月面都市のひとつであるグラナダ市。
かつてジオン公国時代は、ザビ家長女のキシリア少将麾下の突撃機動軍が本拠にしていた地区
であった。
公国降伏後、連邦軍による徹底的な弾圧と捜索で、突撃機動軍本拠地は要塞の体を為さなくな
っている。
ジオンの軍事施設は残らず排除されたばかりでなく、旧ジオン系の住民はひとり残らず追い出
された。
そのせいか、グラナダはかつての賑わいはなく、ひっそりとしている街に変わってしまった。
無理もない。
地球にいる人間たちは、旅行はともかく永住するつもりで宇宙へ出る者は滅多にいない。
各スペース・コロニーについても、自分たちのコロニーの人口が戦争で激減している中、重力
も気圧も大きく異なる廃れた街に来ようという者はいなかった。

今、グラナダにあるのは連邦軍月面方面軍の他は、そこの軍人たちを相手に商売をする一部
民間人くらいのものだった。
スラム化しかかっているグラナダの状況を憂いた連邦は、地球連邦及びその支配下コロニーの
人間であれば、永住を希望する者や企業には無償で土地を提供する旨を告知しているくらいで
ある。
それだけに、地球連邦が発行したパスポートを持っている者は、ほぼフリー・パスで出入りが
可能だった。
さすがに身分証明書や査証は必要だったから、犯罪者や浮浪者が来る危険は少なかったものの、
地球やコロニーでは暮らせない訳有りの人間ばかりが集まり、一種独特の怪しげな雰囲気を
醸し出していた。
マ・クベたちの手を逃れたカイ・シデンはそこにいた。

「……じゃ、連中の兵器庫は旧グラナダ基地跡ってことか……」
「ええ、そうよ」
「大胆だな。よく見つからなかったもんだ」
「そうね。けど、やつらが物騒なものを持ち込んだのは連邦軍の調査が終了したあとだった
からね。もともとデラーズの連中が引き上げるとき施設はあらかた爆破しちまったから、
廃墟みたいなものだったしね」

カイはベッドに寝そべってタバコをくわえていた。
話しているのはグラナダの私娼である。
グラナダは、こうしたアンダーグラウンド的な商売のメッカなのだ。
グラナダに駐屯している連邦軍兵士の相手が主だが、客は隣のフォン・ブラウン市やアンマン
市からもやってくる。

さらにこうしてカイのような連中もいる。
ここはある意味スパイ天国だし、怪しげな情報屋やジャーナリストもねぐらにしていた。
情報の売買は、彼女ら娼婦にとっても大事な仕事のひとつなのだ。

「やつらの規模はわかるかい?」

カイは天井に伸びる紫煙を目で追いながら聞いた。
ジェニーと名乗った女は、ベッドの縁に腰掛けて髪を指で梳きながら答える。

「さあね。あたしが相手するのはひとりずつだし、あんまり突っ込んだことまで聞けないだろ」
「そりゃそうだ」
「でもま、女と寝ると口の軽くなるやつはゴロゴロいるからね、あたしらの小遣い稼ぎになる
わけだけど」
「あんた、この道は長いっていうし、将校の相手もけっこうするんだろ?」
「まあね。連邦もアクシズもね……」

女は軽く「ふん」と鼻を鳴らした。
そして身体を伸ばし、カイのタバコを一本抜き取り、口にくわえた。
カイがそれにライターで火をつけてやる。

「ん……、ありがと。で? 誰の話が聞きたいの? ぺーぺーの兵隊のうわさ話ならともかく
将校の話はそれなりに値が張るよ」
「言い値でいいぜ。アクシズのマ・クベ。知ってるな?」
「マ・クベ……? ああ、あの生え際が後退してる陰気なオジサンね」
「そうだ」

カイは苦笑した。
やれやれ、この分じゃ、俺も陰で何言われてるかわかったもんじゃないと思う。
彼女は、こうしてカイに情報を売る反面、別の人間にカイのことを聞かれれば、今日のこの
ことも話すのである。
別に裏切りとかダブルスパイなどというものではなく、彼女らにとってはより高価かつ有効に
情報を売り払うだけなのだ。
このことは、彼女らから情報を得る者たちは暗黙の了解として受け入れている。

彼女たち娼婦は、そこらの情報屋などよりよほど豊富にネタを持っている。
しかしその分、こちらの知られたこともダダ漏れになっていると思わなければならないのだ。
そのリスクを承知した上で情報を買うのが、この街のルールである。

「悪いんだけど、あのオジサンは知らないね。月の上ではあのオジサンがアクシズの責任者
みたいなもんらしいけどね。客として来たことはないよ。あたしだけじゃない、あのオジサン
と寝た子はいないんじゃないかな」
「へえ」
「ホモじゃないのって話もあるくらいさ」

ジェニーはふーっと少し強めに煙を吐いた。
客の前で、鼻の穴から煙を出さないようにしているのだろう。
ささいなことだが、カイはそれが何となく気に入った。

「じゃあナンバー2は誰かわかるか?」
「ナンバー2? そうさね……、ああ、あのスケベ親父かな」
「スケベ……何だって?」
「ス・ケ・ベ・オ・ヤ・ジ。ああ、名前は別さ。確かローズだか、ロゼだか……」
「ローズ……?」

女は、喉まで来ているその名を思い出そうと、人差し指を立てて軽く振っている。

「なんでもご先祖さんは貴族だとか何だとかって言ってたかな」
「!! ……フォン・ローゼンベルグか!?」
「ああ、そうそう。なんだい、にいさん知ってるんじゃないか」

