グリシーヌは、握った拳を細かく震わせながら唸った。
しかし、この場はどうしようもなかった。
武器は奪われていたし、よしんば持っていたとしてもフランソワを害することは出来ない。
屈辱を飲み込み、恥辱に耐えてでも、一夜を共にするしかなかった。
美少女の肩からスッと力が抜けた。
「……やむを得ん」
グリシーヌが観念したのを知り、フランソワが破顔する。
「おお! 決心してくれましたか」
「……」
「けっこう、けっこう。みすぼらしいベッドで申し訳ないが、そこで愛し合うとしますか」
「誰がきさまとなんか愛し合うものか! わ、私は……仕方なく……」
「何でもよろしい。どうせ、やることは一緒ですからな」
「最低だな、きさま……」
悔しかったが、他に策はない。
なんとか屈辱の夜を過ごした後、いかにして大神を救うかを考えるのだ。
まさか、ここへグリシーヌをずっと監禁することも出来まい。
ブルーメール伯爵の令嬢が行方不明などということになれば、ノルマンディはもちろんパリでも大騒ぎになるはずだ。
とにかくここから出さえすればどうにかなるはずだ。何とかアーメドと連絡をつけ、脱出の機会を探るのだ。
グリシーヌがそんなことを考えていると、フランソワの方はいそいそと服を脱ぎ始めている。
少女は思わず顔を背けた。
もう貴族は下履きのみとなっていたのだ。
「さ、あなたも」
「……」
「グリシーヌ嬢、往生際が悪いですぞ。この期に及んで焦らすおつもりか?」
そう言って、半裸になった若い貴族はグリシーヌの肩に触れた。
反射的にグリシーヌはその手を叩いたが、フランソワは屈せず、薄い生地の上から少女の身体を撫でまわしている。
抵抗されぬと思っているせいか、その手は大胆にも胸や臀部にも伸びた。
フランソワは憑かれたように触っていた。
布地の上からも、少女の体温が手のひらへ伝わってくる。
それだけで早くも勃起してきた。体温だけでなく、しっとりとした肌や、しっかりと締まった、それでいて柔らかい肉づきまで手に取るようにわかる。
グリシーヌは嫌悪の表情を隠そうともせず、激しく拒絶した。
「くっ……やめろ、穢らわしい!」
「お脱ぎなさい」
「……」
「脱げないのであれば私が脱がせて差し上げても……」
「ふざけるな! そんなことをされるくらいなら自分で……」
「なら、さっさとしなさい。大神を殺されたいのか?」
フランソワがそう言って電話機を引き寄せると、グリシーヌが狼狽える。
「待て!」
「脱ぎなさい」
「……」
グリシーヌは一度フランソワを睨みつけてから顔を背け、くるりと後ろを向いた。
そして、そのまま脱ぎ始めると、フランソワから「前を向いて脱げ」と指示され、仕方なくまた振り返った。
少女はギャラリーの男をなるべく見ないようにしながら着衣を脱いでいく。
着衣と言ってもワンピースである。
薄いブルーのワンピースは貴族らしい華美さは排除されているが、造りは丁寧で品質は高く、平民の一ヶ月分の給料くらいの値段だ。
グリシーヌは身を屈め、まずハイヒールから脱いだ。
足の裏に床のゴミや埃を感じるのか、不快そうに顔を歪める。
そして背中のホックを外し、ボタンをひとつずつ外していく。
普段はメイドたちに任せているが、身体の柔らかいグリシーヌは、やろうと思えば自分で背中のボタンを外すことが出来る。
するりと肩が抜けると、白くなだらかな肩口が現れた。
そのままシルクの生地は音もなく床に落ち、蟠る。
長い脚にはシルク製のストッキングを着用していた。
細い腰に巻いたガーターベルトで吊っている。
「……」
下着姿となったグリシーヌは、今度は顔を背けたりせず、卑怯者の貴族を見やっている。
睨みつけることもなく、嘲笑するでもなく、ただじっと見つめていた。
冷静というより冷酷さすら感じられる冷たい目で見、フランソワの人間性を静かに否定したのだ。
とは言うものの、当のフランソワは何も感じず、堪えてもいないようで、呆然と半裸の美少女を眺めている。
フランソワは息を飲んでいる。
こんなにも白くて透き通るような美しい肌は見たことがなかった。
脚にブラウンのストッキングを履いていることで、肌の白さが余計に際立つ。
彼が遊んでいた女たちは娼婦が主で、ベタベタと白粉を塗りたくった偽りのものだ。
化粧が剥げでもすれば、たちまちがさがさの薄汚い素肌が顔を出した。
貴族の娘や妾とも火遊びはしたが、こうまで綺麗な肌はお目に掛かったことがない。
それに、いくら綺麗にメイクしていても気品までは演出できない。
グリシーヌには、生来それが備わっているのだ。
グリシーヌはほとんどメイクしていないようだ。
必要ないというよりも、何か塗れば塗っただけかえって美貌が損なわれるのだ。
皮膚も薄く透き通っているせいで、頬紅など差さずとも血色が頬でピンク色に浮き出ている。
無言のまま凝視してたフランソワはハッと我に返ると、どもりながら命じた。
「ぜ、全部だ。全部脱ぎなさい、グリシーヌ」
「……」
呼び捨てにされたことに軽く怒りを覚えつつも、グリシーヌは指示に従った。
拒むことは、そのまま恋人の死に直結するのだ。
自分がこの屈辱を我慢すれば大神が助かる。
黙ってブラジャーのストラップを外した。
グリシーヌは片手で器用にブラを取り、もう片方の手で器用に胸を隠している。
どうせこれから犯されるというのに無意味なことだと思いつつも、この男に裸を見られることが悔しくてならない。
ショーツの裾に手をかけ、胸を隠しながらそれを足下まで降ろした。
グリシーヌは足下に絡むそれを爪先で放り投げ、すぐに股間も手で覆った。
そして、胸と股間を隠しながらストッキングも降ろそうとする。
あのグリシーヌが、恥ずかし気に且つ苦労しながら何とか脱ごうとしているのを見て、フランソワは思わず失笑してしまう。
その笑い声を耳にして、さすがにグリシーヌもカッとなった。
「な、何がおかしい!」
「いや、これは失敬。あなたが必死に脱いでいるのを見て、ついね。いやいや微笑ましい光景だ」
「バカにして……」
「くくっ、バカになどしておりませんぞ。そうだな、脱ぐのが大変そうだし、ガーターはそのままでいい」
フランソワは口調を変え、敬語を使うのをやめた。
今まではブルーメール家の名に脅え、つい下手に出てしまっていた。
高貴さ上品さを併せ持ち、それでいて男勝りなところもあるグリシーヌには、まったく頭が上がらなかったのだ。
彼女の前に来ると、自然に腰が引けてしまう。
これが貴族の威光というものなのかと痛感させられたものだ。
そのグリシーヌが、今はフランソワの掌中にあるのだ。
今はまだ無理としても、そのうち従属関係にしてやろうと思う。
