那須で暮らすようになってすぐ、瞬と響子は別荘の改装をすることにした。
セカンドハウスとはいえ、普通に暮らす分には何の問題もないわけだが、ひとつ
問題があった。
今で言うバリアフリーではなかったのだ。
車椅子生活を強いられている瞬にとって、ちょっとした段差も障害となる。
健常時には、まるで意識しなかったことが、車椅子になると途端に見えてくるよう
になった。
実のところ、瞬と響子が実家を出て暮らしたいと思うようになった主な要因はこれ
なのである。
実家を改装することに、親たちはきっと躊躇いはないだろう。
しかし自分だけのせいで、実家をいじくり回すことに抵抗感を覚えたふたりは、
引っ越しを決断したのである。
とはいえ、別荘も実家と同じくバリアフリー化していないことには変わりない。
そこでリフォームすることにしたのである。
依頼した業者は、仕事先から紹介された工務店だ。
小さいが腕は良く、信頼が置けるという。
料金体系も透明で、きちんとした明細を出してくるのだそうだ。
ややもすると、どんぶり勘定も多いこの業界では珍しい。
早速、呼び出して見積もってもらった。
軽自動車でやってきたのは、50歳は越えているであろう、白髪短髪の、いかにも
大工といった風体の男だった。
まだ工事するわけでもないのに、くせになっているのか、手拭いを頭に巻いている
のが、いかにも昔風の職人のようである。
名刺には「有限会社浦上工務店社長 浦上徳一」とあった。
「今、ざっと拝見させてもらいやしたけどね」
浦上は、そう言いながらこの家の図面を拡げた。
「当たり前ですが、車椅子で生活できる環境になってやせん」
瞬と響子は、テーブルを挟んで親方と向かい合って座っている。
まだ焼きたてらしく、少し酸い匂いのする青焼きの見取り図を一緒になって覗き込
んだ。
「そうでしょうね。具体的にはどこです?」
「どこって……、全部でさあ」
親爺はそう言うと、懐からタバコを取り出した。
それを見た響子が、慌てて来客用の灰皿を持ってくる。
響子はもちろん瞬も喫煙はしないから、ここでは灰皿は必要ないのだ。
ただ、瞬の父はパイプを好むし、客の中には吸う者もいるので、灰皿がないわけでは
ない。
職人は響子に軽く一礼して、灰皿を自分に寄せた。
「まず玄関でさあ。道路より高い位置に家が建ってやすから、当然、段差がある。
段差ってより低い階段だ。まあガレージはフラットだから、そっから出りゃあ出ら
れないこともないが、やっぱ家の主は堂々と玄関から出入りせにゃあ」
浦上はそう言って、くわえたタバコに火を着けた。
ライターではなくマッチである。
「家ん中は、まず動線」
「動線……というと?」
「ん、廊下のことですわ。玄関の三和土(たたき)と上がり框、あれだって車椅子
じゃあ上れっこないです。それに廊下からそれぞれの部屋までの経路にも問題があり
やす」
「具体的には?」
と、興味深そうに瞬が聞いた。
職種が異なる相手の仕事の話を聞くのは面白いものだ。
「へえ。段差のあるとこもあるし、開き戸になってる。開き戸でも出入りはでき
やすけども、狭いと車椅子では開けられないです」
なるほど、その通りだろう。
親爺はタバコの灰を落としながら、図面を指で差して説明する。
「見たところ、段差のないのは居間と食堂だけみたいでした。まあ広いお邸だから、
ワゴンで料理を運んだりするから、そこだけは平らにしたのかも知れやせんね」
「そうですね……」
「それに便所と風呂もだ。トイレは洋式だったのが幸いしてやすね。和式だったら
洋式に改装しないと旦那さんが使えなかった。でも、今のまんまじゃ便器までたどり
着けやせん。向きが悪い。風呂は、浴槽が広いのはよかったが、少し高いから介助
なさる奥さんが大変だ」
今のような浴槽ではなく、やや下へ掘り込んだような低い壁の方がいいということ
らしい。
「二階の部屋も似たようなもんですね。あ、そうそう、そもそも二階へ行くには階段
しかないから、これじゃあ旦那さんは上れない。二階に書斎があるんでしょう?」
「そうだけど……」
「じゃあ、小さなエレベータをつけるしかありやせんね」
「いや……、それは大げさだなあ……」
「そんなことありやせんや。今じゃ家庭用エレベータをつけている家も増えてきて
やす。健常者だってそうなんだから、気にすることはありやせんや」
もっぱら親方と直接受け答えしているのは夫の瞬で、妻の響子は黙って話を聞き、
わからないなりに図面を見ていたが、ここで初めて発言した。
「あのう……」
「なんでがしょ」
「けっこう大がかりなリフォームになりますよね。下世話なお話で申し訳ないです
けど、費用はけっこうかかることになりますか?」
「なりやすね」
浦上は素直に頷いた。
「安く上げてみせる」とか「何とかなる」などという、いい加減な返答をすること
は、彼の職人意識が許さない。
良い仕事をするには、それなりのカネがかかるのは当たり前のことである。
それを言葉で誤魔化しても意味はないし、費用を削って削って効果が落ちたのでは
本末転倒だからだ。