思わずカイは身を起こして半身になっている。
タバコの灰がシーツに落ちるのにも気づかない。
ジェニーは灰を躊躇せず床に落としていた。
どうやらここではそうするものらしい。

「またえらいやつが関わってるんだな……」
「なんだい、大物なのかい、そのローゼンなんとかは」
「大物ってわけじゃないが……。まあ戦犯容疑者だな」
「そうかい。ま、ここじゃ珍しくもないさね」
「そうだな。で、そいつは客になったことはあるかい?」
「あるさ」

女は吐き捨てるように言った。

「あいつ、好みがうるさいみたいだけど、気に入ったらべったりなんだよ」
「ほう。じゃあんたはやつのお気に入りってわけだ」
「気色悪いこと言わないどくれよ」

ジェニーは眉をしかめてそう言った。
ぞわぞわと悪寒でもするのか、二の腕に鳥肌まで立っている。

「……他の子は嫌がって相手しないのさ。アクシズの連中もいい金蔓だからね、そこの将校
さんは邪険にも出来ない。で、あたしが相手してるんだよ。まあ金払いはいいからね」
「何がそんなにイヤなんだい」
「とにかくね、あいつのセックスはいやらしいんだよ、ねちねちとね。鞭打ったり浣腸したり
と、早い話が変態野郎さ。一度相手をすりゃ3時間や4時間は責められる。たまったもんじゃ
ないってわけさ。もちろん追加料金はふんだくってやるけどね。……ところでそんなことが
聞きたいのかい?」
「いや、そうじゃない」

カイはまた苦笑してベッドの上に胡座をかいた。
短くなったタバコをサイドボードに押しつけて消すと、新たな一本に火をつけた。

「そのローゼンベルグのことだ、何でもいい、教えてくれ」
「……ははーん。あんたなかなか事情通じゃないか」
「聞いてるのはこっちだよ」
「そうだったね。やっこさんがマ・クベを裏切ろうって話は聞いてるかい?」

カイは小さくうなずいた。
それはセイラから聞いている。

「じゃ話は早い。で、どうすると思う?」
「さあな。ハマーンの元へでも走るのかな。裏でハマーンの配下の連中と接触してるのは掴
んだ」
「それもないでもないだろうね。でもね……」
「でも?」
「わからないのさ、あたしも」
「どういうことだ?」
「あの野郎、アクシズだけじゃなく、連邦軍にも接触してるらしいよ」
「……なんだと?」

さすがに蛮勇のジャーナリストも驚いた。
連邦とだと?
どういうつもりだ?

「それだけじゃないよ。ローゼンベルグの副官てやつから聞いたんだけどね、あのオヤジ、
ティターンズにも色気出してるらしいんだよ。おまけにマフィアの連中とも臭い仲だって
いうしね」

いくらなんでもあちこち手を出しすぎだ。
八方美人にもほどがあるというものだろう。

「……それで、あんたどう思う?」
「あたし? わかるわけないさ」
「なんでもいい。どの線がいちばん強いと思う? アクシズか連邦か、それとも……」
「そうだねえ……」

女はタバコの先端を見つめ、火の点いたまま部屋の隅へ放り投げた。

「これはあたしのカンだけどね、そのどれでもないんじゃないかな」
「どういうことだ?」
「あいつね、どの組織からもカネ貰ってるんだよ」
「カネ……?」
「ああ。単に私腹を肥やしているのか、それとも自分でまた別の組織を立ち上げようとして
んのか知らないけどね。あのオヤジ、あれでプライド高いからね、他人の風下には立ちたく
ないんじゃないかな」

そこまで聞けば、カイには想像がついた。
ローゼンベルグが戦時中やったとされることと比較すれば、自ずと答えは浮かんでくる。
しかしまだ合点がいかぬところもある。
カイは長髪をうざったそうに払ったあと、腕組みしながら言った。

「しかしなあ……。その前にやるべきことがあるじゃねえか。頭に座ってるやつを追い払う
のが先だろうに。もうマ・クベの組織を乗っ取ったつもりなのかな」
「その辺は自信たっぷりだったわよ。マ・クベが頭首にしようとしてるお嬢さんを手なずけた
から、って」
「……! 手なずけるって……」
「あんなもんになつく女がいたらお目に掛かりたいわ」

女はそう言ってカラカラと嗤った。

「本来アクシズは、ザビ家の生き残りミネバ嬢ちゃんを頭に据えてるんでしょ? だからマ・
クベたちはそれに代わる誰かを引っ張ってきたんでしょうよ」

その通りだ。
この売春婦、これでなかなか切れるようである。

「それも妙齢の女性……なんじゃないのかな。てなずけるったって、ちっちゃな女の子じゃあ
あんなコワそうなオジサンになつくわけないじゃないの」
「……」
「だからさ、わかるでしょ。多分その娘を、あのオヤジが力ずくでものにしたんじゃない?
で、そのことで恐喝してるか……、あるいは今でも犯られてるとかね」
「……」

頭首にしようとしている女というのは間違いなくセイラのことだろう。
あの時、彼女もそんなことを言っていた。
しかし、セイラはあの時、はっきりとその男の名前は言わなかった。
まさかセイラがローゼンベルグに手込めにされていたとは思わなかった。
だから口にしにくかったのか。
どことなく元気がなかったのはそのせいかも知れぬ。
それで否応なく協力させられているということなのか。

