめて、あっ!」

龍田の暴挙を何とか食い止めようと叫ぶミサトがぞくりと震える。
うなじから首筋にかけて、男の熱い舌がねっとりと這い始めたのだ。
同時に、龍田の腕がミサトの制服の赤いチョッキをはだけさせ、ワンピースの前を開ける。

「やめて! 何度も言わせないで、あたしには加持くんが……あ……本当にやめてよ、龍田くん、お願いだから……んっ……」

懸命に説得するミサトだったが、同窓生の腕は止まらなかった。
ジャケットを肩から外し、ワンピースをずらした。
すると、大きな乳房が薄いブルーのブラジャーに覆われたままその姿を現した。
龍田は大きな手をそれをゆっくりと円を描くように揉みしだいていく。
ミサトは堅く目を閉じ、拒否するように首を振りたくった。

「んっ、やめてっ……あっ……ほ、ホントに酔ってるの!?」
「酔ってるかと聞かれれば、まあ酔ってるな。でも、葛城とこうしたかったのも確かだよ」
「バカ言わないでよっ、あ……んんっ……いやっ……」

首を振るミサトの横顔に自分の顔を押しつける。
ミサトの顔がカッと赤く熱くなるのがわかった。
狼狽える美女の仕草を眺めつつ、龍田は彼女の耳たぶを軽く噛んだ。

「あっ……!」

また、ぞくっとするような刺激が女体を貫く。
いけない、こんなのイヤと思っているのに、どうしたことか身体からは逆に力が抜けていくかのようだ。

普段、温厚な龍田の突飛な行動と自分の心身の変化にミサトが戸惑っているうちに、龍田は舌先を尖らせ、耳の穴に差し込んできた。
息と舌の刺激が敏感な箇所にかかり、ミサトは背筋を震わせて呻いた。

もう止められない。
ミサトの右腕は、下半身をまさぐってくる男の右手を必死に押さえているし、左腕は乳房を愛撫している龍田の左手を止めようと掴んでいた。

「んんっ……だめ……だめだったらあっ……あっ……」

おののく手で何とか止めようとするのだが、龍田は微笑すら浮かべながらミサトの耳に息を吹き込んでいる。
右手はミサトの抵抗を押しのけて、短いスカートの裾から中に入り込んでいる。
左手の方はブラウスの前を完全にはだけさせ、左右の乳房を両方とも導き出した。
衣擦れの音とミサトの呻き声と息遣いが、深夜のマンションに響いていく。

「い、いい加減に、ああ……やめてってば……あ、あ……」

つい漏れてしまいそうになる甘い声を堪えつつ、後ろから責める龍田を振りほどこうとするのだが、口に籠もった熱い吐息が鼻から甘く漏れてくる。

「んんっ……んう……」

龍田は、ミサトの長い黒髪を鼻先や唇を使って器用に掻き分け、露出させたうなじに舌を這わせている。
髪の生え際を中心に、龍田の唾液が塗りたくられていく。
耳穴や耳たぶも舌に嬲られ、ねっとりとした粘液で光っている。
股間に這わせた右手の人差し指と中指は、ストッキングと下着の上から盛んに恥丘を撫で回し、ナイロンを擦る音を立てている。

「あっ!」

ミサトは、突如、胸に涼しい外気が当たったことに気づいた。
とうとうブラのカップが外され、ぷるんとしたまろい乳房が解放されたのだ。
右のカップが外されると、すぐに左のカップのずらされた。
まだ20代前半の張りを見せる艶やかな肌に、龍田の無骨な指が食い込んでいく。

「いっ……んんっ……さ、触らないで、あっ……お願い……お願いよぉ、龍田くん……もうこれ以上は……うんっ……」

ミサトの声がはっきりと甘くなっていくと、龍田は焦らずじっくりと彼女の身体に愉悦を送り込んでいく。
わしわしと揉みしだくのではなく、あくまでソフトに優しく揉み込んでいった。
バストの外周をなぞるように指先で擦っていくと、ミサトは首をくっと仰け反らせて唇を噛む。
今度は乳房の重さを量るように、手のひらを大きく使ってアンダーバストを持ち上げながら揺さぶる。
左右の乳房を順番に愛撫してミサトを惑わせていく。