浦上は響子の顔を見ながら、そう説明した。
「無論、なるべく経費がかからんようにはやりやす。でもね奥さん、安っぽい資材
使って適当な工事をしても、結局使いにくくなるのはご亭主だし、奥さんだ。これ
じゃダメだと、追加で改修工事なんかしたら、それこそ余計にカネがかかりまさあ」
「その通りだね」
瞬は頷いた。
この職人は、確かに信用が置けるようだ。
言葉が信用できるからといって、腕が伴っているとは限らないが、独立して30年
以上この仕事をやっているのは伊達ではないだろう。
「わかりました。社長のところにお願いしますよ。いいね、響子」
「はい」
ふたりは顔を見合わせて頷き合うと、親方と詳細を詰めていった。
───────────────
その日が来てしまった。
仕事の関係で来日していた奥村が、都合をつけてやってきたのである。
既に夫から内意を受けているらしく、すっかりその気になっていた。
響子は、その奥村と寝室にいた。
すっかり観念してネグリジェに着替えていた響子だったが、やはりその場になって
みると、躊躇いが止まらなかった。
ベッドに腰掛け、顔を伏せたまま言った。
「奥村さん……、やっぱりやめましょう……」
「なぜです、奥さん。瞬もそうして欲しいと言っているんだし、奥さんだって禁欲が
長いでしょう? そろそろ欲しくなってきているでしょうに」
「……」
確かに、あの飛行機での変態的なセックス以来、男に抱かれてはいなかった。
タイで治療を終えてから帰国して、早二ヶ月ほどになる。
寡婦時代と初めてタイへやって来る前の時期を除けば、これほどセックスレスの期間
が続いたことはなかった。
万里邑や瞬に調教されて以来、それこそ日を置かずしてセックスされ続けていた。
二日しないことはなかったと思う。
相手は瞬だけでなく、複数の男たちだ。
会合やパーティの参加者が中心で、もちろん奥村もその中にいた。
奥村は、瞬と仲が良かっただけでなく、瞬の奥村の妻である静香とたびたび関係して
いたから、余計に奥村と寝ることが多かった。
響子も奥村には悪い印象はない。夫同様に精力的で、響子がくたくたになるまで責め
てきた。
奥村の方も、響子に対して好意を持っているように見える。
それでも、夫以外の子を孕むために寝るという事実は、どうしても響子に二の足を
踏ませるのだった。
「我慢なんか意味はない。奥さんだって、タイでそれを学んだんでしょう」
「ああ……」
奥村は響子の隣に座り、その腿に手を置いている。
いやらしい動きではなかったが、その手は彼女の官能的な太腿をさすっていた。
「子供が欲しいという瞬の気持ちはわかる。わかるでしょう?」
「そ、それはわかります。でも……」
「でも瞬にはそれが出来ない。それでも奥さんの子が欲しいと言っているんです。
となれば、誰の種でもいいということにはならない」
それは夫からも聞いている。
わかってはいるが、まだ響子には割り切れないのだ。
それを見透かしたのか、奥村が耳元で優しく囁く。
「そう重く考えることはありませんよ。僕との子作り、なんて考えずに気軽にいき
ましょう」
「……」
「もう僕と奥さんは、タイで何度も身体を重ねたじゃありませんか。またそれを
やるだけだと思えばいいんです。結果として子供が出来るかも知れない。それで
いいじゃないですか」
実際、奥村はそれに近い気持ちでいた。
彼は半ば響子に惚れていたのである。
もちろん親友の妻であるから、それを奪ってまでとは思わない。
妻の静香も愛している。
だが、それとは別に、この素晴らしい女体を存分に犯したいという男としての欲求
は絶えることがなかった。
瞬の許可を得て、言うなれば公認された不倫をしていたわけだが、今度はもう瞬の
方で響子を抱けなくなっている。
ここ日本では、タイのような性生活を送ることはまず無理であろう。
増して瞬があの有り様だ。
それでいて響子は、最後まで恥じらいがなくならず、痴女のように誰でも彼でも抱か
れるという性癖はつかなかった。
ということは、もはや響子の肉体を味わえるのは、事実上、奥村だけになったという
ことなのだ。
この男好きのする素晴らしい肉体を独占的に犯せる。
しかも人妻を妊娠させることが出来る。
夫公認で、である。
男冥利に尽きるというものだ。
もちろん、セックスの結果、すぐに妊娠するとは限らない。
むしろ奥村にとっては、なかなか懐妊しない方が望ましい。
「身籠もらせないといけない」という名目で、何度でも響子を犯せるからだ。
「さあ、響子さん」
「ああ……」
奥村は、そっと響子の着衣を取っていった。
もう響子は口でも抗わなかった。
夫公認である以上、助けは望めない。
そうでなくとも、確かに奥村の言う通り、タイでは何度も彼とセックスしてきている
のだ。
だが今とは状況が違う。
戸惑いの隠せない響子は、いつのまにか裸に剥かれていた。
何度となく響子の服を脱がせてきた奥村にとっては造作もないことだった。
奥村の指が直に素肌に触れると、響子はビクリと身を震わせた。
