「あ、ああっ……」

セイラは、思い切りきつく縛り上げられて苦鳴を上げた。
両手を引き延ばされ、手首をまとめられて天井から吊されている。
ピンと張られているわけではなく、肘にやや余裕があり、角度の浅い「く」の字のようになっ
ている。
両脚も足首を革拘束具でガッチリ固定され、やや股を開いた状態で床のフックに繋がれていた。
それだけでもう身動きはとれないのに、ローゼンベルグはなおもセイラの胸までかっちり縛っ
ていた。
上下から締めつけ、乳房を括り出す緊縛だ。

「ど、どうしてこんなに強く縛るの……」
「縛らなくてもおまえは抵抗できない。そう言いたいのか?」
「そ、そうよ」
「関係ないな。俺がおまえを縛っていたぶってやりたいだけだ。ま、趣味の問題だな」
「く……こ、この変態……」
「それと」

吊し上げられた美女の前を行きつ戻りつしていた士官はピタリと止まった。
後ろ手を組んだまま、セイラの顔を覗き込んで言う。

「少しお仕置きしてやる必要もありそうだ」
「お仕置きですって!?」
「どうもお嬢さんは、余計なことをぺらぺら喋る口をお持ちのようだ」
「……」
「少し慎んでもらうためにも主従関係をはっきりさせておこうと思ってな」
「主従関係……」

セイラの屈辱で青ざめた額に静脈が浮き出た。
噛みしめた奥歯がぎりっと鳴る。

「私があなたの奴隷だとでも言うの!?」
「そうさ。おまえ自分で言ったじゃないか」

ローゼンベルグは、セイラに背を向けてテーブルの上をかさごそやっている。
アタッシェ・ケースを開けて中から何かを取り出しているようだ。

「泣きながら、俺の女になると叫んだろうが」
「ふ、ふざけないで!! あ、あれはあなたがムリヤリ……」

膣内射精すると言って、散々セイラを脅えさせてそう言わせた挙げ句、結局、胎内にたっぷり
と射精されたのだ。
救いがないとはこのことだ。

「ならば、おまえが進んでそう口にするよう仕込んでやろうじゃないか」

ローゼンベルグはにやりと笑って言った。
その姿を見てセイラは引いた。
男が手にしているのは鞭だ。
それで痛めつけようというのか。

セイラは興味などなかったが、セックスにSMというものがあり、鞭で叩いたりロウソクを
使ったりするのは知っていた。
自分がそれをされるのかと思うと、セイラは平静ではいられなかった。

「そ、そんなもので……何をしようと言うの!」
「可愛い子ぶるなよ。何をされるか予想はつくだろうが」

もちろんそうだ。
だから嫌がっているのである。

打たれる恐怖に脅えているのか、唇が青ざめてきたセイラを見て、ローゼンベルグは面白がっ
て鞭を振った。
ヒュッという、乾いた軽い音が空を切り、美女は息を飲む。
男は後ろに回り込むと遠慮なくセイラの白い背中に打ち付けた。
風を切る小気味よい音が耳に届くと同時に、右肩胛骨から背筋にかけて痛烈な刺激が走った。

「あああっっ!!」

大きな口を開けてセイラは絶叫した。
首と背をぐうんと仰け反らせて苦痛に耐えた。
ジオンの娘の背には、幾筋もの薄赤い筋が走っていた。

ローゼンベルグが使っているのは、いわゆるバラ鞭である。
これは柄から何本もの革の帯がぶら下がっているタイプだ。
一般的だと思われている一本鞭は、もともと拷問や刑罰用に作られたものであり、実際に使う
のは非常に危険だ。
芯をなめし革でぐるぐる巻きにして一本にまとめ上げたそれは、まともに打ち込めば、人間の
肌など簡単に裂いてしまう。
いや、皮どころか肉すら弾けて骨が露出するほどに凄まじい威力を持つものなのである。