もちろん彼が主人でグリシーヌが奴隷だ。
そのことを想像するだけで、フランソワの男性器がぐぐっと反り返る。
グリシーヌが、下着を押し上げているフランソワの下半身に気づき、サッと顔を赤らめてそっぽを向いた。
脚を曲げ、腰を屈めて、何とか見られまいとしている。
「脚と腰を伸ばしなさい。手で隠してもならん」
「……」
グリシーヌは唇を噛み、姿勢を正した。
恥辱のため僅かに震えているが、それを気づかれまいと懸命に力を入れている。
「ほう……」
グリシーヌのヌードを眺め、フランソワは感嘆の声を上げた。
ドレスの上から見ると、あれだけ細い体型なのだからコルセットでもしているのだろうと思っていた。
実際、美食飽食が祟り、貴族の夫人や娘たちは肥満を気にする者も多い。
彼女たちの多くは腹を締め上げて体型を作っていたし、そう太っているわけではない娘たちも、より細く見せるためにコルセットを普通に着用している。
だがグリシーヌはそうではなかったのだ。
グリシーヌ本人が、そんなことは歯牙にも掛けなかったからというのもあるが、そもそもコルセットなど必要ないほどのスタイルだったのである。
足が長い。
細めなのだが、腿には肉が乗り始め、おとなの体つきに近づきつつあった。
太腿やふくらはぎの肉づきを鮮明にさせているのが、足首の細さだろう。
きゅっと締まった膝と足首、くるぶしや足の指まで美しかった。
手の爪には何も装飾していないが、足の指には薄いピンクのペティキュアを施していた。
グリシーヌの右手が細かく震え、動きかけてはまた止まることを繰り返している。
股間を隠したくてしようがないらしい。
その股間には、淡い陰毛がけぶっていた。
薄いというより毛自体が細く柔らかいのだ。
色はややくすんだ金髪であり、申し訳なさそうに陰部を保護していた。
そして乳房。
舞踏会やパーティで、グリシーヌを見かけるたびに夢想していた乳房が今、フランソワの目の前で震えている。
背中の大きく開け、胸元を大胆にカットしたイヴニングドレス姿を見るたびに、もう少しで覗けそうな乳房を想像しては股間を硬くしていた。
思った以上に豊かな膨らみだった。
巨乳というタイプではないが、張りがあり、何より形状が素晴らしい。
乳輪は薄いピンク色で、裾野へ行くとほとんど肌の色と変わらなくなる。
頂点にある乳首も清楚そのもので、まだ小さく萎んでいる。
フランソワはほとんど呆然となって言った。
「す、素晴らしい……素晴らしい身体ですな、グリシーヌ嬢。脚も美しいが……何よりその胸だ、おっぱいがいい。まさに神の造りたもうた芸術品としか思えぬ。それに、なかなか大きいじゃありませんか。着痩せするタイプだったのですな」
「う、うるさいっ。くっ……じ、じろじろ見るな!」
「見るなと言われても、これだけ見事な女体が目の前にあれば、男なら誰でもよだれを流すことでしょうよ。あの日本人にも見せたのですかな?」
「き、きさまには関係ない!」
「……」
その言葉を聞いて、フランソワは確信する。
グリシーヌはあの男と関係したのだろう。
そう思うと、嫉妬と屈辱で胸が灼けた。
だが、いい。
この女はもう自分のものなのだ。
もう大神に抱かれた身体だと思うと、あれほど高貴に見えたグリシーヌの身体に気安さのようなものを覚えた。
遠慮することはない、この女も娼婦どもと同じだ。
「あっ……、何をする!」
フランソワは無言でグリシーヌの細い手首を掴むと、そのまま力任せにベッドへ放り投げた。
乱暴なことはすまいと油断していたグリシーヌは、呆気ないほどに転がってしまった。
ハッとして体勢を立て直そうとするその上に、いつの間にかパンツも脱いでいたフランソワがのしかかってくる。
「や、やめろ! 触るな、くっ……離れろ!」
グリシーヌは必死に抵抗し、覆い被さろうとするフランソワの腕や胸を拳で殴りつける。
本気でやってしまえば男は激怒し、大神が殺される。
そう思っているせいか、グリシーヌの手にも力が籠もらなかった。
フランソワの方は、その抵抗をむしろ心地よいものとして感じており、にやつきながらグリシーヌの腕を押さえる。
「無駄な抵抗はせんことだ、グリシーヌ嬢。このまま朝まで身体を許さぬというのなら、どうなるかわかっておりましょう」
「……」
途端に細い腕から完全に力が抜けた。
フランソワが手を離してもその腕は上がらず、シーツの上でぎゅっと手を握りしめている。
グリシーヌは覚悟を決めた。
(もう決めたことだ……。それに、こうしないと一郎が……)
グリシーヌは顔を横に向け、脱力した。
両脚の間にフランソワの膝が入り込み、股間を開かせたが抵抗せず、させるがままにしている。
グリシーヌは処女ではない。
だから「純潔を奪われる」という恐怖や絶望感はなかった。
初体験の相手は大神一郎ではない。
彼と知り合う2年ほど前に、すでに男を知っていた。
あれは15歳の時だったか。
グリシーヌ自身は、さほど男に興味はなかったが、当時の友人たち──言うまでもなく貴族の娘たち──は、寄ると触ると男の話ばかりしていた。
○○家の長男坊は上品だとか、どこそこの貴族の嫡男は映画スターのようにハンサムだとかの他愛ない話から、男と寝る──つまりセックスの話にまで進展する。
男の身体の話だの、どこが感じるだの、あまり上品とは言えぬ話題である。
正直、グリシーヌはうんざりしていたのだが、つき合わないわけにもいかない。
そんな中、もう「経験」済みかどうかという話になり、グリシーヌが「まだだ」と言うと、みんなこぞって一度「寝る」ことを勧めたのだ。
この当時、男の側はともかく、女は処女性についてあまり重要視していない。
むしろ男は女遊びするのに女が遊んでなぜいけないのだ、という空気があった。
特に貴族の娘はそうであり、親たちは処女性の重要さを説いたものの、彼女たちはどこ吹く風と思っていたようだ。
いつ処女を捨てたか、昨日は誰と寝たのか。
そんなことが会話の中心となった。
あまりにみんなが勧めるし、中にはまだ処女だという彼女を小馬鹿にしたような発言をする娘もいたりして何となく悔しくなる。
今思えば愚かなことだが、グリシーヌも取り敢えず男を経験することにしたのだ。
あくまで「経験」であり、通過儀礼のようなものだと思っていたから、特に感慨もなかった。
抱かれた相手はやはり貴族の男で、友人たちの紹介によるものだ。
グリシーヌは何度か抱かれたものの、その男にもセックスにもさほど関心を持てず、早々に別れた。
男の方はぞっこんだったようで、何度も交際および求婚してきたが、グリシーヌはこれをきっぱりと拒絶している。
以後、男関係はなかった。
