「あっ……」
部屋に戻るなり、頼広は響子を後ろから抱きしめた。
慌てた響子が振り向く間もなく、男の手がその乳房をブラジャーの上から握りしめている。
「ちょっ……、た、鷹小路さんっ」
「響子……、欲しくなった。いいだろ?」
「こ、こんな時にそんな……、あっ……」
「頼む。この部屋で最後のセックスになるんだ。だから……」
「でも……、あ……」
むっちりとした肉づきの良い太腿を、頼広の手が滑るように愛撫する。
響子はギクンと背中を反らせた。
「やめて、あっ……、こ、こんな時に……あ……」
男の指が、そっと響子の股間を這う。
ショーツのクロッチ部分を上から下へ、その逆へと、なぞるように蠢いている。
響子の神経がショーツに集められていると、頼広は無防備になった胸からブラジャーをむしり取った。
ブラのホックはあっさりと壊れ、小さな布きれに押さえ込まれていた豊満な乳房がぶるんっと姿を現す。
「やっ! だめ、鷹小路さん、だめ……」
「だめなのか?」
「……」
答えられず、響子は黙ったまま頼広の腕を必死に押さえ込んでいる。
どうせこのまま抗っても、結局は犯されてしまうのだ。
なのになぜ自分は無駄な抵抗をしているのだろう、と響子は思った。
もうこの男に抱かれても、以前ほどの嫌悪感はない。
そして、犯されるのが防げない状況であれば、受け入れてしまった方が楽だし早いのだ。
なのに、なぜか響子は抗ってしまう。
その結果、より官能的な興奮が高まってしまい、早くも下着が濡れ始めている。
指先でその湿り気を確認した頼広が、意地悪そうに耳元で言った。
「……なんだ、もう濡れてるじゃないか」
「言わないで……」
「期待してたんじゃないのか、響子」
「ちっ、違いますっ。いやらしいこと言わないで!」
「いやらしいのは響子の身体だ」
「そんなこと、あっ……!」
頼広は、響子のボリューム満点の乳房をゆっくりと揉みしだき始めた。
大きな白い肉塊に、頼広の節くれ立った指がめり込み、完全に埋もれてしまっている。
柔らかいが適度な弾力のある胸肉は、響子の体温を男に伝えながら、弾むように揉み込まれた。
男の指によって淫らに形を変えさせられた乳房は、もう乳首を反応させている。
力強く指が食い込むと、快感とともに頼広のたくましさを感じてしまう。
何かの拍子に、尖り始めた乳首に指が触れれば、つい甘い声を漏らしてしまう。
次第に、頼広の腕を掴んだ響子の手から力が抜け始めた。
「ああ……」
「相変わらず良いおっぱいだ。素晴らしい揉み心地だぜ」
「そ、そんなこと言わないで……あ、あ……んんっ……くっ……」
盛り上がってきた乳輪を指でなぞって喘がせてから、乳首をきゅっと捻り上げると、響子はクッと顎を上げて、懸命に声を抑えてもがく。
「あ、あ……、わかりました……あっ……」
「何がわかったんだ?」
「い、言うことを聞きます……あっ……だ、抱かれますから、離して……」
「抱かれるなら離すことはないだろう」
「で、でも、あっ……こ、このままじゃ、ああっ……し、下着が汚れて……はあっ……」
「そうか、感じすぎてパンティまで濡れちゃうってか」
「そ、そういうこと言わないで……ああ……」
ついさっきまで、大男の頼広と渡り合うくらいの気丈さを見せてきた響子が、途端に女らしくなってしまった。
そのギャップも、響子の魅力のひとつだ。
甲斐甲斐しく世話をし、気丈さを見せる日常とは裏腹に、夜の生活となると羞じらいを見せ、それでいて鋭敏そのものの肉体を持っている。
男としたら、理想に近い女性だろう。
まさに「昼は天使、夜は娼婦」となる素養を持った女なのだった。
「だが、そんなことは気にしないでいい。どっちみち、ブラジャーはもう破っちまった。パンティだって、ほら」
「きゃっ……!」
頼広はショーツの裾に手を掛けると、一気に引き剥がすように手を引いた。
薄っぺらい布きれは実に簡単に引き千切れ、頼広はそれを部屋の隅に放った。
「替えの下着なんぞいくらでもある。気にするな」
「あ、でも……」
「もう、いい。抱かれるんだろ?」
「あっ……」
響子は転がされた。
その上に頼広がのしかかり、ひしっと抱きしめられた。
「……」
響子は、全身で彼の体温を感じ取っていた。
そして、乳房を潰さんばかりに押しつけてくる分厚い胸板に、男のたくましさを実感している。
背中に回った腕が、骨が折れるほどにでぎゅっと抱きしめてくる。
男の体温と筋肉、そして匂いが、響子の女性ホルモンと官能をいたく刺激し、その膣の奥がカッと熱く、そしてじゅんっと潤ってくるのを感じた。
「んうっ……!」
突如、乳首を強く吸われ、響子は首を仰け反らせた。
男は唇で軽く乳首を挟むと、舌でその硬くなった乳頭をコロコロと転がす。
そうして響子を喘がせてから、舌先でグッと乳房へ押し込んだ。
「んあっ!」
「感じるか?」
「しっ、知らない……あっ……」
「本当におまえはここが弱いな。もっとしてやろうか」
「やっ、だめ……ああっ!」
頼広は大きく口を開けて、乳輪ごと乳房を思い切り吸い上げ、吸引された乳首を舌で嬲った。
強く何度も吸い立てると、響子はびくっと大きく震え、震えるような声を上げている。
ちゅぱっと口を離すと、吸われていた乳首が乳輪ごとグッと盛り上がっていた。
乳房と乳首からすっと愛撫が離れ、響子は快感に酔ったぼんやりとした表情で頼広を見ている。
「……?」
「もっとして欲しかったか?」