無論、SMプレイ用に作られたものはそこまで強力でないにしろ、それでも使い方をちょっと
誤れば生死に関わるほどのものだ。
ローゼンベルグはそこまでいっていないから、より一般的にプレイで使われるバラ鞭を用いた
のである。
もっとも、これも打たれる方はかなりの恐怖を感じる。
よく考えれば、一本物と違って革のみだし、それも複数あることによって一本一本の威力は減
じている。
しかし、される側、それもセイラのような素人には充分に脅威であり、痛いのである。

「どうだね、鞭の味は?」
「痛いに決まってるでしょ! うああっ!!」

再び「ビシッ」という肉を打つ響きがこだまする。
セイラは身をよじって痛みを堪え、また逃げようとするのだが、両手を天井につられたままで
は動こうにも動けない。
打たれた箇所が、ぴりぴりと熱く痛む。
その痛みがじわりと周辺に広がっていくのがわかった。
苦痛とともに、家畜のように鞭打たれる恥辱が全身に染み渡るようだ。
痛みに呻き、わななくセイラの裸身を、男はさらに打ち据えた。

ビシィッ!

「あうっっ!!」

バシン!

「ひあっ……く……」

ビシッ。

「うあ!! ……い、痛い……」

ローゼンベルグが鞭を振るうたびに、白かったセイラのなめらかな背中に、醜い筋が幾重にも
刻まれていった。
なおも男の鞭は唸る。
今度は背中から下、その張り出したヒップと太腿を中心に鞭打った。
臀部に炸裂した激痛にセイラはまたも絶叫した。

「きゃああっっ!!」

ビシッ。

「ぐあっ……痛い……痛い、いやもう……」

今度は腿が鳴った。
大きな尻がぷりぷり動いて嫌がる動きが気に入ったローゼンベルグは、集中的に尻を打ち、
時折、背中や腿への打撃もアレンジした。

バシィッ!

「くうあ!」

バシンッ!

「やあ!! や、やめて、もう……うあ!」

ビシッ。

ビシィッ。

バッシン!

「痛い!! ああ、もう……うはっ! ……やめ、やめてぇ、きゃああ!!」

セイラはもう息も絶え絶えだった。その美貌は汗と涙でぐしょぐしょであり、苦痛で歪んで
いる。
もう恥も外聞もなく、憎い男に懇願した。

「お、お願いよぉ……」
「……どうした」
「も、もうそれはやめて……。痛くてもう……」
「止めて欲しければもういちどはっきりと言ってみろ」
「な、なにを……」
「俺の女になる、ということをだ」
「い……いや……」
「いやならどうなるかわかってるな」
「だめ、いや、やめてっ!」

男は前に回った。
今度は真正面からセイラの腹や肩、そして乳房を打ってやろうというのだ。
恐怖にその美貌を青ざめ、唇をぷるぷる震わせていた彼女に、ローゼンベルグは情け容赦なく
鞭を振り下ろした。

「ぎゃっ!!」

セイラの喉は、鶏が捻り殺されるような悲鳴を噴き出した。
風に唸る9本のなめし革がまともに豊かな乳房に炸裂したのだ。
それがふくよかな肉に弾けた瞬間、セイラは乳首が飛び出るのではないかと錯覚した。
ひゅんっと音がして、鞭は繰り返し美女の裸身に舞った。

バチッ!

「いたっ……!!」

ビシッ!

「うはあっ!!」

ビッシィ!

「あああっ!!」

もう10回くらいは前を打ち据えただろうか。
鞭初体験のセイラには多すぎる回数である。
もう息も絶え絶えといった有り様で、顔と言わず肩と言わず全身に冷たい汗をかいていた。
ローゼンベルグがむち打つたびに、その冷や汗が部屋中に飛んでいる。

