アスカは、例によって龍田の医務室を訪れていた。
こうしてここに通うようになってどれくらい経つだろう。
この男に身を任せるのは、かれこれ4、5回になるはずだ。

その間のアスカは、かなり精神的に不安定であった。
これも投薬の影響らしいが、それ以上に龍田との屈辱的な関係が、アスカのプライドをいたく傷つけていたことが大きかった。
投薬されてその効果が出ている時は、今まで以上にテンションが高まり、逆に効用が切れると途端に平静さを失ってしまう。
鬱状態になるのではなく、いらいらが募り、不機嫌になるのである。

治療を受けるようになって以来、使徒の襲撃がないからいいようなものの、もし不調の時に出撃となったらEVAどころか自分をコントロール出来るか自信がなかった。
好調時であれば、アスカがチームを引っ張り、シンジを凌ぐ活躍をして使徒を撃退できるだろう。
しかし不調時であれば、使徒をやっつけるどころかシンジやレイの足手まといとなりかねないのだ。

プライドの高いアスカにとって、それだけは我慢ならなかった。
だからこそ、龍田の慰み者になる自分を哀れに思い、自虐的にもなるものの、薬効との兼ね合いを考え、ここに来るしかなかったのだ。
薬の効果と龍田の存在もあって、アスカのシンクロ率は、もはやシンジと遜色ないほどまでに上昇していた。
しかし、それで満足出来ないのがアスカのアスカたる所以であって、彼女はさらなる数値の向上を求めた。

龍田の処方を受け、その影響もあってますます性感と性欲が高まっていく。
セックスを知ってしまったこともあるが、もう自分で慰めるだけではどうにもならず、心ならずもこの卑劣な男に頼らざるを得なかった。

今日は、よりにもよってプラグスーツのままで弄ばされていた。
身体にぴったりと密着し、ボディラインがくっきりと浮かぶその姿に龍田が欲情したためである。

「これ着たままで……、こっ、こんな格好させるなんてっ……!」

アスカは、四つん這いで寝台に上がらされている。
赤いプラグスーツを着たままであり、胸や手首のアーマー、グローブにブーツまで身に着けている。
悔しそうに顔を背け、グローブを嵌めたままの手をぐっと握りしめて屈辱に耐えていた。
背後のファスナーを下ろされ、辛うじてお尻はスーツで隠されているものの、白い背中は剥き出しになっている。

最初はこのスーツのことをよく知らなかった龍田は、タイツやダイバースーツのようなものだろうと思っていた。
しかし間近でよく見てみると、けっこうゴツいのだ。
頑丈そうな肩パッドにバストを守るアーマーを装着し、細い手首には不釣り合いなほどのリングが仕込まれている。
試しにプラグスーツの上から身体をまさぐってみたが、面白くも何ともなかった。
硬いアーマー部はもちろんのこと、タイツの上から触ってみても女体を実感することは出来なかったのだ。
どうもかなり丈夫な素材らしく、男に触られる不快感でアスカは顔を歪めるものの、体感的にはほとんど感触はないようだ。
これでは意味がないと龍田は苦笑し、不本意ながら少し脱がせることにしたのだ。

左手首についているスイッチを切って、アスカの肌に密着しているスーツをたるませた。
密着感は多少薄れるものの、臀部や脚などのラインはまだ綺麗に出ている。
龍田もベッドに乗り、アスカの背にのしかかるようにして若い乳房を弄んだ。

「くっ、いや! 触らんないでよ、この……胸ばっかり……変質者っ!」

四つん這いになってもあまり揺れ動くことのない乳房だった。
サイズの問題もあるが、その肉塊自体がまた未熟なこともあって、堅く引き締まっているのだ。
その、手のひらにすっぽり入ってしまう幼い乳房を、龍田は揉みしだいている。

「やっ……、き、気持ち悪いんだけどっ……やあっ……」
「気持ち悪い? そんなことはないだろう、もうおっぱい揉まれる気持ち良さどころか、男に抱かれる良さだってぼちぼちわかってきたろうに」
「やっ、く……あっ……いあっ……んんっ!」

プラグスーツの中に手を突っ込み、もう尖り始めている乳首を手のひらの中心で軽く押し込んだり、こねくったりすると、アスカはびくっと身を震わせて反応する。
やはり特に反応が強いのは乳首のようで、ころころと転がしたり強く押したりすると、腰や背中が軽く跳ねるほどに感じるらしい。
薄い乳房に指を食い込ませるように強く揉むと、さすがに苦痛の表情を浮かべる。

龍田はアスカの若い乳房を愛撫しながら、こういうのも悪くないなと思い始めていた。
ミサトのようなたっぷりとしたボリュームの乳房を乱暴に愛撫するのも堪えられないが、まだ青い果実のような乳房を指先でこねくるというのも面白かった。
もうコリッとしてきた乳首を指の間に挟んで、くっ、くっと上下に扱いてやると、アスカは顎をクッと上げて喘いだ。

「うんっ! ち、乳首ばっか……この変態っ……ああ……もう、あっ……」
「乳首ばかりじゃご不満かね、お嬢さん。では、お待ちかねのこっちにするか」
「あ、ちょっ、待っ……! いやああっ!」

龍田の右腕が胸からすっと離れ、そのままアスカの腹を撫でつつ股間に入り込んだ。
プラグスーツではインナーは着けないため、スーツの下は直に素肌である。
ごわごわした男の手の感触に鳥肌を立てながら、アスカは慌ててその腕を掴んで止めにかかる。
しかし龍田の左腕がアスカの右手をつかみ取って、背中へねじり上げてしまう。
悲鳴を上げるアスカを尻目に、龍田の手はアスカの媚肉に到達し、そこを擦り、揉み始める。

「おやおや、これはこれは……」

龍田はにやりとして

「なんだ、もうこんなになってるのか。性格は悪いが感度はいいんだな」
「あ、あんたのせいでしょっ! あんたはいちいち触り方がねちっこくていやらしいのよっ!」
「そうかそうか。僕の愛撫が気持ち良すぎて、ついつい濡れちゃうってことか」
「う……るさいのよ、この……ああっ!」
「ふふ、びしょ濡れじゃないか。プラグスーツの股のところが大変なことになってるぞ」
「だ、だから、誰のせいだと思ってんのよっ。あんたがこんなことしなけりゃ……んはあっ、そ、そこぉっ!」