「あ……」
「またしてやるから、今度はあんたがしてくれ。次は俺が愉しむ番だ」
「な、何を……あっ……」
頼広はズボンを脱ぎ、シャツを脱いで裸になると、躊躇なくトランクスも脱ぎ去った。
そしてたくましく勃起した男根を掴んで、響子を見せつける。
「やっ……!」
響子は思わず顔を背ける。
「そんな……、そんなの見せないで」
「何を今さら。見なきゃ出来ないだろう」
「あ……」
頼広は響子の白い手を掴むと、強引に肉棒を握らせた。
柔らかい手のひらに包まれた男根は、さらにむくむくと膨らみ、硬く大きくなっていく。
響子はいかにも恥ずかしそうに顔を逸らせていたものの、頼広に言われておずおずとそれを見つめた。
(す、すごい……。あ、また大きくなった……。熱いし……、それに何て硬いのかしら……。こ、こんなものが私の中に入っていたなんて……すごい反り返ってる……)
響子はごくりを喉を鳴らした。
自然と唾液が溜まってしまうらしい。
響子は、言われるまでもなく、ゆっくりと手でしごき始めていた。
もうカウパーがとぷとぷと溢れ出しており、響子の手を透明な粘液で汚している。
しゅっ、しゅっと前後にしごき、時々、細い指先でカリの部分を刺激する。
いずれも頼広に教わったことだった。
惣一郎との行為では、こんなことは数えるほどしかなかった。
その大きさとたくましさに響子が目を見張っているうちに、頼広のそこは限界まで勃起していた。
「……よし、手はそのくらいでいい。次はどうすればいいか、わかるな?」
「はい……」
響子は、仁王立ちになった頼広の前でちょこんと正座した。
目の前に、太い肉棒がびくびくと疼くように痙攣している。
響子は、手でそれを擦っていたが、目を堅くつむり、顔を背けていた。
しかし男に促されると小さく頷き、小さな口を開けて、いきり立ったペニスを咥内に飲み込んでいく。
「ん……、ん、んちゅっ……んっ、はあ……うんっ……んっ……ん、じゅっ……じゅじゅっ……」
響子は恥ずかしそうにゆっくりと、しかし懸命に奉仕して見せた。
豊かな黒髪を湛えた頭を前後に揺らしながら、頼広のペニスに舌を絡め、唾液を塗りたくっていく。
初めはまだ羞恥や戸惑いが勝っていたようだが、根が真面目な響子らしく、そのうち熱心にしゃぶるようになっていった。
「ん、ん、んんっ……んむ……むううっ……んぶ、じゅっ……んっ、ちゅっ……んっ、じゅ……はあっ……あんむ……あむ……」
まだフェラしながら鼻で呼吸するコツがわかっていないようで、息継ぎで時々口を離すのが初々しく、またいじらしかった。
身体は成熟した肉感的なスタイルなのに、性的にはまだまだ未熟なそれらの仕草が、また一層に頼広の獣欲と愛情をそそる。
技巧的にはまだ幼いが、それでも恋い焦がれていた女にそこまで奉仕されて、頼広の興奮も高まっていく。
ややもすると、つい射精してしまいそうになり、今では下腹に力を入れて踏ん張り、「そう簡単には出さないぞ」とばかりに意地を張っていた。
「んっ、んんっ……ぐううっ」
「!」
頼広はその感触に驚愕した。
響子は、ペニスを喉の奥まで飲み込んでくれたのだ。
以前、頼広がそれをやった時、響子は驚いたように口を離し、込み上げる吐き気で盛んに嘔吐き上げていたものだ。
以来、頼広は響子が口唇愛撫に馴れてくるまではそこまで求めなかったのだが、響子の方は頼広が喉奥まで犯すのが好きだということを薄々わかっていたらしい。
無理をして飲み込んだ響子の顔が苦悶に歪み、目の縁に涙が滲んでいる。
亀頭が、喉奥の粘膜に絡まれ、また締めつけられ、頼広はその快感に思わず響子の髪に指を突っ込み、頭を掴んだ。
「んん〜〜っ、んう……んん〜〜っ、うん……」
今度はゆっくりと抜き差しを始めている。
飲み込む時は喉の奥まで入れ、引き抜きながら舌でサオを舐めていく。
カリ首が唇に引っかかるまで引き抜くと、唇と舌でカリをこりこりとこそぐように責めていく。
すべて頼広に教わった男の快感ポイントだった。
「っ……んぐ……ぐううっ……!」
響子の顔が顰められ、苦しそうに喉が鳴っている。
調子に乗って喉奥を突いてしまったからかと思い、頼広は腰の力を緩めた。
「大丈夫か? もうやめるか?」
「んん……」
響子は「大丈夫」というように小さく頷き、「やめるか」の問いには、僅かに首を左右に振って答えた。
喉奥を突かれて苦しいというのもあったのだが、実際には唾液が喉に絡んだのである。
フェラしているうちに溜まってきた唾液を飲む余裕もなかったのだ。
同時に、男根から出てくる濃いカウパーも喉粘膜を刺激しているらしい。
響子は苦しげに呻き、唇の端から唾液とカウパーのミックスを垂らしながらも、口を離そうとはしなかった。
ペニスを半分ほど口から出し、ようやく溜まった唾液と男の体液を飲み込んだ。
白い喉がコクッと動く様が何とも色っぽかった。
それが終わると、また熱心にフェラを再開する。
「んん……んふ……ぷあっ……じゅっ……んんむ……んじゅっ……ちゅぶ……んぶっ」
口と舌を休めるためか、時々、ペニスを浅くすることがある。
しかしその間も、手と指でサオをしごくことは忘れない。
片時も肉棒を放って置くことはなかった。
響子の舌がとうとう頼広の急所を突いた。
舌先を尖らせた響子は、亀頭の先をぐりぐりと抉っていったのだ。
唇でカリを挟んで締めつけながら、舌先で尿道口を突いていく。
「おっ……、あっ……」