「どうした? もういい加減まいったかね?」
「や……もう、いや、やめて……痛いのよ……」

それは痛いだろう。
ローゼンベルグは力を加減して打っていたつもりだが、鞭打たれて身悶える美女を目の当たり
にして昂奮し、ついつい力が入ってしまっていた。
うっすらと赤く筋がつく程度に収めるつもりだったのに、所々ミミズ腫れとなり血が滲んでい
る傷まであった。
やりすぎたと思わないでもなかったが、セイラが苦痛に苦悶する妖艶な姿を見ているとどうにも
我慢が出来なかったのだ。
少佐はセイラの回答を待つまでもなく、再び鞭を振るった。

「くあああ! うあっ! くぅあっ! んあっ! 痛い! ……ああ、もういや……あううっ
!!」

ローゼンベルグは目を血走らせて金髪の美女を叩きまくった。
自分にここまで加虐性があるとは思わなかった。
責めているのが類い希な美女だということもあるが、女を虐めて蔑むことがこれほどの快感だ
とは知らなかった。

セイラはもう立っていることもできなかった。
両手を吊っているロープが辛うじて彼女を支えており、脚はもうすっかり萎えて膝が笑って
しまっている。
ローゼンベルグお気に入りのガーター・ベルトやストッキングも、激しい鞭打ちを象徴するか
のように、あちこちに裂け目を作り、白い肌の上に走る薄紅色の腫れを露出させていた。

もう1時間ほどはローゼンベルグの鞭責めを受け続けているが、この頃になるとセイラは打た
れる肌やその奥に名状しがたい感覚を知覚していた。
最初は激痛と恐怖、そして獣のように鞭打たれているという屈辱感しかなかったのに、ぐぐっと
こみ上げてくるような熱い感覚がある。
何度も何度も打ち込まれていると、少しずつ少しずつその感覚がはっきりとしてきた。
その不思議な熱は、温度を保ったまま打たれた皮膚から肉や内臓に浸透し、弱い電流となって
腰まで滑り落ちてくる。
それが疼きにも似た快感だとセイラが気づくまでもなく、股間がしっとりとしてきてきた。

打たれるごとに苦痛で全身が強張る。
するとどうしても膣も締まってしまう。
潤み始めてきたそこからは、締まるごとに外へと甘い蜜を滲ませるようになってきた。
ローゼンベルグはまだそれには気づいていなかったようだが、セイラの別の変化を見て取っ
ていた。
苦悶する美貌からまろびでる悲鳴に、だんだんと熱い吐息、甘い官能的なものが混じってきて
いるのだ。
ローゼンベルグは蔑んで言った。

「……ふん。感じてきたのか、この変態めが」
「……」

セイラは痛みに耐え、疲労困憊していたから返事ができなかっただけなのだが、男はそうは
取らなかった。
指摘が事実で反論できないのだと思ったのだ。
事実、セイラの方も、本当に男の言う通りかも知れないと思いつつあった面もある。

ローゼンベルグは唇を歪めて鞭を放り出した。
セイラが、それを見てホッとする間もなく、男は次の責めに取りかかる。
ギシギシとわざとらしく床を踏みしめる音をさせて近づいてくる男を、セイラはぼんやりと
見つめた。
右手に赤く細長い棒状のものを持ち、左手にはバケツをぶら下げている。
セイラの目は自然と右手に行った。

「そ、それ……」
「知らんのか? ロウソクというものだ。ま、最近は照明器具のイミテーションで見かける
くらいだろうが、おまえの城には本物をいくつも使っていたではないか」
「何……する気なの……」

少佐は軽く肩をすくめた。

「……なるほど。アルティシア嬢は本当にうぶでいらっしゃるようだ」
「……」
「こいつに火をつけて、溶けたロウをあんたの綺麗な肌に垂らそうってわけだよ」
「……!!」

またSMというやつか。
この男は鞭で打って苦しめるだけでなく、そんなものまで使って女を責めるつもりだ。
セイラがわなわな震えていると、ポケットからライターを取りだして着火する。
そして何のためらいもなく、セイラの白磁の肌に垂らし始めた。

「あっっ……く……」

胸に、錐で刺されるような鋭い痛みを感じ、セイラはくぐもった声を出した。

「熱かったかね? まあこれはSMプレイ用に温度調整した低融点ロウソクではないからな。
かなり熱いとは思うが、それもじき慣れるさ」
「そんな……いやよ……」
「慣れるまでやるんだよ、そら」