処女を失ってもどうということはなく、一度経験したからと言って、他の娘たちのようにはまるようなこともなかった。
だが、大神を知り、彼とつき合い、恋人となり、結婚を意識するようになって初めて、貞操の意味がわかった気がしたのだ。
大神に身体を許し、抱かれた時には「処女でなくて申し訳ない」と心底思った。
遊びであんなバカげたことをすべきではなかったのだ。
穢れた身体だとまでは思わなかったものの、どうせなら産まれたままの綺麗な身体で大神を迎え入れたかった。
この時初めてグリシーヌは「後悔」というものを経験している。
だから「男を知っている」彼女にとって、ここで犯されても処女ほどの衝撃はない。
しかし、大神への愛を誓う以上、彼以外の男に抱かれることは屈辱であり、貞操を踏みにじられる思いがした。
そんなグリシーヌの繊細な心情など理解できるはずもなく、フランソワは興奮で呼吸を荒げて彼女の肌を貪っていく。
けだものと化した若い貴族は、欲望の赴くままに少女の乳房を鷲掴みにした。
「くっ……」
いやなのに抵抗出来ず、グリシーヌはただ呻いた。
もちろん快感などはなく、ただ気色悪かった。
乱暴な愛撫は痛いだけだ。
一方のフランソワは喜々として愛撫し、指に力を入れて絞り上げる。
透き通るような肌は、強く握られると薄く静脈が透けていた。
「これが……、これがグリシーヌのおっぱいか。夢にまで見ましたぞ」
「……」
「何と柔らかい……。大きさも充分だ、しかも、まだまだこれから大きくなりそうですな」
フランソワは揉むだけでなく、顔を近づけて乳首をちゅっと吸い上げた。
「んっ……!」
グリシーヌの裸身がフランソワの身体の下で小さく跳ねる。
快感というよりくすぐったく、気持ち悪かった。
しかしフランソワの方は、それを快楽の反応と受け止めたらしく、しつこく乳首を舐め、指でいじっていく。
「っ……やめろ……んっ……」
「くく、声が色っぽくなってきましたな。感じているのかな? 私の愛撫が気持ち良いのか?」
「そんなわけなかろう。気持ち悪いだけだ……くっ……んんっ!」
いくら拒絶していても、性感の集中した部分を愛撫されれば快感は湧く。
しかしグリシーヌはそれを快楽とは決して認めず、全身を息ませてその感覚に耐えている。
これしきのこと、フランソワに対する嫌悪感、そして大神への愛情を思えば、どうということはなかった。
グリシーヌの反応が徐々に鈍くなっていくのを感じ取り、フランソワは苛立ったように胸を強く揉み始めた。
彼の相手にした娼婦たちは、愛撫に感じていたというよりも若い貴族のカネを意識して「フリ」をしていただけだ。
一方的に女を責め、己の欲望を果たすことしか考えぬ男に、女を感じさせることは出来ない。
それがわからぬフランソワは、グリシーヌの反応が思い通りにならぬことに苛立ち、乳首がもげるほどに強く抓ったり、柔らかい胸肉に指を食い込ませてゴリゴリと揉み込んだ。
グリシーヌは苦痛に顔を歪め、呻く。
「痛いっ……こ、この……何をしている、そんなことしても痛いだけだ」
「ウソだ、あなたは感じてきているのだ」
「バカな、こんなことが気持ち良いわけがない。このヘタクソ!」
「!!」
短気な貴族はこの一言で激怒した。
下手に出ればこの女、つけあがりやがって。
そう思ったフランソワは、生ぬるい愛撫などやめて、いきなり犯しにかかる。
充分に勃起したペニスをしごきつつ、グリシーヌの陰部にあてがう。
「いよいよだぞ、グリシーヌ。どうだ、怖いか? 今まで生意気なことを言ってきたことを詫び、私に謝罪すれば優しく抱いてやっても……」
「……ぺっ」
グリシーヌは男の言葉が終わらぬうちに、その脂ぎった顔にツバを吐きかけた。
驚くフランソワを、軽蔑の籠もった眼差しで見下した。
「誰がきさまなどに頭を下げるか。犯したければさっさとするがいい。こんなことで私を屈服させられると思うなよ」
「この女!」
カッとなったフランソワは、割れ目を擦っていた亀頭を一気に膣内に刺し込んだ。
濡れてもいない媚肉をこじ開けられ、粘膜と襞を思い切り擦られ、その苦痛でグリシーヌが仰け反る。
胸を反らせ、白い乳房の肌が伸び上がって艶やかに張り詰める。
美少女の顔は苦痛で歪んでいたが、フランソワは一切構わず、そのまま根元まで埋め込んだ。
「……どうだグリシーヌ、私のものが全部おまえの中に入ったぞ。よく覚えておくがいい、これが私だ」
「……」
「なんだその顔は? 痛いのか? ふふ、そのうち気持ち良くなるさ」
「バカめ……」
グリシーヌはそう呟くと、再び痛みに呻き出した。
フランソワがゆっくりと腰を使い出したのだ。
膣がきつくて痛い。
ペニスが大きいからというよりは、まるで濡れていないせいだ。
潤滑油となっているのは、フランソワの陰茎から出ているカウパーだけなのだ。
しかしフランソワは、痛みで苦悶するグリシーヌの美貌を愉しみ、わざと乱暴に突き込んでくる。
とうとうグリシーヌをものにしたという喜びよりも、小生意気だった小娘が苦悶させているのが自分だと思うと、たまらない征服欲が漲ってくる。
突き上げるたびに、少女は「くっ」「くっ」と小さく叫び、その苦痛に耐えていた。
サディストの気もあるフランソワにとっては至高の瞬間だ。
何度も繰り返し突き通していくうちに、グリシーヌのそこが幾分滑りやすくなってきている。
濡れてきたと思ったフランソワは嬉しそうに言った。
「いい感じになってきたな。グリシーヌ、おまえの感じてきたのだろう?」
「……」
グリシーヌの反応はない。
確かに痛みは小さくなっていたし、動きやすくもなっているようだから、濡れてきてはいるのだろう。
しかしそれは、断じて感応したからではなく、身体が膣内を傷つけられぬよう分泌させた粘液であり、防衛本能に近いものだ。
グリシーヌもそれを心得ていたから、濡れてきたとわかっても戸惑うこともなかった。
次第に興奮してきたフランソワは、苦悶する顔を背けていたグリシーヌの唇を求めた。
両頬を手で挟んで正面を向かせ、顔を近づける。
「っ!」
キスを求めていると理解したグリシーヌは、懸命に顔を背け、顔を押さえるフランソワの手を押さえ、腕を掴んだ。
ムッとしたフランソワはその手を払い、なおも唇を奪おうとする。
「往生際の悪い。ここまで来たら同じでしょう」
「ふざけるなっ。その薄汚い顔を寄せるな! 吐き気がする!」
そう叫ぶと、グリシーヌの手のひらが唸り、フランソワの頬をひっぱたいた。
そんなことをすれば、この気短な貴族は一層に激怒し、乱暴に扱われるとわかっていても黙っていられなかった。
グリシーヌの気の強さである。
驚いたフランソワは、打たれた頬を押さえて唖然とする。
