「くく、もう準備万端だな、奥さん。待ってろ、欲しがってたやつを今くれてやるからな」
「ああ、だめっ……あああ、あっ、い、痛い……ううむ……」
「痛いってことはねえだろう。こないだ、たっぷり愉しんだ相手だろ?」

そうは言っても痛いものは痛い。
いくら蜜でぐちょぐちょになってはいても、百瀬のペニスは規格外である。
その上「犯される」という恐怖と屈辱で、固く締まっているのだ。
その感触を愉しみながら、百瀬は腰を突き出す。
長大な肉棒が女の膣にめり込んでいく。
めりめりと音がしそうな光景だった。

「くっ……本当に奥さんのはきつくっていい感じだぜ。処女みたいだ、とまでは言わないが、
それにしたっていい案配だ。本当に旦那以外知らないって感じだな」
「やあああ……あ、あなたああ……」
「喚け、喚け。俺は無理矢理犯すのが好きだからな、泣き叫んでくれた方がいいぜ」

響子は腰を捻り、捩って挿入から逃れようとするものの、その動きがかえって逆効果となっ
ている。
女が逃げようとして腰を捩ると、男がそれに合わせて腰を捻る。
うまい具合にインサートを助けてしまっていた。
ペニス半ばまでねじ込まれると、響子も諦めたのか、ガクリと力が抜けた。
そこを狙って、百瀬が思い切り腰を打ち込む。

「うっはああっっ!!」

深々と貫かれた響子は、またしても子宮口まで届かされ、その深さに身体の芯から脅えた。
それでも、相変わらず百瀬のものは全部入っていない。
ぐいぐいとさらに押し入れるが、子宮にぶつかってそれ以上は無理だ。

「か……はっ……」

もう奥まで入れられたのに、子宮を持ち上げんばかりに突き入れてくる男の凄さに、人妻は
口を開けっぱなしで呻いた。
ロクに声にならない。
男は響子の股間に割り入り、さらにその両ひざに手をやって大きく拡げている。
限界まで割られた股の真ん中に、たくましいペニスがぬっ、ぬっと抜き差しされていた。
膣道は狭くきついが、何しろ蜜がたっぷり分泌されている。
お陰でピストンはスムーズだった。この辺が経験の浅い娘と大きく異なるところだろう。

「しかし、マジでいい具合だぜ、奥さん。本当に今まで他の男に抱かせたことがないのか?」
「ああっ、いやあっ……な、ないわ、そんな……ひっ……あ、ああ……」
「もったいない話だ、こんないいオマンコを夫にしかやらせてないなんてよ。これなら高い
金払っても、奥さんとやりたがる男はいくらだっているぜ。どうだい、バイト感覚でこの
身体を売るつもりはねえかい?」
「いっ、いやよ、そんなっ……ああ、ぬ、抜いてぇぇっ……」

百瀬はいやらしい言葉で響子の肉体を褒めた。
そんなことで喜ぶわけもないが、その分、人妻の恥辱を煽った。

夫を差し置いて「その身体を売れ」と言われ、響子はかぁっと赤くなった。
考えたこともなかったのに、裕作以外の男に抱かれることを想像し、羞恥にまみれてしまう。
それでいて肉体の方はかっかと火照り、埋め込まれた太すぎる肉棒に反応し、驚くほどの締め
つけと潤いを見せていた。

「それじゃ本格的にいくか、奥さん」
「あ、ああっ、やあっ……」

百瀬は響子の白い太腿を抱え、ゆっくりとしたペースで突き込み始めた。
ずん、ずんと奥まで何度も突き上げていくと、豊かな乳房がぶるっ、ぶるっと大きく揺れる。
膣の方は、擦り上げてくるペニスに襞を絡ませ、じゅくじゅくと音を立てていた。

百瀬は焦らず、ゆっくりと挿入を続けている。
舞踏会で犯した時は、その肉の妖しさに我を忘れ、つい激しく責め上げてしまった。
それはそれでいいが、早いうちにこの人妻に百瀬のペニスに慣れさせる必要がある。
じっくり味わわせるように腰を使い、その膣を肉棒で刻む込むように犯していった。