ロウソクを寝かせると、溜まったロウがポタポタとセイラに落ちる。
そして炎が新たにロウを溶かしていく。

「あうっ! ああっ! あ、熱いっ! ああ、熱い……くぅっ!」
「ふふ、痛いの熱いのと忙しいことだな」

ローゼンベルグはうそぶくと、さらに熱ロウを垂らしていく。
セイラの肢体を覆った汗の膜に溶けたロウが落ち、その汗が「ジュッ」と蒸発する。
セイラの汗ばんだ乳房にいくつもの赤い花が咲いていった。
男は赤いロウソクを使って正解だと思った。
セイラの肌がロウの赤い跡をつけていく情景の、なんと扇情的なことだろうか。
ローゼンベルグは、己のペニスがスラックスのファスナーを突き破りそうなくらいに勃起し
ているのを知った。

男は乳房だけでなく、後ろに回ってその綺麗な背中や豊潤な尻たぶにもロウをかけていった。
苦鳴し、呻き悶える美貌の女性に昂奮し、ローゼンベルグが訊いた。

「どうだ、つらいかねセイラ」
「熱い……も、もういや……やめて、熱いのよ……ああっ!!」
「なら素直に言いたまえ。もう二度と生意気な口は利きません、私はあなたの奴隷です、とな」
「バ、バカにしないで……誰があなたになんか……」
「そう。そうこなくちゃな、それでこそ俺が見込んだ女だ」

あっさり陥落してもらっては愉しみがないというものだ。
もしここで堕ちてしまっていたら、さぞやローゼンベルグは失望したことだろう。
セイラに対する興味が半減したかも知れない。
そうとは知らないセイラは、プライドと持ち前の反骨心で抵抗を続けた。
男はにやりとして言った。

「初体験だからな、熱いしつらいのはやむを得ない。だがおまえならすぐ慣れるさ、鞭の味も
覚えたようだしな」
「……」
「だんだんと熱いロウで身体を焼かれることが快感になっていくだろうよ。おまえは男に虐め
られるのが好きみたいだしな」
「いやらしいこと言わないで! そんなわけないわ!」
「いずれわかるさ、おまえ自身の身体でな」
「……な、なんで……」
「?」
「なんでこんなことするの!!」

セイラは気力を奮い起こして叫んだ。
ローゼンベルグも、さすがに躊躇して動きが止まった。

「こんなこと……こんなことして何が面白いのよ!」

男はピンと来た。
わからせてやった方が調教が早く進むかも知れぬと思い、責めを中断して説明した。

「そうだな……。実のところ、鞭で打ったり、ロウソク垂らしたりという行為そのものは面白
くも何ともないな」
「じゃ……じゃあなぜ……」
「SMってのには、今おまえにやったような鞭やロウソクの他にもいろいろある」
「……」
「鞭だけじゃなく、平手で叩いたり、スリッパでひっぱたいたりとかな。スパンキングという
んだが、そういうのもある。鼻の穴にフックを引っ掛けて無様な顔にして悦んだりとか、ギャグ
という穴だらけのボールを口にくわえさせるとかな。まあ、俺は生憎そういうのには興味ないがね」

平然と恐ろしいことを言う男を、セイラは小刻みに震えて見つめていた。

「おっぱいや尻に針を立てたり、浣腸して排泄させる、なんてのもある。鞭にしたって、おまえ
にしてやった子供だましみたいなのじゃなく、スパイク付きの強烈な一本ものでしばきまくるっ
てのもあるな」