「やめてもう……あっ……あたし何だか……ああ、か、加持くん、あたし……」
「ふん」
「龍田くん、やめて……あ……あたしには加持くんが……」
「加持? 加持なんかここにはいないさ。忘れてろ」
「そんな……あたしは……」
「勘違いするな。加持のことを完全に忘れろって言ってるわけじゃない」
「え……」

どういうことなの、とミサトは振り返った。
その瞳は熱く潤んでいる。
仲の良い龍田にこんな目に遭わされて哀しいのか、それとも次第に欲情してきてそうなっているのか、ミサト自身にもよくわからなくなってきていた。

「別に加持と別れろと言ってるんじゃないんだよ。今まで通りつき合えばいい」
「じゃ、じゃあ龍田くん、なんでこんなことを……あっ……」
「理由か? そうだな、葛城をまた抱きたくなった。それじゃいけないか?」
「そ、そんなこと……あうっ!」

龍田は、硬くなり始めていたミサトの乳首をくりっと捏ねた。
ミサトは引き攣るような呻きを漏らし、乳首はあっという間に充血して尖っていく。
面白いことに、捏ねた乳首は左の乳房なのに、右の乳首も同じように尖り始めている。
右手も休むことなくミサトのスカートの中をまさぐっていた。肌が汗ばんでいるのがストッキングの上からでもわかる。

「だめえ……ああ、いやあ……んんっ……か、しのっ、くんっ……いっ……」

徐々に身体中から力が抜けてくる。もう座ってもいられないのか、完全に龍田の胸に肢体を預けていた。
ミサトを後ろから抱き支えている龍田は、力が抜けて開きかけている股の間に手を滑らせた。
しっかり閉じて抵抗していた両脚も、いつしか隙間が空くほどに緩んでいたのだ。
クロッチに守られた敏感な部分をするっと擦られ、ミサトはギョッとしたように叫んだ。

「あっ、だめっ!!」

思わず股間を閉じようと腿に力を込めるのだが、もう潜り込んでしまった手はどうにもならない。
逆に、太腿の肉感的な感触で龍田を愉しませただけだった。

「あう……」

柔らかく、そして熱くなっていた女の秘肉を薄いナイロンと綿越しに愛撫していく。
中指をそこにぴったりとあてがい、肉の溝に沿うように上下に擦る。
次に左右に動かして、割れ目が開くようけしかけていった。
ミサトは熱くなった肢体をどうにも出来ず、激しく首を左右に振って呻くだけだ。

「だめえ……本当にこれ以上はだめよ……あ……龍田くん、やめて……あ、あなたのこと嫌いになっちゃう……ああ……」
「嫌いに? そんなことないだろう、気持ち良くされてるのに」
「違う……違うのよ……そ、そうじゃなくて、ああ……」

手に余るほどの大きさを誇る乳房を柔らかく揉みしだいてその弾力を愉しみつつ、龍田はなおも股間を責める。
ショーツとストッキングを通して感じられる肉の周辺からは、仄かな女の匂いが漂っている。
盛り上がった恥丘、ぷるぷると肉のついた太腿、そして臀部。
そこからは成熟した女の肉感があった。
若い娘の肌のような指を弾くような感じは少ないが、その分、擦る指に吸い付いてくるような感覚があった。

「あ! やっ……あ、あう……いっ……ああああ……」

爪を立ててストッキングを軽く破り、直接ショーツの上から媚肉を撫でる。
すると、そこはもう湿り気を帯びてきていることを龍田の指に伝えてきた。
龍田は、滲む愛液をくちょくちょと鳴らしながら、ショーツのクロッチ部分に媚肉に割れ目をはっきりと浮かび上がらせていく。
下着を押し返すように勃起してきていたクリトリスをショーツの上から何度も何度も擦り、刺激してやる。
ミサトはそのたびに、噛みしめた唇から押し殺した喘ぎ声を零していく。