「あはっ……ああっ……あ、もう……も、やめっ……あっ……」
「ん?」

喘ぎ始めた人妻の声の他に聞こえるものがあった。
百瀬は責め続けながらも耳を澄ませた。
ギシ、ギシと床を踏みしめる音がする。

「……ちっ……」

邪魔者がいたらしい。
真っ昼間だというのに住人がいるのか。
ギシギシという音が近づいてくる。
階段を下りて、どうやらこっちに向かっているようだ。
ちらっと響子の顔を見たが、百瀬の腰使いと性器の大きさに圧倒されていて、まだ気づいて
いないらしい。
案の定、足音がこの部屋のドアの前で止まった。

コンコン。
ノックの音だ。

「……!!」

さすがに響子も気づいたらしい。
ビクッとからだが強張る。
びっくりした顔で喉を鳴らし、声にならぬ悲鳴を上げた。
百瀬が様子を窺おうと動きを止めて声を潜める。
今度はノックとともに声が掛かった。

「管理人さん、いる? 朱美ですけど」
(あ、朱美さん……)

百瀬が響子の耳に口を近づけて聞いた。

「……ありゃあ誰だ? 住人か?」
「そ、そうです……」
「女みたいだな」
「ろ、6号室の六本木朱美さんです……ああ、は、早く離れて……」
「……そうか」

逃げるかとも思ったが、ここは利用する手だ。
鍵は掛かっている。
こっちが開けない限りは入れない。
百瀬がニヤリと笑った顔を見て、響子は青ざめた。
まさか、この男……。

「は、早くっ……早く抜いて……」
「いいや、そうはいかねえ」
「な……」

響子は目を剥いた。

「何を言ってるんですかっ……こ、こんなとこ見られたら……」
「俺はかまわねえさ」
「……」
「何なら見せてやろうぜ。ドアを開けてやろうか?」
「やめて!」
「それなら言うことを聞け。このまま続けるんだ」
「そんな……」

また朱美の声がした。

「管理人さん、いないの? 留守? お家賃持ってきたんだけど……」
「ああっ……」

急に百瀬が腰を使い始め、つい声を出してしまった響子は、慌てて口を噛みしめた。
怨みがましい目つきで男を見るが、百瀬は嘲笑うように響子を犯し続けていた。

「んんっ……んっ……っ……くっ……」

知られてはならないと必死に声を抑える美女を、次々と押し寄せる快感が責め苛む。
百瀬は大きく腰を使って膣を抉り、大きく揺れる乳房を両手で激しく揉みあげた。
痺れるような快感と愉悦が、媚肉や乳房から脳髄へ流れ込んでくる。
喘ぎ声を噛み殺すだけで必死になってしまう。
なのに響子の理性とは別に、その肢体ははっきりと肉の刺激に感応していた。
乳房を揉まれ、屹立する乳首。
それを指でこねくられると、堪えきれない呻き声が出てしまう。

「んむっ……か……はあっ……んっ……」

一方、盛んに突き上げられる媚肉の方も凄い。
百瀬が肉棒を抜き差しするのにタイミングを合わせて膣襞がヒクヒクと反応し、奥まで突っ
込むと緩み、引き抜くと締めつけてくる。
すべて意志とは無関係に、響子の肉が勝手に反応しているのである。
百瀬に犯されて感じている自分を嫌悪し、またその行為を朱美に知られてしまうことを恐れ
てはいるものの、熟れ切った人妻の肉体は、もはや止めようがないほどに燃え上がっていた。
またノックがする。

「管理人さん、朱美です。いないの?」
「ひっ……」

朱美の声で我に返り、響子は声をつぐんだ。
それでも百瀬は腰を使い続け、響子を貫くたびに畳がミシミシ鳴っている。
響子にはその音すら気になった。
リズミカルに鳴る畳の音が朱美の耳に達したらどう思うだろうか。

「……」

朱美の声がしなくなった。
諦めたのだろうか。
響子はホッとしたが、すぐにまた現実に引き込まれた。

「外の女は行っちまったのかな」
「……」
「残念だったな、せっかく奥さんが男に犯されてよがってるところを見てもらえたのに」
「言わないで! ああっ……」

小声での拒絶を無視し、男は乳首を口に含んだ。
ピンピンに立っているそれを舌で押し潰すように愛撫する。
下から揉み上げられる大きなバストは、たぷたぷと音がしそうだ。