アスカの体液によってたちまち濡れそぼった指がクリトリスの根元を摘み、くりくりとこね、揺らしている。

アスカを犯すのはこれで数回になる。
セックスの総数も10回以上にはなるだろうが、いかに早熟とはいえまだ14歳ということもあり、性感帯は未熟で未開発な部分も多かった。
だが、乳首やクリトリスといった特別に敏感な箇所はやはり強い快感があるらしく、龍田は主にそこを使ってアスカを絶頂まで導いていた。
いずれ膣への挿入やピストン、そして子宮責めや射精でいくようになるだろうが、それまではクリトリスがポイントになる。
どんな女性でも最初にいくのはクリトリスだろうし、膣内で感じるようになるには、それなりの経験が必要なのだ。
アスカはもう充分にクリトリスでの絶頂を覚えたようだから、今度は膣内の調教になるだろう。

「やっ……く……んんっ……んくっ……あっ……」

アスカがその鋭い快感で腰を振っている。
龍田を振り払おうとしているのだろうが、その指はしつこくクリトリスを責め上げ、こねくっている。
包皮を剥かれ、顔を出した肉芽は指で嬲られ、ピクピクと妖しく蠢いていた。

「どんどん濡れてくるな。もう僕の手までびしょびしょだ」
「い、いやっ……あっ、い……くくっ……うんっ……」
「気持ち良いなら「いい」と言っていいんだぜ。そうすればもっとよくなれる」
「だっ、誰がっ……こ、こんなちっとも気持ち良くなんか……ああっ!」

アスカが腰を捩ると、プラグスーツが軋んでキュッ、キュッと小さな音を立てる。
その音に混じって、スーツの内側に粘り着いた蜜が肌を汚し、にちゃっ、にちゃっと淫靡な水音も聞こえた。
アスカは「もうたまらない」とばかりに頭を振りたくり、長い茶髪がばさばさと乱れ散った。

「あ、あう……いやよ、もう……そ、そんなにいじらないでよ……んあっ……いっ」
「お? 「いい」って言いかけたな?」
「だっ、から……違くて……んんっ……あ……あはっ」

指先でクリトリスの先端を小突かれ、アスカは腰をビクッと何度も痙攣させた。
背中が弓なりになったり猫背になったりを繰り返し、シーツに突いた手が震え、腰が左右に揺れ動く。
足首が落ち着きなく動き回り、ブーツの中の爪先が伸びたり屈まったりを繰り返していた。

「んっ、ああっ……そ、そんなにこすっちゃだめ……ひっ……あっ、な、なんか変……あ、あ、なんか来ちゃうっ」
「おっと、いきそうなのか」
「あっ……!」

今一歩、というところでクリトリスと乳首から一斉に刺激が遠のき、アスカは慌てたように腰をうねらせた。
まるで、離れてしまった指を追いかけるかのように尻が振られ、物欲しげにくねっている。
自分で判るほどに愛液が膣口から垂れ落ち、硬く尖った乳首はプラグスーツと擦れて痛いほどだ。

「な……なんで……」

驚いたことに、アスカは半ば恨めしげに龍田を睨んでいる。
この男の前で気をやって恥を掻かされるのをまぬがれた安堵よりも、絶頂し損ねた失望と焦燥、もう少しでいけたのに何でやめるのか、という不満の方が強かったのだ。

そんなアスカを焦らすように、龍田の指がすすっと臀部をなぞっている。
ミサトのように大きく張り出した尻ではないし、まだ若い硬さも残しているが形は良く、このまま肉と脂が乗れば素晴らしい尻たぶになりそうだ。
アスカは尻に感じるもどかしいような焦れったいような快感に耐えかね、呻きながら尻をうねらせ、恥ずかしい姿を晒していた。

「なんだアスカ、その尻は」
「あ……」
「物欲しそうに動かしやがって。もっとして欲しいのか?」
「そんなこと……」
「ほう。じゃ、これでおしまいにしようか」
「っ……」

意地の悪い言葉に、思わず龍田を睨みつけるものの、すぐに顔を伏せ、腰を蠢かせてしまう。
もう意志の力でどうなるものでもないらしい。
龍田はその臀部をねっとりと撫でまわしてから何度も頷いた。

「よしよし、じゃあ今日は新しいのを教えてやろう」
「あ、新しいのって……」
「特別に感じるところを教えてやるよ」
「や……いやよ! へ、変なことされるのはもういやっ」
「ウソつけ。いきそびれて辛いんだろうに。いきたくていきたくてしょうがないくせに」
「最低……」
「終わってからもそう言えるといいな」
「あ、あんっ!」

アスカは軽く仰け反った。
男の指がぬるっと膣内に入ってきたのだ。
焦らされたり、膣以外でいかされたりすると、なぜか中に何か欲しくなってくる。

その欲望を見透かすかのように、龍田の指がゆっくりと中へ潜り込んでいく。
同時に、アスカの背中を押し、立てていた腕を折って、肘でベッドを突くようにさせた。こうすることで、より尻を高く突き上げる格好にするのだ。

「うっ……あ……や、入れちゃ……んんっ」

龍田の指を膣で食い締めつつ、アスカは切なそうな表情を浮かべた。

「あ、指が……ひっ……だめ、あ、中、かき回しちゃだめだってばあっ……ああっ」

締めつけてくる若い膣肉を押し込むようにして、龍田は指の根元まで埋め込んだ。
そのままくるくると回転させて膣内を擦ったり、軽く指先を曲げて膣襞を抉ったりしてアスカに悲鳴を上げさせている。
ぐちゅ、ぬちゅっ粘った音がし、蜜が溢れ出してアスカの腿とプラグスーツを濡らし、汚していく。

「だ、だめ、あっ……くっ、いや……あ、あ……」

指が蜜を掻き出すように抉ってくると、アスカは腰を大きく振り、いやいやするように首を振りたくる。
爪先が伸び、腿が痙攣し、四つん這いを支えている腕が震えていた。

いきそうになっている。

お尻の穴の辺りからじわじわと熱くなり始め、膣がきゅううっと締まってきた。
だが、まだいけない。
アスカは、踏ん張るようにして全身を息ませ、すべての神経を媚肉に集中させている。