「うっ、うんっ……んむっ……そこやめて……あっ……ああ、あは……」

ミサトは龍田の性技の巧みさに動揺していた。
いけない、いやだと思うのに、身体の方がどんどんと追い込まれていってしまう。

(か、龍田くん……、前より上手になってる……あう……)

もはや喘ぎ声を押さえ、よがりださないよう堪えるだけが精一杯のミサトに対し、龍田はなおもいたぶるように責め続ける。
乳房を揉む手に力を込めると、柔らかいミサトの乳房に龍田の指は埋没してしまう。
大きく指を拡げて揉み込むと、手のひらいっぱいにミサトの体温としっとりした肌の感触が伝わって龍田を陶酔とさせる。
もみもみと揉みしだくと、ミサトの乳房は淫らに歪み、形を変えていった。
揉む手を徐々に上へ持っていき、乳輪をきゅっと絞るように捏ねると、その部分がぐぐっと盛り上がるように膨れていく。

「あう……」

乳輪を絞られ、乳首が飛び出すように勃起すると、ミサトは顎をくっと持ち上げ、頭を龍田の肩に預けるように押しつけてきた。
乳首がもうびくびくと硬くしこっており、ミサトの肉体が強い性的快感を享受していることを示している。
龍田は乳輪を絞るように捏ねながら、飛び出した乳首を乳輪に戻すように押し込んだ。

「ひあっ!」

ミサトは噛みしめていた唇から鋭い声を放ち、愉悦に身悶えている。
もともと感じやすい身体だとは思っていたが、今日は特に「来る」。
やはり、あの強引なディープ・キスからおかしくなってしまった気がする。
自分でも恥ずかしいくらいに下着を濡らしてしまっていた。
それを指摘するように、破いたストッキングを越え、ショーツの裾から入り込んだ龍田の指が直接媚肉に触れてきた。

「あ!」

龍田の指は、濡れそぼった陰毛を掻き分け、厚めの割れ目を擦りながら、その頂点を目指していく。
そこには包皮から顔を出した肉芽が歓喜に震え、ひくついていた。
指の腹でそっとクリトリスの根元あたりを撫でていく。

「だめっ……! あ、ああっ……そこいやあっ……あ、やめ、ひっ……あああ……」

仰け反るミサトの美しい額には、じっとりと汗が浮いてほつれ毛が貼り付いていた。
乳首やクリトリスといった敏感なところに触れられると、びくっ、びくっと身体が痙攣し、力が抜けてくる。
後ろに倒れかかり、しなだれかかってくるミサトの身体からは、むっとするような熱気とフェロモンが噴出し、まさに女のナマの肉体を感じさせる。

しこった乳首をつまみ、弾き、軽くひっかく。
かと思うと、乳房全体を大きく掴んで揺さぶるようにじっくりと揉み絞った。
敏感な肉芽を責めている指は、絶え間なく漏れ出る女蜜をまぶしながら、柔らかくそこを刺激していく。

「どうだ、気持ちいいか?」

龍田の恥ずかしい問いに、ミサトは耐えきれないようにコクッと小さく頷いた。

「で、でもだめ……あっ……こ、これ以上は、ああ……」

そう言って拒絶しつつも、ミサトの美貌は愉悦に染まっていく。
身体の奥に、熱く滾った官能がぐぐっと頭をもたげてくる。
ハッとして振り払おうと頭をかくかくをぎこちなく振った。
人差し指にクリトリスを嬲らせたまま、中指はそっと媚肉を這い、その割れ目へ滑るように侵攻させていく。
実に呆気ないほどにぬるっと膣口に入り込んできた指の感覚に、ミサトは一瞬呼吸が止まり、くぐもったような悲鳴を上げた。

