さくらは、秋月が運転するカーキ色の軍用乗用車に乗り込み、問題の施設へ連れて行かれた。
クルマには2時間ほど乗っていただろうか。
黒い布で目隠しされていたので、地理的なことはさっぱりわからなかった。
時計もなかったから、時間も甚だ曖昧である。
目隠しを取り、クルマから降りてみると、そこは帝都とは思えないほどの広大な敷地が広がっ
ていた。
高い塀に囲まれただだっ広い土地の中に、ぽつんぽつんと建物が建っている。
歩いて10分ほどの、白い壁を持った施設に入った。
不思議なことに、衛兵や歩哨の類がひとりもいない。
本当に軍の施設なのだろうかという疑問を抱きつつ、さくらは秋月から離れないよう、彼の
後に付いていった。
地下二階に下りると、廊下の突き当たりに、大きな鉄製の扉があった。
そこを秋月が身体全体を使って押し開ける。
厚い扉の軋む音が、さくらの緊張をいやが上にも高めていく。
薄暗い通路を、さくらは秋月に手を引かれながら歩いた。
時々、ぎゅっと彼の手を握った。
秋月も、ちゃんと握り返してくれた。
それだけでさくらは、不安が少し晴れてくる。
そのさくらの足が止まった。
彼女の目が、大きな窓を凝視している。
窓から見えたその光景に、さくらは大きな目を見開き、声も出なかった。
そこには──藤枝かえでがいた。
三人の男に絡みつかれ、素っ裸で淫らな格好をしていた。
うつぶせにされ、身体の下と上に男がいた。
男にサンドイッチにされる女肉と成り果てていたのだ。
さらに、顔の前にも男が立ちふさがり、朱唇に太い男根をねじ込まれていた。
その隣の部屋にはマリア・タチバナがいた。
そこには男はいなかった。
しかし、代わりに奇妙で気色悪いものが彼女に取り付いていた。
芋虫ともナメクジとも言い難い生物が、マリアの臀部にくっついていたのである。
雁字搦めに縛られたマリアは抵抗も出来ず、熟れたヒップを魔物に捧げていた。
いや、緊縛されていたから抵抗出来なかったのではなかった。
彼女の目からは理性の色が消えかけていた。
魔物が蠢くと、条件反射的に腰をぶるっと振ったが、それはもう彼女の意志ではなさそうだ
った。
あまりの衝撃で失神しそうになり、さくらはふらふらと秋月の胸に倒れ込んでいった。
─────────────────
「さくらくん」
「は、はいっ……」
秋月は小声で話し掛けたのだが、さくらはかなり驚いてしまった。
今見せられたかえでやマリアの無惨な姿が瞼に残っているのだ。
まだ小刻みに肩が震えている。
怖いということもあるが、それ以上に信じられないと思っている。
それはそうだ。
仮にも帝国陸軍が管理している施設で、あのような非道なことが行われていたのだから。
怒りや憤りも、マリアたちを助けたいという気持ちももちろんあったが、理不尽で訳が分から
ない恐ろしさが彼女の心を蝕んでいた。
鷹に捕らえられた小鳥のように震えているさくらを見て、秋月は笑いを噛み殺した。
この清純そうな娘に、悪逆非道で淫ら極まる責めを加えることができるのだ。
その結果、さくらがどう反応するのか。
それを妄想するだけで股間が硬くなってくる。
信じていた男に裏切られ、嫌がり、抵抗しながらも、めいっぱい恥ずかしい目に遭わされる。
しまいには、男の責めに屈服して身悶えし、喘がされ、心ならずも気をやらされる。
大帝国劇場での、明るく朗らかなさくらからは想像もつかない姿を拝ませてくれることだろう。
秋月は、勃起してしまったことを気づかれないよう、さくらに囁きかける。
「さくらくん、ここまで来てしまったら、もう後戻りはできない。すまないが……」
「わ、わかってます……」
わかっているとは言ったものの、何をされるのかわからない不安さは、美少女の表情を曇らせる。
かえでは複数の男たちに凌辱されていた。
マリアは、得体の知れぬ生物に取り付かれ、泣き叫んでいた。
自分は何をされるのか。
いずれにせよ、死にたくなるような恥ずかしいことをされるのだろう。