(んんっ……ああ……い、いきたい……いかせて欲しい……。で、でも、こいつにそんなこと言えるわけ、ないっ……)

プライドと性の焦燥を葛藤させながら、14歳の少女はもどかしそうに呻き続けている。
その様子を見ながら、龍田はアスカの中に入れた指を少し引き抜き、第二関節まで埋め込む。
そのまま内部を擦ってやると、アスカはくぐもった声で喘いでいる。
大声でよがりたいが、恥ずかしいし悔しいので、懸命に喘ぎ声を噛み殺しているのだ。
龍田が指先をアスカの腹の内側辺りに持っていくと、そこに目的の箇所があった。
ちょっと触れると、アスカは腰をギクッとさせて甲高い声を放った。

「ひゃあっ……!」
「お、ここか」
「な、何よ……どこ触ってんの」

アスカの問いには堪えず、その少しざらついた部分を刺激していった。
かなりデリケートなところなので、普通に擦ったり揉んだりするわけにもいかない。
しかもアスカにとっては初めてのことなのだ。龍田は慎重にそこを指圧するように押していった。龍田がごく軽くそこを叩くように押すと、アスカは目を見開いて絶叫した。

「んひぃぃっっ……!!」

アスカの身体がガクン、ガクンと大きく二度ほど跳ねた。強烈な刺激だった。
そこを触られた瞬間、頭の中が白く灼け爛れるかのような衝撃が走り、一気に絶頂してしまった。

「んあああっ!」

少女の背中が弓なりになり、大きく波打っている。
どびゅっと愛液が噴き出てきて、シーツに大きな染みを作った。

「な……何を……したのよ……」
「ははは、簡単にいったな。おまえのGスポットを見つけて、そこをいじってやったんだよ」
「G……スポットって……」
「知らないか? 強力な快感ポイントだよ。ここを刺激されることを覚えると、実に呆気なくいっちまうって場所だ。女によっては、その快感を覚え込ませないとダメな場合もあるが、どうやらおまえはその必要がないくらいに敏感だったようだな」
「……」
「いきたかったんだろ? もっとここでいかせてやろうな」
「いっ、いいっ……もういいからっ……あがあっ!」

指は無情にもまたGスポットを責め上げ、アスカはまたしても達してしまった。
ガクンと仰け反り、指をくわえ込んだ膣の内壁がひくつき、強烈な締め付けを伝えながら、アスカは二度目の絶頂を味わった。

「あ、あ……はっ……はっ……はっ……はっ……」
「気持ち良かったろ? まだまだいかせてやる」
「や……、もういい……そ、そこだめ、感じ過ぎるからっ……うんっ、うあああっ!!」

Gスポット攻撃で、アスカは連続絶頂させられている。
三度の今度は、膣からぷしゃあっと勢いよく体液まで噴き上げてきた。
龍田はわざと驚いた顔をして言った。

「おお、これはすごいな。アスカが潮吹きだったとは知らなかった」
「うあ……あああ……」
「ふん、生意気な口が少しはおとなしくなったな。おとなに逆らうとどうなるか、徹底的にこの身体に教え込んでやる」
「やっ……もうだめだったらっ……そこだめっ、んぐうううっっ!!」
「またいったか。いくなら「いく」と言えよ。ほら」
「やっ……もういや、いきたくないっ……んんんっっ!!」

アスカはまた全身を仰け反らせ、何度も身体をうねらせて達した。
見た目よりは通気がいいはずのプラグスーツも、アスカの発する体温と汗で内部がすっかり湿ってしまい、着るのが気持ち悪いほどにぬるぬるしていた。
室内には、少女の体液と汗の薄甘い薫りが色濃く漂っている。
アスカが気をやって身悶えるたびに、キュッ、キュッとスーツが軋んでいた。

三度、四度と続けざまにGスポットで気をやらされ、さすがにアスカもぐったりとしてベッドに突っ伏してしまった。
腕は萎えて広がってしまい、上半身は横を向いた顔で支えている。
そして膝も崩れてしまって、腰がドサッと左側に落ちて倒れてしまう。
尻がまだピクピク痙攣し、胸はアーマーの上からでもわかるほどにドッ、ドッと鼓動で喘いでいる。

「まだまだ、こんなもんじゃないぞ。Gスポットは覚えたな? 次は……」
「あ……、も、もういい……今日はもう……」
「疲れたか? まだ若いんだ、これくらいどうってことはない」

龍田は無情にそう言うと、腰砕けになっていたアスカの尻をぴしゃんと叩いた。
それでもアスカは小さく呻いただけで、ほとんど動けない。
龍田はそのアスカの細っこい腰をがっしりと掴むと、ぐいっと持ち上げて膝立ちにさせ、また四つん這いにさせた。
腕はまだぐったりといていて腕立て出来ないようで、顔が上半身を支えている状態だ。

「こ・こ・だ」
「ひゃっ!?」

ぐったりしていたアスカの肢体がビクッと強張った。
あろうことか、男の指はアスカの肛門に触れてきたのだ。

「バッ、バカバカッ! あんた、どこ触ってんのよっ」
「だからここだよ、アスカのお尻の穴だ」
「お、お尻のって……、ちょっ、触るなあっ!」

龍田の指の腹がアヌスにぐっと押し当てられると、アスカは狂ったように叫び、暴れ出した。
先日、処女を失ったばかりの14歳としては無理もない反応で、まさかそんなところまで男が劣情を催すとは思わなかったからだ。
生き返ったように抵抗しだしたアスカの背を押さえ込み、お腹がベッドにくっつくほどに押しつける。
腰がグッと持ち上がったが、アスカは男の力に圧迫され、抗うどころか息もよく出来ない。
この男のどこにそんな力があったのかと驚くアスカだが、今はそれどころではない。

「や、やめてよ、この変態っ!」
「ふふん、尻の穴もいいじゃないか、アスカ。少し湿ってて、指に吸い付くようだぞ」
「バカッ、気違いっ! こ、この変態、変態、変態、変態っっ!!」