真っ白な腿の肉感にうっとりしながら、奥村はその脚線美を確認するかのように指を
這わせていく。
軽く爪でひっかいてやると、ビクンと反応するのが心地よい。
妊娠させられることに脅える人妻の様子を愉しみながら、男は太腿を撫でていた指を
股間に持っていく。
「あっ」
軽く悲鳴を上げてその手を押さえようとした響子だったが、両手をひとまとめにされ
て掴まれてしまった。
奥村は落ち着いて指を響子の媚肉に這わせていく。
何重にも重なった肉襞は、嬲る指に吸い付くように反応していった。
まだ濡れるほどではないが、湿り気は充分にあった。
媚肉の頂点にある肉芽を奥村が指で擦ると、響子は「ひぃ!」と悲鳴を上げて仰け
反った。
「やっ……んんっ……そ、そこだめっ……あっ……」
奥村は剥いたクリトリスを軽く摘んで、捻ったり、擦ったりを繰り返していく。
そのたびに人妻は、悲鳴を上げて反り返り、腿を震わせ、腰を跳ね上げた。
じゅくっと蜜が分泌する。
「相変わらず感じやすいんですね。もう濡れてきてるじゃないですか」
「そんなことは……」
「僕もその気になってきましたよ。ほら」
「あっ……!」
男は、響子の手を掴んで自分の股間に触れさせた。
トランクスの上からではあったが、響子が思わず手を引くほどに熱くなっていた。
人妻の逃げる手を押さえ、なおも自分のものを触らせていく。
開いた手のひらに、熱くそして硬くなった男根の感触がある。
その熱が手から響子の肉体に伝わってくるようで、ゾクゾクしてきた。
いつしか、奥村が手を離しても、その手は彼の股間から動かなかった。
「奥さんもその気になってきたようですね」
「……」
「まだ恥ずかしいんですか。ま、いい。それがあなたの可愛いところだ。じゃあ、
いきますか」
「あっ、何を……」
響子は横に転がされ、うつぶせにされた。
そして腰を掴まれ、ぐいと引き寄せられる。
(ああ……う、後ろから犯される……)
また響子のカッと内部が熱くなっていく。
それを見透かしたのか、奥村がトランクスを脱ぎながら言った。
「バックからいきましょう。奥さん、この格好が好きでしょう?」
「そんなことありません……」
「またまた。こうやって犯されるように抱かれるのが好きでしょうに」
響子は、四つん這いにさせられ、尻を突き出す格好になっていた。
その少し開いた股間の奥には、人妻らしくやや厚めの肉襞がひくついている。
ねっとりとした蜜が溜まり始めており、垂れる寸前だ。
ムッとするような女臭とともに、男を欲しがっているかのように蠢く媚肉に、奥村
は生唾を飲み込んだ。
響子には、男がどこを見ているのか痛いほどにわかる。
その羞恥心が余計に彼女を欲情させていった。
奥村はすぐにでも突っ込みたくなったが、羞恥に身悶える人妻が、自分から求める
痴態を見てみたいと思った。
焦らす意味で乳房から責めていく。
「ああっ……」
背中から覆い被さってきた男の手が、重たげに揺れるふたつの乳房を思うさま揉ん
できた。
響子は鋭い声を出し、ぐっとその快感に耐える。
はち切れそうに見える肉の塊だが、揉んでみると予想以上に柔らかく、いかにも
人妻らしい。
張りは若い娘に劣るかも知れないが、この羽二重のような柔らかさは熟女ならでは
である。
手の中でとろけてしまうかと思うほどの胸肉は、しっとりと汗をかき、奥村の手に
吸い付いていく。
力を入れて揉んでいくと、奥村の手の中で弾むように自在に形を変えられていった。
声を堪えている響子の美貌を眺めながら、奥村は彼女の弱点を責めた。
乳首である。
もう硬くなりつつあった乳房の頂点を摘んで、軽く捻ってやると、響子はたまらず
喘いだ。
「ああっ! そっ、こはあっ……あっ……」
「気持ちいいんですね。響子さん、ここが好きですもんね。前と変わらない」
「やっ……くうっ……あっ、も、もっと優しく……ああっ……」
優しくして欲しいという懇願を無視して、奥村は一層力を込めて乳房を揉み込んだ。
口では優しくと言いながらも、強く激しい愛撫に弱い響子の身体は、奥村もよく知
っている。
乳房の根元から絞るようにぎゅうぎゅうと揉み上げ、乳首をつねったり折り曲げたり
してやると、喉を鳴らして喘いでくる。
五分も保たなかった。
響子は「ああ……」と熱い息を吐きながら、物欲しげな表情で後ろの奥村を見つめた。
黒く美しい瞳が潤っており、欲情していることは確実だ。
ムリもなかった。
これだけの見事に熟れた肉体を持ち、性感も極めて鋭敏なところに持ってきて、
タイでは「これでもか」と言わんばかりにセックスを仕込まれたのである。
加えて、もともと奥手であまり欲望を表に出さなかった響子を精神的にも調教して
きたのだ。
まだ理性が勝り、自分からすり寄るようなことはなかったが、以前に比べれば随分
と積極的になってきていた。
その響子が、瞬の大怪我以来、ただの一度もセックスしていないのだ。
火照る体を持て余しても仕方がないのに、それを抑え込んできたのである。
そんな響子が、彼女の身体をよく知っている男に焦らされ、責められているのである。
限界だったのだろう。