「だ、だめっ……んんっ!」

慌てたミサトは、乳房を責める龍田の左手を食い止めようとしていた左手も動員して、股間を嬲ってくる男の右腕を掴む。
両手で龍田の右腕を掴み、引き離そうとするものの、腕がわなわな震えて力が入らない。

その間にも指を飲み込んだ媚肉は収縮し、龍田を締め付けてくる。
緊張しているのか、まだ拒否感が残っているのか、ミサトのそこはきつく閉じてはいたが、ねっとりとした蜜で潤っていた。

「だ、め……あ、あう……あうう……」
「何がだめなんだい。気持ちいいくせに」
「で、でも……あ、そんな……あっ……ああっ……」

恋人だったことはないが、旧知に友人に犯されかけるという異常事態に、ミサトの性感は鋭敏な反応を見せ、次第に昂ぶりが止まらなくなっていく。
ともすれば、龍田の腕を押さえている手から力が抜けかけ、思い出したようにまた引き離そうとする。
愛液が滴り、シーツには既に大きな染みが出来てきた。
妖しいまでの快感に、ミサトは全身の肉を熱くわななかせ、際限なく蜜を分泌させてしまう。
抗い続けつつもその快感に耐えているうちに、愉悦は熱となってミサトの肉体深くに溜まっていく。
耐える時間が長くなればなるほどにそれは膨れあがり、熱を持ち、ミサトの身体を灼いていった。

「ホ、ホントにやめて、あっ……し、しないで、ああ……あっ……」

膣に差し込まれた指が、その長さいっぱいに使ってゆっくりと抜き差しされていった。
単純な出し入れだけでなく、膣口を拡げるように回転し、膣内の襞を指先で擦ってやると、ミサトは唇を噛みしめながらも大きく仰け反った。
知らず知らずのうちに腰がくねってきている。

「あ、あたし、もうっ……龍田くん、お願いっ、あっ……」
「お願い? いかせて欲しいのかな?」
「ちっ、がうっ……もうやめ、ああっ……んっ……んんっ……」

指いっぱいに使って深々と埋め込むと、柔肉が熱く締め付けてくる。
内部を抉る指が一本きりなのに、それを締め付ける収縮感はかなりのものだ。
それを引き剥がすようにゆっくりと指を回転させ、女肉を捏ねるように抉っていく。
いよいよ追い込まれたミサトは、切羽詰まったようにぐっと両手に力を入れ、何とか龍田の腕を離そうとする。

「あっ、あ……だめっ……あはっ……」

なおも龍田は責め続け、左手で乳房をぐいぐいと揉み込み、乳首を捏ねている。
媚肉も、さっきから盛んにぬちゃぬちゃと粘った水音をさせながら、男の指を喜々として受け入れていた。
奥まで深くずぶっと貫かれ、あるいは第一関節までの浅い挿入で、曲げた指先で襞を擦られる。
そして何度か思い切り深くずぶっ、ずぶっと律動させてやった。

「ひっ、ひぃっ……だめ、ああっ……もっ、もうっ……んんんんっっ!!」

その瞬間、ミサトはびくっと大きく身体を痙攣させ、噛みしめた唇をわななかせた。
その様子と、内部に入り込んだ指を痛いほどに締め付けた感覚で、ミサトが絶頂したことがわかった。

「ああ……」

ミサトはがっくりと全身の力が抜け、その背中を龍田の胸に預けた。
熱く甘い吐息をはあはあと吐いているその美貌に誘われ、龍田はまたキスを仕掛けてくる。

「ん、んむっ……」

抗いようもなく、ミサトは受け入れさせられた。
咥内を自由にさせ、舌を付け根から吸い取られるほどにきつく吸われた。

「あ……」

ショックと快感で気を失うほどだったミサトは、心持ち身が軽く、涼しくなってきたことに気づき、薄目を開けた。
見れば、龍田がてきぱきと彼女の衣服を剥がすように脱がせていた。
まだ媚肉の痺れが取れず、ミサトは抗いもせず身を任せている。