正直なところ、秋月がいなければ逃げ出してしまいたかった。
そして一端、帝撃に戻り、残った花組全員で出撃し、マリアらを救い出す。
それが常道だと思うのだが、もうこうなってはどうしようもない。
ここからさくらひとりで逃げることは不可能だろうし、無事に逃げたところで根拠地を変えら
れてしまう可能性もある。
秋月の提案通り、ここは何としてでも耐えて潜入し、マリアたちをこの場で助け出すしかない
だろう。
それに。
「……」
さくらは隣にいる男を見つめた。
秋月がいてくれる。
大神の親友が守ってくれる。
そう信じて、勇気をかき集めて覚悟を決めた。
秋月が言いにくそうに言った。
「……では、さくらくん。申し訳ないが、その……着ているものを……」
「……脱ぐ……のですね……」
「……」
「いいんです、秋月さん」
さくらはそう言うと、すまなそうに顔を逸らしている秋月を見た。
靴を脱ぐと、足袋を履いた愛らしい足が覗く。
そして意を決したように、帯に手を掛けた。
そこで手が止まる。やはり恥ずかしいのだ。
ちらりと秋月を見ると、一応顔を伏せてくれてはいる。
さくらは小さな声で言った。
「あ、あの、秋月さん……」
「なんだい?」
「その、後ろを向いててもらえないでしょうか……。あ、疑ってるわけじゃないんですけど
……」
「……わかった」
秋月はさくらに聞こえぬように舌打ちした。
この清楚な少女の着替えを覗き見てやろうと思っていたのだが、それは出来ないようだ。
そのうち服など着ている暇がなくなるくらいになるから、是非見てみたかったのだが仕方が
ない。
ここでさくらに疑惑を持たれては台無しになる。
秋月はゆっくりとさくらに背を向けた。
さくらはホッとしたような顔で、再び帯に手をやった。
紺色の帯を解き、緋袴を脱ぐ。
そしてピンク色の上着を脱ぎ捨てた。
ここまではいい。
まだこの下に白襦袢を着ているから、肌が出るようなことはない。
念のため、さくらは秋月に聞いた。
「秋月さん、その……ど、どこまで脱げばいいんですか……?」
もちろんこれではダメなのだろう。
かえでもマリアも全裸だったのである。
秋月はくぐもった声で答えた。
「……全部だ」
「……」
「本当に申し訳ない、さくらくん。俺になんか見せたくないだろうが……」
「い、いえ……。他のいやらしい人たちに見られるくらいなら、あたし、秋月さんになら……」
本当は大神にしか見せてはならない姿である。
しかし、野卑な軍人に剥ぎ取られるくらいなら、秋月の方がマシだ。
そういう判断なのだろうと秋月は推測した。
それにしても健気な娘だ。
彼は改めてさくらにそそられるのだった。
着替えを見られないのは残念だが、シュルシュルと帯が解かれる音、上着を取る衣擦れの音、
ぱさりと服が床に落ちる音。
見えはしないが、それらもけっこう趣のあるものだ。
今、さくらはどこまで脱いで、どんな顔をしているのだろう。
そう考えると、ズボンの前が痛いほどに硬くなってくる。
秋月は、さくらに見つかるまいと、少し前屈みになった。
さくらは目をつむって襦袢を脱いだ。
途端に白い素肌が露わになる。
襦袢は足元まである長いものだから、これを脱いだことで本当に下着だけになった。
以前はサラシで胸を押さえていたのだが、西洋化する風潮の中、さくらも白いブラジャーを
している。
着用してみて、これはサラシよりずっと楽だと思った。
着けるのもそうだが、サラシで胸を押さえつけるのはけっこう苦しかったのだ。
それがないだけでもいい。
動きやすいのも助かる。
ショーツもブラに合わせて白い。
さくらは恥ずかしそうに手を後ろに回してブラを外し、続けてショーツも脱ぐ。
その時、白足袋を履いたままだったのに気づき、それも脱いだ。
「……」
ついに産まれたままの姿になった。
左手で胸を隠し、右手は股間にやった。
さくらは恥ずかしさで火が着きそうなくらいに赤い顔で秋月に告げる。
「……脱ぎました」
「……」
その声を合図に秋月は少女を見た。