わなわな震えながらセイラはようやく言った。

「ま、まさかあなた……こ、これからそんなことを私に……」

すっかり血の気が引いたセイラに満足したのか、ローゼンベルグはにこやかに言った。

「心配するな、俺はそこまではせん。俺は女を傷だらけにするのが趣味なんじゃない。おまえ
のような美人が苦痛に身悶え、苦悶する顔がみたいだけなんだ」
「そんな……」

セイラは絶望した。
死ぬほどの目に遭わされることはなさそうだが、それでもまだまだ虐めるらしい。

「さ、わかったな。じゃあ続きだ」
「ま、待って、まだ、あああっ!!」

しばらく話を聞いていて、やや冷えた身体にまたしても熱いロウが落ちていく。
男は特に乳房と尻、腿に垂らすことに執着した。
顔はさすがにマズイと思ったし、立たせて縛ってあるから腹や背中にはやりにくかったからだ。

一応、ローゼンベルグも気を使ってはいた。
ロウソクは本物を使っていたが、溶けたロウを落とす距離を充分にとっていたのだ。
肌に近づけてロウを垂らせば、ほとんど溶けた温度のまま皮膚に届く。
しかしなるべく上から落として肌に届く距離を長くしてやれば、その間冷気に触れて幾分温度が
下がるのだ。
そんなことは知らぬセイラは、熱ロウを落とされる恐怖にただ震え、悲鳴を上げ続けた。
火傷しそうに熱く、垂らされた瞬間は針で突き刺されるような痛みが走り、すぐにそれがひり
ひりした苦痛に変わっていく。

「ああ! ……や、熱い……熱っ!! あ、はあ、いや……あくっ!!」

激痛とも灼熱とも知れぬ強烈な刺激に悶えていたセイラの悲鳴は頂点に達した。
ローゼンベルグは、セイラの乳首めがけてどろどろっとまとめてロウを垂らしたのだ。

「ぎゃああ! 熱いっ! ああ、そこはいやっ! くっ、熱っ! お願いそこはっ! きゃああ
!!」

敏感な性感帯に訪れた凄まじい感覚に、美女は外聞もなく激しく絶叫した。
乳首が赤いロウですっかり覆われたところで、男は一端責めを中断した。

「ああ……」

セイラは小さく呻くと、がくりと力を抜いた。
唇が小さく痙攣し、固く閉じた目尻の縁から僅かに涙が滲んでいる。
小さく開いた口から熱い吐息が洩れていた。
ローゼンベルグは背筋に微弱な電流が流れた。
これほど嗜虐性をそそる表情をする女は滅多にいないのではないか。

さらに視線を進めると、セイラのそこはすっかり湿ってきていた。
汗かも知れない。
しかし、汗の匂いの他に、甘い女の香りも漂っている。
心は拒絶し、皮膚も苦痛に喘いではいるが、肉体は、そして媚肉や子宮はこの責めを受け入れ
ているのではないだろうか。

そう思ったローゼンベルグは、その媚肉に垂らそうかと思ったがそれはやめた。
なぜなら、セイラのクリトリスはすっかり顔を出し、ビクビクと震えていたからだ。
そんなところに熱ロウ攻撃したなら、さすがに気を失ってしまうだろうし、火傷でもしたら
手当のしようがないだろう。

それよりも、もうすっかり上気しているように見えるその見事な裸身に、男は欲情し尽くして
いた。
それでもローゼンベルグは我慢した。
目の前に据え膳の美女がしどけない格好で呻いているのだ。
驚くべき忍耐だったが、ローゼンベルグはもう一歩セイラを堕としてから存分にその身体を味
わおうとした。
男が触れたら、もう抗う声など出ないくらいに高ぶらせてやろうとしたのだ。
ローゼンベルグはバケツの中から何か掴み出すと、それをセイラに押しつけた。

「ひゃああ!」

美女はギクンとして、背中と首を大きく仰け反らせた。
ローゼンベルグは、鞭打たれた傷と熱ロウで火照ったセイラの裸身に氷を押し当てたのである。
赤く腫れた痛みと軽い火傷でジンジンしていた身体に氷点下の冷たさが突き抜ける。