「ほ、本当に……」

ミサトがようやくそう言った時には、ジャケットはもちろんワンピースまで脱がされていた。
その時の記憶はまったくない。
ブラジャーは上へずり上げられたままだったが、ブラウンのストッキングはくるくると巻き取るように下げられ、右足の足首にまとわりついている。
ショーツも下ろされ、それも足首に引っかかっていた。
ここまで下半身を脱がされるには、どうしても女性の協力がいる。
お尻を持ち上げてくれなければ破り取るしかないのだ。
しかしミサトには、脱がしやすいように腰を持ち上げた憶えがなかった。
ミサトは潤んだ瞳でじっと龍田の目を見つめた。

「本当に……するの?」
「もちろん」
「ど、どうして……どうしてそんな……。こんなこと許されないわ……、加持くんにだって……」
「加持はそのうち納得する。そういう風になっている」
「そんなわけないでしょ……。あ……」

ミサトが顔を伏せつつ小さくそう言うと、目の前に龍田が仁王立ちしていた。
もうトランクスを脱ぎ去っており、股間には猛々しいものが隆々とそびえ立っていた。
それを恐ろしげに見ながらミサトは後じさる。

「だめ……、やめましょう、龍田くん。それだけは……」
「……」
「ど、どうしても……?」

龍田は頷きながら、ミサトの上に膝立ちになった。

「ああ。別にどうってことはないだろう。俺たち、初めてってわけでもなし」
「……」

そうなのだ。
実はこのふたり、過去に一度だけベッドを共にしたことがある。
大学時代のことだ。

ミサトは、ややもすると今でもそうだが、セックスに対してそれほどの貞操感はない。
いや、ないわけではない。
しかしそれは「恋人がいる以上、他の男とは慎むべきだ」というレベルである。
こだわりがないのだ。

彼女にとってセックスとは、コミュニケーションの一種だ。
挨拶とか握手とかの一形態に過ぎないと思っている。
無論、誰にでも身体を開く「股の緩い女」というわけでもない。
彼女には彼女なりの考え方があって、誰とでも寝るという女ではないのである。

恋人がいない期間などは、身体の相性と調べるという意味で、これと思った男とは比較的容易にベッドインしたこともあった。
また、仲の良い知人友人の男に対し、彼の窮状を救いたいと思って、身体で慰めることもあった。
実際、これは被保護者であるシンジに対しても試みたことがあるくらいだ(拒否されたが)。
必要以上の道徳観念は持たないのである。
セックスそのものも好きで、加持と恋人関係になった当時は、むしろミサトの方から積極的に彼をベッドに誘ったものだった。
あれこれ性技を試したりするのも好きだった。
これはミサトが淫乱だからというのではなく、実質的に初めて性に触れ、その心地よさと快楽が面白くて仕方がなかったということだろう。

そんな中、龍田レイジとも寝たことがあった。
まだ加持とつき合う前の話で、リツコも加えた仲良し4人グループで徒党を組んでいた頃の話だ。
加持はリツコにもモーションをかけていたが、本命はミサトを狙っていた。
龍田も同様で、リツコは美人だが、ややきついところがあって、自分には飼い慣らせないと思ったのだった。

その点ミサトは明るく気さくで、フランクな付き合いが出来そうだった。
こうして加持と龍田はライバルとして張り合うこととなるが、もともとふたりは親友レベルだったから、ミサトを巡って対立するようなことはなかった。
これは加持の飄々とした性格によるところも大きい。
龍田と殴り合ったり、辛辣な言い争いをするようなタイプではなかったからだ。
それでいて互いを意識し、ミサトを誘い合っていたわけだが、最終的には加持がものにしている。
その結果について、龍田は残念だとは思ったが、そのことで加持やミサトを恨んだり憎んだりするようなことはなかった。
そういう龍田だからこそ、ミサトも加持も彼のことが気に入っていたわけだ。