まだこんな気力が残っているとは思わなかった。カフェに続き、二度目の殴打にフランソワのちっぽけな自制心が吹き飛んだ。
怒りの咆吼を上げながら、暴力的なまでにグリシーヌを犯していく。
動きが激しくなり、膣内の粘膜が引き攣れる痛む。
「んんっ……ぐっ……くっ……」
突き込まれるたびに苦痛が走るが、グリシーヌは決して悲鳴を上げたり、痛みを訴えたりはしなかった。
誰が声など出してやるものか、と、強硬なまでにフランソワに抵抗している。
フランソワの方も、もはや快楽というよりも、グリシーヌを虐め、いたぶる方に注力していく。
叫べ、喚けとばかりに腰を打ち込み、抉っている。
貴族の美少女が強姦されているという生々しいまでの苦悶の表情を見ているだけで、膣内で暴れるペニスはますます硬くなっていった。
もっと苦しめ、痛がれ、と、乳房を鷲掴みにして捻り上げる。
「ぐうっ……!」
さすがに痛かったのか、グリシーヌはクッと顎を反らせて呻いた。
フランソワは乳房をねじ切るように絞り上げ、同時に思い切り深くまで突き上げた。
苦痛で思わず出そうになる悲鳴を噛み殺し、唇を噛んで呻くグリシーヌを見ているうちに、フランソワのペニスも限界になっていく。
それまでも、グリシーヌが痛みと苦しさに腰を捩り、腿をすり合わせ、括約筋を締めつけていたから、中に押し入っていた肉棒には心地よい刺激が与えられ続けていたのだ。
今度はフランソワの方が快楽で顔を歪め、必死になって腰を揺する。
「う、うっ……いきそうだ……もういくぞ、グリシーヌ!」
「っ……!」
このまま中に出す気なのかと青くなったが、それでもグリシーヌは何も言わず、唇を噛んで堪え忍んだ。
こんな男に懇願するのはどうしてもいやだった。
その結果、妊娠してしまうこともあり得るのだが、それでもグリシーヌは意地を張り通した。
我ながら頑固だと、こんな状況にも関わらず、グリシーヌは苦笑する。
それだけ彼女が、この行為に没頭しておらず、何とも思っていないという証明だったろう。
そんな彼女の気持ちなど一切わかっていない男は、ガスガスと腰を動かしてから、硬くなった肉棒を一気に炸裂させた。
「あ……」
この時はじめて、グリシーヌは声を出した。
気の抜けたような、諦めたような複雑な音色だった。
どっと胎内に広がっていく生温かい感触に、身体の芯が抜けた気がする。
フランソワは満足げな表情を浮かべ、まだグリシーヌの中に男根を収めたまま、彼女の体温を愉しんでいる。
グリシーヌは、嫌悪感の溢れた表情でその顔を睨みつけた。
「……満足したか」
「なんですと?」
「終わっただろう。さっさと抜け。そして私から離れろ」
「……」
貴族の少女の迫力に気圧され、フランソワはペニスを引き抜いてグリシーヌを解放した。
グリシーヌは黙ってベッドを降り、洗面台へと向かって行く。
それをフランソワが手を上げて止める。
「何をする気だ?」
「……知れたこと。洗浄するのだ。シャワーを浴びたいところでは、こんなところではそれも叶わぬ」
その落ち着き払った行動に、フランソワの怒りが再燃する。
この女、ちっとも懲りていないし、まいってもいない。
必死になって責めていた自分は何なのだと思うと、情けなくなってくる。
フランソワは精一杯威勢を張って言った。
「……勝手なことをされては困りますな、グリシーヌ嬢」
「なに? 何をする、離せ」
「おっと、反抗する気か? そんなことをすれば……」
「……」
グリシーヌの方も、白い怒りで胸を灼いていた。
人質を取って脅し、反抗をさせずに女を辱めるこの男には、一欠片の人間性も認めていない。
「誰が終わったと言った? まだこんなものじゃ済みませんよ」
「……」
正直なところ、フランソワはグリシーヌを一度犯せば今日はおしまいと思っていた。
恋人のいる身でその身体を穢されれば、大抵の女はショックを受け、おとなしくなる。
だから、あとはゆっくりと料理すればいいと考えていたのだ。
しかし、この女は違った。
犯してもまだ矜恃を保ち続け、恋人のことを思い続けている。
それがフランソワには許し難かった。
フランソワはロープを用意すると、有無を言わさずグリシーヌを縛り上げた。
「何をする!」
「おとなしくしなさい。何度も言わせるな、あの男の命はあなたにかかっている」
「……」
グリシーヌは男を睨みながら言った。
「……この身体はきさまの好きにさせる。だから縛る必要などない」
「そうはいきません。私は女を縛っていたぶるのも好きでしてな、グリシーヌ嬢の身体はロープが映えそうだ」
「……変態め」
「いつまでそんな口を利いていられるか楽しみにしていなさい。それに、縛っておかねばとても耐えきれぬような責めを加えてやるつもりでしてな」
「……」
それ以上は抗いようもなく、グリシーヌはおとなしく両手を差し出した。
フランソワはその腕を背に回させ、交叉させた両腕をロープで拘束する。
その縄尻を伸ばして前へ回し込み、乳房の上下を二重三重に巻いて絞り上げた。
思い切り締め上げられ、さすがのグリシーヌもその苦しさに呻く。
「くっ……、きつく縛りすぎだ。こんなに強く縛らずとも……あっ!」
フランソワはグリシーヌをベッドへ突き飛ばし、俯せに転がした。
立ったまま、上半身だけベッドに伏せている感じである。
グリシーヌがもがく前に、素早く足首にもロープを巻き、ベッドの脚に縛って固定した。
さらに、背中で縛り合わせた両手を新たなロープで縛り付け、それをベッドフレームのヘッドボードに引っかけ、ピンと伸ばした。
これでグリシーヌはベッドに胸を押しつけたまま、ほとんど身動きが取れない。
フランソワはグリシーヌの後ろ側へ回り込みにやにやしながら言った。
「ほう、見事な尻ですな。胸ばかりに目が行ったが、尻もなかなかのものだ」
「……」
「くく、その恥ずかしそうにぷりぷり蠢くのがたまりませんな」
「くっ……、見るな! 見るなと言っている!」
「見るなと仰せられても、これだけの尻が目の前にあれば男なら誰でも……。あの日本人にも触らせたのかね?」
「お、大きなお世話だ!」
グリシーヌは恥辱で染まった顔を隠すようにベッドに押しつけ、悔しそうに言った。
グリシーヌの、突き出すような尻を見て、フランソワのペニスがまた硬くなっていく。
肉づきの良い太腿が細く見えるくらい、よく張った臀部だった。
腰骨も大きく張り出しており、いわゆる安産型というやつだろう。
色はどこまでも白く、シミも何もない。
文字通りの真っ白だ。
触れれば弾かれんばかりの弾力と、指によく馴染む柔らかさを併せ持っている。
その形も実に官能的で、男の性欲をそそって止まなかった。