思わず頼広は響子の頭を持って引き離そうとしたものの、逆に響子の両手が男の腰を抱え持っていて離れない。
我慢しきれなくなった頼広は、響子の頭を押さえつけると、自ら腰を使い、たちまち暴発しそうになる。
「くっ……、きょ、響子! 出るぞ!」
「んんっ」
小さく頷いた響子を見て、頼広の肉棒がぐぐっとさらに太くなる。
亀頭がびくびくと震え、今にも射精しそうになった。
「くっ、口に出させてくれ! 飲んでくれ! いいな、飲むんだ、響子!」
「んっ……!」
その要求に、一瞬びっくりした響子だったが、もう間に合わないと覚悟したのか、それともそうされると予感していたのか、すぐに頷いた。
その目がきゅっと堅く閉じられる。
「うおっ……、で、出るっ!」
「んんんっ!?」
咥内がいっぱいになったかと思うほどに亀頭が膨らむと、爆発したかのように射精が始まった。
びゅるるうっ、びゅるっ。
びゅくくっ、びゅるるっ。
びゅるんっ。
「ん〜〜〜〜〜っっ……!」
その精液の勢いと猛烈な生臭さで、響子は頭の中が白く灼けた。
くらくらするほどの男性ホルモンを受け、響子の女性ホルモンが激しく反応した。
響子は躊躇うことなく、言われた通りに精液を飲み下した。
「んんっ……んっ……んくっ……んくっ……ごくっ……んんっ……」
びゅるっと射精の発作があるたびに、連動するように響子の喉もごくっと鳴っていく。
白い喉が上下して、濃い精液を嚥下していく。
それでも、精液を口にするのは初めてだけあって、響子は途中でペニスを吐き出してしまう。
それ以前に、頼広の射精量が多すぎたということもあるだろう。
響子は、喉に絡む精液の感触に苦しみ、首を押さえて噎せ返り、軽く咳き込んでいる。
「んっ……こほっ……こほっ……んん……」
口を押さえた手の隙間から、飲みきれなかった精液がどろりと垂れ落ちてくる。
あまりに苦しそうに見えたのか、頼広が心配して響子の背中をさすっている。
その響子は涙ぐんでいた。
「大丈夫か? 済まなかったな、無理をさせて……」
「だ、大丈夫、です……こほっ……は、初めてだったから……。そ、それに、量が多くて……、すごく濃くて飲みにくかったです……こほっ……」
立ったまま頼広は、座っている響子の頭を抱えて言った。
「でも……、嬉しかったぜ。本当に飲んでくれるとはな」
「……」
響子の顔が少し赤くなった。
「男の人って……、こ、こういうの、好きなんですか……?」
「まあな。セックスでもそうだが、女の身体の中に出したいって思うもんなんだ。本能的なものかな。でも、マンコだけじゃなく、尻や口でも、やっぱり
中に出したいと思うんだよ。不思議なもんだな、尻や口じゃ子供は出来ないから、出しても無駄なのに。やっぱり本能なのかな」
「へ、変なこと言わないでください、恥ずかしい……」
媚肉や肛門を犯された時のことを思い出したのか、響子の顔がたちまち真っ赤になった。
その表情が頼広の欲望をまた刺激する。
出したばかりのペニスが、また少しずつ大きくなっていった。響子が慌てて視線を逸らす。
「やっ……」
「どうした?」
「鷹小路さんのが、その……、ま、また大きくなって……」
「俺は一回くらいじゃ終わらないよ。知ってるだろ?」
「し、知りませんっ……あっ」
「いいな?」
「あ……」
響子は押し倒されたが、抵抗はまったくしなかった。
しても無駄だと覚ったような振りをしていたが、実は響子自身、このままでは終わりそうになったのだ。
それはそうで、鷹小路は一度出しているものの、響子はまだなのだ。
散々愛撫され濡れさせられて、フェラさせられたものの、セックスはしていない。
しかもさっきのフェラでたっぷりと男性ホルモンを受け止めてしまい、響子の中の官能はブスブスと燻ったままだ。
このままでは不完全燃焼でもやもやしてしまうに違いない。
はしたないと思いつつも、響子の脳裏から、さっきまで口にしていた頼広のたくましいペニスのことが離れなくなっていた。
そのまま事に至ろうとする頼広を響子が止めた。
「待って」
「なんだ、今さら。しないのか?」
「そ、そうじゃなくて……、あの、避妊を……」
「……」
コンドームがまだである。
するなら避妊して欲しい、と言っているのだ。
しかし、いつもは素直にコンドームしてくれる頼広は首を横に振った。
「どうして……」
「ナマでしたい。だめか?」
「だ、だめです、そんな……。もし……、もし出来てしまったら……」
それもいい、というより、頼広は是非そうなって欲しいと思うのだが、今の響子にそこまで求めるのは酷だろう。
頼広はペニスをしごくながら言った。
「大丈夫だ。いく前に抜くから」
「え……」
つまり、射精の前に響子の膣から引き抜き、外で出すということだろう。
そういう話は聞いたことがあったし、そういうものかと響子も思っていた。
女である響子に男性生理などわからないからそう思うのも無理はないが、実際にはそんなAV男優みたいな真似は誰にでも出来るものではない。
それに、そんなことをしても実質的には避妊に対してほとんど効果はない、というような話も響子は聞いている。
いわゆる先走り汁の中にも、実際には微量の精子が混じっているし、男性の興奮が極に達してしまえば、その中に精液が混じることも珍しくはない。
それに、いざその時になってしまうと、口ではそう言ったものの、あまりの快感に抜くことが出来ず、そのまま射精というオチはそこら中にあった。