ふたりから告白されていたミサトは、その時点で既に加持という結論は持っていた。
加持が持っている男臭さと危うさを、龍田は持ち合わせていなかった。
フレンドリーというなら龍田の方がフレンドリーだったが、彼には「男」をイメージさせる危険さはなかった。
いみじくもリツコが評していた通り「安全パイ」だったのだ。
女とふたりでいても襲ってはこないだろうなと思わせる安心感と失望感がある男だったのである。
この手のタイプは、誘えば誰でも応じてくれるが、なかなか最後まではいかない。
より親密な関係には発展しがたい。
女の側が、龍田を男性としてあまり見てくれないからである。

だからミサトも、女の部分で加持を選ぼうと思っていた。
だが、龍田の善良さや真面目さよく知っていたし、その彼から告白されたことも嬉しく思っていた。
そこで、実際に龍田がどういう男なのか確かめる思いで、一度だけホテルに行ったのだった。

そこで龍田に失望したわけではない。
ミサトとしてはごく普通のセックスだったと思う。
そして彼女は加持のもとへと行ったのだ。
ミサトから結論を聞き、龍田は素直に引き下がった。
そして、以降も親しい友人として付き合い、卒業していったのだ。
ミサトにとって、龍田に対して悪いイメージは皆無といっていいだろう。
ミサトはぽつりと答えた。

「……そうね。でも、もう10年も前のことだわ」
「だから」

龍田はミサトに身体を重ねた。

「だからその時間を取り戻すのさ。いいだろう?」
「これっきり……」
「ん?」

ミサトは横を向き、龍田から視線を外して小声で言った。

「これっきり、一度だけにして。お願い……」
「どうしようかな」
「……」
「ま、それは後で考えるよ。俺はあんまり自信ないけどね」
「そんな……、んむっ……!」

まだ何か言おうとしたミサトの口を唇で塞ぎ、その言葉を封じた。
10秒ほどの短いキスだったが、すっと離れたふたりの唇は唾液の糸を引いている。
龍田は、頬を染めたミサトの足首を掴むと、ぐいっと大きく拡げた。
指で責められ、やや赤くなった媚肉は口を開けており、ねっとりとした愛液を零している。
恥ずかしいところをじっくり見られ、ミサトは赤い顔を背け、脚を閉じようと力を入れる。

「そ、そんなに見ないでよ……」
「気になるかい? でも見たいんだ」
「……」

今夜だけのことと覚悟を決めたのか、もうミサトは逆らわず、龍田の好きに任せていた。
それでもまだ恥ずかしげに睫毛を震わせている。
龍田は左手でミサトの脚を大きく拡げたまま、右手でおのがペニスを握り、しごき始めた。

「あ、あたし……」

思わず目を伏せたものの、ミサトの瞼の裏にはありありと肉棒の残像があった。
かなりのサイズだった。
一度きりの経験のことはよく憶えていない。
が、ここまで大きくはなかった気がする。
それを龍田は何度もしごき、そのたびにペニスはびくびくと興奮するように隆起し、膨れあがっていった。
太い静脈も張ったカリもたくましく、硬そうだった。

「もう何も言うなよ。今夜は加持のことは忘れろ。いや忘れさせてやるさ」
「あ……!」

熱い感触が媚肉に走る。
指で持って狙いを定めた龍田が、多すぎる蜜を絡ませつつゆっくりとミサトの中へ埋没させていく。
口を開けて待っていた膣口は、太い逸物をそのまま飲み込んだ。

「あっ、あ……ほ、本当に……本当に龍田くんのが……あっ……入る……入ってくる……ああっ」

狭い膣を押し広げるようにして、龍田は腰をよじりながら肉棒を進ませていく。
中はぬるぬるで挿入への妨害はないが、膣肉は締まり、内部は狭かった。
そのきつさを実感しながら、龍田は腰を送り、とうとう奥まで貫いた。