「……!」

気配に気づいて、響子の声と動きが止まった。
ドアに何かが擦りつけられるような音がしたのだ。
同時に、外の廊下の辺りで軋む音が聞こえる。
声はしないが、まだ朱美がいるのだ。
呼びかけても返事がないので様子を窺っているのかも知れない。
百瀬もそれに気づき、こいつは面白くなったと思った。

響子の美貌は、犯される屈辱だけでなく、快楽に歪んでいる。
さらに、行為を見られているかも知れない、聞かれているかも知れないという恥辱と羞恥に
も彩られていた。
その表情からは、いつもの響子からは想像もつかない妖艶さと淫靡さが窺われた。
この調子で被虐の快楽を植え付けてやるのだ。

「んっ……うっ……むっ……あ……」

堪えても堪えても堪えきれない快感が響子を襲う。
外で朱美の気配がするたびに、響子の膣がきゅっと締まる。
締まるということは、それだけ強く肉棒を感じ取るということになってしまう。
その反応に満足した百瀬は、ピンク色に染まっている響子の耳朶に囁いた。

「くく、そんなに感じるか」
「い……や……」
「あの女、まだいるんだぜ、きっと」
「……」
「ドアに耳でも押し当てて聞いてるんじゃねえか、部屋の様子を」
「……」
「それとも隙間から覗いてやがるのかな?」
「やめてっ……」

耳元で恥ずかしいことを言われるたびに、響子は身を捩り、腰を蠢かせた。
媚肉の締め付けは一層きつくなり、百瀬のペニスを押し包んでいく。

間違いない。
この女は、恥ずかしいことやひどいことをされたり言われたりすると感じてしまうのだろう。
辱められると燃えるタイプなのだ。
ただ強姦するだけでも効果はあるだろうが、こうして羞恥プレイを加えてやると、さらに感
応してしまうのだろう。
こいつはいいカモだ。
百瀬は唇を舐めた。

「んく……んあっ……っ……っ!!」

響子は懸命になって唇を噛み、漏れ出そうになる喘ぎやよがり声を我慢している。
その姿が何とも言えずいじらしく、そして淫猥に見えた。
いやでいやでしようがないのに感じさせられてしまう。
女に生まれた哀しさを体現している響子に、百瀬は際限のない性欲を覚えていた。

百瀬はわざと畳をミシミシと鳴らし、腰を打ち込んだ。
そして太腿を抱え直すと、より深く挿入を繰り返した。
ゴツゴツと最奥──子宮口に、硬いペニスの先端が何度もぶち当たる。
響子にとって、最初は痛いだけだったその感触が、だんだんとそうでなくなってきている
ようだ。
痛みの感覚が麻痺し、痺れるような快感に取って代わられていった。
百瀬が身体を前に倒し、腰を押しつける。
子宮が持ち上げられ、響子の唇から悲鳴が洩れた。

「ひぅっ……」
「おおっと、奥さん、そんな声出していいのかい?」
「……」
「外、まだいるみたいだな。どれ、聞かせてやろうぜ」
「や、やめ……ああっ……」

外のことを言われ、また響子の膣が強く締まる。
それを振り払うように、百瀬が強く打ち込んできた。
絡んだ襞を引き剥がして奥まで貫かれ、たっぷりの蜜をまとわりつかせて抜かれる。
子宮口を虐められるごとに、膣はさらに狭くなってきているようだ。
ペニスを逃がすまいとして、膣道が勝手に窄まってきているのだろう。
百瀬も感嘆の声を上げた。

「おおう奥さん、いちだんと良くなってきたぜ。やっぱ見られてると感じるんだな」
「ち、違いますっ……やめて、しないでっ……ひっ……んむうっ……」

ズンズンと強く律動され、響子はもう辛抱たまらなくなってきていた。
我慢できるレベルではない。
どうしたって声が洩れてしまう。
人妻は美貌を歪ませて哀願した。

「お、お願いっ……も、もうやめて……ああ……」
「バカ言うなよ、ここでやめられるかよ」
「お願いです、ああ……ど、どんなことでもしますから、許して……これ以上されたら……」
「これ以上されたらどうなるってんだ」
「ああ……こ、声が、出てしまいます……朱美さんに、ああっ、き、聞かれてしまったら…
…」