息を飲んだ。
染み一つない真っ白な裸身だ。
ロシア人との混血らしいマリアの肌も白かったが、あっちは白く塗ったような白さだった。
一方さくらの方はと言えば、白いというより薄い感じだ。
透き通るような肌という表現があるが、彼女はまさにそれなのだろう。
それと、思った以上にスタイルがいい。
普段は不粋な着物を着ているため、身体の線がほとんど見えないのである。
赤い袴姿はそれなりにそそるものはあるが、若い秋月としては、すみれのように露出の多い
服装をして欲しいところだ。
その袴姿からはスレンダーなイメージがあったのだが、どうしてどうして出るところは出て
いる。
確かにスリムではあるのだが、バストもヒップも19歳という年齢相応のものは充分にある
ようだ。
臀部はそこそこの大きさだが、その分、切れ込んだ谷間が深い。
居合をやっていると聞いたから、そのせいで腿が発達しているのだろう。
バストは、決して巨乳というわけではないが、形状が素晴らしかった。
若く張り詰めた感じで、これから性徴が進むにつれ、大きさを増して重そうな乳房になって
いくのだろう。
まだ男に揉み込まれた感じもなかった。
少女の雰囲気も残っているが、女らしいなだらかな曲線が美しかった。
大神とつき合っているということは、もう処女ではないのかも知れない。
年齢的にもだが、男を知ったばかりということで、少女からおとなの女性へ脱皮しかけている
状態なのだろう。
大神に対してジワリと嫉妬の念が湧いた。
自分を差し置いて、こんないい女を独り占めしていたことに腹を立てた。
見ていろ、と秋月は思った。
帰国した大神が呆然とするくらいに、さくらを仕込んでやる。
大神の目の前で「あたしは秋月さんの女です」とさくらに言わせてやるのだ。
さくらに話し掛けられ、秋月は「くっくっくっ」という笑い声を危うく飲み込んだ。
「あんまり見ないでください……」
丸裸になった哀れな美少女は、身を屈めて男の視線を避けていた。
秋月はつらそうな表情を作って言う。
「さくらくん、こっちへ……」
「はい……」
「さ、ここへ乗るんだ」
「ここへ……?」
秋月が指し示したのは長方形のテーブルだった。
白いクロスが布かれている。
さくらはそう思ったのだが、近づいてみてそれが簡易ベッドらしいことがわかった。
クロスではなくシーツがかかっていたのだ。
ベッドのクッションのみで、その上に布団は敷かれていない。
さくらは戸惑った。
「乗れ」と言われても、どうすればいいのかわからない。
横になれ、というのだろうか。
秋月が腕を掴むと、さくらは悲鳴を上げた。
「あっ、いやっ!」
「……」
「あ、ご、ごめんなさい……」
「いや、いいんだ。じゃあ、そこに乗ってくれるかい?」
「……」
さくらは黙って従った。
横座りの格好で腰掛け、そのままベッドに乗った。
「……四つん這いになってくれ」
「え……」
「頼む、さくらくん。やつらを信用させるには仕方がないんだ」
「そんな……」
少女は縋るような瞳で秋月を見ると、彼も辛そうな表情をしている。
さくらにそんなことをさせる自分を責めているかのように見えた。
(秋月さんは仕方なくあたしにそうさせているんだ……。秋月さんが悪いわけじゃないんだ)
さくらはそう察すると、弱々しい微笑みすら浮かべて中尉に言った。
「秋月さん、大丈夫です。あたし、我慢します」
「すまん……」
さくらは震えながら台に乗り、そのまま膝立ちで這う姿勢になった。
これだけでも充分恥ずかしいのに、秋月は追い打ちを掛けるように告げた。
「そのまま、両ひざを開いてくれ」
「……」
股を開くのがイヤだから、四つん這いになっても膝をぴったり合わせていた。
なのに男はそれを開けと言う。
いやでいやでたまらなかったが、ここまで来てはもう覚悟を決めるしかなかった。
秋月に任せるしかないのだ。
恐る恐るという感じで、少しずつ脚が開かれていく。
普段の秋月なら焦れて怒鳴るか、あるいは強引に開かせるところだが、ここはおとなしく見て