響子は、知らんぷりして乳房をやわやわと揉むだけの奥村を恨めしそうに見て、彼の
目の前にある大きな臀部を揺すり始めた。
早くしてくれと言わんばかりだ。
奥村はにやりと笑って、悶えつつある人妻に言った。
「欲しいんですか、奥さん」
「……」
「欲しいなら、そう言うんです。タイで何度も言われたでしょう?」
「ああ、でも……」
「言えなきゃおあずけですよ」
「あっ……」
奥村は、指を二本絡めて、響子の膣に挿入した。
そのまま捻るように回転させ、ゆっくりと抜き差しする。
「指じゃ物足りないでしょう」
「……」
「強情ですな。じゃあ、こうだ」
「あ……」
奥村は、根元まで沈め込んでいた指をぬるっと抜き去った。
抜かれた響子は、指を追い掛けるように慌てて尻を押しつけてくる。
男はその尻を腰の前で押さえ、たっぷりと指についた愛液を響子の尻になすりつけて
いく。
「言いなさい」
「……。……し……して……」
「はっきりと」
「し、して……ください……ああ……」
「ま、いいでしょう」
慎み深い人妻である響子を性的に屈服させ、思うさま喘がせ、よがらせてみたい。
失神するまで悶えさせ、感じまくらせてやりたい。
そして己のものとした証として、その子宮にたっぷりと精液を注ぎ込んでやりたい。
響子は、そうした男の征服欲をそそる肢体と美貌を併せ持っていた。
むせ返るような欲望に晒され、潤んだ瞳を向けてきた響子に、奥村は荒々しく抱き
ついていく。
熱く反り返った肉棒が、響子の柔らかい臀部で擦れ、ますます硬くなっていく。
焦らされていると思ったのか、響子が情けない声で言った。
「ああ、じ、焦らさないでください……。は、早く……早くして……、お、お尻か
ら犯して……」
その声に応えて、奥村は自慢の逸物を指で摘むと、濡れた媚肉にあてがう。
そしていきなり割れ目と襞を押しのけるようにしてすぶすぶと挿入していった。
ひさしぶりに味わう男根の感触に、響子の裸身にぐっと力が入る。
「あああっ……は、入ってくる……いっ……ああうっ……」
強烈な圧力と圧迫感に、響子はくらくらしてくる。
狭い穴に太くたくましいものが強引に押し込まれてくる。
これほどに「犯されている」と実感することはない。
すぐに身体が、忘れていたセックスの愉悦を思い出してきた。
奥村も、数カ月ぶりに味わう響子の膣を満喫していた。
きつい締め付けをこじ開けるように膣深くまで埋め込んでいく。
途端にぞわぞわと膣の襞が反応してきて、奥へと進むペニスに絡みついてくる。
「んんっ!」
奥まで到達すると、響子は背筋をたわませて震え、呻いた。
奥村の男根は根元まで埋まり、下腹部が柔らかい尻とくっついている。
媚肉は勝手に反応してくる。
膣入り口でペニスの根元をきつく締め付け、膣道は絞るように蠢動してきた。
先っぽが子宮口にコツンと当たると、響子は全身を痙攣させて喘いだ。
「あううっ……す、すごい……お、奥まで……奥まで来てます……あっ……」
「奥って、子宮ですね」
「そっ、そうです……ううむ……」
「そこにいっぱい出してあげますよ、妊娠するまでね」
「ああ、それは……それだけは……ああ……」
「イヤなんですか? でも、それじゃ僕とセックスする意味がないですよ。ま、
奥さんが僕とのセックスを愉しむためだけにするっていうなら、それもいいです
がね」
「ああ……そ、それは……」
響子は悩乱する。
この浮気、不倫、不義は、三鷹家の跡継ぎを、子供を作るための行為に過ぎないのだ。
決して淫らなセックスをするための行為ではないはずだ。
しかし、夫以外の子種を孕むという背徳感と罪悪感がある。
そして、響子の肉体自身、もう性的に我慢しきれないところまで来ている事実。
跡継ぎを産まなければという気持ちの裏には、不義の子を妊娠したくはないという
思いもある。
淫靡な性行為ではなく子作りのため仕方ない仕儀なのだという正面的事情の対面には、
火照る身体と肉欲を解消したいという本能があった。
葛藤するふたつの感情が響子の懊悩を呼び、肉体に火を着けていく。
妊娠させられることを意識すると、響子の膣がきゅっと締まる。
それが妖美な快感となって肉棒に伝わり、奥村もむらむらと欲望を燃え立たせて響子
を突いていく。
ぷるぷると熟れた尻肉を掴み、大きくグラインドさせて責め上げた。
「んんんっ!? あ、あはっ、は、激しっ……強すぎますっ……ああっ……」
大きく喘ぎながら、響子も腰を振っていった。
強すぎる、激しいと言いながらも、より深い挿入を求めて、人妻は淫らに尻を振り
立てた。
それに応えて男も強く何度も腰を打ち付けていく。
とろけた媚肉からは、熱い蜜が溢れ、響子の腿に垂れていく。
男女の腰がぶちあたると、体液が弾けて周囲に飛び、響子だけでなく奥村の腰をも
汚していった。
とろみのついた蜜は、腰が離れると、奥村と響子の間に粘ついた糸でつなげていた。
「んふうっ……ふっかいっ……ああ、お腹の中まで……来てるっ……いっ……いいっ
……」
突かれるたびに「あっ、あっ」と切れ切れに喘ぎつつ、顎を反らせて何度もよがった。