百瀬は声を殺して嘲笑った。

「こいつはいい。そんなに気持ちいいのかい?」
「……」
「答えな、気持ちよくってよがっちまうからやめてくれってことか?」
「……」
「黙ったままなら、このまま続けるぜ」
「いっ、いやっ……」

響子は盛んに首を振りたくった。
もちろんこの間も、百瀬は響子の奥まで貫いている。

「なら言え」
「ああ……」

もう、どうしようもなかった。

「そ、そうです……」
「はっきり言えってんだよ」
「……き、気持ち、よくって……声が、出てしまいます……ああ、だから……」

恥ずかしい言葉をようやく口にし、響子はそれこそ顔が真っ赤になった。
同時にきゅううっと膣が締まる。

「よし」

百瀬は嬉しそうに頷いたが、責めは続行していた。
大きく腰をグラインドさせ、美女の膣を強く深く抉っていく。
その深さに響子は目が眩んだ。

「や、やめてぇっ……ああう……こ、声が……ああっ……」
「ふふ、声が聞こえなきゃいいんだろ。口を塞いでやらあ」
「ああっ……んっ、んむっっっ……」

百瀬は、喘ぐ響子の口に吸い付いた。
口の中に、直接、響子の熱い喘ぎが入り込んでくる。
熱気を含んだ呼気とともに、よがり声も百瀬の口に吸い上げられる。
それでスイッチが入ったかのように、響子の感じ方も一層激しくなっていった。

「ん、んむ……んちゅっ……むむ……っ……ん、んんんっ……」

響子であれば、頑強に男の舌の侵入を拒んで歯を閉じていただろうが、今はそれどころでは
ない。
思い切り感じさせられて、喘ぎっぱなしなのだ。
口を閉じるどころの騒ぎではない。

大きく開けた口の中に、百瀬の汚らしい舌が入り込んでくる。
歯茎と言わず、頬の裏と言わず、咥内中の粘膜を舐め回された。
柔らかく甘い舌も、思い切り強く吸い上げられる。
引き抜かれるかと思うほどの吸い上げだった。
口中の唾液を飲まれ、代わりに百瀬の唾液を口に注がれ、飲まされると、響子は頭の芯まで
痺れていく。

「んむ……んくっ……んんん……む、んちゅうっ……」

百瀬は気づいていた。
もう朱美は外にはいない。
だいぶ長くドアの前でこっちの様子をうかがっていたようだから、恐らく室内で何をして
いたかわかっただろう。
多分それを察したからこそ、何も言わずに引き上げたのではあるまいか。

響子の夫は、当然、昼間は働きに行っている。
その部屋の中で響子がセックスをしていたと知れば、それは間違いなく浮気である。
あの朱美という女にも、それくらいはわかっただろう。
取り敢えずはそれでいい。

一方の響子の方は、もう外の朱美のことなど脳裏からは消え失せていた。
巨大なペニスで責め抜かれ、身体の奥から凄まじいほどの性の喜悦がわき起こり、悶え狂っ
ていた。

「ぷあっ……あ……んん……っく……」

それも響子は、まだ声を出すまいと頑張っている。
口を離すと、途端に唇を噛みしめていた。
ギシギシと畳が鳴り、勢いで響子の腰がバウンドするほどに強く抽送すると、ああっと喘い
で百瀬に懇願する。

「もっ、百瀬さんっ……」
「なんだ、どうしたい」
「こ、声が……く、口をふさいで……ああっ……」
「そうか、キスして欲しいのか」
「そ、そうよ……だから早くっ……声が出てしまう……ああっ……」

百瀬が舌なめずりをして、再び響子の口に吸い付く。
何の抵抗もなく、響子は舌を許した。
さすがに自分から吸い付くことはないが、百瀬の蹂躙に任せていた。

「んっ、んむうっ……」

響子の乱れっぷりに、百瀬も驚いていた。
見事なほどの身体だし、熟れきってもいる。
それでいて鋭敏な性感も持ち合わせていた。
これだけの肉体を、今の夫や死んだ前の夫は持て余していたのかも知れない。
並のセックスでも充分に感じることが出来るだろうが、それ以上の技巧で責めれば、それに
応じてさらに成長する身体なのだろう。
女性としても、まさに脂が乗りきったところであるし、もっともっと責めてやれば、セック
スの快感に対して貪欲になっていくに違いない。
そのうち夫では満足できなくなるだろう。
それを待てばいい。
響子は快感を露わにし始めていた。