いた。
この清純な美少女が自分から股を開く光景など、滅多に見られるものではない。
ベッドの横いっぱいにまで開いたところで、さくらは脚を止めた。
「ああ……」と恥ずかしそうな吐息を洩らし、小さく震えている。
見られているのがわかる。
秋月の視線が、痛いほどに自分の股間に注がれているのがわかるのだ。
性器など、大神にしか見せたことはない。
その大神に対しても、こんなにはっきりとは見せはしなかった。
しかもお尻の穴まで見られている。
そんなところは誰にも見られたことはない。
さくらは顔だけでなく首まで羞恥で真っ赤になっていた。
心から何か大切なものが抜け落ちていくような気がする。
「み、見ないで……見ないでください……」
パカッと開いた股間の奥に女の秘密がふたつとも見える。
薄い恥毛が覆った媚肉の方は、うっすらとけぶって見えた。
少し縮れた陰毛がふるふる揺れている。
その上に鎮座している肛門の方はもちろん無毛だ。
恥ずかしいのか、時々きゅっと収縮しているのが初々しい。
思わずむしゃぶりつきそうになる獣欲を辛うじて堪え、秋月はさくらの右腕を背中の方へ捻り
上げた。
「あっ、な、何するんですかっ」
「すまない、さくらくん。でも、こうするしかないんだ」
「いやっ、何で縛られなくちゃならないんですか!?」
秋月が手にしていたのは黒いゴム管だった。
静脈注射をする時、腕を縛るあれだ。
むずかってもがくさくらの耳に顔を近づけ、出来るだけ優しそうな声で秋月は言った。
「きみもさっき見たろう、マリアくんの様子を」
「……」
そういえばマリアの身体も黒い紐のようなもので縛り上げられていた。
「ここでは、まだ不慣れな女性は縛ることになってるんだ」
「で、でも……」
「さくらくん」
秋月は少し厳しい声で言った。
「もう覚悟は決めたはずだ。従ってくれ、頼む。格好だけだよ」
「……」
「それに、これはさくらくんのためでもあるんだ」
「あたしの……?」
中尉はうなずいて答えた。
「そうだ。これからさくらくんにあることを施さねばならない。それをやって、初めて向こう
は信用するからね」
「……」
「そのために縛る必要がある。というより、身体を固定してないと、普通は我慢できないような
ことをしなくちゃならないんだ」
「そ、そんなこと……」
ますます恐怖が膨れあがる。
縛らなければ暴れるほどにイヤなことなのだろうか。
痛かったり、苦しかったりするのかも知れない。
秋月は慰めるようにさくらの肩を撫でながら言った。
「大丈夫、なるべく優しくするから。だから俺がこの役を買って出たんだよ。やつらがやった
ら、さくらくんのことなど考えずに無茶をするだろうから」
「そうですか……」
さくらは目を潤ませて男を見つめた。
秋月もつらい仕事を自分のために引き受けている。
そう思うと、自分ばかり我が侭を言うわけにはいかないと思った。
「わかり……ました」
さくらは腕から力を抜いた。
すかさず秋月は腕を捻り上げ、その手首にゴムを巻いた。
ぎゅうぎゅうと音を立てながら、さくらの白い肢体が黒いゴム管で縛り上げられていく。
両手をひとまとめにして肩胛骨のところで固定されたのはともかく、乳房の上下を縛って括り
出させているのはどう考えてもおかしい。
さらに足首も縛られ、ベッドの脚に繋がれてしまった。
秋月は心の中で大笑いしていた。
普通、ここまでされればおかしいと気づいてもよさそうなものである。
胸まで縛っている意味はなく、単に乳房を観賞するためだけにやっているサディスティックな
ものだ。
さくらにはそんな知識はないし、何しろ異常事態の連続で動転しており、そこまで気が回って
いない。
「さくらくん、痛くはないかい?」
「平気です……ちょっと痛いけど、我慢できます……」
それは痛いだろう。
秋月は縛る時、強さを加減をしていない。
ぎゅうぎゅうと縛り上げている。
肌もゴムに巻き込まれているし、胸を縛ったゴムは乳房の肉に埋もれるくらいにきつく巻き付