禁欲期間が長かったせいか、肉体的に堕ちるのが早い響子の痴態に、奥村も張り切った。
成熟した人妻の身体を貪るように犯していく。
媚肉を奥までこねくり回し、抉り込み、絡む膣襞を引きずり出すかのような激しい
犯し方だ。
始めは、余裕を持って責め、美しい人妻を焦らし抜いて犯し尽くそうと思っていたの
だが、響子の美貌と肉の妖しさに我を見失うほどに激しく突き込んだ。
根元まで埋めるだけでは飽きたらず、腰を捩るようにして出来るだけ深くまで貫くと、
あまりの深さに子宮口が突き上げられる。
初めて子宮口を責められた時は、苦痛しか感じなかった響子だが、念入りにじっくり
とそこを責め続けられ、ついには子宮を責められる快感を得るようになっていた。
肉体的な快楽ということもあるが、女性の象徴でもある子宮を荒々しく犯されると
いう精神的被虐感に、より淫靡さを感じたのだった。
「だっ、めっ……深いですっ……ああ、奥に……あ、そこばっかり……あ、あ、もう
……もうっ……」
「おやおや、もういくんですか。今日は早いですね、奥さん」
「いいっ……もうっ……」
奥村は白い背中に覆い被さり、ゆさゆさと揺れる大きな乳房をぎゅうっと強く揉み
上げつつ、腰をがすがすと激しく突いた。
途端に響子は、膣肉でペニスを絞り上げるように収縮すえると、呆気ないほどに絶頂
した。
「い、いくっ……いきますっ……あ、ああっ、いくうっ……!!」
ぶるるっと大きく身体を震わせ、きゅっと膣が締まる。
奥村は、その甘美な圧力に堪え忍び、射精を堪えた。
この程度で射精は出来なかった。
響子の痙攣が収まるのを待って、奥村は律動を再開した。
いかされたばかりで敏感になっている膣をまた激しく擦り上げられ、響子は大きな
悲鳴を上げる。
「ああっ!? ま、まだ……少し待ってっ……わ、私まだいったばかり、ああっ…
…こ、こんなすぐ、だめえっ……」
激しすぎる快楽を恐れるとともに、さらなる快楽をも期待して、響子は腰をうねら
せた。
新たな快感をねだるが如く、膣内もうねって挿入されたままの男根に絡みつく。
「ふふ、いったばかりなのに、響子さんの中はもっともっとって言ってますよ。
まったくいやらしいオマンコだ」
「そんなこと……」
「まだいきたいんでしょう? それに僕だってまだ出してない。早く精子が欲しい
なら、響子さんも頑張ってくださいよ」
「ああ……」
美貌の人妻は、羞恥で顔を真っ赤に染めながらも、肉棒をくわえこんだままの臀部を
物欲しげに揺すってきた。
顔が赤いのは恥辱だけではなく、彼女の内部に籠もった痴情が表出しているのかも
知れない。
蠢く尻をぴしゃりと叩くと、反動をつけて奥深くまでペニスを叩き込んだ。
「んひぃっ……! ああ、いいっ……も、もっと……あうっ……」
突かれた瞬間、響子はぐうんと肢体をしならせて大きく喘いだ。
待ちかねた感触に、肉の奥から震えるような愉悦が込み上げる。
リズミカルに突き込まれ、パン、パンと尻を打つ音が部屋に響く。
奥村は、突かれるたびに歪む尻肉に指を食い込ませ、ぐいと左右に割り開く。
その谷間には、太いものを精一杯という風にくわえ込んだ媚肉と、そのすぐ上にひく
ついているアヌスが見えた。
夫の親友は、丸く美しい形状を保った豊潤な臀部と撫でつつ、未開の秘孔を指の腹で
擦った。
響子はショックと、身体を突き抜けていく強烈な感覚に、激しく仰け反って呻く。
「はあうっっ! そ、そこ、だめですっ……ひっ……触らないで!」
奥村は笑いながら、なおも指で肛門をなぞっていく。
アヌスの皺を拡げるように、丹念に擦る。
「ふふ、奥さん、相変わらずここが敏感ですね。そういえば、まだ瞬にもやられて
なかったですかね?」
「……」
「……そうか。それは気の毒なでしたね。それなら僕が処女を戴いてもいいんだ
けど……」
「だめっ!」
響子は絶叫した。
それだけはイヤだった。
アナルセックスというものがあるというのは教えられていたし、セックスの最中に
そこをいびられ、嬲られると、媚肉を責められるのとはまた違った強い刺激と羞恥、
屈辱があった。
それに加えて、身体の奥から込み上げてくるような快感も同時にあったのだ。
しかし、瞬がどれだけ頼んでも、そこだけは許さなかった。
瞬に許さないのだから、他の男も同様である。
実際に静香が瞬にアナルを犯されている様子を見せつけられ、衝撃ととも嫉妬も
起こり、自分もと思ったこともあったのだが、いざとなるとどうしても抵抗が
あった。
どうしてもホモセクシャルのことを考えてしまうし、アブノーマルというのなら、
これ以上アブノーマルなものはないと思っていたからだ。
そういう妻に対して、瞬は焦らなかった。
響子の素晴らしい肉体を持ってすれば、肛門性交も充分に受け入れられるはずだ。
強姦してしまうことも可能だったし、むしろ響子は無理に犯されるしょうなシチュ
エーションが好きだったから、そうしてしまうかと思ったこともある。
だが、彼女のアナルに対する生理的な嫌悪感はなかなか強かった。
ここで無理にアナル凌辱してしまったら、トラウマとなって、一切受け付けなくな