「んんっ……! ……あ……お、奥まで……来てる……きつい……」
「きつい……だろうな。入れてる俺もけっこうきつい」

何とか肉棒を根元まで沈め込むと、その先端が膣奥の壁にぶつかる。
子宮を亀頭に感じたところでゆっくりと引き戻し、そしてまた押し込んでいく。
ミサトの膣に自分のペニスを覚え込ませるかのような慎重な動きだった。

「あ……あ、んんっ……はっ……うんっ……いっ……あ……」

ぬぷっ……、ぬぷっ……と、時間を掛けながら龍田が律動を始めると、ミサトはそのたびに眉間に皺を寄せ、呻いた。
太いペニスは窮屈な膣道をこじ開け、抉るように挿入されていく。
膣襞は、押し込まれる時は緩め、引き抜かれる時は食い止めるように絡みついた。
ふたりの性器は、龍田には狭いところに押し込んだ窮屈さ、ミサトにはみっしりと隙間なく埋め込まれた圧迫感を与えていた。

「き、きっつ……きつい……ああ……か、龍田くんの、あっ……お、大きい……あはっ……」
「そうか? 加持のやつと比べてどうだ?」
「わっ、わからない……あ、あう……」
「はは、正直に言ったら加持が傷つくか。それじゃあ、じっくりわからせてやるか」

ミサトは、ぐっと奥まで貫かれると、踏ん張るように力を入れて唇を噛みしめ、引き抜かれるとホッとしたように息を吐いた。
挿入された時に息めば、それだけ入ったものの大きさを実感してしまうことになる。
その大きさに戸惑い、徐々に馴らされ、それが快楽へ繋がっていくことに脅え、ミサトは普段のセックスのようには振る舞えなかった。
それはそうで、とても行為を愉しめるような状況ではない。
いかにこの場だけは身体を許すと決めても、なかなか割り切れるものではなかった。
といってレイプされているわけではない。
こんなどっちつかずなセックスは初めてだった。

「あ、あ……あうっ……あっ……はううっ……あ、あっ……深いっ……あはっ……きつっ……ああっ……はああっ……」

律動が繰り返されるごとに濃厚な愛液がぶじゅっと噴き出してくる。
眉間を寄せるミサトの表情も、きつさを耐える悲壮なものから、込み上げてくる快感に戸惑うような色を見せ始めていた。

「よくなってきたのかな」
「知らないっ……あ、ああっ……」
「気が強いっていうか、頑固なのは変わらないな。そら」
「あうっ……」

ミサトの腰と腿を掴み、ぐっ、ぐっと腰を送っていくと、ペニスと膣が擦れ合う感覚がミサトを当惑させる。
中はぬるぬるなのに、どうしてどうしてこんなに摩擦感が強いのかわからない。
ずぶっと勢いよく深くまで差し込まれると、その反動で大きな乳房がゆさっと大きく揺れる。
それを押さえるように揉み込みつつ膣奥を突き上げると、膣内がきゅっと収縮する。
愛液をにじみ出させながら、いっぱいまで拡げられた膣口は、肉棒が抜き差しされるたびに粘膜が引きずり出されてきた。

次第に馴染んでくるミサトの肉体に、龍田は沸き起こる興奮を宥めつつ、思わず激しく動きたいところを押さえ、ゆったりしたリズムをキープしている。
律動がゆっくりな分、ストロークは長く、じっくりと奥まで貫いていく。

「葛城のオマンコ、気持ちいいな。大学の頃にやった時も、こんなに具合良かったかな。それとも加持に仕込まれたか?」
「は、恥ずかしいこと言わないでよ……あ、あ……」

羞恥に顔を染めながらも、ミサトは快楽に溺れていく。
その証拠に、声には甘い色が混じり始め、熱気が籠もってきていた。
意地悪なことをされたり、恥ずかしいことを言われたり言わされたりすると燃えてしまう性質は、加持に仕込まれたものだ。
まだ龍田にはバレていないが、それも時間の問題だ。