カイはもうひとつ重大なことを思い出した。

「ところで、ローゼンベルグのやつがテロを起こそうとしてるのは知ってるか?」
「テロ?」

ジェニーは目を細めてカイを見た。

「毒ガスだ。倉庫清掃用のシアン化水素ガスをフォン・ブラウン市に撒くつもりらしい」
「なんだって!?」

女は身にまとったシーツが剥がれ落ちるのも構わず、カイに迫った。

「どういうことだい!? なんだってあのバカ、そんなことを……」
「俺にもわからん。ただ、ローゼンベルグに極めて近い筋からそのことを聞いた」
「……」
「どうしてもそいつを阻止したい。調べてもらえるか?」
「任せな」

娼婦は拳を握ってカイに突きつけた。

「グラナダ中の売春婦を総動員してでも情報をとってやるさ。ああ、わかってる、表沙汰に
なっちゃまずいってんだろ? あたしだってバカじゃない、それくらいわかるさ。あのスケベ
オヤジにバレたら、仕掛けた場所を変えられるか、すぐに使われちまう」
「……その通り。悪いが頼むよ、料金は弾むからさ」
「いらないよ」

気っ風のいい私娼は啖呵を切った。

「あたしら日陰者だけど、そんな無差別殺人を見て見ぬ振りが出来るほど腐っちゃいないよ」
「恩に着るよ」
「いいさ。……実はね、あたしの妹もフォン・ブラウンにいるんだ」

そう言うと、ジェニーはウィンクして見せた。

──────────────

カイは娼街を出ると、そのままフォン・ブラウンへ、セイラの元へ行った。
辺りを警戒しビルに近づいたが、やはり見張りらしい者はいない。
まだ人数の面では大きな組織ではないのだろう。
裏道へ行き、一見排水溝に見える格子の嵌った孔に近づいた。
キョロキョロと周囲を見回し、誰もいないことを確認すると、ポケットから小さな機械を取り
だしてその中へ落とした。

「……」

カイは小型のインカムを頭に掛け、通信を待った。
5分もしないうちに、ガリリッとノイズが入り、相手が通信機を拾ってスイッチを入れたこと
がわかる。
カイは話し掛けた。

「……セイラさんかい?」
「……」
「セイラさん、聞こえるかい? 聞こえたら……」
「カイなの?」

カイはホッとした。
セイラ本人に渡ったようである。
セイラの閉じこめられている部屋の通気口から落とし込んだのだが、うまく本人がいてくれた
ようだ。
それまでは、戦場などで使われた通信管に入れた通信紙で連絡を取っていたのだが、これだと
カイからの一方通行で、セイラからの情報が得られない。
そこで携帯電話に見立てた通信機を入手し、セイラに渡したのである。

「セイラさん、そいつはインカムになってる。組み立てて、フォンとマイクを……」
「もうそうやってるわ」
「さすがだな。俺が説明するまでもないか」
「それで、何かわかって?」
「その前に確認させてくれ。あんたのことを……あ、いや……、あんたをここに連れてきた
やつってのはヨアヒム・フォン・ローゼンベルグってやつか?」
「……そうよ」

間違いないようだ。

「それがどうかして?」
「いや、あんたあの時、その名前を言わなかったから……」
「……そうだったわね、ごめんなさい」
「い、いや、いいんだ……。しかし、だとすると……」
「なに? ローゼンベルグがどうかしたの?」

ノイズ混じりのセイラの声が聞いた。
どうも電波状況はあまりよくないらしい。
カイはまた周囲を見渡してから、ゆっくりと歩き出した。

「セイラさん、ローゼンベルグってやつをよく知ってるか?」
「知らないわ。もとジオンの軍人だってことくらい」
「あいつB級戦犯なんだよ」
「戦犯?」

セイラの声が少し高くなった。

「ああ。やつは軍籍にはあったが、戦場に出たことなんかほとんどないんだ」
「……」
「SDにいたんだよ。ああ、SDってのは国家保安隊だ。秘密警察みたいなもんだ」

ジオンのSDと言えば、その悪名の高さは中世期のナチスドイツで悪名高い秘密警察のゲシュ
タポに優るとも劣らない。
不穏分子や反ジオン、親連邦の政治犯などをチェックし摘発する部門である。
やり方も徹底していて、密告は大歓迎でその証拠はいらないとされた。
噂や捜査員の主観で「犯人」を逮捕、拘禁していったのである。

「ローゼンベルグはそこで強制収容所の所長をやってやがったんだよ」
「強制収容所……」

セイラも昔聞いたことがある。
容疑すら確定していない者まで引っ張り込み、私財を没収した上、強制労働をさせていたと
いう。
噂に過ぎないが、非人道的な医学実験なども行われていたらしい。
これも噂だが、囚人が収容所のキャパを超えるようになると、大量に虐殺まで実行されたと
いう。

「あの野郎、そこで『アイヒマンの亡霊』とか呼ばれていたらしい」

アイヒマンとは、旧世界のナチスドイツでユダヤ人に対する「絶滅作戦」の指揮を執ったアド
ルフ・アイヒマン中佐である。
ローゼンベルグは、そのアイヒマンを思い起こさせるほどの虐待、虐殺行為を行なったかどで
戦犯容疑になっているのだ。

「……」
「一年戦争の時も、収容所にぶち込んだ囚人の私財をがっぽり私物化してたらしいな」
「ひどい……」
「ま、そんなやつだからな、大衆を引きつけて自分が指導者になってやろう、なんて殊勝な
ことを考えてないだろうよ」
「じゃあ……」
「わからん。わからんが、カネかも知れんな」
「お金……」
「ああ。あちこちからカネを受け取ってはいるが、マ・クベには流してない。つまりネコババ
だな。多分、そのカネをバックにして、最終的に生き残った組織に取り入るつもりじゃねえ
かな」