指が蠢くごとに、アスカの敏感なアヌスは著しく反応する。
キュッ、キュッと引き窄まり、アスカのしなやかな肢体が何度も跳ねた。
羞恥や屈辱というよりも汚辱感に苛まれ、アスカは何度も身悶える。
拒絶の声を張り上げて腰をうねらせているものの、愛撫されている肛門の方は、少しずつ刺激を受け入れ始めていた。

「いやらしいっ。あんたホントに触り方がいやらしいのよ、あっ! そこいやって言ってるのにっ、んはあっ!」

龍田は指でアヌスを刺激するだけでなく、アスカの尻たぶをぐいっと押し広げ、アヌス周辺を指圧していく。
指の腹で擦り、指を立てて指先が触れるかどうかくらいの微妙なタッチで撫でるようにくすぐった。
そのたびにアスカは「あっ!」と悲鳴を上げてビクッと反応し、身体を捩って呻いた。

「えらくとろけてきたぞ、アスカ。おまえ、尻の穴もイケるタイプか」
「何言ってんのよ、変態っ! んなわけないでしょ、いやなだけよ!」
「そうかな。それにしちゃ声が震えてるぜ。オマンコも濡れてきてるじゃないか」
「ウ、ウソよ、ウソッ!」
「ウソなもんか。ほれ、こんなに」
「あ、バカ、そっちも触るなあっ! あ、やあ……」

怒りと恥辱で顔を真っ赤にして元気いっぱいに抵抗しているものの、アスカの声に少し変かが見られる。
どこかなよっとした雰囲気があり、甘い声色となってきていた。

「いいんだろうが、尻も」
「い、いいわけないでしょ、あう……触らないでよ、あっ……へ、変になっちゃいそうなんだからっ……んくっ」
「これなら案外楽に入りそうだな」
「ひっ、いや、バカぁっ!」

愛撫でとろけ始めていたアヌスは、押し込む圧力に負けて少しずつ口を開き、龍田の指を飲み込んでいった。
出る一方の器官へ挿入され、アスカは目を白黒させて尻を振る。

「い、いや、何してるのよっ……ああっ!」
「もうちょっとだ……、ほら、全部入った。もう指の根元までアスカの尻の中だ」
「あ、あ……バカぁ……」

恐らくは本人でも触れたことがないであろう肛門に、男の指が深々と食い込んでいた。
アスカの腸内は人の体温とは思えぬほどに熱く滾り、粘膜のねっとりとした感触が指を包み込んでいる。
肛門はおののくようにひくひくと指を締めつけ、緩むのを繰り返していた。
龍田は指に感じる適度な収縮を愉しみながら、ぐっと押しつけたり、ぐるぐると回転させてアヌスをいたぶった、

「あっ、いや、何をするのよっ……ゆ、指とって、そこから抜いて……あ、こら動かすなあっ……ひああっ」

指を軽く曲げて腸管の粘膜を軽く擦ってやると、アスカの腰が面白いようにビクビクと跳ねた。
肛門も、その動きに驚き、戸惑ったようにキュッと締めつけてくる。
指は腸内を探索するかのようにあちこちを刺激し、擦り、ねぶっていった。
手のひらを上にして指を鈎状に曲げ、そのまま持ち上げるように動かすと、アスカは「ひっ!」と悲鳴を上げて腰を持ち上げる。
指でこねくりながら、腸管を通して子宮と思しき箇所を押し込んでやると、「んんっ」とくぐもった苦しそうに呻く。
苦しんでいるだけ、痛がっているだけとは思えなかった。
その証拠に、そうされるたびにアスカの媚肉はじくじくと熱い蜜を垂れ落としていたのだ。

「いや……、もういやよ……、ああ、やめて……ど、どうしてお尻なんか……指、しないでよ……ああ……」
「ふふ、すっかり声がとろけてきたな。ミサトもそうだったが、気の強い女は尻が弱いのかな」
「ミサト……?」
「何でもないよ。ほら続きをしてやる」
「くっ……気持ち悪い……お尻が気持ち悪いわよっ……ああ、もうっ……はああっ」

きつく引き窄まっていたはずの肛門は充分に解きほぐされ、滑るように指が抜き差しされている。
腸壁は粘液でぬるぬるとなり、指が出ると粘り着くようにめくり出され、押し込まれると巻き込まれるように腸内に戻っていくのが見えた。
そのままぬぷっと指を抜くと、アスカは背を弓なりにして呻いた。

「あ……、はあ……はあ……はあ……」
「色っぽい声になったな。充分に愉しんだか?」
「だ、誰が愉しむのよ、この変態……」
「そうか、まだか。では本番といくかね」
「ほ、本番て……あんた、まだあたしを……」
「こんなのまだ序の口だよ。ほら、よく尻を見せてみろ」
「あ、バカ、そんなとこ拡げるなあっ!」

俯せで後背位状態になっているたアスカの尻を撫でながら、龍田はその尻肉を鷲掴みにすると一気に割り開いた。
アスカの白い尻がぶるぶると震え、くねくねとうねっている。
赤いプラグスーツと真っ白い尻のコントラストが美しかった。

肛門を間近から見られるという想像を絶する恥辱に、アスカは心が抜け落ちそうになった。
龍田は尻の谷間を奥に視線を向け、感心したように言った。

「なかなかいいじゃないか。僕の愛撫のおかげで少し赤くなってるが、もうとろとろだ。おまけに少し濡れてるぞ」
「るさいっ……見るなってばあっ」
「きみは、おっぱいはまだまだ成長過程だが、お尻はけっこうあるんだな。骨盤も大きいようだし、もう3年もすれば立派な安産系の尻になる」
「何よ、それ!? あたしのお尻が大きすぎるって言いたいの!?」
「褒めてるんだよ。いい尻だ」
「あんたみたいな変態に褒められたって全然嬉しくないの! え……? んひぃっ!? な、何してんのよ!」
「……何って、尻の穴を舐めてるんだよ。アスカのね」
「な、舐めるってあんた……ひゃあっ!」