だから響子は、出来ることならコンドームをして欲しかったが、なぜかこの時はそのまま頼広の言を聞き入れてしまった。
なぜそんなことしたのか、響子にはよくわかっていない。響子はコクンと首を縦に振った。
「わかりました……。でも……」
「わかってる。気をつけるから」
「はい……」
頼広は、仰向けに寝かせた響子の両脚の間に入り込む。
覆い被さるようにして響子の顔の横に手を突くと、頼広は手を添えたペニスを媚肉にあてがい、そのまま挿入した。
ピクンっと、響子の裸身が小さく跳ねる。
「んっ……はああっ……は、入って……くるっ……あっ」
肉棒にはまだ精液の残滓がこびりついていたし、愛液で充分に濡れていた膣は容易にそれを飲み込んでいく。
それでも、さすがに太いので、その圧迫感に響子は息が詰まる思いとなる。
毎度のことながら、このきつさには圧倒されてしまう。
「んんっ……くっ……お、大きいっ……はあっ……」
熱く潤った媚肉内部を長大な肉棒が引き裂くように割り開いていく。
そこに膣粘膜がぬめぬめとまとわりつき、頼広に響子の熱と柔らかさを伝えていた。
「ん、ん……はううっ……」
コツンと最奥を亀頭で突かれ、響子はグッと喉を反らせた。
まだ頼広のものは全部入りきっておらず、5センチほどはみ出しているが、ここで無理に押し込んで苦痛なだけだ。
響子の方はこの時点で、もう膣内すべてを頼広に占領されており、膣いっぱいに押し込まれた男根の凄さに呻くだけだった。
頼広は、響子のそこをさらにほぐすようにして、ゆっくりと抜き差しししていく。
タイミングを計って腰を回転させて、円を描くような動きも混ぜ合わせ、響子にあえやかな喘ぎを上げさせていく。
「んん……はあ……あっ……あ……ああ……」
喘ぎながらも、ちらちらと自分を見てくる視線を感じ、頼広が尋ねた。
「どうした?」
「い、いいえ……あっ……な、何だか……ああっ……い、いつもと、その……あっ……ち、違うかなって……あっ……」
「そうか?」
「い、いつもはもっと、その……は、激しくしてくるのに……あっ……」
「激しいのがいいのか?」
「そ、そういうことじゃないです……あっ……」
にちゅにちゅと媚肉から恥ずかしい音をさせながら、響子は切なそうな表情を浮かべている。
物足りないというか、焦れったいのかも知れない。
それまでは、頼広の欲望の赴くままに、ガンガンと強く深く突かれるばかりだったのに、突然どうしたんだろうと思ったのだ。
加えて、激しい責めばかり受けるうちに、徐々に響子の肉体がそうしたセックスに馴れ、感応するようになっていたこともある。
「昨日、あのバカ野郎どもにやられたばかりだからな。あんまり激しくすると、あんたの身体に負担がかかるかと思ってな」
「……」
また響子の心が千々と乱れていく。
(どうして……、どうしてそんな優しいこと言うの? この人、本当に私を愛しているのかも知れない……。ああ、だめ、そんなこといけないのに……私……)
肉体と精神にさざ波が立ち始め、響子の官能と心を打ち振るわせていく。
この男は、惣一郎や裕作などとはまるで違う。
自分勝手で乱暴で、惣一郎や裕作が持ち合わせていたデリケートさや優しさとは無縁だ。
しかし表現が違うだけで、この男なりの優しさはあるのかも知れない。
裕作や惣一郎のことを思うと、どうしても頼広のことも想像してしまい、比べてしまっている。
響子の心の乱れも知らずに、男はこう言った。
「響子……、本当に好きなんだ」
「っ……!」
「愛してる」
「ああっ……」
愛の言葉を囁かれ、響子の肉体は完全にスイッチが入ってしまった。
膣がきゅううっと絞まり始め、愛撫されて硬く尖っていた乳首もビリビリと電気が走るように痺れてくる。
子宮までもが反応し始め、カッと熱を持って胎内に蜜を多量に分泌してきていた。
ここの頼広は一転して、意地の悪い言葉で響子を責め立てる。
「響子のここも俺を愛してくれてるみたいだぞ。よく絞まるようになった」
「やっ……、い、いやらしいっ……」
「いやらしいのは響子のマンコだ。ほら、よく見てみろ」
「み、見たくありませんっ」
「見るんだ」
「あっ……」
頼広は片手で響子の頭をぐいっと持ち上げると、その顔と自分の股間を正対させた。
響子の目の前には、自分の膣へ深々と突き刺され、また引き抜かれていく頼広のペニスがあった。
(すごい……、あんな大きいのが入ってるんだ……ああ、なんて淫らなの……わ、私……私、もう犯されてるわけじゃない……この人とセックス
しちゃってるんだ……)
凝視している響子の前で、肉棒がずるるっと引き抜かれていく。
カリ首に膣が引っかかるあたりで止まると、響子の蜜にまみれたサオの長さが見て取れた。
それがまたぬぷぬぷっと深いところまで挿入され、周囲の襞や粘膜を巻き込んでいくのがわかる。
言葉だけでなく、視覚からも淫靡な責めを加えられ、響子は心ならずも官能的に興奮していってしまう。
「あ……ああ……」
いつしか響子の腰が、引き抜かれるペニスを追いかけるようにして持ち上がり、突かれると安心したように尻餅を突くようになっている。
頼広は響子の中をじっくり味わうように腰を動かしていたが、そのうちぐぐっと腰に力を込めて重い律動へ変えていく。
相変わらず円運動も取り混ぜながら、ストロークを大きく取り、太い静脈の浮いた肉棒が抉るように響子を犯していく。