となると、恐らくセイラからせしめた資金も、かなりの額がローゼンベルグの懐に入っている
のだろう。
彼女はこれまで、セイラの居住する城が3つくらい買えるほどのカネを貢がせられている。

「それで、ガスの方は?」
「そいつはまだだ」
「そう……」
「だが心配するな。人海戦術で懸命に探してもらってる」
「人海戦術?」
「グラナダの売春婦を……、って、まあ、それはいい。それよりあんた……大丈夫なのか?」
「……」

セイラの胸に冷たいものが走る。
カイの口調は、セイラが受けている凌辱のことを知っているかのようだった。

「……平気よ。まだね……」
「……」
「また何かわかったら伝えて」
「わかったよ。それまで何とか……」
「じゃあまた。通信切るわよ」

セイラはそう言ってインカムを外した。
ブツッというノイズが、外界から切り離された音のようで、彼女の心を暗くした。
カイにはああ言ったが、正直言って、自分があとどれくらい正気を保てるのか、セイラ自身
にも自信がなくなってきていた。
セイラは堅く目を閉じ、暗黒を欲した。
しかし、その瞼の中で蠢いているのは自分の白い裸体であった。

──────────────

「あっ……あああ……あ、い、いや、あうう……」

こうしてローゼンベルグに犯されるのはもう何度目になるのか数もわからない。
わかるのは、これまでの26年間にしてきたセックスの数よりも遙かに多く、この短期間で
犯されたということだけだ。

ローゼンベルグに触られていない箇所はもうなかった。
ありとあらゆるところを揉まれ、舐められた。
そして3つの穴すべてを凌辱され尽くした。
男は遠慮なく、口腔で、膣で、そしてアヌスで射精した。
ほとんど例外なく、セイラの身体の中へと精液を放った。

媚肉を犯され、妊娠したかと思うほどに子種を胎内に撒き散らされた。
肛門セックスでも、腸の奥深いところで思い切り射精され、お腹がグルグルと鳴るほどの大量
の精汁を吐き出された。
そして口に出された時も、ローゼンベルグはセイラがそれを吐き出すことを許さなかった。
射精した後も、そのままセイラの顔を押さえ込み、彼女が精液を飲み干すまで離さなかった。
上から下から、内臓の中へ精液を放たれ、セイラは身体中が男の精で満たされてしまうのでは
ないかとすら思った。
例外的にローゼンベルグが外へ出す時は、必ずセイラの顔を穢した。
その麗しい美貌を己の精液で染めることにより優越感を味わっていた。

しっとりとしているのに、適度の弾力を保った美女の裸身をローゼンベルグは心ゆくまで愉し
んだ。

「ふあっ……ああ、あ……」

手のひらで乳房を揉み込むと、たちまち乳首がしこって、セイラの美しい唇から吐息とも喘ぎ
ともつかぬ艶やかな音色の声が出てくる。
セイラはいつものスタイルで犯されていた。
オールヌードではなく、黒のガーター姿である。
それに加え、今日は真っ赤なハイヒールも履かされていた。
白い雪肌に黒のガーターベルトが腰を巻き、同色のストッキングが素晴らしい脚線美を誇る脚
を包み込んでいる。
そこに目に染みるような赤いヒール。
男なら誰もがゾクゾクするようなシチュエーションであった。

もうセイラは縛られていない。
ローゼンベルグは、ぎゅっと縛る時に感じられるセイラの裸体の弾力や柔らかさが好きだった
が、縛らずに従順する彼女も捨てがたかった。
彼女はもう緊縛されなくとも抵抗を見せなかった。
抗うだけの気力が失せていた。
自分から抱きつくほどに毀れたわけではないが、のしかかってくる男を押しのけることも出来
なかった。
ローゼンベルグに犯され絶頂に達するたびに、彼女からプライドとか矜持とか、あるいは羞恥
や屈辱まで一枚ずつ剥がされていくように感じられた。

男はセイラの乳房に執着していた。
その、肉感的なしっこりとした張りのある胸肉は重かった。
そこを丁寧に揉みほぐしていくと、セイラは恥ずかしいほどに濡れていく。
そして乳首を口に含まれ、コリコリした乳首を歯で挟み、少しずつ力を入れていくその感触に
美女は胸を反らせて呻いた。

「むむ……ああ……う、ううんっ……」

乳房を中心に上半身を舐め回され、責めが下半身にかかる頃になると、セイラは息詰まるほどの
反応を見せている。
最初に観察した時には、つつましく閉じ合わされていた媚肉は、すっかり膨らんで爛れたような
色合いを見せている。
襞がめくれて中が覗け、そこには薄紅の膣溝まで垣間見えた。
ひくり、ひくりと痙攣するように蠢き、男を中に誘い込んでいる。

ローゼンベルグの肉体をすっかり覚え込んだセイラの裸身は、もはや念入りな愛撫すら必要と
しなかった。
いつでも挿入可能となり、その美貌もあさましいまでの肉欲を切ない喘ぎとともに男へ伝えて
いる。
男はセイラを蔑むような口調で言った。

「どうした、欲しいのか、ジオンの娘」
「……」
「欲しいならそう言うんだな」

セイラは口惜しげに唇を噛んだが、すぐに内部から押し寄せる甘く熱い獣欲に飲み込まれた。

「は……」
「どうした、アルティシア」

ローゼンベルグは、わざとセイラが嫌がる名で言った。
なのに彼女は方は、なぜかズクンとした熱いものが腰の中に走った。
サイド3の救世主・ジオンの娘がこんなはしたない欲望を持っている。
その実感が、セイラの被虐感をさらに押し上げ、恥辱すらも奪っていく。