「く、冷た……ああっ! ……あっ、くく……んんんっ……っっ!」

セイラはその冷たさにもがき、悶えた。
ローゼンベルグは、ミミズ腫れになっている皮膚や、ロウが被っている肌を集中的に氷責めした。
そのたびにセイラは肢体をうねらせ、身悶え、わなないた。
うねくる身体から、張り付いたロウがボロボロとこぼれ落ちる。
そこにまた氷を押しつけてセイラの悲鳴を誘った。
男の責めはさらに辛辣だった。
そこへまた舌を這わせ出したのだ。

「ああっ! ……ん、はう……ああっ……い、あああ……くっ……」

ロウの熱さに氷の冷たさ。
ズキズキ痛む鞭の跡や、氷で冷えた肌に熱い舌の攻撃。
その、責めのコントラストにセイラは呻くしかなかった。
残虐な鞭やロウ責めに加え、氷や舌を使った淫虐な嬲りにセイラは戦慄した。
残酷でいやらしい行為なのに、身体が疼いて止まらないのだ。
彼女が意識し始めた頃には、もうその股間はすっかり濡れそぼっていた。

なぜなのかわからない。
こんなひどいことをされているのに感応している自分が信じられなかった。
セイラは自分が官能を感じていることを覚らざるを得なかった。
乳首もクリトリスも痛いほどに勃起し、媚肉は膣からの涎が止めどなく流れてきた。
固く締めたはずの口が思わず緩み、熱い吐息が零れ出ている。

「あ……ああ……ん……」

ローゼンベルグは、セイラの肌から口を離し、言った。

「どうだお嬢さん。感じて感じて仕方がないんだろう?」
「……」

セイラは首を振ったが、その動きは力なかった。
頃合いと見て、男はシャツとスラックスを脱ぎ去り、トランクスも脱ぎ去った。
セイラはその姿をぼんやりと見ていた。
心では拒否したかった。
男の股間で屹立するペニスから目を逸らしたかった。
しかし肉の疼きがセイラの精神を飲み込もうとしており、口からは抗う声でなく熱い呻きが
出、目線も男から外すことが出来なかった。

ローゼンベルグに犯され、恥ずかしい姿を晒してしまうという屈辱よりも、火照り、欲情して
しまった肉体をこのまま放っておかれたらどうにかなってしまうという恐れの方が強かった。
セイラの潤んだ瞳に見つめられ、さすがにローゼンベルグも耐えきれず、その瑞々しい裸身に
むしゃぶりついていった。

「あっ、ああっ……」

どんなに堪えようとしても、待ちかねたような声を出してしまう。
セイラは羞恥と屈辱で胸を白く灼いた。
男は、見事な輪郭を描く乳房を後ろから両手で覆い、ゆっくりと揉みしだき始めた。

「あ、あうう……」

鞭でロウで虐められ、舌と氷で解きほぐされた敏感な肉の塊は、やわやわと男の手に愛撫され
痺れるような快感がセイラの背を突き抜けた。
汗や溶けた氷、男の唾液で濡れた肌はぬるぬるしており、そっと触れられただけでビーンと感
じるくらいに敏感になっている。
セイラの城で嬲り尽くし、散々いびったはずの乳房だが、その揉み心地はたまらなかった。
手いっぱいに広がる充実したバストを根元から絞り上げるように揉みしだく。
ぷくりと指の隙間から顔を出した乳首を弾いてやると、セイラは身をよじってその快感に耐
えていた。
それでもしつこく乳首を指で摘み、クリクリとしごいてやると、噛みしめた唇から喘ぎとも
呻きともつかぬ艶っぽい音色の声を洩らした。

「ああ……」

胸から遠慮なく潜り込んでくる快楽に、セイラが思わず薄く唇を割ると、ローゼンベルグは
すかさずその顔を自分に向け、魅惑的な赤い唇を奪った。
ハッとしたセイラは激しく首を振って抵抗した。
暴力的に犯されはしたが、唇は許さなかった。
なのにこの男は強引に口を吸おうとしている。