アスカは驚愕し、慌てて振り返った。
驚いたことにこの男は、アスカの肛門に顔を近づけ、そこを舌で舐めていたのである。

「前から思っていたけど、あんたおかしい! おかしいわよ、絶対にっ! 普通、そんなとこ舐めるぅ!? 信じらんないっ!」

アスカは必死になって龍田から逃れようと前のめりになるが、その腰を男の両手がしっかりと抱え持っている。
いやがってくねくねと振られる尻に、龍田の顔が押しつけられた。
先を硬く尖らせた舌先が、ふぐれたアヌスへ一気にねじ込まれる。
なめくじのようなものが突然に尻の中に潜り込んでくる感触に、アスカは全身に鳥肌を立てて絶叫した。

「いやあああっっ! やめて! 汚いからやめてってばあっ! ホ、ホントにやめてよ、もうっ、ひぃぃっ!」

差し込まれた舌が腸内を舐め上げてくると、そのおぞましさにアスカは狂ったように泣き叫び、形の良い臀部からじわっと汗が噴き出した。
その、あまりの汚辱にアスカは涙を流して悲鳴を上げ、叫び、抗った。
その声も、舌先が妖しく蠢くにつれ、悲鳴から泣き声に、そして呻きと喘ぎに変わりつつある。

「い、いや、くううっ……んんっ……ば、ばかあっ……しないで、あうっ……お尻なんかいやよ……あくっ」

龍田は舌を巧みにコントロールし、アスカの恥ずかしい部分をねぶっていく。
抜き差しを終えると、今度は上からねっとりと舐め込んだ。
ほんの少し内壁を見せ、赤らんで膨らんできたアヌスの皺を拡げるように丹念に舐め、穴を拡げていく。

「き、気持ち悪いのよっ、あっ……おかしい、あんたおかしいわ……へ、変態、やめてぇっ!」

アスカは絶叫を放っていたものの、身体の方は少しずつ力が抜けていった。
想像もできなかった恥辱的な愛撫に、すっかり心身ともにまいっていたのだ。
どう足掻いても、おぞましい舌責めから逃れられず、腰がひくついている。
アヌスを舐められるとビクッと背中が震え、舌先をねじ込まれると臀部がわなないた。
あまりに泣き喚いたせいか、アスカの声が涸れ、息遣いも荒くなっていった。

「ああ、いや……しないでよ、そんなの……もういやよ……ああ……お尻は、お尻はやめてよ……」
「そんなに尻責めはいやか、アスカ」
「いやよ……いやに決まってるでしょ、あう……もうお尻が……お尻が変になっちゃいそうよ……んんっ……はあ、はあ……あ、お尻から何か出ちゃう……お尻っ……んう……」

いつしかアスカの尻がうねるように身悶えている。
抗うというよりも、焦れったそうにひくついている感じだ。
最初はおぞましさと恥ずかしさ、くすぐったさしかなかった感覚に、得も言われぬ妖しい官能を感じ始めている。
肉体的快感とは違うかも知れないが、そんな恥ずかしいところを集中的に責められているという被虐感が、この少女に精神的官能をもたらしてきたのだ。

龍田の口が「にぃっ」と横に広がり、人間離れした表情になる。
口は耳元近くまで裂け、開いた唇からどろっと大量の唾液が溢れてきた。
それを手に取ると、ローションのようにそれをペニスに塗りたくっていく。

「もうよさそうだな。ふふ、僕もまさか尻責め初日からここまで持って行けるとは思わなかったよ、アスカ。どうやら、きみには尻の素質もありそうだ。予定を早めて本番と行こうか」
「な、何を言ってるのよ……あっ!」

また尻たぶがぐっと掴まれ、谷間が大きく割られる。
そしてそこに、指とは違うもの──指よりもずっと太く、そして熱いものが押し当てられた。

「ちょっと……! あんた何を……」
「何って、見ればわかるだろう。アスカとセックスするんだよ」
「そ、そうじゃなくて! どこにしようとしてんのよっ、そこ、違うでしょっ」
「違わないよ、ここでいいんだ。僕はね、アスカの肛門……お尻の穴を犯すんだから」
「ええっ!?」

アスカの臀部が驚愕したように大きく震えた。
龍田のペニスが、弄ぶようにアスカの白い尻たぶに押しつけられ、いやでもその大きさと硬さ、熱さをアスカに伝えてくる。
いい加減そそり立ったところで、またアヌスに先が押し当てられた。
赤い少女は、茶色い長い髪を振り乱し、慌てて振り返った。

「ちょっ、待ちなさいよっ! あ、あんた本気であたしの……」
「そうだよ、そのために尻の穴をほぐしてやったんだろうに。ま、今まで知らなかったかも知れないが、こういうのもあるんだってことを憶えておくんだな。じゃ、いくぜ」
「やっ、やめ……いやああああっ!!」

ぐぐっと強烈な圧力を肛門に感じ取り、アスカの喉から悲鳴が噴き上がった。
腰を捩り、這いずるようにして逃げようとするアスカの尻たぶを思い切り掴んで、谷間がなくなるほどに割り開く。
そのまま腰を送り、アスカの肛門をぐうっと押し広げていく。
アスカが目を剥いて絶叫する。

「んあああっ、いやああっ! バ、バカバカバカっ、やめなさいよ、本当にっ。あ、あんた人間なの!? そんなことするなんて、くうああっ! さ、裂ける、裂けちゃうわよっ、お尻、裂けちゃうぅぅっ!」

アスカは半狂乱になって泣き喚き、首がもげそうなくらい激しく頭を振りたくった。
ベッドに突かれた白く細い指が、シーツを突き破り、ウレタンに穴を空けるんじゃないかというくらい握りしめられている。
腰がぐらりと左右に揺れ動き、内腿を擦り合わせるように脚がわななく。
そうでもしないと、アヌスを引き裂かれる激痛に耐えられないのだ。
処女を失った時とはまったく別個の苦痛がアスカを襲っていく。

「……痛いか? なら少し力を抜け。息んで尻の穴を締めようとすればかえって痛いぞ」
「だ、だったらしないでよ! あんたが抜けばいいだけでしょっ! ああ、しないで! いやっ、無理に入れないでよ、あっ……ほ、本当に痛いんだからっ……ひぃっ」