ってしまうかも知れない。
無理に犯して、響子のそこを裂いてしまうようなマネもしたくなかった。
ここは焦らずとも、ゆっくりと少しずつアナルを刺激し、愛撫し、肛門による快感
を覚えさせればいいのだ。
それから、焦らし責めをしていけば、響子のことだ、自分から望むようになるかも
知れない。
それを待てばいい。
瞬はそう思って、無理にしなかったのである。
「お願いです、奥村さん……。そこは……そこだけは本当にイヤなんです。する
なら前で……」
「そうですか。それなら仕方がない」
奥村はあっさり諦めた。
確かにそこまで奪うのは瞬に申し訳がない。
不能にはなっても性欲自体はあるそうだから、バイブでも使って響子のアヌスを奪う
ことを考えているのかも知れない。
「わかりましたよ、奥さん。その代わり「前でして」なんて言わないで、ちゃんと
「オマンコにして」と言ってくださいよ」
「そんな……」
「お尻を犯されるよりはいいでしょう? それに奥さんだって、まだまだいかせて
もらいたいんでしょうに」
「……」
響子は屈辱を飲み込んで、男に従った。
「し、してください……。お、おま……んこに、して……ああ……」
「いいでしょう」
奥村は満足げな表情を浮かべると、響子の尻たぶを掴み直し、叩きつけるように
肉棒を打ち込んだ。
「ふああっ……!」
響子のしなやかな肢体がぐうんと弓なりに反り返り、ポニーテールでまとめた髪が
大きく揺さぶられた。
美しい顔を苦悶と快楽で歪め、手は握りしめられていた。
男は反動をつけて大きなストロークで膣を貫いた。
よく張ったカリで膣の内側をひっかくようにして抉り、襞を削り取っていく。
震えるような快感が再開され、響子は尻を打ち振って奥村に応えた。
いったん離れた後、尻がつぶれるほどに密着するまで打ち込まれると、響子の側
から腰を奥村にくっつけていく。
男のグラインドに合わせるように、女も腰を動かした。
「すっ……ごいっ……き、気持ちいいっ……ああっ……か、感じますっ……」
大きなベッドはギシギシと軋み、四つん這いの響子と膝立ちの奥村の姿勢が安定
しないほどに揺れていた。
クッションが利いていることもあるが、それ以上にふたりの動きがダイナミック
過ぎるのだ。
奥村のピストンが本腰になってくると、その速さと鋭さに、響子は呼吸も満足に
できないような状態に追い込まれていく。
何度も何度も頭を振って喘ぐため、ほつれかかった綺麗な黒髪が、汗に濡れた肌に
まとわりついている。
「いい……ああ、いいっ……」
「そんなにいいんですか、奥さん。もっと欲しいんですね」
「ほ、欲しいっ……ああ、もっと……もっとぉっ……ひっ……」
よがり声のせいで掠れてきた声で、さらなる深い快楽を求める人妻に、男は大きく
腰を使っていく。
ずぼずぼと媚肉がペニスで抜き差しされるごとに愛液が漏れる。
ピストンを止めて、最奥に突っ込んだままでぐりぐりと膣口を拡げるように回転させ
ると、奥村の腰と響子の尻が粘った蜜でにちゃにちゃと不快な音を立てた。
男がそれだけ激しい律動を加え続けると、響子の媚肉も爛れ気味になってくる。
しかし、膣内部は激しい攻撃を難なく受け止め、もっと奥へといざなうように襞が
蠢き、絡みついていく。
「もっ……もうだめっ……ひっ……く、来るっ、来ちゃうっ……」
「またいくんですね、奥さん」
「い、いくっ……いきそうですっ……くっ……いく!!」
全身をぶるるっと激しく痙攣させ、響子は二度目の絶頂に達した。
ひくひくと甘く強く膣襞が蠢き、精液を搾り取ろうとする。
その妖しい動きに耐えきれず、奥村も放出した。
「いきますよ、奥さんっ」
「ひっ……!」
ガシ、ガシ、ガシとトドメに三度強く突き込むと、腰を密着させたまま、奥村が
射精した。
熱い奔流が膣道を津波のように流れ込み、子宮口にぶち当たる。
精液の波止場である子宮口に奥村の精を感じると、響子は大きく喘ぎ、連続絶頂
した。
「ひっ……で、出てますっ……奥村さんの……ああ、いやあ……ま、またいくう
……」
射精の発作が終わるまで響子に腰を押しつけていた奥村は、全部出終わるとよう
やくペニスを抜いた。
まだ充分に硬いものを抜かれ、カリが膣内をひっかく感覚に響子が呻く。
「あ、あう……」
抜かれると、響子はまるで電気が切れたかのようにベッドの突っ伏した。
その背中を撫でながら奥村が言った。
「たっぷり出してあげましたよ。見事に妊娠しそうですか、奥さん」
「ああ、いや……」
胎内が熱い。
奥村の精液の熱さもあるが、響子の媚肉が男の精液を受けたことで反応してしまって
いるのだ。
内部がウソみたいに敏感になっている。
響子が呼吸するごとに、こぽこぽと精液が逆流していくのがわかるのだ。
「本当に大した女性ですよ、あなたは」
奥村はそう言いながら響子に手を掛けた。
ゴロリと転がして、今度は仰向けにする。
「いくら出しても、まだ出来そうだ」
「そんな……もう、いやです……」
「いやってことはないでしょう。念を入れてもう一度犯してあげますよ。その方が