龍田は焦らすようにゆっくりと奥を突いてやる。
ミサトは媚肉からしぶくように蜜を吐き出しつつ、その身をよじっている。
焦れったいピストンに、じりじりと肉体が灼けてきたのだ。
もっと強く、激しく突いて欲しい身体が、緩い快感を持て余すようにうねり始めた。

「あ、ああ……いっ……はああっ……あ、あうう……」
「声が色っぽくなってきたな。そんなにいいのか?」

ミサトは否定するように首を振りたくりながらも、快楽に身を灼いていく。
熱いペニスから伝わってくる熱によって、ミサトの胎内も灼けそうなほどに体温が上がっていく。
それを消火するかのように愛液が大量に分泌されるものの、その蜜自体が熱く、彼女の身体は燃える一方だ。
膣から侵入し胎内を犯し、子宮に伝わってくる痺れるような快感は、確実にミサトの全身を蝕んでいく。

「……」

龍田は左手をシーツに突き、じっとミサトの裸身を見つめた。
黒く長い髪は彼の好みだ。
ワンレンも悪くはないが、ミサトのように、一見ばさっと手入れしていないかのようなラフなのもいい。
リツコが金髪に染めたのは大学に入ってからだが、その時も龍田は「綺麗な髪をわざわざなぜ染めるのだろう」と疑問に思っていた。
リツコは卒業するまでずっと(というか今でもだが)それで通したため、馴れてしまったのか、今ではそれがリツコらしいと思うようになっている。

しかし、もしミサトが染めていたらさぞかしがっかりしたろうと思う。
リツコは色白だから似合ったのかも知れない。
ミサトの肌は決して黒ずんでいるわけではない。
リツコと一緒だから彼女の白さが目立つだけで、日本人のそれとしてはごく普通だろう。
龍田などは、ミサトの肌の色の方が何だかホッとするものがある。

考えてみればミサトの全身をこうして眺めるのは初めてような気がする。
初めてミサトを抱いた時は、若かったこともあって、そんな余裕は全くなかった。
今、こうして見てみると実に素晴らしい肢体である。
均整が取れている、というわけではない。
身体のバランスということで言えば、リツコの方が完璧に近い。

ミサトはバストが大きいのだ。
確かEカップだと聞いている。世の中にはFだのGだのという人間とは思えぬほどのサイズの胸を持った女性もいるが、龍田としてはミサトくらいが限界だろうと思う。
あまり乳ばかり大きくても、女というより牛を連想してしまう。
大学在籍時代から評判だったその肉塊は、10年経った今でも衰えてはいなかった。
30歳前だというのに、乳房の張りは20代半ばと言っても誰も疑わないはずだ。
当時の弾けんばかり若さはないものの、その分まろやかさを増している。
青い果実から成長し、ほどよく熟れた乳房は、大人の魅力をぷんぷんと発散させていた。
どちらかというと胸に比べて臀部は小さめだったが、それも年齢のせいか十二分に肉と脂を乗せている。
太腿にもたっぷりと肉がついていた。
どこから見ても一級品の身体だった。

そこで龍田は苦笑する。
こんな身体をした妙齢の女性と同居しているシンジは、彼女をどう見ているのだろう。
ミサトの方は、単なる部下、パイロットではなくかなりの親愛の情を抱いているようだ。
年の離れた弟──家族に近いと彼女は言った。

しかしシンジの方としてはどうだろうか。
仮にシンジも同じように思っていたとしても、そこは男である。
気さくで話のわかる美人、しかもこれだけの見事な肉体を持った女性が、手を伸ばせば届くところにいるのだ。
もやもやしない方がどうかしている。
一度や二度、ミサトをオカズに自慰していてもおかしくないだろう。
突然、動きを止めた龍田に、ミサトは不審そうな目を向ける。

「……どうしたの?」
「別に」
「あっ……」

男の舌が、ミサトの肌に残る傷跡を這い、乳房へと伸びていった。



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