アスカはそう叫んで抵抗するものの、アヌスの方は根負けしたかのように龍田の男根を受け入れ始める。
少しずつ収縮が弱まり、亀頭が潜り込む段になると、じわっと柔らかく広がっていくのだ。
アスカの肛門は限界いっぱいまで拡げられ、ようやく龍田のペニスを飲み込んでいった。

「や、めて……痛い!」
「もう少しだよ、半分くらい入った」
「は、半分って……もう、そんなに入れたの!? 何で入れるのよ、バカっ! 抜いてよ、痛いっ!」

カリを押し込んだ後は、もう焦ることもなく、龍田はゆっくりと肉棒を沈め込んでいった。
根元まで押し込むと、腸内粘膜が恐る恐るといった感じでペニスにすり寄り、熱い襞が包み込んでくる。
龍田は深々と貫いたまま動かず、少女の熱くとろけるような腸管の感覚を愉しんでいた。

「見事なもんだよ、アスカ。初めてとはとても思えないぞ。これで尻の穴でも男を知ったわけだが、ご感想は?」
「うる……さい、気違いっ……痛いから抜きなさいっての……あうっ、動かないでよ、ホントに裂けたらどうすんのっ!」
「こんな目に遭っても口が減らんな。まあいい、そのうちこれも気持ち良くなって、病みつきになるぞ」
「なるわけないでしょ、バカっ! あ、あ、そこっ!」

アスカの苦痛を和らげ、少しでも神経を肛門から離すために、龍田は指でクリトリスをいじり始めた。
軽くつまみ、くりっと揉み込むと、アスカはアヌスに挿入されたことも忘れ、小さく呻き出した。

「ひっ……こ、こんな時に何を……んんっ……い、いやよ、あう……あっ……」

クリトリスを刺激し、感じるたびに、括約筋がきゅっと締まり、ペニスをくわえ込んだアヌスが収縮する。
その締め付けはさすがに素晴らしく、龍田でさえ、うっかり射精してしまうほどだった。

「やっ、は……やめてよ……んっ……す、するならお尻から抜いて、ああ……そ、それからなら……」
「なんだ? してもいいってのか? マンコなら犯していいとでも?」
「そっ、そういうことははっきり口にしないでよっ。デリカシーないの、このバカっ。んんっ……」
「でも、今日はこっちだよ、アスカ。尻でしっかり男を……僕を覚え込むんだ」
「いっ、いい、いらない、そんなのっ……ああ、だめっ、動かないでっ……痛い、苦しいんだからっ」

龍田は肉芽を嬲りながら、少しずつ腰を打ち込んでいった。
クリトリスの同時愛撫とともに、ペニスが突き刺さって出入りしている肛門も、すっと指でなぞっていく。
ひくつく粘膜が指で擦られ、たまらなそうに収縮する様子が見てとれた。

「やああっ、抜いて……もっ、ああっ……もうやめ……あうっ、そんな深くまで……お腹、気持ち悪いっ……お尻、どうにかなっちゃうわよっ……んんっ」

小刻みではあるが、龍田の腰が前後に動いている。
長いストロークはまだ使えず、律動距離はほんの数センチほどである。
それでもペニスにへばりついた腸内粘膜が引き摺りだされ、巻きこまれるようにして腸管に戻っていくのがわかった。
太い男根を無理矢理にくわえ込まされ、アスカの肛門は今にも張り裂けそうになっている。
男の腰を打ち込まれると腰が軋む──というよりも、肛門自体が軋んでギシギシ音を立てているような錯覚を受けた。

「やあっ、痛いっ……うんっ……うんっ……ううんっ……こ、こんな……あっ……お、お尻で、あうっ……お尻でするなんて……んんっ……し、信じらんないっ……あはっ」

龍田が徐々に腰を大きく動かし、その距離を長くしていくと、アスカは汗でぬめった綺麗な臀部をわななかせて仰け反り、髪を振り乱して悶えた。
アスカは痛がってはいたものの、初めての肛門性交とは思えぬほどに鋭敏に反応してみせた。
龍田が突き刺したペニスを十字を切るように動かして肛門を拡げる動きをしたり、円を描くようにして腰を揺すり上げると、アスカは苦鳴を漏らすものの、その動きに合わせて尻を振り、くねってくるのだ。

悲鳴と苦鳴はいつしか妖しげな呻き声に変化している。
喘ぎ、よがるところまではいかないものの、決して痛みだけではない感覚も受けてきていた。
限界を超えた苦痛と恥辱に、アスカの脳内麻薬が多量に分泌され始めたのだ。

「あ、ああ……変よ……何か変……お、お尻が……あ、あんっ……」
「よくなってきたんだろ? アスカはお尻でも充分に感じられるし、いくことだって出来るんだよ」
「あ、あう、そんなのいや……いやに決まってる……し、しないでもう……だめよお、おかしくなる……んああっ……」

明らかにアスカの声色が官能色に染まり、全身がぼうっと桜色に染まってきた。
それを確認すると、龍田はアスカを貫く肉棒の動きを速め、激しくさせていった。
谷間がなくなるほどに割られた股間に、龍田の腰がぺたん、ぺたんと音をさせてぶつかっていく。
腰が打ち込まれるたびに尻肉が震え、腿が小刻みに痙攣した。
根元まで一気に刺し貫き、引き抜く時はその倍の時間を掛けてゆっくりと抜いていく。
それを繰り返していくうちに、アスカの叫びは弱まり、熱く呻くようなくぐもった声になっていった。

「あ、あんっ……んんん〜〜っ……はうっ……んくうううっ……んあっ……い、あああ……ひっ……んむうううっ……」

そんなアスカの痴態を見ているうちに、龍田の劣情もむらむらと頂点に達しようとしていた。
アヌスの収縮も素晴らしく、さっきから肉棒を痛いほどに食い締め、絞り上げている。
たまらず龍田はガンガンと腰を打ち込み、射精体勢に入っていく。
太く硬いものでゴリゴリと粘膜を擦られ、アスカは仰け反って悲鳴を上げた。

「あ、あうっ、激しいっ……だめ、そんなにしたらあっ……お尻、壊れるっ、ううんっ……だめえっ!」
「くっ……、アスカ!」
「いやああっ!!」

アスカの真っ白い臀部がぶるるっと震え、激しくペニスを締め上げた。
龍田はアスカの尻を抱え持ち、腰が密着するまで押しつけて根元まで突き刺し、腸管奥深いところで射精した。