「んっ、んあっ……いっ……あ……ふあっ……うんっ……ふ、深いっ……ああ……」
「いいのか?」
「っ……」
思わず頷きそうになった響子だが、何とか首を縦に振るのだけは堪えた。
もう、ここまで身体を許し合って、喘いだ姿を晒している状態で、何を今さらというところもあるが、響子にはまだ羞恥心が残っている。
これは彼女本来のものであり、恐らくは裕作とセックスをしても、そう簡単によがり声を放ったりはしないのだろう。
しばらくの間、ゆっくりと大きなストロークを加えていた頼広は、響子の足首を掴むと、ぐいっと大きく開脚させた。
「あっ、いや……」
「よく見えるだろう?」
「そんな……ああっ……」
大きく開かれてしまった股間の真ん中を、大きなものが深々と貫いているのがいやでも見えてしまう。
思わず両手で顔を隠そうとする響子の手を頼広が押さえてしまう。
「よく見るんだ、響子。俺と繋がっていることを実感しろ」
「ああっ……」
戸惑う響子に、頼広は思い切り深くまで突き込んだ。
体重を乗せ、重みの加わった一撃に、響子は仰け反って喘ぐ。
「あくっ……ひっ、あっ、は、激しっ……ああ、そんな強く、だめですっ、いっ……ああっ……」
頼広は響子の両足首を持って大きく拡げたまま、グングンと腰を沈めていく。ドスン、ドスンと響子の腰へ叩きつけ、その腰骨を粉砕するかのような勢いだ。
抜けるぎりぎりまで引き抜いてから、重みをかけて最奥まで抉る。
あまりの深さに響子は喘ぎながらも脅えている。
「んはあっ、深いっ……だめ、そんな深くまでっ……」
「ここまで責められるのは初めてか、響子」
「は、初めてですっ、ああっ……そ、惣一郎さんが入って来なかったところまで、んんっ、来てるっ……はあっ、ふ、深いぃっ……」
「その深いのが、いいんだろ? この子宮の辺りが」
「やあっ、だめっ……んんっ、そこ、だめっ……あはあっ」
きゅんきゅんと絞まってくる響子の膣圧に逆らい、頼広のものもさらに膨張し、硬く太くなっていく。
こそぎあげ、抉り込んでくる男根に、響子の膣襞が必死になって絡みついてくる。
その激し過ぎる動きを少しでも宥めようとしているのか、それともさらに奥へといざなっているのかも知れなかった。
「くっ、だめっ! ああっ、し、痺れてくる……あああっ……」
響子は、膣から子宮にかけてビリビリと甘い電流が流れてくるのを感じている。
いきそうになっているらしい。
ペニスに突き上げられるたびに、響子は素直に反応し、ビクンビクンと裸身を痙攣させ、喘ぎ声を放っている。
「あ、そんな奥まで……うんっ……いっ……やはあっ……いっ……あ、ああっ……もうっ……あああっ、もうっ……」
「いいのか、響子。いくのか?」
そう言いながら、頼広は自分の肉欲の赴くままに、何度も何度も強く深く媚肉を貫いていく。
響子の裸身がガクガクと揺さぶられるほどに突き上げられている。
クンッと響子の顎が上がり、背中がぐうっと弓なりになる。
「やっ、だめ、もうっ……もうっ……!」
「くっ……、響子!」
「んっはあああっっっ……!!」
響子のしなやかな裸身が何度も跳ね、背中がぐうっと仰け反る。
腰が頼広の腰に押しつけられ、脚は頼広のふくらはぎに絡まった。
頼広の背中と腰に猛烈な射精感が襲いかかり、そのまま響子の子宮が持ち上がるほどに奥までペニスを突き通す。
強烈な収縮が膣全体に走り、その締めつけに頼広も大声で吠えて達した。
「おうっ!」
頼広は、そのまま出したいという気持ちを噛み殺し、響子との約束を守って肉棒を媚肉から引き抜いた。
そしてカリ首を指で押さえつつ、響子の顔の辺りまで移動して、そこで精液を放った。
「んんっ……!」
顔に熱い精液を浴び、響子は顔を顰めてその熱さと匂いに耐えた。
フェラで飲まされた時にも感じた猛烈な男の精臭に、頭がくらくらしてくる。
頼広の尿道口から、びゅるるっと勢いよく射精された精液が、響子の美しい顔を穢している。
まぶたにも眉間にも頬にも頼広の体液が浴びせかけられ、響子の顔にもこの男の匂いが染みついていく。
大量の子種を含んだ濃い粘液が、どろりと頬を伝い、シーツに垂れ落ちた。
流れるというよりも、熱した水溶き片栗のようなものが、固まってぼろっと落ちるような感じだ。
「響子」
「ん……」
射精し終えた、いやまだ射精の続いているペニスが顔につきつけられ、響子はそのままそれを口にした。
─────────────────
頼広が次の目標にしたのは井田だった。
井田と上坂の居所は簡単にわかった。相原の部屋を物色して手帳を発見し、そこに井田と上坂の住所および電話番号があったのだ。
ただ、埼玉近郊ではなく、東京の荒川区であった。
響子が都内へ戻れば、知人と出くわす可能性も高く、一刻館へ戻るよう頼広は何度も説得したのだが、響子が聞き入れなかった。
といって、ここに残らせるのはまずい。
恐らくはすぐにでも警察の手が入るだろう。
警察のことを考えれば、響子を同行させるのは避けたかったのだが、響子は頑として「着いていく」と言い張った。
理由は「自分が見ていなければ、頼広が何をするかわからない」ということらしかった。
自分のせいで流血沙汰になるのはイヤだったし、頼広にこれ以上の罪を犯させたくないという気持ちが強かった。
こと、これに関しては、いくら頼広が「信用しろ」と言っても響子は納得しなかった。
キレやすいこの男は、誰かが制御しなければ簡単に感情に支配されてしまう。