これなら尻肉責めも愉しかろうと、フランソワはほくそ笑んだ。
「……」
グリシーヌの方は気が気ではない。
後ろの見えないところで、あの男が何か準備している。
ガチャガチャと耳に障る音がして、それが一層の恐怖感を呼んだ。
何か淫らな玩具で弄ぶ気なのだろうか。
「何をしている」
「知りたいかな?」
フランソワはそう言って笑うと、グリシーヌの前へ古ぼけたワゴンをガラガラと移動させた。
大きめの台には、金属製の洗面器が2つ乗っている。
その横にはワインボトルがあったが、グラスはない。
その代わり、ガラスの薬瓶が数本並んでいた。
何をするつもりなのかと思っていると、薬瓶の液体をどぼどぼと洗面器に注いでいる。
僅かに黄ばんだ透明で、少しとろりとした感じのある液体だが、グリシーヌは見たことがなかった。
そこへ今度はワインを注いだ。
フランソワは、何事か考えながら赤ワインを少し注ぎ、かき回してはまた注ぐことを繰り返している。
何をするつもりか、さっぱりわからなかった。
「っ……」
そしてフランソワが大きな注射器を手にするのを見て、さすがにグリシーヌは息を飲んだ。
まずサイズが大きい。
家畜の牛にさえ、あんな大きなものは使わないと思う。
奇妙なことに、注射針もついていないのだ。
何よりフランソワに医術の心得があるとは思えない。
グリシーヌが戸惑っていると、若い貴族はなみなみと溜まった液体を注射器に吸い上げていく。
赤ワインと混じり、不気味な色となった液体が太いガラス筒いっぱいになる。
それを抱えたまま、フランソワはまたグリシーヌの後ろへと回った。
「ひっ!?」
グリシーヌの喉が鳴った。
開脚された股間の奥にある、もっとも恥ずかしい場所──肛門に男の指が触れたからだ。
「何をする! き、きさま、どこに触って……」
「どこって、そりゃあグリシーヌ嬢の可愛いお尻の穴に決まってますよ」
「なっ……」
その言葉を聞くなり、グリシーヌの白い頬が染まった。
口にすることすら憚られるような場所へ指で触れるなど、正気の沙汰とは思えなかった。
フランソワの指がアヌスの粘膜にくっつき、ねちねちと揉みほぐしてくる。
そのおぞましさ、気色悪さに、グリシーヌは絶叫し、必死になって腰を振った。
「やっ、やめろ! 触るな、そんな……ああっ……くっ、気持ち悪いっ……よ、よせ……いやっ……」
「そんなに嫌がるものではない。これもあなたのためにしていること」
「な、何を言って……くっ……そ、そんなとこに触るのが、どうして私のためなのだ……やめろ!」
「そうですか、それほど言うならやむを得まい」
ようやく指が離れ、グリシーヌは安堵の息をついた。
アヌスをいびられる感じはたまらなかった。
もぞもぞと気持ち悪く、むず痒く、ややもすると洩らしてしまいそうになる感覚。
そんなところにまで興味を持つフランソワの変態性に寒気がする。
グリシーヌは、得体の知れぬ性欲を持ったこの男に、初めて恐怖心を抱いた。
しかし真の恐怖はこれからであった。
不安そうに振り向いた貴族の美少女はギョッとした。
フランソワが大きな注射器を構えていたからだ。
そして、あろうことかそれをグリシーヌのアヌスにぶすりと突き刺したのだ。
疼痛と驚きで、グリシーヌが叫ぶ。
「うあっ……!」
「ほら見たまえ、痛いだろうに。だから揉みほぐしてやろうとしたのにな」
「な……にをする……あっ……」
「浣腸ですよ。知らんかね?」
そう言われてグリシーヌは唖然とした。
知識としては知っている。
腸内に薬を注入して排便を促すものだ。
重度の便秘であったり、出産の前準備としてもするらしい。
そして貴族の女たちの間でも、ダイエット法のひとつとして実践している者もいるという。
ダイエットなど無縁な体型である彼女は、さほど興味もなく聞き流していたが、まさか自分がされるとは思いもしなかった。
グリシーヌの青い瞳が凍り付いたように見えた。
「なん……だと?」
あまりのことにグリシーヌは呆気にとられ、そして見る見るうちに青ざめていく。
「き、きさま……何を考えているっ! まさか、きさま……ほ、本気でそんなことを……」
「ああ、本気ですとも。もっと身体をほぐしてやろうと思いましてな。それと、あなたが頑固で私を受け入れぬ罰でもある」
「なに、きさま……ば、罰など……ああっ!」
困惑し、慌てて拒絶するグリシーヌの必死な姿を見ながら、フランソワは笑みすら浮かべて嘴管でそのアヌスを嬲った。
くいくいと回転させると、脅えたように引き締まる肛門の感覚が素晴らしかった。
グリシーヌに憤怒の叫びを上げさせ、散々悲鳴を絞り出してから、ようやくシリンダーを押し始めた。
ガラス同士が擦れる耳障りな音が響くと、筒内の溶液が不気味に渦巻いて、グリシーヌの肛門内へと注入されていった。
その感触にグリシーヌは思わず仰け反って呻く。
「ああっ……い、いやあっ……!」
無意識のうちに注入を拒もうと尻肉が強張り、肛門がノズルを食い締める。
無論、そんなことで押し留まるはずもなく、どくどくと腸内に溶液が注ぎ込まれた。
腸壁に液体が浴びせられるおぞましさに、頭の中が暗くなってくる。
堪えようとしても、つい呻き声と悲鳴が交互に口から零れた。
「い、いや……あ、あうむ……くっ……よ、よせ……あっ」
「くくっ、なかなか良い声で鳴くじゃありませんか。いかがです、嫌っている私に浣腸される気分は」
「こ、この……このけだものっ……こんなことして何が面白いのっ……うくっ……」
「面白いですとも。フランス社交界の至宝と呼ばれるグリシーヌ嬢に浣腸してるんだ。くく、こんなことが出来るのは、この私くらいですよ」
「き、きさま……許さん……絶対に許さないっ……あ、あっ……い、入れるな!」
グリシーヌは悔しそうに男を睨みつけたものの、シリンダーを押されて薬液を注入されると、たまらず仰け反り、白い首筋を晒して呻いた。
あまりの汚辱感に、身体の震えが止まらなくなる。
「い、入れるな、あっ……くうっ……いや……や、やめ……あうっ」
とてもじっとしていられず、グリシーヌは細身の肢体をうねらせながら耐えている。
恥辱と苦悶に歪む美貌はたまらなく妖美で、それを見ているだけでフランソワのペニスはまた暴発しそうになってくる。
フランソワは上擦った声で言った。
「実に色っぽい顔ですぞ、グリシーヌ嬢。もっとその顔を見せておくれ」
「やめろ、変態……ぐうっ……」
「いつまでそんな生意気言っていられるか、楽しみですな。うむ、ようやく半分入ったぞ、残り半分だ。全部で30オンス(約850cc)ありますからな、じっくり愉しむがいい」
「そんな……」