「んはあああっっ……!」

熱い粘液を敏感な粘膜に受け、アスカはぐうっと背中を伸び返らせて痙攣した。
びゅるるっと勢いよく放たれる精液を腸管で直接感じ取り、アスカは腸内は灼けるような感覚に打ち震えた。

「んっ、んんっ……やっ、お尻の中に出てる……き、気持ち悪いっ……何か出てるっ……ああっ」

アスカは無意識のうちに、射精のタイミングに合わせて肛門を絞り上げていた。
びゅくっと射精される時は緩め、出終わるときつく食い締めて促し、また射精されると緩めるという動きを繰り返した。
龍田はその心地よさにうっとりとしながら、ペニスから精液が全部出るまでアスカの腰を離さず、尻にくっつけたまま腸内射精を続けた。

──────────────────────

赤木リツコは技術職ではあったが、同時に技術開発部技術局第一課を束ねる責任者であり管理職でもあった。
といって、管理職とは名ばかりで自分の研究室に籠もりっきりという研究者にありがちなタイプではない。
彼女なりに功名心も名誉欲もあったし、ことEVA開発に関してはすべてを把握していないと満足しなかったので、部下へは事細かに指図する上司だった。
仕事には厳しいが融通が利かないわけではなく、ミサトのような社交性はないものの、部下達からは信頼と尊敬を集めている。

そのリツコが細かいことを言わなくとも、彼女の意図をほぼ実施してくれる伊吹マヤは、もっとも信頼の置ける部下であり後輩だった。
ふたりとも一課に籍を置いているものの、実際にいるのは現場がほとんどであり、今日も格納庫に来ている。
もう定刻を過ぎ、出動もなかったこの日は、辺りの照明が必要最小限に落とされ、今では整備員たちもいない。
ふたりはノートパソコンから伸びたケーブルを弐号機コクピットの計器へ繋ぎ、データを受け渡ししてその数値をチェックしている。
しかしマヤは、キーボードを叩いてはいるもののぼんやりしたり、妙にちらちらとリツコの方を見たりして気もそぞろといった風情だ。
さすがにリツコが見咎めた。

「……集中できないみたいね、マヤ」
「あ……、すみません」
「何か言いたいことでもあるの? なら遠慮なく言ってくれていいわ。そんな調子じゃ、いつまで経っても仕事終わりそうもないし」

リツコが一言余計なことを言うと、マヤはいかにも申し訳なさそうな顔でシュンとした。
しかしやはり気になるのか、些か意を決したような表情で言った。

「センパイ、実は私……、見ちゃったんです」
「何を?」
「……葛城三佐と龍田三佐です」
「それが? ふたりともネルフの人間なんだから、ここで見るのは当たり前でしょう」
「……」

リツコは眼鏡をかけた目をモニタから離さず、気のない様子でそう答えた。
マヤが黙り込んでしまったので、仕方なく話の穂を継いだ。

「どこで見たの?」
「それが……、トイレから出てくるところを……」

それを聞いたリツコは、鼻で小さくため息をついて手を休めた。

「だから何? ミサトだってトイレくらい行くでしょうに。それとも、龍田くんとミサトが同じトイレから出てきたとでも?」
「ええ、そうなんです」
「……」

リツコとしては冗談のつもりで言ったのだが、マヤは深刻そうな顔で肯定した。

「龍田三佐が、葛城三佐の腰を抱えるようにして男性トイレから出てくるところだったんです。少し様子が変でした。葛城三佐は顔が紅潮してましたし、何だか疲れてぐったりしてるみたいでした。まるで龍田三佐に縋るようにして……」
「男性トイレから……?」
「はい……。葛城三佐の顔色が変でしたから、もしかしたら、具合が悪くなった葛城三佐を龍田三佐がトイレまで連れて行っただけなのかも知れませんけど……」
「……」
「その時の龍田三佐がなんか……、その……いやらしそうな表情だったんで、なんか「イヤだな」って思ったんです。あ、すみません、ふたりともセンパイの同窓なのにこんなこと言っちゃって……」
「ふうん……」

リツコは少し意外そうな表情をして顔を上げた。

「あのふたりが……?」
「はい……。でも確か、葛城三佐って、あの、加持さんとその……。だとしたら不潔ですよ。そんな、二股なんて……」
「……ミサトは少し奔放なところはあるけど、そういう女じゃないわ。それに、私が知る限り龍田くんも誠実な人よ」

リツコはそう言ってマヤの疑惑を窘めるようにそう言ったものの、心当たりがないわけでもなかった。
というのも、確かにミサトの様子が最近少しおかしくはあったのだ。

リツコと話していても心ここにあらずという顔になることが多く、突然に表情が消えてしまうこともあった。
何事かとリツコが問い詰めると、一瞬の間を置いてすぐに普段のミサトに戻るのだが、妙にカンに引っかかるところがあった。
その時はリツコもそれ以上問い詰めることはなく、単に疲れでも出たのかなと思っていたくらいだった。
なのにマヤにまで隙を見せるようなことがあるとなると、やはり何かあったと思わざるを得なかった。

リツコが庇ったこともあり、マヤも謝罪してその場は収まり、その後はこの話題が出ることもなくこの日の作業を終えた。
マヤを先に帰してから、リツコは龍田の部屋へ向かっていた。
ミサトから「アスカの様子が少しおかしい」と報告があり、そのことを確かめる意味で彼の部屋を訪ね、場合によってはさきほどのマヤの話も確認しようと思っていた。

「……!」

廊下の角を曲がり、パイロット控え室や龍田の医務室、そしてアスカの私室のある通りに出ようとした時、当の龍田がやってきた。
別に隠れる意味はなかったのだが、リツコは咄嗟に引き返し、身を潜めた。
リツコは驚いて声を上げそうになった。
やってきたのは龍田だけではなく、アスカも一緒だった。