「む、ぐ……むぐ……」

ローゼンベルグはセイラの唇を食べるかのように口に含み、舌をムリヤリその中へ押し込もう
とする。
セイラも最後の矜持で抗い、パールのような白い綺麗な歯を噛みしめて男の舌を受け入れなか
った。
ローゼンベルグの征服欲はますます高じて、なんとしてもこの女の口咥を味わおうと思った。
左手で顎を掴み顔を寄せながら、右手は乳房から離し、股間へ突入させた。

「ふあっ……あっ、むむっ……」

ローゼンベルグの指が、熱くなった媚肉とその頂点を愛撫し出すと、セイラはたまらず口を
開けてしまった。
男の舌は、待ってましたと言わんばかりにその口に侵入する。

「んん! んむむっ……」

セイラは口を閉じようとしたが、男の舌は完全に中に入り込んでいる。
ローゼンベルグの舌を咬み切ってやろうかとも思ったが、さすがにそんなことは出来なかった。
それをいいことに、ローゼンベルグはセイラの甘い口をたっぷりと味わった。

「んん……むっ……う……っっんっ……」

完全に男の舌を受け入れたわけではなかったが、それでもローゼンベルグの舌が動き回るのを
どうすることも出来なかった。
気色悪いと思いはしたが、その気持ちもどこか虚ろになっていく。
卑劣な男に、いいように肉体を弄ばされ、薄汚い舌が口の中までも犯していく。
穢されていくという実感が、セイラを得も知れぬ妖しい官能にまで高めていった。
身を焦がすような汚辱のせいで、まだ積極的に自分の舌を出すところまではいかなかったが、
それでも男が繰り出してくる舌は抵抗なく受け入れていた。

「むむ……ん、んんう……」

ローゼンベルグの舌がセイラの口腔を蹂躙した。
舌を絡め取られ、口中の唾液を吸い取られた。
5分以上も続いた激烈な接吻が終わり、男がようやく口を離した時には、セイラはもうローゼ
ンベルグに逆らおうという気力は根こそぎ奪われてしまっていた。

「ふふ……」

ジオンの少佐はそれを見て取ると、セイラの腕を吊っていたロープを解いた。
まだ両手首で拘束はされていたが、吊られる苦痛からは解放された。
さらに足首の拘束具も解いてやった。
セイラはくたっと横たわるだけで、もはや逃げようともしない。
ローゼンベルグは力なく伏せっている美女に肉欲を高ぶらせ、うつぶせにひっくり返した。

「あ……」

セイラは軽く呻くだけでされるがままだ。
男は彼女の肉付きの良い腰を掴むと、ぐいと手前に引き寄せた。
なすすべもなくセイラは、膝を床につき、尻を男に突き出す恥ずかしい四つん這いの格好に
されてしまった。

「あ、もう……許して……ああ……」

か細い声でセイラがようやく言った。
ローゼンベルグは、そのぷりぷりした尻を撫でながら答えた。

「許してだ? ウソをつくな、こんなに濡れているくせに。おまえも欲情しているのだろうが」
「……」
「正直に言ったらどうだ? セイラのオマンコは男をくわえこみたくてうずうずしています、
とな」

そう言われた瞬間、セイラの膣の奥がじゅんっとなった。
熱いものが媚肉に向かって零れ出ようとしている。
肉体凌辱をされるだけでなく、言葉で辱められても燃えてくる。
我慢しきれぬ屈辱も、耐え切れぬ羞恥も、どれもがセイラを高ぶらせていった。
ローゼンベルグはセイラのくびれたウェストをがっしり両手で固定すると、肉棒で尻たぶを
割っていく。

「ああ……」

セイラは僅かに身体をよじって嫌がる素振りを見せたが、形だけだった。
男のペニスがさらに侵攻し、媚肉に到達し、中に捻り込まれるまでまったく抵抗を見せなかった。

「んんっ……はうっ!」

ローゼンベルグの熱く硬いものが膣を突き抜いてくる刺激が、苦痛なのか悦楽なのか、セイラ
には判別がつかなくなっていた。




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