けている。
そのせいで、見かけの割りに豊かな乳房が一層大きく膨れているが、乳首は乳輪内に陥没して
いる。
当たり前と言えば当たり前で、感じるどころの話ではないだろう。
「なにを……するんですか」
美しい顔を不安そうにしてさくらが問いかける。
秋月は優しげな笑みを浮かべてうなずいた。
「大丈夫、俺に任せてくれ」
「はい」
観念したのか、さくらはうつぶせ犬這い状態で目を閉じた。
ところが、すぐに大きく目を開けた。
お尻──というより、肛門に異様な感触を得たからだ。もちろん悲鳴が出た。
「きゃああ! なにをっ……」
「ごめん。でも、こうしないと……」
「ああ、いやあっ、やめて、やめてください秋月さんっ!」
驚いたことに、男はさくらの肛門を指で揉み込んでいたのだ。
さくらは唖然とするやらビックリするやらで、すっかり動転してしまった。
そんなことされたことがないどころか、自分でもいじったことなどないのだ。
そこを男の手がいびってきている。
信じられなかった。
秋月は、いやがってぷりぷり動く尻を押さえ、その間に指を侵入させた。
人差し指と親指、それに中指を交えて、さくらのアヌスにねっとりとした愛撫を加えていく。
「ああ、いや……いやです、こんなの……あっ……ううんっ……」
ねちねちと揉み込まれていくうちに、だんだんとアヌスが解れてくる。
肛門の襞がほころび、腸の内壁が僅かに顔を見せてきた。
「ふふ、だいぶ柔らかくなってきたね」
「だめ……もう、やめてください……あ……」
秋月が人差し指の先でつんとアヌスをつつくと、さくらは「ひっ」と甲高い声を出した。
指先がほんの少し、内部に入り込んだ。
取り敢えずはここまでで充分だろう。
秋月が指を離すと、「ああ……」とホッとしたような声が出た。
男に恥ずかしい穴をいじられる羞恥に耐え、ようやく一息つくと、今度は指よりは細いが冷
たいものが肛門に触れた。
「ひっ……こ、今度は何ですか!?」
「……」
秋月は黙って少女のアヌスに嘴管を突き刺した。
「痛っ……あ、秋月さんっ、それ……それは何なの、何をしてるんですかっ」
「……浣腸だ」
「か、かんちょうって……」
「されたことはないかな? でも知識は持ってるだろう? ほら、お尻の穴からクスリを入れて
便をさせるやつさ」
「な……」
さくらは、大きな目がこぼれ落ちるくらいに拡げた。
すぅっと血の気が引いていった。
ついさっきまで羞恥で真っ赤に染まっていた顔が、見る見る青白くなっていく。
お尻を晒しているだけでも死ぬほど恥ずかしいのに、そんな酷いことをするというのか。
第一、なんで自分が浣腸されなければならないのかわからない。
さくらは便秘体質ではなかった。
そう言うと、秋月は冷たい口調で告げた。
「それは関係ない」
「か、関係ないって……。じゃあ何でこんなことをっ」
「必要だからだ」
「必要……?」
秋月はさくらの肛門に浣腸器を突き刺したままで言った。
「これからきみにする「処置」には、これが不可欠なんだよ」
「これから……? これから、まだ何かするんですか」
「……もうあまり細かいことは気にしない方がいい。その方が気が楽になる」
「で、でも……」
「いいから。今は浣腸されることだけ考えるんだ、いいね?」
「……」
いいね、と言われても、そうですかと答えられるわけがない。
なぜこんな屈辱的なことをされるのかさっぱりわからないのだ。
この時点で、さすがにさくらにも「何かおかしい」という思いが出てきたが、まだ秋月を信じ
たいという気持ちもあった。
そんな健気な思いも、注入される浣腸液で呆気なく吹き飛んだ。
「ひっ、ひぃっ……」
キィィとガラスが擦れるような音がする。
秋月がシリンダーをゆっくり押しているのだ。
「い、いや……あ、ああ……」
さくらは頭を振りたくって必死に耐えた。
それでも、おぞましい薬液はどんどんと入ってくる。
とてもじっとしてはいられなかった。