逆に響子の方は、頼広に「復讐などするな」と説得するのだが、頼広が強く拒否した。
こればかりは、いかに響子の頼みとは言え、聞けないというのだ。
男のメンツの問題であり、女には理解できぬかも知れないが、決して諦めることは出来ないと言う。
響子がついてくれば共犯者になりかねないと言っても、彼女は決して首を縦に振らなかった。
頼広には、響子がここまで頑固だったとは思いも寄らなかったのだが、裕作や一刻館の面々であれば「管理人さんらしい」と思ったことだろう。
両者の妥協点として、仕方なく頼広は響子を連れて復讐の旅に出ることになった。
復讐の旅路と言えば聞こえは良いが、司法からの逃亡でもあるのだ。
頼広は、万が一の場合は、何としても響子だけは庇わなければならないと決意していた。
もし警察が来れば、響子を人質にしていたと言うつもりだった。
響子はやむを得ずついてきただけで、自分の意志ではなかったと主張させるわけだ。
響子が納得してくれるとは思えなかったが、とりあえずそうするしかない。
ふたりは、西日暮里の駅からほど近いラブホテルに宿を取った。
別におかしな気持ちがあったわけではないが、ビジネスホテルよりも安上がりであり、男女のカップルが宿泊するのが当たり前だったからだ。
響子は多少躊躇したようだったが、それでも文句は言わなかった。
その気持ちの裏には「どこに泊まろうとも、頼広に抱かれることに変わりはない」という考えがあったのかも知れない。
「……ここで待っていてくれ」
取り敢えずの生活用品を詰めたリュックを下ろしながら頼広はそう言った。響子の方は大きなショッピングバッグを持っている。
こっちには響子の着替えが入っていた。
「わかりました……。でも……、ずっとこういうところに泊まるんでしょうか……」
「なぜだ? 何かまずいか?」
「いいえ……。でも、ホテルではお洗濯とか出来ませんし……、私も鷹小路さんも着替えはありますけど、洗濯物は出てしまいますから」
「……そうだな。だが、それはいい。あんたの着替えが底を突くまでには、すべて事を済ませるさ」
「そうですか……」
「食事だが、ひと仕事終わったら、帰りに何か買ってこよう。さすがにここじゃ料理は出来まい」
「そうですね……」
「ここで出前を取ることも出来るようだがな。何なら、どこかへ喰いに出かけるか?」
「……」
そう言ってから、頼広は軽く首を振った。
「それもまずいか。どこで誰が見てるかわからんしな。響子が俺と一緒に居るところを見られたら、都合が悪い」
「私は……」
「とにかく、なるべく早く帰ってくる。それまではゆっくりしていてくれ。あんたの好きな家事仕事は出来そうにないが、まあテレビでも見て、のんびり
風呂にでも入ったらどうだ? さっき覗いて見たが、俺の部屋と違って、ここのバスルームはかなり広いぞ。バスタブも脚を伸ばせるほどにでかかった。
ゆっくり入浴して疲れを取るんだな」
「はい……」
「じゃあ、行ってくる」
「あ……」
くるりと背を向けて部屋を出ようとした男を響子が止めた。
「ん?」
「あの……」
「わかってる。やつを半殺しにするとかぶん殴るとか、そういうことはしないさ。約束する。俺の約束なんて信じられないかも知れんが、響子との約束なら守るぜ」
頼広はそう言ってにやっと笑った。
男臭い笑みが眩しかった。
「じゃな」
「あ……、い、行ってらっしゃい……」
思わぬ言葉を掛けられ、頼広は驚いたように響子に振り向いた。
これから犯罪じみたことをしに行く男が「行ってらっしゃい」と言われるとは思わなかった。
響子も場違いだと思ったのか、少し俯いて頬を染めている。
頼広は笑顔で
「行ってくる」
と言って、部屋を出て行った。
─────────────────
井田は鼻歌を歌いながら、マンションの部屋に帰宅した。
今日は残業もなく、夕方の7時過ぎには帰って来られた。
上京したばかりの妹とふたり暮らしである。
今年、地元の高校を卒業し、東京の大学を受験して合格した井田朋子は、下宿のアパートを探すまでの期間だけ、という約束で、兄の井田と同居しているのだった。
井田の乱れた生活を心配していた両親は、朋子が一緒に住むということで安心していた。
田舎にいる時も、だらしない井田の世話をなにくれとなく焼いていたのが彼女だったからだ。
井田は「他の女と同棲するかも知れない」と、恋人の存在を匂わしてまで妹との同居に難色を示していたが、渋々同意した。
うるさく、お節介で疎ましい存在ではあるが、世話好きであり、井田の目付役としては最適だ。
井田も煙たがって見せたものの、実のところ恋人などいなかったし、同棲の予定もなかったから、その意味で困ることはなかった。
困るのは、井田の──というよりも、独身男性の独り部屋なのだから、
当然のように「その手」の雑誌やビデオなどがある、ということだ。
肉親だから、見られてどうこうということはなかったが、やはりそんなものを持っていると知られるのはバツが悪い。
おまけに妹──女性である。
男性の性欲などわからないだろうから、そんな破廉恥なものを隠し持っていたというだけで、軽蔑されかねない。
若干困ったことに、朋子はそれなりの美人だったから、身近で生活し、風呂も共用などということになれば、井田の方がおかしな気持ちになるかも知れなかった。
井田が上京して働き始め、顔を合わせたもの5年振りだったのだ。