「あ、あ……ほ、欲しい……」
「なにがだね、セイラ・マス」
「意地悪しないで……も、もう私……」

むんむんとした美女の媚態で、ローゼンベルグも一気に盛り上がってしまった。
もどかしげにスラックスを脱ぎ捨てると、すでに反り返っていたペニスを掴み、潤みきっていた
セイラの媚肉に押し当てるといきなり貫いた。

「んあああっ!! あああああっっ……」

セイラはもう、それだけで最初の絶頂に達した。
ぐぐっと首を反らせ、甲高い悲鳴を上げていた。
もちろんそんなものでローゼンベルグは、いやセイラも満足しない。
愛液でびしょびしょなのにきつく締まっている膣へ、太い静脈を浮き出させていきり立っている
肉棒をねじ込んでいく。

もうセイラの身体は隅々までわかっていた。
ローゼンベルグは巧みに腰を使って、もっとも深いところまで挿入し、浅く引き、また押し込む
ことを繰り返した。
そうするごとにセイラの膣は、襞を総動員して侵入してくるペニスを絡め取り、包み込む。
抜けようとすると、きつく締まって外へ出すまいとしているかのようだった。

「う……うああ……あうっ……そ、そこ、ああっ……お、奥まで……は、入ってるっ……ああっ
……」

最初から拒絶の言葉はなく、喘ぎ声と嬌声のみを噴き出していた。
セイラのたくましい腿は、筋肉をびくびくと痙攣させ、次々と寄せてくる甘美な愉悦を堪えて
いた。
男の疼きを刺激して止むことのない、甘く繊細なすすり泣きがセイラの喉から忍び出てくる。
男の繰り出す激しい律動を、その見事な肢体で受け止める。
ペニスが出入りするごとに愛液をしぶかせ、恥ずかしい水音を立てているが、セイラの耳には
入らなかった。

「はあっ……はああっ……あ、あう、ううんっ、深いぃ……」

いつしかセイラは自分から腰を振るようになっていた。
その媚肉は肉棒をくわえこんで離さず、ぎゅっと締めながらも、さらに深く激しい挿入をねだ
っていた。
セイラの身悶えと熱い息づかいで、部屋の空気が濃厚になった気さえする。
見ているだけで射精したくなるほどの痴態に、ローゼンベルグは頭を振って反撃に出た。

「あ、ああ、む、胸はぁっ……」

セイラは乳房が豊かにも関わらず、びっくりするほどに敏感だった。
乳首が鋭敏なのはどの女性でも同じだが、セイラのそれはまるでクリトリス並みの感度を持っ
ていた。
それがセイラ自身にもわかっているから、最初の頃は、本能的に胸を愛撫されることを恐れて
いたようだった。
ローゼンベルグは覆い被さったまま、セイラのヴォリューム満点のバストをぐっと揉み込んだ。
もうビンビンに勃起していた乳首を指でいびりながら、優しく激しく乳房全体を愛撫していった。

「くく、どうだ気持ちいいだろう。え、お嬢さん」
「い、いや、あうう……」
「いやじゃない。いいと言え」
「ああっ……」

上下同時に責められて、セイラは喉がひきつれたような喘ぎ声を出した。
上擦った嬌声を張り上げ、真っ赤に染まった美貌を左右に打ち振る。
ローゼンベルグは、逃げるようにもがく美女の腰を押さえ、結合をさらに深くしてセイラを懊悩
させた。
男が深く突き込み、乳房を鷲掴みにされて揉みしだかれるたびに、セイラは快楽の頂点へと一歩
一歩近づいていった。

「やは……やはあっ……ああ、ああっ、もう……」
「なんだ、今日はやけに早いな、もういくのか」
「いやあああ……」

目眩がするほどの肉悦に狂い、ともすれば崩れ落ちそうになるセイラの身体を抑え、鋭く重い
突き込みを加えていく。
その攻撃をまともに受け、美女の細腰は砕けるのではないかと思うくらいに突き上げられた。
ずん、ずんと深く貫かれると、そのたびに尻がぶるんぶるんと大きく震えた。
膣の方は、早く男の精を搾り取ろうと、いっそう動きを複雑かつ素早くしていた。

「あ、あああ……も、もう……もう我慢できないっ……」
「我慢しなくていいさ。いきたければいけ。ただし、ちゃんと口にしろよ」
「ああ……くっ、ああ、もうっ……あ、あ、いきますっ……」
「よし、いっていいぞ」

ローゼンベルグは膣をかき回すようにペニスで「の」の字を書くように回転させた。
媚肉が太いものに巻き込まれ、さらなる刺激がセイラを襲う。
かと思うと、一転してセイラの肢体がガクガクするほどの強いピストンを何度も行なった。
またしてもセイラが甲高い嬌声を上げて身を震わせた。
男のペニスを食いちぎるかと思うほどの強い収縮を見せ、媚肉も痙攣していた。

「あっ、あっ、あっ、あああっ……だ、だめ、いく! ……っあああ、いくうっ」

セイラは血を吐くような絶叫を上げ、背を反らせて深いブリッジを作った。
がくがくっと全身を震わせて一度目の絶頂を味わっていた。

ローゼンベルグは思わず射精してしまうところを必死になって耐えた。
全身で愉悦に浸っている美女のしどけない姿を見ると、みるみるうちに官能が刺激され、最奥
まで突っ込んで早く出したくなってくる。
しかし、まだまだだ。
こっちが射精するまでに、数え切れぬほどセイラを頂点に押し上げてやる。
そうすることで、身も心も完全に奴隷とするのだ。