「い……や……あむっ……むむう……」
さくらは白い歯で淡いピンク色の唇を噛みしめた。
わなわなと全身が震えて止まらない。
犬這いで尻を突きだした格好になっているだけに、その白い尻肉の谷はより一層深くなっている。
どんなに息張っても、容赦なく薬液は腸内に注ぎ込まれてくる。
身体が内側から炸裂しそうな圧迫感があった。
加えて、気が狂いそうな羞恥と恥辱で頭の中が虚ろになってくる。
「さくらくん、大丈夫かい? 苦しそうだけど……」
「あ、あ、ああむ……い、や……も、もういやです……ああ……し、しないでくださ、ああっ
……」
「我慢するんだ。500cc入れなくちゃならないんだから」
「そんなに……入りません……あう……」
「大丈夫だ、これだけいい尻をしてれば、初めてでもこれくらいこなせるよ」
秋月は、嫌がって腰をうねらせるさくらを見て「くくっ」と笑った。
「そんなにイヤなら、目を閉じて精神を集中させるといい」
「は、はい……ああ……」
さくらは素直に言われた通りにした。
だが、目をつむって視界を閉ざすと、かえって神経が肛門にいってしまう。
どうしても浣腸されているアヌスに気が行く。
恥ずかしさとおぞましさがない交ぜとなり、失神してしまいそうだ。
しかし、粘度の強い液体が直腸にドクドクと流れ込む感覚で気を失うことも出来ない。
薬液が腸に染み込んでいくような気がする。
頭から爪先までけだるさが広がっていく。
「お、お願いです……もうやめて……んんうう……」
「そうはいかない。まだ半分はある」
「そんなに入りません……」
「平気だ。初めてなのに、もうこんなに飲んだじゃないか」
「で、でも……ああ……せ、せめて早く終わらせて……ああむ……」
「さくらくんは浣腸初めてなんだろう? だったら少しは楽しんでみたらどうだい」
「た、楽しむなんて……ひ、ひどいです……あああ……」
全身に汗をかき、もうたまらないと言わんばかりに腰を振る美少女。
目を固く閉じて、汗を吸った黒髪を振り乱すように頭を振っている。
そんな懊悩するさくらを見て、秋月はもう出てしまいそうになった。
軽く頭を振って気を紛らわし、再びシリンダーを押し込んでいく。
「くく……嫌がる女に浣腸してる感覚、シリンダーを押し込んで尻の中に薬液を注入する感触が
たまらないな。つくづく、この部隊に来てよかった」
「あっ……うう……う、うむ……」
もう、さくらはまともに喋れもせず、ろくに動けなかった。
産まれて初めての浣腸、それを親しくなった男に無理矢理されている羞恥に、心が弾けてしまい
そうだ。
だが、それ以上に肉体的苦痛の方が大きかった。
ぞくぞくと流れ込んでくる薬液のおぞましさに震えるだけだった裸身が、ぴたりと動きを止める。
そしてすぐに腰だけがくなくなとうねりだした。
お腹が苦しくなってきているのだ。
なんとか注入を止めようと括約筋に力を込めるのだが、いっこうに流れは収まらない。
「あ……あむ……むむう……」
秋月は、さくらの声が艶っぽくなってきたと感じた。
無論、少女は苦鳴を出しているのだが、それにフェロモンを感じ取るのが男というものだ。
「色っぽい声を出すじゃないか、さくらくん。もしかして気持ちいいのかい?」
「き、気持ちいいなんて、そんな……うむむ……く、苦しいだけです……」
まともに声を出した途端、「ああっ」と悲鳴をあげてしまった。
全身にじっとりと粘った汗が滲んできている。
便意がこみ上げてきたのだ。
それは、意識し始めると、もう我慢できないくらいにわき上がってくる。
「あ、秋月さんっ……あ、ま、まだですか……あ、もう……もう……」
「我慢できないのかい? そんなに淫らに腰を振って、さくらくんらしくないよ」
「いやっ……」
恥ずかしい姿を指摘され、一瞬我に返ったさくらだが、またすぐに便意に苛まれる。
いくら頼んでもやめてくれそうにない。
あとは、出来るだけ早く済ませるよう懇願することだけだった。
「お、お願いです……は、早く入れてしまって……く、苦しいんです……」