(ああっ……ああ、いい……ど、どうしてこんなに……いいっ……)

百瀬のキスがなければ、響子はそう口にしていた。
口を吸われて音声にならぬ言葉が、響子の頭の中で響いている。

とろけつつあった響子の身体をさらに追い込むべく、百瀬は容赦なく突き上げた。
グイグイと響子の身体が持ち上がるほどに突き込んだり、突っ込んだまま円運動をして媚肉
を拡げにかかる。
腰をグラインドし、膣を引っかき回されると、響子は背中や首を仰け反らせてよがってきた。

(は、激しいっ……いいっ……ああっ、あなたあっ、いいっ……ああうっ……)

百瀬はそこで口を離し、響子に言った。

「ようし、そろそろだな。今日も中にたっぷり出してやるからな」
「ひ……!!」
「仕上げはそれっきゃないだろうが、ええ? 奥さんだって出してもらいたいだろう?」
「そんな、いやっ……」

響子は恐怖に引きつって叫んだ。
あの時もそうだったが、もう膣内に出されるのはイヤだ。
百歩譲って犯されるだけならともかく、避妊もせずに中出しされるのだけはお断りだ。
妊娠してしまうかも知れない、という現実的な恐怖とともに、夫以外の精子をその身体で受
け入れるという嫌悪感、屈辱感が強かった。

「そ、それだけはっ……それだけは許してっ……ああ、中はいやあ……」
「ふざけるな、俺は出すと言ったら必ず出す」
「いやっ、絶対にいやあっ……」
「待ってろよ、そのうち中に射精されないと満足出来ない身体にしてやるからな」
「そんな、いやですっ……」

人妻は射精を恐れ、頭も腰を激しく振りたくって拒絶している。
それでいて響子の膣は、中に押し入った百瀬のペニスを離すつもりはないらしく、盛んに
締めつけているのだ。

「いやだなんてウソだな。奥さんのオマンコは随分きつく締めつけてくるぜ。まるで抜か
ないでくれって感じでな」
「そんな、ウソですっ……ああっ……」

膣内射精と、それに伴う妊娠に脅えながらも、響子は狂おしいほどの肉悦を我慢できなかった。
どうしても喘ぎ声が出る。
腰がうねってしまう。
膣が締まってくる。
どうにもならなかった。

ここで百瀬は思いついた。
そう言えば、この女はひどいことをされると感じる被虐性の豊かな人妻だ。
中出しなんてひどいことをされれば、いやがりながらも一層燃えて感じるようになるのだろう。
であれば、これからも犯す時は必ず膣に射精してやるのだ。
百瀬はほくそ笑んだ。

「よし奥さん、出すからな」
「だめっ……ああ、だめですっ……んああっ……」
「だめだ、もう遅いぜ」
「やあ、だめえっ……抜いてっ……お願い、外で、ああっ……」

百瀬はその瞬間、出来るだけ奥まで挿入し、そこで押し寄せてくる快感を一気に放出した。

どびゅるるるうっ。
どびゅるっ。
びゅるるっ。
どびゅっ。
びゅく、びゅくっ。
びゅるんっ。

痛いほどの勢いで、子宮口に精液がぶち当たる。
胎内深くで射精の感触を直接感じた響子は絶叫した。

「いやあああっっ……で、出てるっ……中で出てるぅっ……やあ、抜いてぇぇっ……あああ
ああ……」

美しい人妻の苦悶する様を見ながら、百瀬は響子の腰をがっしり掴んで離さず、腰をなるべく
奥深くまで送った状態で射精した。
狭い尿道を押し合いへし合いして噴き出された精子どもは、広い響子の胎内に撒き散らされる。
まるで鉄砲水のように膣の中に噴出し、子宮口周辺を白濁で汚していった。

百瀬は、腰から足の裏まで痺れるような心地よさを感じながら、存分に精を放った。
射精の発作がなくなるまで腰を押しつけ、どんなに響子が藻掻いても離さなかった。
肉棒が射精の発作で痙攣し、びゅくびゅくと精液を発射すると、それを受けて響子の膣も収縮
する。
まるで百瀬の射精を促し、サポートしているかのような動きだ。
膣襞の蠢きにさらなる快感を得て、百瀬は最後の一滴まで響子の中に注ぎ込んだ。