昼間は、持ち前のきりっとした美貌で配下の者の前に君臨する美貌の指導者。
しかし夜ともなれば、男の手管に下り、身も世もないほどにセックスに狂い、喘ぎ、わななく
美女。
それを虜にしているのは紛れもなく自分なのだ。
そう思うことでローゼンベルグは自尊心を満足させていた。

ローゼンベルグは、セイラのきつい収縮が収まり掛けるのを待って、再び攻撃を開始した。

「あっ、あああっ……そ、そんな、あうっ……もう、もういったのにぃっ……」
「何を言ってやがる。いったのはおまえだけだ、俺はまだなんだよ」

男は、まだ絶頂の余韻に浸っているセイラの裸体をまたも貪り始めた。
まるで仕留めた獲物に食いつく肉食獣のような執拗さだった。
扇情的にゆさゆさと揺れる乳房を掴むと、力を込めてぎゅっと鷲掴んだ。
強く握ると、指の隙間から肉があふれる豊満さと柔軟さを併せ持っていた。
鬱血するほどの荒々しい愛撫にも関わらず、セイラの肉体はその刺激を快楽に変換し、その口
からは「ひぃひぃ」という呻きとも喘ぎともつかぬ、掠れた声を出させている。
乳輪ごとぷくんと膨れた乳頭を思い切り指で捻られ、口で吸い取られると、まるで乳首が爆発
したのではないかと思われるほどの強い快感が、美女の脳髄に到達する。

「あくっ! あ、うああっ……お、おっぱい、ああっ……乳首が……乳首がぁっ……」

セイラは、締まりのなくなった口を開けっぱなしで喘ぎ、よだれさえ滴らせながらよがりまく
った。
声高に快楽を訴え、腰をぐいぐいと持ち上げてローゼンベルグに突きつけている。
どう見ても、セイラの方が、より深い快美感を求めて男を欲しているとか思えなかった。

ローゼンベルグは、打って変わったようなセイラの媚態に嗜虐をそそられた。
最奥までは決して突いてやらず、ゆっくりとピストンしてやった。
深浅のリズムこそつけているが、セイラが本当に欲しがっている奥までは届かせない。
ジオンの娘は、たまらなさそうな、切なさそうな美貌をローゼンベルグに向けると、腰をうね
らせてより深い結合を求めた。
それでも男は女の願いに応えず、腰を引いてしまう。
それでいて、首筋をくすぐるように舐めたり、乳房をさするように優しく揉み上げることは
忘れない。
セイラはジリジリと弱火で炙られるような肉の疼きに耐えきれず、ついあさましい欲望を口
にする。

「あ、あ……どうして……」
「……もっと欲しいか?」
「ああ……」
「いやなのか」
「ああっ、い、いやじゃ……ありません」
「ほう。ではそう言うがいい」
「……。く……ください……」

男はすっと腰を引き、ぐずぐずになったセイラの媚肉からペニスを抜き取ってしまった。
突然の空疎感に、美女は慌てたようにすがった。

「ああっ、な、なんでぇっ!?」
「なんで、じゃないだろう。そういう時ははっきり言えと何度言えばわかるんだ」
「ああ、で、でも……」

そこまで口にしてしまっては、骨の髄まで色欲に浸ることになる。
この憎い男に、精神まで犯され屈服することになるのだ。

「言えないならこれで終わりだ」
「ああっ、ま、待って!」

美女の脳細胞を浸蝕していたピンク色のアメーバは、この時そのすべてを乗っ取った。

「言うわ、言います……」
「……」
「あ、あなたの……ペ、ペニスを……私の、中に……入れてくださ……い……」

そんな返事で満足するはずのないローゼンベルグは、セイラの柔らかい裸身を抱きしめたまま
抜いたペニスを擦りつけた。
男女の淫液が混じり合った熱い亀頭部が、内腿やクリトリス周辺をなぞるように行き来している。
皮膚感覚からその淫らな動きを空想したセイラは、恥辱だとか苦悩だとかのロックを自らかな
ぐり捨てた。

「ああ、もうっ! ……あなたのおちんちんを、ああ……セ、セイラのオマンコに、くださいっ」
「……」
「お願いぃぃ……あなたのたくましいので、オマンコをかき回して……ああ、中に射精して
くださいっ!」
「やっと言えたな」

ローゼンベルグはニンマリして、セイラの細腰を抱え込むと鋭い一撃を打ち込んだ。
それだけでセイラは軽く達してしまった。

「うっはああっ!! いく!」
「まだまだ。こんなもんじゃ満足できないだろう」

ローゼンベルグが、セイラのもっとも深いところに肉棒をねじ込むと、セイラは全身をよじって
その悦楽に歓喜した。
男が軽く腰を引き、そしてまた一気に子宮までぶちこんだ。

「うっああ! 深いっ……あ、あうう、いいっ……」

愛液を全身にまとわせたペニスが淫らに光を反射して輝いて見えた。
烈しく出入りしているそれは、絡みついた媚肉の襞をひきずるようにめくりだし、中に入る時
には巻き込んで奥まで入っていく。
よくこんな狭い穴にこれだけ太いものが、と思えるほど光景なのに、男のペニスは苦もなく膣
にズブズブと潜り込んでいた。
互いの陰毛までが絡み合い、一緒に溶け込んでいるようにすら見えた。