まだ13歳の少女に過ぎなかった妹が、もうすっかり女性になっている。
気まずいような、照れくさいような気もする。
とは言うものの、やはり独り暮らしの味気なさに比べれば、部屋に待っている家族がいるというのは張り合いがあるものだ。
それが可愛い妹であれば、余計にそうだろう。
口では「うるさい女」と言いながらも、井田は少し嬉しかったのである。
鼻歌のひとつも出ようというものだ。
「ん?」
ドアにキーを差し込むと、どうもロックされていないようだった。
朋子は、目の前のコンビニに行くときでも鍵を掛けていくような娘だったから、こうしたことは珍しかった。
出かけて帰宅した後、施錠を忘れたのかも知れない。
しかし不用心ではある。
ここは東京なのだ。
この隙にいかがわしいやつが侵入しないとも限らない。
強盗でも変質者でも何でもごされ、だろう。
もし朋子が風呂にでも入っていてこの有様だったら一大事である。
これはひとつ、兄らしく説教の一つでもぶってやらねばと思った。
いつもは、小言を言われるのは決まって井田の方だったから、今度はやり返してやろうとほくそ笑んでいた。
「朋子−、帰ったぞ」
井田はドアを開けてそう言った。
後ろ手で器用にロックを掛けながら、首を伸ばして部屋の奥を見る。
「朋子! 不用心だぞ、おまえ。鍵が掛かってないじゃないか」
そう言いながら靴を脱いで上がり込んだが、妹がいない。
「朋子。風呂か?」
ガラリと浴室の引き戸を開けたが、使った様子もなかった。
では朋子の部屋か。
ドアが閉まっているが、人の気配はある。
中でテレビでも見ているなら、ますます不用心である。
井田はノックしながら呼んだ。
「朋子! いるのか?」
「っ……」
いる気配はするが、返事はない。
井田は首を傾げながらドアを開けた。
「朋子、入るぞ」
「っ……っ、……っ!」
「朋子っ……!」
井田は唖然とした。
朋子はベッドを背にして縛り上げられていたのだ。
後ろ手にされ、脚も膝と足首を縛られている。
口にはタオルで猿ぐつわまでされている。
下着姿であった。
そして驚いたことに、その隣でベッドに腰掛けてにやついていたのが頼広だったのだ。
「た、鷹小路……! きさまっ!」
「おっと、動くなって」
「!!」
頼広は、テレビのリモコンのようなものを持っていて、それを朋子の首に押しつけた。
朋子の猿ぐつわされた口から、くぐもった悲鳴が漏れる。
「きさま、妹に何をした!?」
井田の声が震えている。
最悪のケースが頭をよぎる。
この男がここへやってきたのは、間違いなく復讐だろう。
こいつの部屋で、飼っていたらしい人妻をこいつの前で散々レイプしてやった。
その仕返しに違いないと井田は思った。
意趣返しで、頼広は朋子を凌辱したのではないか、という疑惑が胸を黒く、そして熱く灼いた。
「きさまあっ!」
「動くな!」
「むひーーっ!」
井田が掴みかかろうとすると、頼広は朋子首に押しつけたリモコンを操作した。
直後、朋子の身体が大きく震え、そして硬直した。
わなわなと震え、声にならぬ悲鳴を上げている。
「やめろ!」
「だから近づくな。また妹が泣くことになるぜ」
「んひぃっっ……!」
「わ、わかった、だからよせ!」
「んううっ……」
リモコンが首から離れ、朋子はがっくりと首を垂れた。
「きさま……、何をしたんだ」
「どうってことはない。ただのスタンガンだよ、死にはせんさ」
「スタンガン……」
「そう。出力もそんなに強くしてない。だが、おまえがバカなことをすれば最強にしてやるぜ。その上で、そうだな、可愛い妹のおっぱいにでも押しつけてやるか」
「やめろ!」
「やめてやるから、おとなしくするんだな」
「く……」
井田は睨み殺さんばかりに睨みつけているが、頼広は冷笑してその視線を弾き返した。
そして、尻のポケットから手錠を取り出し、それを井田に放ってやった。
「自分で手錠しろ」
「なんだと?」
「出来なきゃ妹が泣き叫ぶことになる」
「くっ……、この卑怯者!」
「おまえに言われたくはないな。早くしな」
井田は悔しそうな表情を浮かべて、自分の手首に手錠を嵌めた。
「これもだ。そっちは足首にかけろ」
「……」
これも従うしかなく、井田は足首にも金属製の冷たい手錠を掛けていく。
それを見届けてから、やおら頼広は立ち上がった。
男が離れてホッとしたのか、朋子はくたりとベッドに身体を倒した。
「鷹小路、きさま、まさか妹にっ……!」
「なんだ? 何をしたと思ってる」
「し、白々しいことを言うな!」
「ああ、おまえがやったのと同じことを心配してるなら大丈夫だ」
「……」
「信じられないか? おい、お嬢ちゃん! 俺、あんたにまだ何もしてないよな?」
「……」
朋子はゆっくりと顔を上げ、コクンと小さく頷いた。
たたみ掛けるように兄の井田が叫ぶ。
「本当か、朋子!? この野蛮人に何もされてないんだな!」
「……」
もう一度朋子がコクンと首を縦に振ると、力が入っていた井田の肩がホッとしたように落ちた。
頼広はその様子を見ながら、今度は井田にスタンガンを押しつけた。
「わかったかね? じゃあ今度はおまえにこいつを食らわせてやる」
「や、やめっ、うああっ!」
うなじに押し当てられ、スイッチが押されると、首の後ろを棍棒で思い切りぶん殴られたようなショックを受け、井田は絶叫した。
髪が逆立ったかのような強烈な電気が、首から脳天と爪先まで突き抜けていく。