「あう」

ようやく射精が終わり、百瀬が半勃ち状態のペニスを引き抜くと、響子はぶるるっと震えて
呻いた。
膣の中に感じた熱い精液の感触と、太いものが抜けてしまった物足りなさのせいだった。

抜かれた膣口は、その激しいセックスと太い肉棒のせいか、完全に閉まりきっていない。
僅かに開いた口から、今注いだ百瀬の汚液がコポコポと逆流していた。
腿がぶるっと震える。
媚肉も割れ目が広がり、貝か何かのように蠢いていた。
絶頂の余韻である。
ヤクザは人妻の頬を軽く叩いて言った。

「どうだ奥さん、満足したかい」
「ひどい……」

響子は顔を逸らして泣いた。

「中はやめてって言ったのに……あ、あんなに出すなんて、ひどい……ああ……」
「ひどいってことはないだろう。奥さんだってよかっただろうが」
「に、妊娠したら……赤ちゃんが出来たらどうすればいいの……」
「孕んだら生めばいいさ。何なら認知してやろうか?」
「ひどいこと言わないで……」

響子の言葉に力がなかった。
散々犯され、感じさせられ、気をやらされた上に、膣内に大量の精液を浴びてしまった。
それだけでも裕作に合わせる顔がないのに、本当に妊娠してしまったら何と言えばいいの
だろう。
すすり泣く響子を冷たく見下ろし、百瀬がまたのしかかってきた。

「な、なにを……」
「なにをってことがあるか。二回戦だよ」
「な……も、もう終わったのに……」
「誰が一回で終わるって言ったよ。俺が満足するまでとことんやるぜ、奥さんもつき合って
もらう」
「そんな、いやあっ……」

気をやって力の入らない女体を裏返し、その腰を持ち上げて四つん這いにさせた。
とはいっても、腕は背中で縛られているから、両ひざと顎の三点支点である。
百瀬は、いやがってぷりぷり動く人妻の尻をぴしゃりと一発ひっぱたくと、その腰を抱えて、
バックから媚肉を重く深く貫いた。

────────

結局、百瀬は夕方近くまで響子を嬲り続けた。
その気になれば一晩中でも凌辱し続けただろうが、アパートの住人たちが帰宅してくる前に
引き上げたのである。

百瀬のクルマが一刻館を離れて10分もしないうちに、朱美は再び管理人室を訪れた。
心身ともにくたくたになり、弛緩し切った響子がようやく着衣を身に着け終わったところ
だった。
コンコンとドアが叩かれ、響子はビクリとして扉を開けずに返事をした。

「……はい」
「管理人さんいる? 朱美ですけど」
「あ、はい」

響子はトレーナーの裾を引きおろしながらドアを開けた。
朱美は意味深な目つきで響子を見ながら言った。

「お家賃。遅れてごめんなさいね」
「あ、いいえ。はい、確かに」

美貌の管理人は、縛られた跡が赤くなっている手首を隠すようにして、朱美から白い封筒を
受け取った。

響子より2歳ほど年上のホステスは、寝ていたのだろうか、ぼさぼさでまとまっていない
赤い髪に手を突っ込んで、ガリガリと頭を掻いている。
着ているピンクのネグリジェはスケスケで太股以下の下半身は剥き出し、ほぼ半裸と言っても
差し支えない。
裕作なども、初めて一刻館に来たときはえらく驚いたものだが、当の朱美はまったく気にして
いない。
だらしない格好だが、これが普段の彼女の定番スタイルなのだ。
つまり、部屋──一刻館では寝るだけだということなのだろう。
一の瀬や四谷たちと部屋で宴会をすることもあるが、その時もこの格好である。
確か「茶々丸」は午後6時から営業開始だったから、まだ時間があるのだろう。

まだ百瀬に犯された衝撃から抜け切れない響子は、早々に会話を打ち切ろうとしたが、朱美は
まだ何か言いたげだった。
昼間、百瀬に犯されている真っ最中に訪ねて来た時、異変に気づいたのではないだろうか。
そしてそのことを確認しようとしているのかも知れない。
案の定、朱美はズバリ核心を突いてきた。