「あ、ああう、いいっ……き、気持ちよくて、ああっ……ふ、深いの、いいっ……」

狂ったように身悶える美女を満足げに見下ろして犯しながら、ローゼンベルグは不思議な感覚
にすらなってくる。
熟した豊潤な肉体を持っていたとはいいながら、あのセイラがここまで乱れるとは思いもしな
かったのだ。
もちろん彼女が性的に未熟だったにも関わらず、極めて鋭敏な性感の持ち主だったのは確かだ
ろう。
そこに、いきなりきついセックスを何度も挑まれたのだから、その肉体が一気に花開いたと
いうのもわかる。
それでも、最初はあれだけ拒絶していた美女が、尽きることなく性交を繰り返されることにより
自ら進んで腰を振って、より大きな快楽を得ようとしているのである。
これはセイラの精神的なものも原因にあるのだろう。

高貴な女にありがちだが、まず間違いなくセイラは、肉体的精神的に辱められることで高ぶり、
快感が高まるタイプのようだ。
そのプライドのためか、散々貶めてからでないと自ら欲しがることはないが、そこまで導いて
やれば被虐の悦びに身を震わせ、よがり泣いて催促するまでになる。
普段はツンと澄ましている美女なのに、一皮剥けば娼婦顔負けの媚態を演じさせられる。
ある意味、男にとって最高の女なのかも知れない。

「あっ、んんっ、強いっ……き、きつく揉み過ぎよ……あっ」

しっとりとして手に吸い付くような肌だった乳房は、セイラのかく脂汗でぬらぬらした手触り
になっている。
しかしそのぬめりすら心地よく、むちむちぷりぷりした胸を思う存分揉みしだいていく。
美女の暑苦しいほどの媚態を前に、ローゼンベルグもすっかり昂奮し、相手を感じさせるという
よりも自分がやりたいように愛撫した。
セイラが弱々しく、しかし感応しながら抗議しても、一切を無視して胸を揉む手にいっそうの
力を入れる。
いやだ、きついと言いながらもセイラの胸肉は高まる快感と昂奮で張り詰め、乳首がもげそうな
ほどに充血していた。
そこをきゅっとつねってやると、明らかに苦痛とは異なる嬌声を上げるのだった。

「ひぃぃっ……きつい、すごいっ……む、胸が……ああ、いいっ……」
「このマゾ女めが。痛くてきつくされるのが好きなんだろうが、ええ?」
「ち、違う、ああっ……」
「違わんな。おまえはこうして痛いほど激しくされるのが好きでたまらないんだろうが。無理
矢理に犯されるのが好きなんだな?」
「あああ……」

そうなのかも知れない。
否定したい理性はまだほんの僅か残っているが、それを打ち消すような肉体の快楽にセイラは
溺れている。
そんなことはないと思いたいが、ならばこの快感はどう説明すればいいのか。
憎むべき男に、屈辱的なプレイでいたぶられ、変態的なセックスを強要されていながらも、
その行為に官能を覚え、気をやってしまう。
セイラは言葉でもローゼンベルグに導かれていった。

セイラの出す薄甘いような女の香りと、ローゼンベルグが放出した精液の生臭い匂いが、むせ
かえるほど部屋中に籠もっていた。
その淫らな空気に満ちた室内で、一組の男女は飽きもせず絡み合っていく。

「あ、あはっ……うっ、く……ああ、いい……う、うむっ、太い、いいっ……」

シーツが吸収しきれないほどに愛液を迸らせ、男がペニスを突き入れるごとに途切らせながら
も、セイラはよがり声を抑えられない。
セイラの艶っぽい媚声と、肉棒を包む襞の甘美な感触に、責めるローゼンベルグも意識が白く
なりかかってくる。
腰が熱く痺れてきた。
本能では射精したくてしようがなくなってきていた。
ローゼンベルグはそれを振り払うように激しい律動を加えていく。

「ふああっ……あ、あ、激しっ……いいっ……あ、あううっ……いいっ」
「何がそんなにいいのか言ってみろ」
「あう、ぺ、ペニスぅっ……」

セイラは無理に強要されるまでもなく、男の性器の名を口走った。

「いいっ……あう、すごい、硬いっ……く、お、おっきいのが、ああ、奥までぇっ……」

深く重い突き込みに、セイラは夢中で腰を振った。
媚肉から子宮へ、そして全身にまで拡散していく悦楽に身悶えし、その美貌は苦悶する。
あうあうとよがり喘ぐ口に欲情したローゼンベルグは、ふいにセイラの唇を奪った。

「はむっ……」

一瞬、セイラは首を振って避けようとしたものの、すぐに男の舌を受け入れた。
ローゼンベルグの舌が驚くほどによく動くことは、これまでも何度も思い知らされていた。
好きでもない男と口づけするなど虫唾が走るセイラなのに、何度も強要され、その味を覚え
込まされていくと、その手練に痺れるような快感すら感じるようになっていた。
さすがに自分から求めることはなかったが、それでもローゼンベルグが唇を寄せると口を
開いて受け入れ、自ら舌を絡ませるようにすらなっていた。

「んむ……ん、じゅ……むむむ……んっ、んんんっ……ちゅう、んむっっ……」

男の舌はセイラの口腔を蹂躙した。
舌先を尖らせて上顎や頬の粘膜をこすり取り、舌の付け根にまで侵入した。
歯茎の裏までべろべろ舐められた時、セイラの理性は弾け飛んだ。

「むうっ……むむ……じゅ、じゅるじゅるっ……ぷあ、はあ、はあ……あむむっ……」

5分以上も熱烈なディープキスを施され、苦しくなって口を離すものの、すぐにまた吸い付
かれる。
口中を舐め回され唾液を吸い取られたあと、今度は逆に男の唾液が流し込まれた。
どろどろと注がれた唾液を、美女は喉を鳴らして飲み込んだ。
セイラは胃の中まで穢されたと思った。
肌だけでなく、口や媚肉、肛門の粘膜、そして腸や膣、胃の腑まで汚され、もう全身がロー
ゼンベルグのものになってしまった錯覚を受けていた。