もうお腹が苦しくなってきている。
なのに、まだ半分もあるのか。
そう思うと、美少女は目眩すら感じた。
「ううっ……」
グリシーヌの反応が少しずつ変化してきている。
それまでは、腸内に入り込む溶液のおぞましさに悩まされていたのだが、徐々に膨満感とともに便意が加わってきた。
当然の生理的作用なのだが、何しろ初めての浣腸であり、グリシーヌはその恥辱に戸惑っている。
同時に、腸内が妙に熱くなってきている。
グリセリンと混ぜたワインが、腸粘膜から吸収されているのだろう。
そこからくる酔いが、僅かに便意を紛らせている。
「はあっ……ぐううっ……」
お腹を庇うように、背中を少し弓なりにさせている。
少しでも腹部への圧迫を逃がそうとしているのだ。
グリシーヌは、唇を震わせながら小さく言った。
「やめろ……もうやめてくれ……ああ、このままでは……」
「どうなるというのです?」
「……」
こんな男に言えるはずもなかった。
しかし、これ以上入れられたら我慢できなくなってしまうに違いなかった。
その結果にグリシーヌは戦慄し、全身に鳥肌を立てた。
「やめろ、もう入れるな……ああ……も、もう……」
「我慢できませんか? だが、だめだ。全部入れるまでは耐えることです」
「そんな……あっ……いあっ……」
聞いている男をゾクゾクさせるような艶っぽい声で呻き、まるで誘っているかのように腰をうねらせていた。
フランソワにも、グリシーヌの便意が高まっているがよくわかる。
ノズルを食い締めるアヌスの収縮間隔が短くなってきているし、シリンダーを押すたびにグリシーヌの臀部がぶるるっと大きく震えているのだ。
その痙攣は、もはや片時も止まらなくなり、震えも大きくなっていく。
「や、やめて……本当にもう……」
「そうですか。では、一気に入れてやるか」
「あ、やめ……ひぃっ!」
フランソワが残った溶液を一気に注入すると、グリシーヌはまるで達したかのようにグウッと背中を反らし、鋭い悲鳴を上げた。
そしてノズルが引き抜かれると、ぐったりとシーツに身を預けたが、すぐにぶるっと大きくわなないた。
フランソワがいやらしそうに撫でる臀部は脂汗でぬらぬらになっている。
「うむ……」
もう誤魔化しようのない便意が腹部で暴れ回り、脳髄を直撃する。
膝も腰もガタガタと震えだし、腿をもじもじさせていた。
震える肌から、つうっと汗がいくつも滴り落ちる。
「く、苦しいっ……あ、あ、もう……ほどいて……」
「勝手なことを言っては困りますな。そんなことをしたら、私があなたに殴り倒されそうだ」
「そ、そんなことはし、しない……だから早く……ああ、もう我慢できないっ……」
「何が我慢できないのかな?」
この期に及んで、この男は恥ずかしい言葉を口にさせようとしている。
グリシーヌはカッとなったが、怒り以上に便意の苦悶が強烈で、逆らう気にもならない。
「くっ……ト、トイレ……おトイレに……ああ……」
荒々しい便意に苦しみ、グリシーヌは今にも弾けてしまいそうなアヌスを必死に引き窄め、気力を奮い立たせている。
一瞬でも気を抜けば、そこで一気に出てしまいそうなのだ。
フランソワはなおも意地悪そうに尋ねる。
「ほう、トイレにねえ。あのグリシーヌ嬢が「トイレに行かせて」など……くくっ」
「きさま……んっ……苦しい……」
「トイレに行ってどうなさるので? そんな綺麗な顔をしてウンチをすると言いたいのかな?」
露骨な言葉に、グリシーヌの頬がカッと赤くなる。
しかし、腸内で荒れ狂う便意はほとんどもう限界であり、一刻の猶予もない。
もしこのまま放って置かれたら、貴族として女としてというより、人としてもっとも恥ずかしくおぞましい姿をこの男に晒すことになる。
それを考えるだけで気が遠くなった。
意固地になって耐えきれるはずもなく、浣腸されたら出すしかないのだ。
グリシーヌは屈辱と恥辱も必死に飲み込んで、小さくコクッと頷いた。
フランソワは胸中で快哉を叫んだ。
あのグリシーヌをここまで貶めたのだと思うと、笑いと劣情がこみ上げて止まらない。
「よしよし、まあいいだろう。そのうちはっきりと「ウンチをさせて」と言わせてやりますよ」
「な、なんでもいいから早くっ……もう本当に我慢出来ないっ……あっ」
「さあ、どうぞ」
「な、なに……?」
グリシーヌは後ろを振り向いて唖然とした。
男は空の洗面器を手にして、グリシーヌの尻の前で構えているではないか。
少女は青ざめた顔のまま、わななく唇で言った。
「ま、まさか、きさま……」
「その「まさか」ですよ。ここでするんだ、グリシーヌ嬢」
便意すら吹き飛ばす勢いで怒りがこみ上げ、グリシーヌが叫んだ。
「ふっ、ふざけるなっ! そんなことが出来るか、私を誰だと思っているっ」
「知っていますとも。ブルーメール伯爵家のご令嬢グリシーヌさまだ。そのグリシーヌ嬢は、私の前で排泄することになるのです」
「そんな……」
グリシーヌの頭がくらくらしてきた。
この男は最初から目の前で排泄させ、グリシーヌに最大の恥辱を味わわせる気だったのだ。
「いやああっ……!」
グリシーヌは心から絶叫し、必死になって尻を振り、抵抗したものの、もう便意は限界を超えつつあった。
例えフランソワの気が変わってロープをほどいてくれたとしても、もうトイレまで間に合わないに違いない。
フランソワは「いつでもするがいい、じっくり見てやる」と言いながら、洗面器を構えている。
極限に達した便意に苦しみ、グリシーヌはもう口も利けず、満足に呼吸すら出来なかった。
もう、どう堪えてもアヌスの痙攣は止まらず、徐々に花開こうとするのを止めることは出来なかった。
「だ、だめ、もう……あ、あ……み、見ないで……」
ほとんど初めて聞く、グリシーヌの女っぽい声と言葉に、フランソワの加虐性はいや増していく。
「いいぞ、いつ出しても。しっかり見ていますからな」
「い、いや……見ないで……あっ……だ、だめっ、だめ、もう……見ないでぇっ!」
グリシーヌは、血が出るほどに唇を噛み、手のひらに爪が食い込むほどに握りしめたものの、耐えに耐えた便意はコントロール出来なかった。
直腸で渦巻いている苦悩の塊は、もう出口のすぐ裏にまで来ている。
火傷しそうなほどにアヌスの内側が異様に熱かった。
ひくつく肛門がググッと内側から盛り上がり、わなわな痙攣したかと思うと、前触れもなく便意が炸裂した。
「いやあああっっ……!」
死にも勝る恥辱に、グリシーヌは絶叫した。
しかしそれは押しとどめようもなく、アヌスをわななかせながら、苦痛の根源をドッと洗面器に排泄する。
一度発作が終わっても、休む間もなく次々にほとばしり出た。