「……あたしさあ、昼間もここに来たんだけど、気がつかなかった?」
「……」
「ドアの外から声掛けたんだけど。それともどこか出かけてた?」

「ええ、お買い物に行ってました」とか、「ごめんなさい、お昼寝してたみたいでわかりま
せんでした」とか、響子の脳裏にはいくつかの言い訳が浮かんでは消えた。
嘘も方便、そう言っておけばいい。
よしんば朱美が何か感づいていたとしても、そこは腹芸で、響子が喋りたくないことはわか
ってくれるのではないか。
そう考えもしたのだが、それより先に朱美が先制した。

「実はさ、覗いちゃったんだよね」
「え……?」
「ドアの鍵穴から」
「……!!」

響子は、自分の顔から血の気がさあっと引いていく音が聞こえたような気がした。
手や膝が細かく震えている。
それに気づいたのかどうなのか、朱美が続ける。

「悪気があったわけじゃないのよ。呼んでも返事はなかったけど、でも中で人の気配はした
から」

その頃、室内では嫌がる響子を百瀬が犯していたのだ。
いや、もう百瀬の性技に溺れて、官能に打ち震えていただろうか。
いずれにせよ、決して他人に見られてはならない場面だ。
朱美は少し言い訳でもするかのように言う。

「返事はないけど誰かいるみたいだったし。それに、中から苦しそうな呻き声みたいのまで
聞こえてくるじゃない」
「……」
「それで、もしかしたら空き巣か何かかも知れないって思ったのよ。だったらヤバイからね」

確かに、響子とて朱美と同じ立場だったら、そう思うだろう。
訪ねた知人宅から怪しげな声が聞こえ、それでいて呼んでも返事がないとなれば誰だって
異変と判断する。
すわ泥棒か強盗か、ということになる。

「開けようと思ったけど鍵かかってたし。それに、もし本当に強盗で管理人さんが人質に
でも取られてたらまずいじゃない。だから取り合えず中の様子を見てみようと思って」
「……」
「よく見えたわけじゃないのよ。小さな鍵穴だしね。でも……」
「……」

そこで朱美は、少し声のトーンを落として言った。

「……管理人さんが裸に近い格好でいたのはわかったわ」

やはりバレていたのだ。
響子は身体の震えが止まらなかった。
そこで朱美は視線を外した。

「やっぱり強盗だ、とも思ったのよ。それで管理人さんが襲われてるんだ、と」

そう思ってくれた方がいい。
それなら、例え響子が凌辱されていたとしても、野良犬に噛み付かれたようなものだと思っ
てくれる。

「でもさ、それって変じゃない?」
「なにが……ですか」

蚊の鳴くような小さな声で響子は聞いた。
語尾が情けないほどに震えている。

「だって、もしそういうのに襲われてたんなら、悲鳴でも何でも出して助けを求めるのが
普通でしょ?」
「……」
「でも、それはなかった。それどころかあたしがドアの外にいるのがわかってるはずなの
に、返事もない」
「……」
「だから、ああ、もしかしたら包丁とかで脅されてるのかな、とも思ったんだけど、それも
違うわね」
「……」
「万が一そうならさ、強盗がいなくなった今なら、あたしたちに助けを求めるなり警察に
通報するなり出来るじゃない。でも、それもしてない」

したくとも出来ないのだ。
そんなことをしたら、百瀬との関係を問い質される。
響子が被害者なのは確かだが、洗いざらい話さなければならなくなる。

「で、思ったのよ」

いつの間にか、朱美は室内に入っていた。
といっても入り口にいるだけで部屋には上がっていない。
ドアは後ろ手で閉めていた。
朱美なりに、廊下で交わす話ではないと思ったのだろう。

「……抱かれてたんでしょ?」
「何の……ことですか」

響子の口はそう言った。
彼女がそう言おうと思ったわけではなかった。
勝手に口が動いている。

「惚けなくてもいいわ。別にみんなや五代君に告げ口してやろうって思ってるわけじゃない
から」

朱美がそう言った。
すべて知っているのだと宣告しているかのようだった。

「あたしはね」

ホステスはそう言ってタバコに火を点けた。
響子は無意識に、来客用の灰皿を下駄箱の上に置く。
裕作も響子も喫煙の習慣はないが、お客用には用意してあるのだ。

「ありがと。あたしは別に主婦の浮気が悪いことだとは思ってないんだ。ううん、主婦に
限らない。男の浮気は甲斐性で、女のそれは罪悪だなんて、そんな男の自分勝手は認めな
いわ。だから、納得の上でのことならかまわないと思ってる」
「……」