妊娠しやすくなる」
「いや……妊娠はいやです……。お、夫に顔向けできません……」
「そんなことはない。瞬だって、あなたと僕の間の子供を望んでいたじゃないです
か」
「でも……ああ、でも……」
「それにね、奥さん」
奥村は響子に顔を近づけた。
思わず響子は顔を背ける。
その顔を自分の方に向けさせて、男は言った。
「瞬だって愉しんでるんですから、僕らも……」
「た、愉しんでるって……。夫は誰か他の女性と……」
「いや、それは出来ません。ほら、そこを見て」
「え……?」
奥村の手を添えられ、響子が顔をそちらに向けると、信じられないものが見えた。
「あ、あなた……」
瞬がいた。響子は奥村とのセックスでちっとも気づかなかったのだが、ドアがいつ
のまにか開いていた。
そこに瞬がいた。
部屋には入らず、廊下から部屋の中をじっと見ていたのだ。
「いっ、いやあああっっっ! あなた、あなたあっ……!」
「そう。ずっとやつは見ていたんですよ、あなたが僕に犯される様子をね」
「そんな……そんなっ……」
「僕に後ろから犯されて気をやるところも、中に射精されていってしまったその顔
も、全部見られていたんです」
泣き喚く響子を抑え、奥村が続けた。
瞬は黙ったままだ。
「奥さん、落ち着いて。こんなこと、タイでもあったじゃないですか」
「でも……あの時は夫も……」
奥村夫婦とは、よくスワッピングもしたから、響子が奥村に抱かれている隣のベッ
ドで、瞬が静香を犯していることはよくあった。
それが刺激になると言われても、響子は生理的な嫌悪感の方が強かったのだが、
爛れた極彩色のセックスを仕込まれ、変態じみた行為をされ続けることにより、
夫たちの言う通り、夫が他の女を抱いている様子を見ることが、響子自身の性的
昂奮にもつながってきていた。
しかしあの時とは状況が異なる。
あれは双方ともにパートナー以外の相手とセックスしあっていたのである。
今は違う。
夫は不能者となり、性行為は出来ない。
なのに響子の方はその身体を持て余し、こうして奥村に抱かれている。
それを不能者の夫が見ているのだ。
これほどの倒錯があろうか。
それでも夫は文句も言わず、ただ響子が犯されている痴態を覗き見ていたのだ。
確かに瞬には、そうした窃視癖はあったようだ。
だが、自分が出来ないというのに、妻が犯されている様子を見て性的快楽を感じて
いるとすれば、かなり進んだ倒錯性欲だろう。
響子は混乱し、動揺し、正気を失いかけた。
奥村は、さすがに気の毒そうに言った。
「……瞬はリハビリを根気よく続けていれば、以前ほどとは言わないまでも、歩行
くらいは出来るようになる可能性はあります。でも、性機能の方は……」
「……」
「正直言って難しいでしょう。でも、これだってリハビリ次第ではわかりませんよ」
「リハビリって……」
「これもその一環ですよ。瞬は確かに人に言えない欲望──覗きという性癖がありま
した。でも、それは別におかしなことではない。誰だってそういう欲求はあるもので
しょう? 同性愛、サディスト、マゾヒズム、ロリコンにいろいろなフェチズム。
瞬は、それがたまたま覗き趣味だったってことだけです。だったら、僕らのセックス
を覗き見させることで、瞬のそれが回復する可能性だって……」
「……あるんでしょうか」
響子は、夫からも奥村からも目を外して聞いた。
瞬に聞こえていないのを良いことに、奥村は適当に喋っている。
言っていることがまるっきりウソというわけではないが、純粋に響子の身体を愉しみ
たかっただけなのである。
瞬には申し訳ないが、響子が妊娠するまでは何度でも抱きたかった。
瞬が「見る」と言ったのをふたつ返事でOKしたのも、響子が夫に見られることに
よって、より性的に興奮することを期待してのことだ。
「わかりません。わからないからこそするんです。でもね、あまりそういうことは
考えない方がいいかも知れません。期待して、そうならなかったら失望も大きいです
から。だから、瞬は見たい欲望のまま僕らのセックスを見ればいいし、僕たちはセッ
クスを愉しめばいい。あなたは夫の瞬に見られている、見られているのに感じてしま
う、いかされてしまうという状況を愉しめばいいじゃないですか。タイ時代と変わり
ません」
「……」
「いいですね」
「わ、わかりません……」
そう言った響子だったが、涙は止まっている。
瞬についても自分についても、奥村の言葉の中に思い当たるフシがあったのだ。
「そのうちわかりますよ。それじゃあ、いきますか」
「え、でも……」
「何としても奥さんを孕ませたいんですよ」
「ああ……」
本当にわからなくなった。
こんなことが瞬のためになるのだろうか。
響子には、不能の夫の前で痴態を演じることに大きな背徳感を感じている。
それでいて、そうしたことが快感につながるという奥村の言葉が頭の中でリフレイン
していた。
否定できない事実だったからだ。
混乱する響子の身体に、奥村がのしかかっていく。
「も、もうやめましょう、奥村さん……」