1リットル近く注入されているのだから、それもやむを得まい。
「ああ……」
ようやく全部絞りきると、グリシーヌは小さく呻いて突っ伏した。
絞りきった肛門はきゅうっと窄まったが、まだひくついている。
「どうです、グリシーヌ嬢。恐れ入ったかな」
「……」
勝ち誇るフランソワの言葉にも、ほとんど反応はなかった。
浣腸などという変態的な責めを受けただけでなく、禁断の排泄行為までつぶさに見られてしまったのだ。
誇り高い貴族にとって、あるまじき屈辱であった。
その衝撃は大きく、さすがのグリシーヌも放心状態である。
だからフランソワがぐいっと尻たぶを割っても、ほとんど動けなかった。
まだ粘液で濡れた肛門やその周辺をガーゼで拭っても、僅かにむずかり、尻を小さく振る程度だ。
だが、ガーゼで清めた後、そこにフランソワが口を押しつけてきた時には、さすがに驚いて身体が跳ねた。
「あっ!? ……な、なにを……」
慌てて振り向くと、にやついたフランソワがグリシーヌの尻から顔を離したところだった。
信じられない。
この男は、女のアヌス──排泄器官を舐め、唇で吸ったのだ。
あまりのことにグリシーヌが絶叫する。
「や、やめてっ! そんなこと、やめ……いやあっ、ひぃっ!」
グリシーヌは膝をがくがく震わせ、尻を揺すり立てた。フランソワが音を立ててアヌスを吸い上げ、舌で舐め回す。
それどころか、尖らせた舌先をアヌス内部に挿入することまでやってのけた。
「ひっ、いやあ! そ、そんなとこ……やっ、な、舐めないで! やあっ……んんっ……き、気持ち悪……ああっ!」
常軌を逸したとしか思えぬ行為に、グリシーヌは生きた心地もしない。
腰を跳ね上げ、ロープに絞り出された乳房が揺れ動く。激しく顔を振りたくり、見事な金髪が宙を舞い、ほつれ、汗の浮いた肌にへばりついた。
死ぬ気で窄めたそこが、フランソワの口でほぐされていく感覚がたまらなかった。
汚らしさにひくつく肛門がフッと緩み、また慌てて窄まることを繰り返している。
そんなことが5分、10分と続くと、グリシーヌの声も弱々しくなってきた。
「やめて……お願い、もうそこは……あああ……そんな……ひっ……」
やっとフランソワが口を離すと、グリシーヌのそこはすっかりほぐされ、柔らかく膨らみ始めていた。
舐め回された粘膜はとろけ、ひくついている。
そこを指でいじくりながら、フランソワが言った。
「だいぶ良い感じになってきましたなあ。どうだグリシーヌ嬢、尻が気持ち良かったろう」
「……き、気違いめ……きさまは……ああ……ど、どうかしている……こんなこと……人間のすることでは……ない……」
「ほう、まだそんな口を利けますか。では……」
フランソワはにやっとして、また浣腸器に溶液を吸い上げた。
「もう少し味を良くしましょうかな。ワインの分量を増やしてやろう」
「なっ……、き、きさま、まだそんなことを……」
「やりますとも、何度でもな」
「や、やめ……ああっ!」
喚くグリシーヌをせせら笑いながら、フランソワは浣腸を繰り返した。
グリシーヌは二度、三度と浣腸され、注入されては排泄させられた。
浣腸される苦しさもたまらなかったが、何より排泄を見られるのが耐えられなかった。
フランソワは決してトイレは許さず、必ず目の前で排泄させたのだ。
最初の排泄で、腸内のものはほとんど出てしまったから、以降は注入された溶液しか出なかった。
しかし排泄を見られるという屈辱と恥辱は同じで、何度されても馴れることはなかった。
そして排泄が終わると、待ってましたとばかりにフランソワがグリシーヌの尻にしゃぶりつくのだ。
浣腸と排泄でジンジンと痺れ、敏感になったアヌスと腸内の粘膜を吸われ、舐められるのはたまらなかった。
感じているという実感はなかったものの、いつしかグリシーヌの媚肉は濡れてきており、乳首までが硬くなってきている。
愛撫されるアヌスも、痺れを通り越してツーンとするような甘い感覚を得てきた。
まるで肛門責めに呼応するかのように、子宮までが痺れだしてくる。
頭はぼうっとしてきた。
腸壁から吸い上げるワインのアルコール成分も影響していると思われた。
そんな中、グリシーヌは五度目になる浣腸の洗礼を受けていた。
「もういやっ……くっ、この……いつまで、ああっ……いつまでこんなことを……」
「さあ、私が満足するまでかな。それともあなたが屈服するまでにするか」
「だ、誰が……誰がきさまなんかに屈服するか! きさまは頭がおかし……ああっ!」
惨いまでに浣腸され、グリシーヌは全身を汗に滴らせ、息も絶え絶えだった。
それでも持ち前の気丈さは失われておらず、気力を振り絞ってフランソワを罵る。
だが肉体的にはもう限界だったろう。
白かった肌はピンクに色づき、玉のような汗が滑り落ちていく。
艶やかだった髪までもが汗に濡れ、洗い髪のようだ。
「もうやめろ……くっ……だめ……」
すっかり弱ってきているグリシーヌを見ながら、フランソワは嬉しそうに浣腸を続けている。
グリセリンの割合は少なくなっているが、その分ワインが増えていて、そのきつさはお腹が捩れるかのようだ。
「あうっ……ううんっ、き、きつい……はあっ、くううっ……」
2/3ほどが注入されており、もうお腹は小さく膨れ、ググッと不気味な音をさせていた。
グリシーヌはぶるぶると腰を震えさせ、顔を振りたくって耐えている。
「やめ……あ、もう入れるな……あくっ……きついっ」
「そんなきついかな? くく、いいぞ、その苦しそうな顔が。興奮してきますよ」
アルコールの刺激がきつかった。
腸が掻きむしられるかと思うような刺激で、腸内とともにアヌス内側が火のように熱くなる。
おまけに、そのきつさは回を重ねるたびにきつくなっていった。
容赦なくピストンが押し込まれ、夥しい量の溶液が注入される。
グリシーヌの腸内はアヌスだけでなく、身体の隅々まで浣腸液が染み渡っていくかのようだ。
「く、苦しい……お腹が苦しいわ……ああ、もう入れないで……あう……」
「もう少しだ、全部飲むことです。さっきまで全部飲んでいたでしょうに」
「そんな……もう無理よ……あひっ!?」
フランソワが残りを一気に注入すると、グリシーヌは奇妙な悲鳴を上げてグウッと全身を伸び上がらせた。
ぬぽっとノズルを引き抜かれるとそこから漏れそうになり、グリシーヌは慌ててアヌスを引き締めた。
しかし我慢できるようなものではない。
鼠蹊部の辺りが痺れ、痛くなってくる。
次第に括約筋が緩み、今にも肛門が開いてしまいそうになる。
極限の便意がグリシーヌの意識をジリジリと灼き、理性と矜恃を焦がしていった。
「だ、だめ……もうだめっ……」