朱美と響子は立ったまま対峙していた。
響子は「部屋に上がってくれ」とは言わなかったし、朱美もまたそれを望みはしなかった。

「かく言うあたしだって、「結婚してるのに浮気なんて……」とか偉そうなこと言えない
もの。適当に遊んできたし、それは……今でもね」

茶々丸のマスターと付き合っている今でも、つまみ食い程度のことはしているという意味な
のだろう。

「でもね、それは納得ずくなんだ」
「納得ずく……」
「そう。何か言い訳みたいでこっ恥ずかしいけどさ、マスターもある程度はわかってくれて
るわけ。あたしがそういう女だってことを」
「……」
「それを承知で付き合ってるってことね。まあ、だから何をしてもいいっていうのは本当に
ただの言い訳だけど。でもさ、管理人さんのとこは別じゃない」
「別……?」
「うん。だってそうでしょ、五代君そういうタイプじゃないもの」

朱美は言いながら紫煙を吐いた。
タバコの灰を器用に灰皿の縁で削り取る。

「あんただってそうだったじゃないの。昔は「男なんか興味ありません」って顔しててさ」

実際、あまり興味はなかったのだ。

「五代君は男だし、まあ結婚前はいろいろあったのかも知れないけど、その原因の半分は
あんただしね」

響子に好意を示した後も、裕作にいろいろな誘惑はあり、ややもするとそれにはまりそうに
なったこともある。
だがそれも、響子が裕作や三鷹の思いに対し、何らはっきりとした回答を出さなかったこと
が要因である。
事実、三鷹は待ち切れず、勘違いの結果ではあるが、別の女性と結婚している。

「だからさ」

と、朱美は言った。

「あんたも五代君も納得ずく……ってこともないけど、お互いに浮気のひとつくらい、どう
ってことはないって思うタイプならいいのよ。けど、五代君は自分でも浮気する度胸なんか
ないだろうし、あんたに対しても浮気する女だなんて、これっぽっちも思ってないでしょ?」

その通りだろう。

「管理人さんだって、五代君が浮気したら許さないって感じじゃない。けっこう独占欲が強い
っていうか、嫉妬深いとこあるし」

否定できなかった。

「そういうふたりのうち、片方が浮気に走るってのはどうかと思うのよね」
「……」

すっかり黙ってしまった響子を見て、何だか苛めているような気がしてきた朱美は、少し口調
を和らげて言った。

「まあ、あんただって女なんだし、いい男を見たらそういう気になるのはわかるけどね。
それにあんたを見てモーションかけてくるやつらだってけっこういるだろうし」
「……」
「あたしがとやかく言うことじゃないけどさ、五代君や春香ちゃんを泣かせるようなことは
やめなよね」

段々と気まずくなってきたのか、朱美はタバコを揉み消すと、「それじゃ」と言って管理人
室を後にした。

残された響子は、押し潰されそうな重圧に息苦しささえ感じていた。
朱美に言われたことが堪えている。
確かに夫は、まさか響子が他の男に肌を許しているなどとは、夢にも思っていないだろう。
ただ、朱美の言っていたことと異なるのは、響子は「抱かれていた」のではなく、「犯され
ていた」という点だ。

しかし、抗い切れず、助けも呼ばず、結局は百瀬の思うままにされたのだから、結果は同じだ。
しかも最後の方には、はっきりとした快感を得て、肉悦さえ感じていたのだ。
挙句、何度となく気をやらされた。
これで「凌辱された」、「ムリヤリ犯された」と言えるのだろうか。

響子を苦悩の渦に沈めたもうひとつの要因は、朱美に知られたことである。
あの様子なら、朱美は他の住人たちに言い触らすことはないだろうが、いつどこで他に話が
洩れるかわかったものではない。
響子にとっては時限爆弾を抱えたようなものである。
響子は、底なし沼にはまりこんだ小鹿のような絶望感に囚われ始めていた。




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