「……痛い! そんな強く掴まないでよ!」
「さっさと来い。やって欲しいくせに」
「あんたバカぁ!? 誰があんたなんかと……ちょっ、入らないでよ! あっ!」

龍田に手首を掴まれてアスカは抵抗していたが、ほどなく部屋に引きずり込まれた。
医務室ではなく、アスカの部屋だった。
リツコは、よっぽど後を追ってアスカの部屋に飛び込もうと思ったが、その足を止めた。
そして何か考えるような顔して、もう一度アスカの連れ込まれた部屋のドアを見てから、そっと踵を返した。

──────────────────────

周囲の人間にもアスカの変化が見て取れるようになってきていた。
躁鬱が激しくなっていったのだ。もっともアスカの場合、躁鬱と言っても「鬱」状態になるわけではない。
躁状態の場合は、いつも以上にハイテンションとなり、周囲をかき回していく。
これは以前にもあったことだし、それがさらに派手になったという印象だった。

しかしその反対──鬱になった時も手がつけられなくなっていた。
落ち込んだり引きこもったりするのではなく、やたらと機嫌が悪くなるのである。
焦っているのか苛ついているのかわからないが、とにかくピリピリした雰囲気を辺りにまき散らしている。
ヘタに話しかけようものなら八つ当たりされ、怒鳴りつけられることもしばしばだった。

ミサトやリツコは「おとなの対応」をしていたし、レイはレイで一定の距離を置いていたから、あまり変化はないようだった。
もっとも、あまりにいらいらしているアスカを、酷く冷徹な目で見ていることはあり、それに気づいたアスカが食ってかかることもあった。
その場合でもレイは無言でやり過ごすものだから、余計にアスカは腹が立つらしかった。

その点、シンジはそうもいかない。
もっともアスカが当たりやすい相手は彼だったし、シンジはシンジなりにアスカを心配してもいたから、周囲が「構わないように」と言っても、話しかけるようにしていた。
当然アスカはいらいらしてシンジにも反発したし、彼が何も言ってこなければ「無視されている」と逆恨みして、食ってかかった。
気になる相手として、結局シンジはどうあってもアスカの相手をさせられていたのだ。

アスカ自身、自分がなぜこんな理不尽な怒りや焦燥感に晒されているのかわからなかった。
あの薬が切れているせいなのかとも思ったが、よくよく考えてみると薬を飲んだ後でもそれが起こることがあった。
実際には龍田の体液によるものだったが、そんなことは今のアスカにわかるはずもなかった。

アスカにも、それが性的欲求のせいではないか、と薄々感づいてはいた。
もはや自慰ではどうにもならないが、男に抱かれればそれは治まるのではないか。
そう思うのだが、まさか誰彼問わず、その身を預けるわけにはいかない。
いっそシンジを誘惑でもしようかと思わないこともなかったが、それはアスカのプライドが邪魔をする。
恋人同士でもないのに、色情狂さながらに男を漁るなど、到底認められない。

結局、処女を奪われ、強制的あるいはなし崩し的に性的関係を続けさせられている龍田に抱かれるしかない。
だが、まさかアスカの方から「犯して欲しい」とも言えず、龍田の呼び出しを待つしかないのだった。
それが長引いて間隔が開いた時などに、アスカのいらつきは頂点に達する。
この日も、パイロット控え室で行われていたブリーフィング──というより、もっとざっくばらんなミーティングではあったが──で、アスカの癇癪が爆発したのだった。

何がきっかけだったのか、アスカにもよくわからない。
例によって「最強のシンジさま」とか言ってシニカルな態度をとったのか、それを窘めたミサトに腹が立ったのか、それとも割って入るシンジを見てバカにされたように感じたのか、およそそんな程度のことなのだろう。
アスカが来る前に、レイとシンジが何事か話をしていたのを見て妬心が湧き、ムカッとしたのかも知れない。
いつもはうんざりした表情で窘めるミサトだったが、さすがに今日はキレたようで、厳しく叱りつけた。

「いい加減になさい、アスカ!」
「うっさい! シンジが悪いのよっ、あたしをバカにして!」
「バカになんかしてないでしょう? シンジくんはあなたを心配して……」
「それが鬱陶しいってのよ! 何よ、少しばかり結果が良かったからって偉ぶって!」

ミサトとアスカは激しく応酬を交わしているものの、レイは醒めた目で黙って見ているだけだし、シンジは両者の間に入っておろおろするばかりだ。

「アスカ、別にバカにはしてないよ。僕の言い方が悪かったなら謝るから……」
「そうよ! みんなあんたが悪いのよっ! 何よ、少しくらいシンクログラフが良かったからってさ!」

優位なくせに下手に出てくるシンジを見て、ますますアスカはむかっ腹を立てていく。
どうしてそんなに癪に障るのか、何に腹が立つのか全然わかっていない。

「アスカ!」

カッとなったミサトが思わず手を上げると、椅子と机をガタンと大きく鳴らしてアスカも立ち上がる。
そして「殴るなら殴れ」とばかりに顔を突き出し、ミサトを睨みつけて大声で叫んだ。

「Halt den Mund!」
「……え?」

ミサトもシンジも、聞き慣れぬ言葉を耳にして呆気にとられた。
アスカは顔を激しく振りたくって叫び続ける。

「Halt den Mund! Halt den Mund! Halt den Mund!」
「ア、アスカ、何を言って……」

びっくりしたシンジがアスカの腕に手を掛けると、それを激しく振りほどいて絶叫する。

「Lass mich in Ruhe! Ich glaube nicht, das ich wirklich wichtig fur dich bin! Du bist ein Heuchler!」

アスカは腹立たしそうに机の上の資料をバッと掴み、そのまま投げ捨てる。
そして、呆然としているふたりと、「……」と見つめている少女を見返した。
そのままどかどかと足音も荒く部屋から出て行く際、捨て台詞まで吐いた。

「Ich hasse dich!」

まるで暴風雨が去った後のような、言いようのない気まずさで、室内は静まり返っていた。
シンジがミサトに尋ねる。

「……ミサトさん、アスカ……、何て言ってたんですか?」
「……多分、ドイツ語ね。あたし、ドイツ語苦手だったからよくわからないけど、うるさいとか、ほっといて、とか、そういう意味……」
「そうですか……」

シンジは少し寂しそうに、アスカの出て行ったドアを見つめていた。



      戻る   作品トップへ  第五話へ  第七話へ