「出るのかね? なら「させて」と言ってみなさい」
「バ、バカな……そんなことが、ああっ」
反発したグリシーヌだったが、叫んだ瞬間にアヌスが緩み、思わず漏らしそうになって引き攣ったような声を上げた。
もうだめだ。
これ以上は耐えられない。
このままでは床に垂れ流すこととなり、それをフランソワに見られてしまう。
その恥辱や、嘲笑われる屈辱は我慢ならなかった。
もう恥も外聞もない。
死ぬ気で言うしかないのだ。
煽るようにフランソワが言った。
「言え、グリシーヌ嬢。「ウンチさせて」と言うんです」
「くっ……い、言えない……あっ……」
もう一度我慢しようと思ったものの、その決意はアヌスに感じた熱と痺れで崩れ去った。
グリシーヌは腿をもじもじさせ、爪先を何度も屈ませて排泄を耐えている。
だが、彼女の気力にも限界があった。
「だ……め……ああ、苦しい……お、お願い……」
「なんですかな、グリシーヌ嬢」
「もう我慢できない……ああ……さ……させて……」
「もう一度」
「くっ……さ、させて……したくて、もう……で、出ちゃう……」
「あのグリシーヌ嬢が「出ちゃう」とはな」
フランソワはそう言って哄笑した。
ほんの二時間前には考えられなかったグリシーヌの態度だった。
フランソワは満足げに洗面器をあてがってやると、グリシーヌは全身をぶるるっと大きく震わせてドッとしぶき出させた。
グリシーヌの肛門は内側から盛り上がるように開口し、粘膜を覗かせるほどに激しく排泄した。
フランソワの視線をはっきりと感じつつ、グリシーヌは最後の一滴まで絞り出した。
(い、いや……死にたい……)
体力、気力とともに、身体中の水分を絞りとられ、内臓まで排泄したような気がする。
肛門の粘膜が、グリセリンとワインの刺激でまだ痺れている。
排泄の解放感と、直前までの苦悶とが入り交じり、グリシーヌは未知の官能を感じていた。
それが性の快楽に直結しているものとはまだ気づかず、疼く媚肉と痺れる子宮、そして肛門に感じる男の舌に戸惑うだけだった。
数度の浣腸と排泄によって、すっかり爛れたアヌスが舐め回され、グリシーヌは辛そうに呻いた。
ビリビリ痺れる粘膜を熱い舌で舐められ、得も知れぬ感覚に膣奥が熱くなっている。
存分に舐めしゃぶったフランソワが顔を離すと、グリシーヌは知らず知らずのうちに腰を持ち上げていたことに気づいた。
膣も濡れており、粘液がシーツに染みを作り、そこから糸すら引いている。
汗にぬめる尻たぶを撫でながらフランソワが言った。
「すっかりまいったようですな、グリシーヌ嬢」
「……」
「初日から少々きつかったですかな? では今日の仕上げといきますぞ」
「い、いや、何を……あ……ああっ!?」
ぐったりしていたグリシーヌは、活が入ったようにグッとせり上がった。
尻たぶを割ったフランソワが、ペニスの先をぴったりと肛門に押しつけてきたのだ。
17歳の美少女は、驚いたように後ろを向いた。
「なっ、なにを……そ、そこは……違う!」
「いいや、これでいいのさ。私はグリシーヌ嬢のアヌスを犯すのだ」
「な……」
驚愕のあまり切れ長の目を見開いたグリシーヌに、フランソワが淫らに問うた。
「その様子だと、どうやらここはまだのようですな」
「ま、まだって……」
「あの男とここは愉しんでいなかったのかな?」
若い貴族はそう言いながら、亀頭の先でアヌスを突っついてグリシーヌから悲鳴を絞り出している。
グリシーヌは「信じられない」といった表情で激しく顔を振った。
「あ、当たり前だ! プショー伯、きさま、まさかそんな……」
「こういうセックスもあるのですよ。後学のためだ、この際、一度経験しておくといい」
「バカな……! あっ、やめろっ……うああっ!」
ペニスが圧力を加えてくると、アヌスはひしゃげ、ぐぐっとめり込まされていく。
熱いものが排泄器官の狭い口を突破し、腸内に入っていくのがわかる。
犯す男だけでなく、犯される女の側も意外なほどに、あっさりと肛門がペニスを飲み込んでいた。
散々浣腸と排泄を繰り返され、さらに舐めまくられて粘膜がすっかり緩んでいたためだろう。
フランソワは恍惚とした表情で腰を捩り、根元まで肉棒を埋め込んだ。
グリシーヌの尻まで犯してやった、しかもそこは初めてだというのである。
処女を奪ったような征服感に満たされ、男はゆっくりと腰を使い出す。
「い、いやあっ……!」
異様な異物感と、あり得ない箇所をこんな男に犯されているのを実感し、グリシーヌは汚辱感から吐き気すら催した。
気力を振り絞るように腰を捻り、嫌がったものの、結局は肛門で男根を締めつけるだけになっている。
その絞り込みに強い快感を得て、フランソワはグリシーヌに抱きつき、細い腰を掴んで腰を揺すっている。
「あ、あ、いや……いやあっ、抜いて、早くっ……ううっ」
グリシーヌは白い裸身を震わせて喘ぎ、苦悶の表情を晒すものの、男の方は喜悦に浸りつつ、なおも禁断の女穴を犯していく。
肛門を抉り、腸管を擦られる感覚に気も虚ろになってくる。
ペニスを締めつけられ、フランソワは顔を真っ赤にして唸り声を上げて責め続けた。
「おおっ、グリシーヌ……素晴らしい……尻の穴まで私のものだっ!」
「だめ、そんな……いや、しないで……ぬ、抜いてぇっ……」
フランソワは自制心すら失い、無秩序に前後に突きまくっている。
「いっ……いや、痛いわ……やめて……あっ……うんっ……」
基本的には苦痛だし、気持ち悪いのに、何かの弾みで身体がピクンと反応する。
フランソワは意識していないようだが、自分勝手に突きまくっていると、グリシーヌの性感ポイントに触れることがあるようだ。
性技の巧みな者であれば、そんな女の反応を見逃さず、ここぞとばかりに責めるのだろうが、フランソワでは望むべくもない。
初めての肛門性交に戸惑い、経験したことのない快感に揺れ動く女を尻目に、自分だけ果てようと一方的に動き、突き上げる。
「ぐっ、グリシーヌっ……グリシーヌっ……!」
射精寸前で、今にも泣きそうな情けない声を放ちながら、フランソワは腰を強く打ち込んで腸管にドッとばかりに精液を放った。
「うぁっ! いやあっ……!」
腸管にびゅるびゅると射精され、グリシーヌが仰け反った。
腸内に精液が引っかかるのを実感し、フランソワの男根がビクビクと脈打ち、精液を放出しているのがわかる。
たまらずグリシーヌは括約筋を収縮させ、なおもペニスを締め上げた。
フランソワは、身体の下にグリシーヌの柔らかい臀部を感じながら、射精を終えるまで抱きついて離れなかった。
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