「ぷあ……ああ……」

舌が痺れるほどに強く吸われ、ようやく口を解放されたセイラは熱っぽい視線で男を見た。
もう埒をあけて欲しい、最後までやって欲しいと、表情だけでなく全身で言っている。

ローゼンベルグの方は、深い律動から、腰を密着させ擦りつける抽送に変換していた。
どこを触れても快楽を訴え、わななき悶えるセイラに、ローゼンベルグも狂った。
感情の赴くままに、セイラの子宮口目がけてぐいぐいと深く打ち込んでいく。

「ああ、ああ、そこっ……いいっ……す、すご……おっきいの、当たってるぅ……」

男は根元まで捻り込んだ肉棒の先を子宮にくっつけたまま、ぐいぐいと捻り込んでいく。
子宮口がこそげとられるような強すぎる快感に、セイラは絶叫してよがった。

「うっはああっ、だめ、いいっ……そ、それ、いっちゃう、いくっ……」
「今度は出してやる、存分にいけっ」
「い、い、いく、いくっ……も、もう、気がおかしくなりそうよっ……いいっ、いきそう
っ……」

ローゼンベルグは容赦なく打ち込んだ。
小突かれ続ける子宮口はもう赤く爛れているだろう。
子宮自体がじわじわと下降し始め、余計に肉棒が突き上がる感覚が強まっていく。

セイラは、胎内で変化していくペニスの形状をぼんやり感じていた。
ただでさえ大きかった亀頭部が一回りまた大きくなっている。
竿の部分はぶるぶると不規則に痙攣していた。
射精されるのだ。
これまでイヤというほど射精され続けたセイラは、男が達する瞬間がわかるようにすらなって
いた。
またあのおぞましい汚液で穢される。
あんな男の精子を子宮にまで届かされる。
そう考えると、セイラの被虐の快感は疼きとなって脳髄を痺れさせた。

「ああっ……ああ、も、いく……いきたいっ……」
「よ、よし、出すぞ!」
「は、早く、ああっ」

セイラは無意識に両脚をローゼンベルグの腰に絡ませ、より深い位置での射精を求めていた。
両腕も男の背に回し、抱きかかえている。
ぐぐっと亀頭が膨らみ、子宮口を圧迫したのを感じ、セイラも絶頂に達した。

「ううっ……う、うむ、いくっ……」

その瞬間、ローゼンベルグもたまらず精を放出した。
セイラもまたいったらしく、腰を突き上げるようにして押しつけ、足の指までよじれて、絡ま
せていた脚のハイヒールが脱げ落ちた。

「う……ああ……で、出てる……どろどろしたのが……あ、熱い……ああ……」

セイラは、子宮の中で弾ける精液の熱さに圧倒され、ぶるるっと大きく痙攣していた。
それでもなお、膣の襞はきゅうきゅうとペニスを絞り、残滓も残すものかとばかりに射精を促
していた。
ローゼンベルグは、最後の一滴までセイラの胎内に射精する快感に耐えながら、またしても
ピストンを開始した。

「あ、ああ!? ……や、いや……ま、まだ……あああっ」

射精し終わったのに、まだ充分に硬いペニスにローゼンベルグ自身が驚いていた。
腰が勝手に動き、セイラの膣を責めている。
狂乱の態を示す美女に、男としての本能が一向に醒めやらないのだ。

激しく速いピストンで、愛液と精液の混合液がぐじゅぐじゅと媚肉から零れ出る。
それでもきつい膣を責めながら、セイラとのセックスに溺れていくのはセイラではなく自分で
はないかとローゼンベルグは思い始めていた。
ローゼンベルグに責め続けられる美女は、またしても脚を絡ませ、さらなる快楽をねだっている。

「くうっ、す、すごい! あ、あうう、こんな、ああ、いいっ……ま、まだおっきいわ……あ、
あっく、硬いの、奥まで来てるっ……」
「ま、まだまだだ。おまえがおかしくなるまで犯してやるっ」
「いいっ……き、気持ちよくて、ああっ……お、おかしくしてっ……ああ、もう、ホントに
おかしくなるっ……」
「何度でも射精してやる。おまえの子宮が俺の精液で溢れるまでな」
「してっ……な、何度でも、ああっ……中で、オマンコに出してっ……」
「よし、あと2回オマンコに出したら、今度は肛門を犯ってやる、いいなっ」
「して、何でもしてっ……ああ、お尻もぉっ……お、お尻の穴も……アナルも犯して、中に
射精してぇっ……」

完全に堕ち切ったようなセイラの言動に、ローゼンベルグも二度目の射精が近づく。
媚肉の柔らかい肉がとろけてペニスに巻き付いてくるかのようだ。
じわじわと蠢いて先を促す感触に、さっきあれだけ出したばかりだというのに新たな射精欲が
こみ上げてくる。
もうローゼンベルグは耐えることなどせず、一気に解き放った。セイラは続けざまに到達する。

「ああっ!! ま、また出てるっ……い、いくぅっっ!!」

セイラはもう、子宮に出される快楽まで得ていた。
何度もしつこく奥で出され、子宮粘膜に精液が染み渡る感覚を覚え込まされたのだ。
ローゼンベルグの精子がセイラの卵子を犯している光景を思い浮かべ、セイラは激しく気を
やるのだった。

「んんんっ、ま、また、いく! ……ああ、すごい……し、子宮が精液でいっぱい……」

今日もまた夜明けまで犯され抜くのだろう。
セイラは倒錯的な変態セックスを仕込まれていくことに嫌悪感を覚えることすら忘れて行った。



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