「……」
さくらの顔が青ざめてきた。
アヌスを観察すると、嘴管をくわえ込んだおちょぼ口が苦しげにひくついている。
始めからあまり無理をさせても仕方がないと思い、秋月は一気にシリンダーを押し切った。
「ひぃぃっ!」
それまでのろのろと注入されていた薬液が一気に流れ込み、さくらは背をのけぞらせて叫んだ。
秋月は浣腸器をテーブルに置くと、両手でさくらの臀部を撫で回した。
汗で湿ってぬらついているが、若い尻たぶは男の手を弾かんばかりの張りを見せていた。
「うっ……」
さくらはショックで絶望している暇もない。
浣腸器を抜かれると、便意は一気にふくれあがってきた。
秋月がいやらしく尻を触りまくるのを気にする余裕すらない。
(あ……ど、どうすれば……)
ざあっと鳥肌が立ち、身体が細かく痙攣してくる。
恥ずかしいが、口にしなければならなかった。
「秋月……さん……」
「どうしたね、さくらくん」
「ほ、解いてください……」
「まだだめだよ。そのままじっとしているんだ」
「でも……」
さくらは困惑した。
まさか、ここで漏らすわけにはいかない。
トイレのない場所で垂れ流しなど出来ないし、秋月の前でするなど想像もつかない。
「お願いっ……」
涙顔でさくらは懇願した。
「もう、だめ……我慢できないんです……」
「そんなにウンチしたいのかい」
さくらは首から上を真っ赤にしながら、恥ずかしげにうなずいた。
秋月はわざとオーバーに言った。
「はしたないな、さくらくん。仮にも花組の隊員がそんなじゃ……」
「いっ、言わないでくださいっ」
はしたないことなどわかっている。
わかっているが、どうにも我慢できないものは仕方がない。
きつい便意に悶え苦しむ美貌を愉しみつつ、中尉は飽きもせずさくらの尻を撫で回した。
「もう少し我慢するんだ。そうじゃないと効き目が薄いからね」
「き、効き目って……」
「この浣腸液にはクスリを溶かし込んであるんだ。これから先のためにね」
「これから……先って?」
「あまり深く考えないでいいさ。一言で言えば、さくらくんを愉しませるためのものだ」
そういうと、秋月はさくらの尻たぶを大きく割った。
「いやあっっ!」
そんなところを男に観察される恥辱に、さくらは身を震わせた。
ただでさえ恥ずかしいのに、今は便意が荒れ狂っていて、そこはひくひくしているはずだ。
見られてはならぬ場所をみられる被虐に、さくらは泣いた。
秋月はねちねちと言葉でさくらを虐め、それに反発させることで時間を稼いでいく。なんだ
かんだで10分近くも経っていた。
彼の機転が効いたわけでもあるが、それ以上にさくらの肛門の締まりがいいのだろう。
それでも、さすがに限界に達してきているようだ。
羞恥で赤く染まっていた美貌が紙のように白くなり、すっかりの色の抜けた唇がわなわなと震えて
いる。
「も……だめ……ホントにだめなんです、秋月さん……お、お腹が……ああっ……」
ググゥ、グルグルッと、さくらの腹部から恥ずかしい音がした。
それを羞恥に感じることもできないほどに、少女の頭の中はうつろになっている。
もう考えられるのは便意のことだけだ。
苦しい、出したい。
でも、ここでは出来ない。
今にも破裂しそうな便意を死ぬ気になって押しとどめるのが精一杯なのだ。
呼吸をするのも苦しかった。
「あ……あう、む……あ、もう……」
「ふふ、出るのか、さくらくん」
「や……やです……」
「ここにするんだ、僕の前でね」
「そんな、いや……」
秋月が持ったバケツを見て仰天した。
まさか、本当にそこへ排泄しろというのだろうか。
しかし、それを抗う気力は、とうに便意に奪われてしまっていた。
それがあれば床に撒き散らすことはないという思いが勝り、男の前で排泄するという屈辱も
消え失せた。
「だ、だめ……出る……いやああああっっっ!」
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