「もう一発」
「ぐおおっ!」
「もう一発かな」
「うぐうっ!」
「んん〜〜〜〜っ!」
朋子が「やめて!」とでも言うように、首を激しく振りたくりながら猿ぐつわの下で叫んでいる。
「おうおう、妹さんが心配してるぜ」
頼広はそう言いながら、半分失神している井田を拘束していく。
手首の手錠をいったん外してから、手を後ろに回させてそこで手錠し直した。
両手をつなぐチェーンに別のチェーンをつないで、足首の手錠につないだ。これで井田はエビぞりした格好になってしまう。
かなりきつい弓なりとなっており、呼吸するのも苦しそうだ。
井田は苦しい息の下から頼広に言った。
「もう、やめてくれ……」
「やめろ、だと? まだ始まったばかりだぜ」
「お、俺は構わん……。だが、妹は何の関係もない」
「そうだな。しかし、それを言ったら俺はどうなるんだ? 何の関係があっておまえは俺の女を……」
「言うな! それを妹の前で言うんじゃない」
頼広はにやにやしながら、再びベッドへ戻った。
そして芋虫のように転がされている井田を見ながら、朋子にささやきかける。
「あのな、お嬢ちゃん。あんた、なんでこんな目に遭うかわかるか?」
「……」
朋子は、心配げに兄を見ながら「わからない」というように、震えながら首を振る。
「だろうな。あの野郎は、あんたの前ではいいお兄ちゃんだったかも知れんがな、実はとんでもない悪党だったのさ」
「んんっ」
朋子は「ウソですっ」と叫んだが、声になっていない。
「ウソなら良かったんだがな。こいつは……」
「た、鷹小路、言うんじゃない! 朋子、こいつの言うことはすべてデタラメだ! 相手にするなっ。いいか、朋子……ぐうああっ」
またスタンガンの洗礼が来た。
今度は喉に電極を当てられ、目玉が飛び出るほどの衝撃が顔を襲った。
「少し静かにしてな、井田。おまえは俺が何か聞いた時にだけ答えればいいんだ」
「う、うるさ……うぐおっ!」
「物わかりが悪いな。わかるまでするぜ」
「ぐおおっ!」
さすがに最大電力で連続的に攻撃され、井田は憔悴したように小さく頷いた。
「それでいいんだ。な、あんた。朋子ちゃんて言うのか? 朋子ちゃんよ、あんたの兄ちゃんはな、俺の部屋へ押しかけてきて、俺の女をレイプしたんだよ」
「……!」
「それもこいつひとりじゃない。仲間を引き連れて輪姦したんだ。俺の目の前でな」
朋子は目を大きく見開いて兄を見ている。
井田はいたたまれなくなったのか、目を閉じて顔を反らした。
「ウソだと思うか? じゃ聞いてみるか。おい、井田! 本当だよな?」
「……」
「聞かれたら答えろって言ったろ?」
「うぐおっ!」
「正直に言わないとまた行くぜ。いいや、可愛い可愛い朋子ちゃんにも食らわせてやるか。最大電力でな」
「わ、わかった、やめろ!」
「なら言えよ。本当だよな?」
「……」
「言えないか。無理もないが、そっちがそうなら仕方ない」
「んんっ!」
頼広の手がブラのストラップに掛かり、そのまま無造作に朋子から剥ぎ取った。
「よ、よせ!」
「言うか?」
「わ、わかった……」
井田は唇を噛んで屈辱に耐えている。
「ほ……、本当、だ……」
「何をしたか具体的に言えよ、妹の前でな」
「……」
「またダンマリか。いいだろう」
「やめろ!」
「っっ!」
朋子が頼広の腕の中で激しく暴れる。
振りたくる顔から涙が飛び散った。
頼広は、朋子のパンティまで引き千切ったのだ。
「やめてくれ……!」
「……」
頼広が無言で促すと、井田はがっくりと頭を垂れて、聞き取りにくい声で悪事を認めた。
頼広の部屋を強襲し、中にいた女を友人たち三人で凌辱した。
その際、この男を叩きのめして、その前で女を犯した。
朋子は涙に濡れた顔で、呆然と兄を見ていた。
「信じられないって顔だな。だが本当だ。あんたの兄貴はとんだクズ野郎だったってわけだ。あんたの前では知らんがな」
「……」
「ということで、無関係なあんたには申し訳ないが、あんたには兄貴の不祥事の償いをしてもらうことになる」
「……! お、おい、鷹小路、おまえ、まさか……」
「その「まさか」だ。因果応報って言葉の意味、わかるよな?」
「よせ! 妹は何の関係もない!」
「バカなことをした報いだ。諦めな」
井田は激しく頼広を罵り、暴れたが、拘束された身体はもぞもぞと這い回ることくらいしか出来ない。
頼広の武骨な手が朋子の裸身を這い始めた。
響子とは対象的に、まだ発展途上の肉体は、乳房も膨らみもまだ頼りなげだ。
頼広は、乳首を強引に引っ張り出して朋子に悲鳴を上げさせ、それをくりくりと揉み込む。
兄の前で処女を奪われる。
その恐怖で快感どころではないらしく、朋子は激しくもがいたが、たくましい腕の中では虚しい抵抗だった。
何とかやめさせようと暴れ、もがき、大声で頼広を罵っていた井田も、どうにもならぬと諦めたのか、ぐったりとして顔を背けている。
その耳に、妹が処女と決別する悲痛な呻き声が聞こえていた。
井田は、頼広に対する怒りと妹への申し訳なさで身体を細かく痙攣させていたが、やがて放心状態となった。
しかし、幼い頃から側にいた愛らしい少女が、けだもののような男に無惨に犯されているのを見ていると、ズボンの下でむくむくと性器が勃起してくるのを感じていた。
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