「やめませんよ。さ、覚悟してください」
絶頂の余韻で、びくびくしている響子の膣を再び突き始める。
弱々しく、それでいて甘い声で許しを乞うていた人妻は、男の動きが激しくなるに
つれて喘ぎ始め、息詰まったものへと変化していく。
奥村は、盛んに抜き差しされる媚肉の頂点にある肉芽と、ゆさゆさ揺れる乳房を
同時に愛撫した。
快感が大きいのか、ひくついているクリトリスをずりずりと扱いてやると、響子は
がくんと大きく仰け反った。
「だっ、だめそこっ……! か、感じるっ、感じすぎますっ!」
それだけでなく、突き上げるとぽーんと弾む乳房をも握りしめ、ぐいぐいと揉み
上げる。
もうすっかり勃起した乳首を摘み、こねくるように扱くと、響子は続けていった。
「いくっ! ひぃぃっ!!」
ぐぐうっと背中が弓なりにしなり、シーツを掴んだ手に力が入る。
汗にまみれた裸身がうねり、ペニスを飲み込んだ膣内はきゅうきゅうと締まり続ける。
いかされるたびに、むっとするような淫靡な匂いを発し、責められるごとに艶っぽい
よがり声が室内に響き渡る。
部屋の外から、瞬がその淫靡な光景をじっと見つめていた。
自分の妻が他人の好き放題に犯され、その結果、何度もいかされている。
普通の男なら、神経が灼き切れんばかりの嫉妬と屈辱に陥るだろう。
なのに瞬は、響子が奥村に凌辱され、気をやらされるシーンを見ながら、股間を
いじっていた。
勃起するはずのないペニスを扱いているのかも知れなかった。
響子には、もはやそうした夫の視線も行動も目に入らなかった。
そんな余裕もないほどに、奥村のセックスにのめり込んでいる。
責めながら奥村が言った。
「その調子ですよ、奥さん。僕と奥さんは、身体の相性がいいんです。気持ちいい
んでしょう?」
「ああっ……ああっ、いいっ……あ、あなたっ……くううっ……いいっ……あひぃ!」
乳首をくわえられ、歯で噛まれると奇妙な悲鳴をあげ、それだけでまたいかされた。
続けて乳輪ごと吸われ、舌で乳首をねぶられると、また高まっていく。
もちろんその間も、媚肉には肉棒が激しく抽挿されている。
続けていかされるのは、奥村とのセックス特有だ。
響子に尽くしているというよりは、何度もいかされてとろけるような美貌を浮かべる
人妻を、もっと見たいという欲望のためだ。
絶頂してからろくに降りることもなくいかされるため、響子の体温も上がる一方だ。
膣の中も、暖かいというよりも熱くなってきている。
奥村の射精を促して、膣襞は小刻みに痙攣し収縮し続けている。
さっき一度出したばかりだが、その甘美な締め付けに、奥村の射精感がまたしても
高じてくる。
それを堪えて、人妻の肢体を突き上げていく。
響子は我をなくしたように、セックスに狂乱していた。
男を身体を重ねることがひさしぶりだったこともあるし、相性のいい奥村が念入りに
犯したということもある。
そんな響子にますます昂奮の度を高めた奥村は、さすがに我慢が限界に来ていた。
がしがしと音がするほどに恥骨同士を打ち付け、肉棒の挿入を求めて持ち上がって
くる響子の腰を潰すように腰を使った。
何度かに一度、亀頭が子宮口を擦り上げると、響子は大きく反り返る。
「うああっ、いくっ……ま、またいきますっ……あ、あなた、ごめんなさいっ……
だめっ……も、だめえっ……!」
響子の腰がうねり、背が持ち上がり、弓状になる。
上に乗った奥村を持ち上げるほどに腰をくっつけ、細い両腕は奥村の背中を抱いて
いた。
「くっ……」
いよいよ堪えきれなくなった奥村は、ラストスパートをかける。
亀頭の拳で何度も響子の子宮を突き上げ、最奥まで貫いた。
「あああっ……いっ、いくっ……いいいっ……あ、あなた、もうだめっ……、私っ…
…いく、いく、いくううっっ!!」
響子は華奢な裸身を大きく仰け反らせ、背中を持ち上げた。
頭と腰だけで身体を支え、奥村をぎゅうっと強く抱きしめ、そして絶頂に達した。
響子が激しく絶頂したのを確認すると、奥村は堪えていた欲望を一気に放った。
どぷるるっ。
どぴゅるっ。
びゅるるるっ。
びゅるっ。
びゅるんっ。
びゅくっ。
「ひぃ!」
胎内に、凄まじいほどの白濁の流入を感じ取った響子は、そこでまた気をやった。
どくん、どくんと射精を受けるたびに、人妻は「うあっ」「んむっ」と呻いて、全身
を痙攣させていた。
膣内にたっぷりと精液を受け取ると、筋が浮くほどに強く奥村の背を抱きしめていた
の力が抜け、がくりとベッドに落ちた。
豊潤そのものの胸が、荒い呼吸に合わせて大きく揺れている。
「あ、うむ……い、いっぱい出された……中に……ああ……」
「満足しましたか、奥さん」
奥村はそう言うとペニスを引き抜いた。
奥村のもので大きく拡げられた膣口はなかなか閉じず、そこから多すぎる精液がご
ぽりと溢れてきた。
「どうです、孕んだ気がしますか?」
「ああ……そんな……本当に妊娠してしまう……。あなた……」
首の力が抜け、がくりと顔が横を向いた。
その先には、さっきまで響子の痴態を見ていたはずの夫の姿はなかった。
戻る 作品トップへ 第二話へ 第四話へ